ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

長らくほったらかしで申し訳ありません…(;^ω^)

それではどうぞ!



Life.121~サイラオーグの過去、限界を超えて~

 

 

 

翌日…。

 

昴はリアスと共に、冥界のシトリー領に来ていた。

 

「シトリー領…、始めて来ましたが、話に聞いていた通り、自然豊かで良い所ですね」

 

現在、自然の溢れる林道を、グレモリー家の手配したリムジンが走っており、その後部座席に、昴とリアスは座っていた。

 

「シトリー領は上級悪魔の持つ領土の中でも、特別、自然保護区の所だもの。その美しい景観は冥界の領土の中でも指折りなのよ」

 

リアスが説明していく。

 

「…それと、医療機関が充実している領土の1つ、でもあるわ」

 

表情を改めてそう続けるリアス。

 

「医療…」

 

リアスの表情を見て、昴はリアスが自分をここへと連れて来た理由が込められている事を察する。

 

「今、私達が向かっているのは、冥界でも名だたる医療施設の1つでもある病院なのよ」

 

「…」

 

ここで初めて昴は自分が何処へ向かっているのかを知る。

 

「…っ」

 

どのような目的で自分をそこへ連れて行くのか。尋ねようとした昴だったが、リアスの複雑そうな表情を見てそれを止める。すぐに分かる事でもあるし、昴は既におおよその理由は理解出来ていたからだ。

 

やがてリムジンは、巨大な施設に辿り着き、その建物の送迎用の入り口で停車した。

 

「お待ちしておりました」

 

リムジンの扉が開かれると、1人の中年の執事が2人を出迎えた。

 

「わざわざ御足労いただき、誠にありがとうございます。それでは御案内申し上げます。どうぞ、こちらへ」

 

感謝の言葉を述べるのと同時に執事が歩き出す。

 

「ええ、お願いするわ」

 

リアスがそれに続き、その後を昴も続いた。

 

「昴。今日、あなたをここに連れて来たのは、あなたに会って欲しい方がいるからよ」

 

「俺に…」

 

「私とサイラオーグの関係は知っているわね?」

 

「ええ。確か、従兄関係でしたよね?」

 

「その通りよ。私の母は、バアル家の現当主の腹違いの姉であり、前当主の第2婦人の娘。サイラオーグは、現当主の息子。あなたに会って欲しいのは、サイラオーグのお母様。私にとっておばに当たる方よ」

 

「サイラオーグさんの母君様に…」

 

リアスから改めて昴に説明がなされる。

 

「名はミスラ・バアル。元七十二柱、ウァプラ家出身の上級悪魔出身の一族であり、獅子を司る偉大な名家よ」

 

「獅子、ですか…」

 

リアスから説明を受けている内に、目的の一室へと辿り着いた。

 

「こちらでございます。どうぞ、お入りくださいませ」

 

部屋の入り口を開いた執事に促され、個室へと2人は足を踏み入れる。個室にはベッドが備わっており、そこには、1人の女性が呼吸器とその他の医療器具に繋がれ、眠るように横たわっていた。

 

「この方がミスラ・バアル様、サイラオーグ様の御母君でございます」

 

執事はリアスから受け取った花束をベッドの傍に置いておる花瓶に生けると、昴の方へと振り返る。

 

「今日、お二方をお呼びしたのは他でもありません。どうか、お二方に…、ミスラ様を目覚めさせる為に御力添えをして頂けないでしょうか?」

 

執事は目に涙を浮かべながら2人に懇願した。

 

「…事情を窺ってもよろしいですか?」

 

「私から説明するわ」

 

ここでリアスが入り、詳しい事情を語り始めた。目の前で眠る、ミスラとサイラオーグの生い立ちの話を…。

 

バアル家の次期当主として生を受けたサイラオーグ。当初は世継ぎが生まれた事に大いに喜んだが、それもすぐになくなった。サイラオーグは、バアル家の象徴とも言える滅びの力を持っていないばかりか、魔力すら無いに等しかったからだ。その為、サイラオーグはすぐに欠陥品の烙印を押され、母親であるミスラも蔑まれ、迫害を受けるようになった。その後、ミスラは幼いサイラオーグを連れてバアル家の辺境へと移り住む事となった。しかし、そこでの生活も決して楽なものでなく、むしろ、辛いものであった。上級貴族の出であるミスラにとって、田舎暮らしは辛いものであり、何よりサイラオーグは、魔力を碌に持たなかった事で、そこでも同世代の中級、下級悪魔から迫害を受ける事となったからだ。

