ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

気が付けばもう10月。もう2024年も残り2ヶ月を切ったのか…。

それではどうぞ!



Life.127~ミドルゲーム、覚悟~

 

 

 

リアス・グレモリーチーム対サイラオーグ・バアルチームによるレーティングゲーム第1戦。

 

先陣を切った昴に相対するのは、騎士(ナイト)、ベルーガ・フールカスと、僧侶(ビショップ)、コリアナ・アンドレアルフス。

 

両者の息の合った戦いぶりに翻弄されるも、昴は早々にコリアナを撃破(テイク)し、その後もフールカスを圧倒。

 

最後、フールカスの執念に手こずるも、何とか撃破(テイク)、グレモリーチームが初戦を勝利で飾ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

『注目の初戦! グレモリーチームが勝利を飾りました! さあ、続く試合、いったいどうなるのでしょうか!』

 

会場を大いに盛り上げる実況。昴が自陣へと戻ってきた。

 

「お疲れ様です、スバルさん!」

 

駆け寄ったアーシアが昴を労う。

 

「…」

 

しかし、昴はその言葉に何か返す事無く席に座る。

 

「…スバルさん?」

 

そんな昴を怪訝そうな表情で見つめるアーシア。

 

「お疲れ、完勝したのに、随分と不満そうだね」

 

昴の横に座った木場が声を掛ける。

 

「…舐めてたつもりはなかった。ブーステッド・ギア無しでも勝てると踏んでいたんだけどな」

 

嘆息する昴。

 

「それだけ相手は、今日のレーティングゲームに向けて鍛え上げてきたって事だね」

 

昴をフォローする言葉をかける木場。

 

「確かに、過去の試合映像時より遙かに伸びていた。だが、それは想定の範囲内だった。俺も戦いながら修正した」

 

『…』

 

「何より脅威だったのはこの試合に懸ける執念だ。例え、死ぬ事になっても勝つと言う確固たる意志を感じた。まるで、かつて、レーティングゲームで戦った匙のように…」

 

『…』

 

「今更言うまでもない事だが、改めて気を引き締め直す必要があるぞ。向こうは、劣勢な状況であっても、それこそ、実力の差さえもその執念でひっくり返してくる。確実に勝敗が決するまで、油断は禁物だ」

 

「昴の言う通り。あのサイラオーグが選び、今日まで鍛え上げてきたチームよ。絶対に気を抜いてはダメよ」

 

『はい!!!』

 

『続いて第2戦! 両(キング)の選手、台の前へお願いします!』

 

実況に促されると、リアスが立ち上がり、ダイスのある台座の前へ移動し、ダイスを振った。同様にサイラオーグもダイスを振った。出た目はリアスが4で、サイラオーグが6で、合計は10。

 

『おおっと! 1戦目に続き、2戦目も大きな数字だ! 両陣営、再び複数の出せる数字となりました! それでは、再び作戦タイムとなります!』

 

そう実況されると、両陣地が結界に包まれた。

 

「…」

 

リアスが皆の前に戻って来ると、胸の前で腕を組み、思考する。

 

出た目は10。大きな数字である為、複数の組み合わせが出来る。

 

「……決めたわ。ロスヴァイセ、サポートに小猫。この2人で行くわ」

 

暫し思考した後、リアスはグレモリー陣営の戦車(ルーク)2人を指名した。

 

「分かりました」

 

「…了解」

 

指名された2人は頷き、魔方陣へと移動する。

 

「蹴散らしてこい」

 

横を通り過ぎる2人に、昴は握った拳を突き出しながら鼓舞した。

 

「もちろんです」

 

ロスヴァイセはニコリとしながらその拳に自身の拳をコツンと当てる。

 

「行ってきます」

 

小猫も同様に拳を突き合わせていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

ロスヴァイセ、小猫が魔方陣の上に立ち、転送されるとそこは、薄暗い神殿の内部のような所だった。

 

「「…っ」」

 

2人と対峙するように同時に現れたのは、軽鎧に剣を携えた金髪の優男と、全長3メートル相当の巨人であった。

 

「俺はサイラオーグ様の騎士(ナイト)が1人、リーバン・クロセル」

 

優男の方が先に名乗りを上げる。

 

「こちらのデカいのは生憎と無口なんでね、代わりに俺から紹介させてもらう。戦車(ルーク)のガンドマ・バラムだ。俺達2人が相手する」

 

