ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

5月も終わりか…。

それではどうぞ!



Life.138~嫌悪、頼み事~

 

 

 

京都での騒乱後に昴が始めた、歴代の赤龍帝達を赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)からの解放…。

 

着実に解放が進む中、次に選んだのは、ドライグにして、歴代最凶と目される赤龍帝。

 

その者の内部に潜り込んで暫しの間の探索の後、その最凶と呼ばれる赤龍帝が、昴の目の前に現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「ジャック・ザ・リッパー…、確か、今より何百年か前に、海外の何処かでそんな名称の殺人鬼がいたと言う話だったが…」

 

『あ奴の事だ』

 

昴の呟きに、ドライグが頷いた。

 

「犯人は捕まらなかったって話だが、…なるほど、神器(セイクリッドギア)、それも、神滅具(ロンギヌス)の所持者なら、そりゃ捕まらねえわな」

 

呆れる昴。

 

「さてさて…、わざわざ何の為に私に会いに来たか、聞いてみちゃったりしようかな♪」

 

ニヤニヤとしながら昴に尋ねるジャック・ザ・リッパー。

 

「一応聞いとくが、神器(セイクリッドギア)から出て行くつもりはないか?」

 

質問に答える昴。

 

「えー、どうしよーかなー」

 

身体をクネクネさせながら考える素振りをするジャック・ザ・リッパー。

 

「……うん、やだ♪」

 

ペロっと下を出すジャック・ザ・リッパー。

 

「だろうな」

 

想定した答えだった為、昴は表情を変えなかった。

 

「こっちとしては、素直に出てってくれるならそれに越したことはないが、応じないなら、無理やり叩き出しても構わないんだが?」

 

村雨を肩にかけながら睨み付ける昴。

 

「おー怖い怖い♪ 君にそんな権利はないと思うけどー?」

 

「ああ、ねえよ。俺は単にお前のような外道が気に入らねえだけだからな」

 

「酷い言い草だねー。私は君程人を殺しちゃいないよ? 君に私を外道なんて言う資格なんてないんじゃないかなー?」

 

「…」

 

「あはっ♪ 黙秘しても無駄だよ。面白い事にここは、君が見て来たものが私にも見えたりするんだ。…君、とんでもない人間を殺してきたみたいだね。何千…いや何万…いや、もっとか。それに比べれば、私は君の半分どころか、10分の1にも満たない。君に比べれば、私なんて可愛いものだと思わない?」

 

「…」

 

「君も所詮、私と同じだよ。目的の為なら人だって平気で殺す。私は自覚はあるし言い訳だってしないけど、まさか自分の場合は違うだなんて、言わないよね?」

 

煽るように昴に問い掛ける。

 

「言わねえよ。…1つ言っておくが、俺は自分が正義の味方だなんて欠片も思った事はないし、俺の行いが善だとも思ってない。俺はあくまで、俺自身が正しいと思う事をやっただけだからな」

 

「アッハハハ! やっぱり君も私と同じじゃないか♪」

 

満足気に手を叩くジャック・ザ・リッパー。

 

「……最後にもう1回だけ聞くぞ。これが最後だ。…さっさとここから出て行くつもりはないか?」

 

「だーかーらー、さっきも言ったでしょー。嫌だって♪」

 

おちょくるように舌を出すジャック・ザ・リッパー。

 

「…分かった。だったら、今からお前をここから叩き出す」

 

村雨を一振りすると、昴はジャック・ザ・リッパーに向かって歩き出した。

 

「乱暴だなー。残念だけど、私はここが気に入っているんだ。…大人しく出て行く気はないよ」

 

パチン! と、指を鳴らすジャック・ザ・リッパー。すると、周囲の風景が一変し始めた。

 

「っ!?」

 

周辺に景色が変わると、昴は思わず目を見開いた。

 

「あはっ♪ 気に入ってくれたかな♪」

 

それは、昴にとって見覚えのある景色、…駒王学園であった。

 

「言ったでしょー? 君が見て来たものが見えるって。どう? 我ながらかなり再現出来てると思うんだけどー? それともういっちょ♪」

 

再びパチン! と、指を鳴らすと、地面からまるで生えるように人が現れる。

 

「…ちっ」

 

思わず舌打ちをする昴。現れたのは、グレモリー眷属や、シトリー眷属。他様々、昴が見知った者ばかりであったからだ。

 

「それじゃ、私はこれで、バイバーイ♪」

 

にこやかに手を振り、ジャック・ザ・リッパーはその場を後にしようとする。

 

「逃がすと思って――」

 

 

――ガギィン!!!

