ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

秋は何処に…(゚Д゚;)

それではどうぞ!



Life.146~作戦会議、小さな告白~

 

 

 

ホテルの一室にて、リアスを始めとした、昴、小猫、レイヴェル、ヴァーリ、黒歌を除いた者達が集まり、今後の対策を立てていた。

 

『…』

 

静寂が支配する室内。窓の外では、死神(グリムリッパー)達が所かしこに犇めいている。

 

「…つまり、この空間から抜け出すには、ゲオルク本人がこの空間を解除するか、後はゲオルク本人またはこの結界を支える中心点を破壊するしかないって事ね?」

 

沈黙を破ったリアスが、ルフェイに確認をする。

 

「はい。…ゲオルク様が空間を解除する事は恐らく、あり得ませんので、実質、選択肢は後者だけかと」

 

おずおずと補足しながら首を縦に振るルフェイ。

 

表情の暗いルフェイ。先程、ヴァーリとヴァーリチームが裏切者と言う扱いになった事が通達された事を知り、肩を落としていた。

 

「そして、あなたの持つ、魔法で、この空間から脱出出来るのは、あなた自身と、後は2人が限界だと」

 

「はい。…ただ、オーフィス様だけは不可能です。どうやらこの空間は、オーフィス様を捉える特別仕様になっているみたいで、かつてのオーフィス様ならそれでも問題はなかったのですが、今は、かなり力を落とされてしまいましたので…」

 

説明を聞き、顎に手を当てながら思案するリアス。

 

「昴君の話通りなら、凡その事情はアザゼルが把握しているはずですから、外から手は打っているでしょうけど、それでも、こちらから詳細な情報を伝える為の人員は必要。…部長、誰を脱出させますか?」

 

朱乃が尋ねる。

 

「……1人はイリナね。イリナであれば、天界に、今回の騒動を伝える話がスムーズに進むでしょうし」

 

「っ!? それは分かるけど、私より、レイヴェルさんの方が…!」

 

食い下がるイリナ。

 

「レイヴェルなら、仮に脱出出来たとしても、自分は優先しなくてもいいと言っていたわ。…今は、一刻も早く、救援が必要だわ。その為にも、イリナ、お願いするわ」

 

「…っ」

 

尚も食い下がるとしたイリナだったが、状況を理解し、言葉を飲み込んだ。

 

「1人イリナさん。後1人は、どうしますか?」

 

木場が尋ねる。

 

「…」

 

再び顎に手を当て、思案するリアス。

 

『…』

 

リアスの判断を無言で見守る他の者達。2~3分、思案した後、リアスが口を開く。

 

「……2人目は、昴よ」

 

『…っ!』

 

この選択に、他の者達は苦い表情をする。現状、今いるメンバーの中で、最大戦力が昴。その昴がいなくなる事は本来であれば大きな打撃…なのだが…。

 

「…やむを得ませんわね」

 

納得せざるを得ないとばかりの朱乃。

 

『…』

 

他の者達も同様であり、異論を唱える者はいない。

 

「昴はきっと納得しないでしょう。けれど、こればかりは仕方がないわ。何とか私が説得して――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――却下だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、部屋の扉の方から声が届いた。

 

『っ!?』

 

その場の全員が扉の方へ視線を向けるとそこには、オーフィスを伴った昴が立っていた。

 

「す、昴…」

 

昴に話を聞かれてしまった事に、戸惑いの表情を見せるリアス。

 

「当然、俺は残る。こんな状況で、皆を置いて脱出なんて、あり得ないからな」

 

「ダメよ。今回ばかりは、主である私の命令に従ってもらうわ」

 

食い下がる昴に、毅然とした態度で窘めるリアス。

 

「俺抜きで、どうやってここを切り抜けるつもりだ?」

 

そんなリアスを真正面から受け止めた昴が尋ねる。

 

「気に食わないと言うなら単刀直入に言うわ。普段通りのあなたならともかく、今のあなたでは、足手纏いなのよ」

 

サマエルの呪いによって、身体は蝕み、両目が見えない昴。そんな昴を足手纏いだと断ずるリアス。

 

「あなたはすぐにこの空間から脱出して、呪いを完全に解いてから仲間を率いてこの空間に救援に来てちょうだい。それまで、私達はこの階を拠点にして持ち堪え――」

 

