ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

140 / 149

投稿します!

もう1年の半分が終わったって本当ですか…(;゚Д゚)

それではどうぞ!



Life.140~お買い物、オーフィスとの何気ない1日~

 

 

 

オーフィスが来訪した翌日の朝…。

 

「ん~~! …さて、顔洗ったら早速トレーニングを……ん?」

 

起床した昴が大きく伸びをしながら洗面所に向かっていると…。

 

「…っ」

 

何やらもじもじとしながら立っている小猫の姿を発見する。

 

「おはよう、小猫」

 

「っ!? …お、おはよう…ございます。先輩…」

 

声を掛けられた小猫はビクッとし、恐る恐る挨拶をすると、昴から顔を逸らす。

 

「…っ」

 

「? …どうかしたのか?」

 

何かを言いたそうにしている小猫の様子に気付き、立ち止まって尋ねた。

 

「……あ、あの…、昨晩の事ですが…」

 

顔を赤らめながら小猫がおずおずと話す。

 

「昨晩……あぁ…」

 

小猫の心情を理解した昴。

 

「あ、あの時はどうかしてました。…ですから、忘れて下さい…!」

 

切実に小猫が昴に対し、絞り出した声で懇願する。

 

「…身体はもう大丈夫なのか?」

 

「は、はい。昨晩と違って嘘のように落ち着いています」

 

「そうか。それは何よりだ」

 

小猫が元の体調に戻った事に安心した昴は、小猫の頭をポンポンと軽く叩いてその場を後にする。

 

「…あーそうそう」

 

数歩、足を進めた所で昴が何かを思い出したかのように立ち止まる。

 

「なかなか可愛かったぜ。あの時の小猫」

 

振り返ると、意地悪気な笑みを浮かべながら昴が小猫に告げる。

 

「っ// い、言わないで下さい!!!」

 

「ハッハッハッ!」

 

茹蛸のように顔を真っ赤にさせる小猫。そんな小猫を見て、笑いながら昴はその場を後にしていったのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「あー…ったく」

 

悪態を吐きながらペンを動かす昴。

 

現在、昴はすぐ目の前まで迫っている進級試験に際し、必要なレポートの作成に勤しんでいる。実は、昴は早々にレポートを完成させていたのだが、興味本位にそのレポートを読んだアザゼルが腹を抱えて大笑いをすると…。

 

『ダーハッハッ! 面白れぇレポートだ! 俺が採点者なら文句無しで満点――いや、120点付けただろうな。…だが、これは止めといた方が無難だぞ』

 

それとなく書き直しを提案された。

 

「結構、いい出来だと思ったんだがなぁ…」

 

愚痴りながら、ペンを動かす。

 

ちなみに、昴の書いたレポートは、現悪魔の政治運営の問題点の提起と共にその改善案等を書いたもので、がっつり悪魔業界の上層部批判が盛り込まれており、採点者側も採点に困る内容なものであった。その為、グレイフィアに提案された無難なテーマに変更する事となった。ちなみに、レポートを読んだグレイフィアも苦笑していたのはここだけの話…。

 

「さっさと終わらせて――ん?」

 

ふと、昴が時計に目を向けると、時刻は16時を迎えようとしていた。

 

「っと、今日の夕食の当番は俺だった」

 

昴宅の食事登板は当番制であり、今日の夕食の当番は昴。

 

「さて、ここいらで一旦中断して、買い物に行くか」

 

ペンを置いた昴は、身支度を整え、財布を持って玄関に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

「……?」

 

玄関で靴に履き替えていると、オーフィスが昴をジーっと見ていた。

 

「何処へ行く?」

 

「…夕食の買い物だが?」

 

昴は軽く戸惑いながらも答える。

 

「…」

 

オーフィスは暫し、ジーっと昴を見つめた後、靴を履き始めた。

 

「…もしかして、付いて来るつもりか?」

 

「(…コクリ)」

 

無言で頷くオーフィス。

 

「…いや、自分の立場、分かってるのか?」

 

嫌味ではなく、素朴な質問を投げかける。

 

「…」

 

何も答えないオーフィス。だが、諦めるつもりもない模様。

 

「まいったな…」

 

困り顔で頭を掻く昴。秘密裏に昴宅へやってきたオーフィス。オーフィスがこの駒王街…ひいては昴宅に滞在している事が明るみになれば大問題となるからだ。

 

「…」

 

相変わらず、無表情で何も言葉を発さないオーフィス。

 

「…ちょっと待ってろ」

 

そう言って、オーフィスをその場に留め、昴はその場を離れると、2分程で昴が戻ってきた。

 