 

 

追いかけようとしたその時、木場の姿をした少年に剣で斬りつけられ、咄嗟に村雨で受け止めた。

 

「…邪魔すんなら、全員叩き斬るだけだ」

 

村雨を振るい。剣を弾き飛ばすと、そのまま木場の姿をした少年に村雨を振るった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

説得が失敗に終わり、始まった戦い。次々へと襲い掛かる者を斬り続ける昴。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

「がはっ! ……昴君、どうして――」

 

片口から腰部にかけてを斬り付けられた木場が吐血し、昴を悲し気な表情で見つめ、絶命していく。

 

「祐斗君!? よくも!」

 

「許せません。祐斗先輩の仇です!」

 

憎しみの籠った視線を向けながら朱乃の姿をした少女が雷を昴に打ち込み、小猫の姿をした少女が殴り掛かる。

 

 

――バシィッ!!!

 

 

昴は十字槍の銀閃を発現させ、投擲し、雷を避雷針にして避け、すぐさま朱乃との距離を詰め、その首を刎ねる。

 

 

――スッ…。

 

 

小猫の拳を半身になりながら避けながらその振り抜いた腕を掴み、その勢いを利用して上空に放り投げ、身動きが取れなくなった所に氣弾を撃ち込み、心臓部分を撃ち抜いた。

 

「お前どうしちまったんだよ! 正気に戻れよ!」

 

そう叫んだ匙の姿をした少年がヴリトラのラインを昴に向かって伸ばし、拘束を計ろうとする。

 

「…」

 

ラインが昴に絡まる寸前に昴の姿が消え失せる。

 

「がっ! はっ…!」

 

匙の背後へと回り込んだ昴が回転しながら村雨を振るい、胴から真っ二つに斬り裂いた。

 

「…何で…だよ――」

 

そう言い残し、絶命する匙。

 

その後も、昴の見知った姿をした者が昴に襲い掛かる。それは、仲間や味方だけではなく、曹操の姿をした者や、ロキの姿をした者など、かつて戦った事のある者も含まれていた。

 

「姿形は似せれても、実力までは再現出来ないみたいだな」

 

昴の言葉通り、現れた者は、声や姿、ある程度の戦い方は本人に似ているが、実力はほとんど再現出来ていなかった。

 

『アハハ! 君凄いね! よくもまあ仲間や知り合いをこう躊躇いもなく殺せるよ』

 

姿を隠したジャック・ザ・リッパーが愉快そうに笑う。

 

「所詮、偽物だろうが」

 

表情を変えずに返す昴。

 

「昴!」

 

背後から声が響き、振り返るとそこには、リアスの姿をした少女が立っていた。

 

「どうして…! あなたを信じていたのに!!!」

 

悲痛な表情で叫ぶリアス。

 

「…」

 

姿、声、仕草の全てが本物のリアスのそれである。だが、昴がこれに動揺する事はない。構わずリアスを斬り捨てようと、リアスに足の下へ足を進める。

 

「…っ」

 

その時、突然、背後に現れたサイラオーグの姿をした男が昴を羽交い締めにした。

 

「消し飛びなさい!」

 

同時に、リアスが昴に向けて滅びの一撃を撃ち込んだ。

 

「舐めるな!」

 

 

――ドォッ!!!

 

 

「がはっ!」

 

吐血するサイラオーグ。咄嗟に昴は上半身を前に倒した反動で背後のサイラオーグを前方に投げ、撃ち込まれた滅びの一撃を防いだ。

 

「…」

 

昴はリアスのすぐ傍まで距離を詰める。

 

「私を殺すの!? 私の可愛い下僕達や友人のように! 私を愛すると言ったあの言葉は、嘘だったの!?」

 

悲しみや怒り、憎しみの入り交じった表情で叫ぶリアス。

 

「…これ以上、リアスや俺の仲間を穢すんじゃねえ」

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

そう言って、昴はリアスの首を刎ねた。

 

「…」

 

これで自身の進攻を阻む者はいなくなった。…はずだったが…。

 

『どうして…!』

 

右肩から左腰部より下を失った木場が憎しみの籠った視線を昴に向ける。

 

『信じていたのに…!』

 

首だけになった朱乃も同様の視線を昴に向ける。

 

『裏切者!』

 

『人殺し!』

 

『最低です!』

 

『どうしてこんな酷い事を!』

 

『偽善者!』

 

その後も昴が斬り捨てた者が起き上がり、まるで呪詛の言葉の如く、昴に向けて怨嗟の言葉をぶつけていく。

 

 

――ドォォォォォッ!!!

