ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

ようやく花粉症の地獄からある程度解放された…(>_<)

それではどうぞ!



Life.136~学園祭、告白~

 

 

 

「…」

 

険しい表情で通路を歩いているのはアザゼル。

 

リアスチームとサイラオーグチームとのレーティングゲームが終了後、昴の下へ激励に向かい、その後、とある場所へ足を運んだ。

 

此度のレーティングゲームは、三大勢力は勿論、他の神話の要人も会場に足を運んでいた。ゼウス、ポセイドンを始めとするオリュンポスの神々、ヴァルハラのオーディン等々。

 

アザゼルが足を運んだのは、天帝、かの戦いの神、阿修羅に勝利した武神、帝釈天の下だ。

 

理由は、京都での折、昴から、とある報告を受けたからだ。

 

 

『初代の孫悟空殿がまるで兼ねてから曹操を知っている素振りがありました。となると、その上司にあたる帝釈天殿も曹操の事を周知していた可能性があるのでは?』

 

これを受け、アザゼルは真偽を確かめる為、帝釈天の下へと足を運んだのだ。

 

帝釈天が招待された要人室に行くと、ちょうど部屋を後にしようとする帝釈天と鉢合わせをした。坊主頭に丸レンズのサングラスにアロハシャツと、とてもではないが格式のある神仏がするような容姿ではないが、それでは確かなる威厳を放っていた。

 

アザゼルは軽い挨拶を交わした後、単刀直入に曹操の事を尋ねた。すると、帝釈天は否定する事もなければ動揺する事もない。嘘も誤魔化しもせずに豪快に笑い声を上げると、こう答えた。

 

『HAHAHA! だとしたら何だ? 何が気に入らねえ? 報告しなかった事がか? それとも……通じていた事がか?』

 

帝釈天は悪びれる事無く、認めたのだ。これにアザゼルのボルテージが思わず上がるが。

 

『おいおい、その程度の事でキレんなよ。それを言ったら冥府の神ハーデスなんざ、勢力図を塗り替えるレベルの事やってんだぜ』

 

続けてさらなる爆弾を投下した。

 

『ひとつ言っておくぜ若造。どこの勢力も表立っては平和だの和議だの謳ってるがよ、腹の底じゃ、『俺らの神話こそ至高で最強! 他の神話なんざ滅べやクソが!』ってのが本音だぜ? おめえも分かってんだろ? オーディンやゼウスやポセイドンが例外的に甘いだけだって事によ。だいたい、てめえらの神話に攻め込まれた挙句に信者失って、民間の伝説レベルにまで信仰を落とした神々がどんだけいると思ってんだよ。ちったぁ、各種神話でも見直せや。今更てめえらが平和を謳うなんざちゃんちゃら可笑しいって話だぜ』

 

これを言われると、アザゼルは返す言葉を失ってしまう。乱暴な言い分なれど、筋は通っているからだ。

 

『…ま、表向きは協力してやんよ。確かにオーフィスの奴は邪魔だからよ』

 

そう言い残し、踵を返す。数歩歩いた所で足を止め、振り返ると…。

 

『そうそう、赤龍帝に言っておいてくれよ。最高だった、てな。生意気にも天を自称してる事については大目に見てやるよ。…ま、もし世界の脅威にでもなった日にゃ、魂ごと消し飛ばしてやるけどな、HAHAHA!』

 

再び踵を返すと…。

 

『面白ぇ小僧だ。久しぶりに興味が湧いたからよ。応援はしてんぜ。もっとも――』

 

表情を改め…。

 

『――仲良くは、出来ねえだろうがよ』

 

そう呟き、その場を後にしていった。

 

 

「インドラの野郎…!」

 

思わず怒気が溢れながら帝釈天の別名を呟くアザゼル。

 

帝釈天の物言いに苛立ちを隠せなかった。曹操の事を秘匿してきた事もそうだが、平和を乱す行為を悪びれる事無く行っている事にだ。

 

「(インドラの言う事ももっともだ。何処の神話も、建前上、平和を口にしていても、腹の底じゃ、何を考えているかは分からねえ。実際、既に協力態勢を敷いている神話でさえ、隙あらば、なんて腹の中で一物持っている可能性も充分にある。…だがよ、その建前が今は大事な時期なんだよ…!)」

