ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

梅雨入りし、梅雨明けせずとも、夏模様…。

それではどうぞ!



Life.139~驚愕の来訪、発情期~

 

 

 

アザゼルが来訪した次の日の朝…。

 

昨晩にアザゼルから、本日、来訪者が来ると告げられ、それを待つリアスを始めとした、グレモリー眷属達とイリナとレイヴェル。

 

「…」

 

その時、昴が立ち止まり、玄関の方向へ顔を向けた。

 

「? スバルさん?」

 

そんな昴に気付き、怪訝そうな顔でアーシアが声を掛けた。

 

「…来たか」

 

ポツリと昴が呟くと、直後にインターホンが鳴った。

 

「…っ、来たみたいね。出迎えに行きましょう」

 

リアスが皆を玄関へと誘った。

 

「(前に1度だけ顔を合わせただけだが、相変わらず、異質な気配だ。…さて、どうなるかな…)」

 

胸中で呟きながら、昴も皆の後に続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

『っ!?』

 

玄関を開けた瞬間、リアスを始めとした、グレモリー眷属達の目が一斉に見開いた。そこには、ゴスロリ衣装に身を包んだ細身の少女、そう、禍の団(カオス・ブリゲード)の実質的なトップである、オーフィスが立っていた。

 

「…」

 

ただ1人、昴だけは、事前にアザゼルから来訪者を聞いていた為、表情を変える事無く、皆の先頭に立った。

 

「久しい、ドライグ」

 

昴に視線を向けると、オーフィスは一言そう発した。

 

『…っ』

 

昴の後方で、リアス達が一斉に臨戦態勢の構えを取った。

 

「待て待て待て! 昨夜に言っただろ! 手は出すなって!」

 

慌ててアザゼルが両者の間に割って入った。

 

「アザゼル! これはいったいどういう事なの!? 何故オーフィスがここにいるの!? オーフィスはテロリストの親玉よ!? よりにもよって、同盟にとってもっとも重要なこの街、しかもこの家に連れて来るなんて、何を考えているの!?」

 

激昂するリアス。

 

「…リアスの言う通りですわ。オーフィスがここにいると言う事は、あなた、警備を騙して招き入れましたわね? これがどういう意味か、分かっていますの?」

 

平静を保ちつつも、怒りと不快感を醸し出しながら朱乃がアザゼルに問い詰める。

 

この街、駒王街は、三大勢力が同盟を結んだ地として、重要な扱いとなっており、警備体制が厳重となっており、いくらオーフィスと言えど、誰にも気づかれる事無く、ここへ来る事は不可能であり、何者かが手引きした事に他ならない。それはつまり、アザゼルが、悪魔や天使を騙してここへ招き入れたと言う事になる。

 

「えっ? えっ? どうしてここにオーフィスが? ミカエル様からは何も…」

 

イリナも、事前にミカエルからの通達は何もなく、この状況にただただ戸惑っていた。

 

「これは協定違反よ! 魔王様や天使長ミカエルに糾弾されても文句が言えない程の! 誰よりも各勢力との協力を訴えていたあなたが何故――」

 

「――だからこそだ」

 

尚も糾弾を続けるリアスに対し、真剣な顔でアザゼルが返した。

 

「…っ、誰よりも協力体勢を訴えて来たあなたがそうしたって事は、これも必要な事。そういう事なのね?」

 

アザゼルの言葉に落ち着きを取り戻したリアス。アザゼルは胡散臭い面はあるものの、三大勢力間や他の神話体系と協力体制を結ぶ事には積極的であり、それは、リアスもよく理解していた。

 

「黙ってこいつをここに連れて来た事はホントにすまん。だが、こいつの願いはもしかしたら、禍の団(カオス・ブリゲード)の存在を根本から揺るがす事が出来るかもしれないんだ。そうなれば、無駄な血も流さずに済むかもしれない。お前達が納得出来ないのは分かる。今回の事の責任は当然取る。だから、こいつの話だけでも聞いてくれないか?」

