ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

本格的に暑くなってきました…(>_<)

それではどうぞ!



Life.116~絶体絶命、打たれる秘策~

 

 

 

――ギィン!!!

 

 

昴対曹操の激突。昴が振り下ろす村雨を曹操が聖槍の柄で受け止める。

 

「…ふっ」

 

曹操は刀を受け止めた後、聖槍の穂先の下を掴み、昴を斬りつける。昴はすぐさま後ろに飛んでかわし、距離を取る。同時に餓狼爪、弓を発現させ、オーラの矢を複数発射する。

 

 

――ギン…ギィン…!!!

 

 

自身に迫るオーラの矢を曹操は聖槍の中心を持って回しながら穂先と石突きでそれを全て弾き飛ばす。

 

「…らぁっ!」

 

上空から昴が曹操目掛けて村雨を振り下ろす。

 

「っと」

 

この一撃を曹操は回転しながらかわし、その回転を利用して昴目掛けて聖槍を振るう。

 

 

――ガギィン!!!

 

 

その横薙ぎをすかさず村雨で受ける昴。同時に左手に龍牙の二又の槍を発現させ、曹操の胸目掛けて突く。曹操はすぐさま後ろに飛び退いてそれをかわし、距離を取った。

 

「…ふぅ。昼とは違い、多種多彩な武器、それも全てが達人級の腕前とは恐れ入る」

 

一息吐きながら昴を褒め称える曹操。

 

「…」

 

何も返さない昴。だが、各地で英雄派のメンバーによる禁手(バランスブレイク)による波動は感じ取っていた。

 

「なかなか爽快だろう? 俺達人間が超常の者と戦うにはこれくらい出来なければ話にならないのでね」

 

そんな昴の様子を感じ取った曹操が笑みを浮かべながら言う。

 

「まるで禁手(バランスブレイク)のバーゲンセールだな。…で、お前は見せてくれないのか?」

 

肩に村雨をかけながらリクエストする昴。

 

「そうだね。…今日は敢えて禁手(バランスブレイク)を縛って戦ってみようかな」

 

薄く微笑みながら告げる曹操。

 

「舐められたものだな」

 

「まぁ、本音を言えば、俺の禁手(バランスブレイク)はまだ未完成でね。とりわけ実戦…それも君相手に披露出来る代物ではないんだ」

 

「…」

 

「それに、禁手(バランスブレイク)は文字通り切り札。使ってしまえばもう後がない。一応、まだ手札は残っているから、それがある内はこのまま戦わせてもらうよ」

 

「好きにすればいい。俺からすれば、出し惜しみして敗れるか、追いつめられて慌てて使って敗れるかの違いでしかないからな」

 

鼻を鳴らす昴。

 

「フフッ、どうかな?」

 

「相変わらず楽しそうだな。…意地でもお前の禁手(バランスブレイク)をみたくなってきたよ!」

 

そう言って村雨を構えた昴は前に出る。

 

 

――ギィン!!!

 

 

振るった村雨を曹操が受け止める。

 

「君もやはりヴァーリと同じで、プライドが高いみたいだね」

 

「ただ単に気に入らねえだけだ」

 

 

――ガギィン!!!

 

 

力一杯村雨を振り切って曹操を後方へと弾き飛ばす。そんな曹操に対し昴は距離を詰め、すぐさま追撃をかける。

 

「二天」

 

得物を双剣に切り替え、曹操に連撃を振るう。

 

「…っ、…っ!」

 

懐に飛び込まれた曹操は、その連撃を聖槍の柄で防ぎながら何とか凌いでいく。

 

「…」

 

幾合が斬り結んだ後、昴は突如として後ろへ下がり、距離を取った。

 

「…むっ」

 

同時に曹操が気付く。自身の周囲を英雄の器(ブレイブ・ハート)の複数の得物が取り囲むように包囲している事に。その得物の切っ先が曹操の方へ向くと、得物の先から赤いオーラが集まり始め…。

 

 

――ゴォォォォォッ!!!

