投稿します!
暑い…(;^ω^)
もはや完全に夏日和…。
それではどうぞ!
「木場! スピードで撹乱しながら1匹1匹確実に仕留めろ。足を止めんなよ。狙い撃ちにされるぞ!」
「はい!」
アザゼルから指示を受けた木場は絶えず動き回り、聖魔剣を振るいながら敵を仕留めていく。
「…しつこい敵だな、ならばまとめて……あっ!?」
一向に数が減らない敵に痺れを切らし、敵をまとめて消し飛ばそうとしたゼノヴィアだったが、ここで思い出す。今自身が握っている得物がデュランダルではない事に。
『ゴァッ!!!』
「っ!?」
動きを止めたゼノヴィアに1匹の魔獣の爪が襲い掛かる。不意を突かれたゼノヴィアだったが、慌ててアスカロンで迎撃態勢を取ろうとした、が、その直前に魔獣の首筋に光の槍が突き刺さった。
「バカ野郎! 今おめーの武器はデュランダルじゃねえんだぞ。そうでなくとも一撃必殺に頼り過ぎなんだよ。昴に手解きは受けてんだろ? その成果を今出しやがれ!」
光の槍で援護をしたアザゼルが単調な戦いをするゼノヴィアを叱る。
「…っ! 分かっている!」
少々ムッとした表情をしたゼノヴィアだったが、アスカロンを構えなおし、魔獣に向かって行った。
「おらイリナ! 相手が光を武器にする以上、お前が最前線でキビキビ働け! ミカエルのA(エース)の名が泣いてんぞ!」
「弱点じゃないってだけでダメージは受けるのよ! けど、そこまで言われてしまったらミカエル様のA(エース)の名折れね。行くわ、アーメン!」
アザゼルの喝に気合いを入れ直したイリナは空中から光のフープ上の物を敵に投げつけながら敵に向かって行った。
「九重、アーシアは俺の傍を離れるなよ? 攻撃を一切通さねえつもりではあるが、万が一の事もある」
「うむ!」
「はい!」
アザゼルの背後で待機する九重とアーシアに声を掛ける。
「もし、俺が光の砲撃を迎撃し損ねたらそれを使え、木場の魔剣創造(ソードバース)で創り出した光を吸収する魔剣だ。使い方は分かってんな? それで自身と九重を守れ」
「任せて下さい!」
指示を受けたアーシアは魔剣を胸の前で構えた。
「さて…」
ひとしきり指示を出し終えたアザゼルはとある一角に振り返る。
「互いに本命に振られちまった身だが、どうする、やるか? 魔帝(カオスエッジ)ジーク」
アザゼルの少し離れた位置に立つジークにアザゼルが挑発するように言い放つ。
「…」
当のジークは僅かに苛立つも何も言い返さない。苛立っている理由は無論挑発の言葉ではなく…。
「昴に袖にされたのがそんなに気に触れたか? かつてはあのデュリオに次いで教会で名を馳せた戦士だったお前は決して弱くねえよ。ただ相手が悪すぎた」
「…っ」
その言葉にジークの表情が更に憤る。
「んな事より、来ねえのか? ま、やらねえなら俺はそれでも構わねえがな。だがよ、曹操の側に付いたって事は、いずれは俺みたいなのと戦り合う事も覚悟してたんだろ? その腰に帯びてる魔剣は飾りか?」
「っ!? …良いだろう。堕天使の総督の首を取れば先程の汚名を返上するには充分過ぎるだろうからな」
更なる挑発に歯をきつく食いしばったジークは腰に帯びた魔剣を引き抜いた。
「おーおー、右手のは魔剣最強のグラム。左手のはバルムンクか」
引き抜いた魔剣を見てアザゼルが物珍し気に言う。
「残りのは見た所、ノートゥングにディルヴィングにダインスレイブか。まるで魔剣のバーゲンセールだ。よくもまあそんなに集められたもんだ」
「ご賢察恐れ入るよ」
構えた魔剣だけでなく、未だ腰に帯びている魔剣まで言い当てたアザゼルにお世辞を言うジーク。
「いずれの魔剣も、かつての戦争でその所有者が数多の活躍をした。…さて、お前はどうかな?」
「すぐに分かるさ。その身でな!」
構えを取ったジークがアザゼルに向かって足を踏み出した。
――ドォッ!!!