 

そう言って、アザゼルはリアス達に頭を下げた。

 

「…」

 

リアスは暫し小考し…。

 

「…そうね。結論は、そのオーフィスの話を聞いてからした方が良さそうね。皆も、良いわね?」

 

そう判断し、他の眷属達にも促す。

 

「…分かったわ。正直、納得出来ない所もあるけど、仕方ありませんわね」

 

渋々ではあるが、朱乃は頷く。

 

「良いだろう。私も先生には世話になっている身だ。ここはひとまず我慢しよう」

 

ゼノヴィアも渋々了承した。

 

「…ミカエルさまに黙っているって言うのが少し不安だけれど、私もリアスさん達を信じるわ」

 

イリナも同様に、不安を抱きながらも了承した。

 

「私も、お姉様を信じるだけです」

 

「私も、同感ですわ」

 

アーシアも了承し、レイヴェルも続くように了承した。

 

「…感謝する」

 

改めて、アザゼルは頭を下げた。

 

「それで、オーフィスだけなの? ヴァ―リチームは?」

 

リアスが尋ねる。今回の件は、ヴァ―リチームが絡んでいる事は昨夜、聞いていたからだ。すると…。

 

『…っ』

 

玄関前に小さな魔方陣が出現し、そこから人影が姿を現した。

 

「にゃっハロー、皆おひさー」

 

そこから黒歌が現れ、手をヒラヒラとさせた。

 

「ごきげんよう。京都ではお世話になりました。ルフェイ・ペンドラゴンです」

 

もう1つ魔方陣が現れ、そこから姿を現したのは、とんがり帽子にマントを羽織った魔法使い、ルフェイ。

 

「ぐるる…」

 

ルフェイの横には灰色の毛並みの、一見すると大型犬だが、神をも噛み砕く牙を持つ、神喰狼(フェンリル)がいた。

 

「「「わおっ♪」」」

 

フェンリルは駆け出すと、自身の我が子である、スコルとハティと抱き合った。

 

「わぁ、親子の感動の再会ですね♪」

 

3匹の抱き合う姿を見たルフェイが感嘆の声を上げる。

 

「2人だけ? ヴァ―リはいないの?」

 

「ヴァ―リは別行動にゃ」

 

リーダーであるヴァーリが姿を現さず、その事を尋ねると、黒歌がそう返す。

 

「ところで、オーフィスはどこ行ったにゃん?」

 

「えっ? そう言えば…」

 

黒歌に尋ねられ、リアスが周囲を見渡す。さっきまでここにいたオーフィスの姿がない事に気付く。すると、アーシアがおずおずと答えた。

 

「あの、オーフィスさんなら、昴さんと一緒にお家の中に…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「急な訪問だったんで、どこも店が開いてなくてな。急遽、手作りしたんだが、味はどうだ?」

 

「…なかなか美味」

 

昴の宅のⅤIPルームにて、カップに紅茶を注ぎ、オーフィスの前に置いた昴。オーフィスはお皿に盛られたケーキを口に運び、一言そう感想を口にした。表情こそ変わらないが、味には満足の様子。

 

「それは何よりだ」

 

好評を受け、昴は満足気に頷く。

 

「ちょっと、昴…」

 

リアスがオーフィスをもてなす昴の腕を引っ張り、部屋の隅に移動する。

 

「どうしてそんな当たり前のようにおもてなししてるのよ…!」

 

オーフィスに聞こえないようにボソッと尋ねるリアス。

 

「いや、客だし…」

 

「あのね…、オーフィスはテロリストのトップなのよ? もし、何かあったら…」

 

あっけらかんと答える昴に、リアスがやきもきしながら注意を促す。

 

「大丈夫大丈夫。オーフィスからは殺気はおろか、敵意や悪意は一切感じないし、そもそも、オーフィスの目的はグレートレッドなんだから、こっちから手を出さなきゃ向こうも何もしないって」