「――持ち堪えられる訳がないだろう」

 

言い切る前にピシャリだ断言する昴。

 

「あのゲオルクが、1度この空間から抜け出た俺を、すんなり入れてくれるはずがない。俺が使った侵入方法も、既に対策してるだろうからな。もし使えるなら、今頃アザゼル先生が既に救援を送ってくれているはずだからな」

 

「…っ」

 

昴の指摘に、リアスが言葉を詰まらせる。

 

「1番の問題は、敵の方だ。死神の数は百を軽く超えている。恐らく、これからまだまだ増えていくだろう。中でも、異質な気配が3つ。内2つはゲオルクとジークフリートだ。…ま、これも何とか出来るかもしれない。問題は、残りの1つだ」

 

昴が顔を駐車場の方に向ける。

 

「かなりの強者だ。純粋な力だけなら、曹操を凌ぐ。下手すれば、サイラオーグさんクラスだ」

 

『っ!?』

 

この言葉に、その場の全ての者が目を見開きながら驚愕する。

 

「この気配には覚えがある。記憶が確かなら、サイラオーグさんとのレーティングゲームの直前、ハーデスと一緒にいた奴だ。ハーデスの次に強大なオーラを醸し出していたら良く覚えている。確か、道化師の仮面を被っていた奴だ」

 

「っ!? まさか…!」

 

続けて出た昴の言葉を聞き、ルフェイが口元に手を当てながら驚愕する。

 

「知っているの?」

 

リアスが尋ねると、ルフェイがおずおずと話し始めた。

 

「…もし、スバルさんのお言葉が本当でしたら、その死神は恐らく、最上級死神のプルート様です」

 

『っ!?』

 

驚愕の事実に、その場の者達が再び驚愕する。

 

「間違いないの?」

 

「…はい。道化師のような仮面を被った死神となると、冥府内でもプルート様だけのはずですから」

 

確認を取るリアス。ルフェイは表情を曇らせながら頷いた。

 

「仮にも最上級死神であるなら、弱い訳がないな」

 

苦い表情をしながらゼノヴィアが呟く。

 

「そんな奴がここにいる以上、籠城は無理だ。ゲオルクとて、この空間に侵入されないよう、手は打っているはずだからな。再突入出来た頃には、オーフィスは奪われ、ヴァーリを含め、残りは全滅しているのが関の山だ」

 

淡々と昴が告げる。

 

「ってな訳で、俺はここに残る。ここから脱出するのは、…確か、2人しか無理なんだっけか? 1人はイリナ。もう1人は――」

 

昴は一瞬、アーシアの方へ顔を向けるも、すぐに対象を変え…。

 

「ゼノヴィア、お前が行け」

 

ゼノヴィアの方へ顔を向け、告げた。

 

「冗談じゃない! 私がいなくなったら、まともに戦えるのは木場だけになってしまうだろ!?」

 

指名を受けたゼノヴィアは反発をした。

 

「エクス・デュランダルは使えないんだろう? 残った所で戦略ダウンだろうが」

 

「デュランダルはかろうじてまだ使える! 目の視えないお前よりはよっぽど私の方が――」

 

 

――スッ…。

 

 

「っ!?」

 

言い切るより前に、昴はゼノヴィアの首元に片手剣の鈴音の刀身を首元に突き付けた。

 

「私の方が? 生憎と、俺は眼に頼り切った戦い方はしていないんでな。両目が使えないくらいじゃ、俺とお前の力の差は逆転しないぜ」

 

「…っ、それならアーシアを――」

 

「そうしたいのは山々だが、この空間から脱出した先で待ち伏せされていたら、いくらイリナでも、アーシアを守りながら逃げるのは困難だ」

 

「…っ、だが…!」

 

「勘違いするな。お前が足手纏いだから行かせるんじゃない。イリナの護衛をする意味でも、お前が適任なんだ。…お前の気持ちは察する。だが、聞き分けてくれ」

 

「…っ」

 

説得を続ける昴だが、それでも尚、ゼノヴィアは頷く事が出来ないでいた。

 

「頑固な奴だな。…ってか木場」

 

唐突に、木場の名を呼ぶ昴。

 

