ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

最近はこっちの筆が進むなぁ…。

それではどうぞ!



Life.120~学園祭に向けて、盤上のやり取り~

 

 

 

「えーっと確か…」

 

場所は駒王学園。時は授業の合間の休み時間。昴はとある場所へと向かっていた。

 

「あら、昴?」

 

その道中、リアスと出くわした。

 

「部長。奇遇ですね。どちらへ?」

 

「1年生の教室にね。もしかして昴も?」

 

「はい。…どうやら、考えている事は一緒のようですね」

 

向かう場所から目的までリアスと一緒である事を知り、ニコリと笑う昴。

 

「フフッ、そうね。では、一緒に行きましょうか」

 

同様にクスクスと笑うと、昴と並んで一緒に歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

1年生の教室が並ぶ階層へとやってきた昴とリアス。

 

「確か、小猫とギャスパーと同じクラスだったから……ここだな」

 

目的の教室に辿り着いた2人は入り口から教室内を窺った。

 

「…見つけた」

 

昴の視線の先、そこには目当ての人物がいた。

 

「ねえねえ! フェニックスさんはどこから来たの?」

 

「教科書はある? 良ければ貸してあげる!」

 

「やーん。ギャスパー君に続いて2人目の留学性だなんて、ツイてるわ!」

 

女生徒に囲まれる1人の生徒。そう、レイヴェル・フェニックスだ。

 

修学旅行から帰宅した日の事、諸々、お説教をされた後、アザゼルからレイヴェルが駒王学園に転校する話を聞いており、その転校の日が今日だと聞いていたのだ。リアスとソーナに刺激を受け、同様に学びたいとの話。

 

その話を聞いていた昴はレイヴェルの事が気になり、こうして足を運んだのだ。一応、冥界で上級悪魔が通う学校には通っていたと言う話は聞いていたのだが…。

 

「あの…、その…」

 

質問攻めにあっているレイヴェルは戸惑い、返答に困っている様子であった。

 

「うーん、予想通りと言いますか…」

 

「彼女はずっと冥界で暮らしていたのだから仕方ないわね」

 

2人の予想通りの様子に苦笑する。

 

人間と悪魔、それも貴族と平民ともなれば話が合わないのは必然。人間同士でさえ、馴染むのに時間がかかる事があるのだから当然である。転校初日にあっさりクラスに溶け込んでしまったイリナは例外中の例外と言える。

 

「さて、どうしたものか……おっ?」

 

どう助け舟を出そうか考えていた所、2人の姿に気付いたレイヴェル。すると、質問攻めをしていたクラスメイトに会釈をして一言告げ、2人の下へとやってきた。

 

「よう、困ってるみたいだな」

 

軽く手を振りながら昴が声をかける。

 

「その…、転校は初めてで何を話したらいいのか分からなくて…。私、悪魔ですし…」

 

やはり、共通の話題が見つからず、戸惑っているようだ。

 

「なるほど。…けど、別に仲良くしたくないわけじゃないんだろ?」

 

「もちろんです! 私だって貴族以外の方といっぱい話をして、共に生活をして何かを学びたいと思っているんです!」

 

「そうか。それなら、そんな難しく悩む必要はない。肩肘を張らずに言葉を交わせばいい」

 

「うぅ…、そうは言いましても…」

 

言うは易く行うは難しで、レイヴェルは気軽に実践出来ない様子。

 

「いきなりそれは酷な話だと思うわよ。私も同じだったから分かるわ。私だって最初から溶け込めた訳じゃないもの」

 

リアスも同様の経験をしており、その難しさを語る。

 

「だったら、誰かにフォローしてもらうのが得策だな。ギャスパー……は無理だから、小猫にでも――」

 

「――呼びましたか?」

 

小猫にフォローを頼もうと姿を探そうとした昴。既に横まで来ていた小猫が声をかけてきた。

 