 

「だからって…」

 

「心配いらねえよ」

 

尚も食い下がるリアスに、アザゼルが割って入る。

 

「オーフィスは曹操やヴァ―リに比べれば、好戦的な意思はほぼないと言ってもいい。昴の言う通り、こっちから突かなきゃ、グレートレッド以外には手は出さんさ」

 

オーフィスの安全性を保障した。

 

「さて…」

 

再び昴がオーフィスの前に歩み寄り、テーブルを挟んだ対面のソファーに腰掛けた。

 

「俺達に用がある。…と言う事で良いか?」

 

「…話、したい」

 

昴の問いに、オーフィスが肯定の意志を示す。

 

「…」

 

「…」

 

昴とオーフィス。互いに見つめ合う両者。

 

『…』

 

そんな2人を固唾を飲んで見守るリアス達。

 

「…その前に」

 

『?』

 

「おかわり」

 

テーブルの上の、ケーキが乗っていた皿を指差すオーフィス。

 

「…そんなに気に入ったのか? アーシア。冷蔵庫に残りがあるから持ってきてくれないか?」

 

「わ、分かりました!」

 

アーシアは部屋を後にしていった。

 

「ありゃりゃ? 珍しい。そんなに赤龍帝ちんのケーキは美味しかったのかにゃ? なら私も食べたーい!」

 

「あっ!? 黒歌さんだけずるいです!」

 

黒歌とルフェイも、このオーフィスが珍しかったのか、昴のケーキに興味を示した。

 

「…アーシアから分けてもらってくれ」

 

「了解にゃ♪」

 

「ありがとうございます!」

 

満面の笑みで2人はアーシアの後を追って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・・・・・

・・・・

 

 

「何これ! めっちゃ美味しいじゃん!」

 

「ほっぺが蕩けそうです…!」

 

離れたテーブルでケーキに舌鼓を打っている黒歌とルフェイ。

 

「…(もぐもぐ)」

 

オーフィスも無言でケーキを食していた。

 

「…」

 

対面に座る昴は、苦笑しながらその光景を見つめていた。

 

「…」

 

食べ終わったオーフィスが小さくカシャンと音を立てながらフォークを空いた皿の上に置き、昴に視線を向けた。

 

『…っ』

 

遂にオーフィスの話が始まる事を察したリアス達の緊張感が高まる。

 

「…ドライグ、天龍をやめる?」

 

重苦しい空気の中、オーフィスがそう口にした。

 

「? すまない、もう少し、分かりやすい言い回しをしてくれないか?」

 

簡潔過ぎて質問の意図を理解出来なかった昴。

 

「宿主の人間、これまでとは違う。ヴァ―リもそうだが、ドライグはさらに異なる。我、とっても不思議」

 

かつての二天龍とは違う姿を見せている現二天龍の昴とヴァ―リを不思議がっているオーフィス。赤龍帝だけでも、破滅した者、野望を抱いた者、あるいは悪行を重ねた者など、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)に目覚めた事で人生を狂わせた者が大半であり、オーフィスはそんな二天龍を見て来たからだ。

 

「だから訊きたい。ドライグ、何になる?」

 

首をコテンと傾げながらオーフィスが再度尋ねた。

 

「ふむ…」

 

質問の意図を理解した昴。その答えを思考する。

 

「簡単そうで難しい質問だな。俺は別に、何かになりたい訳でも、なりたかった訳でもないからな」

 

考えた末に出た答えを告げた。

 

「封じられる前のドライグ、『覇』を求めていた。禍の団(カオス・ブリゲード)の者達も同じ、『覇』を求めた。ドライグは違う?」

 

「…俺もかつて、『覇』を求め、その道を歩いた事はある。俺の考える理想を叶えるには、その道しかなかったからだ」

 

表情を改めた昴。

 