 

 

赤龍砲が曹操目掛けて一斉掃射された。

 

「…ちっ」

 

咄嗟に曹操は上空へと飛び、その砲撃をやり過ごす。

 

「っ!?」

 

次の瞬間、曹操の表情が驚愕に変わる。上空へ飛んだ曹操の上から昴が迫っていたからだ。

 

「ハァッ!」

 

昴が曹操に対して得物を振り下ろす。

 

 

――ガギィン!!!

 

 

その一撃を聖槍で受け止めた曹操だったが…。

 

「…っ!」

 

振り下ろされたのは鈍砕骨と呼ばれる質量、重量共にある金棒であった為、受け止めた曹操はそのまま地面に叩きつけられた。

 

「やるね!」

 

苦笑しながら何とか着地し、地面を滑りながら体勢を整える曹操だったが、既に見上げた場所に昴の姿はなく…。

 

「どうした? 後手だぞ」

 

その姿と声は背後から聞こえてきた。

 

「ちぃっ!」

 

咄嗟に屈む曹操。先程まで頭のあった所を昴の村雨が通過する。村雨をかわした曹操はすぐさまその場から飛び退き、昴に目を向けながら距離を取った。

 

「…っ!」

 

昴が何かをキュルキュルと音を立てながら力一杯引っ張る。

 

「ハッ!?」

 

再び曹操の表情が驚愕に変わる。曹操の背後から鎌…英雄の器(ブレイブ・ハート)の得物の1つである絶が迫っていたのだ。絶は極細のピアノ線のような物で括り付けられていて、そのピアノ線の先は昴の手に繋がっており、それを操作する昴の手によって今まさにその首を刈り取ろうしていた。

 

「…っ!」

 

すぐさま横に飛び退いて絶を回避する曹操。

 

「させるかよ!」

 

再び昴がピアノ線を引っ張る。

 

 

――ズシャッ!!!

 

 

絶は曹操の左腕を引っ掛かるとその左腕を斬り落とした。

 

「…っ、そんな物まで用意していたとはね。随分と用意周到なものだ」

 

「当たり前だろ。相手は最強の神滅具(ロンギヌス)使い、それも相手の腹の中で飛び込んで戦うんだからな。決戦までに可能な限り備えるのは当然だろう?」

 

線を持って絶をグルグルと回しながら昴が言い放つ。

 

「やれやれ、だいぶ動きを理解したつもりだったが、まだ足りないとは。一筋縄では行かないな」

 

そう言って曹操は斬り落とされた左腕を拾うと、懐から小さな小瓶を取り出した。

 

「っ!? それは、フェニックスの涙か!?」

 

その小瓶に見覚えがあった昴は、目を見開いた。それはどんな傷も瞬時に癒してしまう回復アイテムのフェニックスの涙であった。

 

「裏のルートで手に入れてね。金さえ払えばこのような貴重品でも手に入れる事が出来る。我々としてはありがたい限りだ」

 

小瓶の蓋を開けると、傷口に液体を振りかけ、切断させた左腕を切断面にくっつけた。すると左腕は何事もなかったかのように治ってしまった。

 

「…人間でも命惜しさや欲の為に情報や物資を横流しにする奴はいるからな。欲望に忠実な悪魔なら尚の事か」

 

前線で命を懸けて戦う者達への裏切り、冒涜行為に今や同じ悪魔である昴は嫌悪感と怒りを覚えた。

 

「フフッ、先程の余裕の表情がなくなったね。ま、心中は察するけどね」

 

「余計なお世話だ」

 

皮肉を言う曹操を睨み付ける昴。

 

「とは言え、正規のルートでさえ品薄なフェニックスの涙を2つ以上も手に入れられる訳ないだろうから、それで打ち止めだろう?」

 

「ああ、かもしれないね」

 

「なら、もう1回お前を叩きのめせばいいだけだ。…もっとも、次は例えフェニックスの涙があっても使う暇すら与えないけどな」

 

絶を消し、再び村雨を発現させた昴は一振りさせながら告げた。

 

「心地よい殺気を放ってくれるな。思わず背筋の凍ってしまいそうな程に…。けど、残念だ。ここで決着が付いてしまうのだからな」

 

