ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

あのシャルバが…。

それではどうぞ!



Life.148~復讐のシャルバ、全てを捨てし者~

 

 

 

英雄派及び死神達との戦いが始まり、昴がプルートを、木場がジークフリートを撃退した。

 

その後、大量の死神達を動員し、リアス達を物量で押し切ろうと慣行するも、ホテル内に誘導した後、あらかじめ組んでおいた転移術式でリアス達は脱出し、その後、オーフィスの手によって、ホテルごと死神達は一掃された。

 

戦いが決着の色を見せたその時、かつて、昴…正確には刃によって倒されたはずのシャルバが来襲した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「久しいな、赤龍帝。…ヴァーリ」

 

突如として現れた旧魔王の末裔であり、禍の団(カオス・ブリゲード)の旧魔王派のリーダーであるシャルバ。

 

「独断で動いているとは聞いていたが、いったいここには何をしに来たんだい?」

 

現れたシャルバに尋ねるジーク。

 

「…」

 

だが、シャルバは答える事はなく、ただただリアス達…昴に視線を向けていた。

 

「シャルバ?」

 

沈黙を保つシャルバに対し、怪訝そうな表情のゲオルク。

 

「……ああ、ジークフリートにゲオルクか。貴公らには世話になったな。おかげで、この腕(・・・)以外の傷は癒す事が出来た」

 

ようやく口を開いたシャルバ。2人に振り返った際、僅かに翻ったマントの中から、失った左腕の様子が見て取れた。

 

 

「(何だ? 以前とは違う)」

 

現れたシャルバだが、過去に相対した時とは様子が違っていた。

 

『(へぇー、前は自分だけが常に1番高い所に立っているつもりでいて、自分以外が下にいると本気で考えていた、典型的な小物だったが、今の奴は、何やら吹っ切れている様子だねえ)』

 

シャルバと戦った刃がシャルバを見て口を開く。

 

『(1つ言える事があるとすれば、奴はこれから、君らにとっては碌でもない事をするだろうねえ)』

 

不気味に呟いた。

 

 

「ここに来た理由だったか? なに、宣戦布告に来ただけさ」

 

「宣戦布告? いったい何を――っ!?」

 

言葉の真意を読み取れなかったゲオルクだったが、シャルバがマントを翻し、そこから現れた人物を見て、大きく両目を見開いた。

 

「なっ!? レオナルド!?」

 

現れたのは、同じ英雄派の1人であり、神滅具(ロンギヌス)の1つである、魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)を所持するレオナルドであった。レオナルドはまるで生気を失ったかのように虚ろであり、操られている様子が見て取れた。

 

「何故がレオナルドを連れている!? レオナルドは別作戦に当たらせていたはずだ! まさか貴様、無理やり連れだしたのか!?」

 

激昂するゲオルク。

 

「そう熱くなるな。少しばかり同行してもらっただけだ。もっとも、返事は聞かなかったがな」

 

そう言い、シャルバが右手に小型の魔方陣を展開させ、それをレオナルドの身体に近付けると、魔方陣の悪魔文字が高速で動き出した。

 

「うわぁぁぁぁああああーーーーっ!!!」

 

すると、これまで虚ろだったレオナルドが苦悶の表情と共に絶叫を上げるのと同時にレオナルドの足元の影が広がり始め、その規模はフィールド全体を覆う程までに拡大した。

 

「なに? 何をしようとしているの?」

 

リアスが広がる影を戸惑いながら見渡す。

 

「さあ、始めようか。我が復讐を…」

 

ふわりと空中へと舞うシャルバ。次の瞬間…。

 

『っ!?』

 

広がった影から巨大な頭部のようなものが現れ、さらに姿を見せると、あまりの巨大さにその場にいる全ての者が驚愕した。その巨大さは。あのグレートレッドを凌駕していたからだ。

 

『ゴガァァァァァァァアアアア!!!』

 

姿を現した巨大な魔物は、耳を劈く程の咆哮を上げた。

 

そこからさらに、今し方現れた魔物程のサイズではないが、それでも巨大な魔物が続けて複数体出現した。

 

