ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

この章も気が付けば結構投稿しているなと気付いた今日この頃…(;^ω^)

それではどうぞ!



Life.117~決死の覚悟、初代と龍王~

 

 

 

「ハァッ!」

 

木場が聖魔剣でヘラクレスに斬り付ける。

 

「ちぃっ! おらぁ!」

 

その一撃を腕で受け止め、木場に対して拳を振るう。

 

「悪いけど、当たらないよ」

 

しかし、木場はヘラクレスが奮う拳を悉くかわしていく。ヘラクレスの周辺を高速移動しながら木場は戦っている為、ヘラクレスは爆発に自分が巻き込まれる事を恐れて禁手(バランスブレイク)の能力であるミサイルを打てないでいるのだ。

 

「一撃の破壊力は相当だけど、普段、スバル君を相手している僕からすれば、避けやすい事この上ない!」

 

「ハッ! 舐めんなぁ!!!」

 

「っ!?」

 

 

――ドォォォォォン!!!

 

 

その言葉に激昂したヘラクレスは地面に拳を叩きつけて爆発させる。咄嗟に木場は距離を取った。

 

「距離を空けたな!」

 

爆発を避ける為に距離を取った木場に対してしたり顔で照準を合わせ、突起状のミサイルを放った。

 

「ふっ!」

 

迫り来るミサイル。だが、木場は慌てる事無くそのミサイルに対して聖魔剣を投げつける。

 

 

――ドォォォォォン!!!

 

 

ミサイルは聖魔剣が刺さったのと同時に爆発した。

 

「おぉっ!」

 

 

――ギィン!!!

 

 

爆発の中から、再びヘラクレスに対して距離を詰めた木場が斬りかかった。

 

「あなたの神器(セイクリッドギア)の対策は既に出来ている!」

 

「クソッたれがぁ!!!」

 

一向に攻撃が当たらず、目の前で動き回る木場にヘラクレスは怒りを爆発させたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「おぉっ!!!」

 

 

――ドォォォォォン!!!

 

 

デュランダルをジャンヌダルクに対して振り下ろすゼノヴィア。

 

「ちょちょっ! 全く迷いなく来るのね!?」

 

高威力の一撃を繰り出し続けるゼノヴィアに、驚きを隠せないジャンヌダルク。

 

「(大振りで隙が大きいから反撃しようと思えば出来るけど…!)」

 

ひたすらにジャンヌダルクを追いかけ、デュランダルで付け狙うゼノヴィア。当然、隙も大きいのでジャンヌダルク程の実力者なら狙い打てるのだが…。

 

「それ! させないわよ!」

 

それをさせまいと、イリナがゼノヴィアの隙を埋めるように立ち回っていた。

 

「何よ何よ! 息ピッタリじゃないの!?」

 

「当然だ! 私とイリナは悪魔に転生する以前からコンビを組んでいたのだ。これくらい訳ない!」

 

「何かと突っ込みたがるゼノヴィアを、ひたすらフォローして回ったのが懐かしいわ!」

 

抜群のコンビネーションに驚くジャンヌダルク。かつての教会コンビの連携はこれ以上になく嚙み合っており、ジャンヌダルクは防戦一方に追い込まれていた。

 

「…これはちょっと…いえ、かなりまずいかもしれないわね」

 

ゼノヴィアにしろイリナにしろ、どちらか一方ならジャンヌダルクの敵ではない。しかし、2人同時となると、互いの連携の高さも相まってかなり劣勢に追い込まれていた

 

先の余裕の表情は既になく、ジャンヌダルクは必死に2人の対処を始めたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「ハァッ!」

 

 

――ドドドドォォォォォッ!!!

 

 

ひたすらに、ジークフリートに対して魔法の弾幕を張り続けるロスヴァイセ。

 

「…くっ!」

 

ジークフリートは自身に迫り来る魔法の砲撃をかわす、または構えた5本の魔剣と光の剣で撃ち落としていく。

 

「近付けさせませんよ!」

 

何とか距離を詰めようとするジークフリートだったが、ロスヴァイセは息吐く暇を与えない程にひたすら魔法を打ち続けた。

 

「(くそっ! 距離さえ詰められればあんな奴に…!)」

 

接近戦には無類の強さを誇るジークフリートだが、ロスヴァイセの魔法がそれを許さず、ひたすらに防戦に追われる事に怒りを感じるのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「させるかよ!」

 

「…ちっ」

 

八坂姫に迫るゲオルクに対して、匙が黒い炎を伸ばして牽制する。

 

