ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

すっかり夏が終わりましたね…(^-^)

聖槍の能力で、1つ勘違いしていました。七宝の1つ、女宝(イツテイラタナ)は、女を停止させる能力だと思っていたんですが、異能を封じる能力だったんですね…(;^ω^)

サイレント修正させていただきました…m(_ _)m

それではどうぞ!



Life.144~再戦、英雄の戦略~

 

 

 

曹操を擁する英雄派の襲撃…。

 

オーフィスを狙う英雄派は、昴1人を分断。

 

次元の狭間を経由し、リアス達の下へ辿り着いた昴。

 

昴と曹操が再び、ぶつかる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「…」

 

「…」

 

対峙する昴と曹操。

 

「…」

 

先に動いたのは昴。

 

 

――ギィン!!!

 

 

村雨を振り下ろすと、曹操が聖槍の柄でこれを受け止める。

 

「…」

 

振るった刃が柄で止められるも、昴は構わず力で押し込んでいく。

 

「…っ」

 

地力で劣る曹操は少しずつ押し込まれていく。だが…。

 

「っ!?」

 

その瞬間、曹操の姿が昴の目の前から忽然とその姿が消える。

 

「……そこか!」

 

 

――ドォォォォォッ!!!

 

 

すかさず昴は自身の斜め後方に振り向き様に赤龍砲を放った。そこには、転移した曹操の姿があった。

 

「ダメだ、昴君!!!」

 

これを見た木場が鬼気迫る表情で叫んだ。

 

「フッ」

 

ニヤリと含みのある笑みを浮かべた曹操。すると自身の背後の球体の1つが曹操の目の前に移動し、黒い渦を生み出すと、昴が放った赤龍砲を吸い込んだ。

 

「っ!?」

 

余す事なく赤龍砲が吸い込まれ、目を見開く昴。

 

「気を付けて! その能力は、他者へ受け流す能力だよ!」

 

すかさず今曹操が見せた能力を説明をする木場。

 

「…ちっ!」

 

詳細を知った昴は吸い込まれた赤龍砲の行き先を探す。

 

「くそっ!」

 

悪態を吐きながら昴は再度赤龍砲を放った。

 

 

――ドォォォォォッ!!!

 

 

「きゃっ!!!」

 

イリナの目の前に黒い渦が現れると、そこから赤龍砲が吐き出される。吐き出されるのと同時に昴が赤龍砲をぶつけ、相殺。しかし、高威力同士の赤龍砲の激突による余波で、目の前のイリナは吹き飛ばされてしまう。

 

「…っ」

 

イリナの安否を確認する昴。目の前で大きな爆発があった事もあり、無事ではなかったが、極めて軽傷である事が確認出来、胸を撫で下ろした。

 

「(迂闊に飛び道具は使えないか――)…っ」

 

「余所見とは、随分と余裕だな」

 

曹操が聖槍を伸ばして昴に攻撃を加える。

 

「この程度で動揺する程、柔じゃねえ」

 

村雨を振るい、聖槍を払いのけた。

 

「(武器破壊、転移、受け流し、これで3つ…)」

 

着実に能力を把握していく昴。

 

「昴! 曹操の能力の1つは、女の異能を一定時間封じる能力よ!」

 

リアスが昴に告げた。

 

「(それが本当なら、その能力は実質的に無視しても問題ないか…)」

 

これがリアスの勘違いの可能性もあるが、ならばとっくに使っているはず。その為、昴はリアスの言葉を信じた。

 

「これで君が把握した能力は4つ。後は、何だろうな?」

 

嘲笑うかのように呟く曹操。

 

「随分と余裕そうだな。そんな余裕があるのか?」

 

睨み付けながら告げる昴。

 

「余裕は少ししかないかな?」

 

あっけらかんと答える曹操。言葉通りに捉えるなら、多少の余裕があると言う事だ。

 

「1つ、断言出来る事があるとするなら、この戦い、俺の負けはない」

 

「ほう」

 

曹操の言葉に、思わず唸り声を上げる昴。

 

「全ては俺の描いた筋書き通りに動いている。作戦を決行してから今に至るまで、1手の狂いもなく(・・・・・・・・)進行している」

 

「だったらその盤面、すぐにひっくり返してやるよ」

 

そう告げ、昴は早々に飛び込む。

 

「…フッ」

 

そんな昴を見て、曹操は含みのある笑みをただただ浮かべるのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

再び激突をする昴と曹操。

 

『…』

 

2人の激突を、他の者達はただただ見守っていた。

 

「互角、か…」

 

治療を終えたゼノヴィアがポツリと呟く。

 

「…っ」

 

床に倒れ伏しながら苦悶の表情で戦いを見守るヴァーリ。

 

「(何かおかしい…)」

 

2人の戦いに、木場だけが違和感を覚えていた。

 

 

――ガギィン!!!

