ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

2024年も残す所、3日…(^-^)

それではどうぞ!



Life.133~黄金色の赤き龍、不屈の心~

 

 

 

「あれは…!」

 

試合を観戦していたライザーが目を見開く。

 

「(似てる。リアスとのレーティングゲームの時に、俺とやり合った時に見せたあの妙な技と…)」

 

纏うオーラの色は違えど、自身と戦った時とに見せたものと同列の技だと察したライザー。

 

「(単純な強さは、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)禁手(バランスブレイク)した状態より、あの技を使った時の方が脅威に感じたが…)」

 

身体に多大なる負担をかける事は、七星閃氣を使った昴と対峙した事のあるライザーはよく理解していた。

 

「(あれを使わなければ勝てないくらいに、バアル家の次期当主は強いのだろう。…だが)…また、リアスを泣かせるつもりか、御剣昴…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

「…っ」

 

昴が顔を僅かに引き攣らせる。サイラオーグを殴り飛ばした瞬間、身体に激痛が走ったからだ。

 

「(…だが、以前に七星閃氣を使った時より、負担は少ない)」

 

かつて、ライザーとの戦いの時にこの技を使用した時は、身体への負担は相当であった。しかし、今は、負担は少ない。以前の時よりさらに先の星を輝かせているのにも関わらずだ。悪魔に転生した事で肉体と氣が変異しており、ライザーとの戦いの時はまだ悪魔に転生して日が浅い事もあり、まだ氣が身体に馴染み切っておらず、噛み合いきれていなかった為、肉体への負担が大きかったが、今は修業と実践を重ねた事により、氣が身体に完全に馴染んだ事により、負担が減った。

 

「(どの程度、身体に負担がかかるは、今の一撃で理解した。後は…!)」

 

昴は、正面を見据える。

 

「(とてつもない一撃だった! 首から上が消し飛んだと錯覚する程に…!)」

 

立ち上がるサイラオーグ。未だ目の前がチカチカと、視界が定まらない。

 

「だが負けん! 俺の夢の為、お前を討ち倒す!」

 

自身の額部分を殴り、強引に視界を安定させたサイラオーグは、昴目掛けて突進する。

 

「おぉっ!!!」

 

自身の打撃の射程内に踏み込むと、昴目掛けて右拳を打ち込む。

 

 

――ブォン!!!

 

 

拳が昴に当たる直前、昴が横へスライドするかのように移動し、紙一重で拳が空を切る。

 

「…っ、まだまだ!」

 

その後もサイラオーグは昴に向かって左右の拳を、時に蹴りも交えて振るい続ける。しかし…。

 

「っ!?」

 

サイラオーグの攻撃はことごとくかわされ、空を切り続ける。

 

「…ぐっ!? おぉっ!!!」

 

攻撃をかわされ続ける事に業を煮やし、渾身の力を込めた右拳を昴に振るう。

 

「…」

 

昴はその拳を掻い潜るようにかわし…。

 

 

――ドォッ!!!

 

 

直後にサイラオーグの腹部に拳を打ち込む。

 

「がっ!!!」

 

拳が直撃すると、サイラオーグの身体はくの字に折れ曲がり、苦悶の声を上げた。

 

「ええい!」

 

サイラオーグは何とか堪え、腕を払うように昴に振るう。

 

 

――スッ…。

 

 

昴は振るわれた腕を上半身を後方に逸らしてかわし…。

 

 

――ゴッ!!!

 

 

その体勢からバク宙をし、サイラオーグの顎を蹴り抜く。

 

「ぐっ! この程度…!」

 

顎を跳ね上げられたサイラオーグ。だが、すぐさま身体を起こし、再び昴目掛けて突っ込む。

 

「おぉっ!!!」

 

高速で昴の下へ飛び込み、左右の拳の連打をひたすらに打ち込む。しかし、どれだけ拳を振るおうとも、昴には当たらない。

 

 

――ゴッ!!!

 

 

サイラオーグの打撃の弾幕の隙間を縫い、昴が拳を打ち込む。

 

「それが…どうしたぁっ!!!」

 

それでもお構いなしにサイラオーグは攻撃を続ける。

 

 

――ドッ!!!

 

 

サイラオーグの攻撃の合間に、昴は自身の拳を打ち込んで行く。

 

「…っ」

 

徐々に手数が増えて行く昴の攻撃、対象的にサイラオーグの手数は少しずつ減っていく。

 

 

――ゴッ!!!