「外に出るならこれを被ってろ」

 

そう言って、縁の広い黒色の帽子をオーフィスの頭に被せた。

 

「?」

 

オーフィスは不思議そうに帽子の縁を触る。

 

「さすがにそのままだと目立つからな。後、オーラを抑えてくれ。こんな風に…」

 

昴は自身のオーラを抑えた。

 

「……やってみる」

 

頷くと、オーフィスのオーラが極小にまで小さくなった。

 

「おースゲースゲー。完全に0とまでは行かないが、限りなく抑え込んだみたいだな」

 

これまでもオーフィスはオーラを抑えてはいたが、昴に頼まれてさらに極小にまでオーラを抑え込んだ。だが、昴に言う通り、元々のオーラが大き過ぎる上にこれまで、オーラを抑える必要性がなかった為か、昴にように0に抑える事は出来ていないが、オーラは限りなく0に近い所まで抑え込まれている。これなら、余程、気配探知に長けた者でなければ、近距離に接近してもオーラでは気付かれないだろう。

 

「それじゃ、行くか。…言っておくが、あまり俺から離れないでくれよ?」

 

昴はオーフィスに右手を差し出す。

 

「…分かった」

 

頷き、オーフィスは昴の手を握り、2人で外へと出たのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

「…」

 

外に出ると、2人は手を繋ぎながらゆっくりと散歩するように歩いて行く。

 

「(…やれやれ)」

 

苦笑する昴。昴は周囲全面の気配を気にかけながら散歩している。今回は敵だけではなく、味方側にも見つかってはいけない為、より一層、周囲の気配には警戒をしている。幸い、駒王街は、駒王学園に、多種族…世間的には外国人が多数在籍している関係で、日本人以外の者が歩いていても、周辺住民からは特に奇異的な目で見られる事はない。

 

「…これから夕食の食材を買いに行くんだが、何かリクエストはあるか?」

 

無言で歩くのも何だったので、昴が聞いてみる。

 

「…」

 

返事はないが、何やら考えている様子である事は窺えた。

 

「(…スッ)」

 

おもむろに、オーフィスがとある一角を指差した。そこには、ファミリーレストランの看板があった。

 

「…もしかして、ハンバーグか?」

 

オーフィスが指差した看板には、宣伝用のハンバーグの写真が掲載されていた。

 

「…」

 

「分かった。とびきりの奴を作ってやるよ」

 

にこやかに昴は了承した。

 

「…後、昨日のケーキ」

 

「…あれは作るのに手間がかかって、今からは無理だから、別の奴を用意するよ」

 

「残念」

 

2人は近くのスーパーへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

スーパーで買い物を済ませ、店の外へ出ると…。

 

「あらあらあら?」

 

ちょうど店に入ろうとしていた桐生と鉢合わせをした。

 

「ひょっとして、昴君もここで買い物?」

 

「…ああ。夕食の食材をな」

 

「へぇー、てっきり、リアス先輩やアーシアに任せっきりかと思ってたけど、昴君も料理とかするの?」

 

「まあな」

 

微妙に気まずい表情をする昴。

 

「(面倒な奴に見つかったな。…まあ、あの馬鹿2人でないだけマシだが…)」

 

ちなみに、昴の言う馬鹿2人とは、松田と元浜の事である。

 

「……あら?」

 

当然のように、桐生は昴の横で手を繋いでいるオーフィスに気付く。

 

「可愛いー! 何よこの子!?」

 

オーフィスに興味を示した桐生はオーフィスに視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。

 

「もしかして、…昴君の隠し子?」

 

「そんな訳ねえだろ」

 

ジト目で突っ込みを入れる昴。

 

「お名前は何かな?」

 

「……オーフィス」

 

「…あらら? もしかして私、嫌われちゃったかな?」

 

反応が薄いオーフィスに困惑する桐生。

 

「この子は誰にでもこんな感じだぞ。…多分な」

 

「そうなんだー」

 

そう言って、オーフィスの頭をナデナデする桐生。

 

「悪い、今日は手の込んだ夕食を作らなきゃならないんでな、ここいらで失礼させてもらうぞ」

 

「あらそう? 呼び止めちゃってごめんね」

 

そう言って桐生は立ち上がった。

 

「また今度な」

 

「改めてその子の事、紹介しなさいよー」

 

「気が向いたらなー」

 

そう返し、昴は桐生と別れ、スーパーを後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「(…ペロッ)」

 

「(…ペロッ)」

 

帰り道、途中の公園のベンチにて、昴とオーフィスはスーパーで買ったソフトクリームを食べていた。

 

「美味いか?」

 

