ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.14~主の苦悩、フェニックス~

 

 

 

「私の処女をもらってちょうだい。至急頼むわ」

 

部長が俺に詰め寄り、言い放った。

 

 

――何がどうなってる? いったい何が起こってるんだ?

 

 

何故突然こんなことになっているのか。当事者の俺にもさっぱり分からない。今日も今日とでいつものように学校へ登校し、授業を受け、放課後にオカルト研に行って表向きの部活に参加した。その後、悪魔稼業に精をだし、アーシアと共に帰宅した。

 

後は夕飯を食って、風呂に入って、自室のベッドの上でストレッチをしていると、突如部屋の床に魔方陣が現れ、そして部長が姿を見せ…。

 

「今の状況に至る」

 

「? 何を言っているの?」

 

「いえ、何でもありません」

 

お約束の状況説明です。

 

「とにかく、今すぐ私を抱きなさい」

 

部長がスカートを脱ぎ捨て、上着のボタンを1つ1つ外し、下着姿となった。その姿は至って神秘的だ。

 

「部長、これはいったいどういうことです?」

 

俺は冷静に部長に問いかけた。

 

「お願い。今は黙って私に身をゆだねなさい」

 

部長がブラジャーのホックに手を回し、胸をはだけだした。

 

俺は外したブラジャーが床に落ちるより速く…。

 

 

――ファサ…。

 

 

ベッドの掛布団を部長に纏わせ、身体を隠させると、ベッドから降り、部屋の中央まで歩いた。

 

「ここまでにしてください」

 

俺は拒否の意を部長に伝えた。

 

「私では不満なの?」

 

「いえいえ、部長程の女性に不満はありませんよ」

 

「だったら…!」

 

俺は部長の言葉を遮り…。

 

「俺も男です。女性にはもちろん興味もあります。……ですが、気持ちも何もなくかつ何かの問題から逃げるための口実のために女性を抱くほど俺は薄情ではありません」

 

「っ!?」

 

部長が大きく目を見開いた。

 

「誇りある主の下僕として、今の部長と肌を重ねることはできません」

 

「…私に恥をかかせるの?」

 

部長が俺から目を背けながら囁く。

 

「失礼ながら。ここで安易に行動すれば部長に一生拭えない恥を傷と共に与えてしまうと思います。ですから、この場はわずかな恥と共に治めさせていただきます。その叱責はいかようにも…」

 

俺は部長に振り返り、肩膝を付いて頭を下げた。

 

「…まったく、あなたも裕斗と同じ、根っからのナイトなのね」

 

部長は溜め息を吐きながら呟く。すると突然、部屋の床がまた新たに光りだした。

 

「どちらにせよ、もう手遅れね」

 

床の光は魔方陣を作り出す。

 

…この魔方陣はグレモリー眷属の…。でも、この気配はその眷属の誰でもない…。

 

俺は咄嗟に部長を背後に庇える位置に移動した。

 

魔方陣から現れたのは銀髪を携え、メイド服を着た若い女性だった。

 

誰だこの女性は…。敵意や殺気がないところを見ると、敵ではないんだろうが…。それにしてもこのメイドさん…。

 

 

 

――圧倒的にできる…。

 

 

 

多分、戦えば俺は完膚無きまでに叩きのめされるだろう。

 

俺が警戒していると、部長が俺の肩に手を置き、銀髪のメイドの前に出ると…。

 

「グレイフィア、あなたがここに来たのはあなたの意思? それとも家の総意? …それとも、お兄様のご意志かしら?」

 

部長は少々へそを曲げた感じでグレイフィアと呼んだメイドに尋ねる。

 

「全部です」

 

メイドは即答で返事をした。

 

俺をそっちのけで話を始める2人。俺が困惑しているとメイドさんが俺に目を向けた。

 

「えぇっと、私は御剣昴。リアス・グレモリー様の兵士『ポーン』です」

 

俺は咄嗟に自己紹介をした。

 

「お話は聞き及んでいます。私は、グレモリーに仕える者です。グレイフィアと申します。以後、お見知りおきを…」

 

丁寧な挨拶を返してくれた。

 