 

 

昴は村雨を地面に勢いよく叩きつけ、その衝撃波で周囲一帯を跡形もなく吹き飛ばした。

 

「そんなもので俺の動揺を誘えると思うな」

 

表情1つ変えず、昴が言った。

 

「いつまでもお前の悪趣味に付き合うつもりはない。さっさと引き摺りだして――」

 

『後ろだ!!!』

 

その時、ドライグに注意を促され、昴が振り返る。しかし、そこには誰の姿もなかった。

 

『違う! その声は俺ではない!』

 

再びドライグの声、先程注意を促した声は、ドライグのものではなかった。

 

 

――スッ…。

 

 

昴の背後から、何者かが襲い掛かる。

 

「百も承知だ。そんな子供騙しに引っ掛かる訳――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――御主人様♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

返り討ちにしようと振り返るとそこには、かつて、昴が愛し愛された最愛の女性がいた。

 

「動揺したね♪」

 

その女性が昴に向けて靖王伝家を振るう。

 

「…っ!」

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

昴はそれよりも速く、村雨で胴を斬り裂いた。

 

「どう…して――」

 

悲痛の表情を昴に向け、地に倒れ伏した。

 

『アーハッハッハッ! やーちゃった、やっちゃった♪』

 

愉快そうに笑うジャック・ザ・リッパーの声が響き渡る。

 

『言ったでしょ? 君が見て来たものが。見えるって。それは君の前世だって例外じゃないのさ。…ねえ、自身の主や仲間だけでは飽き足らず、かつての伴侶まで殺した気分はどう? ねえ、今どんな気持ちー?』

 

煽り声を上げるジャック・ザ・リッパー。

 

『君が殺し、消し飛ばした者達は君の言う通り、確かに偽物だ。けどね、君の聞いた声や、殺した時の感触は本物さ。…どうだい、最高だろう?』

 

「…」

 

『あぁ…、幸せの絶頂にいる者が絶望に染まる瞬間、君のように強靭な心や精神を持つ者が怒りや憎しみに染まる瞬間の表情を観察するのは何度見てもたまらない! まさにエクスタシーだ♪』

 

とめどなく歓喜の言葉を、ジャック・ザ・リッパーは紡いだ。

 

「……なるほど、ドライグがここまで毛嫌いする訳がよく理解出来た」

 

グッ! と、村雨をきつく握りしめる昴。

 

「不愉快だ」

 

 

――ドォッ!!!

 

 

昴は村雨を投擲し、20m程離れた校舎の壁に突き刺した。

 

「いい加減、姿を現せ。でないと次は当てるぞ」

 

村雨が刺さった壁の方向を昴が睨み付けた。

 

『おー、怖い怖い♪』

 

おどけた声を出しながら、村雨が刺さった僅か数㎝横から、徐々に姿を露にした。

 

「これはこれは、ごきげんよう♪」

 

これまで見せた、木場や、リアスの姿ではなく、一昔前の西洋の紳士服を纏った男が挨拶をした。

 

「少々、趣向を凝らしてみましたが、いかがでしたかな?」

 

「最高だったぜ。ここ最近では2番目くらいに気分が悪くなるほどにな」

 

「それは何より♪」

 

能面のような表情の昴に対し、ジャック・ザ・リッパーは満足の表情。

 

「せめてもの礼だ。…受け取れ」

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

一瞬でジャック・ザ・リッパーの目の前まで移動した昴は、僅か横に刺さった村雨を掴み、そのままジャック・ザ・リッパーの首を刎ねた。

 

「……おや? これは凄い。全く見えなかった」

 

胴から斬り放され、転がる頭部。

 

「容赦なしですか。酷いお方だ」

 

「言ってろ」

 

 

――ドン!!!