その時、ここから僅かに離れた位置にて、衝撃音と同時に震動が起こる。
「向こうもおっ始めたみてーだな」
チラリと視線を向けたアザゼル。
「…ふん。如何に赤龍帝でも、曹操には勝てんよ」
鼻を鳴らすジーク。
「さすがにリーダーに据えるだけあって、曹操を買ってるみてーだな」
「…あのような失態を見せた後だけにあまり言いたくないが、曹操は俺とは違う。あいつこそ、真に英雄の名と力を兼ね備えた逸材だ」
「それは、黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)の所有者だからか?」
「それだけであったなら、少なくとも僕や、他の幹部連中は仲間とは認めてもリーダーとしては認めなかっただろうね」
「…ほう」
曹操を評価するジークをアザゼルが含みのある笑みで頷く。
「あいつの魅力はその名の曹操の如き器の大きささ」
「…」
「神器所有者が主の英雄派。人間ばかりが集まる英雄派が禍の団(カオス・ブリゲード)において派閥を担える規模にまでに出来たのは曹操の力によるものが大きい。あいつの言葉で多くの人材があいつの下に集結した」
「…へっ、まさにその名の曹操のように、か」
語るジークに対して皮肉気に笑うアザゼル。
「無論、ロンギヌスを有した強さも健在だ。史実の曹操と違い、自ら最前線で戦えるのもまたあいつの魅力…いや、むしろこっちが真価だな」
「…」
「曹操はまるで本気を出していない。結果は見えている」
「なるほどなるほど、ご丁寧な解説のおかげで曹操がお前らにとってどのような存在か、その一端を垣間見えたぜ」
ニヤリと笑うアザゼル。
「だが、お前は1つ勘違いしている事がある。言っとくが、昴だって全く本気を出しちゃいねーぜ?」
「…なに?」
「よく見てみろ。お前さんの目が節穴じゃなけりゃ、何か気付かねーか?」
「何を――っ!?」
言われて昴の方へ視線を向けたジーク。そして気付いた。
「確かに曹操は本気じゃねーのかもな。禁手(バランス・ブレイク)も使ってねーし、他にも何かあるんだろうからな。けどな、昴は禁手(バランス・ブレイク)どころか、ブーステッド・ギアすら使っちゃいねーぜ」
アザゼルの言う通り、昴はブーステッド・ギアの禁手形態である、ブーステッド・ギア・ライトアーマーを身に纏っていない。それどころか籠手すら発現させていなかった。英雄の器(ブレイブ・ハート)で発現させた武器のみで戦っている。
「……命取りにならなければいいがな」
「お互い様だろ。…お喋りはこの辺にして、そろそろ始めよーぜ? お前さんの口から曹操の事も聞けたし何より、他にも手練れの神器所有者もいる事も分かったしな」
「……喋り過ぎたか。望み通り、始めよう。僕の力と魔剣がどこまで堕天使の総督に通じるか、試させてもらおう!」
啖呵を切ったジークがアザゼルへと向かって行った。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
――ギィン!!!
曹操が振り下ろした聖槍を昴が発現させた十字槍、銀閃の柄で受け止める。
「…ッ!」
聖槍を押し返し、距離を作った昴は銀閃を曹操目掛けて振るう。
――ギィン…ギン…ガギィン…!!!
絶えず曹操に向けて斬撃を繰り出す昴。
「…」
曹操はその繰り出される斬撃を聖槍の柄で防いでいく。
「フッ」
横薙ぎの斬撃を屈んでかわした曹操は昴目掛けて聖槍を突く。その突きを昴は上体を逸らしてかわす。しかし、曹操の攻撃をこれだけで終わらず、すぐさま追撃をかける。
――ビュン…ブン…ビュン…!!!