「…なかなか」

 

「そりゃ良かった。…ほらほら、服が汚れるぞ」

 

溶けて滴るアイスクリームを持っていたハンカチで拭ってあげる昴。

 

「ごちそうさん。…さて、そろそろ帰らないとな」

 

アイスクリームのゴミをゴミ箱に捨て、オーフィスの下へ戻ると…。

 

「…」

 

オーフィスが公園の一角をジーッと見ていた。

 

「?」

 

昴が視線の先を追ってみると、静かにブランコが風に揺られていた。

 

「…乗ってくか?」

 

そう提案し、2人でブランコの傍まで移動する。

 

「…」

 

オーフィスは遊び方が分からない為、ブランコの目の前でブランコをジーっと見ていた。

 

「こうやるんだ」

 

手本を見せる為、昴はブランコに座り、前後に漕ぎ始めた。

 

「…」

 

オーフィスも、昴のやった通りにブランコを漕ぎ、前後にゆらゆらと振り始めた。

 

「…これをして何になる?」

 

言われた通りに実践するも、目的の分からないオーフィス。

 

「目的なんてないさ。何せ、子供の遊具だからな。子供同士で、どっちが高く漕げるか競い合って遊んだりするのが一般的みたいだな」

 

昴は反動をさらに付け、さらにブランコの振り子を大きくする。

 

「こうやって、高く漕ぐと、遠くの景色が良く見える。子供には、その景色が絶景なんだろうさ。…ま、空が飛べるオーフィスには実感出来ないだろうが」

 

「…」

 

昴に倣い、オーフィスも強く漕いでブランコの振り子を大きくした。

 

「……丸い円盤」

 

「ん?」

 

「あれは何?」

 

「んー……あれは、隣町の遊園地の観覧車だな」

 

前に高く上がった時に僅かに見えた遠くの景観の一角。それは、観覧車であった。

 

「…遊園地? …観覧車?」

 

「ここの公園より遙かに広くて、遙かに派手で豪華な遊具や乗り物があるアミューズメント施設の事だ」

 

「……そうか」

 

説明を受けたオーフィス。その後も、前方に高くブランコが上がった時、その僅かの間にだけ見える観覧車へと視線を向けている。

 

「行ってみるか?」

 

「?」

 

「静寂とは程遠い所だが、賑やかで楽しい所だ。もっと遠くの方には、さらに豪華で賑やかな所もある。…気にならないか?」

 

「…ドライグが我を連れてく?」

 

「そうだな。今は無理だが、お互いの状況が変わって、もっと気軽に交流が出来る様になったら、行けるようになる…かもな」

 

「…そうか」

 

「…あ、そうそう。俺の事は今度から昴と呼んでくれ。ドライグだと、どっちの事か分からないからな」

 

ポンポンと左手を叩く昴。オーフィスは、昴の事をドライグと呼ぶ為、本来のドライグと混同してしまうのだ。

 

「分かった。…では、昴」

 

「ん?」

 

「楽しみにしてる」

 

「りょーかい。…よっ!」

 

昴の乗るブランコが前方に上がりきったタイミングで飛び降り、着地した。

 

「さすがに長時間、外に出過ぎた。これ以上は騒ぎになりそうだから、そろそろ家に帰ろう」

 

「分かった」

 

返事をしたオーフィスは、昴と同じく、ブランコが前に上がりきったタイミングで飛び降り、音を立てずに着地した。

 

「おっ、なかなかやるな。…じゃ、帰ろうか」

 

「…」

 

昴の差し出した手を、オーフィスは無言で握り、2人は帰路に着いたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「この、大・馬・鹿・野・郎がぁぁぁぁぁっ!!!」

 

正座をし、アザゼルに詰められる昴。家に帰ると、待っていたのは怒髪天のアザゼルであった。

 

オーフィス(こいつ)の存在は極秘だって言っただろうが!!! 事もあろうに外に連れ出しやがって! 何考えてやがる!!!」

 

「買い物行こうとしたらオーフィスも付いて来たそうにしてたので。反省はしてない」

 

「アホォォォォォォォーーーッ!!!」

 

絶叫するアザゼルと、両耳に人差し指を突っ込んで耳栓をする昴。

 

アザゼルの怒りは至極当然であり、オーフィスを秘密裏に昴宅に匿っている事が明るみになれば、大混乱及び大騒動となり、比喩でもなく、アザゼルの首が飛びかねないからである。

 

「…昴の味方をしたい所だけれど、これはさすがにアザゼルの言う通りだわ」

 

昴の味方とも言えるリアスも、これには額に手を当てて苦い表情。しかし、その時。

 