「結果、思い描いた理想は叶える事は出来た。…計り知れない犠牲と引き換えに…」

 

僅かに俯いた昴の表情が一瞬、悲痛なものに変わる。

 

「…ま、この辺の話は話すと長くなるし、あまり本筋から逸れるから割愛するが、俺は覇を求めたその先の答えの1つを見て来た。この世界に比べれば遙かに小さい世界の話かもしれないが、それでも、その世界は、俺にとって、許容できるものではなかった。だから――」

 

昴は顔を上げ、オーフィスの目を見据え…。

 

「――俺はもう、2度と覇を求めない」

 

確固たる意志の籠った表情で告げた。

 

「…では、ドライグは何を求める?」

 

その目を見つめ返しながらオーフィスが尋ねる。

 

「何を…か、そうだな…」

 

顎に手を、昴が考え込み、そして答えを出した。

 

「強いて、1文字で言うなら、『和』、だな」

 

「『和』?」

 

答えの意味が理解出来なかったオーフィスが再び首を傾げる。

 

「ああ。平和、調和、色んな言い回しが出来る。理不尽な争いのない世界。…それが俺の求めるものだ」

 

ニコリする昴。

 

「…それを手に入れたら、どうなる?」

 

「どうなるかは分からないさ。結局の所、何を得られるか、何を手に入れられるかはその者次第。必ずしも、それが叶うとは限らない。…だが少なくとも、何を目指すか、どう生きるかは自らの意志で選べる」

 

『…』

 

昴の言葉に、その場にいる者全てが引き込まれ、誰も言葉を発する事無く耳を傾けている。

 

「だが、他者と争い、いがみ合う世界では、叶う叶わない以前に、それに手を伸ばす事すら選べない。…酷けりゃ、未来すら奪われちまう。だから俺は、『和』を求めるのさ。ヒトは、生き方や歩む道を、不当に奪ったり強制されるべきではないからな」

 

「……分からない」

 

昴の言葉に耳を傾けているオーフィスだが、その言葉の真意が理解出来ないのか、相変わらず首を傾げている。

 

「まぁ、強大過ぎる力を持つオーフィスには理解は難しいかもな。…だったら、見届ければいい」

 

「見届ける?」

 

「オーフィスは、次元の狭間で静寂を得るのが目的だったな? それが叶うにしても、それまで時間は充分過ぎる程ある。この世界には、人間も、天使も堕天使も、妖怪やそれ以外の存在もそれこそ無数に存在する。それぞれが多種多様な生き方をし、多種多様な道を歩み、多種多様に何かを求めている。それを見届ければ、少しは俺の言葉の意味が分かる…かもな」

 

そう言って、昴はフゥっと一息吐き、カップの飲み物を口にした。

 

「…」

 

オーフィスは、昴の言葉を受け止め、何かを考えている様子。

 

「……分からない。我にはドライグの言葉の意味が。…だが」

 

そう言って、オーフィスはすくっと立ち上がり、昴の傍までテーブルを回り込みながら歩み寄る。

 

「やはり、このドライグ、これまでのどのドライグとも違う。アルビオンとも。だから――」

 

「おっと?」

 

オーフィスは椅子に座る昴の膝に飛び乗り、自身の顔が昴の顔に触れる寸前まで近付ける。

 

「ちょっ!? あなた何を…!」

 

その行動にリアスが咎めようとするも、相手がテロリストのトップであり、強大な力の持ち主の為、強硬手段には出れず、戸惑う。

 

「我、見届けてみたい。この所有者の行く末を…」

 

まじまじと、顔が触れ合う程の距離で昴の見据えた。

 

「うーん…」

 

この行動に苦笑し、頬を掻きながらアザゼルに視線を向ける。

 

「数日だけでもここに置いてやってくれ。オーフィスはこの通り、お前に興味を持ってるからな。見てるだけなら、特に害はないだろ?」

 

「…まあ、俺は構いませんが」

 