「実に便利な能力だ。人間には過ぎたる程に。だが、私の復讐に花を添えるにはこれ以上にない能力だ」

 

淡々とした表情で語るシャルバ。

 

「ゆけ、そして、私を否定した愚かな悪魔共を、私から魔王の座を簒奪した憎き偽りの魔王共を、そして、冥界にある全てのものを滅ぼすのだ」

 

バッ、シャルバが手を新たに翳すと、超巨大な魔物達が転移の光に包まれ始めた。

 

「奴らを冥界に行かせるな!!!」

 

言うな否や、昴は自身の周囲に英雄の器(ブレイブ・ハート)を複数本発現させ、魔物目掛けて一斉掃射。同時に、他の者達も魔物目掛けて攻撃を放つ。だが、魔物は表面を少し傷付けただけで有効的なダメージを与える事は出来なかった。やがて魔物達は全て、転移の光に包まれ、消えていった。

 

「目的は達した。ほれ、返すぞ」

 

転移を終えると、シャルバはゴミでも捨てるようにレオナルドを放る。

 

「レオナルド!」

 

地面に向かって落ちるレオナルドを慌てて受け止めるジーク。

 

「…っ、何て無茶を。こんな一瞬だけの雑な禁手(バランス・ブレイカー)なんてしたらレオナルドは…」

 

気絶しているレオナルドを見て悲痛な表情を浮かべるジーク。

 

「撤退だ。今のでもう装置がもたない」

 

そんなジークに、同じく表情を歪めたゲオルクが声を掛ける。

 

「頃合いか。…プルートは?」

 

「とうにこの空間から去っている。この分だと、シャルバに影で協力し、強制的な禁手(バランス・ブレイカー)に至る方法を教えたのはあの骸骨神だろう」

 

「嫌がらせの為なら手段は選ばずか。あの骸骨神の考えそうな事だ」

 

肩を竦めるジーク。そのまま3人は霧に包まれると、このフィールドから消えていった。

 

『…っ』

 

表情を歪める面々。

 

「無様だな。ヴァーリ」

 

しかし、シャルバだけは未だこのフィールドに残っており、サマエルの呪いによって身体が蝕むヴァ―リに見下すように声を掛けた。

 

「如何に魔王の血筋であっても、人と交じり合った雑種のお前では、その程度か」

 

「他者の力を借りなければ魔王を名乗れんお前が言えた言葉ではないだろう」

 

見下すシャルバを蔑んだ表情で返すヴァーリ。

 

 

――ドォッ!!!

 

 

すると、シャルバはヴァ―リに向け、魔力による攻撃を撃ち込み始めた。

 

「どうした? 威勢が良いのは口だけか?」

 

「…っ」

 

攻撃を加え続けるシャルバ。対して、身体が蝕むヴァーリでは防御魔方陣でその攻撃を防ぐので精一杯となる。

 

「フッ、()の言った通りだな。所詮、運よく神滅具(ロンギヌス)を手に出来ただけの雑種。そうやって地に這いつくばるのがお似合いだ」

 

「っ!? 貴様…!」

 

この言葉にヴァーリは激昂するも、依然としてシャルバの攻撃を防ぐ事が手一杯。

 

「ちっ、ヴァーリ!」

 

見かねた昴がシャルバに村雨の切っ先を向け、赤龍砲を放とうする。

 

「フン」

 

その時、シャルバは別方向に魔力の球を放った。

 

「っ!? くそっ!」

 

魔力の球の進行方向を見て昴が村雨の切っ先を変える。

 

 

――ドォッ!!!

 

 

「きゃっ!」

 

悲鳴を上げるアーシア。魔力の球は、アーシア目掛けて向かっていき、昴はその球がアーシアに当たる直前に撃ち落とした。

 

「シャルバ、てめえ!!!」

 

激昂する昴。

 

「囀るな。たかが下級悪魔1匹如きに」

 

シャルバはフンと鼻を鳴らした。

 

「全て蹂躙する。魔王も、悪魔も、堕天使も、天使も、全て! 私を否定したこの世界の全て、私自身の手で滅ぼしてくれる!」

 

声高々にシャルバが宣言する。

 

 

――バッ!