「グレイフィア、私の根城へ行きましょう。話はそこで聞くわ」

 

部長がそう言うと、グレイフィアさんもそれを承諾した。

 

「昴、迷惑をかけたわね。少し、軽率だったわ」

 

 

――チュッ…。

 

 

部長がそう言うと、俺の頬にそっとキスをした。

 

「今夜はこれで許してちょうだい。…明日、また部室で会いましょう」

 

部長は魔方陣を展開し、グレイフィアさんと共に消えていった。

 

俺は部長がキスをした頬をそっとなぞり…。

 

「いったい、何だったんだ?」

 

俺は1人、部屋の中で呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

翌日の放課後、アーシアと共に部室に向かう途中に合流した木場に何か心当たりがないかを聞いてみると…。

 

「部長のお悩みか。多分、グレモリー家に関わることじゃないかな?」

 

「やっぱりそんなところか…」

 

部長の様子やあのグレイフィアと名乗っていたメイドの様子からその辺の事情か。

 

「朱乃さんなら何か知ってるかな?」

 

「朱乃さんは部長の懐刀だから、もちろん知っているだろうね」

 

と、木場が頷いた。

 

なら、部室に行ったら何気なく聞いてみるか……ん?

 

「…」

 

俺は旧校舎の前で立ち止まった。

 

「御剣君?」

 

「スバルさん?」

 

木場とアーシアがそんな俺に振り返り、心配そうに俺の名を呼んだ。

 

「…いや、なんでもない」

 

俺は2人の心配をよそに旧校舎の中へ入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

旧校舎を進み、部室の扉前まで進むと…。

 

「……僕がここまで来て初めて気配に気付くなんて…」

 

木場が目を細め、顔を強張らせた。

 

「ふむ、ならやっぱり俺の気のせいではなかったか」

 

アーシアはそんな俺達を交互に見ながらクエスチョンマークを浮かべている。

 

ここで立ち止まっていても仕方がない…。

 

俺は部室へと入っていった。

 

部室に入ると、室内には部長に朱乃さんに小猫ちゃん。後、昨日現れたメイドのグレイフィアがいた。

 

部長はかなりご機嫌斜めな面持ちで、朱乃さんも顔こそニコニコしているが、どこか冷たい雰囲気を醸し出している。小猫ちゃんは部屋の隅の椅子に座っている。おそらくできるだけ関わりたくないんだろう。

 

「全員揃ったわね。では、部活をする前に少し話があるの」

 

話、か。察するに、穏やかな話ではなさそうだな。

 

「実はね…」

 

部長が話を始めようとしたその時、部室の床に魔方陣が現れた。

 

この魔方陣、グレモリー眷属のものじゃない…。

 

「フェニックス…」

 

横にいる木場がポツリと呟く。

 

 

――ボォッ!!!

 

 

魔方陣から炎が溢れだし、部室内が熱気に包まれる。俺はとっさにアーシアの前に立ち、熱気を遮った。

 

炎の中から人のシルエットが現れ、そいつが腕を一薙ぎすると、周囲の炎が振り払われた。

 

「ふぅ、人間界は久しぶりだ」

 

赤いスーツを着崩した見た目二十代のイケメン風の男がそこにいた。その男は部長の姿を捉えると口元をにやけさせ…。

 

「愛しのリアス。会いにきたぜ」

 

部長に歩み寄っていった。

 

部長はあからさまに不機嫌な表情を浮かべている。

 

 

――事情はよく分からないが、一悶着ありそうだな。

 

 

俺は1つの予感を感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

朱乃さんがその男にお茶を振る舞い、話が進む。

 

グレイフィアさんからされた説明によると、この赤いスーツの男はライザー・フェニックスという名で、部長と同じく純血の上級悪魔であり、古い家柄を持つフェニックス家の三男だという。更に話を聞くと、部長の婚約者でもあるらしい。

 

ライザーはソファーに座る部長の隣に座り、馴れ馴れしく部長の肩やら髪やら足に触れようとし、部長はその手を払っている。

 

…なるほど。昨夜部長が突然押しかけてあんな行動をとった理由がなんとなく理解できてきたな。

 

