超次元ゲイムネプテューヌ 光の量子を操りし者(凍結)   作:熾天 冥夢

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冥夢「明けまして、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。…!?悠斗!?何その物騒な武器は!?」

悠斗「いや、今何日だと思ってんの?何ヶ月放置してんの?返答次第では…ねぇ?」←チェインソード持ちながら

冥夢「マジですみませんでしたぁぁぁぁっ!!MHXXとDQMJ3をやっておりましたぁぁぁっ!!!」

悠斗「はぁ…ねぇアホ作者?」

冥夢「ななな、何でしょうか?」

悠斗「O☆HA☆NA☆SHI…しようね?」

冥夢「いやああああぁぁぁぁっ!!!」

悠斗「このアホ作者はO☆HA☆NA☆SHIするとして、第十三話、始まります。」


第十三話 ノワールとの手合わせ おや…?悠斗の様子が…?

「どれか、難しいクエストは…ん、“デウス・エクス・マキナの討伐”…よし、これにしよう。このクエスト受注します」

 

「はい、承りました。ですが、本当に強いモンスターなので気を付けてください」

 

え?今何をしてるのかって?昨日仲間にしたビッグヴァーダーの力を試しにクエストを探してて、さっき“デウス・エクス・マキナ”っていういかにも強そうなモンスターの討伐クエストがあったからそれを受注したわけ。

 

「えーっと、場所は…また廃工場なのね…まぁ、ミッドカンパニーよりは近いしいいかな」

 

廃工場=機械ってイメージが強いから仕方ないけど…さて、行きますか。

 

「出でよ『ライドロイド』」

 

あ、因みに、三人には既に言ってあるよ。でも、ノワールから“終わったら早急に戻ってきて!いいわね!”って言われたけど…多分手合わせだろうね。あの時お預けになっちゃったし。

 

 

 

――悠斗が飛行機械に乗り込み、飛翔してから僅か三分後…

 

 

 

「到着っと。同時にライドロイド、消滅」

 

目的の廃工場に着き、ライドロイドを粒子状に消滅させる。

 

「出でよ銃剣(ガンスラッシュ)『セレスタレイザー』。さて、指定されたモンスターは何処かなー」

 

何時モンスターに襲われても対応できるように、黒紫を象徴とした持ち手とフォルム、小さな銃口と大きな刃をした銃剣を装備する。そのセレスタレイザーを持ったまま、目標のモンスターを探す。

 

まぁ、案の定途中に…

 

「シャアァァァァッ!!!」

 

「そぉいっと」

 

「シャアァァッ!?」

 

「ピー…ガガー…ニンゲン…ハイジョ…ハイジョ…」

 

「はいはいそれはこっちのセリフっと。フォトンアーツ『スラッシュレイヴ』、『シュトレツヴァイ』」

 

「ピー…ガ…キドウ、フカノウ…キドウ、フカノウ…」

 

モンスター達が襲い掛かって来たけどね。前者の“バンチョーキャット”には思いっきり振り下ろしたらあっさり両断したし、後者の“自動防衛システム”には『スラッシュレイヴ』と『シュトレツヴァイ』を放ったら壊れて消滅したよ。“自動防衛システム”って危険種の筈なんだけどなぁ…

 

なお、『スラッシュレイヴ』は左右に斬りつけながら強力な銃弾を浴びせる技で、『シュトレツヴァイ』は剣形態と銃形態の二つがあって、剣形態では自身を回転と同時に斬撃波を放って間合いを一気に詰めて数回斬撃を与え、銃形態では全方位拡散する銃弾を放つフォトンアーツだね。

 

「ん、あれは…」

 

青い機体に斧とハンマー…うん、あれが“デウス・エクス・マキナ”だね。確か資料によると“接触危険種”なんだってね。…だから三人とも心配してたんだなぁ…

 

「反応確認、ニンゲン…コロス…」

 

「おっと、あっちも気付いたようだね。でも、新たな力の糧になってもらうよ!出でよ『モタブの写本』“要塞戦艦型機甲種、ビッグヴァーダー”召喚融合!」

 

