ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

先週に続けて投稿です!

それではどうぞ!



Life.106~謎の襲撃、京の実情~

 

 

 

「余所者め、よくも母上を…。母上を返してもらうぞ!」

 

昴の前に現れた京の妖怪達。その妖怪達の後ろから現れた狐の女の子が怒りに満ちた表情で昴に告げた。

 

「(この子がこの妖怪達を率いているのか? 母上? いったい何の事だ? …恐らく何か行き違いがあるみたいだな…)何の話だが分からないな。俺は――」

 

「問答無用、かかれ!」

 

誤解を解こうとした昴だったが、相手は聞く耳を持たず、号令をかけた。号令と同時に妖怪達が昴に襲い掛かった。

 

「はぁっ!」

 

狐神主の1人が腰に帯びていた剣を抜き、昴目掛けて斬りかかった。

 

「ととっ、…ちっ、話をする気もなしか」

 

その剣をその場で宙返りをしながらかわし、傍の灯篭の上に立った。

 

「(ここで戦ってもいいが、境内を壊しかねない。とりあえず…)こっちだ、付いて来い」

 

灯篭の上から飛んだ昴は傍にある林の中へと移動した。

 

「…」

 

林の中を走る昴。そこへ、烏天狗が文字通りカラスのように飛びながら昴の横へとやってきて、持っていた錫杖を振るった。

 

「…おっと、そろそろいいか」

 

錫杖を上半身を屈ませてかわした同時に距離を取る昴。遅れて宮司服の狐面の妖怪と烏天狗もやってきて、昴を包囲するように囲った。

 

「…鬼ごっこはこれで終わりだ。さぁ、来い」

 

左手を突き出し、構えを取る昴。

 

「おぉっ!」

 

狐神主の1人が剣を上段に構えながら距離を詰め、昴目掛けて振り下ろした。

 

「ぐっ!」

 

振り下ろされた剣を昴は半身になりながらかわし、剣をかわされた事で隙だらけになった狐神主の首筋に肘内を入れた。

 

「おのれ!」

 

「よくも!」

 

続けて狐神主の2人が同時に斬りかかる。

 

「ゴホッ!」

 

ひとしきり2人の斬撃をかわした後、袈裟斬りを掻い潜るの同時に鳩尾部分に掌打を撃ち込む。

 

「がはっ!」

 

もう1人は振り下ろされる直前の剣を持った手首を掴み、捻り上げながら地面に倒し、倒れたのと同時に腹に拳を打ち込んだ。

 

その後も襲い掛かる妖怪達を昴は続きいなしながら妖怪達を制圧していく。

 

「…むぅ! 単独で戦ってはならぬ。各個撃破されるぞ! 数の利を生かして同時にかかるのじゃ!」

 

倒されていく仲間を見て狐の女の子が指示を飛ばす。

 

『ハッ!』

 

指示を聞いた狐神主と烏天狗が動く。烏天狗は頭上から、狐神主は前後左右から一斉攻撃を開始した。

 

『っ!?』

 

同時攻撃を仕掛けた妖怪達だったが、昴は直前に妖怪達に頭上に飛ぶ事で一斉攻撃を同時にかわした。

 

「程よく固まってくれたか。…はぁっ!」

 

飛んだ昴は両手を腰の辺りに構えて氣を練り始め、構えた両手に集め、先程昴が立っていた所へ撃ち込んだ。

 

『ぐわぁっ!!!』

 

妖怪達が固まっていた中心に撃ち込まれた氣弾の爆風によって妖怪達は一斉に吹き飛ばされた。

 

「何だと!?」

 

一斉攻撃がかわされた事に驚く他の妖怪達。

 

「ボーっとしてていいのか?」

 

氣弾を放った直後、周囲に飛んでいた烏天狗の1人目掛けて魔力で足場を創り、それを蹴って距離を詰めた。

 

「がはっ!」

 

烏天狗は昴の拳を避けられず、拳が腹に突き刺さったのと同時に吹き飛ばされ、木に激突してそのままズルズルと地面に落ちていった。

 

「さて、まだ続けるか? 俺としては退くか話を聞いてくれると助かるんだが…」

 

「…っ!? おのれ…!」

 

次々とやられていく妖怪達を見て狐の女の子が悔しがる。その時…。

 

「真打の登場だ!」

 

「お待たせ♪」

 