「っと、ちょうど良かった。小猫、このままだとレイヴェルがクラスに馴染めなくて苦労しそうなんだ。同じクラスの誼で彼女の事を出来る範囲でフォローしてあげてくれないか?」

 

ちょうどいいとばかりに昴は小猫にレイヴェルの学園生活でのフォローを頼んだ。

 

「…」

 

頼まれた小猫は明らかな不機嫌顔となった。

 

「(うーん、これは完全に嫌がってるな。そういや、アザゼル先生から転校の話を聞かされた時もこんな顔してたな…)」

 

どうしたものかと頭を悩ませる昴。このままだとレイヴェルはクラスに溶け込めず、せっかく駒王学園に転校してきたと言うのに、嫌な思いばかりする事となってしまう。

 

「何とか頼む。引き受けてくれるなら週末に商店街の外れに先月に出来たカフェで話題のスイーツをごちそうするからさ」

 

どうにか引き受けてもらう為、昴はクラスで女子が盛り上がっていた話を思い出し、そっと小猫の耳元で提案した。すると、小猫の耳がピクッと動く。

 

「…それは、2人きりで、って事ですよね?」

 

視線を逸らし、僅かに顔を赤らめながら小猫が尋ねる。

 

「…ん? そのつもりだが、他に一緒に行きたい子がいるならその子も――」

 

「――分かりました。先輩がそこまで言うなら引き受けます」

 

食い気味小猫が昴のお願いを聞き入れた。

 

「…今週末、空けてますから、楽しみにしています」

 

そう告げ、小猫はレイヴェルを誘い、教室の中へと入っていった。

 

「うん、これでレイヴェルも少しずつでも打ち解けていくだろ」

 

ホッと一安心した昴。

 

「……小猫も朱乃も。私はまだ1度も…」

 

リアスの方へ振り返ると、何やら物思い耽っていた。

 

「部長?」

 

「……えっ!? 小猫がいればレイヴェルもきっと大丈夫ね」

 

慌てて誤魔化すように返事をするリアス。

 

「?」

 

何処かその様子に引っ掛かりを覚えた昴。

 

「――」

 

「――」

 

すると、教室内で小猫とレイヴェルが何やら言い合いを始めた様子が目に映った。

 

「やれやれ…」

 

その様子を見て苦笑する昴。だが、険悪なものではない様子ではあったので、昴はこのまま小猫にレイヴェルを任せ、リアスと共に教室を離れていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「さあ、作業を開始してちょうだい!」

 

リアスの号令の下、学園祭の出し物の準備を開始された。

 

昴達が所属するオカルト研究部が学園祭で披露するのは、『オカルトの館』。出し物の話し合いで、結局、意見が纏まらず、リアスの…。

 

『だったらいっその事、全部やりましょう!』

 

この一言により、話し合いで出された意見を全てする事となった。オカルト研究部の部室がある旧校舎はそれなりの広さがあり、空き教室も多数にあるので、それを最大限活用する事としたのだ。

 

以上の事から、オカルト研究部部員が総出で旧校舎を学園祭の為の模様替えが始まった。

 

「さてさて、ジャンジャン進めますかね」

 

そう呟き、昴は持っていたネイルガンで釘をガシャンガシャン打ち付けていく。それなりの広さを誇る旧校舎全体を改装する為、作業はそれなりの時間を要する。魔力を使えばかなりの時間短縮が出来るのだが、出来る限り手作りで準備をしたいとリアスが希望した為、各々が手作業で準備を進めていく。

 

「スバル君、こっちの作業は終わったよ」

 

「おー、了解」

 

傍までやってきた木場の報告を聞いた昴は作業の手を止め、遮光溶接面を外す。

 

「それじゃ、喫茶店で使う椅子とテーブルだな。そこにバラしたパーツを1つずつ束にしてあるから端から組み立ててくれ」

 

「分かったよ」

 

指示を受けた木場は紐で束ねられているパーツを解き、1つ1つ組み上げ始めた。

 

「器用なんだね」

 

「一時、DIYにハマってた時があってな」

 