アザゼルの提案に、昴は了承の意志を見せるが、事が事だけに、自分の一存だけで決める事が出来ず、リアスに視線を向ける。

 

「…昴が良いと言うなら構わないわ。もちろん、警戒は最大限させてもらうし、いざとなったら力づくで止めに入らせてはもらうけど。…と言うか、いつまでそうしてつもりなのかしら? いくら何でもその…近過ぎるわよ」

 

昴の意志を尊重するも、それはそれとして顔同士が触れ合う程に密着している両者を見て、リアスがそれとなく苦言を呈す。

 

「すまん。事が上手く運べば、必ず各勢力の脅威を緩和するきっかけになる」

 

昴とリアスの寛大な判断にアザゼルは頭を下げた。

 

「あっ、オーフィスが残るなら私もここに残るから、よろしくにゃん♪」

 

「不躾ながら、私もお世話になります!」

 

美味しそうにケーキを食していた黒歌とルフェイも逗留を決めたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「あー、今日もにぎやかな1日だったな」

 

時刻は夜更け。昴はベッドへと横たわった。

 

「まさか、こんな事になるとはな」

 

天井を見つめながらポツリと呟く。

 

 

オーフィスの来訪、そこからなし崩し的に決まった逗留。その後、リアス達は各々、試験勉強に打ち込んだり、トレーニングをしたりなど、いつもと変わらない日常を過ごそうと試みるも、皆、やはり、オーフィスの存在が否が応でも意識してしまっていた。

 

『…』

 

『…』

 

椅子に座って何事もなかったかのように本を読む昴と、その横でそんな昴を見つめるオーフィス。

 

『よくもまあ、横で敵のトップが見つめているのに平然としてられるものだな…』

 

いつもと変わらない日常を過ごしている昴を見て、ゼノヴィアは驚愕と呆れの混じった表情で呟く。

 

そもそも、オーフィスには殺気はおろか、敵意や悪意といった感情が一切ない為、特に昴は警戒らしい警戒はしていなかった。当初は、オーフィスを警戒している面々だったが、アーシアが紅茶をお茶菓子を出した事から始まり、イリナもオーフィスをトランプを誘ったりし、ゆっくりではあるが、少しずつ打ち解け始めていた。その後、日課であるトレーニングを終え、汗を流した後、就寝の流れになり、オーフィスは寝室まで昴の後に付いて行こうとしたが、さすがに遠慮してもらった。

 

「オーフィス…彼? 彼女? は…」

 

件のオーフィスの事を思い返す昴。先の通り、オーフィスには殺気や悪意、邪念と言ったものがない。少し話してみて、昴はとある事を半ば確信していた。

 

「さて…、きっと明日ももっと賑やかになるだろうな」

 

そんな確信めいた独り言を呟きながら、昴は瞳を閉じ、眠りへと入るのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

――キィ…。

 

 

「?」

 

就寝に入り、幾ばくかの時間が経った時、昴は何者かの気配を察知し、目を覚ます。

 

「(誰だ? 気配からして、敵ではないが…)」

 

眠りから覚醒したばかりで、気配は感知出来ても、それが何者なのかまでは理解出来ていない。部屋も完全な暗闇な為、その正体を視認できない。基本的に、余程の重大な要件か、非常事態でもない限り、就寝後に昴の部屋にやってくる者はいない。リアスにしても同様である。

 

「にゃぁぁ」

 

「おっと!」

 

そんな声と共に昴にその何者かが飛び乗り、咄嗟に昴が抱きしめた。

 

「小猫か?」

 

耳に入った声と体格から、正体を理解した昴は、手を伸ばしてリモコンを掴み、部屋の照明の付けた。照明が付き、部屋が明るくなると、そこには目をトロンとさせた小猫の姿があった。

 

「どうかしたのか?」

 

何処か小猫の様子がおかしい事を理解しつつ、昴は落ち着いて尋ねる。

 