「何シレって俺の背後を取ろうとしてんだ。大方、俺を気絶させて無理やりこの空間から逃がそうとか考えたんだろうが、無駄だぞ。やろうとした瞬間、組み伏せるだけだからな」

 

「…っ」

 

人知れず、昴の背後に移動していた木場が目を見開く。実は、リアスが木場に目で合図を送り、そうさせていたのだ。

 

「えっ? どうして、見えていないはずなのに…。見えるようになったんですか?」

 

まるで見えているかのような昴の言動に、アーシアが目を丸くする。

 

「見えてないよ。このくらい、音や気配、空気や氣の流れを感じ取れば分かる事だ。…それよりリアス。君から命令してくれ。リアスも分かっているんだろう? ここで君が取るべき最適解が」

 

「…っ」

 

昴の指摘に、表情を曇らせるリアス。無論、リアスも理解している。この場で昴を脱出させてしまえば、この空間内に残った者達はが高確率で全滅する事が。

 

「……分かったわ。ゼノヴィア、イリナと共にこの空間から脱出してちょうだい。今の昴を見て、理解したでしょう? 天界に付いたら、一緒にデュランダルの修理も一緒にしてもらいなさい」

 

「……分かった」

 

ようやく、ゼノヴィアが頷いた。

 

「決定だな」

 

そう呟き、昴は手元の鈴音を消した。

 

「ゼノヴィアとイリナさんを脱出させるとして、残った我々はどう動きますか?」

 

木場が次の作戦の内容である、残った者達の立ち回りの話し合いに移行させる。

 

「…正直、この30階を拠点にして、救援が来るまで耐え切るつもりでいたけど、昴が普段と変わらない動きが出来ると言うなら、話が変わるわ」

 

リアスが皆を見渡しながら…。

 

「打って出るわ。こちらから攻勢に出て、この結界を破壊し、この空間から脱出するわ」

 

その言葉を聞き、昴はニヤっと笑い…。

 

「具体的には?」

 

昴が尋ねると、リアスが作戦を話し出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…また、とんでもない作戦を考えついたものだな」

 

作戦の概要を聞いたゼノヴィアが苦笑交じりに呟く。

 

「昴、あなたの意見を聞かせてちょうだい」

 

「異論無し。それで行こう」

 

異議を唱える事無く、昴は親指を立てながら了承した。

 

「決まりね。…皆、行くわよ。絶対にオーフィスは渡さない。ここにいる全員、1人も欠ける事無く、ここから脱出するわよ!」

 

『おう(はい)!!!』

 

リアスの檄に、皆が応えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

作戦が決まり、動き出したリアス達。

 

「この辺りと、この辺り…で、良いかな?」

 

「はい。そこで合ってます」

 

昴が天井と床を指差し、確認すると、小猫が頷いた。

 

結界に覆われた階層の廊下にて、昴と猫又モードの小猫がおり、下準備を進めている。近くの部屋では、ルフェイとゼノヴィアとイリナが脱出の準備を進めている。同部屋の窓際に、残りのメンバーが待機している。

 

「では、後はお願いします」

 

「おう、任せろ」

 

そう言い、小猫は部屋へと移動する。

 

「…」

 

しかし、部屋へと入ろうとした直前で、小猫が足を止めた。

 

「? …どうかしたか?」

 

「…さっき、姉様と話しました」

 

暫しの沈黙の後、小猫が口を開いた。

 

「姉様は相変わらずでした。結局、私の話は真剣に聞いてくれなくて…!」

 

ワナワナと肩を震わせる小猫。あの後、レイヴェルといつもの口喧嘩をした事で、少しはクールダウンは出来たのだが、再び怒りが再燃してきた。

 

「やっぱり、姉様は嫌いです。今はまだ、許す事が出来そうにありません」

 

「…そうか」

 

小猫の言葉に、昴は溜息を吐いた。

 

「…けれど、姉様はあの時、私を助けてくれました。自分の身を呈して」

 

「ああ」

 

「私には、姉様の事は分かりません。…ですが、今だけは、姉様の事、信じてみます」

 

昴の方に振り返り、小猫が告げた。

 

「今はそれでいい」

 

小猫に歩み寄った昴が小猫の頭に手を乗せた。

 