『?』

 

トコトコと昴とアザゼルの間に歩み寄ったオーフィスが下から覗き込むようにアザゼルをジーっと見つめる。

 

「…」

 

「? 何だ?」

 

「…」

 

「…っ」

 

特別、オーフィスは殺気を向けている訳でも、オーラを放っている訳ではないが、謎の圧にアザゼルは圧倒される。

 

「もしかして、オーフィス様はスバル様を庇ってる?」

 

「ありゃりゃ、これは珍しい光景にゃ♪」

 

意外な一面を見て驚くルフェイと、何か面白いものを見つけたかのように笑みを浮かべる黒歌。

 

「…」

 

尚もオーフィスは何も語らず、無表情でアザゼルを見つめ続ける。

 

「…ハァ。アザゼル。その辺にしておきなさい。幸い、外では特別、騒ぎは起きてはいないようだし、何より、ここでオーフィスに暴れられる事の方が問題になるわ」

 

納得した訳ではないが、オーフィスを下手に刺激する事によって起きるかもしれないリスクを鑑みたリアスが間に入った。

 

「……ちっ、仕方ねえ。この辺にしておいてやるよ。…ったく、いつの間にかこいつと親しくなりやがってよ」

 

オーフィスの機嫌を損ねる事を危惧したアザゼルは、リアスの言葉に渋々納得し、説教を止めたのだった。

 

「ご迷惑をおかけしたたたたっ…!」

 

その場を収めたリアスに謝罪をした昴だったが、言い終える前にリアスが昴の頬を引っ張る。

 

「あなたも! 皆に心配掛けないの! 全く、あなたがオーフィスと一緒に姿を消して、気が気じゃなかったのよ?」

 

実は、怒りよりも心配が勝っていたリアス。

 

「…ホントに申し訳ない」

 

それを感じ取った昴は改めて謝罪をした。

 

「…もしかして、オーフィスも新たなライバルに浮上するのかしら」

 

「えぇっ! そうなんですか!?」

 

「むぅ、敵の総大将にまでか…」

 

後ろでは教会トリオが姦しい会話をしていた。

 

「…さて、夕食の支度でもするかな」

 

立ち上がり、キッチンへと向かう昴。

 

「…待ってる」

 

オーフィスは、昴の作る夕食が出来るのをいち早く食卓の椅子に座り、待っていたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

夕食を食べ終え、昴はシンクで皆の食べ終えた食器を洗っている。

 

「…ふぅ」

 

一息吐き、洗った皿をラックに並べる。

 

夕食は、オーフィスのリクエストどおり、ハンバーグを作った。相変わらず、表情は読めなかったが、黙々とハンバーグを食す様を見て、何となく満足したのだと感じ取った。

 

「ごちそうさまでした!」

 

「お粗末様。食器はここに置いといてくれ」

 

食事を終えたルフェイが食べ終えた食器を持ってキッチンに現れた。

 

「とっても美味しかったです! スバル様はお料理も得意なんですね!」

 

「得意って程でもないさ。料理に関しては、アーシアの方が筋がいいぞ」

 

料理を絶賛するルフェイ。照れくささを感じつつ、昴は謙遜した。

 

「…あ、そうだ。さっきは助かったよ」

 

「?」

 

食器をシンクに置いたルフェイに、何かを思い出した昴。

 

「家を出た直後に妙な魔力を感じた。あれ、君だろ?」

 

「っ!?」

 

すると、ルフェイは目を見開いた。

 

「見た感じ、悪魔式の魔法じゃなかったし、それ以外の魔法を使えるロスヴァイセは今いないから、君の仕業だと判断したんだが、…その様子だと、ビンゴだったわけだな」

 

「……アハハ、やっぱり気付いてましたか」

 

指摘されると、苦笑するルフェイ。

 

「特に不都合を感じなかったから放っておいたが、多分だけどあれ、オーフィスを秘匿させる為のものだろ?」

 

「はい。オーフィス様の存在が明るみになってしまうのは私達にとっても都合が悪いので。あの、その…ごめんなさい!」

 

バツが悪くなったルフェイが頭を下げる。

 

「謝る事はないさ。そもそも、俺が外に連れ出したのが悪いんだからな」

 

「そう言ってもらえると助かります。本来なら、オーフィス様をお止めするべきだったんですが、何かに興味を示すオーフィス様を邪魔するのは気が引けましたので…」

 

「そんなに珍しいのか? 結構、オーフィスは色んなものに興味を示していた様に見えたんだが…」

 

「私達からすれば、ここに来てからのオーフィス様の方が新鮮に映ります。何せ、普段は口を開かない事の方が多いくらいなんですよ?」

 