もう一方の巨人の紹介も代わりにリーバン・クロセルが行った。

 

「クロセル…、確か、断絶した元七十二柱でしたね」

 

ロスヴァイセが事前に得ていた情報を口にする。

 

「ガンドマ・バラム。見た目の通り、怪力で頑丈な典型的な戦車(ルーク)…」

 

続いてもう一方の情報を口にする。

 

『それでは第2試合、開始して下さい!』

 

審判(アービター)が合図を出し、戦いが始まった。

 

『出し惜しみはしません。初手から本気で行きます』

 

そう小猫が呟き、全身に闘氣を纏わせると、頭部に猫耳が現れ、同時に尻尾が生え、それが2つに分かれた。

 

特訓の末に身に付けた、猫又モードレベル2。仙術に全身に闘氣を纏い、身体能力を向上させる小猫の新技である。

 

「…行きます」

 

小猫が巨人のバラムの方へと突っ込んで行く。

 

 

――スッ…。

 

 

その小猫目掛けて、バラムが拳を打ち込む。小猫はその拳をジャンプでかわし、バラムの腕に足を付くのと同時に顔面目掛けて加速し、拳を打ち込んだ。

 

 

――ゴッ!!!

 

 

撃ち込んだ拳がバラムの顔面に突き刺さる。

 

「ぬん!」

 

だが、当のバラムは意にも返さず、すぐさま振り払うように小猫目掛けて腕を払った。

 

「小猫さん!」

 

「(…コクリ)」

 

ロスヴァイセが声を掛けると、小猫は頷き、宙返りをしながらバラムが払った腕をかわし、同時にバラムから距離を取った。

 

「食らいなさい!」

 

その声と同時にロスヴァイセの周囲に複数の魔方陣が現れ、そこから炎、雷、氷、風あらゆる属性を帯びた魔法砲撃が行われ、バラムに襲い掛かった。砲撃は漏れなくバラムに直撃、砲撃による煙幕が晴れるとそこには…。

 

「…やはり、ほとんど効いていませんか。聞きしに勝る頑丈さ、先の戦いの時と言い、嫌になりますね」

 

自慢の魔術を受け、平然としているバラムを目の当たりにし、京都でのヘラクレスを思い出し、苦笑するロスヴァイセ。

 

 

――ズゥゥゥッ…!!!

 

 

「っ!?」

 

その時、ロスヴァイセの周囲が震動の発生と同時にブレだすと、ロスヴァイセは全身に圧力がかかったかのように身体が重くなり、身動きが取れなくなってしまった。

 

「隙ありだ」

 

声がした方向には、双眸を光らせるクロセルの姿があった。

 

「…くっ、これは…重力の能力…!」

 

全身にかかる重力。倒れ込むまいと耐えるロスヴァイセ。

 

「…っ」

 

自身の足元に魔方陣を何とか展開させようとするロスヴァイセ。

 

「そうはさせないぞ」

 

クロセルが手を翳し、魔方陣を展開させると、ロスヴァイセの足元が凍り付いてしまう。

 

「…っ、そう言えば、あなたは魔法剣士でもありましたね」

 

「ああ。俺は人間、魔法使いの血も宿す混血でね。ついでに言えば、魔法だけじゃなく、剣術もそれなりに嗜んでいる。もう1つ、この重力は神器(セイクリッドギア)魔眼の生む枷(グラビティ・ジェイル)!」

 

 

『ロスヴァイセ! その神器(セイクリッドギア)は視界を媒介にした能力。視界を外させない限り、能力は続くわよ!』

 

リアスがイヤホンマイク越しに指示を出す。

 

 

「…ええ、当然、心得ていますよ…!」

 

重力の圧に耐えながらロスヴァイセが必死に手を翳し、魔方陣を展開させると、周囲を眩い光で照らし始めた。

 

「残念だが、お見通しだ!」

 

クロセルが待ってましたとばかりに大きな鏡を展開し、その光を跳ね返す。

 

「自分の能力の事が自分が1番良く知っている。当然、対策はしている」

 

してやったりと口元を綻ばせるクロセル。

 

「…でしょうね。そして、それはこちらも同じです」

 

ニヤリとさせるロスヴァイセ。クロセルが発現させた鏡が光を跳ね返すと…。

 

「っ!?」

 

突如、先程までロスヴァイセがいた所にバラムがおり、バラムがクロセルの重力に掴まっていた。ロスヴァイセは、クロセルが光を跳ね返して来る事も織り込み済みで、それを逆手に取ったのだ。

 

「小猫さん!」

 

「あの大きな人のオーラと内部は乱しました。もう魔法に対して防御は出来ません」

 

「さすがです。…ではこれでトドメです。フルバースト、今度こそ食らいなさい!」

 

先程のを遙かに超える数の魔方陣が現れ、そこからあらゆる属性を帯びた魔法が攻撃が弾幕のように放たれた。

 

 

――ドドドォォォォォォォォッ!!!