 

「当時、その噂を聞いた母がおば様とサイラオーグをグレモリー領に保護しようとしたのだけれど…」

 

「断られたんですね」

 

昴のこの言葉に、リアスは悲し気に頷いた。

 

バアル家は魔王を除けば、家柄的にはトップの上級悪魔。バアル家の象徴である滅びを色濃く受け継いだサーゼクスの存在を面白く思わなかった事と、プライドが高く、何より周囲の目を気にする。その為、バアル家はサイラオーグを家の外に出す事は出来なかった。

 

「ミスラ様は、泣いてお帰りなられたサイラオーグ様に強くおっしゃっておりました。『例え滅びの力が無くとも、別の何かを見つけ、磨き上げて補いなさい! どんなに屈辱に塗れようと、諦めてはなりません! 誰が何と言おうと、あなたはバアル家の子。諦めなければ、いつか必ず勝てるから。だから強くなりなさい』っと…。ミスラ様はそう言い聞かせておりました。…ですが、裏では何度も涙を流しながら謝罪をしておりました。滅びの力を持たさずに産んでごめんなさいと…。横で眠り付くサイラオーグ様に、ミスラ様は何度も…!」

 

涙ながら執事が語った。

 

「…」

 

昴はその事実を噛みしめた。

 

「(これが、サイラオーグさんの過去。サイラオーグさんの強さの源。恐らく、サイラオーグさんは知っていたんだろう。母君が自分に詫びていた事を…)」

 

その後、その言葉、その事実を噛みしめたサイラオーグは己を鍛え上げ、自身を虐げる者達に立ち向かうようになった。徐々に力を付け、下級…そして、中級悪魔にも勝てるようになっていった。そんな時、ミスラの身体に異変が起こった。深い眠りに落ち、目を覚まさないばかりか、徐々に体を衰弱させ、ゆくゆくは死に至らしめる病を患ってしまったのだ。八方手を尽くしたが、今でも治療の目途が付かず眠りに付いたまま。それでも尚、サイラオーグは突き進み、遂に、バアル家の次期当主候補だった弟を降し、バアル家次期当主の座を掴み取った。

 

「今日、お2人をお呼びしたのは他でもございません。ミスラ様を病を治療する御助力を乞う為でございます。以前、セラフォルー様がお越しになられた折にお聞きしました。赤龍帝殿は、特殊な医術を以てセラフォルー様の旧友をお救いになられたとか。是非ともその医術で、ミスラ様をお救い頂きたく…!」

 

執事はハンカチで涙を拭いながら昴に懇願した。

 

「医術…、確か、カッシュ様の所へ訪問した時の事ね」

 

昴は以前、かつて、旧四大魔王の相談役であり、今では現四大魔王の相談役をしているカッシュ・マルバスの下へと訪問した際、特殊な蛇を身の内に入れ、暴走した蛇によって生命の危機に瀕したカテレアを救う為に特殊な医術を使った。前世でとある医者から教わった五斗米道を…。

 

「どう? あなたの医術でおば様の病を治す事は出来るかしら?」

 

人間(・・)が患う病であれば、余程手遅れだったり、末期の状態でさえなければ、治す事は可能ではありますが…」

 

「…」

 

「悪魔にしか患わない、悪魔特有のものとなると、試してみないとどうにも…」

 

昴はそう結論を出した。

 

「やれるだけの事はやってみます」

 

そう言って、昴はミスラの眠るベッドの傍へと近付いた。

 

「…」

 

昴はミスラの身体に視線を向け、氣の流れを確認、身体を蝕む病の源を探す。

 

「(脳…、喉…、肺…)」

 

目を凝らし、僅かな氣の歪みも見逃さないよう、頭の先から下へと、じっくり患部を確認する。

 

「(………ここか!)」

 

丹念に、隅々まで全身を確認した結果、心臓部に僅かな氣の乱れを発見した。

 

「(間違いない。心臓部に極小の乱れがある。病と呼ぶにはあまりに小さい…それでいて、強固。これまで見た事がない…)」

 