「へぇー」

 

ここに来てからのオーフィスしか知らない昴だが、意外に感じた。

 

「ご厄介になってる身で恐縮なんですが、あまり、目立つ事はしないで下さいね? あまり強力な隠蔽魔法を使うと、逆にそれが原因で気付かれてしまう事もあるので。もし、大事になったら、私がヴァーリ様や兄に怒られちゃいますので」

 

「うーん、オーフィスには、オーラを限りなく抑えてもらったんだが、あれでもダメか…」

 

「いえ、それはむしろ助かりました。普段のオーフィス様だと、あの程度の魔法じゃ到底隠し切れませんでしたので…」

 

「了解。気を付けるよ。…もっとも、オーフィス次第の所もあるんだけど」

 

「アハハ…」

 

互いに苦笑したのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「さて…、途中だったレポートを仕上げんとな」

 

諸々の家事とトレーニングを終えた昴は、書きかけのレポートの作成に取り掛かった。

 

「しかし、全くの興味のないテーマでのレポートの作成程、面倒なものはないよなー」

 

愚痴りながらもレポートを書きあげていく。

 

「……ふぅ、こんなもんかな?」

 

一通り、書き上げると、昴は持っていたペンをテーブルに置いた。

 

「う゛ーん…! っと、もうこんな時間か…」

 

時計を確認すると、もうすぐ日付が変わろうしていた。

 

「……何をするにも中途半端だな。…寝るか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…ふぅ」

 

布団へと潜り込んだ昴。

 

「…」

 

昴は、オーフィスの事を考えていた。

 

「(今回のオーフィスの訪問。アザゼル先生曰く、ヴァーリからの連絡を受けての話らしいが…)」

 

オーフィスと接し、分かった事がある。

 

「あまりに純粋だ。純粋過ぎる…」

 

思わず呟いてしまった昴。

 

言い方は悪いが、良くも悪くも、利用しやすい存在ではある。本人がグレートレッドを倒し、静寂を得る事にしか興味がない点も、扱いやすさに拍車をかけている。

 

「だが、問題がない訳でもない」

 

そう、問題がない訳ではない。先に挙げた事が、メリットであると同時に、きっかけ1つでデメリットになる可能性も十二分にあるのだ。これが、戦闘能力が低いのであれば、何処かに拘束なり幽閉なりしておけばいいが、生憎、オーフィスは、倒すどころか、まともに戦える者すらいるのか怪しい程の力を有している。それをするのは困難どころか不可能。

 

「それに、オーフィスをいつまでも留めておくにも限界がある」

 

何せ、仮にグレートレッドを倒してしまったら、オーフィスが禍の団(カオス・ブリゲード)に協力する理由がなくなる。テロリスト達にしても、それが分からない訳がないので、グレートレッドを倒す事は考えないだろう。だが、グレートレッドを倒す気がないと分かれば、オーフィスは躊躇いなく禍の団(カオス・ブリゲード)を去るだろう。

 

「ならば、どうするか。考えられるのは何らかの方法でオーフィスを拘束なり洗脳を試みるか、新たな象徴(スポンサー)を見つけ、据えるか…」

 

どちらも困難ではあるが、この世界には、昴や、それこそアザゼルすら知らない何らかの方法があるかもしれない。

 

「恐らくだが、未だにここに顔を出さないヴァーリが何らかの細工はしてんだろうが、少なくとも、オーフィスが姿を消した事には気付いているはず」

 

さすがに、未だにオーフィス不在に気付かない程、テロリスト達は無能ではないだろう。近い内に、何らかの動きは見せる。

 

「……ハァ、考えても答えは出ないな。戦いの基本は、戦いが始まる前に決めるのが常だってのに…」

 

剣や槍でぶつかり合ったり、魔法や魔術で撃ち合うなんてのも、言わば事後処理のようなもの。…最も、この世界は個人(戦術)大軍(戦略)を容易にひっくり返せる世界ではあるのだが、その基本は変わらない。

 

「だが、ここが正念場だ。必ず、この戦いを終わらせる…!」

 

昴は、覚悟を決めたのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

オーフィスが来訪し、共に過ごした1日が終わった。

 

オーフィスと接する事で、その人となりを知り、事態が想像以上に重大である事を再認識する。

 

自身の求める調和の為…。

 

激動の時は、すぐ目の前に迫る…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





もう本格的に夏ですね…(;^ω^)

この二次の着地点を見失いかけています…(>_<)

原作が一向に発売されてないので、何処かでオリジナル展開に行く事も考えているんですが、それもどうなるかorz

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。