ゼノヴィアとイリナがこの場にやってきた。

 

「スバルが離れたのと同時に私達を監視していた者の気配が一斉に離れていったので追いかけて来てみれば…」

 

「水臭いわよ、スバル君!」

 

嘆息するゼノヴィアとプンプンとするイリナ。

 

「アーシアと桐生は?」

 

「2人はここより少し離れた安全な所で待たせている。…この者達は京の妖怪達だな?」

 

「あぁ。理由は分からんが、何やら訳アリのようだ。…あまり派手にやるな。出来るだけ怪我を負わせないように戦え」

 

「分かった!」

 

「了解♪」

 

昴の指示にゼノヴィアは先程土産屋で買った木刀を構えながら、イリナは剣を出して構えながら返事をした。3人は互いに背中を守り合うように立った。

 

「むぅ、新手か。…一度退くのじゃ! 退いて態勢を立て直す!」

 

狐の女の子が指示を出すと、昴達を包囲していた妖怪達が倒れていた妖怪達を担いで狐の女の子の傍に集まった。集合が完了すると、烏天狗の1人が錫杖を鳴らして術を発動させ、転移を始めた。

 

「許さぬぞ。絶対に母上を取り戻す!」

 

そう言い残し、妖怪達はその場を去っていった。

 

「撤退したか…」

 

昴がポツリと呟く。妖怪達がその場からいなくなると、3人は臨戦態勢を解いた。

 

「何で妖怪達が私達を襲うのかしら? 私達何もしてないわよね?」

 

疑問を口にするイリナ。京の妖怪達には事前に三大勢力から通達が為されているはず。現に昴達に認証が渡されているので、知らないはずがないのである。

 

「分からない。…が、この京都で俺達が知らない何かが起こっている可能性は否めないな。俺はホテルに戻る。この事をアザゼル先生に報告してくる」

 

「そうだな。私達も――」

 

ゼノヴィア達も一緒に戻ろうとした時、昴が手で制した。

 

「いや、報告だけなら俺1人で充分だ。2人はアーシアと桐生でゆっくりここを観光してから戻ってきてくれ」

 

「で、でも、スバル君1人にそんな、悪いよ」

 

「気にするな。俺は充分見て回れたし、後は女の子同士仲良く、な」

 

1人、報告の為に戻ろうとする昴に躊躇いを覚えたイリナが食い下がるが、昴はそれを制し、手を振りながら1人山を降っていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「…妙な話だ。何故お前達が襲撃を受ける?」

 

一足先にホテルに戻った昴はアザゼルの下へ急ぎ、先程の剣を報告した。報告を受けたアザゼル自身にも見当が付かないらしく、顎に手を当てながら考え込んだ。

 

「確か、今この京都の地は九尾が束ねているんですよね?」

 

「あぁ、そうだ」

 

「なら、この子に見覚えはありますか?」

 

昴はポケットからデジカメを取り出し、操作すると、とある画像をアザゼルに見せた。

 

「俺を襲った妖怪達はこの子が率いていました」

 

見せた画像は先程昴を襲撃した妖怪を束ねていたと思われる狐の女の子の写真だ。戦闘中、昴は隙を見てデジカメを起動させ、写真を撮っていた。

 

「……この娘は恐らく、九尾の御大将の娘だな。確か、九尾には年若い子供いると聞いた事がある」

 

アザゼル自身は面識はなかったようだが、持っている情報からその素性を推理した。

 

「この娘は何か言っていたか?」

 

「……母上を返せ、と」

 

「…」

 

質問に答えると、アザゼルは再び考え込んだ。

 

「言葉通りに解釈するなら、この地を治める九尾が何者かに連れ去られたか、あるいは殺害されたか…」

 

「…断定は出来んが、少なくとも殺害された可能性はない。もし、九尾が殺害されたり、この地から離れれば京都全域の氣が乱れるはずだ。その予兆すら見られないって事は少なくとも九尾の御大将は生きてこの京都にはいるはずだ」

 

昴の推理の後半部分をアザゼルは否定した。

 

「とにかく、情報が足りないこの状況じゃ、いくら考えても推測の域を出ない。とりあえず妖怪サイドに接触をして情報収集と現状確認をする。…ご苦労だったな。後はこっちに任せろ」

 