 

 

魔法の嵐がクロセルとバラムを絶え間なく襲いかかる。

 

「命中です」

 

攻撃を止めると、ロスヴァイセがポツリと呟く。

 

「これで――」

 

 

『まだよ!!!』

 

2人が勝利を確信したその時、2人のイヤホンマイクからリアスの声が轟いた。

 

 

「「っ!?」」

 

煙幕が晴れると、そこに倒れていたのはクロセルのみ。

 

「…っ!」

 

リタイヤ目前のクロセルであったが、顔を上げると、双眸を光らせ、ロスヴァイセと小猫を重力で動きを止める。

 

「ぬぅぅぅぅぅん!」

 

同時に全身血だらけの満身創痍のバラムが現れ、小猫に向けてその拳を振り下ろした。

 

「…ただでは…やら…れん。せめて一矢――」

 

そこでクロセルは力尽き、倒れ込んだ。

 

「っ!?」

 

クロセルが倒れた事で重力から解放された小猫だったが、もはや避ける事は出来なかった。

 

「(先輩から言われていたのに…、ごめんなさい…)」

 

昴から忠告されながら最後に油断をして失態を犯した事を後悔する小猫。

 

 

――ドォン!!!

 

 

バラムの拳が突き刺さる。

 

「……?」

 

自身に何の異変がない事に違和感を覚え、恐る恐る目を開ける小猫。

 

「っ!?」

 

両目を空けて状況把握を努めた小猫。そこに飛び込んで来た光景を見て思わず両目を見開いてしまう。

 

「…どう…して…」

 

声にもならない声で何とか言葉を紡ぎ出す。小猫の視線の先、そこには、先程まで自分が立っていた(・・・・・・・・・・・・)場所にロスヴァイセがいた。それはつまり、小猫が受けるはずだったバラムの死力を振り絞った最後の一撃をロスヴァイセが受けた言う事に他ならない。

 

「ご無事で…何より…です」

 

横たわるロスヴァイセに駆け寄る小猫。重症ながら、小猫の無事を確認し、笑顔を作る。

 

ロスヴァイセは、小猫よりも早く、完全にリタイヤに至っていない2人に気付き、咄嗟に自分と小猫の位置を入れ替えたのだ。

 

「…っ」

 

ロスヴァイセがリタイヤの光に包まれ始め、その表情を曇らせる。

 

「「…」」

 

同時に、クロセル、バラムもリタイヤの光に包まれていく。

 

「どうして…、どうしてですか!? どうして私を…!?」

 

思わず小猫はロスヴァイセを責める口調で問いかける。

 

後の展開的な意味でも、戦力的な意味でも残るべきは自分ではなく、ロスヴァイセであるべきだと思っている小猫は尋ねずにいられなかった。

 

「咄嗟に身体が…動いてしまいました。…きっと、スバル君も私と同じ事を……いえ、彼ならそもそも、こんな事態に…なりませんか…」

 

頭に浮かんだ1人の男を思い浮かべ、その後、自嘲気味にロスヴァイセは笑う。

 

「後は……頼みます。…私の…分まで――」

 

最後まで言い終える前に、ロスヴァイセは転送の光に包まれ、消えていった…。

 

『サイラオーグ・バアル選手の騎士(ナイト)戦車(ルーク)各1名、リアス・グレモリーチームの戦車(ルーク)1名、リタイヤです』

 

審判(アービター)がそう告げ、第2試合が終わりを告げる。

 

サイラオーグチームの選手を2名、撃破(テイク)したリアスチーム。しかし、同時にロスヴァイセを失ったのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

戦いが終わり、自陣へと戻ってきた小猫。その表情は暗い。

 

「ごめんなさい」

 

皆の前に立った小猫は頭を下げ、謝った。

 

「あれだけ先輩に忠告されてたのに、私のせいで――っ」

 

涙を浮かべる小猫。そんな小猫に昴が歩み寄り、頭に手を乗せた。

 