「黒歌はな、きまぐれで、飄々としているから分かりにくい奴だ」

 

「…」

 

「黒歌のせいで、たくさん傷付いたかもしれない。それでもやっぱり、あいつは小猫の姉だと思うぜ」

 

「そう…でしょうか…」

 

釈然としない小猫。

 

「あいつが小猫と向き合おうとしないのは多分、それがあいつなりのケジメなんだと思うぜ」

 

「ケジメ?」

 

言葉の意味が理解出来ず、首を傾げる小猫。

 

「あいつが何も話さないのは、自分を正当化したくないのと、小猫に許されたくないからだ」

 

「…意味が分かりません」

 

「それだけ、小猫の事が大切だって事だ。大切だからこそ、仕方がなかったとは言え、小猫を傷付け、1人ぼっちにした自分自身を許す事が出来ない。小猫に恨まれ続ける事が、黒歌にとっての償いであり、決して本音を話さず、自分自身の胸の内で秘め、謝罪し続ける事が黒歌にとっての小猫への懺悔……ま、この辺は俺の想像だけどな」

 

「先輩はもしかして、姉様から何か聞いているんですか?」

 

「その辺りの事は、俺の口からは言えない。知りたければ、あいつに直接聞けよ」

 

「答えて…くれるでしょうか?」

 

「答えるさ。小猫が意地を張らずに、本音でぶつかり続ければな。相手が大切であればある程、本音でぶつかってくる相手をいつまでも無下には出来ないからな」

 

ニコッと笑みを浮かべる昴。

 

「1つ、アドバイスを贈るなら、後悔だけはするな。こんな世界だ。互いにいつ、どうなっちまうか分からないからな。出来る事は出来る内にやっておけよ」

 

「…分かりました」

 

小猫が返事をすると、昴は小猫の頭から手を放し、踵を返した。

 

「後悔……あっ、先輩!」

 

「ん?」

 

慌てて小猫が昴を呼び止めると昴が振り返る。

 

「ありがとうございました。少し、気が楽になりました」

 

「そりゃ、何よりだ」

 

「それと、先輩のアドバイスに従って、私も――」

 

「――っ!?」

 

トコトコと昴の下に駆け寄った小猫は、飛びながら手を伸ばし、昴の首の後ろに両手を回すと、そのまま自身の唇を昴の唇に重ねた。

 

『っ!?』

 

部屋の扉は開かれているので当然、一部始終を他の者達は目撃しており、飛び込んで来た光景に目を丸くした。

 

「…ぷはぁ」

 

吐息と共に顔を放すと、そのまま地に着地した。

 

「こ、小猫…」

 

突然の小猫の大胆な行動に、昴は言葉を失う。

 

「先輩には、部長がいて、朱乃先輩やアーシア先輩。そして、前世での愛し合った人達がいる事は分かってます。それでも私は、皆に負けないくらい、先輩の事が大好きです。…だから――」

 

小猫は1度、深呼吸をし、気持ちを落ち着かせ…。

 

「おっきくなったら、私をお嫁さんにして下さい」

 

『えっ!? まさかの逆プロボーズ!?』

 

意を決しての小猫の告白、プロボーズに、聞き耳を立てていた、リアスを始めとした面々も仰天した。

 

「…」

 

まさか、昴もキスだけではなく、続けてプロボーズまでされるとは思わなく、驚きのあまり、返す言葉に戸惑っている。

 

「…っ//」

 

昴の言葉に感化されたとは言え、勢いでプロボーズまでしてしまい、顔が真っ赤になった小猫。

 

「……そうか」

 

胸中は察しつつ、小猫の言葉や想いが真剣なものである事を理解した昴は片膝を付いて小猫と目線を合わせ…。

 

「もっと良い女になれよ」

 

そう言い、小猫の額にキスをした。すると小猫を額を押さえ、さらに顔を真っ赤にさせながら…。

 

「は、はい。姉様以上の女になります」

 

喜びを噛みしめながらそう返したのだった。

 

「あのー…、術式は組み終わったんですが。…取り込み中でしたか?」

 

転移魔方陣が完成し、その報告に来たルフェイ。同じく、2人のやり取りが聞こえていた為、おずおずとした面持ちだった。

 

「っ//」

 