モタブの写本からホログラム状のビッグヴァーダーが映し出され、そのビッグヴァーダーとと悠斗が融合し、光が放たれる。

 

光が収まり、そこにいたのは“トランマイザーに似たような装甲を全身に纏い、頭がビッグヴァーダーを模していて、両手首にはバルカン砲とミサイル砲が左右二つ装着され、両腕には火炎放射器が二つ、足にはトランマイザー形態と同じでブースターがあり、首辺りには巨大なミサイルポッド、肩には左右合計十二門のミサイルポッドが装着され、何よりも変化が目立つ1m大の四つの球体状のビット”がある悠斗の姿だった。

 

「何か、アーマー〇コアみたいになっちゃってるね。でも、この姿もいいかな。全身が更に機械化してかっこいいし。それじゃあ、デウス・エクス・マキナ、私の糧になってね」

 

悠斗はブースターでデウス・エクス・マキナに近付き、バルカン砲の射撃を浴びせる。だが…

 

 

 

――キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!

 

 

 

悠斗の放ったバルカン砲の射撃は、悉く全て弾かれたのだ。

 

「ん、バルカン砲の射撃を弾いてる?やはり、そう上手くはいかないよね。なら、これはどうかな?」

 

バルカン砲の射撃が効かないのなら、今度は両手首に装着されたミサイル砲を発射する。

 

 

 

――ドゴォオン!ドゴォオン!

 

 

 

バルカン砲の射撃は効かず、ミサイル砲では着弾と同時に鈍い音がしたが、果たして効いているのだろうか?と思ったが、ほんの少しはダメージを与えられたようだ。しかし

 

「コザカシイ!」

 

 

 

――ドガアアアァァァン!!!

 

 

 

デウス・エクス・マキナからの反撃が飛んできたのだ。ハンマーによる叩きつけをブースターで加速し回避したが、叩きつけられた地面は少しのクレーターができていた。

 

「うわぁ…基本、攻撃は喰らっちゃダメな奴だね。これ。でも、引く訳にはいかないんでね」

 

悠斗も負けていない。両腕のバルカン砲の射撃を無数にデウス・エクス・マキナに浴びせる。大体の部分は弾かれるが、ミサイル砲で少し傷が付いた所は効いているようだった。

 

「ミサイル砲でバルカン砲の射撃が効くようになるのなら、全身を効かせてあげる。ミサイル十二連射!」

 

ミサイル砲を同時に十二連射し、合計二十四回もデウス・エクス・マキナの全身に爆発を通じてダメージを与える。

 

「まだ終わらないよ、ホーミングミサイル!」

 

肩の合計十二門のミサイルポッドからホーミングミサイルが発射され、全てがデウス・エクス・マキナに直撃する。銃弾に晒され、ミサイルを幾度となく放たれ直撃したデウス・エクス・マキナだったが、まだ稼働しているようだった。

 

「やっぱ、接触危険種だけあってタフだね。でも、これには耐えれるかな?ヴァーダービット、ブラスター砲発射!!」

 

宙に浮いている四つのビットが僅か一秒のチャージの後、青いビームが発射する。そのビームは、デウス・エクス・マキナの一部を容易く呑み込み、1mの穴が四ヶ所空けられる。

 

「意外に強いね、ブラスター砲。さっきまでの攻撃はあんまり効かなかったのに、あっさりと四ヶ所も穴空いちゃってるし。でも、早く戻りたいからちょっと本気出すよ!“火炎放射器を除いた武装による一斉攻撃”!!!」

 

あまり時間がかけられない為、火炎放射器を除いた一斉攻撃を放つ。バルカン砲、ミサイル砲、巨大なミサイルの爆撃、ミサイルポッドのホーミングミサイル…無数にも思える攻撃に晒され、デウス・エクス・マキナの機体はボロボロになっていた。

 

「ビッグヴァーダー自体も結構強いね。それじゃ、デウス・エクス・マキナ、土に還って」

 

トドメのブラスター砲により、中心核や動力炉などの重要機器を消し飛ばされて機能を停止し、粒子として消滅した。

 

