ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

一気に冷えて来たなー…(>_<)

それではどうぞ!



Life.130~静かな激情、最高の戦いへ~

 

 

 

第4戦目…。

 

出た目は12。遂にサイラオーグがその姿を現し、当初は昴が出場し、そこで決着を付けるつもりだったが、木場、ゼノヴィア、小猫が後の戦いの為、サイラオーグを少しでも疲弊させ、かつ情報引き出す為に出場した。

 

健闘を見せる3人だったが、圧倒的な力を持つサイラオーグを前に、徐々に追い詰められていった。

 

小猫、ゼノヴィアが撃破(テイク)され、凌ぐだけで精一杯の木場だったが、その身を犠牲にし、サイラオーグの右目を奪う事に成功したのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「「…」」

 

木場、ゼノヴィア、小猫が撃破(テイク)された光景を目の当たりにし、言葉を失うリアスとアーシア。ロスヴァイセ、朱乃に続き、先の3人も撃破(テイク)され、リアス・グレモリーチームの残ったメンバーも遂に3人。サイラオーグ・バアルチームも共に3人となった。

 

「木場とゼノヴィア、小猫は最高の仕事をしてくれました」

 

静まり返る中、昴が口を開く。

 

「昴…」

 

「スバルさん…」

 

昴の言葉に視線を向けるリアスとアーシア。昴はスッと映像を指差す。

 

「……そうね」

 

絞り出すような声でリアスが返事をする。

 

指差したそこには、サイラオーグが自身の右目にフェニックスの涙を使用している姿だった。これにより、2度とサイラオーグが完全復活する事は出来ない。

 

「…っ」

 

歯を噛みしめるアーシア。一見すると感情を捨て、現実だけを直視した、非情にも見える昴。だが、昴が誰よりも仲間想いである事はアーシアも理解しており、1度も戦っておらず、戦う力のないアーシアにとって、歯がゆい想いであった。

 

『さあ、互いに残りは3名ずつ! ゲームも遂に終盤! ゲームはどのような結末をもたらすのか!? 両(キング)、ダイスをシュートして下さい!』

 

実況に促され、リアス、サイラオーグが台座に向かい、ダイスを振った。リアスの出た目は6。サイラオーグの出た目は3。合計は9。

 

 

――スッ…。

 

 

出た目の合計が出たのと同時に、昴は転移魔方陣の方へと無言で向かう。

 

「…っ」

 

言葉を発せず、心配そうな面持ちで昴に視線を向けるリアス。

 

「…大丈夫。これ以上、誰も傷付けさせません。だから、安心して見守っていて下さい」

 

そんなリアスを察してか、昴はリアスに向けて笑みを向け、バトルフィールドへと転移していった。

 

「…っ」

 

転移直前、昴の表情をチラリと見たアーシア。その昴の表情には感情のようなものはなく、例えるなら能面と言ったものであり、その表情からは感情は読み取れない。だが、アーシアはこれまでの付き合いから理解した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――昴の胸中は、決して穏やかではない事に…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

転移され、周囲を窺う昴。そこは、人気のないコロシアムのようなバトルフィールドであった。間もなくして、対戦相手が転移される。

 

「ごきげんよう、赤龍帝、御剣昴」

 

現れたのは女王(クイーン)、クイーシャ・アバドン。

 

「…」

 

「…」

 

両チームの選手がバトルフィールドに現れ、互いに視線をぶつけ合う両者。

 

「随分と落ち着いていらっしゃるのね。そちらの女王(クイーン)、姫島朱乃を撃破(テイク)した私に何の感情も持っていないのかしら?」

 

穏やかな表情をしている昴を見て、クイーシャが率直に尋ねる。

 

「…何の感情もない訳ではない。もし、ここが戦場で、あなたが朱乃を討っていたのなら、今頃躊躇いもせずあなたを消し炭にしていたでしょう」

 

「…」

 

淡々と口にする昴。しかし、その言葉は決して冗談でもハッタリではなく、本心である事をクイーシャは内心で理解する。

 

「だがこれはレーティングゲーム。朱乃も死んだ訳ではないし、俺も、そちらの騎士(ナイト)、ベルーガ・フールカスと、僧侶(ビショップ)、コリアナ・アンドレアルフスを撃破(テイク)している身だ。そんな俺が憎しみをあなたにぶつけるのは筋違いだろう」

 

「あら? 随分とお優しいのね」

 

「どうかな? 今の俺は、仲間の無念と想いを受け取り、背負っている身だ。遠慮も一切するつもりはない。あなたの――」

 