機材を使って火花を立てながら溶接をする昴。一時期、自宅のインテリアの家具を探していたのだが、なかなか条件に合うものが見つからず、痺れを切らして最終的には自分で作り上げる事にし、その時に様々な道具や工具の使い方を覚えたのだ。

 

「へー。…所で、ディハウザー・ベリアルは知ってるかい?」

 

「あん?」

 

突如、話題を変えた木場。昴は手を止める。

 

「知ってるも何も、レーティングゲームのランク1位、現王者じゃねえかよ」

 

ヘルメットを外し、木場の方へ身体を向ける。

 

「うん。皇帝(エンペラー)、ベリアルと称される、ベリアル家、始まって以来の怪物。長い事、頂点に君臨し続ける本物のゲーム覇者…」

 

「言わずと知れた、英雄と称される悪魔だな」

 

「他にも、ランク2位、ロイガン・ベルフェゴールにランク3位、ビィディゼ・アバドン。5位以上は不動の存在と呼ばれ、20位以上は別次元と呼ばれてる。将来、ゲームで覇者を目指すなら、避けては通れない存在だよ」

 

リアスの大学卒業に合わせてレーティングゲームへの本格参戦が決まっている。各大会を勝ち抜いていけば、その最後の関門として立ちはだかるのが、今挙げた、歴戦の上位ランカー達だ。

 

「せっかくなら、部長がレーティングゲームに殴り込みをかけて、その座を俺達に明け渡すまでその地位を守っていてもらいたいものだな」

 

不敵な笑みを浮かべる昴。

 

「相変わらずだね。…けど君も」

 

「?」

 

「いずれは上級悪魔になって眷属を揃えたら、君が(キング)として戦う事になるかもしれないね」

 

「かもな。…だが、そんなのは先の話だ。今はそんな先の話より…」

 

「うん。目下のサイラオーグさんとの試合だね」

 

ここで話題が目の前まで迫っているサイラオーグとの試合の話になる。

 

「こっちの情報はある程度、掴まれているだろうね」

 

「だろうな。ロキやら英雄派やら…、実戦の機会に恵まれているおかげで、成長と共に経験値の獲得をしているが、こっちの情報がある程度、広がってしまうのがな」

 

数度の激戦を誰1人欠ける事無く潜り抜けてきたグレモリー眷属。貴重な経験を得る事が出来たのは良好だが、詳細な情報も流れてしまっている事も事実。

 

「こっちの情報は、以前に見たグラシャラボラス家との試合映像だけか」

 

過去に、ディオドラ・アスタロトとの試合が決まった際、同時期に行われた、サイラオーグ・バアルとゼファードル・グラシャラボラスのレーティングゲームの試合映像が現状、唯一のグレモリー眷属が持つ情報である。

 

「部長が他にも情報を集めているようだけど、どれもあてになりそうなものはなさそうだと言っていたよ」

 

肩を竦める木場。

 

「あのサイラオーグさんの事だ、試合前に眷属を鍛え上げてくる。少しでも情報が欲しい所だな。…とは言え、他に何も情報がないのが現状だからな。後で部長にその情報を聞いてみるとするか」

 

ゲームのルールさえも分からない今の状況。サイラオーグから提案された過去の提案から、シトリー眷属とのレーティングゲームのようなグレモリー眷属の力を制限させるようなルールは敷かれないだろうが、それでもルール次第で対策も変わる為、少なくとも、相手の情報だけでもある程度、掴んでおきたい。

 

「とりあえず、俺達近接戦闘組は、試合までにこれまで通り、基礎体力向上とテクニックを磨き上げつつ後は、欲を言えば、何か新しい新技みたいなものを1つ覚えたい所だな」

 

「新しい技…」

 

昴のその言葉に木場は顎に手を当てる。

 

「向こうが持っている情報にはない技。向こうの計算を狂わせられれば戦況は大きく変わる。ゼノヴィアはエクス・デュランダルがあるから良いとして…」

 