「うーん、ビットのブラスター砲が結構強くて、接触危険種なのにあっさり終わっちゃったなぁ。でも、強さを確かめられたからいいかな。さて、融合解除っと」

 

再度、悠斗の身体から光が放たれ、モタブの写本にビッグヴァーダーのホログラムが吸収される。キャスト化していた身体も服も元に戻り、人間形態に戻った。

 

「さて、ギルドにクエストを報告して早急に戻らなきゃね。ノワールが待ってるだろうし。出でよ『ライドロイド』」

 

 

 

――飛翔してから三分後…

 

 

 

ラステイションに着いた後、速攻ギルドに赴き

 

「はい、指定されたモンスター倒してきました」

 

「本当に討伐してしまったんですね…凄いです…。いえ、何でもないです。それでは、こちらが報酬金となります」

 

クエストを報告して十二万クレジットの報酬金を手に入れた。…所持金増えたような気が…気にせずに戻るかな。

 

 

 

――ラステイション教会

 

「戻ったよー」

 

「お帰りなさい。“ビッグヴァーダーの力を試す”って言っていたけど、何のモンスターを倒してきたの?」

 

「デウス・エクス・マキナだけど?接触危険種のね」

 

『!!?』

 

三人の顔から、驚愕の表情が見て取れる。それもそう、この世界に来てまだ半年も経っていないのに、接触危険種と対峙したのだから。

 

「えっ!?大丈夫!?怪我してないわよね!?」

 

「デウス・エクス・マキナは確か、ラステイション周辺のモンスターでも屈指の接触危険種ですよね!?まさか“倒した”って事はないですよね…?」

 

「いや、倒したよ?さっきギルドに行って十二万クレジットの報酬金貰ってきたし」

 

『!?!?』

 

再度、今度は更に驚愕の表情を浮かべる三人。対峙しただけでなく、倒してきてしまったのだから。それは必然ともいえよう。

 

「因みに、どういう風に倒したんだい?口で言うのは簡単だが、いかにも納得できないんでね」

 

「解りました。それじゃ出でよ『モタブの写本』。そしてビッグヴァーダー、召喚融合」

 

悠斗は再度ビッグヴァーダーと融合し、全身の装甲と沢山の武装を備えた“ビッグヴァーダー形態”に姿を変えた。勿論、四つのビットも付近に浮いている。

 

「はい、この“ビッグヴァーダー形態”を使って倒しました」

 

「人間とモンスターが融合…!?これは興味深いね…」

 

「だからって、皆に同じようなものを施さないで下さいよ?」

 

「ねぇ悠斗、そのふわふわ浮いてるの、何?」

 

「ん、これ?ビッグヴァーダーと戦った時、いきなり放ってきた四ヶ所のレーザー砲門あったでしょ?それがビット状になったものだよ。結構大きいけどね」

 

「確かに…悠斗さんの身長の半分以上ありますよね…」

 

「まぁ、そのビット化したレーザー砲門が想像以上に強くてね、レーザーを放ったらデウス・エクス・マキナの装甲を一発で貫いたよ。しかも四ヶ所もね」

 

「一発…しかも四ヶ所も…いよいよフォトンが何なのか解らなくなってきたわ…」

 

「しかも、容易く重力を、物理法則を無視できるからね。私も解らなくなる時あるよ。それよりノワール、“早急に帰ってきて”って言ってたけど、何かあるの?」

 

「そうだわ!あの時中断させられた手合わせの続きをするわよ!」

 

「やっぱりね。そんな感じはしてたよ。」

 

 

 

――移動中…

 

 

 

私達は昨日来た教会から近く、広い野原にいる。ここでユニとの手合わせをした場所なのだ。

 

「さて、武器はあの時のでいいよね?」

 

「えぇ、いいわよ」

 

「OK。それでは出でよ飛翔剣(デュアルブレード)『アストラルブレイズ』の片方と『アウラヴォルザーク』の片方」

 

あの時に出した流線型の剣と黒く棘のある剣を虚空から生み出した。

 

「はい、ノワール。」

 

「ありがとう。それじゃあ…」

 

「「いくよ(いくわよ)!!」」

 

こうして、悠斗対ノワールの手合わせの幕が、切って落とされた。

 

悠斗は剣を構えノワールを見据える。その眼はいつもの温厚な雰囲気を醸し出している眼ではなく、鋭く光っていた。

 

「(…!?何このプレッシャー…いつもとはまるで違う…!)」

 

「…ノワールが来ないのなら、こちらから行かせて貰うよ。はぁっ!!」

 

 

――ヒュンッ!!