 

堕天使の総督と言う、肩書きを持ちつつも、誰よりも和平に力を入れ、望んでいるアザゼルにとって、この帝釈天の物言いには腹が立ってしょうがなかった。

 

「………ん?」

 

足音を荒くさせながら通路を歩いていると、道中、とある人物を見つける。

 

「サーゼクス?」

 

とある一室の前で、扉の隙間から部屋を除くサーゼクスの姿を見つけた。サーゼクスもアザゼルの姿を視認すると、そっと人差し指を口に当て、静かにするようにジェクチャーすると、静かにアザゼルの下へ歩み寄った。

 

「やあ、随分と機嫌が悪いようだね」

 

傍にいるアザゼルだけに聞こえる程の小さな声量でサーゼクスが声を掛ける。

 

「…ああ、今し方、インドラの野郎とあってな」

 

サーゼクスの意図は分からないが、アザゼルは同じく声量を抑えて極力不機嫌さを表に出さないように答える。

 

「そうか…」

 

この解答に、サーゼクスは話の大本を理解し、頷く。

 

「何があった?」

 

今度はアザゼルが逆に尋ねる。

 

「…フッ、いやなに、良いものが見れたのでね」

 

薄く笑みを浮かべ、目の前の、僅かに開いた扉に視線を向けるサーゼクス。

 

「? …っ!?」

 

促されるままアザゼルが隙間から部屋の中を覗くとそこには、先程、昴と激戦を繰り広げたサイラオーグと、そのサイラオーグを抱きしめているサイラオーグの母、ミスラの姿があった。

 

「恐らく、サイラオーグが何よりも待ち望んでいたものが最愛の母のぬくもりだ。私としても、喜ばしい限りだ」

 

慈しむように微笑むサーゼクス。

 

「ミスラ・バアル。…確か、悪魔が患う眠り病の影響で、何年も眠ったままだったと聞いていたが…」

 

「ああ。依然として治療法を確立出来ず、延命治療しか出来ずにいたが、先日、昴君が治療を試みたおかげで目覚める事が出来た」

 

「俺も報告は受けていた。…ったく、専門外とは言え、俺でもどうにもならなかったあの病を治療しちまうなんてよ」

 

扉の隙間から除く光景を見て、険しかったアザゼルの表情が思わず和らいでいった。

 

「(また1人、(あいつ)は救っちまいやがった)」

 

先の京都では、九尾の御大将を、その前のオーディンとの会談の折には自身の部下であるバラキエルとその娘である朱乃、そして、アザゼル自身をも…。

 

 

――悪魔、天使、堕天使だけではなく、それ以外のあらゆる神話体系の者達が1つになり、手を取り合っていく世界。私はこの世界がそうなることを望みます。

 

 

かつての駒王協定の折に、昴が語った理想。

 

「(あいつの語った理想。俺も似たような理想を1度は思い描いた…)」

 

しかし、思い描けば描くほど、あらゆる問題、障害、現実が立ち塞がった。事実、三大勢力すら、まともに纏まる事も出来ず、途方もない時間、戦争と睨み合いを続いたのだから。

 

「(だが、昴が現れてから、あらゆる偶然が重なって、三大勢力は協定を結ぶに至った…)」

 

そこからヴァルハラのオーディン、オリュンポスの神であるゼウスにポセイドン。京都の妖怪達が続くように協定を結ぶにまで至った。

 

「(ゆっくりと、だが確実に、世界は昴の描いた理想へと向かっていっている…)…フッ」

 

思わず、アザゼルの口元が綻ぶ。

 

「? どうかしたか?」

 

「…いやなに、英雄とは何なのか、ってな」

 

「英雄か。…難しいな」

 

アザゼルの言葉に、サーゼクスは回答を出せなかった。

 

時代、世界、情勢が変われば、英雄の見方、在り方もまた、変わるからだ。

 

「少し前に、昴はこう答えたよ。『勝者』だと」

 