そう言ってアザゼルはその場を後にした。だが、数歩歩いた所で立ち止まり、再び昴に振り返った。

 

「この事はリアスには話したのか?」

 

「いえ、まだです。情報が不確定なので、余計な心配を与えるのもどうかと思ったので…」

 

「それでいい。今はあいつに余計な苦労はかけさせない方がいいだろう。じゃあな。お前も修学旅行楽しめよ」

 

質問に昴が返すと、アザゼルは再び歩き出し、その場を後にしていった。

 

「…」

 

その場で考え事をする昴。

 

「…物騒な事が起きなければいいんだがな」

 

昴はただ平穏を願ったのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

その後、食事を済ました後、入浴時間となり、大浴場で汗を流した昴はホテルの屋上へと足を運んでいた。

 

「…」

 

既に日が暮れており、外は既に夜の帳である。昴は危険防止のフェンスの隙間から京都の街を眺めていた。

 

「いい街だな。俺の住む街とはまた違った趣がある」

 

京都の街を一望しながら昴はこんな感想を口にした。

 

「……また、何かが起こるのか」

 

一種の予感めいたものを昴は感じ取っていた。

 

「ここにいましたか」

 

そこへ、何者かが現れる。

 

「ロスヴァイセか」

 

現れたのはロスヴァイセ。名前を呼ばれた昴は彼女の方へ振り返った。

 

「稲荷神社で妖怪に襲われたそうですね」

 

「あぁ。相変わらず俺の周りは賑やかで仕方ないよ」

 

肩を竦めながら自嘲気味に答えた。

 

「何やら下が騒がしかったようだが?」

 

「それは松田さんと元浜さんがお風呂を覗こうとして生徒会の方々に取り押さえられていたので、それでしょう」

 

溜息を吐きながら答えるロスヴァイセ。

 

「相変わらず懲りねえ奴等だな。…それで? もしかして俺に何か用か?」

 

「はい。このホテルの近所にある料亭でセラフォルー様が私達をお呼びなので、それを伝えに。他の方々は既にホールで集まっていますよ」

 

「セラフォルー様が…。分かった。すぐに行くよ」

 

話を聞いた昴はすぐにホテルのホールに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

ホテルのホールでグレモリー眷属とアザゼルと合流し、アザゼルの先導でセラフォルーが待つ料亭へと移動した。

 

「ここだ」

 

暫し歩くと、料亭『大楽』に辿り着いた。この料亭にセラフォルーが待っている。アザゼルに促され、昴達は料亭へと足を踏み入れた。

 

「やっほー! 赤龍帝ちゃん、それにリアスちゃんの眷属達もおひさ☆」

 

建物一室に案内されると、そこには髪を結って着物を着たセラフォルーがいた。

 

「よう、お前達も来たか」

 

昴達に話しかけたのは匙。室内には既に他にも巡、由良、花戒、草下のシトリー眷属の者達が来ていた。

 

「よう匙。生徒会メンバーは何かと忙しそうだな」

 

「まあな。先生の手伝いで結局午後はどこにも行けなかったよ」

 

溜息を吐きながら返す匙。やはり生徒会だけに先生にこき使われ、大変なようであった。

 

「ささっ、皆も座って座って♪ ここの料理はどれも絶品だから、遠慮せずに好きなだけ食べていってね♪」

 

セラフォルーに促され、座布団の敷かれた席に座るグレモリー眷属達。

 

『…』

 

目の前に高級な食材達を腕利きの料理人が腕を振るったであろう料理が並んでいるのだが、既に夕食を済ませていたグレモリー眷属達は苦笑いしていた。

 

「おぉ! これは上手い!」

 

「こっちも美味しいわ!」

 

例外として、ゼノヴィアとイリナだけが料理を楽しんでいた。

 

「セラフォルー様はもしかして京都の妖怪達と協力態勢を得る為にここへ?」

 

「さっすが赤龍帝ちゃん☆ そのとおりよ♪」

 

三大勢力の悪魔の魔王の一柱であるセラフォルー・レヴィアタンは主に外交関連を担当している。そのセラフォルーがここにいる事から昴が推理したが、見事に的中した。

 

「この修学旅行に合わせて会談を開く予定だったのだけれど、…それどころじゃなくなっちゃったみたいなのよ」

 

「…やはり、京都の妖怪を束ねる九尾に何かあったのですね?」

 