スッとクイーシャを指差し…。

 

「――その折れている肋骨も、躊躇わず狙いますよ」

 

「…っ」

 

指摘されたクイーシャは一瞬、動揺しかけるも、必死に堪えた。

 

「隠しても無駄だ。生き物の身体ってのは正直だ。何処かに綻びが生じれば、何処かに必ず影響が出る。あなたは表情や仕草に出さないようにしていたようだが、その結果、佇まいに違和感が出ていた。何故そうなったか…、考えれば簡単に答えが出る。先の朱乃との戦いの折に受けた蹴りで、肋骨を痛めたんだろう?」

 

「…」

 

昴の問いに、答えないクイーシャ。

 

「朱乃のおかげで、その程度の事は理解出来る。…もう1度言う。遠慮はしない」

 

「…怖いわね。あんな僅かな戦いで、そこまで私の事を理解出来るなんて」

 

苦笑のようなものを浮かべるクイーシャ。

 

そこへ、両者の間に、審判(アービター)が現れる。

 

『それでは第6試合、開始して下さい!』

 

試合開始のコールがされた。

 

禁手(バランスブレイク)

 

Welsh(ウェルシュ) Dragon(ドラゴン) Balance(バランス) Breaker(ブレイカー)!!!!!! 』

 

試合開始と同時に昴は禁手《バランスブレイク》に至る。

 

「いきなり本気で来てくれるとはね。光栄ね」

 

「例え手負いでも、油断はしない。…行くぞ」

 

同時に昴が動く。

 

「っ!?」

 

目を見開くクイーシャ。前方にいた昴の姿が消えたからだ。

 

 

――カンカンカン…!!!

 

 

依然として、昴の姿はなく、クイーシャの周囲を、甲高い音が響き渡る。

 

「(何というスピード、この私が姿を捉える事すら出来ないなんて!?)」

 

クイーシャはこの音の正体に気付いていた。

 

姿を消した昴。だが、昴は身を隠している訳ではない。昴は、クイーシャの周囲を、魔力で足場を創り、それを足掛かりに縮地を繰り返し、クイーシャの周囲を飛び跳ね回っていた。だが、そのそのスピードがあまりにも速過ぎる為、クイーシャであってもその姿をその目に捉える事が出来ないのだ。

 

「(落ち着くのよ。今、迂闊に動けば隙を作る事になりかねない。かと言って、このまま手をこまねいていても同じ事。ならば!)」

 

クイーシャは自身の周囲に(ホール)を無数に発現させる。

 

「(これで動きをかなり限定出来る。後は、相手の動きに合わせて迎え撃つだけ!)」

 

(ホール)で昴の動きを制限し、いずれ仕掛けてくるであろう昴への迎撃準備を整えた。

 

「(さあ、何処から――)っ!?」

 

全神経を注ぎ込んで昴の攻撃に備えていたクイーシャ。その時、頭上から、オーラが集結している気配を感じ取る。

 

「そこ!」

 

(ホール)の隙間を縫って赤龍砲を放って来ると察したクイーシャが自身の頭上に(ホール)を展開する。

 

 

――トン…。

 

 

「かはっ!」

 

その時、呻き声を上げるクイーシャ。そこには、クイーシャの背後を取った昴が、クイーシャの首の後ろに手刀を突き入れていた。

 

「な…ぜ…っ!?」

 

気配は確かに頭上から感知した。しかし、仕掛けられたのは自身の背後から。薄れゆく意識の中、視線を頭上に移した時、クイーシャは気付いた。そこに、村雨があった。昴はクイーシャの周囲を高速の空中縮地を繰り返す中、村雨をクイーシャの頭上に残し、然るべきタイミングで村雨にオーラを集め、クイーシャの意識を向けさせ、その瞬間、背後から急所を一突きした。

 

「くっ…!」

 

その後、クイーシャは糸の切れた人形のように崩れ落ち、落下していった。

 

『サイラオーグ・バアルの女王(クイーン)、リタイヤです』

 

コールと同時に、クイーシャは地面に激突する直前にリタイヤの光に包まれ、消えていった。

 

 

『完勝!!! 御剣昴選手、サイラオーグ選手の女王(クイーン)を難なく撃破(テイク)しました!!!』

 

あっと言う間の結末に、大絶叫で実況をする実況。

 

 

試合は、昴の勝利で終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

サイラオーグチームの陣地…。

 