「…なるほど、シンプルな回答だが、ある意味、的を射ている答えだ」

 

その回答に、サーゼクスは頷く。

 

「だが、真理じゃねえ」

 

「そうだな。…しかし、私はこう思う。その答えはいつか、昴君が出してくれる、と」

 

「…フッ」

 

思わず笑みが零れるアザゼル。

 

「(超常の存在に戦いを挑むテロリスト(英雄)と、調和を望み、その輪を広げる悪魔。果たして、どっちが真の英雄になるんだろうな)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

時間は進み、遂に学園祭の日がやってきた。

 

「おー、賑わってるな」

 

学園は、駒王学園に通う生徒のみならず、他校の生徒、更には一般の来場客で賑わっていた。

 

「さて、まずは旧校舎に顔を出すとするかな」

 

カツッと音を立てながら旧校舎へと足を進める昴。昴も本来は、オカルト研の催しに参加するはずだったのだが、先のレーティングゲームの負傷が癒えず、大事を取って不参加となった。ゲーム後、ほぼ寝たきりであり、依然として身体には包帯が巻かれているが、ようやく、松葉杖を使って歩ける程度に回復をしたた為、駒王学園に遅ればせながらやって来た。

 

「一列になってお並び下さーい!」

 

「はいはーい! こっちは、塔城小猫ちゃんと姫島朱乃先輩による、占いの館とお祓いコーナーよ!」

 

旧校舎に付くと、来場客で大賑わいしており、ウェイトレス姿のアーシアが来場客を整列させ、イリナが呼び子をしていた。

 

「よう、忙しそうだな」

 

「あっ! スバルさん!」

 

アーシアに声を掛けた昴。すると、アーシアが駆け寄って来た。

 

「動き回って大丈夫なんですか?」

 

「この通り、歩くくらいなら問題ないよ。むしろ、あまりに横になり過ぎて身体が鈍ってしょうがないくらいだ」

 

大丈夫、と言わんばかりに胸を叩く昴。

 

「やあ、昴君」

 

そこへ、木場もやって来た。

 

「おー木場。悪いな、手伝えなくてよ」

 

「その身体じゃ、しょうがないさ」

 

本来なら木場と共に喫茶店のウェイターや、お化け屋敷の脅かし役をするはずだったが、負傷が完治し切らなかった為、木場に昴の分まで任せる事となってしまったのだ。

 

「ここの事は気にしなくて良いから、君はゆっくり学園祭を楽しんでくると良いよ」

 

「おー、サンキューな」

 

「…っと、僕もそろそろ行かないと」

 

「忙しい所、すまないな」

 

手を振りながら昴は木場を見送った。

 

「スバルさん、あまり無理はなさらないで下さいね。…出来れば私もご一緒したいのですが…」

 

チラリと、オカルト研の催しに並ぶ長蛇の列に視線を向けるアーシア。介助を兼ねて、アーシアも昴と一緒に学園祭を周りたいのだが、それが許されない程に来場客がごった返しているのだ。

 

「俺の事は大丈夫だ。アーシアはオカルト研の手伝いをしてあげてくれ」

 

申し訳なさを感じるアーシアに、昴は気にするなとばかりに手をヒラヒラさせた。

 

「あう、分かりました。…スバルさん、あまり無理はなさらないで下さいね?」

 

そう言って、アーシアは再び来場客の整理に向かって行った。

 

「さて…」

 

アーシアを見送ると、昴は松葉杖を鳴らしながら学園内を歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「去年もそうだったが、相変わらず、駒王学園の学園祭ってのは賑わってるんだな」

 

比較的、学園祭や文化祭は何処の学校でも賑わうが、駒王学園はその中でも頭1つ抜けている。

 

「…たまにはこういうのも悪くないな。……あむっ」

 

出店で買ったホットドッグを口にしながら学園内を散策する。

 

「…あら? 昴君」

 

その時、昴は背後から声を掛けられる。

 

「会長?」

 

振り返るとそこには、ソーナがいた。

 

「見回りですか?」

 

「ええ。見回りを兼ねて、私も学園祭を楽しんでいた所です。…重症だと聞いてはいましたが、学園祭に来れるまでには回復したのですね」

 