ここで周りに皆がいる事を思い出し、これまでのやり取りを全て見られ、聞かれた事を自覚した小猫が顔を隠しながらトコトコとその場を離れていった。

 

「いや、話は終わった。準備が出来たなら、…始めるか!」

 

昴が両腕を広げると、左右の手の周囲に、それぞれ、3本ずつ、計6本の英雄の器(ブレイブ・ハート)の武器が発現し、一方が上に、もう一方が下に切っ先が向いた。狙いは、屋上に2階ホールにあるこの空間を支える装置及び、その装置を守っている死神。1つずつ破壊していては、時間がかかる上、時間をかければそれだけ対策が取られてしまう。だったら、作戦開始と同時に一気に2つの装置を死神ごと消し飛ばし、その後、勢いそのまま、最後の1つを破壊すればいい。これが、リアスの考えた作戦の概要。

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!』

 

展開した6つの武器にオーラを集め、集めたオーラを倍化させ、増幅させる。

 

「反撃の狼煙だ。派手に行くぜ!!!」

 

 

――ドォォォォォッ!!!

 

 

宣言と同時に発射される赤龍砲。轟音と共に上下に放たれた赤龍砲は、幾重の壁や天井を貫通しながら屋上と2階ホールの装置と死神(グリムリッパー)に直撃した。ひとしきり、放射し続け、やがて砲撃は治まった。

 

「…フゥ、屋上とホールに居座った死神共はひとしきり駆逐した。装置の方はどうだ?」

 

「…はい! それぞれ、破壊が確認出来ました! 残りは駐車場だけです。それと、転移の準備も今、完全に整いました!」

 

足元で準備をしていた転移魔方陣が輝き出すと、その魔方陣の内側に立っていたルフェイ、ゼノヴィア、イリナがその光に包まれていった。

 

「また後でな!」

 

光に消えゆく3人に声を掛ける昴。

 

「デュランダルを直したらすぐに戻る。それまで持ち堪えてくれよ!」

 

「うん! 絶対、また会おうね!」

 

昴に返事をしながら3人はこの空間から消えていった。

 

「3人の脱出は成功ね! 次は私達よ。残る装置を破壊して、ここから脱出するわよ! 皆、行くわよ!」

 

『はい!!!』

 

リアスが目の前の窓を滅びの力で消し飛ばし、リアスの言葉を合図に前衛である木場を先頭に、リアス、朱乃、そして昴が続いて窓から飛び出した。

 

《かかれ!》

 

号令と共に、駐車場を陣取っていた死神達が鎌を構え、窓から飛び出して来たリアス及びグレモリー眷属達に向かって飛翔し始めた。

 

 

――ドォッ!!!

 

 

先程、リアス達が飛び出した窓際では、ヴァーリ、呪われた身体に鞭を打ちながら援護の砲撃をし、黒歌は後衛のメンバーを守る為、魔力で防御魔方陣を展開。アーシアはオーラで創り出した弓矢で回復のオーラを飛ばし、支援をする。

 

「…っ」

 

やはり、まだ完全ではない黒歌。敵からの砲撃を受け、僅かによろける。

 

「…っ、白音? それに不死鳥のお嬢ちゃんも」

 

そんな黒歌の身体を、小猫とレイヴェルが支えた。

 

「私が仙術でフォローしますので、姉様は防御魔方陣に集中して下さい」

 

「邪魔をする不届き者は、この私自ら成敗致しますわ!」

 

「ありゃりゃ、これはこれは大助かりにゃん」

 

2人に支えられ、ニヤリとする黒歌。

 

「…姉様」

 

「ん?」

 

「いつか仙術と妖術の使い方、教えて下さい。…それと、あの時の事を」

 

「…っ」

 

小猫のお願いに、目を見開く黒歌。

 

「今ならきっと、少しは冷静に姉様の話を聞けると思いますので」

 

「フフッ、随分と殊勝なのね。もしかして、赤龍帝ちんのおかげなのかな♪」

 

「そうかもしれません」

 

「……良いわよん。教えてあげる。仙術も猫又流の妖術も、…あの時の事も」

 

優し気な笑みを浮かべながら、黒歌は小猫の頼みを了承した。

 

「あ、それと白音」

 

「?」

 