「なに? …っ!?」

 

唐突な曹操の勝利宣言に耳を疑った昴だったが…。

 

「あらあら? 随分と手こずっているのね?」

 

そこへ、傷だらけで意識を失っているイリナを抱えたジャンヌダルクが現れた。

 

「見た所、押されてるみたいだね。如何に曹操でも赤龍帝は手強かったかい?」

 

次に曹操を茶化すような言葉をかけながらジークフリートが現れた。その両腕には同じく傷だらけで意識がない木場とゼノヴィアが抱えられていた。

 

「さすがは赤龍帝だな! 俺もいっちょ戦ってみたかったぜ!」

 

同じく先と同様のロスヴァイセを抱えたヘラクレスが現れた。

 

「…」

 

ジャンヌダルクはイリナをそっと地面に寝かせ、ジークフリートとヘラクレスは木場、ゼノヴィア、ロスヴァイセを地面に放り投げた。

 

『グオォォォォッ!!!』

 

その時、九尾の9本の尾で縛り付けられたヴリトラが苦悶の声を上げた。

 

「残念だけど、ここでフィナーレだ。この先の展開は聡い君になら充分予想出来るだろう?」

 

「…」

 

「君達は強かった。悪魔の中でも相当にね。だけど、今の俺達にはまだ及ばない。悪く思わないでほしい。悪魔や堕天使、ドラゴンと妖怪が手を結んでしまったら人間にとっては脅威でしかない。だから俺達、英雄と呼ばれる者が動き、阻止しなければならない。…ま、それは俺達にとっては目的の1つに過ぎないのだけれどね」

 

「…」

 

「敢えてトドメは刺さない。次の戦いに期待させてもらうよ。…ゲオルク、魔方陣は――」

 

ここで曹操は興味を昴から件の実験へと移した。他の3人も曹操と実験の話を始めていた。

 

「皆さん…!」

 

涙を流しながらアーシアが4人の回復を始める。

 

「母上…! 母上! 目を覚まして下され!!! 母上ぇっ!!!」

 

泣き叫びながら九重が母を呼んでいる。

 

「…曹操――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――俺を、甘くみるな!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ゴォォォォォッ!!!

 

 

怒りの形相と咆哮と共に昴が曹操に向けて赤龍砲を放った。

 

「やれやれ、君は冷静で賢いと思っていたんだけどね…」

 

昴の行動に呆れ半分の曹操が迫り来る赤龍砲に対して聖槍を振り下ろす。赤龍砲は曹操の目の前で2つに割れ、彼方へと飛んでいき、着弾、爆発した。

 

「…っ!」

 

砲撃後、昴は村雨を片手に曹操へと突っ込んでいった。

 

「ハハッ、随分と機嫌が悪そうじゃないか。昼の時は余裕は何処に――」

 

「――邪魔だ」

 

 

――ギィン!!!

 

 

顔色を変えた昴が愉快だったのか、ジークフリートが挑発交じりに飛び掛かった…が、そんなジークフリートに昴は村雨を振り下ろす。。

 

「っ!?」

 

咄嗟に6本の剣を重ねて振り下ろされた村雨を受け止めた。

 

 

――ガギィン!!!

 

 

「…くっ!」

 

だが、そのあまりの一撃の重さに徐々に押され、遂には片膝を地に付けてしまう。受け止めた6本の腕の内、1本でも攻撃に回そうものならたちまち堪えきれずに斬り落とされてしまう為、ジークフリートは身動きが出来ない。

 

「やってくれんじゃねえか!」

 

そんなジークフリートを見かねたヘラクレスが昴に対して拳を振るう。

 

 

――スッ…。

 

 

村雨を払ってジークフリートを弾き飛ばすとヘラクレスの拳を半身に動いてかわし、左手で振りぬいてきた腕を掴み、同時に足払いをかけてヘラクレスを宙に浮かし…。

 

「うぉっ!?」

 

「ぐっ!」

 

先程弾き飛ばしたジークフリートへと投げ飛ばし、ぶつけた。

 

「ちょっとちょっと!?」

 

その様子を見て焦ったジャンヌダルクが昴の足元から聖剣を生やし、自身は昴の上からレイピアを振り下ろした。

 

 

――ガギィィィン!!!