「後悔するのは後だ。今は、その怒りも、悲しみも、…ロスヴァイセの無念も、全てその拳に込めて、戦え」

 

「…っ、はい!」

 

昴の言葉に、小猫は袖で涙を拭い、応えた。

 

 

すぐに3度目のダイスが振られ、出た目は8。

 

「8か。ならば、そろそろ私が行かせてもらおうか」

 

ここでゼノヴィアが名乗りを上げる。

 

「そうね、ここはゼノヴィアに任せるわ」

 

リアスはこの提案に応じた。

 

「もう1人は――」

 

「僕が行きます!」

 

ダイスの数字から、もう1人出す事も可能な為、リアスは木場に視線を向け、提案しようとしたその時、ギャスパーが手を上げ、名乗りを上げる。

 

「僕に行かせて下さい。そろそろ中盤(ミドルゲーム)ですから、何が起こるか分かりませんし、何より祐斗先輩は終盤まで温存すべきだと思います。だから僕が…!」

 

必死に手を上げながらリアスに提案するギャスパー。

 

「…」

 

リアスは思考する。確かに、ギャスパーの言う事は一理ある。だが…。

 

「…っ」

 

名乗りを上げているものの、身体が小刻みに震えているのが手に取るように理解出来る。必死に恐怖を押し殺しているのだ。元来、ギャスパーは極度の臆病。だいぶ克服しつつあるが、生来の気質は簡単に変えられるものではない。そんなギャスパーを出していいものか…。

 

「ギャスパー」

 

迷っているリアス。すると昴がギャスパーの前に立つ。

 

「やれるんだな?」

 

そう言って、昴はギャスパーに目線を合わせ、尋ねる。

 

「は、はい! もちろんです!」

 

目線を昴から逸らす事無く、ギャスパーは応えた。

 

「…」

 

「…っ」

 

暫しの間、無言で見つめ合った後…。

 

「……よし、なら行って来い」

 

ギャスパーの覚悟を見定めた昴がニコリと笑い、Goサインを出した。

 

「ちょっと昴、あなた勝手に――」

 

「行かせてあげましょう。あのギャスパーがこうやって勇気を振り絞った戦おうとしているんですから。…それに、ギャスパーの言ってる事ももっともだ」

 

「……分かったわ。ここまで来たなら、裕斗は後半まで控えさせておく方が良いし、何より、ゼノヴィアと組ませるならサポートに長けるギャスパーの方が合いそうだもの」

 

再び思考した後、リアスは頷いた。

 

「決まりだ。では、行って来る」

 

話が決まると、ゼノヴィアは転移魔方陣の方へと向かう。

 

「ゼノヴィア」

 

そんなゼノヴィアを昴が呼び止めると…。

 

「分かっている。油断はしない。出し惜しみもしない。全身全霊で戦うのみだ」

 

ゼノヴィアは充分な気合いを見せながら答える。

 

「ギャスパー」

 

「は、はいー!」

 

続いて転移魔方陣に向かおうとしていたギャスパーを呼び止める。

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

昴はギャスパーの頬を両手で優しく包み、自身に寄せると、額と額をくっ付けた。

 

「お前がゼノヴィアを守ってやれ」

 

「ぼ、僕が?」

 

「ルールの関係上、俺は助けに出られない。ゼノヴィアを助けてやれるのはお前だけだ」

 

「僕だけ…」

 

「大丈夫。お前なら出来る。お前は強い男なのだから」

 

「そんな! 僕なんか決して強くないです! 弱くて、臆病で――」

 

「お前は弱くないさ。恐怖を感じて尚、立ち向かえるお前が弱い訳がないだろ。それに、戦いってのは臆病なくらいが丁度いいんだよ」

 

ニカッとする昴。

 

「もう1度言う。お前は強い。俺が保証する。…だから、俺の代わりに、ゼノヴィアを守ってやれ」

 

「…はい! 任せて下さい!」

 

昴の言葉に迷いと恐怖がなくなったギャスパーは大声で返事をする。

 

「よし、…それじゃ、行って来い!」

 

ギャスパーの肩を掴んで転移魔方陣の方へ振り返らせると、ポンと背中を押した。

 

「はい、行ってきます!」

 

そう言って、ギャスパーはゼノヴィアの後に続き、魔方陣の上に立ち、バトルフィールドへと移動したのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