絶えず突きの連打を見舞う曹操。昴はその全てを身体を振ってかわしていく。
「…っ!」
その突きの回転しながらかわした昴はその回転を利用して曹操に対して横薙ぎを振るう。
「…っと」
これに反応した曹操は後ろに下がって横薙ぎをかわす。そしてすぐさま昴に対して再度突きを入れる。
――ゴッ!!!
同時に昴も突きを繰り出し、両者の槍の穂先が激突する。
「っ!?」
最強の神滅具(ロンギヌス)である曹操の聖槍と、頑強なれどさして能力がない神器、ブレイブハートから発現させた銀閃のぶつかり合い。膂力で勝る昴が聖槍ごと曹操を後方へと弾き飛ばした。
「…っ」
後方に飛ばされながらも曹操は聖槍の先からオーラの砲弾を昴に数発撃ち込む。
「…ふん」
その砲弾を昴は全て銀閃で弾き飛ばす。
――ゴォッ!!!
全ての砲弾を弾き飛ばすと、昴は曹操に向けて赤龍砲を撃ち込む。
「…むっ」
着地と同時に自身に撃ち込まれた赤龍砲。曹操は聖槍を赤龍砲を振り下ろすと、赤龍砲は曹操の目の前で左右に割れた。
――ドォォォォォォォッ!!!
割れた赤龍砲が曹操の遙か後方で爆発した。
「っ!?」
次の瞬間、曹操が昴の姿を見失う。
――ブォン!!!
咄嗟に曹操が上半身を後方に倒す。すると、それまで頭のあった位置に銀閃の穂先が風を切る音と共に通過する。赤龍砲を放つと同時に曹操の背後に移動した昴が銀閃で頭を狙い打ったのだ。
――ドン!!!
「…くっ!」
突きがかわされると同時に昴は曹操に蹴りを振るう。曹操は聖槍の柄でそれを防ぐもその威力に押され、飛ばされてしまう。
「…むっ」
そんな曹操にすぐさま追撃をかけようと距離を詰める昴だったが、曹操が聖槍の穂先を昴に向けると、聖槍が勢いよく伸び、昴に襲い掛かる。
――ドッ!!!
聖槍を銀閃の柄で防ぐ昴。
「…っ」
しかし聖槍が伸びる勢いが凄まじくそのまま後方へと押し戻されてしまう。
――ギィン!!!
昴は聖槍を弾き、そのまま態勢を整える。対して曹操も聖槍をすぐさま元の長さに戻した。
「…やはりだが、以前やり合った時とは別人だ。もっとも、悪魔に転生したのだから別人なのは当然なのだけどな」
「お前のおかげですっかり別人だ」
皮肉る曹操に対し、昴も皮肉を返す。
「その槍、君のもう1つの神器、ブレイブハートの存在は把握していた。…が、まさか槍まで自在に使いこなすとはね」
「武器と名の付く物であれば、俺に扱えない得物はない」
「その言葉、ハッタリではなさそうだ。君の槍捌きは付け焼き刃と呼べるレベルではないからね」
そう言って曹操は聖槍を肩にかける。
「ただ、個人的には、『赤龍帝』としての君の姿も体験させてほしい所なのだが?」
未だ、バランスブレイクどころかブーステッド・ギアすら出していない昴に対して要望する曹操。
「こっちこそ、最強のロンギヌス使いの本領を見せてほしい所なんだがな。バランスブレイク、出来ない訳じゃないんだろ?」
「…さて、どうだろう?」
肩を竦める曹操。
「なら、こっちもお預けだ。その程度なら使うまでもないからな」
「…フフッ、そうか」
槍を回転させて銀閃を突き立てる昴に対し、曹操は笑みを浮かべる。
「余裕かますのは結構だが、さっさと本気を出した方が良いんじゃないか? あのレオナルドとやらの創り出す魔獣にやられる程グレモリー眷属は弱くはないし、何より、あのジークフリートじゃアザゼル先生には勝てねえぞ」
現状、数の上では曹操が属する英雄派の方が優位だが、レオナルドが創り出した魔獣は次々とグレモリー眷属によって数を減らしているし、魔剣使いの手練れのジークも、アザゼルが相手している以上、遅れを取る事はあり得ない。
「確かにね。けど、心配は無用さ。如何にグレモリー眷属と言えど、レオナルドの創り出すアンチモンスターを倒しきるには時間がかかる。一応の護衛も付けているから本体を直接叩く事も出来ないだろうからね」