 

 

「っ!? うそ…!」

 

足元の聖剣を村雨を円を描くように振り払う事で全て粉々にし、振り下ろされたレイピアは左手の人差し指と中指と親指の3本の指で掴み取った。

 

「っ!?」

 

ジャンヌダルクに向き直した昴は右手の村雨で斬りつける。

 

 

――ビュン!!!

 

 

「…ちっ」

 

しかし、その直前に曹操の横槍が入り断念。すかさず距離を取った。

 

「あ、ありがとう曹操…」

 

表情を凍り付かせながら礼を言うジャンヌダルク。

 

「たたっ……おいおい、こりゃ、只者じゃねえぞ」

 

「…まさか、禁手(バランスブレイク)形態の僕が全ての腕の剣でも抑えられないなんて…、これが赤龍帝の禁手(バランスブレイク)…!」

 

圧倒的な力を目の当たりにしたジークフリート、軽くあしらわれたヘラクレス、いずれも表情は驚愕に染まっていた。

 

「落ち着け。個々で当たれば各個撃破されるかもしれないが、4人で冷静に戦えば苦戦する相手ではないよ」

 

浮足立つ3人を曹操が落ち着かせる。

 

「3人はそれぞれの隙を補いつつ絶えず仕掛けろ。俺は3人を援護に回る」

 

「分かった」

 

「オッケーよ!」

 

「4人がかりってのは気に入らねえが、仕方ねえか! いいぜ!」

 

曹操から出された指示を3人は了承する。

 

「…」

 

昴は再び曹操達に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「ハァ…ハァ…」

 

4対1の戦いが始まり、最初こそ昴が圧倒しかけたが、曹操の指示で英雄派のメンバーが連携を取り始めると形勢はすぐさま逆転した。

 

「…ちっ」

 

息は上がり、身体から煙や傷が見られる昴。

 

「こうなる事は分かり切っていた事だろう?」

 

昴に対し、曹操は聖槍を肩にかけながら尋ねる。

 

「悪魔でドラゴンの君は俺の槍は絶対に避けなければならない。俺がこの3人の連携攻撃の隙間を埋めつつ3人に出来た隙を埋めてしまえば君は防戦一方だ」

 

「…」

 

「俺の聖槍をかわせば他の3人の攻撃をかわせない。逆に3人の攻撃をかわせば今度は俺の聖槍がかわせなくなる。君程の逸材ならこの展開に気付けそうなものなんだけどね…」

 

呆れから失望に表情が変わりつつある曹操。

 

「手厳しいな曹操。俺からすれば、俺達4人を相手取ってここまでやれる時点で恐ろしい限りなんだけどな」

 

昴に対してヘラクレスはフォローような言葉をかける。

 

「ただ1人で戦う事だけを前提にするならその通りだ。だが、これは小隊同士のぶつかり合い。そして()はその小隊のリーダーだ。それを考えた時、彼がここで取る最善の選択は、仲間を回収して1度撤退し、増援を待ちつつ手当と回復をしながら作戦を練り直して再度突入。これさ」

 

「…」

 

「俺達の計画の一端を聞いたなら、俺達が少なくとも、実験が終わるまでは九尾の狐を殺さない事は推測出来たはず。今言った立て直しを計れば俺達は討てずとも、九尾の狐の救出の可能性は充分にあった」

 

「…」

 

「リアス・グレモリーがいない今、グレモリー眷属の(キング)は君だろう? 君は(キング)失格だ。冷静さを失って機を見失い、あまつさえ仲間の生命さえ危機に陥れる。…いやいや、曲がりなりにも曹操の血を引く俺には理解出来ないよ」

 

次々と非難の言葉を浴びせていく曹操。

 

「……理解出来ないか」

 

自嘲気味に呟く昴。

 

「曹操」

 

「何かな?」

 

「俺が何故こんな無謀な戦いを挑んだと思う?」

 

「何故? 赤龍帝としての意地か? それとも仲間を傷つけられた怒りか目的を達成させる為の使命感か?」

 

考えつく答えを曹操が口に出していく。

 

「意地、怒り、使命感…。そうかそうか」

 

答えを聞いて昴は口角を上げる。

 

「答えは……、自分の目で確かめな」

 

「……なに?」

 

 

――ドォォォォォン!!!