2人が転移魔方陣で移動するとそこは、ゴツゴツとした岩が並ぶ荒れ地だった。

 

「ここが私達の戦場か。…なるほど、これならば、私が来て正解だったな」

 

バトルフィールドを見渡し、ポツリと感想を漏らす。こうも足場が悪く、障害物が多くては、木場のスピードが生かしづらいからだ。

 

「むっ?」

 

「…っ」

 

すると間もなくして、2人の対戦相手が転移してくると、2人は身構える。

 

相手も2人、一方は、ひょろ長い体格の男、もう一方は杖を携えた小柄…一見すると少女にも見える少年。

 

『やってまいりました、第3試合、グレモリーチームは、聖剣、デュランダルを操る騎士(ナイト)、ゼノヴィア選手と、一部から大人気、僧侶(ビショップ)、ギャスパー・ヴラディ選手です!』

 

『キタァァァァァァァァッ!!! ギャーくーん!!!』

 

実況から紹介されると、ゼノヴィアは主に女性から、ギャスパーは一部の大きな男から大歓声が上がる。

 

『対して、バアルチームの紹介です。戦車(ルーク)、ラードラ・ブネ選手と、僧侶(ビショップ)、ミスティーダ・サブノック選手! これはこれは、両者共に、断絶した元七十二柱の末裔! 先程もそうですが、バアルチームにはこのように、断絶した家の末裔が複数所属しておりますが…、アザゼル総督、どう見ますか?』

 

『能力さえあれば、どんな身分の者でも受け入れる。これがサイラオーグ・バアルの考え方。これに断絶した家の末裔が呼応したんでしょう。…もっとも、現悪魔の上層部の一部からは、他の血を混ぜてまで存続を図った者を厄介払いし、なかった事にしたいようですが…』

 

解説を振られたアザゼルは、皮肉交じりにコメントする。

 

『ハハハ、仰る通りで』

 

横に座るディハウザー・ベリアルも薄っすらと笑いながら頷く。

 

『第3試合、開始して下さい!』

 

審判(アービター)から試合開始の合図がされた。

 

「先手必勝、行くぞ!!!」

 

合図と同時にゼノヴィアはデュランダルを発現させ、大きく振るい、相手に波動を飛ばした。

 

 

――ドォッ!!!

 

 

サブノックとブネは、左右に割れるように動き、その波動をかわす。

 

「出し惜しみは無しだ。ガンガン行くぞ!」

 

続けてゼノヴィアはデュランダルを振るい続け、波動を相手目掛けて飛ばしまくる。

 

 

――ドォッ!!!

 

 

波動が岩や地面に当たると、大きな爆発が巻き起こる。

 

 

『ゼノヴィア、落ち着きなさい! それでは相手の姿が見えないわ!』

 

絶えずデュランダルを振るい続けるゼノヴィアをリアスが制止する。

 

波動を飛ばしまくった影響であちこちで粉塵噴煙が舞ってしまい、これでは、ギャスパーの能力が生かせず、しかも、こちらの姿は相手に丸見えな上、相手の姿はこちらからは見えない。

 

 

「…っと」

 

ここでようやゼノヴィアは事態を飲み込み、一旦止める。

 

「(…手応えがない。何より、撃破(テイク)のコールがない所を見ると、まだ2人共健在。…さて、どうする…)」

 

周囲を警戒しながら次の手を考えるゼノヴィア。

 

「(…上手く姿を隠しているな。生憎と、私は昴程、敵の気配を探る事には長けてはいない。…ならば!)…ギャスパー!」

 

ここでゼノヴィアはギャスパーを呼ぶ。

 

「時間を稼いでくれ! あれで一気にカタを付ける!」

 

そう言って、ゼノヴィアはデュランダルを頭上に掲げる。

 

「は、はい!」

 

「(姿が見えない。逆を言えば、あの粉塵の中に隠れていると言う事、ならば、粉塵ごとフルパワーで吹き飛ばしてしまえばいい!)」

 

デュランダルにパワーをチャージさせていく。

 

「…そうはさせませんよ」

 

「っ!?」

 

その時、サブノックの声が響き、同時にゼノヴィアは不気味な光と共に身体に奇妙な紋様が浮かび上がった。

 

「な…んだこれは…!」

 

ゼノヴィアが身体を震わせながら掲げていたデュランダルを下ろしてしまう。

 

異能の棺(トリック・バニッシュ)。僕は人間の血を引いていてね。呪いの神器(セイクリッドギア)を持っているんですよ。…もっとも、使えるようになったのは遂最近ですが…」