 

 

最初に悠斗が一歩踏み出し、そのまま思いっきり走りノワールに向かって鋭い斬撃が繰り出される。

 

「(速いっ!?)」

 

ノワールは悠斗の鋭く速い斬撃に当たりそうになるが、すんでのところで回避に成功する。とても十七歳だとは思えない身体能力である。

 

「(例え、十七だからって言っても手加減したら確実に手合わせだけれども負ける…!なら…)中々やるわね…まるで戦闘慣れしてるかのようね…なら、いきなりだけど本気で行かせて貰うわよ!!」

 

「そりゃあ、プラネテューヌにいた時にこっそりとギルドでクエスト受けまくったしね。最初の内は勿論危険種なんて相手は太刀打ちできなかったよ。でも、どうやれば倒せるかも研究しまくったよ。その成果が接触危険種をも相手できるまでなんだから。それで、ノワールが本気を出したって事は、私も本気を出さないとマズいタイプだね。それじゃ、今ある戦闘能力の殆どをぶつけるよ!」

 

二人に緊迫した雰囲気が醸し出される。その場にいたユニも冷や汗を流している。

 

「(悠斗さんのプレッシャーが更に大きく…!?これが悠斗さんの本気…!)」

 

しかし、プレッシャーが大きくなっても使う武器は1つだけなのだから、悠斗に対しては全く本気を出している状態ではなかった。何せ、悠斗の本当の本気は他の武器も魔法も召喚も融合も駆使するのだから。

 

「…ふっ!!」

 

再度、鋭く速い斬撃が繰り出される。だが、ノワールはその斬撃を受け流して反撃に突きを入れる。悠斗はそれをお得意の反射神経で避ける。

 

「(やっぱり、悠斗の反射神経が人間じゃないわね…)」

 

「…私の反射神経に驚いている暇はないよ。はっ!!」

 

今度は素早い突きを繰り出す。悠斗の動きは全く無駄がなく、隙もなかった。

 

「(まるで、自分自身と手合わせをしているようだわ…一体、どんな訓練をしているのかしら…)」

 

その後も、斬撃を繰り出しては受け流され反撃からの回避を幾度となく繰り返した。流石に体力はあっても、長い時間剣同士を撃ち続けると身体に限界が来る。現時点の悠斗とノワールが正にそれだった。

 

「「はぁ…はぁ…」」

 

「お姉ちゃんも悠斗さんも凄い…悠斗さんに至っては途中から逆手持ちに切り替えたりしていたのに…」

 

「悠斗、そろそろ決着を付けない?」

 

「そうだね。一体どれくらい時間がたったのか解らないけど、いい加減決着を付けるよ。」

 

 

 

「「それじゃあ…行くよ(行くわよ)!」」

 

 

 

そう言って悠斗とノワールは同時に構える。だが悠斗は右手に握られている剣を前に翳し、もう片方の手を剣を撫でるように広げる。すると元々短い剣のリーチが“フォトンにより伸びた”。そのリーチが伸びた剣は、大剣(ソード)みたいに、かなり大きく長くなっていた。

 

「トルネード…」

 

ノワールは一歩踏み込んだ後、一瞬だが“消えた”。

 

「ブライトネス…」

 

そして悠斗は目を瞑り、剣を構えて左手を前に翳す。

 

「ウィングッ!!!」

 

「エンドッ!!!」

 

ノワールは姿を現し、虹色の剣を悠斗に向かって振るう。対して悠斗は目を開き自身を回転させて、その遠心力で剣を大きく薙ぎ払った。

 

 

 

 

 

――ギィンッ!!!!!