「さっきのお顔真っ赤にしながらの白音のプロポーズ、可愛かったにゃ――ぐふっ!」

 

ニヤニヤしながら茶化した黒歌に対し、無言で脇腹に拳を突き刺したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「消し飛びなさい!」

 

滅びの力を飛ばし、自身の周囲の死神を消し飛ばすリアス。

 

「雷光よ!」

 

光を帯びた雷を落とし、下に蔓延る死神を吹き飛ばす朱乃。

 

「…っ、思うように身体が動かずとも…!」

 

翳した右手から魔力の球を撃ち出し、死神を撃ち落とすヴァーリ。

 

「…っ」

 

弓の1つである餓狼爪を発現し、オーラで創った矢をその弓に番え、弦を引き絞り…。

 

 

――バシュッ!!!

 

 

弦を放つと、無数のオーラの矢が雨のように死神達に降り注ぎ、貫いていく。

 

《死ね!》

 

その時、死神の1体が昴の背後から鎌を振り下ろす。

 

「昴君!」

 

振り下ろすより早く、木場がその死神を斬り捨てた。

 

「ハァ…ハァ、…おー、サンキューな」

 

ニコリと笑みを浮かべながら礼を言う昴。

 

「(もう、こんなに息が…、やっぱり、サマエルの呪いが…!)」

 

昴の異変を感じ取った木場。一見、問題なく戦えているように見えるが、昴は既に軽く肩で息をしており、額からは汗がかなり滴っていた。

 

作戦が開始され、前衛、後衛に分かれて攻勢に出るリアス達。かなりの数の敵を屠っているが、それでも未だ死神はかなりの数が揃っている。ちなみに、オーフィスは後衛の最後方で待機している。力を落としたとはいえ、その力は現状のメンバーの中ではトップではあるのだが、力を奪われた影響で力のコントロールが上手く出来ない事が分かり、下手に力を行使すると味方が巻き込まれる可能性がある為だ。

 

「さあ、一気に攻勢をかけるわよ! …昴!」

 

「了解!」

 

リアスが声を掛けると、昴は右手に力を集める。

 

「私にも」

 

「分かってる!」

 

朱乃の言葉を受け、同様に左手にも力を集める。

 

Transfer(トランスファー)!!!』

 

2人の肩に触れ、集めた力をそれぞれに譲渡した。

 

「朱乃、この力で駐車場の装置を消し飛ばすわよ!」

 

「了解ですわ!」

 

昴に力を譲渡された事で力が膨れ上がるリアスと朱乃。

 

「消し飛びなさい!」

 

「雷光よ!」

 

この空間を維持している装置に向け、滅びの力と雷光を放った。2つの力は、装置までの直線上にいる死神達を巻き込んで消し飛ばし、そして、装置に直撃…。

 

「「っ!?」」

 

かと思ったが、その直前で、何かに弾かれてしまい、装置の破壊するに至らなかった。

 

《困りますね。まだこの空間を壊されては…》

 

装置の前に突如として現れた1体の死神。2つの力を弾き飛ばした張本人だ。

 

「…来たか」

 

神妙な面持ちで呟く昴。

 

《初めまして。私はハーデス様に仕える死神、名はプルート。以後お見知りおきを…》

 

フードを上げ、道化師の仮面を覗かせた死神、プルートが自己紹介をした。

 

「…っ、あなたが。…プルート、これはいったいどういう事かしら? 仮にも協力関係にある三大勢力の1つである私達悪魔に攻撃を仕掛けるなんて」

 

怒り交じりの表情でリアスがプルートに尋ねる。

 

《どういう事? それはこちらのセリフですよ。アザゼルと共にオーフィスと結託し、同盟を切り崩そうなどと企てるとは…》

 

リアスの言葉に、そう返すプルート。その返答にリアスの表情がますます険しくなる。

 

「ふざけないで! テロリストで最前線で戦ってきた私達に対してそのような侮辱の言葉は許さないわよ!」

 

《盗人猛々しいとはこの事だ。あそこにいるオーフィスが動かぬ証拠でしょう》

 

持っていた鎌で後方にいるオーフィスを指し、やれやれとばかりに肩を竦めるプルート。

 

「…そういう事にして私達を始末する気なのね」

 

《フフッ、ま、今にそんな大義名分も必要なくなるでしょうが》

 