 

 

右拳を振りかぶったサイラオーグ。昴は同時にサイラオーグの右腕に右足をぶつけ、止める。

 

「っ!?」

 

次のサイラオーグの視界に飛び込んだ映像は、左手に膨大なオーラを集め、自身に放とうとしている昴の姿だった。

 

 

――ドォォォォォッ!!!

 

 

そのオーラをサイラオーグ目掛けて打ち込む昴。サイラオーグは間一髪、両腕をクロスさせて防いだ。

 

「…くっ」

 

爆煙が舞い、それが晴れると、すぐさま昴の姿を探すサイラオーグ。

 

「っ!?」

 

サイラオーグの視界に飛び込んで来たのは、自身の周囲を、円を描くように包囲する砂塵。その正体は、高速でサイラオーグの周囲を駆け回る昴。

 

「(何処から来る!?)」

 

円を描きながら高速で旋回する昴を目を左右に動かしながら観察するサイラオーグ。必ず機を見て仕掛けて来る事は明白の為、そのタイミングを計る。

 

「(………来るか!?)」

 

旋回していた昴の姿がフッと姿が消える。サイラオーグは昴の姿が消えた方角に身体を向け、両腕を顔の前でクロスさせ、攻撃に備えた。

 

 

――ゴッ!!!

 

 

「がっ!!!」

 

昴の攻撃に備えていたサイラオーグの顎が跳ね上がる。昴はサイラオーグの足元に飛び込むと、左手を地面に付けて体勢を低く構えると、ガードを固めるサイラオーグの足下から突き上げるように右足を顎を蹴り飛ばした。蹴りを食らったサイラオーグはその勢いのまま上空へと高く舞い上がった。

 

「…っ!」

 

ほんの一瞬、意識が飛びかけるも、すぐさま正気を取り戻し、空中で体勢を立て直す。

 

「っ!? 奴は…!」

 

すぐさま昴の姿を探すサイラオーグ。

 

「こっちだ」

 

 

――バキィッ!!!

 

 

声のした方に振り返るサイラオーグ。同時に頬に衝撃が走る。

 

「くっ!」

 

僅かにふらつくもすぐさま身構えるサイラオーグ。

 

「っ!? これは!?」

 

サイラオーグが驚愕の声を上げる。周囲を見渡すと、昴がサイラオーグの周囲を、空中縮地を繰り返し、縦横無尽に飛び回っていた。

 

「…っ」

 

視界と昴を捉えようとするも、すぐに昴の姿を見失ってしまう。先程はサイラオーグの周囲を円を描くように移動していただけだったので、スピードはあっても辛うじてその姿を捉える事は出来た。しかし、今は空中縮地で前後左右に加え、上下に不規則に高速移動を繰り返している為、姿を捉えても次の瞬間には見失ってしまう。

 

 

――ゴッ!!!

 

 

「…っ!」

 

今度は背中に衝撃が走る。

 

 

――ガッ!!!

 

 

「がっ!」

 

再び顎が跳ね上がる。

 

「くっ…!」

 

たまらずサイラオーグは両腕を束ね、ガードを固める。

 

 

――ドドドドドドドドド…!!!

 

 

ガードを固めるサイラオーグに対し、昴はお構いなしに空中縮地で反射を繰り返しながら攻撃を加えていく。

 

「(パワーだけではない、スピードも桁違いだ。空中(ここ)では分が悪いか…!)」

 

一刻も早く地面へと降りたい所。だが、昴がそれを許してくれない。

 

「…っ」

 

昴の猛攻に耐えながら機を窺うサイラオーグ。

 

現状、空中戦は圧倒的にサイラオーグが不利。だが、だからこそ、何か突破口を作っておきたい。例え、何とか地に足を付ける事が出来ても、再度空中に舞い上げられてしまえばジリ貧であるからだ。

 

「(()は空中に足場を創り、それを蹴って勢いを付けて飛び回り、俺に攻撃をしている。ならば…!)」

 

突進の勢いを利用している為、スピードも勢いもある。だが、裏を返せば攻撃のキャンセルも効きづらい為、カウンターに対応する事が困難とも言える。

 

 

――ドッ!!!

 

 

サイラオーグのガードの隙間を縫うように昴の拳が突き刺さる。

 

「(…っ! 今は耐えろ! そして、身体に奴の攻撃のタイミングを刻み付けろ!)」

 

最悪相打ちでも構わない。昴が攻撃を仕掛ける方向とタイミングを掴み、自身の攻撃がカウンターで決まれば形勢逆転出来る。サイラオーグの拳に力が籠る。

 

 

――ゴッ!!!

 

 

サイラオーグの腹に衝撃が走る。

 

「…っ!」

 

この一撃にサイラオーグのガードが下がる。

 

 

――ドッ!!!