自分や木場はどうするか…。昴が考えていると…。

 

「その事だけど、僕も同じ事を考えていて、是非、君に協力してもらいたいんだけど、いいかい?」

 

「何か考えがあるんだな? 構わないぜ。俺に出来る事なら何でも付き合うぜ」

 

快く木場の提案を承諾する昴。

 

「助かるよ。…所で、君も最近、何か始めたって部長から聞いたけど、何をしてるんだい?」

 

「ん? ああ…」

 

昴が英雄派との戦いの後から始めた、歴代の赤龍帝達の記憶の集合体の解放の事を説明する。

 

「調子はどうなんだい?」

 

「ぼちぼちだな。確実に言える事は、サイラオーグさんと試合までにはまず終わらない。仮に終わったとしても、何か得られる保証もないから、期待はしないでくれ」

 

眉を顰めながらそう締めくくった。

 

その後も試合の話や鍛錬の話、他にも他愛のない話をしながら作業を続ける2人。

 

「昴君、少しいいかしら?」

 

そこへ、朱乃が困り顔で話しかけて来た。

 

「忙しい所、悪いのだけれど、部長を探してきてもらえないかしら?」

 

「部長?」

 

「ええ。ほら、旧校舎で喫茶店もする事が決まったでしょう? 軽い軽食を出す関係で火器を使うから、その申請書を提出しないといけないのだけれど、申請書にまだ部長の印を押されてないのよ」

 

朱乃が申請書の印を押す箇所を指差しながら説明する。

 

「だったら、印鑑だけ押して提出してしまえば…」

 

「それが、部長ったら、その印鑑を持ち歩いているみたいで…」

 

「ああ、なるほど。そういう事なら俺が部長の所に行ってきますよ」

 

「ごめんなさいね。本当なら私が直接行くのだけれど、私も手が離せなくて…」

 

申し訳なさそうに手を合わせる朱乃。

 

「お気になさらず。それじゃあ、行ってきます」

 

「生徒会室にいると思うから、お願いするわね」

 

その言葉を聞いて後ろ手で手を振り、昴は生徒会室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

「生徒会室はっと…ここだな。そういや、生徒会室に入るのは初めてだな」

 

そんな事を呟きながら昴は生徒会室の扉をノックした。

 

『どうぞ』

 

中から声が聞こえ、昴は扉を開けた。

 

「失礼します」

 

「あら、昴君? 珍しいわね」

 

中へ入ると、そこには生徒会長のソーナと副会長である真羅椿姫が事務作業をしていた。

 

「部長がこちらに窺っていると聞きまして」

 

「リアスを探していたの? ごめんなさいね。ちょうど入れ違いでリアスに用事を頼んでしまったの。すぐに戻ると思うから、ここで待っていてもらっても構わないかしら?」

 

「お邪魔でないなら」

 

「良かった。では、そこでかけて待っていて」

 

ソーナに促され、昴はソファーに腰掛ける。

 

「どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

ソファーに腰掛けると、椿姫がカップに入れた紅茶を出した。

 

「…」

 

紅茶を一口を口にすると、昂は目の前のテーブルの隅にチェスのボードとその上の駒に気付いた。

 

「((キング)、か…)」

 

先程の木場との話を思い出す昴。

 

どれだけ先か分からないが、昇進を果たせばいつか、自分もリアスのように(キング)となるかもしれない。そうなった時、自分はどうするか…。

 

「昴君はチェスはお好きかしら?」

 

(キング)の駒を摘まんで考え事をしていると、ソーナが話しかけて来た。

 

「そうですね。この手の戦略ゲームは割と好きですね」

 

「そう。…だったら。一局、私と対局をお願い出来るかしら」

 

駒をボードに戻して答えると、ソーナが対局を提案してきた。

 

「業務の休憩を兼ねて、椿姫によく相手をしてもらっているの。たまには違う者と相手をしてみたくて。リアスが戻って来るまでどうかしら?」

 