「……先輩。…私、先輩の赤ちゃんがほしいです…」

 

尋ねられた小猫の口から飛び出したのは、普段の小猫からは考えられない言葉だった。

 

「…」

 

思わず黙り込む昴。

 

普段の小猫はこの手の冗談はもちろん、半ば夜這い紛いの事もしたりはしない。

 

「(この子は変装でも偽物でもなく、紛れもなく本物の小猫だ。見た所、魔法や薬の類のものも感じない。…だが、氣がかなり乱れている事が気にかかる…)」

 

目の前の小猫が本物である事は間違いない。なら、どうして小猫がこんな事を…。

 

「にゃぁぁ…、先輩…」

 

切なそうに昴を求め、昴の首筋を一舐めする小猫。

 

「……すまん、小猫」

 

「…っ!」

 

一言謝り、小猫の眉間を指でトンと突き、意識を奪った。

 

「いったい何が――確認したい事がある、入って来いよ」

 

昴は部屋の入口に視線を向け、呼びかけた。

 

「ありゃりゃ? 気付いてたの?」

 

そんな声と共に室内に黒歌が入って来た。

 

「当たり前だ…見た所、お前の差し金って訳でもなさそうだな。…もしかしてこれは、発情期って奴か?」

 

以前、黒歌と戦った後、猫又について調べた事があり、その過程で知った事だ。

 

「正解♪」

 

確認すると、黒歌は両手で大きな丸を作った。

 

「やはりか。…だが、前に調べた文献じゃ、こんな早くに入るとは書いてなかったが…」

 

「普通はね。どうやら、普段から君にエッチなアプローチをかける君の主や眷属達に感化されちゃったのね」

 

「…そういう事か」

 

理由を聞き、自分のせいである事を知り、頭を抱える。

 

「体調不良って聞いてたが、オーフィスが来ても顔を出さなかったのはそういう事だったのか…」

 

「もしかして、このまま白音と子作りに突入しちゃう感じ?」

 

「しねーよ」

 

からかうように尋ねる黒歌に、昴は即答で否定。小猫に魅力を感じない訳でも、興味がない訳でもない。今の小猫の身体はそれを行うには小さすぎるのだ。

 

「ま、今はそれがいいにゃん。…えい♪」

 

「…ぅ」

 

僅かに呻き声を上げる小猫。黒歌は昴に抱きしめられている小猫の首筋にちょんと突いたのだ。

 

「(…っ、あんだけ乱れていた小猫の氣が安定した)」

 

直後、小猫の氣の流れが安定した事に昴は気付いた。

 

「じゃ、後は任せるにゃん。私は白音が目を覚ます前にずらかるわ。お邪魔虫ならぬ、お邪魔猫扱いされて恨まれたくないからね♪」

 

そう言って、黒歌は手をヒラヒラさせながら部屋を後にしようとする。

 

「…なあ、お前が今回、オーフィスと共にここに来たのは――」

 

「――さてね。いつもの猫の気まぐれにゃん♪」

 

舌を出し、黒歌は部屋を後にしていった。

 

「…やれやれ、相変わらず素直じゃねえな」

 

そんな黒歌に苦笑しつつ、昴は小猫を抱きかかえ、小猫の部屋に運び、ベッドに寝かせ、部屋に戻ると、改めて眠りに付いたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

突然のオーフィスの来訪…。

 

リアス達は驚愕しつつも受け入れ、オーフィスの話を聞く。

 

結果、昴に興味を持ったオーフィスが昴宅にしばらく留まる事となる。

 

さらに小猫の身体の異変…。

 

そして夜は明ける……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





間隔が空いてしまい申し訳…m(_ _)m

プライベートの問題やモチベーションの問題など、言い訳は様々です…(;^ω^)

前話で説明し忘れましたが、昴は、リアスや朱乃に関して、公の場以外では敬語はやめています。ですので、基本、2人にも今後はタメ口ですのでご了承を…。

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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