 

 

狙いすましたかのようにサイラオーグの顔面に一撃が打ち込まれた。

 

「(来た!!!)」

 

どんなにガードを固めても、僅かにガードが緩めば昴はそこを狙ってくる。僅かな隙間(・・・・・)をも見逃さず。四方八方からの攻撃に晒された過程でそれを理解したサイラオーグはそれに活路を見出した。昴が僅かな隙、僅かなガードの緩みを見逃さないのならば、その隙を敢えて見せればいい。つまり、ガードを下げたのは、昴の攻撃を誘導する為。

 

「おぉっ!!!」

 

溜め込んでいた拳を、攻撃が自身へとぶつかった方向に、タイミングを合わせて打ち込んだ。

 

 

――ブォン!!!

 

 

方向とタイミングは完璧。如何に昴と言えど、この一撃はかわせるはずがない。しかし、拳に何の手応えもない。

 

「っ!?」

 

拳を打ち込んだ先を確認するサイラオーグ。そこには昴の姿がなく、眼前には棍があった。

 

「甘い」

 

ハッとサイラオーグが頭上を見上げるとそこには、右足を大きく上げた昴の姿があった。

 

「(しまった!)」

 

この時、サイラオーグは自身の失態に気付いた。

 

 

――ゴッ!!!

 

 

大きく上げた右足の踵を、サイラオーグの脳天に振り下ろした。

 

 

――ドォォォォォッ!!!

 

 

この一撃を受けたサイラオーグは勢いよく地面へと叩きつけられた。

 

「がっ…ぐっ…!」

 

今の一撃でかなりダメージを負ったサイラオーグ。

 

「生憎と、その手は1度経験している」

 

直後に地面へと降り立った昴が落ちて来た棍…、蒼天棍をキャッチした。

 

サイラオーグはガードを固め、猛攻を耐えながら昴が攻撃をする方向とタイミングを計り、カウンターのタイミングを窺った。それは奇しくも、かつて、駒王協定の折に、昴と相対したヴァーリが取った戦法であり、昴が痛手を被った策でもあった。その為、すぐにサイラオーグの策を見抜いた昴は、ガードを緩んだ隙間に蒼天棍を投擲し、カウンターの一撃を誘発させたのだ。

 

「…っ!」

 

よろよろとさせながらサイラオーグが膝に手を突きながら立ち上がろうとする。

 

「(強い…、まさか、これ程のパワーアップが出来る切り札を持っていたとは…!)」

 

獅子王の剛皮(レグルス・レザー・レックス)を纏っても尚、肉薄する事も出来ない昴の力に、サイラオーグの中に、絶望の文字がチラつき始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「強い! 何という強さ!!! 当初は昴選手のペースで戦いが進み、1度は獅子を纏ったサイラオーグ選手が形勢を逆転させましたが、再び昴選手が戦いをひっくり返しました! これはもう決まったか!!!」

 

実況は逆転に次ぐ逆転の展開に、興奮を抑えきれない。

 

「(あれは…)」

 

顎に手を当てるアザゼル。アザゼルはオカルト研の顧問に就任した際、リアスとその眷属の事を知る一環として、ライザーとのレーティングゲームの試合映像を見ていた。

 

「(無理やり(オーラ)を限界以上に引き出しやがったか。力を引き出すって意味では、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)も大概だが、あれは神器(セイクリッドギア)が補助具の役割を担ってやがるから、限界以上に倍化を繰り返しても体力を消耗するだけに『基本』は留まるし、いざとなったらドライグの奴が強制的に止めるだろうからリスクはそこまで高くねえ。だがあの技は、肉体に相当の負担がかかる事は間違いねえ)」

 

一目で七星閃氣の危険性に気付いた。最初の一撃の際に、昴が激痛で僅かに表情を歪めた事にも気付いていた。

 

「(『武曲』って言ったか? 七星ってのが、夜空に輝く北斗七星を指してんなら、武曲は6つ目の星だ。つまり、まだもう1つ段階があるって事か? ここで使わなかったのは、使うまでもないと判断したか、それとも、今以上のリスクがあるか…、ま、いずれにせよ…)…決まったか?」

 

技の分析をした後、戦いに意識を戻したアザゼルが断言する。

 

「…」

 

一方、ディハウザー・ベリアルは何も言葉を発せず、食い入るように昴を注目していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…っ!」

 

昴の表情が歪む。身体に激痛が走ったからだ。

 

「(ちっ、やはり、6星の武曲は身体への負担が半端ない。あまり時間はかけらないか…!)」

 