『これ以上、手出しはさせないぜ!』

 

どうにか八坂姫を再拘束しようと試みるゲオルクだったが、匙は必死に八坂姫を守っていた。

 

「ならば…!」

 

埒が明かぬと判断した絶霧(ディメンション・ロスト)で匙を囲いにかかる。

 

『させねえ!』

 

咆哮と共に炎が形を変え、ゲオルクを囲み始めた。

 

「…っ」

 

これを見て霧の操作を中断し、その場を離れた。

 

『惜しい! 後少しで捕まえられたのに!』

 

『いいぞ我が分身。その感覚を忘れるな』

 

自身の力を操る精度が上がった匙に、称賛の言葉をかけるヴリトラ。

 

「…厄介だな。単純に力の権化ならともかく、技に長けたドラゴンと言うのは」

 

龍王の中でも力ではなく、主に捕らえる力に長けているヴリトラに苦戦を強いられるゲオルク。

 

「グレートレッドを確実に呼び寄せる為にも、今一度結界を張り直さなければな」

 

ゲオルクは右手を伸ばし、魔方陣を構築させたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

八坂姫を救出し、再度仕切り直しとなった戦い、昴の指示で対戦相手を入れ替えると、先程とは打って変わり、戦いは拮抗するようになった。

 

「…」

 

その様子を見て取った曹操は、特に表情を変える事無く昴と対峙している。

 

「どうした? 何か言いたげな顔してるみたいだが」

 

そんな曹操の心中を感じ取った昴が、挑発するかのように尋ねる。

 

「…いや、随分と手の込んだ真似をしたものだと思ってね」

 

「気に入らねえか? それとも、まさか卑怯だなんて言わねえよな?」

 

「言わないさ。…ただ、同じ二天龍であるヴァーリだったら、俺達を倒して堂々と九尾の狐を救い出しただろうから、こんな回りくどい真似をするとは予想外だったよ」

 

皮肉交じりに言う曹操。

 

「俺もまさか、この程度の策で救出出来ると思わなかったよ。仮にも曹操なら、もう少し歯応えがあると思ったからな。おかげで次善策に考えていた策が無駄になったよ」

 

同じく皮肉交じりで返す昴。

 

「九尾の狐を救い出した手腕には素直に称賛の言葉を贈ろう。同時に適材適所に戦力を宛がう采配にも。…だが、それで勝った気になっている君には些か失笑を禁じ得ないよ。俺がこの聖槍で君を屠り、その後に他の者も葬ってしまえば結局同じ事だからね」

 

聖槍を肩にかけながら昴に視線を向ける曹操。

 

「ハハッ! 自分の聖槍で何とかするか!」

 

その言葉を聞いて昴は笑い出す。

 

「笑えるような事を言ったつもりはないが?」

 

「あー悪い悪い。随分と曹操らしからぬ勇ましい言葉だと思ってな。いっそ曹操じゃなくて、しゅん…夏候惇って名前に変えたら良いんじゃないか?」

 

ケラケラと笑う昴。

 

「お前が如何に戦術レベルでしかものを考えられないってのが、その言葉で良く分かる。さっきの策にしても、お前の御先祖様の曹操ならあっさり見破っただろうからな」

 

「…」

 

「結局お前は曹操の血と聖槍を受け継いだだけの逸材でしかないって事だ。お前は曹操のような王にはなれない。精々、将どまりだ」

 

「別に俺は王になりたい訳ではない。俺は俺のやり方でかの曹操を超えるだけだ」

 

「無理だな」

 

そんな曹操の言葉をピシャリと否定する。

 

「曹操が何で乱世に覇を唱えたか、分かるか?」

 

「…」

 

「乱れた世を治める為だ。全ては乱を治め、その国に住まう民の安寧を得る為、乱世の奸雄と誹りを受けてまで覇道を歩んだ」

 

「…だが、その曹操も結局はそれを果たせずに死んだ。言わば敗北者だ」

 

「だが、その礎は残した。自身で乱の平定は為せずとも、その基盤だけは、その背中を歩む者達に託してから逝った」

 

真剣な表情で曹操に告げていく。

 

「超常の者をその聖槍でどこまでやれるか。それがお前の行動原理だったな。それをして何になる? それを為した所で何を残せる?」

 

「…」

 

「結局、お前のその野望もお前1人の自尊心を満たすものでしかない。自分の為にしか戦えない者が、かの『曹操』を超えられると思うな」

 

「俺は別に何かを残すつもり等、毛頭ない。君や後世の有象無象が、どのように評価を付けようと興味がない。…もう君とのお喋りも飽きた。まだ実験も終えていないのでね。そろそろ再開させてもらおうか!」

 

そう言って曹操は聖槍を構え、昴に向かっていった。

 

「連れないな。舌戦は戦の花だぞ? 仮にも曹操を名乗ったのなら、曹操らしく言い負かしてほしいものだな!」

 

 

――ギィン!!!