 

 

曹操の聖槍を弾く昴。昴は村雨を手放し、双剣の二天を左右に手に構えている。

 

「(昴君の凄い所は、相手の戦い方や動きを見切り、瞬時に対応出来る学習能力の高さ。既に、数度曹操と戦った彼ならば、かなりの情報が集まっているはず)」

 

禁手(バランス・ブレイカー)をしているとは言え、曹操の基本的な攻撃はその手に持つ聖槍がメイン。にもかかわらず、昴はかなりやり辛そうに戦っている。何なら、防戦気味である。

 

「(京都での戦いからまだそこまで日数は経っていない。いくら、あれから血の滲むようなトレーニングを積んでいたとして、昴君があそこまで押し込まれるだろうか…)」

 

例え、成長していたとしても、それすらもすぐさま修正して対応出来るのが昴。

 

 

――ガギィン!!!

 

 

再び昴が聖槍を弾き飛ばす。

 

「(また弾いた。昴君なら今の一撃くらいなら難なくかわせるはずなのに…)」

 

聖槍の伸縮を駆使して昴に攻撃を加える曹操。昴はそれらを全て弾いている。その後、攻撃を加えようとするも、曹操は転移で距離を取り、再び聖槍の伸縮で攻撃。これの繰り返しだ。確かに昴にとって聖槍は怖い存在だ。何せ、掠っただけでも悪魔である昴には致命傷になりかねない。しかし、回避と違い、弾いてしまうとその分、次の動きへの対応が遅れてしまう。

 

 

――ガギィン!!!

 

 

「(今のだって昴君ならかわせるはず。なのにどうして――)っ!?」

 

ここで木場はようやく気付いた。昴が何故、かわせる攻撃を敢えてかわさず、迎撃していたのかを…。

 

「皆! 昴君から距離を取るんだ!」

 

すかさず木場が指示を出す。

 

「裕斗?」

 

木場の指示の真意が理解出来なかったリアスが怪訝そうな表情をする。

 

「僕達のせいで昴君は本気で戦えないんです」

 

「どういう事ですの?」

 

朱乃が聞き返す。

 

「昴君が何故、避けられる攻撃を避けずにいるのか、気になっていました。…理由は簡単でした」

 

そう簡単だった。何せ、自分も先程、してやられた(・・・・・・)のだから…。

 

「曹操が伸ばした聖槍の先には、常に僕達の誰かがいます。つまり、昴君が避けたら、その槍はそのまま誰かを貫いてしまう」

 

『っ!?』

 

この解説に、他の者達も理解した。

 

曹操は、常に聖槍の射線軸上に誰かがいる位置取りを心掛けている。その為、伸ばした聖槍を放置すれば、そのまま誰かを貫いてしまう。村雨から双剣に切り替えたのも、防御の手を増やす為。

 

「昴君は僕達を守りながら戦っている。僕達が足枷になっているせいで、昴君は本気で戦えないんです…!」

 

木場は悔しそうに説明をした。

 

「皆、昴から離れるわよ! それと、出来るだけ近くに固まって――」

 

「――困るな」

 

「っ!?」

 

昴が戦いやすいよう、距離を取って纏まろうと指示を出そうとしたその時、いつのまにか距離を詰めていた曹操がいた。

 

「俺が敢えて1人も殺さなかったのは、俺が戦いやすい舞台を整える為さ」

 

聖槍の先をリアスに向ける曹操。

 

「やはり指揮系統の中枢たる(キング)は、始末しておくか――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――させると思うか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、曹操の背後に、右手の双剣の1本を振りかざした昴がいた。

 

「死ね」

 

右手の剣を早々に向け、振り下ろす。

 

「やはり来たな」

 

そんな昴に一瞥も与えず、曹操が呟く。

 

「俺が仲間に危害を加えようとすれば、君はそれよりも速く俺を仕留めようとする」

 

「っ!?」

 

剣を振り下ろそうとした昴だったが、即座にそれを中断、振り上げた剣を自身の背後に振るった。

 

 

――ガギィィィン!!!