一方的に話を進めるライザーにとうとう部長がその怒りを爆発させた。

 

「いい加減にしてちょうだい! ライザー! 以前にも言ったはずよ! 私はあなたと結婚なんてしないわ!」

 

感情を高ぶらせる部長にライザーは淡々と言葉を紡いでいく。

 

話は悪魔の未来や純血悪魔、七十二柱など、純血悪魔のお家事情の話に進んでいく。

 

「私は私が良いと思った者と結婚する。古い家柄の悪魔にだって、それぐらいの権利はあるわ」

 

部長はハッキリと婚約の拒否をライザーに告げる。すると、ライザーの機嫌がみるみる悪くなり…。

 

「俺もな、リアス。フェニックス家の看板背負った悪魔なんだよ。この名前に泥をかけられるわけにもいかないんだ。こんな狭くてボロい人間界の建物なんかに来たくなかったしな。というか、俺は人間界があまり好きじゃない。この世界の炎と風は汚い。炎と風を司る悪魔としては、耐えがたいんだよ!」

 

 

――ボォッ!!!

 

 

ライザーの周囲に炎が展開され、室内に火の粉が舞い散った。

 

「俺は君の下僕を全部燃やし尽くしてでも君を冥界に連れ帰るぞ」

 

ライザーが殺気と敵意をあらわにする。そのライザーに対して部長も紅い魔力のオーラを全身に展開し、ライザーに殺気をぶつけた。

 

室内の空気が張り詰め、一触即発の様相になる。するとグレイフィアさんが介入した。

 

「お嬢様、ライザー様、落ち着いてください」

 

一触即発の両者を、グレイフィアさんが静かに…それでいてよく通る声で止めた。すると2人は、僅かに表情を強張らせる。

 

「………それと、御剣昴様も…」

 

その後に続けてグレイフィアさんがそう言うと、部室にいる、グレイフィアさん以外の者が俺の方を向いた。

 

 

――ちっ、気付かれたか…。

 

 

俺はライザーが部長か他の仲間に手を出し次第首を刎ね飛ばそうと考えていたが、どうやらグレイフィアさんには悟られたようだ。気配は極小にまで抑えていたんだが……。やっぱりあのメイドさんはただ者じゃないな。

 

「お前は?」

 

「リアス・グレモリー様の兵士『ポーン』、御剣昴だ」

 

「ふーん、あっそ」

 

ライザーは興味なさげに俺から視線を逸らした。

 

「上級悪魔のわりに、随分と沸点が低いんだな」

 

「なに?」

 

ライザーが再びこちらに視線を向ける。

 

「この場は話し合いの場だろう。それをいちいち炎撒き散らして殺気垂れ流すなんざ、あんたはここに何しに来たんだ? 家柄の自慢がしたいなら他所でやってくれ」

 

「きさま…」

 

ライザーが俺に殺気をぶつけだした。

 

「昴様の言うとおりです。これ以上やるのでしたら、私も黙って見ているわけにはいかなくなります。私はサーゼクス様の名誉のためにも遠慮などしないつもりです」

 

グレイフィアさんが静かに、かつ迫力ある言葉でライザーを見つめる。ライザーは息を深く吐きながら。

 

「最強の女王『クィーン』と称されるあなたにそんなこと言われたら俺もさすがに怖いよ。バケモノ揃いと評判のサーゼクス様の眷属とは絶対に相対したくはないからな」

 

やれやれといった感じでライザーは展開していた炎を消した。

 

グレイフィアさんはこうなることがあらかじめ予見していた面持ちで、新たな案を説明する。

 

「こうなることは、旦那様もサーゼクス様もフェニックス家の方々も重々承知でした。正直申し上げますと、これが最後の話し合いの場だったのです。これで決着がつかない場合のことを皆様方は予測し、最終手段を取り入れることとしました」

 

「最終手段?」

 

「お嬢様、ご自分の意思を押し通すのでしたら、ライザー様と『レーティングゲーム』にて決着をつけるのはいかがでしょうか?」

 

「っ!?」

 

グレイフィアさんの意見に部長は言葉を失う。

 