 

 

その時、曹操達の後方…、ゲオルクが立つ、魔方陣が展開されている高台から爆発音が響いた。

 

『っ!?』

 

曹操達は何事かとばかりに高台に視線を向けた。

 

「くっ!」

 

爆煙が舞い上がる高台から表情を歪ませながらゲオルクが飛び出した。

 

「ゲオルク、何が起きた!?」

 

事の詳細を尋ねる曹操。

 

「ハァッ!」

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

そこへ、爆煙から更なる者が飛び出し、ゲオルクを斬りつけた。

 

「木場祐斗だと!?」

 

現れた者を見てジークフリートが目を見開いて驚く。

 

「それ、それ♪」

 

次いで爆煙から現れたイリナがゲオルクに対して光の矢を放った。

 

「嘘!? 何で天使ちゃんが!?」

 

これにジャンヌダルクが続いて驚愕した。

 

「ゼノヴィアさん! デュランダルに目一杯オーラを込めてこの魔方陣に突き立てて下さい! それでこの魔方陣は消し飛びます!」

 

「心得た!」

 

爆煙の中から響くロスヴァイセの指示を受けたゼノヴィアが右手のデュランダルに対し、左手のエクスカリバーを沿えるように上空に2本の剣を掲げると、天高くデュランダルのオーラが放出、大きな柱のように膨れ上がる。同時に高台一帯を隠していた爆煙が吹き飛ぶ。

 

「消し飛べぇぇぇぇっ!!!」

 

空へと跳躍したゼノヴィアは2本の剣をそれぞれ逆手に持ち替え、魔方陣の中心に思い切り突き刺した。

 

 

――ザッバァァァァァ!!!

 

 

突き刺すと、先程の一撃目と同様に周囲一帯を吹き飛ばした。爆煙が晴れると、更地の如く魔方陣ごと消し飛ばしていた。

 

「っ!? 銀髪の姉ちゃん!?」

 

現れたロスヴァイセに驚きを隠せないヘラクレス。

 

「デュランダル使いもか…!」

 

木場に続いて現れたゼノヴィアに表情を歪めるジークフリート。

 

「っ!? 皆さん!」

 

状況が掴めていないアーシアだったが、4人が無事な姿で現れた事に歓喜した。

 

『っ!? 炎が出せるようになった!?』

 

ヴリトラに変化していた匙が声を上げる。

 

『結界がなくなった事で我らの炎を妨げる物がなくなった。これで存分に力が奮えるはずだ!』

 

内のヴリトラから説明が入る。

 

『よっしゃぁっ!!!』

 

希望が見出した事で匙は九尾の尻尾の拘束を振り解き、黒い炎で逆に八坂姫の九尾を拘束した。

 

『抵抗がなくなった! これなら…!』

 

結界消失と共に抵抗もなくなり、匙は悠々と八坂姫を拘束出来たのだった。

 

「どうなってやがるんだ!? 奴らは俺達が戦闘不能に追い込んだはずだろ!?」

 

叫びながら振り返ると、そこには倒れ伏す4人の姿があった。

 

「…(ニヤリ)」

 

ニヤリと昴が笑みを浮かべると、倒れている4人の姿が人型の光へと変わった。

 

『っ!?』

 

それと同時に英雄派の者達の表情が驚愕に染まった。

 

「…そういう事か」

 

同時に曹操は険しい表情で全てを理解した。

 

「そこに倒れているのは俺のもう1つの神器(セイクリッドギア)英雄の器(ブレイブ・ハート)禁手(バランスブレイク)英雄の凱旋(ブレイブ・リターン)を変化させたものだ」

 

昴の持つもう1つの神器(セイクリッドギア)英雄の器(ブレイブ・ハート)禁手(バランスブレイク)英雄の凱旋(ブレイブ・リターン)。前世で昴と深く関わった者の武器、その所有者の姿を似せた光の集合体で呼び出す能力。