負担は減ったと言っても、やはり、無理に氣を拡張させている影響は大きく、確実にその身体にダメージを蓄積させている。

 

「(もってくれよ、俺の身体…!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

「昴…!」

 

リアスが思わず昴に向かって手を伸ばし、止める。

 

かつて、昴がライザーが戦った際に使った力。それが昴の身体に相当の負担をかける事はリアスも理解している。

 

「…っ」

 

手を引っ込めたリアスは思わず昴から目を背ける。

 

本音を言えば昴を止めたい。しかし、それをすればここまで身体を張って自分の為に戦ってくれた自身の眷属達の想いを無にする事になる。

 

「(ダメだわ。これではあの時から私は何も変わらない。…2人の戦いに割って入る事も、水を差す事も出来ない。…だったら!)」

 

リアスは目に涙を浮かべながらも、2人の戦いを最後まで目を逸らさず見守る決意をしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…っ」

 

何とか立ち上がるサイラオーグ。しかし、手も足も出ない今の現状に、昴に向かっていく事が出来ずにいた。

 

「(サイラオーグ様をここまで!)おのれ、赤龍帝ぇぇぇぇーーーっ!!!」

 

突如として発狂するかのように獅子が叫び出すと、サイラオーグの身体から離れ、元の獅子の姿へと戻った。

 

 

――ガゴォォォォォォォン!!!

 

 

「きゃっ!? な、なに!?」

 

耳を劈くかのようなレグルスの咆哮を上げると同時に、膨大なオーラがレグルスを中心に衝撃波のようにフィールドを揺るがせた。

 

 

『っ! こ、これはいったい!? サイラオーグ選手と合体したレグルス選手が分離しました!』

 

両耳を塞ぎながら実況するナウド。レグルスの咆哮は、実況席に座る者達の鼓膜をも破壊せんとばかりに轟いていた。

 

『ヤベーな。主をやられた事による怒りか、ネメアの獅子が暴走しやがった!』

 

この事態にアザゼルも表情を変える。

 

 

「…っ!? レグルス、よせ! 止めるんだ!!!」

 

これを見てサイラオーグがレグルスを制止するしかし。

 

 

――ガゴォォォォォォォン!!!

 

 

もはや、主であるサイラオーグの声も届かず、レグルスは再度、威嚇するかのように咆哮を上げる。

 

 

――ドッ!!!

 

 

次の瞬間、レグルスが姿を消した。

 

「…えっ!?」

 

姿を消したレグルス。次にその目に映った光景に思わず声を上げるリアス。

 

 

――ドドドドドドドドド…!!!

 

 

無数の砂埃が、昴の周囲で、音を立てながら絶え間なく舞っているからだ。

 

何が起こっているか、リアスは理解出来なかった。

 

「っ!?」

 

次にリアスの目に飛び込んだ光景は、それは…。

 

 

――レグルスの獅子が、その大顎を大きく開け、今正に、昴の頭蓋をその強大な顎で嚙み砕こうとしている光景だった。

 

 

ここでリアスはようやく理解した。先程舞っていた砂埃は、レグルスが昴の周囲を高速で飛び回っていたものだと言う事を。

 

「昴!!!」

 

リアスは大声で昴の名を叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――ガッ…ゴッ、グッ…!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レグルスは、大顎を開け、声にならない声を上げながら、昴の頭部を噛み砕こうとする体勢で制止していた。

 

「?」

 

再び状況が理解が出来ず、硬直してしまうリアス。

 

「何が――あっ!?」

 

状況把握を努めるべく、昴を観察すると、ある事に気付く。

 

 

――昴の拳が、レグルスの腹に、突き刺さっていた。

 

 

「…」

 

 

――ガガガガガガッ…!!!

 

 

そこから、昴はレグルスに向けて、左右の拳を速射砲の如く打ち込む。

 

「フッ!」

 

 

――ゴォッ!!!

 

 

トドメの一撃を打ち込むと、レグルスは目にも止まらないスピードで吹っ飛び、やがて、遙か後方に岩壁にめり込みながらぶつかった。

 

『……一矢…報い…る、事も出来ず…、申し訳――』

 

『サイラオーグ・バアルの兵士(ポーン)、リタイヤです』

 

光に包まれたレグルスが、消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『……お、おーっと!? 何と何と何と!? レグルス選手が撃破(テイク)!? あっという間の出来事に、実況の私も未だ理解が追い付いていません!?』

 

唖然とする実況。

 

『おいおい、その『上』かよ…』

 

苦笑しながら頭に手を当てるアザゼル。

 