 

 

 

 

 

二人の剣が同時に打ち合い、途轍(とてつ)もない音量の金属音が鳴り響く。

 

 

 

 

 

――ピキッ! ――パキッ!

 

 

 

 

 

「「「!?」」」

 

遅れて、二人の持っていた剣が同時にヒビが入る。どうやら引き分けのようだ。引き分けが引き金になったのか、お互いに倒れた。

 

「はぁ…はぁ…流石の私も疲れたわ…」

 

「うん…私もだよ…こんなに疲れたのは久しぶりだなぁ…」

 

「お姉ちゃんも悠斗さんも、あれから数時間打ち続けていましたから」

 

やっぱり…というかよく数時間も打ち続けられたな私…それより、さっきの技は…

 

「ノワール?さっきの“トルネードウィング”って何?」

 

「あの技?トルネードソードと、フォトンアーツのディストラクトウィングを組み合わせてみたのよ。」

 

「成る程ね、だからトルネードウィングなんだね。」

 

 

 

 

 

     ☆     ☆     ☆     

 

 

 

 

 

手合わせが引き分けに終わった後、私達は教会に戻って昼食を食べ、シャワーを浴びた。流石にね、汗まみれの服をそのままにする訳にいかないしね。シャワーから出た後は、愛用のコスチュームである赤を象徴とした“ジャッジメントコート”を着用する。

 

…とは言っても、新しいのを魔方陣を通じて出しただけだけどね。さて、午後はどうするっかなっと。

 

「うーん、ノワールのとこに行ってゲームで対戦を申し込むかな。」

 

そうと決まれば、ノワールの所へ行こう。あ、ユニ見つけた。ちょっと、ノワールの所に行く前に声掛けておこう。ユニも私に気付いたみたいだし。

 

「悠斗さん、お疲れ様です。これからお姉ちゃんの所へ行くのですか?」

 

「うん。ゲームで対戦を申し込もうと思ってね。」

 

私がそう言ったら、ユニの顔から困惑の表情が浮かぶ。

 

「…?どうしたの?もしかして、ノワールのとこに行っちゃダメとか?」

 

「うーん…それに近いです。数十分前にお姉ちゃんが『取り込み中だから絶対に入らないように!』って言っていましたので…」

 

「ふむ…でも何でだろ。ま、行ってみれば解る事だから行ってくるよ」

 

「はい、それでは」

 

私はユニと別れ、ノワールの部屋を目指す。けど、『取り込み中だから絶対に入らないように!』ねぇ…何か裏がありそう。

 

 

 

 

 

     ☆     ☆     ☆     

 

 

 

 

 

「さて、到着っと。」

 

…うん、到着したのだいいんだよ。でもね、ユニが言ってた事もあって案の定、『面会謝絶』のプレートが吊り下げられてるんだよね。さて、どうしようか?これじゃあ話できないし…少し時間空けるかな。また改めて申し込めばいいし。

 

そう考えてノワールの部屋から立ち去ろうとした、その瞬間――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「~~~~~~~っ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?ノワール!?」

 

ドア越しから、尋常じゃない大きさの叫び声が聞こえてきたのだ。声の主は紛れもなくノワール。悠斗はそれに驚き、瞬時に振り返った。

 

「もしかして、あの時の人が襲いに…?いや、冷静に考えている場合じゃない!一応、出でよ銃剣(ガンスラッシュ)『ルベルサイファー』!」

 

悠斗は虚空から黒と淡い赤色を象徴とした持ち手に、フォトンでできた巨大な刃がある銃剣を呼び出す。そのまま部屋の中に突撃する。

 

「ノワール!大丈…夫…?」

 

「……え……?」

 

悠斗はノワールの名前を叫び、剣を構えようとするがそれは途中で途切れ、珍しくも唖然となる。

 

そう、一昨日の人はいないし、荒らされてもいなかった。だが、ノワールが何時ものノワールではなく、何時も着ている“クリアドレス”でもなく、全身の殆どが黒でノースリーブの服にギザギザとしたスカート、真っ黒な腕抜き、真っ黒なブーツ…つまりは“ミラセリア影”と全く同じコスチュームを着たノワールがいた。