通常、病の源は、大きな病であればある程、命を脅かす病であればある程、氣の乱れを引き起こす源は分かりやすいのだが、ミスラの身体の病は、極小サイズにまで圧縮された病の源が氣の流れを乱しており、一見すると凄く分かり辛かった。

 

「(患部が分かれば後は…)…縫い針サイズの頑丈な鍼を用意して下さい。それがあれば――」

 

「かしこまりました! 大至急、用意致します!」

 

返事をすると、執事はその場を飛び出し、昴の要求する小さな針を探しに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「こちらを。治療用の鍼ではございませんが、堅いドラゴンの皮や鱗を縫い合わせるのに使う縫い針でございます」

 

10分後、部屋を飛び出した執事が白い布を開くと、中から1本の縫い針が現れた。

 

「…」

 

昴はその縫い針を取り、確認する。

 

「……確かに、頑丈…みたいですね。…では、禁手化(バランス・ブレイク)

 

Welsh(ウェルシュ) Dragon(ドラゴン) Balance(バランス) Breaker(ブレイカー)!!!!!!!』

 

昴は禁手化をし、軽鎧を纏った。

 

「始めます。皆さん、俺から離れて下さい」

 

そう警告し、自身の周囲からヒトを遠ざけると、右手の人差し指と親指で針を眼前と持つ。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!」

 

指で掴んだ針に目一杯を氣を流し込むと…。

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)…!!!!!!!!』

 

さらにそれを何度も倍化させた。

 

「…っ!」

 

ありったけ針に氣を流し込み倍化させた後、昴は右拳を握り、中指と薬指の隙間から針を出すと、右拳を引くように構える。

 

「おぉぉぉぉーーーっ!!!」

 

咆哮を上げながら昴は氣の歪みと感知した心臓部に針を打ち込んだ。

 

 

――カァァァァァァァァァァッ!!!

 

 

針が打ち込まれるのと同時に周囲一帯を覆いつく程の眩い光が放たれるのと同時に衝撃波が発生し、部屋全体を揺るがした。

 

「きゃっ!」

 

あまりの光と衝撃に、リアスが思わず腕で自身を守るように構えながら悲鳴を上げる。

 

「(後少し…、後少しで病の源に…!)」

 

心臓部へと針を押し込んでいく昴。患部に針を打ち込み、身体に異常を与えている病を滅し、氣の流れを整える事が出来れば、ミスラの病気は治り、目を覚ます。…はずである。

 

「(…後、少し…、力を込め――)っ!?」

 

 

――キィン!!!

 

 

甲高い音と共に昴は後方へと弾かれてしまう。

 

「どうなったの!? おば様は!?」

 

リアスが昴の下へ駆け寄り、心配そうな表情で尋ねる。

 

「…失敗です」

 

悔しそうな表情で昴が答える。

 

「もう1度トライします。…すぅ…はぁ…」

 

大きく深呼吸をした後、再度針を構え…。

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)…!!!!!!!!』

 

針に氣を込めると、その氣をありったけ倍化させた。

 

「おぉぉぉぉーーーっ!!!」

 

 

――カァァァァァァァァァァッ!!!

 

 

咆哮と共に心臓部に針を打ち込んだ。

 

 

――キィン!!!

 

 

「…ぐっ!」

 

結果は先程と同じ、弾かれてしまった。

 

「くそっ! もう1回…!」

 

それでも諦めず、再度針に氣を込めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「ハァ…ハァ…!」

 

大きく息を乱している昴。それから3度挑戦したが、結果は変わらず、針を患部に打ち込む事は叶わなかった。

 

「…っ」

 

呼吸を整え、再度構える昴。

 

「もう止めなさい。これで5度目よ。これ以上、限界を超えた倍化を行えばあなたがもたないわ」

 

悲痛な表情でリアスが昴を制止する。

 

限界を超えた倍化は身体にかなりの負担をかける。それを既に4度も行っている為、昴の身体は既に限界に近いはず…。

 

「そのお心だけで充分でございます。本日は、わざわざ御足労いただき、ありがとうございました」

 

同じく昴の姿を見かねた執事が悲痛の表情で制止した。

 

残念な気持ちはあるが、目に見えて身体に大きな負担をかけている昴を目の当たりにし、これ以上、頼む事は出来なかった。

 

「…っ!」

 

昴はリアスの肩に手を置き、目の前からどかすと、再度、ミスラの前に立った。

 

「止めなさい! これ以上はあなたが…!」

 