 

粉塵が風で流されると、杖を怪しく光らせたサブノックとブネが姿が現した。

 

 

『ほう? 異能の棺(トリック・バニッシュ)。自身の体力や精神力を極限まで消費する事で対象の能力を一定時間、封じる神器(セイクリッドギア)か』

 

アザゼルが、今しがた、ゼノヴィアに起きた異変を解説する。

 

 

「あなたのその聖剣をどうするか、それが1番の難題でしたが、助かりました。あなたがこちらの姿を隠していただけたおかげで、簡単に準備を整えられた上、あなたの姿はその聖剣のオーラのおかげで、砂煙の中でも容易に捉える事が出来ました。…っ」

 

してやったりとばかりにニヤリとするサブノック。しかし、相当に消耗したのか、何処から身体をしんどそうにしている。

 

「…っ」

 

ここでゼノヴィアは自身の失態に気付き、表情を曇らせる。

 

「本来なら、聖剣を封じた余波であなた自身にもダメージを与えられるはずだったのですが、その辺りはさすがと言った所でしょうか。ですが、これでもう恐れるものは何もない。ラードラ!」

 

「了解!」

 

サブノックがパートナーの名を呼ぶと、ブネは返事をする。すると…。

 

「「っ!?」」

 

ブネの身体に異変が起こる。その身体が異形かするのと同時にどんどん肥大化していき、そして…。

 

『ギャオォォォォォォン!!!』

 

黒く巨大なドラゴンへとその姿を変えた。

 

 

『ブネ家は悪魔でありながら、ドラゴンを司る一族。…けれど、その姿をドラゴンに変える事が出来るのは一族の中でも限られた者だけ。まさかサイラオーグは、ここまで鍛え上げたと言うの…!』

 

リアスが苦虫を嚙み潰したような表情で呟く。

 

 

『今度はこちらの番だ。早々に踏みつぶしてくれよう!』

 

そう言って、ドラゴンに身を変えたブネはズンズンと足音を立てながらゼノヴィアに歩み寄り、足を大きく上げ、踏みつける。

 

『…むっ?』

 

しかし、ゼノヴィアは直前で空高く飛び、踏みつけを回避する。

 

「例え、デュランダルが機能せずとも…!」

 

ゼノヴィアはデュランダルを逆手に構え、落下の勢いを利用してブネの頭に思い切り突き立てる。

 

 

――ギィン!!!

 

 

『…今、何かしたか?』

 

「っ!?」

 

しかし、デュランダルはブネの身体を全く貫く事なく、その固い皮膚で阻まれていた。

 

『如何に高名なデュランダルと言えど、封印されてしまえばただの鈍ら。恐れるに足らん!』

 

頭を振るってゼノヴィアを弾き飛ばすと、口から火炎を吐き出し、ゼノヴィアに浴びせる。

 

「…くっ!」

 

空中で無防備となったゼノヴィアはその火炎をかわす事が出来ず、咄嗟にデュランダルを盾にしようとする。

 

「ゼノヴィア先輩!」

 

直前にギャスパーがゼノヴィアの身体に飛び込み、その炎を何とか寸前の所でやり過ごす。

 

『おのれヴァンパイアめ!』

 

ギョロリと視線を2人に向け、再度火炎を浴びせようとする。

 

 

――ドォッ!!!

 

 

その時、ギャスパーが腰のポシェットから球体を取り出し、ピンを抜くと、ブネに投げつける。すると、その球体から辺り一帯を包み隠す程の眩い光が発生する。

 

『ガァッ! おのれ!』

 

そのあまりの眩い光にブネの目は眩んでしまい、思わず両目を抑えて悶えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・・・・

・・・・

 

 

「今のは京都での…あんな物まで持っていたのか」

 

「ゲームの前に先輩が僕に持たせてくれた物です」

 

岩陰に姿を隠した2人。

 

「…すまない。私が浅はかな事をしたせいでこの有様だ。これでは何の役にも――」

 

「そんな事ありません! 僕よりゼノヴィア先輩の方が断然、部長の役に立つはずです!」

 

申し訳なさそうに謝るゼノヴィア。ギャスパーはポシェットからチョークを取り出す。

 

「大丈夫です。見た感じ、この呪いは手持ちの道具で解呪出来ます」

 

ギャスパーはゼノヴィアを中心にチョークで魔方陣を描いていく。

 