「(万が一の時は、強制的にリタイヤさせるつもりだったが、杞憂に終わったか…)」

 

昴対クイーシャ。サイラオーグは、クイーシャの実力に信頼を置いていたが、それでも昴が相手では手も足も出ないと踏んでいた。ただ撃破(テイク)されるだけなら構わないが、最悪、仲間をやられた怒りのあまり、勢い余ってクイーシャを殺害してしまう可能性も考慮し、いつでもクイーシャを強制リタイヤさせる準備をしていた。

 

「(やはり強い、だが…)」

 

サイラオーグは、少々物足りなさを感じていた。想像通り、昴は圧倒的な強さを持っている。だが、あまりに穏やか過ぎる。サイラオーグが見たかったのは、怒りも憎しみも、全て爆発させて向かって来る昴の姿だったのだ。

 

『…』

 

バトルフィールドにいる昴が振り返り、映像越しにサイラオーグと視線が絡み合う。

 

「っ!?」

 

視線が合った瞬間、サイラオーグは僅かに両目を見開き、そして笑った。

 

「そうか…! そうでなくてはな!」

 

サイラオーグは、昴の瞳の奥底にある激情を感じ取った。表面上は落ち着き払っているように見えるが、やはり、その心底では怒りに震えていたのだ。そしてその怒りは、自分と戦うその時にこそ、ぶつけてきてくれると。

 

「(ならばこそ、最高の舞台で戦う事に意味がある!)…委員会に提案する。次の試合、両チームの残った者による団体戦で行う事を!」

 

意を決したサイラオーグが委員会に団体戦の提案をした。

 

「このまま現行のルールで進んだ結末など、観客はもちろん、俺も、この男も望まない。誰の目からも分かりやすい、最高の舞台で戦ってこそ、このレーティングゲームを締めくくるに最高の結末だと考える。委員会による、寛大な配慮を期待する! 返答は如何に!?」

 

 

『おーっと!? サイラオーグ選手の口から、両チーム、残った選手全員による団体戦が提案されました!』

 

この提案に実況が思わず叫び出す。この提案に、アザゼルもニヤリと笑う。

 

『良いんじゃねえの。この後の展開なんざ、多少、目が肥えてりゃ誰にでも分かっちまうからな』

 

ルールに沿うなら、連続出場出来ない為、次の試合はサイラオーグチームは兵士(ポーン)とリアスチームはアーシア(ビショップ)となり、戦闘能力は実質無いに等しいアーシアは早々に強制リタイヤとなるだろう。その後、昴とサイラオーグによる、事実上の決定戦。展開が容易に見えてしまうと言う意味ではあまりに面白みに欠けてしまうと言える。

 

『だったらいっそ、今のテンションを持ち越しつつの団体戦の方が見てる側からすりゃ、盛り上がる事この上ない。…ハハッ! 最高じゃねえか。やっぱ、メインイベントはこうでなくちゃな。…さて、委員会さんよー、どうする?』

 

煽るようにアザゼルは発言し、委員会の決定を待った。

 

「異論はないわ。この提案、私は了承するわ」

 

先んじてリアスはサイラオーグの提案を飲む意志表示をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『…』

 

サイラオーグの提案から時間が経つ事数分。委員会の協議が終え、その結果が実況が耳に付けているインカムを通して伝えられる。

 

『………はい、はい、分かりました』

 

協議の結果を聞いた実況がインカムから手を放し、マイクを握る。

 

『今、委員会から通達がありましたのでお伝えします』

 

『…』

 

静まり返る会場、協議の結果を今か今かと待ち構える。

 

『協議の結果、認めるとの事です! よって、次の試合が事実上のこのレーティングゲームの勝敗を分ける、両陣営の残存メンバーによる総力戦となります!』

 

結果を発表すると、会場は割れんばかりの大歓声が上がった。

 

『そう来なくてはな。…今の通りだ。相手がお前では、手加減など当然出来ん。死ぬ覚悟は持っておいてくれ』

 

委員会の決定に満足気に頷くサイラオーグ。その後、昴に向き合って告げる。

 

「無論です。…ですが、それはこちらも同じ事。あなたが負けを認めるか、戦えなくなるまで、手心を加えるつもりはありません。これまで抑えていた全てを、あなたにぶつけます」

 

一方、昴は表情を変えず、淡々とサイラオーグに告げた。

 

『…っ、たまらないな。お前のその奥に蠢く激情、俺との戦いの折にどのように爆発させるのか、楽しみだ…!』

 