 

 

射程に入った曹操が昴に対して聖槍を振るい、昴はそれを村雨で受け止めた。そこから曹操は聖槍を無数に突き、振るった。

 

 

――ガギィン!!!

 

 

「…っ」

 

自身に襲い掛かる聖槍の1つを選んで、昴は村雨の鞘を引き抜いて鞘口で聖槍を払う。

 

「ふっ!」

 

「…ちっ」

 

1歩踏み込んで村雨を振るう昴。曹操は下がってその斬撃をかわす。

 

「逃がさん」

 

下がった曹操に追撃をかける昴。

 

 

――ビュン…ブォン…!!!

 

 

距離を詰めてくる昴に聖槍を駆使して阻止しようと試みるが、昴は身体を振ってそれをかわし、曹操との距離を詰めていく。

 

「どうした? 動きが雑になってきたぞ」

 

聖槍をかわしながら、昴が挑発するように言い放つ。

 

 

――スッ…。

 

 

横薙ぎする聖槍を屈んでかわした昴は、曹操の眼前に制服のブレザーを投げつける。

 

「何度も飽きずに――っ!?」

 

お構いなしにブレザーごと屈んだ昴に聖槍を振り下ろす曹操。ブレザーは斜めに真っ二つに斬り裂かれたが、そこに昴の姿はなく…。

 

「…っ!」

 

先程、昴のいた場所に突き刺さっている蛇矛を確認して、曹操は咄嗟に顔を上へと上げる。昴はそこにいた。

 

「なかなかの状況判断能力だ」

 

称賛の言葉を贈る昴。昴はブレザーを投げつけるのと同時に蛇矛を発現。その反動を利用して、曹操の真上へと棒高跳びのように移動していたのだ。

 

「ハァッ!」

 

 

――ギィィィン!!!

 

 

上を取った昴は双剣の二天を発現し、左右両方の剣を曹操に振り下ろした。

 

「…っ」

 

咄嗟に聖槍を頭上に掲げた曹操は、振り下ろされる2本の双剣を柄で受け止める。

 

「…らぁっ!」

 

「…ぐっ!」

 

 

――ドォッ!!!

 

 

受け止められても尚、昴は2本の双剣に渾身の力を込める。元来の力に落下の力が加わったその一撃により、後方へと弾かれるように吹っ飛んだ。

 

「(ここだ!)」

 

ここを好機と判断した昴。

 

「(こいつには癖がある。強引に距離を取らされた直後に追撃をかけると……来た!)」

 

曹操は聖槍の先を昴に向けた。

 

「(聖槍を伸ばして迎撃する癖が…!)」

 

 

――ギギギギッ!!!

 

 

迫り来る聖槍。昴は斜めに上体を傾けて聖槍を右肩越しにかわしつつ左手の剣をぶつけ、聖槍を滑らせるように逸らした。

 

「(貰った!)」

 

同時に曹操に飛び込んだ。無防備である曹操の懐に…。

 

時間にすれば一瞬。されど確実に縮まる昴と曹操の距離。懐に飛び込んだ昴は曹操に対して右手の剣が振り下ろされる。

 

「…」

 

これで決着……と、思われたその時!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――曹操の口元が歪む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がっ…! はっ…!」

 

昴が激しく吐血をする。

 

 

――カシャン…。

 

 

同時にだらり両腕が下がり、左右の双剣が手から零れるように地面に落ちた。

 

「やはり君は狙って来たね。君なら狙ってくると思ったよ。俺の癖を見せれば(・・・・・・)…」

 

『スバルさん(君)!!!』

 

昴の脇腹に突き刺さる聖槍を目の当たりにしたアーシア、木場、ゼノヴィア、イリナ、ロスヴァイセが悲鳴のような声で昴の名を叫ぶ。

 

「布石は昼の時に既に打っていた。俺が強制的に下がった時に追撃をかけられると聖槍を伸ばして対応すると言う癖があると見せかけ、君に狙わせる為に…」

 

「…」

 