「そっか。赤龍帝ちゃんは京都の妖怪さんに襲われたのよね。…うん、そのとおりよ。九尾の御大将が先日から行方不明なの」

 

悲し気に話すセラフォルー。

 

「…やはりか」

 

薄々予感をしていた。万が一にも杞憂で終わってくれと思っていた昴だったが、悪い予感が的中してしまった事に軽く怒りを覚えた。

 

「その九尾に手を出したのはやはり、禍の団(カオス・ブリゲード)ですか?」

 

「しかないだろうな。現状、九尾に手を出す奴なんざあいつらくらいだろうな」

 

嘆息しながらアザゼルが答える。

 

「部下達に探りを入れさせてみたら妖怪達の様子がやけに慌ただしかったんでな。そんで調べてみたらビンゴってわけだ。ったく、この修学旅行でクソ忙しい時にやってくれるぜ」

 

忌々しそうな表情で酒を煽るアザゼル。

 

「公に出来る話ではないから、何とか私達だけで事を治めなきゃならないわ。私はこのまま妖怪達と接触、交渉して連携が取れるように取り測るつもりよ」

 

「分かった。俺も動くぞ。どうせ奴らの事だ。ろくでもない事を企んでいるのは間違いないからな」

 

勢力のトップであるセラフォルーとアザゼル自らが指揮を取って動くと宣言する。

 

「では、俺達も動きます。俺達が泊まるサーゼクスホテルを拠点にして、3人1組で――」

 

「いや、お前達はいい。旅行を楽しめ」

 

自らも動こうとした昴。だが、それをアザゼルが制止する。

 

「これは俺達大人の仕事だ。1度しかねえ高校の修学旅行だ。お前達は存分に楽しめ」

 

「ですが、京都を束ねる九尾が攫われたとなれば一大事です。せめて俺だけでも…」

 

自分だけでも食い下がる昴の肩にアザゼルが手を置いた。

 

「これまでお前達はよくやってくれた。前回のロキの一件も、本来なら俺達が何とかしなきゃならん事だった」

 

「…」

 

「もし、お前達の力が必要になったら呼ぶ。だからよ、今は存分に楽しめ。ちったぁ俺達大人を信頼しろよ」

 

「そうそう☆ 赤龍帝ちゃんも、ソーナちゃんとリアスちゃんの眷属達も、いっぱい京都を楽しんできてね♪」

 

「……分かりました」

 

アザゼルとセラフォルーに説得され、渋々昴は了承したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

ホテルに戻り、自室に戻った昴。布団の上で寝転びながら天井を見つめている。

 

「…」

 

考えているのは今、京都で起きている事。

 

「あの御二方にああ言われたが、ただ座して事態を見守るのもな…」

 

京都の妖怪達と協力態勢を築く為には、御大将である九尾の安全の確保は必須。だが、勝手な行動をすれば事態を悪くする可能性もある。

 

 

――許さぬぞ。絶対に母上を取り戻す!

 

 

「…っ」

 

思い起こすのは、昼下がりに自分を襲った妖怪達を率いていた狐の女の子の事だ。あの時、昴に向けられた感情は怒りでも憎しみでもなく、悲しみであった。そして、その瞳には薄っすら涙が込み上げていた。

 

「……やっぱり、このままジッとはしてられないな」

 

立ち上がった昴は着替えを始めた。制服では目立つので、私服に着替える。

 

「誰かに声を掛けるか? …いや、大勢で動けばそれだけ目立つ。何より、止められた手前、巻き込むのも悪いしな」

 

下手に動けば事態を悪くする可能性がある。慎重な行動が求められる為、1人での行動を決めた昴。

 

「とは言え、黙って行動すれば心配かけるし、何より俺を探しに外に行かれても困るから書置きだけはしておくか」

 

持っていたノートを1枚ちぎり、メッセージを残す。九尾の手がかりを探しに行く事。深夜1時、遅くとも2時までには戻る事。もし、それまでに何の連絡もなければ自分を探しに行く前にアザゼルに話を通す事を書き残し、昴は部屋を出た。

 

「…さて、行くか」

 

ホテルの屋上に向かった昴。入り口には誰かしら人がいるだろうし、何より教員に万が一にも見つかると別の意味で面倒なので屋上から外へと出る事に決めた。

 

「まずは、近場の寺から調べるか」

 