「…後1度だけ。どのみち、残りの体力を考えても、それが限界でしょうから」

 

制止をするリアスを無視する昴。

 

「でも…!」

 

「この医術を授けてくれた医者との約束なんです」

 

昴は、前世にて、五斗米道の秘術を授けてくれたとある医者の事を思い出す。

 

『医術は万能ではない。これから先、どれだけ医術や薬学が発展しようと、手の施しようのない患者は現れる。五斗米道(ゴッド・ヴェイドー)を授ける条件として、これだけは約束してくれ。例え、患者を助けられなかったとしても、目の前の患者に僅かでも助けられる可能性があるのなら、決して諦めないでくれ』

 

「ミスラさんは助けられる可能性があるなら、俺は決して諦めるような真似はしない」

 

真剣な表情で言う昴。

 

「…っ、昴」

 

その言葉に、リアスは何も言えなくなってしまう。

 

「絶対、この方は助ける。助けて見せる! はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!」

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)…!!!!!!!!』

 

再び昴が針に氣を込め、最大限倍化させる。

 

「(同じ事を繰り返しても同じ結果にしかならない。氣を最大限倍化させている以上、別の方法で補うしかない。…だったら!)」

 

 

――コォォォォ…。

 

 

昴は針に込めた氣を、針の先から回転させるように纏わせた。これにより、ただ氣を込めるよりも貫通力が増す事が出来る。

 

「(後は…)ミスラさんを上半身を起こして下さい」

 

「何をするの?」

 

「横たわっている状態では打ち込む際に力を込め辛いんです。身体を起こしてもらえれば、力を込めやすくなります」

 

「分かったわ。…良いわね?」

 

昴の提案に頷いたリアスは、執事に確認をする。

 

「もちろんでございます。ミスラ様が助かるのならば…!」

 

執事の回答を聞いたリアスはミスラの下へ寄り、肩をそっと抱えてミスラの上半身を起こした。

 

「ありがとうございます。後は後ろからミスラ様を支えていて下さい」

 

「分かったわ!」

 

言われるがまま、リアスはミスラを後ろから支えた。

 

「(条件は揃った。後は!)」

 

昴は右足を引き、左手を前に出し針を持った右手を構える。

 

「(俺の北辰流とあいつの五斗米道を組み合わせた最後の賭け…。頼む、俺に力を貸してくれ!)」

 

昴は右手を引き、重心を後ろ脚にかける。

 

「龍牙旋迅突!!!」

 

 

――ドォォォォォッ!!!

 

 

ミスラに飛び込み、全身のバネを遺憾なく使い、針を打ち込む際に右腕を内側に捩じり込みながら針を打ち込んだ。

 

 

――ググググッ…!!!

 

 

氣の回転や、推進力を得た事で先の4回より針は患部に突き進んでいた。

 

「(絞り出せ! 頭の先からつま先まで全ての力を! それでも足りなきゃ、限界を超えろ!!!)…おぉぉぉぉーーーっ!!!」

 

全身の力を1滴残らず絞り出す為に、部屋中を響き渡る程に雄叫びを上げる昴。

 

 

――カァァァァァァァァァァ!!!

 

 

次の瞬間、先の4回より一際眩い程の光が部屋中を包み込む。

 

 

――ドォッ!!!

 

 

同時に衝撃波がミスラを中心に広がるように発生し、部屋を揺るがし、周囲の物を吹き飛ばし、窓ガラスに亀裂が走り、1部割れる。やがて少しずつ光と衝撃波が止み、部屋に静寂が戻る。

 

「……どうなったの?」

 

ミスラの身体を支えていたリアスが目を開け、恐る恐る尋ねる。

 

「…病魔退散。成功です」

 

昴はミスラの身体から病の源が消えている事を確認し、答える。

 

「っ!? 成功…したのね。良かった…」

 

返事を聞いたリアスは歓喜の表情と共に薄っすら涙を浮かべ、ミスラをベッドに寝かせた。

 

 

――パキィン!!!

 

 

同時に、昴の持っていた針が粉々に砕け散った。

 

「何度も無茶をさせてすまなかった。おかげで助かった。…ありがとな」

 

砕け散り、その粒子となった針に礼を言う昴。

 

Burst(バースト)

 

音声と共に赤龍帝の軽鎧(ブーステッド・ギア・ライトアーマー)がパージされる。

 

「…っ」

 

次の瞬間、昴は糸の切れた人形のように崩れ落ちる。

 

「昴!」

 

慌てて昴に駆け寄るリアス。

 

 

――ガシッ!