 

 

剣が何かにぶつかる。そこには、曹操の操る球体があり、まさに、昴に直撃しようとしていたのだ。

 

「よく止めた。それは将軍宝(パリナーヤカラタナ)。七宝の中でもっとも未完成な代物だ。だが…」

 

「っ!?」

 

弾き飛ばす為に振るった右手の剣。ところが、弾き飛ばすどころか少しずつ押され始めた。

 

「その破壊力はかなりものだよ」

 

「…ぐっ!」

 

たまらず左手の剣も使い、左右の剣で球体を受けるが、それでも止まらず、その圧力により、地に足が着くと、さらに昴の足元が陥没し始めた。

 

「フフッ、隙が出来たな」

 

将軍宝(パリナーヤカラタナ)の球体によって動きを止められた昴に対し、曹操はすかさず聖槍を伸ばし、攻撃を加える。

 

「(まずい!)」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!』

 

ここで昴は一気に倍化させ、自身の力を底上げをする。

 

「おぉぉぉぉーーーっ!!!」

 

 

――ギィン!!!

 

 

底上げした力で球体を逸らし、やり過ごす。

 

「…っ」

 

同時に、身体を回転させ、自身に迫る聖槍を紙一重でかわした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全ては俺の描いた筋書き通りだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

断言するかのように曹操が声を上げる。

 

「っ!?」

 

ふと、昴が顔を上げると、黒い触手のようなものが昴に迫っていた。

 

『オォォォォォォォォォォン!!!』

 

不気味な咆哮を上げるサマエル。黒い触手は、拘束具から解放された右手から伸びていたものであった。

 

『いかん、避けろぉぉぉぉぉっ!!!』

 

最強にして最凶の龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)であるサマエルの攻撃。ドライグが叫びにも似た声を上げる。

 

「(くそっ、間に合え――っ!?)」

 

回避行動を取ろうとした昴の目が大きく見開かれた。

 

「…えっ?」

 

昴とサマエルの右手から伸びる黒い触手の間に、何故かレイヴェルがいたのだ。

 

「曹操ぉっ!!!」

 

怒りを込めた咆哮を上げた昴がすぐさま動く。

 

「っ!?」

 

レイヴェルの衣服の襟首を掴んだ昴が力一杯投げ飛ばした。

 

「それが君の弱点だ。君は仲間を見捨てる事が出来ない」

 

全ては曹操の策略であった。

 

実質的に仲間が縦になる位置取りを常にし、昴に自身の聖槍を対処させる。回避と違い、剣で弾くとなるとどうしても対処が遅れてしまう。七宝の1つである馬宝(アツサラタナ)の転移を駆使すれば、曹操程の実力があれば、やり過ごすだけなら容易い。直前の木場との戦いでの伸縮させた聖槍での攻撃も伏線となっており、敢えて事前に木場に身を以て体験させた事で、いち早く木場に気付かせる。そうすれば、昴の邪魔にならないよう、リアスが2人の戦いから距離を取るよう指示を出す事は明白。しかも、その瞬間、戦いから一瞬、意識を切り離す事も…。

 

その意識を切り離す瞬間を曹操は待っていた。自分に注視している時に狙ったとしても、抵抗されてしまうからだ。木場が曹操の狙いに気付き、それを皆に知らせる瞬間を待った。注意が自分から逸れた瞬間、曹操は転移してリアスを狙う。リアスを狙おうとすれば、昴は当然、それを阻止するべく狙って来る。昴が馬鹿正直に正面から狙うはずもないので、曹操の背後から狙って来るタイミングに合わせて将軍宝(パリナーヤカラタナ)の破壊の球体をぶつけ、動きを止める。そこを聖槍で狙えば、それを対処する為には力を倍化させて破壊の球体を弾き飛ばすしかなく、急激に倍化させれば、その反動で聖槍をかわすので精一杯になる。その瞬間、サマエルでの攻撃。昴とサマエルの間に仲間を転移させてしまえば、仲間を見捨てる事が出来ない昴は何としてでも仲間を助ける。そして…。

 