 

 

右手を頭部に翳し、氣弾を放ち、跡形もなく吹き飛ばした。

 

「…」

 

その瞬間、周囲を支配する静寂。

 

「……ちっ」

 

思わず昴は舌打ちをする。

 

手応えがない。斬り飛ばす直前、ジャック・ザ・リッパーはダミーと入れ替わり、やり過ごしたのだ。

 

『…一度、出直した方が良い。こうなってしまっては、おいそれと姿を現さないだろう。この空間において、身を隠し、逃げ回る奴を見つけ出すのは、広大な砂漠で逃げ回る一粒の砂粒を見つける事より困難な行いだ』

 

窘めるドライグ。周辺に、ジャック・ザ・リッパーの気配や視線は感じない。

 

「…みたいだな。…ハァ」

 

溜息を吐いたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

内部から帰還し、歴代の赤龍帝が集う白い空間に戻ってきた。

 

「…」

 

憮然とした表情で昴は、ジャック・ザ・リッパーを見つめる。

 

「…っ」

 

例え、偽物と分かっていても、仲間や知り合いと同じ姿をした者をその手にかけるのは気分が悪い。

 

『俺の言った意味が理解出来ただろう?』

 

「…ああ」

 

忌々し気に頷く昴。

 

『いっその事、この場でこ奴を消し飛ばすか?』

 

まさかの提案をするドライグ。

 

「…いや、それじゃ、俺の気が済まねえ。それをするにしても、こんな無防備な状態じゃなく、内部に潜り込んで直々に叩き出してやるさ。…もっとも、あいつはそれを見越した上で俺を散々煽り倒してくれやがったってのが気に入らねえ所だが」

 

『相変わらず律儀な奴だ。あいつはお前が筋を通す程の価値など欠片もないが、お前がそう言うなら好きにするが良い』

 

昴の言葉に、ドライグはこれ以上、何も言わなかった。

 

「さて…、今日はもう、鍛錬って気分じゃないな。…進級試験のおさらいでもするか」

 

以前にサーゼクスにより、中級悪魔への進級を告げられた昴を始めとした一部のグレモリー眷属。それでも形式上、進級試験を受けなければならない。形式上とは言え、魔王の推薦を受けた者が無様な姿を晒す訳には行かない。

 

「…わざわざレイヴェルが気を利かせて資料を集めてくれたんだからな。それに報いんとな」

 

昴は自室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「よう、また夜更かしか? 不良学生」

 

移動中、アザゼルに遭遇した。

 

「…夜更かしって言う程の時間ではないと思いますが」

 

怪訝そうに返す昴。ちなみに現在の時刻は21時前である。

 

「丁度いい、喉渇いてんだ。茶でも淹れてくれや」

 

「これから進級試験の勉強をする所なんですが…」

 

「あん? そういや、昇格の為の試験を受けなきゃならねえんだったな。ったく、そんなしちめんどくせえしねえでさっさと上級悪魔に昇格させりゃいいものを…、相変わらず、悪魔ってのは頭が固ぇこった」

 

融通の利かない悪魔に眉を顰めるアザゼル。

 

「んなもんいらねえだろ。お前の事だ、もう筆記試験の重要な箇所は頭に入れてんだろ? 実技も問題ねえ。後は、レポートだったか? それも心配いらねえ。良いから早く茶淹れろ。こっちは喉がカラカラなんだよ」

 

手をヒラヒラさせながら催促するアザゼル。

 

「……ハァ。分かりましたよ」

 

諦めた昴は嘆息したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「どうぞ」

 

「おっ、サンキュー」

 

キッチンでお湯を沸かし、湯呑に茶を淹れ、客間で待つアザゼルに渡した。

 

「こんな時間にいったいどんな用で?」

 

アザゼルの対面に座った昴が尋ねる。

 

「何だ何だ? 随分と機嫌が悪いじゃねえか?」

 

昴の不機嫌さを感じ取ったアザゼル。

 

「……ええ、ちょっと」

 

「ハッハッハッ! リアスと喧嘩でもしたか?」

 

「そんなんじゃないですよ」

 

「お前に限ってそれはないか、…ズズズッ――ブー!!! ガハッ、ゴホッ!!! 何だこりゃ!?」

 

お茶を口にしたアザゼルが盛大に吐き出した。

 

「カッシュ様に頂いたお茶です。健康志向で良いお茶ですよ。味に難がありますが…ズズズッ」

 

そう説明し、昴も湯呑を口にする。←中身はアザゼルとは別物。

 

「んなもん出すんじゃねえよ。…ったく」

 

文句を言いながら勝手に冷蔵庫を開け、自前の飲み物を用意した。

 

「ホントに機嫌が悪いなお前。…何があった?」

 

席に座り直したアザゼルが尋ねる。

 

「…」

 

話すかどうか悩んだ昴だったが、隠す事でもなかったので説明した。

 

「……あいつか」

 

話を聞いたアザゼルが眉を顰めた。

 

「知ってるんですか?」

 

「ま、赤龍帝だった奴だからな。直接の面識はねえが、当時、何かと騒がせてた奴だったよ」

 