 

 

直後、シャルバがオーフィスに向けて手を突き出す。すると、オーフィスの身体に、悪魔文字が螺旋状に絡み合った縄のようなものが絡みついた。

 

「情報通りだな。いとも簡単にオーフィスを捉える事が出来た」

 

捉えたオーフィスを手元に引き寄せるシャルバ。

 

「精々、歯軋りしながら見ていろ。冥界と、冥界に住む愚民共が滅んでいく所を」

 

そう言い残し、オーフィスを連れて飛んでいった。

 

「くそっ!」

 

シャルバを追いかけようとする昴。

 

「もうフィールドがもたないにゃん! 皆集まって! 魔方陣を展開するから、集まるにゃん!」

 

黒歌が転移の魔方陣を展開し始め、その中にグレモリー眷属達が集まる。

 

「昴! 転移するわ! 早くこっちへ!」

 

昴以外が既に魔方陣の中に集まっており、ただ1人、魔方陣の外にいる昴にリアスが呼びかける。

 

「…」

 

しかし、昴は問いかけに答える事無く、シャルバが飛んでいった先に視線を向けていた。

 

「…昴?」

 

反応しない昴をもう1度リアスが呼ぶ。

 

「…リアス、皆。悪いが先に脱出していてくれ」

 

「えっ?」

 

視線を向けないまま、昴が口を開く。

 

「俺はここに残る」

 

『っ!?』

 

その言葉に、皆が驚愕する。

 

「…な、何を言って」

 

絞り出したかのような声のリアス。

 

「シャルバを野放しに出来ない。何より――」

 

ここで昴はリアスの方に顔を向け…。

 

「オーフィスを放ってはおけない」

 

そう告げた。

 

「だったら僕も一緒に――」

 

「お前まで残ったら、誰がリアスを守るんだ」

 

共に残ろうとした木場を止める昴。

 

「俺1人でいい。お前はグレモリー眷属の騎士(ナイト)としての務めを果たせ」

 

昴は木場にそう告げると、シャルバを追いかけようとする。

 

「待って!」

 

そんな昴をリアスが手を伸ばしながら呼び止める。

 

 

――行かせてはならない…。

 

 

リアスの中で、一種の予感のようなものが走った。ここで昴を行かせていけないと…。

 

「…っ」

 

その時、リアスの肩に、ヴァーリが手を置き、1歩前に出た。

 

「アザゼルと合流したら、龍門(ドラゴン・ゲート)を開き、お前とオーフィスを召喚する。それで良いな?」

 

ヴァーリが問いかける。

 

「それでいい」

 

昴は頷いた。

 

「無駄だ。もう奴は、誰にも止められない」

 

肩に手を置いたヴァーリがリアスを諭すように告げる。

 

「…」

 

依然として昴に手を伸ばしたままリアス。

 

「…っ」

 

もはや昴を止める事が出来ないと断じたリアスは伸ばした手を握り、自身の胸の前に戻した。

 

「…必ず私の下に帰って来るのよ。良いわね?」

 

「ああ。必ず」

 

ニコリと笑みを浮かべながら敬礼のようなポーズを取り、昴はシャルバを追いかけていった。

 

「もう限界にゃん! 転移するわ!」

 

黒歌が転移を開始した。

 

「必ず帰ってくるのよ! 絶対よ!」

 

転移が開始され、薄れゆく昴の背中姿を視認しながら、リアスは叫んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

シャルバを追いかける為、1人飛行する昴。

 

「来たか」

 

その姿を捉え、距離を詰めると、まるで昴を待っていたかのように佇んでいたシャルバが口を開いた。

 

「貴様だけか?」

 

「当たり前だ。お前如き、俺1人で充分だ」

 

対峙するシャルバを睨み付ける昴。

 

「オーフィスは何処だ? ここで何をしている?」

 

「オーフィスならそこだ」

 

シャルバが指差すと、そこに先程同様、拘束されているオーフィスがいた。

 