「何度も見せたと思うが、この聖槍は長く伸ばす事が出来る。だが、それだけじゃない。逆に縮める事も出来るんだ」

 

懐に飛び込んだはずの昴の脇腹に何故聖槍が刺さっているのか。それは、聖槍を逆に従来の長さより短く、穂が手元に来るまでその長さを縮めたからだ。

 

「奥の手と呼ぶ程のものではない、俺の手札の1つだが、充分だったようだね。これで――」

 

終わり……と思われたその時、聖槍を持つ曹操の左手を昴が右手で掴む。

 

「…ああ。これで…、終わり…、捕まえたぜ、曹操…!」

 

口元から血を滴らせながら昴がニヤリと笑う。

 

「っ!?」

 

曹操は目を見開き、驚愕の表情となる。

 

「その聖槍の伸縮については俺も考えた。伸ばすだけでなく、縮める事も出来るなら、俺でも攻撃のバリエーションに組み込むからな。お前にしては不自然に癖を見せてくる(・・・・・・・・・・・)ものだから確信したよ。その聖槍は縮める事も出来るってな」

 

「…っ」

 

「懐に罠を仕掛けて誘い込んで来るって事は、裏を返せば懐に悠々と飛び込めるって事だ。後は聖槍を1発喰らう覚悟さえすれば、お前を捕まえられる…!」

 

「くっ!」

 

慌てて曹操は昴から距離を取ろうとする。

 

「逃がすか!」

 

 

――ドォッ!!!

 

 

昴の左拳が曹操の脇腹に突き刺さる、

 

「がはっ!」

 

同時に曹操の身体がくの字に折れ曲がり、口から血が吐き出した。

 

「…ぐっ!」

 

同じく昴の口からも血が噴き出した。聖槍が腹に刺さったままで無理に動いた代償が現れたのだ。

 

「(ま、だだ…! 後1発、もう1発!)」

 

途切れそうになる意識を強引に繋ぎ止め、右拳を握る。

 

「がっ…ぐっ…はっ!?」

 

脇腹の一撃が効いている曹操は昏倒している。その曹操に握り込んだ右拳を打ち下ろした。

 

 

――ゴッ!!!

 

 

「がっ!」

 

右拳が直撃すると、曹操は地面に何度も叩きつけられながら弾き飛ばされ、瓦礫に直撃した。

 

「曹操!?」

 

これを見たゲオルクが慌てて曹操の下に駆け寄る。他の英雄派の者達も、続いて曹操の下へ向かっていった。

 

「スバル君!」

 

木場を始めとするグレモリー眷属達とイリナも昴の下へ駆け寄った。

 

「…ぐっ」

 

苦悶の表情で片膝を付く昴。懐から小瓶…フェニックスの涙を取り出すと、聖槍を突き刺された箇所へフェニックスの涙を振りかけた。すると、傷がみるみると塞がっていった。

 

「……ふぅ」

 

フェニックスの涙の治癒のおかげで今にも意識が飛びそうな激痛がなくなり、一息吐いた。

 

「無茶し過ぎよ!」

 

無鉄砲な昴に対してイリナが涙目で抗議する。

 

「悪い悪い。…だが、曹操は強い。聖槍で腹に穴を空けるくらいの覚悟がなきゃ勝てない相手だ。…もっとも、フェニックスの涙がなけりゃ、とてもじゃないが出来ねえ覚悟だったけどな」

 

苦笑する昴。

 

「スバルさん、良かった…! 皆さんも…!」

 

アーシアは昴が無事であった事と、他の仲間達が無事であった事を目の当たりにして涙目で安堵する。

 

「ごめんなアーシア、辛い思いさせちまって…」

 

そんなアーシアに謝る昴。

 

一連の作戦だが、昴はアーシアには敢えて事前に教えなかったのだ。教えればアーシアは木場達がやられても毅然とした態度を取っただろう。それを見た曹操に作戦が気付かれてしまう可能性があったからだ。

 

「見事な一撃…いや、二撃だった。これなら――って、おい! まだあまり無理をするな!」

 

木場の肩に手をかけて無理やり立ち上がろうとする昴を制止するゼノヴィア。傷は塞がったとは言え、まだ万全ではない昴は僅かに足元が震えていた。

 

「まだ戦いは終わってねえ。構えを解くな」

 

集結した仲間に忠告し、前を見据えた。

 

「がっ…、ぐっ…!」

 

昴の視線の先、曹操が聖槍を杖代わりにして何とか立ち上がっていた。しかし、その足元はダメージにより定まっていない。

 