その当時の事を思い出したアザゼルの表情が険しくなる。

 

堕天使(俺達)にもちょっかい出してやがったからな。奴は赤龍帝…いや、白龍皇を含めた歴代の二天龍の中でも飛びぬけてイカレてた奴だったよ」

 

「…やはりですか」

 

眉を顰める昴。1度、相まみえただけだが、それを十二分に理解出来た。

 

「その非道ぶりが目に余って、当時の教会連中が奴を打倒しようとしたんだが、いかんせん、逃げ足だけは異常に速くてな。どうにかしようと躍起になった教会の連中が、綿密に策を練って、罠を弄して、ようやく、奴を追い詰めたんだが、あの野郎、死に際に覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を発動しやがって、結構な犠牲と被害が出てたぜ」

 

記憶を辿りながらアザゼルが話し、嘆息する。

 

「にしても、歴代の赤龍帝を神器(セイクリッドギア)からの解放か。可能なら良いアイディアだ。だが、これまではどうだったか知らねえが、奴に関しちゃ、ドライグの言う通り、とっとと叩き出すなり、消し飛ばすなりした方が賢明だぞ。俺から見ても、あいつは大人しく人の話を聞くとは思えねえからな」

 

そう言って、アザゼルは飲み物を口にした。

 

「ま、善処しますよ」

 

そう答え、昴も飲み物を口にした。

 

「……で?」

 

「あん?」

 

「わざわざ世間話をしに来た訳ではないのでしょう? 何か、大事な話があるのでは?」

 

ここで話を打ち切り、話題を変える昴。

 

「…フッ、相変わらず目聡い奴だ」

 

要件を見抜いた昴に苦笑するアザゼル。

 

「リアスは居るな?」

 

「ええ。ですが、今はアーシア達と入浴中です。もう少しで上がると思いますが…」

 

「…ちっ、タイミングが悪ぃな」

 

間が悪い時に来てしまい、頭を掻くアザゼル。

 

「本来はリアスからか、あるいはリアスを交えて話すのが筋なんだろうが、…先にお前に話しておく」

 

そう言って、アザゼルが表情を改めた。

 

「突然で悪いが、明日、この家に訪問者を呼ぶ」

 

「訪問者?」

 

「ああ。…だが、そいつがちょいと…いや、かなり訳アリでな」

 

「?」

 

歯切れの悪いアザゼル。

 

「お前達は確実にその訪問者に不満を漏らす。それどころか、殺意すら抱くだろう」

 

真剣な表情でアザゼルが告げる。

 

「…」

 

アザゼルの表情と今の言葉から、アザゼルが呼ぼうとしている訪問者が、禍の団(カオス・ブリゲード)に所属している者である事は想像が付いた。その中で最初に浮かんだのはヴァ―リチーム。だが、すぐに否定した。ヴァーリチームは確かに禍の団(カオス・ブリゲード)に所属している。何やら、昴の知らない所で暗躍しているようだが、派手なテロ行為や、非道な事をしたと言う話は聞いていない。迷惑を被ったのは、駒王学園での会談の時くらいであり、その後はロキとの戦いや、京都での戦いの時にはむしろ、手助けをしてもらったくらいだ。少なくとも、昴が殺意を抱く事はない。

 

「…」

 

次に浮かんだのは曹操を始めとした、英雄派の面々だ。しかし、これもすぐに否定した。まず間違いなく、何等かの企みなり、罠を仕掛けて来るのは明白。例え、どんな条件を提示したにしろ、昴と同等に曹操を知り、聡明なアザゼルが信用するはずもなく、そもそも、あの曹操がそんな手段を打って来る事はないだろう。

 

「…」

 

それ以外となると、昴には思い浮かばない。殺意を抱く程となると、そう候補はないはずなのだが…。

 

「……っ!?」

 

突如として、ハッとした表情をする。

 

その時、昴の頭の中に、とある候補が浮かんだ。昴が面識があり、かつ、殺意を抱くと言う、条件に触れる重大な候補が…。

 

「まさか…!」

 

「さすが、察しがいいな。その、まさか(・・・)だ」

 

昴の考えを察したアザゼルが頷いた。

 

「…あなたも、大胆な事をする。恐らくですが、この件はあなたの独断で進めている話でしょう? 事が明るみになるか、あるいは裏目に出れば、比喩でもなく、あなたの首が飛びかねないですよ?」

 

返事を聞き、背筋に冷たいものを滴らせながら苦笑する昴。

 