 

何を言ってるのか解らない?簡単に言うと、“六芒の零”であるクーナが着てるコスチュームの黒色verって事。

 

「…武器消滅。ノワール、その衣装…」

 

“とても似合ってるよ”と言いかけた瞬間――

 

 

 

 

 

「いやああぁぁ!?み…見ないで…っ!」

 

 

 

 

 

ノワールは涙目になり、身体を丸めしゃがみ込んでしまった。そして、その身体は小刻みに震え、まるで“何かに怯えているような”素振りだった。

 

「悠斗…見ちゃいや…」

 

「…ノワール、落ち着いて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……」」

 

お互いにソファーに座るがだんまりの状態になる。ノワールのやっていた事…コスプレなのだが何故に?いや、決してダメって言っている訳ではない。誰もが固有の趣味を持っているのだから。

 

「ノワール、あの衣装完全に“ミラセリア影”だったけど、あの衣装はどうしたの?」

 

すると、静寂の場を破るように悠斗がノワールに問いかける。

 

「……よ」

 

「…え?」

 

「コスプレよ…以前、ダークファルスを一人で倒した人がいる事をイストワールから聞いていたでしょ?その人が着ていたらしい衣装を真似して“作ってみた”のよ…でも、こんな私…嫌よね…」

 

コスプレねぇ…私はそういう技術はからっきしでやった事ないけど、完全にノワールに似合っていたよ。しかも、“作ってみた”って事は、一から作ったって事になる。…え?凄くない?どう考えても市販されてもおかしくないレベルだよ?

 

「うーん、“趣味は人それぞれ”ってよく聞くけど、コスプレだってのは意外だったかな。でもね…」

 

悠斗はノワールの前に座り、頭に手を乗せて“ポンポン”と優しく叩く。

 

「こういったのは作るのに相当苦労したんじゃないかな?私には真似できないよ」

 

「でも、要するに私は“オタク”って意味に…」

 

「いいんじゃないかな?かく言う私もゲームオタクだし。まぁ、周りからは“最早廃人レベル”って言われてたけどね。」

 

「悠斗が…廃人レベル…?」

 

「意外でしょ?でもね、こういった風に意外な事もあるんだから、私みたいに堂々としていればいいんじゃないかな?全くもって気にしないから。まぁ、ノワール自身が気にするかもだけどね」

 

「…ぐすっ…」

 

…あれ?泣いてる?何か気に障った事言ったかな…

 

「…どうしたの?何か気に障っちゃった?」

 

「だって…私の趣味を知ったら悠斗に嫌われてしまうかもって思っていたんだもん!!」

 

あー…結構気にしていた感じだね…コスプレしている時のノワールは寧ろ可愛いって思うけどね。

 

「嫌う訳ないでしょ?寧ろ可愛いって思ったよ。でも、女性の前で言うのは恥ずかしい事だけどね?」

 

「っ!?///こんな時に恥ずかしいセリフを言わないで…でも良かった…こんな私を嫌わないで受け入れてくれて…」

 

…よし、“あれ”を使う時が来たね…何せ、“あの状態”になったら着れるかもだし。

 

「それでも、ノワールの趣味に関して何か言ってくる人がいたら、地平線の彼方まで吹っ飛ばすから。…さて、本来の目的があったけど予定変更。ノワール、今から“有り得ないもの”を見る事になるけど、“私は私”だからね」

 

「え…?」

 

悠斗は右手を横に翳し、魔方陣を出現させ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“異性変換”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その合図と同時に魔法陣が悠斗を貫通していき、悠斗の姿が変わる。そして魔方陣が消え、その場所にいたのは――

 

「うーん…この姿になるのは初めてだけど…さしずめ、“櫻井悠華(さくらいゆうか)”って所かな」

 