「おかげさまで」

 

挨拶を交わす2人。

 

「折角ですから、少し、話でもどうかしら?」

 

「ええ、自分で良ければ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「どうぞ」

 

「わざわざすいません」

 

ソーナが手渡された出店の飲料を受け取る昴。

 

「遅くなりましたが、先のレーティングゲームの勝利、おめでとう」

 

「ありがとうございます。会長の方も、おめでとうございます」

 

備え付けのベンチに2人腰掛けると、互いにレーティングゲームの勝利を称え合う。

 

「見事でした。あのサイラオーグを退けてしまうなんて」

 

「恐縮です。会長も、生意気ながら、お見事な采配でしたよ」

 

「あら? 私達のゲームを見たのかしら?」

 

「ええ、気になっていましたから。試合中継の映像を頼んで持ってきてもらいました」

 

試合直後は、ベッドから起き上がるのも四苦八苦する状態だった為、やる事は本を読むかテレビを見るかくらいしからやる事がなく、その流れで同時期に行われたソーナチームとシークヴァイラチームのレーティングゲームを見たのだ。

 

「そう。…せっかくだから、あなたの感想を聞きたいわ」

 

「感想ですか。…では、僭越ながら――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「――オープニングからミドルゲームに移行する直前、敢えて自陣の旗を取らせた決断をしたのはお見事でした。あれでシークヴァイラ様は旗の数では優位に立てましたが、情報戦では大きく後れを取る結果になりましたから。罠と分かっていても取りに来る。相手の心理を見透かした見事な作戦です」

 

「フフッ、全て、昴君のおかげですよ」

 

笑みを浮かべるソーナ。

 

「以前にあなたとチェスをした時、あなたは情報を隠しながら私を優位と思い込ませながら罠へと誘い込みました。先のレーティングゲームは、そのやり方を倣って作戦を組み立てました」

 

「…そうでしたか」

 

気恥ずかしさから思わず頬を掻く昴。

 

「その後の終盤は……大変でしたね」

 

思わず苦笑する昴。

 

実は試合終盤、匙が龍王かしたのだが、制御し切れず、バトルフィールドがメチャメチャになってしまったのだ。

 

「…全く。匙には困ったものです」

 

軽くソーナが溜息を吐く。

 

「…ま、まあ、あいつを責めないであげて下さい。あれが、勝敗を決定付ける最後の一押しになった訳ですから」

 

フォローを入れる昴。ソーナと出会う前、昴は檄凹みしている匙を目撃していたのだ。

 

ソーナの好采配が輝くも、それでも相手は同じく切れ者のシークヴァイラ。試合は拮抗していた。匙の暴走でシークヴァイラが僅かに動揺した事で隙が出来、ソーナはその隙を見逃さず、一気に勝負を仕掛けて勝利を手繰り寄せたのだ。

 

「匙の暴走も考慮し、事前に皆に指示を出していたのが功を奏しました。…もちろん、匙を責めるつもりは一切ありません。とは言え、この先、再び暴走されても困るので、しばらくは敢えてフォローはしないつもりです」

 

そう言ってメガネのブリッジを押すソーナ。

 

「(ま、しょうがねえな。…頑張れよ、匙)」

 

これ以上、匙をフォローしても藪蛇になりそうなので、胸中でエールを贈るに留めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「――そうですか…」

 

俯く昴。

 

話は、レーティングゲームからサイラオーグの話に変わり、ソーナの口からある事実を聞く。

 

 

――サイラオーグを支持していた上層部が、手を引いたと…。

 

 

「…」

 

神妙な顔で俯く昴。

 

分かっていた事だ。合理的な思考を持つ者が多い悪魔。バアル家の次期当主であれど、価値が下がればこぞって手を引くのは…。

 

「……大王家の次期当主の座は?」

 

「それについては私の聞き及ぶ限り、変動はありません。…ですが、恐らく、先のレーティングゲームを理由に降ろされる事はないと思います。もし、してしまえば、世論の反発を得るのは確実ですから」

 

「そうですか…」

 

ひとまず、次期当主の座だけは死守出来た事に昴は胸を撫で下ろす。

 