 

「1番苦労したのは姿を似せる事だが、それはこれのおかげでどうにかなったよ」

 

すると、左手の籠手から1本の剣が飛び出した。

 

擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)、7本に分かれたエクスカリバーの内の1つ。ゼノヴィアの持つデュランダルの鞘には教会が回収した7本のエクスカリバーの内の6本を鞘の形にして収めた物だ。ゼノヴィアの許可さえあれば俺でも自由に扱える。それで姿を似せたのさ。…もっとも、俺はその手の適性が低いから過去の所有者であるイリナと魔法に長けたロスヴァイセにアドバイスを貰って何とか形に出来た。俺の力じゃそれぞれの持つ得物まで手が回らなかったからそれは木場に姿形を似せた魔剣で代用したんだけどな」

 

「…だが、いつ入れ替わったんだ? そんな隙は――っ、あの時か!?」

 

次の疑問であるいつ本物と偽物が入れ替わったかだ。それを聞き出そうとしたジークフリートだったが、すぐにその答えに行き着いた。

 

「そう。戦いの途中で閃光弾投げたろ? あれが入れ替わる為のタイミングを計ると同時に合図でもあったんだ」

 

閃光弾。それは二条城に来る前に影使いの神器(セイクリッドギア)対策に用意していた物。それと同じ物を4人に持たせていたのだ。

 

「ただの目くらましじゃなかったのね…!」

 

戦いの最中、同じくイリナに閃光弾を使われたジャンヌダルクが頷く

 

「入れ替わった本物は八坂姫の救出に向かってもらい、その間、俺はその時間稼ぎと目くらましの為にお前達4人を引き受ける」

 

魔法や結界類の知識に長けたロスヴァイセがいれば八坂姫を縛る結界を解析出来る。結界を維持しているゲオルクにしても、如何に魔法の知識に長け、神滅具(ロンギヌス)の所有者であっても、4人に奇襲されれば凌ぎ切れるものではない。

 

「なるほど、君は…いや、君達は始めから俺達を倒すのではなく、九尾の狐を救出させる事が目的だったと言う訳か」

 

「最初からそう言ってただろ」

 

曹操の問いに、昴は皮肉気に返す。

 

「…だが、ここからどうするつもりだ? ここはゲオルクによって創り出された疑似空間。逃げ場はない。そして、彼我の実力はこちらが上回っている。結局、九尾の狐を救出した所で状況は何も変わらないぞ?」

 

その曹操の言葉は正しいものであった。昴以外は劣勢を強いられていたし、そもそも、真正面から勝てるのであればこのような策を講じる必要はない。

 

「それはどうかな?」

 

その言葉と同時に木場、ゼノヴィア、イリナ、ロスヴァイセが昴の下へ集まった。

 

「木場はヘラクレスに当たれ。スピードで撹乱しながら手数で圧倒しろ」

 

「分かった!」

 

「ゼノヴィアとイリナはジャンヌダルクだ。ゼノヴィアが前衛で戦い、イリナはゼノヴィアを援護するんだ」

 

「心得た!」

 

「任せて!」

 

「ロスヴァイセはジークフリートだ。ひたすら遠距離から魔法を打ちまくって釘付けにするんだ」

 

「分かりました!」

 

昴の指示を受けた4人はそれぞれ相手を任された者の所へ向かっていった。

 

「匙、悪いがもうひと踏ん張りだ。八坂の姫を守り抜け!」

 

『応! 任せろ!』

 

「さて…」

 

匙に指示を出し終えた昴は改めて振り返る。

 

「これで後顧の憂いはなくなった。第2R開始と行こうじゃねえか」

 

ニヤリと笑いながら曹操に言い放つ昴。

 

「…」

 

曹操はそんな昴に対し、無言で視線を向けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





文字数がかさみ、また長くなりそうなのでここで切ります…(;^ω^)

くどく説明が長くなってしまったので、なかなか話が進まない…(>_<)

夏までにはこの章、終わるかな……。

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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