「――これで完成です。後はこれを…」

 

魔方陣を書きあげると、ギャスパーはポシェットから小さな小瓶を取り出し、その蓋を開ける。

 

「スバル先輩の血をこの魔方陣に馴染ませれば、少し時間はかかりますが、直に呪いは解けます」

 

「待て、それではお前が――」

 

慌てて制止しようとしたゼノヴィアだったが、ギャスパーはお構いなしに昴の血を魔方陣全体に馴染ませた。

 

「これでよし。後は…」

 

解呪の魔方陣を完成させると、ギャスパーは立ち上がり、ゼノヴィアに背を向ける。

 

「何を…するつもりだ?」

 

何か嫌な予感がしたゼノヴィアが恐る恐る尋ねる。

 

「時間を稼ぎます。ゼノヴィア先輩は、呪いが解けるまでここで待っていて下さい」

 

「待て、それではお前が――」

 

ギャスパーを制止させるべく手を伸ばすゼノヴィア。

 

「――動かないで下さい!」

 

そんなゼノヴィアをギャスパーが一喝する。

 

「部長が勝つ為なんです。…だから、後は――」

 

ギャスパーが振り返り…。

 

「お願いします」

 

笑顔を作り、ギャスパーは岩場から飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

「ギャスパー、止めなさ――っ!?」

 

自陣にて、リアスがギャスパーを止めようとインカムで制止をかけようとする。すると昴がリアスの肩に手を置き、止める。

 

「やり遂げて見せろ。ギャスパー、お前なら出来る」

 

止めようとするリアスを尻目に、昴はギャスパーに発破をかける。

 

「あなた何を言って…、このままではギャスパーが――」

 

「――勝つ為です」

 

「…っ!?」

 

納得出来ないリアス。しかし、昴は静かに、それでいてよく通る声でリアスに言う。

 

『見つけたぞ。…ヴァンパイアだけか。だが、近くに隠れているのは確か、我が炎であぶり出してくれる!』

 

『させません!』

 

火炎を吐こうとするブネ。しかし、ギャスパーがそれより速くブネに向かって行き、魔力の弾をぶつける。

 

『向かって来るか。恐怖で身体を震わせながら立ち向かうその勇気に免じ、まずは貴様から倒してくれる!』

 

そう言い、ブネは口に溜めた炎をギャスパーに向けて吐きかける。ギャスパーは前方に防御魔方陣を展開し、防ごうとしたが…。

 

『あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』

 

炎は、僅かの間、防御魔方陣の前で止まるも、即座に突破し、ギャスパーの身体にその火炎が直撃し、吹き飛ばされる。

 

『くっ、ギャスパ――』

 

「動くなゼノヴィア!」

 

ギャスパーを助けようと衝動的に飛び出そうとしたゼノヴィアを昴が一喝、制止する。

 

「デュランダルが使えないお前が飛び出した所で何も出来ない。呪いが解けるまで気配を殺してジッとしていろ」

 

『だが、このままではギャスパーが嬲り殺しにされるだけだぞ!? このまま見殺しにしろと言うのか!?』

 

「そうだ」

 

ゼノヴィアの問いに、昴は非情に返す。

 

『っ!? 見損なったぞ。お前がそんな薄情な奴だったとは。…もういい、このまま目の前で仲間がやられるのを黙って見ているくらいなら――』

 

「お前が招いた事だ!」

 

『っ!?』

 

飛び出そうとしたゼノヴィアを、昴が一喝する。

 

「今ああして、ギャスパーが身体を張る事になったのは、お前が感情に任せた行動したせいだと言うのを忘れるな。ここでまた感情に任せて動いて、今度はギャスパーの覚悟と犠牲まで無駄にするつもりか?」

 

『…っ』

 

「お前は、今自分がするべき事をしろ。…いいな」

 

『…くそ…!』

 

昴の言葉に納得出来た訳ではない。しかし、ゼノヴィアはその言葉を飲み込み、今も尚、ギャスパーの悲鳴がその耳に届きながらも、口元から血が滴る程に唇を嚙みしめながらその場に留まった。

 

『ええい、しつこい奴だ! あの呪いは直に解けてしまう。そうなる前に倒さねばならんのだ。いつまでもお前を相手をしてられんのだ!』

 

ブネは、ギャスパーをその巨大な手で握り潰し、地面に叩きつける。

 

『…がっ…、僕が…、守るんだ…。スバル…先輩に…、頼まれた…から…。だから…、僕が――』

 

『――しつこい』

 

 

――ゴッ!!!