悠斗と同じ位の身長で、銀髪のロングストレート、服は青と白が象徴となりノースリーブで肩と脇が強調とされ、腰にはマントのような装飾、腕には幅が広くなっていく腕抜きのようなもので、脚には思わず太ももを見てしまうように長いブーツ…つまりは“オーヴァルロード”と呼ばれる衣装を着た“女性”がいた。

 

「え…ええええぇぇぇぇっ!?」

 

「…まぁ、これが普通の反応だろうね。だって男性から女性になるのって有り得ないしね。だから、“私は私”って言ったんだよ」

 

「“私は私”の言葉に重みがあったのはそのせいだったのね…で、悠t…じゃなくて悠華、その本来の目的ってのは何だったの?」

 

「いやね、ゲームで対戦を申し込もうとしたんだけどね、ノワールの姿を見て気が変わったんだ。“もしかしたら、異性変換すれば着れるかも”ってね」

 

「でも悠華、今の身長じゃ…」

 

そう、今の悠華の身長は悠斗の時とほぼ同じで170㎝なのだ。だから、ノワールの作った衣装を着ようとしても、小さくなってしまうのが現実だった。

 

「あ、そっか。身長は悠斗の時と殆ど変わってないし…なら、武器を出していたように、衣装も出しちゃえばいいかな。ノワールも着てみる?色々あるからバリエーション増えるかもよ?」

 

「…いいの?」

 

「勿論。予定変更時はそのつもりだったしね♪」

 

その後、ノワールと悠華のコスプレが始まる。ドレス、メイド服、機械のような服、鎧のような服、和服、別原作とのコラボ服…その多数の衣装にお互いが似合うものがあり、

 

「ねぇ悠華、この衣装くれないかしら?一から作ってみたいしね」

 

「いいよ。でも、他の皆にバレないようにね?フォローできるか解らないし」

 

「勿論、それは解っているわ。もしかしたらまた悠華に頼るかもだけどね」

 

こうして、ノワールと悠斗or悠華の二人きりの時間は過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノワールside

 

私の…私だけの趣味が悠斗にバレてしまった時は本当に怖かった…悠斗が嫌って、離れて行ってしまうのではないかと思って…

 

でも、私の趣味を知った悠斗は好意を持ってくれて…凄く…凄く嬉しかった…それだけでなく、ゲームオタクだって事を私に言ってくれて…でも廃人レベルらしいって事には意外だったけど…

 

 

 

 

 

――意外でしょ?でもね、こういった風に意外な事もあるんだから、私みたいに堂々としていればいいんじゃないかな?全くもって気にしないから。まぁ、ノワール自身が気にするかもだけどね

 

 

 

 

 

やっぱり、悠斗は優しい。私の事も気にかけてくれている…

 

 

 

…ドクンッ…

 

 

 

思えば、胸のドキドキがまた始まっている。悠斗に頭をポンポンってされた時は恥ずかしくて顔を伏せそうになったけど…凄く暖かくて…安心して…

 

 

 

 

 

――嫌う訳ないでしょ?寧ろ、可愛いって思ったよ。でも、女性の前で言うのは恥ずかしい事だけどね?

 

 

 

 

 

この一言が決定打になり、胸のドキドキが最大までになって…止まらなかった。そして、私はやっと…やっと気付いたわ。意外と鈍感だったのね…私…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう。私は、悠斗の事が好きだって――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に今更だった…一昨日にはぐらかさずに“デート”と言うのも、悠斗といると嬉しくなるのも…悠斗に趣味を知られて嫌われたくなかったのも…好きだから。悠斗の事が…好きだから…それでも、後悔なんて全くない。

 

「ネプテューヌ達がどう思ってるかなんて関係ないわ。何せ私は悠斗の事が大好きだから…何時か振り向かせてみせるわ」

 

だから、待っていて。悠斗。でも、出来れば悠華の姿になって欲しくない…そう思う自分がいた――

 

 

ノワールside out




悠斗「今回もアホ作者はいません。それで、ノワールが私への好意に気付いたみたいですね。小説内の私は気付いてないようですが。アホ作者からは、私をこの調子でフラグを建てていくみたいです。無意識ですが頑張ります…」

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