相変わらず、表情を変えない昴だが、その視線の奥の潜む激情が徐々に表に飛び出そうとしている気配を感じ取り、サイラオーグは武者震いを起こしたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

事実上の最終戦、赤龍帝の軽鎧(ブーステッド・ライトアーマー)を纏ったままの昴とリアスは既に、バトルフィールドである、広大な平地で待機していた。

 

残存メンバーによる総力戦ではあるが、アーシアは陣地に残して来た。理由は、回復役のアーシアは真っ先に狙われる事は目に見えているおり、何より、この戦い、アーシアの回復を受ける余裕も時間もない事が明白だったからだ。

 

「…」

 

ちらりとリアスが横に立つ昴に視線を向ける。

 

「…」

 

昴は相変わらず、表情を変えないまま、正面を向いている。多少、先程より落ち着いているように見えるが、集中は切らしていない、それどころか、集中力は少しずつ研ぎ澄まされていっている。

 

「…っ」

 

険しい表情に変わるリアス。程なくしてサイラオーグが、自身の兵士(ポーン)を伴い、バトルフィールドへとやってきた。

 

『大注目のバアルVSグレモリーによる、若手最強を決め頂上決戦も遂に佳境、最終局面となります!』

 

実況が始まると、再び観客の大歓声が沸きあがる。

 

『バアル側は、(キング)、サイラオーグ選手と、未だその正体は闇のまま、謎多き仮面の兵士(ポーン)、レグルス選手、対するグレモリー側は、紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)こと、(キング)、リアス・グレモリー選手と、お茶の間の女性の王子様、麗帝こと、赤龍帝、兵士(ポーン)、御剣昴選手!』

 

 

『きゃあぁぁぁぁぁっ!!! 麗帝様ぁ!!!』

 

紹介がされると、昴の女性ファンから黄色い声援が上がった。

 

 

「…」

 

大歓声が上がる会場だが、昴の表情は変わらず、これから始まる戦いに向けて、集中している。

 

「リアス」

 

サイラオーグが口を開き、リアスに話しかける。

 

「試合が始まってしまえば、穏やかに話しなど出来ないだろうから、今の内に言っておく」

 

「…」

 

「お前の眷属はどれも素晴らしい者ばかりだ。いずれも一筋縄では行かない猛者ばかりであり、俺でさえ、妬ましく思ってしまう程、お前を想っている」

 

「…」

 

リアスは言葉を発せず、その言葉に耳を傾けている。

 

「共に、残っているのは(キング)と、兵士(ポーン)の2人。この戦いで、このレーティングゲームも終わりだろう」

 

サイラオーグは視線を昴へと移す。

 

「遂にこの時が来た」

 

「…」

 

「かつて、お前と手合わせをしたあの日から、この日が来るのを待ちわびていた。ようやく、あの日の続きが出来る」

 

サイラオーグは右拳を握り、顔の前に持って行く。

 

「互いに拳を突き合わせて、共に健闘を称え合いたい所だが、戦いが始まってしまえば、そんな和やかな戦いにはならない。だからこの拳は、お前自身に打ち込む。…覚悟しておいてくれ。俺の拳は、痛いどころでは済まないぞ」

 

そう言い、ゆっくり拳を下ろした。

 

「ロスヴァイセ、ギャスパー、小猫、朱乃、ゼノヴィア、木場。そして、ここにはいないアーシア…」

 

「…」

 

「俺は、皆の想いと無念を背負ってここに立っている。今日のこの日の為に、全ては今日の試合に勝利する為に研鑽した皆の想いを…」

 

昴は右拳を握り、自身の顔の前に持って行く。

 

「その全てをここで解放し、あなたにぶつける。…覚悟して下さい。俺の拳は、重たいですよ」

 

そう言い、拳を下ろした。

 

直後、審判(アービター)が両者の間に現れ、両チームを交互に見渡す。

 

『…これより、最終試合を始めようと思います。それでは、始め!』

 

審判(アービター)が号令を発し、試合が始まった。

 

兵士(ポーン)は私に任せて。昴、あなたはサイラオーグを。存分に戦いなさい」

 

そう言って、リアスは昴から離れるように駆けだす。それに合わせて、相手の兵士(ポーン)、レグルスも付いて行くようにサイラオーグの傍を離れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「ハァッ!」

 

リアスが滅びの力をレグルスに放つ。

 

「…」

 

レグルスはそれをかわす。続けてリアスは間髪入れずに滅びの力を撃ち込んで行くが、レグルスはそれを悉くかわしていく。

 