「会長直々のご指名とあらば、断る理由がありません。是非ともお願いします」

 

昴は頭を下げ、2人の対局が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

――パチ…パチ…。

 

 

向かい合うようにソファーに座った昴とソーナ。所定の位置に互いの駒が並べられると、2人の対局が始まった。

 

「最近、調子はどうかしら?」

 

「ぼちぼち、ですかね…」

 

「リアスとはどう?」

 

「心地よい関係を続けさせていただいてます」

 

他愛のない話をしながら対局は続く。

 

「もうすぐ、サイラオーグとのレーティングゲームですね」

 

「ええ。…確かそちらも、シークヴァイラ・アガレス様と試合だとか…」

 

リアスから聞いていた話を思い出す昴。

 

「よくご存じですね。…あなたは私の試合をどう見てますか?」

 

パチっと駒を進めた後に尋ねるソーナ。

 

「そうですね。…ルールが発表されていないので、一概に言えませんが、会長の戦略が十二分に発揮出来る状況なら会長が、眷属の力が存分に発揮出来る状況なら、シークヴァイラ様が有利かと…」

 

過去に、ソーナとのレーティングゲームでやり合った時の記憶と、アガレスとあのディオドラ・アスタロトとのゲームの試合内容を照らし合わせ、昴がそう結論付けた。

 

「手厳しい分析ですね」

 

少々、皮肉を込めて椿姫が言う。

 

「何の根拠もないエールを贈るくらいなら、この方が良いかと思いまして」

 

「フフッ。あなたは私の事をよく分かっているのね」

 

その言葉にクスクスと笑うソーナ。

 

「リアスとのレーティングゲームも、こっちが無念の結果で終わってしまったから、是非ともまたリベンジを果たしたい所だわ」

 

「こっちも満足出来る内容ではなかったので、是非とも改めて試合をしたいですね」

 

「その時は、今度こそ、『本気』のあなたと試合をしてみたいですね」

 

ピタッと、駒を摘まんだ昴の手が止まる。

 

「反省を込めて、あの試合映像を見直したのですけど、あなたにしてはあまりに不自然に私の策にかかっていたのが気になりました。試合の時はあなたの油断だと思いましたが、それからのあなたを見て確信しましたよ」

 

「…っ」

 

そう告げられ、昴はバツが悪そうな顔で頬を掻く。

 

「あなたがそうした理由は何となく察しがつきます。こちらは気にしておりませんから、あなたも気になさらないで下さい」

 

「…そう言ってもらえると助かります」

 

そう返し、昴は持っていた駒を置いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

それからも対局は続いていく。2人は他愛のない話をしながら駒を置いていく。

 

「ソーナ、頼まれた資料を持ってきたわよ。……あら昴。どうかしたの?」

 

リアスが生徒会室に入ってくると、昴の存在に気付き、声を掛ける。

 

「朱乃さんが旧校舎での火器の申請書の印が欲しいと言ってまして」

 

「いけない。そう言えば、提出は今日までだったわね。早くしないといけないわね。…あら、ソーナとチェスをしていたの?」

 

昴とソーナの間に置かれたチェスのボードと駒に気付くリアス。

 

「はい。部長を待っている間にお相手してもらってました」

 

「そう。だったらその対局が終わったら部室に戻りましょう」

 

「あまり朱乃さんを待たせるものではありませんよ。そもそも、部長が戻るまでの対局ですから。…これで終わりです」

 

パチッと持っていた騎士(ナイト)の駒を置き、立ち上がった。

 

「…えっ?」

 

その時、ソーナが驚いた声を上げた。

 

「美味しい紅茶と対局、ありがとうございました。それでは失礼します」

 

「それではごきげんよう、ソーナ」

 

一礼をして一言挨拶すると、昂とソーナは生徒会室を後にしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

昴とリアスが去った生徒会室。

 

「…」

 

ソーナが茫然とチェスのボードを見つめていた。

 

「会長?」

 

そんな様子のソーナに気付いた椿姫が声を掛ける。

 