 

 

その瞬間、昴の腕を何者かが掴み、転倒を防いだ。

 

「…」

 

疲労と消耗で全身の力が入らない中、昴が薄っすら目を開け、自身の腕を掴んだ者に視線を向ける。

 

「サイラオーグ…!」

 

思わず口ずさむリアス。その正体はサイラオーグであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「なるほど。やけに膨大なオーラを感じたから来てみれば、そういう事だったか」

 

大まかな事情を聞いたサイラオーグ。そこへ、休んでいた昴がやってきた。

 

「もう大丈夫なのか?」

 

「はい。体力を消耗しただけなので、少し休めば歩くくらいは…」

 

苦笑する昴。そこへ、執事がやってきた。

 

「母上の容体は?」

 

「…依然として、目は覚まされないのですが…」

 

一瞬、何かを言い淀むような表情をしたが…。

 

「これまでの容体が嘘のように安定しておいでです。引き続き、経過観察は必要ですが、今後は生命維持装置を外しても問題ないとの事です」

 

「…っ、そうか…!」

 

容体を聞き、サイラオーグは一瞬、歓喜の表情をする。

 

「リアス。そして御剣昴。母上を救ってくれた事、感謝する。この恩は必ず返させてもらう」

 

そう言って、サイラオーグは2人に頭を下げた。

 

「頭を上げて下さい。俺は当然の事をしたまでです。恩義を感じてくれたのなら、次のレーティングゲーム、あなたと、あなたの眷属達の全力を見せて下さい。それで充分です」

 

「…っ、そうか! ならば、先のレーティングゲームまでに俺共々鍛え上げ、全力でお前達に応えよう」

 

サイラオーグはニヤリと笑った。

 

「リアス。やはりお前達は面白い。レーティングゲーム、楽しみにしているぞ」

 

「ええ、私もよ。必ずあなたに勝ってみせるわ」

 

サイラオーグとリアスは互いに告げたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

帰りのリムジンにて…。

 

「昴、こっちへいらっしゃい」

 

後部座席に向かい合って座っていた2人。リアスが昴を手招きする。

 

「何でしょう?」

 

呼ばれるがまま、昴はリアスの横に座る。

 

「ここに頭を乗せなさい」

 

自身の太腿をトントンと叩きながらリアスが誘う。

 

「到着までまだ時間があるわ。それまでゆっくり休みなさい」

 

「ですが…」

 

「残念だけど、これは命令よ。大人しく従いなさい」

 

遠慮する昴に対し、リアスは意地悪そうな笑みを浮かべながら命令する。

 

「…そう言う事ならば」

 

昴はフッと笑みを浮かべると、リアスの太腿に頭を乗せ、横になった。

 

「今日は本当によくやってくれたわ。本当にありがとう、昴」

 

そう言って、昴の髪を撫でるリアス。

 

「…」

 

昴は疲労から、あっという間に睡眠状態に入ってしまい、返事をする事はなかった。

 

「…あなたは、どんな苦難にも立ち向かって、誰が相手でも、全力で向かい合って、…けど、あなたは決して私に…いえ、私達に心の奥底を決して見せてはくれない…」

 

リアスは、昴の事を知っているようで何も知らない。昴は、全力で相手と向かい合う反面、相手の奥底までは踏み込まず、逆に、自分には踏み込ませず、一定の距離を保っている。

 

「いつかきっと、あなたの事、話してくれるって思っていた。私も、無理に聞き出すつもりはなかった。…けど、やっぱり――」

 

リアスは悲し気な表情で呟き、再び昴の髪を撫でたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





1年と2ヶ月ぶりの投稿です。…申し訳ありません…(;^ω^)

もう1つの二次が完結の目途が付きそうだったので、完全にこっちは放置していました。待ってくれていた方、おりましたら重ね重ね申し訳ありません…m(_ _)m

年内に間に合って良かった…(>_<)

と言う訳で、2023年、最後の投稿となります。もう1つの二次の完結。そして、この二次の投稿で締められ、これで今年も思い残す事はありません。残り1日、駆け抜けるとしますかね…(^-^)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!


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