京都の地理はある程度頭にある昴。捜索するにあたって、昴は住宅街やビルが並ぶ街等は除外した。目的は現状不透明だが、人気の多い所で目立つ動きはしないだろうと言う昴の考えだ。重要文化財のような建物ならば、夜は人気はほとんどない。根城にするには不都合が少ないだろうと推理した。

 

目的地を決めた昴は危険防止のフェンスの上に立ち、そこからホテルの外に飛び出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「おやおや、こんな夜更けに妖怪に出くわすとはなぁ」

 

「…くっ!」

 

場所は東本願寺の境内。その一角で昼下がりに昴を襲撃した妖怪を束ねていた狐の子が金髪でオールバックの男に拳銃を突きつけられていた。

 

先日、京の妖怪達を束ねる九尾が何者かに連れ去られ、妖怪達はその捜索に躍起になっていた。その娘である九尾の子、九重も、急遽、京の妖怪達の総代の代行を務め、母、八坂捜索の陣頭指揮を執っていた。だが、芳しい情報は得られなかった。一向に情報が掴めない現状に居ても立っても居られなくなり、九重は独断で捜索に乗り出した。

 

その探索中、東本願寺の近くに足を運んだ所、例の金髪オールバックの男に出くわし、その男は九重が妖怪と見るや拳銃を取り出し、九重を襲った。九重は咄嗟に東本願寺の境内に逃げ込んだのだが、行き止まりに追い込まれてしまう。

 

「この世を巣食う悪しき妖怪は即退治しなきゃならないよなぁ? まぁ、こんなガキ1匹退治しても何の手柄にもならねーけどな。暇潰しに遊んでやったけどもう飽きたわ。とりあえず殺すわ」

 

右手に持っていた拳銃の銃口を九重に向けた。

 

「…っ」

 

銃口を向けられ、思わず後ずさるも、背後は壁。これ以上の逃げ場はない。

 

「ホントツイてねえぜ。妖怪狐の誘拐の任務からは外されてクソつまんねー雑用ばかりさせられてよー。せめていい声出して死んでくれよ?」

 

「…っ!? 貴様! 貴様らが母上を攫ったのか!?」

 

男の口から出た妖怪狐の言葉を聞いた九重は思わず尋ねていた。

 

「あん? お前ひょっとしてあの狐のガキか?」

 

「そうじゃ! 母上を何処に連れ去ったのじゃ!」

 

九重は男を睨み付けながら叫んだ。

 

「うるせーガキだな…。妖怪が生意気に家族ごっこですかぁ? 上は何考えてんだが知らねーが、用が済んだら始末するだろうからよ、お前も心配しねーで死んで地獄で会えよ」

 

面倒くさそうな表情で耳を小指でほじりながら男が言う。

 

「貴様! …っ」

 

男の物言いに怒りが頂点に達した九重が1歩踏み出した瞬間、男が拳銃を発砲。1歩踏み出した僅か前を撃った。それを見て九重は怯みながら足を止めた。

 

「この街も、この国も、この世界も俺達人間様のものなんだよ。邪魔な害虫はとっとと死ね」

 

下卑た顔しながら男は銃口を九重の額に向け、引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「物騒だな」

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

銃が発砲された瞬間、咄嗟に身体を庇って目を瞑った九重。恐る恐る目を開けると、目の前には1本の大剣が九重を守るように突き刺さっていた。

 

「大層な言葉を吐いた割に、やってる事はこんな下種な行いか。俺の目には、お前の方が悪しき存在に見えるがな」

 

「誰だてめぇ!」

 

男の右側から聞こえてきた声に反応して拳銃を向け、尋ねる男。現れた男が数歩歩くと、月明かりに照らされ、現れた男の全容が照らし出された。

 

「っ!? お主は!?」

 

その正体に気付いた九重は思わず声を上げた。

 

「また会ったな、狐のお嬢さん。俺は通りすがりの、悪魔だよ」

 

昴が名乗りを上げたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





先週投稿して、ブランクというものを肌で感じたので、ネタがある内に続けて投稿です。とりあえぜ、メインでやってるもう1つのネタが浮かぶまではこっちを投稿しようかなっと思います。

やはり、思ったのは、自分は何作品も抱えて投稿出来る程器用ではないなという事です。複数投稿し続ける人、マジで尊敬出来るわ…(;^ω^)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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