「リアスから聞いていないのですか?」

 

「……ええ、まあ」

 

言葉を濁す昴。

 

実はレーティングゲーム以降、リアスとあまり顔を合わせていない。もちろん、時折リアスは昴の様子を見に来る事するのだが、一言二言、経過を確認するだけで、確認が終わるとそそくさと部屋を後にしてしまうのだ。

 

「そうですか。……っと、もうこんな時間。随分と話し込んでしまったわね」

 

時計を確認したソーナが立ち上がる。

 

「私はまだ業務があるので。ここで失礼させてもらうわね。…改めまして、先のレーティングゲームの勝利、おめでとう。学園祭、楽しんで下さいね」

 

薄く笑みを浮かべるソーナ。

 

「こちらこそ、有意義な時間でした」

 

同じく昴も笑みを浮かべた。

 

「フフッ、私もですよ。機会があれば、またこのように語らいたいものです」

 

「光栄です」

 

「では…」

 

ソーナはその場を後にした。

 

「んぐっ…んぐっ――さて…」

 

昴は飲み物を飲み干し、空き缶をゴミ箱に投げ入れると立ち上がると、再び学園祭を巡るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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辺りが暗くなり、学園祭も終盤に近付くと、校庭にキャンプファイヤーが焚かれ、その周囲で生徒達がペアでダンスを踊っていた。

 

「(結局、会わなかったな…)」

 

学園祭を巡りつつ、昴はとある人物を探していた。レーティングゲーム後、録に話をする事が出来なかった彼女に…。

 

「…あっ」

 

その時、昴は遂に目当ての相手を見つける事が出来た。

 

「…っ」

 

昴と目が合ったリアスはバツの悪そうな表情をする。

 

「…と、部長!」

 

リアスは昴が目が合うのと同時に踵を返し、昴から離れるように歩き出した。

 

「待ってくれ――ぐっ!」

 

慌てて追いかけようとした昴だったが、身体に激痛が走り、思わずその場に蹲る。

 

「ちっくしょう…! 言う事聞けよ俺の身体ぁ…!」

 

激痛で蝕む身体に鞭を打ち、強引に立ち上がろうとする。

 

「がっ! ……こんの――っ!?」

 

その時、昴の身体に異変が起こる。

 

 

――カァッ!!!

 

 

突然、昴の身体が強烈な光に包まれ出したのだ。

 

「これは…!」

 

突然の自身の身体の変異に驚く昴。

 

「昴君!」

 

「スバルさん!」

 

その異変を感じ取った木場とアーシアが昴に駆け寄った。

 

「何が起こっているんですか!?」

 

「まさか、この学園に敵が潜り込んで…!」

 

昴を心配するアーシアと、周囲の警戒をする木場。

 

「……いや、違う」

 

心配する2人を制止する昴。

 

「…治ってる」

 

「…えっ?」

 

「身体が治ってる。さっきまでの重い身体と激痛が嘘のようだ」

 

何と、昴の怪我が完全に治ったのだ。

 

「いったい何が――」

 

「――おー、ようやくか」

 

そこへ、アザゼルがやって来た。

 

「スバルさんの身体に何が起こったんですか?」

 

「これまで、アーシアがかけ続けた聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)がようやく完全に効いたんだよ。もうそろそろだと思って来てみたが、ジャストタイミングだったみたいだな」

 

ニヤリとアザゼルが笑みを浮かべる。

 

「そうだったんですか…」

 

ひとまず、大事ではない事が分かり、木場はホッと胸を撫で下ろした。

 

「それより、良いのか?」

 

アザゼルが、とある方向を親指で指差す。

 

「…っと、そうだった! 木場、アーシア、スマンが、この場のフォローと後始末は頼んで良いか?」

 

昴は視線を周囲に向ける。その先には、怪訝そうな表情でこちらを見ている駒王学園の生徒達。突然、昴の身体が発光した所を目撃した為、ざわついている。

 

「うん、任せて。君は部長の所へ」

 

「スマン、助かる!」

 

後始末を木場に任せ、昴はリアスを追って走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

「…」

 