『(暴走状態のネメアの獅子は、単純な力は下手すりゃ、あのフェンリルにも匹敵する程だったってのによ…!)』

 

アザゼルは最悪の事態を想定し、試合を中断してフィールドにいる3人を批難させる指示を出そうと立ち上がっていた。

 

『獅子を失った今、もうこの試合は決まったな』

 

席から立ち上がっていたアザゼルは着席し直し、そう結論付けたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

拳を下ろし、サイラオーグに振り返る昴。

 

「…っ」

 

その昴に気圧されるサイラオーグ。

 

ネメアの獅子、レグルスを失った今、サイラオーグの勝機は無くなった言ってもいい。

 

「(勝てる訳がなかった…!)」

 

絶望するサイラオーグ。

 

昴の強さは、持ち前の才能の上に、膨大な努力を積み上げて築き上げたもの。その一方しかない自身ではそもそもの土台が違う。

 

「…っ」

 

全身の力が抜け、両腕がダラリと落ちる。そして膝が折れ、地へと倒れ込む――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――サイラオーグ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

その時、サイラオーグの耳に、何者かの声が轟き、思わず手を膝の上に置き、地に膝を付くのを堪える。

 

『諦めてはなりません!』

 

「(この…声は…!)」

 

忘れる訳がない。それは、誰よりも大切で、何よりも聞きたいと望んでいた声。

 

『誰よりも強くなると、私と約束したでしょう?』

 

「(…そうだ)」

 

『あなたの望む未来の為に、自分が味わった事を後世に残さない為に、あなたは今日まで拳を握りしめ続けたのでしょう!』

 

「(…そうだ…!)」

 

『例え生まれがどうであれ、素晴らしい才能や能力があれば誰もが認められ、相応の位置に付ける世界。今を生き、これから生まれて来るであろう子供達が辛く悲しい思いをせずに済む世界。その世界を創るのでしょう!』

 

「(そうだ!)」

 

『前を向きなさい。そして、前に進みなさい。あなたは強い子。私の愛しい自慢の息子なのだから』

 

「(何を血迷っていたのだ! まだ俺は何も為してはいない!)」

 

今の声は幻聴なのか、今は関係ない。

 

「…ぐっ!」

 

傷付いた身体に鞭を打ち、身体を起こす。

 

「(何度倒れたっていい! 何度無様に地に這いつくばる事になろうとも、何度でも立ち上がればいい!)」

 

 

――ドン!!!

 

 

痙攣する足に喝を入れるべく、拳で叩き、無理やり震えを抑え込む。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉーーーっ!!!」

 

雄叫びを上げながらサイラオーグは2本の足でどっしりと立ち上がった。

 

「負けん! 俺には夢がある! 叶えたい未来がある! 御剣昴、お前がどれだけ強大な存在であろうと、どれだけ絶望的な状況であろうと、負ける訳にはいかんのだ!!!」

 

切り札の獅子を失い、絶望的な戦力差とダメージ。それでもサイラオーグは、迷いのない瞳で昴を睨み付けた。

 

「(…分かっていた事だ)」

 

消えかけていたサイラオーグの瞳に光が戻った。それも、先程よりも比べものにならない強い光を携えて。

 

「(あなたの心は絶対に折れない。どれだけ絶望的な状況であっても…)」

 

不撓不屈。これが、サイラオーグの強さを支える源…。

 

「負けられないのは俺も同じ。あなたの夢も未来も踏みにじる事となっても、俺はあなたを倒す!」

 

昴は、サイラオーグに拳を突き出すように向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――2人の戦いは、終わらない……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





思った以上に、長引く最終戦…(;^ω^)

この章を2024年までに終わらせたかったんですが、無理でした…((+_+))

この話の補足として、蒼天棍、ブレイブハートで発現出来る武器の1つですが、これは、自身の処女作である、恋姫二次のオリキャラの武器です。

以上を持ちまして、これが今年最後の投稿となります。

ぶっちゃけると、モチベーションはかなり落ちており、次の投稿がいつになるかは未定です。エタりたくはないと言う思いはあるので、とりあえずキリが良い所までは書ききるつもりですが、正直、原作そのものがここ最近、新刊の発売が止まっているので、何処かで折り合いを付けて話を完結させる事も視野に入れております。

気分転換にまた新たに新作を…ってのも考えた事もありますが、個人的に、1度書き始めた話を終わらせないままあれもこれもと新作を投稿するのは矜持に反するのです、仮にやっても1話限りの短編に留めるつもりです。

…っと、長々と申し訳ありませんでした…m(_ _)m

長年、ほったらかしにしていたこの二次に時間を割いていただき、ありがとうございました!

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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