「(スピードは青ざめた馬(ペイル・ホース)に跨ったフールカス程ではないけれど、それでも速い。それに身のこなしも…!)」

 

次々と滅びの力をかわしていくレグルスを見て、その速さを脅威に感じるリアス。

 

「(迎撃してくる様子がない事から、恐らく、近接戦闘が主な戦い方。決して近付けさせは――)…?」

 

ここで、リアスは怪訝そうな表情をする。

 

「…」

 

レグルスは、リアスから視線を外し、別の方向を見ている。その様子は、驕りや挑発ではない。

 

「……えっ?」

 

レグルスを警戒しつつ、同様に視線を向けると、そこには…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

――ざわ…。

 

 

ざわつく会場。

 

勝敗を分ける最終戦の火蓋は既に切って落とされている。激しく攻撃を仕掛けるリアス。一方、昴とサイラオーグは…。

 

「…」

 

「…」

 

試合が始まり、既に1分はとうに過ぎているのだが、未だ、両者共に全く動きを見せない。

 

「…」

 

構えを取るサイラオーグと…。

 

「…」

 

両腕を下げ、身体は横を向け、首だけをサイラオーグに向けている状態の昴。

 

「「…」」

 

試合が開始してから、両者その状態のまま睨み合っていた。

 

 

『どうしたんだよ!? 早く戦えよ!』

 

『さっきの言葉は何だったんだよ!?』

 

遂にこの展開に痺れを切らした観客から声が出始めた。

 

 

「(どういう事だ…)」

 

表情には出さないものの、サイラオーグは困惑していた。

 

「(御剣昴は仲間をやられた怒りをそのままにぶつかるような激情的なタイプではない。だが仲間をやられて黙っていられる程、平静を保ってられるタイプでもないはずだ)」

 

サイラオーグは当初、昴を迎え撃つつもりだった。昴は必ず、仲間をやられた怒りを自分にぶつけて来ると踏んでいたからだ

 

試合が始まり、間もなく2分が経過しようとしている。

 

「(埒が明かないな…)」

 

互いに見合っている展開に、遂にサイラオーグが痺れを切らす。

 

「(お前が来ないなら、こちらから――)っ!?」

 

仕掛けようと後ろ脚に力を込めたその時、正面の昴の姿が消える。

 

「むっ!?」

 

次の瞬間、昴がサイラオーグの眼前に現れた。

 

「遂に来たか!」

 

眼前の昴に対し、右拳を振り上げるサイラオーグ。

 

 

――スッ…。

 

 

すると、再び昴の姿がサイラオーグの視界から消える。

 

「見えているぞ!」

 

その姿を捉えていたサイラオーグは右拳を振り上げたまま身体を左へと向け、右拳を放った。

 

「…っ」

 

サイラオーグの両目が見開かれる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そこには、既に右拳を構えている昴の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイラオーグの拳は、昴の肩越しを通過し…。

 

 

――バチィィィィッ!!!

 

 

同時に放たれた昴の右拳が、サイラオーグの頬を捉えた。

 

「…っ!」

 

拳がぶつかると、大きく顔面は仰け反り、後方へと地面を擦りながら弾かれるサイラオーグ。

 

「…ぐっ!」

 

何とか体勢を立て直すサイラオーグ。だが、その身体は僅かによろけてしまう。

 

「今のは倒れていった仲間の無念を込めた一撃。この一撃だけは、何としても撃ち込みたかった」

 

「…」

 

口の端から滴る血を拭うサイラオーグ。

 

「もう限界だ。これ以上、行儀の良い(・・・・・)戦い方は出来そうにない。…行くぞ、あなたが倒れるまで、俺の全てを叩き込む。覚悟しろ、サイラオーグ・バアル!」

 

昴は、叫んだのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

続く、昴とクイーシャの戦いは昴が難なく勝利した。

 

その後、サイラオーグにより、両チーム、残ったメンバーにより総力戦が提案され、これを委員会が了承される。

 

勝敗を決める最終戦の火蓋が切って落とされるも、互いに動きを見せないと昴とサイラオーグ。

 

痺れを切らしたサイラオーグが仕掛けようとしたその瞬間を昴が狙い打ち、渾身の一撃をぶつける。

 

昴とサイラオーグ、両者の激しい戦いが今、始まる……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





気が付けば今年も残り1ヶ月と少し。ホントにあっと言う間だった…(;^ω^)

今のペースでこの章終わるかな…(>_<)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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