「スバルの拳を2発も受けてまだ…! やはり、聖槍が刺さったままでは力を発揮出来なかったか…!」

 

最強の神滅具(ロンギヌス)を持ってはいても、その身体は生身の人間である曹操が、昴の打撃をまともに2発も受けて立ち上がった事に驚くゼノヴィア。

 

「それも理由の1つではあるが、1番の理由は、…あの野郎、あの状況で俺の打撃をいなしやがった」

 

昴は木場の肩から手を放し、自らの足で立つ。

 

「左右のどちらも手応えがなかった。1発目の腹への一撃は直撃と同時に後ろへ飛ぶ事で衝撃を逃がし、打ち下ろしの右は、自ら倒れ込むと同時に直撃の瞬間に首を捻る事で威力のほとんどを逃がしやがった。…抜け目ない奴だ」

 

「ハァ…ハァ…、それでもこの様だ。危うく…死ぬ所だった。咄嗟に対処出来なければ腹に穴が空くか首が飛んでいただろうな。…ゴホッゴホッ!」

 

再び吐血する曹操。

 

「曹操、もう撤退しよう。実験は失敗、これ以上は無意味だ。お前もその様ではもう戦えないだろう」

 

状況を見て撤退を提案するゲオルク。

 

「撤退? 馬鹿を言うな。今更引き下がれる訳がないだろう」

 

しかし、曹操はその提案を拒否する。

 

「だが!」

 

「くどい! ここまで派手にやられたのだ、このままでは済ません。――槍よッ! 神を射抜く真なる聖槍よッ! 我が内に眠る覇王の理想を――」

 

聖槍を構えた曹操は呪文を唱え始めた。

 

「ちょっとちょっと!? まさか禁手(バランスブレイク)じゃなくて覇輝(トゥルース・イデア)を使うつもり!? それはさすがにダメよ!」

 

事態を察したジャンヌダルクが慌てて制止する。

 

「曹操、それはダメだ!」

 

続いてジークフリートも曹操の口と身体を押さえて制止する。

 

騒然とする英雄派の面々。何かをしようと試みる曹操を必死に止めている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なんじゃなんじゃ騒々しいのう…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、この場にいる者達の耳に聞き覚えのない声が響いた。

 

 

――バジッ…バジッ!!!

 

 

空間を震わせる音。

 

『っ!?』

 

その場にいる全ての者が音の鳴る方向へ視線を向ける。それとと同時に空間が裂かれ、空いた裂け目から10数メートル程の細長い東洋風のドラゴンが現れた。

 

「…グレートレッド…ではない。あれは――」

 

『――西海龍童(ミスチバス・ドラゴン)玉龍(ウーロン)か』

 

ドライグが現れたドラゴンの名を呼ぶ。

 

玉龍(ウーロン)…、五大龍王の一角の…」

 

大物が現れた事に驚いた昴だったが、それ以上に気にかかるのは…。

 

「呼ばれて急かされて来てみれば…、久しいの、聖槍のクソ坊主。おイタが過ぎると聞いて仕置きでもくれてやろうと思ったが、随分と派手にやられたみたいじゃねえかい」

 

玉龍(ウーロン)の背中に金色に輝く体毛を蓄えたサングラスをかけ、首には大きな数珠、右手には棍、左手に煙管を持った小さな老人が玉龍(ウーロン)の背中から飛び降りてきた。

 

「闘戦……勝仏…」

 

ある程度、落ち着きを取り戻した曹操が呟く。

 

「(闘戦勝仏?)」

 

その名は西遊記に登場する孫悟空を指す。ヴァーリに付き従う美猴がその末裔だと名乗っていた事から知っていた。

 

「よー頑張ったのう、赤龍帝の。後は儂に任せておきな」

 

警戒する昴に闘戦勝仏と呼ばれた老人が煙管を吹かす。

 

「あなたはもしや、初代の…」

 

「カカッ! そういう事じゃ。アザゼルの奴に頼まれて来てやったぞ」

 

その正体に行き着いた昴が尋ねると、闘戦勝仏……初代孫悟空は笑いながら頷いた。

 

「ジッとしておれ。傷は塞がっとるようじゃが、聖槍の影響で碌に身体が動かせんじゃろう」

 

「…っ、恐れ入ります」

 

初代の言葉通り、昴は聖槍の傷は癒えているが心身共に疲弊しており、戦いが出来る状態ではなかった。

 

『おー、ヴリトラじゃねえか! おめえ復活してたんだな!』

 