「これで詰み(チェックメイト)だ」

 

その呟きと同時に、昴は黒い塊に包み込まれた。

 

「がはっ!!!」

 

バシュン、と言う音と共に黒い塊が弾け飛ぶと、全身から鮮血を溢れさせた昴が現れ、そのまま苦悶の表情をしながら地に片膝を付いた。

 

「昴!!!」

 

「スバルさん!!!」

 

それを目の当たりにしたリアスとアーシアが悲鳴のような声を上げた。

 

「がっ…はっ…!」

 

最強の龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)をその身に受けた昴。口元から吐血をしながら全身を震わせる。

 

『むぅ…! これがサマエル…か…!』

 

既に魂だけの存在であるドライグも、その影響を受けていた。

 

「あっ…あっ…! スバル…様…」

 

血塗れとなった昴の姿を目の当たりにし、レイヴェルは尻餅を付いたまま茫然としている。

 

「京都での戦いの後、君を倒す為の方法を考えた」

 

苦しむ昴の見下ろしている曹操。

 

「…っ」

 

指を1本立てる曹操。視界が霞む中、その姿をその目で捉える昴。

 

「考えた末に辿り着いた答えは3つ。1つ目は、君を遙かに上回るスペックで押し通す。先のレーティングゲームでサイラオーグ・バアルがやろうとしたように…」

 

「…」

 

「だが、神滅具(ロンギヌス)はあれど、ただの人間に過ぎない俺にその方法を取る事は不可能だ。次に2つ目だ」

 

曹操は指を2本立てる。

 

「君を上回るテクニックを以て君を制する事。だが、君のテクニックはもとより、洞察力、実戦勘は飛びぬけている。これも今の俺には難しい。…最後に3つ目」

 

そう言って、曹操は指を3本立てた。

 

「それは、君の予測や勘を超えた作戦を組み立て、ぶつける事だ」

 

「…っ!」

 

曹操の言葉に、昴は歯をきつく噛みしめた。

 

「この聖槍に加え、サマエル。この2つがあれば、後は舞台を整えるだけ。君を倒す事は、決して難しい事ではない」

 

「その為に、…敢えて1人も殺さなかった訳か…!」

 

昴が絶霧(ディメンション・ロスト)で創られた空間に到着するまで、それなりに時間を要した。曹操であれば、何人か葬り去る事は容易かったはず。

 

「そうだな。…まあ、1番の理由は、仲間の亡骸を見た君が怒り狂って、覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を発動されでもしたら面倒だったからだけどね」

 

覇龍(ジャガーノート・ドライブ)による、圧倒的な力は、この疑似空間を崩壊させる危険性が大いにある。故に、発動しようしたヴァ―リも戦闘不能にした。

 

「さて、京都に君に指摘された、戦略を以て君と対峙した訳だが。…やっぱり、つまらないな。何故なら、簡単に勝ててしまう。ヴァ―リも、君も簡単に屠れて――」

 

そう言い、曹操は聖槍の切っ先を昴に向ける。

 

「させないわ!」

 

「雷光よ!」

 

 

――ドォォォォォッ!!!

 

 

そうはさせまいと、リアスが滅びの力を、朱乃は雷光を曹操に向けて放った。着弾した事によって巻き上がった煙が晴れると、そこには曹操の姿はなかった。

 

「フフッ、冗談だよ」

 

ゲオルクの横に転移していた曹操が肩を竦める。

 

「首尾はどうだ?」

 

「4分の3…いや、4分の3強って所だな」

 

「上出来だ。そろそろ、サマエルを現世に繋ぎ止めるのも限界だろう? もう十分だ」

 

曹操が指を鳴らすと、オーフィスを包んでいた黒い塊が四散し、同時にサマエルが魔方陣の中に沈み、姿を消した。

 

「…我の力、奪われた。これが曹操の目的?」

 

一見すると、オーフィスはこれまでと姿は変わっていない。しかし、その身の力は格段に減少しており、オーフィスは左右の手を閉じたり開いたりしながら、自身の力を減少を実感していた。

 

「その通りだ。我々は目的の為にあなたを利用してきたが、思い通りにするのは至難の業だ。だから俺達は、別の手段を講じる事にした」

 

「…奪った力で新たな象徴を創り出し、自分達の想いのままにするつもりか」

 

「ご名答」

 