 

――レーティングゲーム…。

 

 

確か、爵位持ちの悪魔達が行う、下僕同士を戦わせるゲームだったな。でもあれは成人した悪魔しか参加できないとも言っていたが、グレモリー家もフェニックス家も名家だから、公式でさえなければどうとでもなるのか…。

 

「いいわ。ゲームで決着をつけるわ」

 

「俺もそれで構わない」

 

部長とライザーはその案を了承した。

 

「わかりました。ご両家の皆さんには私からお伝えします」

 

双方に意思を確認し、グレイフィアさんはペコリと頭を下げた。すると、ライザーが俺達を見渡すと嘲笑を浮かべ…。

 

「その面子では話にならないんじゃないか? 君の女王『クィーン』である『雷の巫女』ぐらいしか俺の可愛い下僕に対抗できそうにないな」

 

パチンと指を鳴らすと部室の魔方陣が光り出し、光の中から多数の人影が出現していく。

 

 

――1、2、3……多いな。

 

 

総勢十五人のライザーの眷属が現れた。その全てが女性だ。

 

なるほど、きっちり駒の数だけ眷属が揃っているわけか。全員女なのはあいつの趣味か?

 

俺はざっと見渡す。

 

あの魔導師服を着た女。あいつはできる。あとあのチャイナドレスの女と顔の半分を仮面で隠した女と腰に剣を携えてる女もなかなかだな。…それと、あのドレスを着た金髪ドリルの女、少し気になるな。

 

そういや、さっき言ってたな。ライザーはもう成人していて公式のゲームにもすでに参加していて、勝ち星も多いんだとか。

 

向こうは駒がフルメンバーが揃っており、ゲーム経験もある。一方こっちはまだ眷属が揃ってない上に部長はゲーム経験がない。

 

こんなの妥協案でも何でもない、ただの出来レースだな。部長の家もライザーの家も、何が何でも縁談を進めたいらしいな。部長の気持ちは無視して…。

 

「こっちはこのとおり駒の数だけ眷属が揃っている。数だけじゃない、実力差も経験の差も圧倒的だ。これじゃあ、ゲームをしなくとも結果は見えているんじゃないか?」

 

ライザーが高笑いをあげ、部長が悔しそうに歯を食い縛り、拳を握っている。

 

条件は全てにおいてこちらの不利だ。だが――

 

 

 

――それがどうした。

 

 

 

「部長、何を弱気になってるんですか。条件がどうあれ、勝てばいいだけの話じゃないですか」

 

俺が部長の傍に寄り、部長の肩に手を置いた。

 

「数の差? 経験の差? 数の差で決まるのは勝率であって勝敗じゃない。経験の差なんていくらでも補いようがある。王『キング』が諦めない限り、勝利の目はかならずあります」

 

「昴…」

 

部長が驚いて表情で俺を見つめる。

 

「アハハハッ! 哀れだな! 哀れすぎてもはや笑いが出てくるぞ。圧倒的の力の差の前にいくら小細工を重ねようと無駄d――『ピーピーうるせぇよ。育ちが知れんぞ焼き鳥』――っ!? なんだとぉ!!!」

 

俺の言葉にライザーが激昂する。

 

「この下級悪魔風情がぁぁぁっ! 上級悪魔である俺に向かって焼き鳥だと!? リアス! 下級悪魔の教育がなってないぞ!」

 

「(無視)部長、早速対策を立てましょう」

 

「(無視)そうね」

 

俺と部長は無視を決め込んだ。

 

「こっちが大人しくしていればつけ上がりやがって!」

 

よく言うな。大人しいって言葉を一度辞書で引いてみろ。

 

「ミラ、やれ!」

 

「はい、ライザー様」

 

ライザーの命を受け、小猫ちゃんと同じくらいの背丈の女の子が前に出て、根をクルクル器用に回した。そして根をこちらに構えると、俺へと向かってきた。

 

「…」

 

根がグングンこちらへと向かってくる。

 

 

――ブォン!!!