旧校舎のオカルト研の部室にリアスが1人、佇んでいた。

 

「昴…」

 

ポツリと呟くリアス。昴の姿を見かけ、思わずここに逃げ込んでしまった。

 

「私は…」

 

サイラオーグチームとのレーティングゲーム後、理由を付けて昴と対面する事を避けていたリアス。どんな顔をして昴と顔合わせて良いか、分からなかったからだ。昴の事を何も知らず、何も理解する事もなく、一方的に自分の想いと好意をぶつけ続けたリアス。それが昴をどれだけ困らせ、苦しめてきたのか理解せずに…。

 

「やっと追い付いた」

 

その時、部室の入り口から声が聞こえる。

 

「っ、昴――っ!? あなた、怪我は――」

 

突然の昴の来訪に驚くも、重症だったはずの身体が治っている事に驚くリアス。

 

「さっき治りました」

 

そう説明し、昴は部室内に足を踏み入れた。

 

「…そう、…っ」

 

これまでと変わらず、バツの悪そうな表情で昴から視線を逸らすリアス。

 

「……色々言いたい事はありますが、その前に、まず話さなければならない事があります」

 

「…えっ?」

 

「俺の過去。…正確には、俺の前世の事を…」

 

「あなたの…」

 

ここで改めて昴に視線を向けるリアス。

 

「聞いて下さい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・

 

 

昴は全て話した。

 

前世にて、昴がどのような人生を歩み、どのように死んだのかを…。

 

「これが、俺の前世での全てです」

 

「…」

 

一通り、話を聞いてリアスは、言葉を発せず、沈黙していた。

 

「……やはり、信じられませんか?」

 

「……いえ、信じるわ」

 

暫し沈黙をした後、リアスは口を開いた。

 

「と言うより、その話を聞いて合点がいったわ。あなたが異常に戦い慣れてる事や、大人びている事に…」

 

リアスの頭の中でピースがピッタリはまった事で、昴の話に納得した。

 

「…」

 

「…」

 

部室内を沈黙が支配する。

 

「……リアス」

 

「っ!?」

 

その沈黙を破ったのは昴。昴は『部長』ではなく、『リアス』と呼んだ。

 

「俺は、君の気持ちには気付いていた」

 

「…」

 

「だが、敢えて応える事はしなかった」

 

そう言って、昴はリアスに手が届く位置まで近寄る。

 

「自分の気持ちが分からなかったのもあるが、何より、前世を引きずる俺では、君を傷つけると、そう思っていたから」

 

「…」

 

「…けど、それは違った」

 

「…えっ?」

 

驚きの声を上げるリアス。

 

「最初は、命を救ってくれた恩義と興味で君の傍にいた。…でも、いつしか、俺は君に惹かれていた。自分の夢と目標に真っすぐで、ひた向きな君に…」

 

「昴…」

 

「ホントは、君に嫌われたくなかったから、応える事が出来なかった。俺の過去を知れば、君は俺を拒絶すると思っていたから」

 

「っ! そんな事――」

 

「サイラオーグさんと戦っている時に、俺は自分の事を理解した。俺が今、何の為に戦っているかを…」

 

そう言って、昴はリアスの両肩に手をかける。

 

「リアス。改めて、言わせてほしい。俺の命が続く限り、君の傍に居させて欲しい。君の眷属としてだけでなく、君を心から愛する1人の男として…」

 

真剣な目を向け、昴はリアスに告げた。

 

「…」

 

返事を待つ昴。

 

「――」

 

すると、リアスの瞳から涙が溢れた。

 

「…っ、リアス?」

 

「……嬉しい」

 

頬を伝う涙を拭う事無く、リアスが口を開く。

 

「やっと…、私の名前を呼んでくれた。…やっと、私の想いを受け入れてくれた…!」

 

とめどなく瞳から溢れる涙。しかしそれは、悲しみのものではなく、歓喜によるもの。

 

「不安だった。あなたは私の事、女として見てくれていないのかもって。以前にあなたの心の奥底の感情を知った時、私は自分の事だけで、あなたの事を何も考えないで、あなたの傷付けていたって」

 

「…」

 