玉龍(ウーロン)が八坂姫を守りながら戦っていたヴリトラ化した匙の下へ飛んでいった。

 

『相変わらず喧しい小僧だ』

 

当のヴリトラは鬱陶し気にしていた。

 

「さて、坊主共、……やるか?」

 

煙管を口元から放し、棍をトンと地面に軽く叩きつけながら英雄派の者達へ告げた。

 

『…っ』

 

軽い口調で告げる初代。英雄派の者達は一様に表情を強張らせた。

 

「…」

 

『…』

 

無言で睨み合う初代と英雄派の者達。

 

「…っ」

 

ジークフリートが魔剣を構えて1歩踏み出すと…。

 

「止めておけ、ジーク」

 

そんなジークフリートを曹操が制止した。

 

「赤龍帝でさえ相手に出来なかったお前では、初代は無理だ」

 

「…っ」

 

そう言われ、渋々ジークフリートは魔剣を下ろした。

 

「言ってくれるな…」

 

曹操の言葉にぼやく昴だったが、目の前の初代は自分より遙かに強い存在である事を感じ取っていた。

 

「…曹操、ここが潮時だ。初代まで現れてしまってはもう持ちこたえられない。表のレオナルドもそろそろ限界だろう」

 

ゲオルクが曹操に再度進言する。

 

「……そのようだな」

 

初代が現れた事で頭が冷え、冷静さを取り戻した曹操はその進言を受け入れた。その言葉を聞いたゲオルクが転移ようの魔方陣を創り出した。

 

「御剣昴、俺の負けだ。だが、次はこうは行かない。俺の黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)禁手(バランスブレイク)を完成させ、君を倒そう」

 

徐々に姿を消していく英雄派の者達。その最中、曹操が告げる。

 

「待て! …くっ!」

 

慌てて追いかけようと踏み出した昴だったが、聖槍の影響が抜けていない昴は1歩踏み出した瞬間、その場で膝を付いてしまった。

 

「…まだ、こんな事を続けるつもりか?」

 

「当然だ。蒼天の下、超常の存在を相手に人間のままどこまでやれるか。それこそが俺の目的だからな」

 

「…お前なら、かの曹操のように真に英雄になれたものを」

 

憐みの表情をしながら曹操に言う昴。

 

「興味のない話だな。…フフッ、そんな顔をしてくれるな。聖槍を持つ俺には、そんな生き方しか出来ないのさ」

 

そう言い残し、曹操達、英雄派の者達は姿を消していった。

 

「……くそっ、逃げられたか…!」

 

捕縛はおろか、始末も出来なかった昴は悔しがる。

 

「カカッ! 上出来上出来。聖槍の坊主達相手にお前さんはよーやったわい」

 

悔しがる昴に対して初代は慰めの言葉をかけた。

 

「見てみなよスバル君」

 

昴の下に歩み寄った木場が後方を促す。

 

「君のおかげで僕も、皆もこうして無事だった」

 

振り返ると、そこには各自、傷付いていたり、衣服が破れていたり汚れていたりするものの、グレモリー眷属とイリナ、匙の無事の姿があった。

 

「全て君のおかげだよ」

 

ニコリを笑いかけながら木場が言った。

 

「……ハァ。ま、そういう事にしておくか」

 

多少、納得の行っていない昴だったが、素直に頷いた。

 

「俺達の勝利だ」

 

昴は勝利宣言をしたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

九尾の御大将、八坂姫を救出する為、疑似空間に創り出した二条城にてぶつかったグレモリー眷属+イリナ、匙対英雄派。

 

当初は英雄派に押され、劣勢を強いられた昴達だったが、昴の策により、八坂姫の救出に成功し、その後の昴の指示によって英雄派達と対等に戦えるようになった。

 

その後、昴が決死の覚悟で曹操に大ダメージを与え、直後に現れた初代孫悟空の救援によって形勢は逆転。曹操達は撤退していった。

 

こうして、戦いは、昴達の勝利で、終幕を迎えたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





最近はこっちの二次の筆が進むので、とりあえずはこの章が終わるまではこっちに専念するつもりです。

当初、考えていたプロットとは別のストーリー展開が思い付いたので、そっちに変更するか、それとも当初のプロット通りに進めるか、現在、原作を読み返しながら考え中です…(^_^)/

新たなプロットの方を個人的に進めたいのですが、正直、エタリそうで怖いので踏ん切りが付きません。…さて、どうしたものか…(>_<)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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