 

 

根が俺の胸に直撃する瞬間、俺は半身になって根を避け、ミラと呼ばれた女の子の横を抜けた。

 

「くっ! ……次は外しま……っ!?」

 

横を抜けられ、自身の背後にまわった俺にすぐさま振り返り、根を構える。だがその直後、ミラは驚愕する。

 

「探し物はこれか?」

 

 

――カラン…。

 

 

俺はミラの前に左手に持っていた物を転がした。それはミラが得物である根の先、すり抜けざまに俺が引き千切った物だ。

 

「数の多さが自慢みたいだが、自分の得物を千切られたことにすら気付かない程度の奴をいくら集めたところで意味はないだろ。蟻がいくら群れても虎に勝てないんだぜ?」

 

俺はライザーとその眷属に振り返り…。

 

「あと、さっき面白いこと言ってたな。俺達眷属を燃やし尽くしてでも部長を連れ帰ると。なら、こっちも言っておく。お前が部長の心を煩わせるなら、お前の眷属全て――」

 

 

 

――殺し尽くしてでも冥界に追い返すぞ。

 

 

 

俺はライザーの眷属達に殺気をぶつけた。

 

「「「「「!?」」」」」

 

その瞬間、ライザー眷属達は驚愕の表情を浮かべ、すぐさま臨戦態勢を取った。

 

俺とライザー眷属の間に一触即発の空気が流れる。その時…。

 

「っ!?」

 

とてつもなく強大な殺気が俺の背後から突き刺さった。

 

「お止めください…と、申したはずです」

 

俺の背後から静かながら、とても力強い言葉が響いた。グレイフィアさんだ。

 

「これが最後の警告です。次は強行手段に出ますのでそのつもりで…」

 

俺はその言葉を聞いて殺気を消し、木場達がいるところまで下がった。

 

 

 

――ゾッとした。

 

 

 

俺以外誰も気付いていなかったみたいだが、グレイフィアさんはほんの一瞬、俺達に殺気をぶつけた。とんでもない程の殺気を。正直、今俺は平静を保つので精一杯だ。それほどまでの殺気だった。

 

「…」

 

サーゼクスという方の女王『クィーン』とかライザーが言ってたな。その方の眷属はこのレベルのバケモノばかりが眷属なのか?

 

「それではゲームの日取りは十日後とさせていただきます。それでよろしいですね?」

 

グレイフィアさんが部長とライザーに同意を求めた。

 

「…わかったわ」

 

「こっちもそれで構わない」

 

2人は同意した。

 

「なら俺は帰らせてもらう。…リアス、十日もあれば下僕を何とかできるだろう。せめてゲームを楽しめるくらいまでには成長してくれよ? ……あと、そこの下級悪魔、お前はただでは済まさん。精々覚悟しておくことだな」

 

ライザーの言葉に俺はシッシッと手を払ってあしらった。

 

やがてライザーとその眷属は魔方陣を展開して消えていった。グレイフィアさんも両家に報告に行くためにジャンプしていった。

 

 

――さてと、十日か…。

 

 

前もってゲームでの決着を想定していたならゲームの準備は万全なはず。十日という期間がある種の温情なのか、それとも部長に言い訳や後悔を消させるための方便なのか…。

 

「…」

 

ま、この際どちらでもいいか。十日もあれば力を付けられるし、対策も充分に立てることできる。

 

目先の問題は数の問題だ。弱者でも、使い方次第でいくらでも強敵に成りえる。特に、相手の兵士『ポーン』の8人全員が女王『クイーン』にプロモーションされでもしたら、たちまち不利になる。

 

…考えることは山ほどあるが、それはおいおい考えるばいい。俺は、横で不安を必死に隠そうとしている部長に…。

 

「部長、勝ちましょう」

 

ただ一言、声を掛けた。部長は、僅かに不安が収まったのか、いつも見せる不敵な笑みを浮かべ…。

 

「ええ、もちろんよ。私達の手でライザー・フェニックスを消し飛ばしてあげましょう!」

 

『はい!』

 

部長の掛け声に俺達が大きな声で答えた。

 

 

――ライザー、覚悟するのはお前だ。お前に敗北を与えてやるよ。

 

 

俺達の戦いが始まったのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

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