含みのある笑い声を上げるプルート。

 

《さて、私は忙しい身でしてね。早々にハーデス様の下へ帰還しなければなりませんので。…さあ、始めましょうか》

 

そう言い、宣戦布告をするプルート。

 

《さあ、誰から来ますか? 私としては、纏めて来てくれた方が時間がかからずに助かるのですが…》

 

鎌を構えるプルート。

 

「僕が相手だ」

 

真っ先に名乗り出たのは木場。1歩前に出た木場が聖魔剣を構えた。

 

《おや? あなたは存じていますよ。聖と魔が入り混じった剣を創造する稀有な能力も持った悪魔。先日、開催されたレーティングゲームでも拝見させていただきましたから》

 

木場を認識していたプルート。

 

《未だ下級悪魔の位置づけながら、その実力は下手な上級悪魔をも凌ぐ。…ですが》

 

「っ!?」

 

木場の目が見開かれる。

 

《私の相手を名乗り出るその勇気だけは称えますが、少々、驕りが過ぎますね。この私は、上級のさらに上の最上級。そして、死神と悪魔では、同じ位置づけでもその差は歴然ですよ?》

 

木場に向けて殺気を放つプルート。

 

「…っ」

 

その殺気を受け、後退りそうになるのを必死に堪える木場。

 

「(殺気を軽く放っただけでこの威圧感。これが最上級死神!)」

 

まだ一合も斬り結んでいないのも関わらず、額から汗が滴る木場。

 

「(けど、それでも、僕がやるしかない。今、この場で奴と戦えるのは僕だけなんだ。…例え、差し違えてでも…!)」

 

剣を握る剣にさらに力を込める木場。

 

 

――スッ…。

 

 

その時、剣を握る木場の手に手が添えられる。

 

「す、昴君?」

 

その手の正体は昴。

 

「止めておけ、お前じゃ無理だ」

 

「っ、だけど――」

 

「勝てるイメージがしなかっただろ?」

 

食い下がる木場を遮るように言葉を被せる昴。

 

「そんなんじゃ、勝つどころか、差し違える事さえ無理だ。…ここは俺に任せろ」

 

木場の前に出た昴。

 

「っ!? ダメだよ! 君は万全ではないんだ! ましてや、目だって未だに見えていないのに…!」

 

前に出た昴の肩に手を乗せ、止める木場。

 

「俺の心配なんざ、100年はえーよ。…良いから、ここは俺に任せろ。お前は、あっちをやれ」

 

昴が指差した先、そこにはジークフリートがいた。

 

「あれも無視は出来ないだろ。てかいい加減、あの程度、超えて見せろ。それが出来なけりゃ、尚の事、ここは任せられねえよ」

 

「…っ、分かった。ここは任せるよ」

 

止めるのを諦めた木場が肩に置いた手を放した。

 

「待たせて済まない。俺が相手だ」

 

《おや? 最初の相手は赤龍帝ですか。その様で私の相手が務まりましょうか?》

 

目が見えない昴を嘲笑しながら蔑むプルート。

 

「たかだが死神の1匹。この程度じゃ、ハンデにすらならねーよ」

 

不敵に笑い返すのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

遂に始まった反攻作戦。

 

大量の死神を屠る中、現れたのは最上級死神、プルート。

 

強敵を前に、未だ、サマエルの呪いが消えない昴が、立ちはだかるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





久しぶりの週一投稿…(^-^)

一気に寒くなって、掛布団と長袖シャツを即座に引っ張り出しました…(;^ω^)

補足として、ヴァーリより圧倒的に魔力が少ない昴がヴァーリよりサマエルの呪いの影響が少ない理由として、ヴァーリがサマエルの呪いを受けた時はまだ、オーフィスの力をほとんど奪っておらず、サマエルの力をより振るえる状況だったのに対し、昴の時は、既にかなりの力を奪っており、サマエルの制御にかなりのリソースを割いていた為、昴の方が軽症となっております。作中で語る場面がなかったのでここで説明させていただきます。まあ、動ける代わりに目が見えないので、どっちがマシかは分かりませんが…(;^ω^)

11月に入れば、もっと寒くなるでしょうから、このまま風邪をひかずに健康でいたいものですね…(>_<)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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