2人のやり取りに割り込むように昴の問いかけに、曹操が頷いた。

 

『っ!?』

 

この2人のやり取りを聞き、その場で話を聞いていたリアス達は驚愕の表情をした。

 

「お前達からすれば、このオーフィスでは、この先、利用し続けるのは困難だろうからな。いつかは邪魔となる。かと言って、オーフィス無くして、組織の維持も出来ない。その問題を、こういう形で解消するか」

 

「なかなか見事だろう?」

 

「ああ。向かっ腹が立つ程にな。如何にも、英雄らしい」

 

「フフッ、お褒めに預かり光栄と、言った所かな?」

 

愉快そうに曹操は笑みを浮かべた。

 

「ゲオルク、奪った力は本部の研究施設だな? 俺は一足先に帰還する」

 

目的を果たした曹操はその場からの帰還を宣言した。

 

「良いのか? 今なら御剣昴とヴァーリの両方をやれるだろうに」

 

目下の敵である二天龍を葬るまたとない好機。その好機をみすみす逃す事に懸念を示すゲオルク。

 

「言ったはずだ。今回の目的はあくまで、オーフィスの力の奪還と、調整した黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)禁手(バランス・ブレイカー)の試運転。後は、京都での借りを返す事だと」

 

それでも曹操の意志は変わらず、その提案を突っぱねた。

 

「随分と、舐めてくれるな…!」

 

自身にトドメを刺さず、みすみす見逃す選択をする曹操に対し、怒りと屈辱で顔が歪む昴。

 

「曹操…!」

 

同様にヴァーリも怒りに震えていた。

 

「人間の寿命と言うのは、君達悪魔と比べればちっぽけと呼べる程に短い。俺が全盛期でいられる時間に限って言えば、さらに短い。そんな俺にとって、自分自身がもっとも伸びる時期に、君達のような、競い、ぶつかり合い、進化と成長を促してくれる存在は貴重と言ってもいい。俺がより、高みに上り詰める為にも、敢えて俺は、ここではトドメは刺さないでおくよ」

 

「…後悔するなよ」

 

「しないさ。もし仮に、今後、君達のいずれかに討たれる事になったとしても、その時は、俺がその程度の器に過ぎなかっただけの話だ。少なくとも、殺しておけば良かったと言う後悔が、殺さなければ良かったと言う後悔を上回る事はない断言出来る」

 

忠告をする昴に対し、曹操ははっきりと断言した。

 

「ゲオルク、俺の代わりにジークフリートを…、どうせなら、さっき、ヴァーリチームの彼女がやった入替転移をやってみてくれ。メフィスト・フェレスと契約したゲオルク・ファウストの子孫であるお前なら出来るだろう?」

 

「フゥ。その名を出されてしまうと、やって見せない訳にはいかないな」

 

やれやれと言った様子で溜息を吐くゲオルク。

 

「…その前に曹操、つい先程、入って来た情報だが」

 

ゲオルクの横を通り抜けようとした直前、曹操の耳元でゲオルクが何かを呟く。

 

「……そうか。二天龍を始め、ここにいる悪魔達ばかり見ていたせいか、少々、麻痺をしていたが、本来、悪魔とはそう言う存在だったな」

 

何やら納得した様子の曹操。メッセージを伝えたゲオルクは一足先に魔方陣で何処かに姿を消していった。

 

「では、俺はここでお暇させてもらうよ。…1つ、教えておこう。俺がここを去るのと同時に、ジークフリートと、ハーデスから指令を受けた死神(グリム・リッパー)達が大挙してやってくる。そこにいる、オーフィスの絞り粕を求めてね」

 

『っ!?』

 

曹操の忠告に、その場の者達は目を大きく見開く。

 

「精々、気を付ける事だ。そこのオーフィスを手に入れて、何を企んでいるかは俺にも分からんが、少なくとも、君達にとっては碌な事にはならないだろうからな」

 

この空間からの転移を始めた曹操。

 

「ついでに、もう1つだけ、忠告しておこう」

 

姿が消え去る直前、さらに言葉を続ける曹操。

 

「旧魔王の末裔には、くれぐれも気を付ける事だ」

 

そう言い残し、曹操はこの場から去っていった。

 

『…っ』

 

英雄派達がその場を去り、残ったのは、ボロボロに打ちのめされ、敗北を喫したグレモリー眷属達とヴァーリチーム達。

 