「だから、サイラオーグとの試合の後、私はあなたにどういう顔をして話をしたらいいか、分からなくて、ずっとあなたを避け続けた」

 

ここで初めてリアスは涙を拭う。

 

「私もあなたを愛しているわ! あなたの主としてだけではなく、1人の女として! だから…!」

 

リアスは昴の顔に自身の顔を近付け、唇を重ねる。

 

「ずっとあなたの傍にいるわ。私の命が尽きるその時まで…!」

 

心からの言葉を笑顔で昴にぶつけたリアス。再びその瞳から涙が溢れた。

 

「ありがとう」

 

笑みを浮かべながらそう言葉を紡ぐ昴、親指で涙を拭い、今度は昴からリアスの唇に自身の唇を重ねる――。

 

「――ん!?」

 

と、しようとした時、昴はリアスの唇に人差し指を当てる。

 

「…ロマンチックに俺から……って、思いましたが…」

 

苦笑しながら昴は後ろを振り返る。

 

「――あっ!?」

 

昴の視線を追ったリアスは気付いた。

 

『――あっ』

 

そこには、グレモリー眷属を始め、イリナにレイヴェル達が部室を覗いていた。

 

「気付かれてしまったか! だが、これで心置きなく昴にアプローチ出来ると言うものだ!」

 

胸を張るゼノヴィア。

 

「私も本格的に参戦よ!」

 

宣言するようにイリナが昴を指差す。

 

「おめでとうございます! これで私も心置きなくお姉様に続く事が出来ます!」

 

目に涙を浮かべるアーシア。

 

「あらあら、これまでは私も遠慮してまいりましたが、これでようやく本格的に狙えるわけですわね」

 

妖艶な笑みを浮かべる朱乃。

 

「おめでとうございます。…それと、ここからが本番…ですよね?」

 

意味深に呟く小猫。

 

「ごめんね。…けど、誤魔化すの大変だったから、このくらいは良いよね?」

 

「うぅぅ、感動じま゛じだぁぁぁっ!!!」

 

軽く謝る木場と大号泣のギャスパー。

 

「全く、学校内だと言うのに。…ですが、今日だけは大目に見てあげます」

 

立場上、咎めるが、結局は許容するロスヴァイセ。

 

「あわわ…! 何て素敵な告白…!」

 

頬を染め、両手で顔を隠しながら2人を見つめるレイヴェル。

 

「あなた達…!」

 

ぶるぶると身体を震わせるリアス。

 

『…っ!?』

 

怒りを露にするリアスを見た眷属達+イリナとレイヴェルは、脱兎の如く、部室から逃げ出していく。

 

「待ちなさーい!」

 

逃げる皆をリアスが怒り心頭で追いかけていく。

 

「やれやれ…」

 

その光景を見て、苦笑する昴。

 

 

――お幸せに、御主人様!

 

 

「っ!?」

 

突然、昴に届いた言葉。昴はその正体を探す為、周囲を見渡す。背後の窓に振り返るとそこには、靖王伝家があった。

 

「…ありがとう。…けど、皆の事も、忘れないよ」

 

昴は靖王伝家に語り掛けたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

激戦を経て、勝利を掴んだ昴達、リアス・グレモリーチーム。

 

その後の学園祭にて、自身の過去と想いを全てリアスに告げ、晴れて結ばれる事となった。

 

こうして、学園祭は幕を閉じたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





と言う訳で、第十章、学園祭のライオンハート、これにて完結です…!(^ ^)!

何気に、この章を書き始めたのが2022年の10月と、2年と半年かかりました…(;^ω^)

当時はもう1つの二次がメインだったとは言え、元々はこっちが始めに書き始めたのにまあホントにほったらかしにしちまいましたorz

また昔みたいに投稿ペース戻さんと…(>_<)

次話から新章に突入する訳ですが、次章がこの二次のターニングポイントになる予定です。当初のプロットどおりに進めるか、それとも途中から思い付いた構想で進めるか…。

率直に悩んでいます。

どちらにするにせよ、中盤までは書き進められますが、終盤から方向性を定めなければなりません。

マジでどうしよう…(;^ω^)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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