 

 

サブノックがその杖でギャスパーを殴り飛ばす。大きく消耗したサブノックの一撃にすら抗えない程、ギャスパーは疲弊していた。

 

『…まも…る。…僕が――』

 

 

――ズン…。

 

 

尚も立ち上がろうとするギャスパー。しかし、そんなギャスパーに対し、ブネは非情にもその巨大な足で踏みつけたのだった。

 

「…っ」

 

そのあまりの凄惨な光景に、リアスは思わず顔を背ける。

 

「眼を逸らしてはダメだ」

 

そんなリアスに、昴が訴える。

 

「ギャスパーはこの試合の勝利の為、全てはあなたの為に戦っているんだ。だから、最後まで見届けなくてはダメだ」

 

昴が映像に視線を向けながらリアスに言う。

 

「…っ」

 

その時、昴がきつく握りしめた拳から、血が滴っているのをリアスは目にする。そして理解する。昴もまた、辛いのだと。何せ、ギャスパーを送り出したのは、最終的に許可したのは自分だとは言え、実質、昴が送り出したのようなものなのだから。

 

「…ごめんなさい。あなたの言う通りだわ。私が見届けなくてはならない。私の為にギャスパーは戦っているのだから…!」

 

リアスは目尻の涙を拭い、最後まで戦いを見守る覚悟を決めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…っ」

 

地面に倒れ伏すギャスパー。未だ、意識は残ってはいるが、もう身動きを取る事は出来ない程に身体は傷付いており、もはや、リタイヤは時間の問題。

 

『大した執念だ。だがこれで最後だ。今度こそ――』

 

 

――ドォッ!!!

 

 

ギャスパーにトドメを刺そうとしたその時、岩場から膨大なオーラの柱が立ち昇り、同時に周囲の岩場を吹き飛ばすと、ゼノヴィアの姿が現れた。

 

「…すまない。待たせてしまったな」

 

デュランダルを構えるゼノヴィア。その手からポタポタと血が滴っている。ずっと血が滴る程、デュランダルを握りしめていたのだろう。

 

「バカで不甲斐ない私の為に、お前を傷つけてしまった。全て私のせいだ。…せめて、お前のその勇気と覚悟に応える為に…、この怒りをぶつけよう!」

 

そこからさらにオーラが膨大になり、光の柱はさらに多くなった。

 

「…くっ! 何て膨大な…! ならば、今度は私の命を引き換えにしてでも、その聖剣を――」

 

杖をゼノヴィアに向け、再び異能の棺(トリック・バニッシュ)を発動させようとしたサブノック。しかし、その体勢のまま、身動きを止めてしまう。

 

『っ!? これは停止の邪眼!? 何故――っ!?』

 

ブネが驚愕しながらギャスパーに視線を向けるとそこには、リタイヤの光に包まれながらも、その眼を赤く光らせ、サブノックを停止させているギャスパーの姿があった。

 

「お前達は負けたのだ。私にではない、ギャスパーに。お前達は負けたんだ!!!」

 

 

――ザッバァァァァァァァァァァァッ!!!

 

 

ゼノヴィアの叫びと同時に振り下ろされるオーラの柱。その柱に、ブネとサブノックが飲み込まれる。

 

『サイラオーグ・バアル選手の戦車(ルーク)1名、僧侶(ビショップ)1名、リアス・グレモリー選手の僧侶(ビショップ)1名、リタイヤです』

 

同時に、審判(アービター)がコールする。

 

「……倒したぞ、ギャスパー。お前のおかげだ」

 

頭上に顔を向けると、消えていったギャスパーに向け、呟いたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

初戦に続き、行われた第2、第3試合…。

 

リアスチームは激闘の末、勝利を収める。

 

だが、その代償に、ロスヴァイセとギャスパーの2人が撃破(テイク)されてしまう。

 

戦いはここから、終盤(エンドゲーム)へと、向かうのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





いや、想像以上に長くなった…(;^ω^)

正直、今回の話は原作とそこまで差異がないので、あまり長く引っ張りたくはなかったのですが、かと言ってダイジェストにも出来ず、長々と(この二次で最長文字)書いてしまいました…(>_<)

昔の、1話1話が短すぎて悩んでいた時期が懐かしい…(;^ω^)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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