「…くそっ、負けたか。誰も倒せず、何も守れる事もなく――っ」

 

悔しさを吐露した昴だったが、ここで遂に限界が来て、意識を手放し、その場で倒れ込んでしまう。

 

「昴!!!」

 

倒れた昴を目の当たりにし、リアスが悲鳴のような声を上げながら、駆け寄るのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

『…』

 

ホテルの一室に移動したリアスを始めとしたグレモリー眷属の面々。

 

曹操達が去った後、リアスはホテルの中層階である30階へと移動した。同階の別室にて、他の負傷者もアーシアの治療を受け、休んでいる。怪我については既にアーシアによって治療を施されており、怪我そのものは完治しているのだが、黒歌は大事を取って休み、サマエルの呪いを受けたヴァーリは未だ、その身に受けた呪いが消えず、苦痛に苛まれている。

 

「…っ」

 

それともう1人、この部屋のベッドには、ヴァーリと同様、サマエルの呪いを受けた昴が眠っており、時折、苦痛で表情を歪めながら昴が横たわっており、未だ、意識は戻らない。

 

「戻りました」

 

室内を沈黙が支配する中、斥候に出ていた木場が部屋にやってきた。

 

「どうだったの?」

 

「はい。駐車場に、死神の姿が確認出来ました。数は、かなりのものです」

 

「…そう」

 

報告を受け、怒りと悲痛が入り混じった表情をするリアス。

 

曹操の忠告通り、死神達がやってきたのだ。力を奪われ、弱体化をしたオーフィスを求めて…。

 

「防衛ラインをこの階だけに絞ったのは正解だったわね」

 

現在、リアス達がいる30階に防御結界を張っている。その気になればもっと広く展開する事も出来たが、範囲を広げれば広げる程、結界の防御力は落ちてしまう上、防衛エリアが増えてしまうので、30階に留めたのだ。

 

「部長、これからどうなさいますか?」

 

朱乃がリアスに尋ねる。

 

「…」

 

その問いに答える事無く、神妙な表情をするリアス。

 

グレモリー眷属の(キング)として、眷属達に指示を出さなくてはならない。だが、ロスヴァイセとギャスパーは別行動、ゼノヴィアはエクス・デュランダルの機能がやられ、戦力ダウン。小猫も、姉である黒歌に庇われ、精神的に不安定。何より主要戦力である、昴は未だ、意識が戻らない。

 

「…っ」

 

思わず、スカートの裾をギュッときつく握りしめるリアス。何とか冷静になろうと努めようとするが、それが出来ない。せめて、目の前の愛する男が、目を覚ましてさえくれれば…。

 

「う…ん…」

 

その時、ベッドで横になっていた昴が唸り声と共に動き出したのだ。

 

「っ、昴!」

 

その声を聞き、すかさず昴に寄るリアス。

 

「…っ、リ…アス…? …ぐっ!」

 

リアスの声が耳に届いた昴がその名を呼び、苦悶の声を上げながら上半身を起こした。

 

「ダメよ寝てなきゃ!」

 

そんな昴を制止するリアス。

 

「…っ、俺は、どれだけ眠っていた?」

 

額付近を押さえながら昴が尋ねる。

 

「30分くらいよ」

 

「30分…、結構、眠っちまったみたいだな。…それより」

 

何かに気付いた昴が周囲を見渡し始める。

 

「随分と暗いな。照明は全く行き届いていないみたいだな」

 

「? 何を言っているの? 部屋はこんなにも明るい(・・・・・・・・)――」

 

「…えっ? 真っ暗で何も見えない――っ!?」

 

噛み合わない2人のやり取り、昴は、自身の異変に気付いてしまう。

 

『っ!?』

 

その直後、他の者達も昴の異変に気付いてしまった。

 

「あなた…、まさか…!」

 

「……そうか、両目共に、やられちまったか――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――昴は、光を失った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





9月の半ばくらいまでは鳴いていた蝉の声はなくなり、日中でも冷房がいらない日が増え、自分にとって1年の中でもっとも過ごしやすい時期がやってきました…(^_^)/

でもまあ、猛暑の中、キンキンに冷房が効いた部屋でアイスを食べるのも一興だった夏が終わり、寂しさも感じていたり…(;^ω^)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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