レオナルドは後方に下がり、英雄派の構成員複数名と複数のアンチモンスターが彼を守るように護衛しており、容易に本体を叩けないように陣取っている。
「それにジークも、如何にアザゼル総督と言えど、2人を護衛しながら戦う相手に容易に倒される程弱くはない」
今しがた戦いを始めたアザゼルとジーク。実力ではアザゼルが遙かに上回っているが、アーシアと九重を守りながら戦っているので追撃をかけられず、ジークもそこを突きながら戦っている。
「ふん。…せっかくだから聞いておくが、お前ら、何を企んでいる?」
目付きを鋭くしながら昴が尋ねる。
「企みなど、そんな大層な事はないよ。ただ『人間』の身でどこまでやれるのか試してみたいだけさ」
「…」
「悪魔、ドラゴン、堕天使その他諸々、この世界は超常の存在が跋扈している。そんな存在を倒すのはいつだって人間だった。人間でなければならない。そうは思わないか?」
「…その超常の存在とやらを全て倒しきった後、お前はどうするつもりだ?」
「さてね。すぐに終わる話でもないし、それはその後にでも考えればいい事だ」
質問に対し、淡々と答える曹操。
「なるほど、『同じ曹操』でもこうも違うか(ボソッ)。大きな資質を持つ者がその資質を壮大で下らない事に使われる程面倒な事はない。やはりお前は危険だ。曹操の名を穢さない為にも、お前を討つ」
押し殺していた殺気を前面に出し、銀閃を構える昴。
「フフッ、心地いい殺気を放ってくれる。思わず足が竦みそうだ。これはもう少し本気で戦う必要がありそうだな」
そう言って聖槍を構えた曹操。
「…」
「…」
それぞれ得物構えて睨み合う両者。その時。
「っ!?」
橋のすぐ傍に魔方陣が突如出現した。
「…新手か?」
グレモリー眷属のものでもない、見た事のない転移魔方陣に新たな敵を警戒する昴。その魔方陣から現れたのは帽子を被った中学生程の小柄な外国の女の子だった。
「お取込みの中失礼します。私はヴァーリチーム所属の魔法使いのルフェイ・ペンドラゴンと言います。以後お見知りおきを」
現れた女の子が箒に乗って昴達の近くまで移動すると自己紹介を始めた。
「ヴァーリチーム? …それにペンドラゴンは確か…」
ここで昴は思い出す。同じヴァーリチームに所属する聖王剣のアーサーの名字が確かペンドラゴンであった事に。
「はい! 以前に兄がお世話になりました」
昂の傍まで移動したルフェイが頭を下げた。
「…そうかあのアーサーの、…それで君はここに何をしに来たんだ? 曹操達英雄派の助太刀に来たのなら、こっちもそれなりの対応をしなければならないのだが…」
「いえ、私はヴァーリ様からの伝言を曹操さんに伝える為に来ただけですので、『スバル様』と事を構えるつもりはありませんよ」
そう言って曹操に声が届く位置まで移動するルフェイ。
「…フッ、その様子ではどうやら、ヴァーリの所へ監視を送った事に気付かれてしまったか」
「その通りです! ヴァーリ様から…コホン! 邪魔だけはするなと言ったはずだ。…と言う事です♪ では、これはお仕置きですよ~」
その言葉と同時にここら一帯を揺るがす程の地震が起こる。
『ゴオオオオオォォォォォッ!!!』
すると大きな雄叫びと同時に優に10メートルを超える岩のような無機物で出来た巨人が現れた。
「とんでもないのが現れたな」
突然現れた巨体に昴が思わず声を漏らす。
「…これは、ゴグマゴクか! 古の神が量産した破壊兵器の、確か全機機能停止して次元の狭間に放置されていたはずだが、まさか動く物があったとは…、実に興味深い」
目の前の巨人を解説しながら両目を光らせるアザゼル。
「…そうか、以前にヴァーリが次元の狭間をうろついていたと言う話を聞いていたが、これを探す為でもあったのか」
過去のヴァーリの足取りからそう結論付ける昴。
ゴグマゴグが曹操の振り返ると拳を振りかぶった。
「…ちっ!」
それを見た昴はすぐさまそこから飛び退く。
――ドォォォォォッ!!!