「(……っ!? これは!?)」

 

ソーナの視線の先にあるボードに視線を向けた椿姫。それを見てとある事に気付く。

 

「(…会長が、詰み(チェックメイト)されてる?)」

 

ボードには、先程の昴の最後の一手で、ソーナの詰み。つまりはソーナが負けているのだ。

 

「(こんな事が…)」

 

過去に椿姫は見た事がない。自身はもちろん、あらゆる相手、それこそチェスの名人とも言える相手と対局している姿を椿姫は幾度となく見て来たが、椿姫の知る限り、ソーナが負けている姿は記憶になかった。

 

「(……彼が戦略知略に長けている事は存じていましたが、まさかここまでとは)」

 

チェスの腕には自信があったソーナ。気分転換の軽い気持ちで挑んだ対局であったが、まさかここまでの腕とは思わなかった。

 

「(始めは私の思惑通りに進んで行った。中盤までは順調だった。…けれど、気が付けば追い込まれていた)」

 

順調に対局が進んでいたと思っていたが、全ては昴の手のひらで踊らされていた事にソーナは終盤に気付かされた。

 

「(彼がここまで…)…っ//」

 

 

――ドクン!!!

 

 

その時、ソーナの心臓が跳ねた。

 

過去にリアスの婚約騒動があったが、それはソーナも例外ではない。だが、ソーナは自身をチェスで負かす事を婚約の条件に出し、ソーナとの婚約に名乗り出た者をことごとく退けて来た。この条件は、半分は断る為の建前であるのだが、半分は本当であった。自身の伴侶となるのならば、教養と知略に優れた者であってほしいと…。

 

昴はその条件を満たし、かつ、実力も十二分に備わっている。容姿も学園及び冥界でも注目を集める程に整っている。

 

「…っ!」

 

自身の両頬をソーナが触れる。触れた手から自身の高揚ぶりが伝わる。

 

「…会長?」

 

「な、なんでもないわ!」

 

その様子に気付いた椿姫が怪訝そうな表情で尋ねると、慌てて取り繕うソーナ。1度、大きく深呼吸をして自らを落ち着かせる。

 

「この私がここまで取り乱されてしまうとは。…これは、リアスに悪い事をしてしまうかもしれないわね」

 

そんな独り言を、ボソリと呟いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

申請書を提出し、部室へと戻る道中…。

 

「私ね、ソーナとはよくチェスをするのよ」

 

「へー」

 

歩きながら昴が相槌を打つ。

 

「けどね、1度も勝った事がないわ」

 

「まー、ソーナ会長は強いですから――イタタっ!!!」

 

同じく相槌を打つ昴の脇腹をリアスが抓る。

 

「ぶ、部長!?」

 

「あなたにも何度か付き合ってもらったわね。…あなた、私と対局する時、手を抜いていたわね」

 

ジト目でリアスが非難する。

 

リアスは生徒会室を後にする直前、2人の間にあるチェスのボードに視線を向けた時、昴がソーナを詰み(チェックメイト)していた事に気付いていたのだ。リアスは昴とも時々、チェスの相手をしているのだが、基本的にはリアスが勝利で終わっている。

 

「だって、部長、負けるとへそ曲げるから…」

 

抓られた脇腹を擦りながら反論する昴。

 

「…もう! …話は変わるけど、昴、この後、付き合ってもらっていいかしら?」

 

「構いませんよ。どちらへ?」

 

「実はね、さっきソーナ経由でサイラオーグの執事から私と昴に個人的にお願いがあると伝言を貰ったのよ」

 

「サイラオーグさんと執事から?」

 

まさかの名前が出て首を傾げる昴。

 

これを受けて、昴は冥界へと向かう事となったのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





最近、めっきりモチベーションが落ちて来たな…(;^ω^)

ネタさえ降りて来れば、モチベーションも上がるんですが、…思えば、2019年の後半から2020年のモチベーションは凄まじかったな…(-_-;)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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