「覚悟の上だ。事が上手く運べば、今の情勢を一気に変えられる。これから先、出るかもしれない犠牲や被害を大きく抑えられるかもしれないからだ」

 

真剣な表情で返すアザゼル。その表情は覚悟に満ちており、文字通り、命を懸けている事が窺えた。

 

「お前の意見を聞きたい」

 

「…」

 

尋ねられ、顎に手を、小考した末、昴は口を開いた。

 

「リアスの立場と身の安全を考えれば、賛同はし兼ねます。さっきも言いましたが、事が公になるか、裏目に出れば、あなたは勿論、リアスや俺達の立場も危うくなります。…ひいては、サーゼクス様にもそれは及ぶでしょうから」

 

「…そうか」

 

「ですが、俺個人の意見を言わせてもらえば、アリです」

 

「…ほう?」

 

続けて出た昴の言葉を聞き、唸り声を上げるアザゼル。

 

「どの道、彼女(・・)は遅かれ早かれ、いつかは直面する事になる問題です。その問題を、話し合いで解決出来るかもしれないと言うなら、それに越した事はありません。リスクと天秤にかける価値は充分にあると思います」

 

「そうか」

 

この回答に、アザゼルは僅かに表情を和らげた。

 

「懸念点があるとすれば、まず間違いなく、英雄派の連中の妨害が入るだろう、と言う点です。今回の件、恐らくですが、ヴァーリを通じての事でしょう? 実質的な組織の御旗を失うかもしれない状況に、あの曹操が黙って見過ごすはずがない。何なら、既に何らかの仕込みなり、準備をしているかも…」

 

「だろうな。無論、あの曹操達(ガキ共)の好きにはさせねえさ」

 

「…ま、これが自分の意見です」

 

そう言い、昴はカップを置き、背もたれに背を預けた。

 

「…よし、なら、決定だ。明日、ここに連れて来る。この後、リアスを始めとした面々にも改めて話す。…まあ、誰が来るかはギリギリまで伏せるが」

 

「その方が良いでしょうね。俺も、知らなかった振りをします」

 

「助かる。……すまねえな。またお前達――いや、今回は、お前の双肩に重荷を背負わせる事になっちまって」

 

申し訳なさそうにアザゼルが言う。

 

「フフッ、俺の双肩で背負える程度の事なら、構いませんよ」

 

にこやかに昴は返した。

 

「(…ま、もし、事が最悪の方向に進み、その時、俺に命があったなら、はぐれにでもなれば、リアスやサーゼクス様に被るかもしれない責任をある程度は減らせるだろう。それでもダメなら、いざとなったら――)」

 

「相変わらず、分かりやすい奴だ。言っておくが、お前に責任まで背負わせるつもりはねえ。そんな事させるくらいなら、この首自分で刎ねてでも落とし前を付ける。…だから、早まった真似だけはすんなよ」

 

昴の考えを察したアザゼルが釘を刺す。

 

「…俺って、そんな分かりやすいですか?」

 

「いい加減、その程度の事は分かるくらいにはお前の事は理解したよ」

 

苦笑し、肩を竦めるアザゼル。

 

「なら、今回の件、何が何でも成功させなければなりませんね。…あなたには、まだいてもらわねば困りますから」

 

「それはお前も同じだ。…これから先、必要なのはお前のように将来有望な若い奴だ。俺のような死にぞこなったオッサンより先に逝くなよ」

 

「俺もそんなに若くはないんですけどね」

 

「…あっ? 確かお前、前世の記憶を持ってるんだっけか? ハッハッハッ! 俺から言わせりゃ、それでもお前はまだまだ若造だ」

 

昴の自虐に、アザゼルは豪快に笑う。

 

「…っと、リアスが風呂から上がったみたいですね。皆をここに集めて来ます」

 

「頼む」

 

気配を感じ、昴は席を立つと、リアスを始めとした、グレモリー眷属及び、関係者達を集めに向かったのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

神器(セイクリッドギア)にて、最凶の赤龍帝と会い、心乱された昴。

 

その後、自宅にやってきたアザゼルからとある頼み事をされる。

 

そして、その頼み事が、後に、昴達が大きな事件に巻き込まれる事となるとはこの時、誰も予想出来なかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





割かし早く次話を投稿出来たかなと思います…(;^ω^)

色々、原作のイベントをすっ飛ばしていますが、それはこれから書かれると思います。まあ、無理に原作をなぞる必要性はありませんし、何より、それでは原作のコピーとなってしまいますからね…(>_<)

まあ、この二次に関して言えば、今更ですがorz

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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