ゴグマゴグの拳が曹操の立っていた場所へと突き刺さると、一部のアンチモンスターを巻き込みながら渡月橋ごと豪快に破壊された。
「…」
2つに割れた渡月橋。その端に昴が着地した。
「あ、あの!」
すると、昴の傍まで移動してきたルフェイがおずおずと話しかける。
「スバル様。もし、失礼でなければ。…握手していただけないでしょうか!」
「?」
その言葉の真意が分からず、思わず返事に困る昴。
「私、スバル様の大ファンなんです! 以前にスバル様が出演なされたドラマを拝見してからずっと! もしよろしければ、握手、してくれませんか…?」
胸をときめかせながら尋ねるルフェイ。
「…」
その言葉に他意はなく、純粋な気持ちを向けている事が分かった。それを理解した昴は彼女への警戒を解いて彼女の差し出した手を握った。
「やった♪」
念願の握手が叶ったルフェイは顔を赤らめながら喜んだ。
――ドォォォォォッ!!!
その時、再び大きな振動が起こった。視線を向けると、ゴグマゴグが崩れ落ちるように倒されていた。
「あらあら、ゴッ君が…」
慌ててゴグマゴグの方へ向かうルフェイ。
「ま、あの程度でやられる訳がないか」
ゴグマゴグの肩に突き刺さった聖槍を見てそう呟く昂。
「やれやれ、思わぬ邪魔が入ってしまったな」
聖槍を元の長さに戻した曹操が嘆息する。
「無事か!」
昂の下へ、グレモリー眷属達が駆け寄り、ゼノヴィアが問いかける。
「問題ない。そっちも、問題なさそうだな」
「うん。さっきのでアンチモンスターはあらたか片付いてしまったからね」
見た所グレモリー眷属達に目立った怪我はなく、アーシアや九重もアザゼルが守った為、無事であった。
「さて…」
割れた橋を挟んで対峙するグレモリー眷属達と英雄派一行。
『…っ』
グレモリー眷属達が武器を構える。ルフェイ達の姿はもはやなく、再び英雄派との戦いが始まる……と思ったその時。
――ドォォォォォッ!!!
先程とは違う、爆発音が轟いた。
「今度は何だ!?」
思わずゼノヴィアが周囲を見渡す。
「うるさぁぁぁぁぁー-----い!!!」
すると、グレモリー眷属達の後方からゆらゆらとおぼつかない足取りで足を進めるロスヴァイセの姿があった。
「さっきからドッカンドッカン! せっっっっかく気持ちよく眠っていたのに!」
その姿から、未だ酒が抜けていない事を理解するグレモリー眷属達。
『…』
その姿に英雄派の面々も呆気に取られている。
「少しは周りの迷惑も……考えろぉぉぉぉっ!!!」
同時にロスヴァイセの後方から大多数の魔方陣が現れた。
「ありゃ、北欧の攻撃の魔術式…! おめーら、備えろ!」
――ズドドドドォォォォォッ!!!
アザゼルと声と同時に魔方陣から雨のような魔法が降り注ぐ。
『っ!?』
凄まじい程の魔法攻撃。一応はグレモリー眷属達を避け、英雄派達だけに向かっているが、それでもある程度その魔法の余波は襲う。
「…ふむ、もう少し楽しんで行きたかったが…まあいい。あくまでも今日は前夜祭だ。楽しみは本祭まで取っておけばいい」
曹操が呟く。ふと見ると、曹操達に襲い掛かる魔法はいつのまにか現れた1人の青年が操る霧によって全て防がれている。
「……あれが絶霧(ディメンション・ロスト)の使い手か」
その姿を見て確信する昴。
「今日の所はここまでだ。アザゼル総督、そしてグレモリー眷属諸君」
『…っ』
「今夜、二条城にて、京都の特異な力場と九尾の御大将にて盛大な祭りを開催する。興味があるなら是非とも参加してくれ!」
同時に霧がどんどん深くなっていった。
「攻撃を解除しろ! 元の空間に戻るぞ!」
その言葉を聞いてグレモリー眷属達が武装を解除していく。
「待っているよ。御剣昴」
その言葉を最後に曹操達は消えていった。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
一拍開けると、そこはつい先程までの渡月橋の風景が戻っていた。
「祭りだと? あのガキ共、舐めた真似をしやがって…!」
明らかな不快感と怒りを露にするアザゼル。
「母上…母上…!」
未だ攫われしまい再会敵わぬ母親を思って涙を流す九重。
「…」
昴はそんな九重を安心させる為、抱きしめる事しか出来なかった…。
※ ※ ※
「首尾は上々、と言った所か」
場所は変わって英雄派達が身を寄せる京都のアジト。
「あぁ。曹操達が気を逸らしてくれたおかげで大まかな実験の準備は既に完了している。後は夜までに充分間に合う」
声をかけられた霧使いの魔法使いが答える。
「…」
そんな中、1人ジークが機嫌を悪そうにしている。
「フッ、そう気を悪くするな。相手が赤龍帝と堕天使の総督では致し方無い。汚名返上は今夜にでもすればいいだろう?」
「分かっている。…それにしても曹操も人が悪いな。あの場で赤龍帝をやろうと思えばやれただろうに」
顔をプイッと逸らしながらジークが返す。
「それはどうかな? 彼は全く本気ではなかったからね。それはこっちも同じだがそれでも、もし彼が本気になったら、俺でもどうなるか分からない」
「随分と弱気――っ!?」
曹操らしからぬ発言を皮肉ろうとするジークだったが、あるものに気付いてそれをやめる。
「全て捌ききったつもりだったが…」
脇腹を僅かに染める血。先程の昴との戦い、僅かに昴の槍が曹操を捉えていたのだ。
「決戦は今夜だ。勝てるのか?」
「一筋縄では行かないだろう。…だが、問題ない。肝心な所で三味線弾いて手の内を悟らせないようにしていたようが、それでもある程度動きは把握出来た。それに…」
曹操がジークに振り返り…。
「種は蒔いた。それが今夜の戦いで良い芽を生やしてくれる」
そう言って不敵に笑ったのだった…。
※ ※ ※
突如として現れた英雄派のメンバー。
ぶつかり合った昴と曹操だったが勝負は付かず、決着は今夜へと持ち越しとなった。
未だ曹操達英雄派の狙いが見えない昴達。
予告された今夜への決戦に昴達は備えるのだった……。
続く
久しぶりの投稿…、前回は投稿してから1年空いてしまいましたが何とか3ヶ月ちょっとで投稿出来ました…(;^ω^)
それにしてもリアルの都合もあってネタが集められず、メインの二次も執筆が停滞している為、次の投稿がどっちになるのやら…。
感想アドバイスお待ちしております。
それではまた!