「元よりオーフィスなど、貴様は釣り出す為に捉えたに過ぎん。用が済めば…そうだな、ハーデスにでもくれてやって、貸しの1つでもするだけだ」

 

オーフィスに対し、興味なさげに告げる。

 

「ここで何をしている? だったな。無論、それは――」

 

今度は昴を指差し…。

 

「貴様とヴァーリ、二天龍を、この場で私の手で葬り去る為に待っていたのだ」

 

「なに?」

 

「その為にオーフィスを捉え、ヴァーリに攻撃を加え、()の存在を匂わせたのだが、結局釣れたのは貴様だけだ。相も変わらず私を苛立たせてくれる」

 

目的が半分しか果たせず、舌を鳴らすシャルバ。

 

「俺とヴァーリを? 寝言は寝て言え。蛇を失って弱体化したお前が今更俺達の相手になる訳がねえだろ」

 

「寝言? ふん、それは果たしてどっちかな」

 

鼻で笑う昴に対し、シャルバは表情を崩す事無く告げる。

 

「随分と自信があるみたいだな。その自信の源はまさか、オーフィスから新しく蛇を強請るって訳じゃないよな?」

 

親指をオーフィスに向けながら尋ねる昴。

 

「無駄。今の我、力が不安定。力を増大させる『蛇』作れない」

 

昴の指摘に、オーフィスが縛られたまま答えた。

 

「無論、違う。そもそも、オーフィスの蛇を貰わずとも、偽り魔王共を滅ぼす事など、造作もない事だ」

 

スッとマントの中から右手を出す。

 

「正統なる魔王の一柱であるベルゼブブの血筋の者には、魔王の名と共にとある秘術が代々受け継がれる。この秘術を使えば、膨大な力を得る事が出来る。それこそ、オーフィスの蛇をその身に受けた時と比較にならない程の力を…」

 

マントから出した右手が自身の額に向かって行く。

 

「だがこの秘術は、膨大な力を得る事と引き換えに、とある大きな代償を払わなければならない。故に、私はかつての偽りの魔王共との戦いの時でさえ、この秘術を使わなかった」

 

やがて、右手は自身の額に触れる。同時に、指を中心に、直径10㎝程の小型の魔方陣が現れる。

 

「だがもう関係ない。魔王の座を失い、冥界を失い、もはや私に残るのは、僅かな矜持と私を否定したこの世界への胸の奥底から未だ絶え間なく湧き続ける憎しみのみ。故に私は、この憎しみを原動力とし、残った僅かな矜持を捨てる!」

 

 

――グショッ!!!

 

 

その時、シャルバが人差し指と中指、親指を自身の額に突き刺した。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおーーーーっ!!!」

 

咆哮を上げるシャルバ。指を突き刺した額から鮮血が飛び散ると同時に、魔方陣からどす黒い魔力が溢れだし、溢れ出した魔力が暴風雨のように周囲を振るわせ始めた。

 

「…っ」

 

激しい魔力の奔流に、思わず昴は腕自身の顔を覆う。

 

 

――ゴォッ!!!

 

 

溢れだした魔力はやがてシャルバに絡みつくように集まり出し、溢れ出した魔力が全てシャルバに集まると、一帯に衝撃波を起こした。

 

「…っ!?」

 

魔力の暴風雨が治まり、自身を覆っていた腕を下ろすとそこには、変わり果てたシャルバの姿がそこにあった。

 

『…これが、秘術を施した私の姿だ』

 

そこには、先程のまでの人型の姿ではなく、一般的な人間より一回り大きい蠅の姿をしたシャルバがいた。

 

『どうだ? 醜いだろう?』

 

 

――グニャッ!!!

 

 

過去に刃に斬り落とされて無くなった左腕が再生したかのように生え出した。

 

『この姿を取ってしまえば、2度と元の姿には戻れん。他の姿を取る事もな』

 

感触を確かめるかのように再生した左腕を握ったり開いたりするシャルバ。

 

『それがこの秘術を使う事の代償。…許さん。許さんぞ! この私に、この様な醜い姿を取らせよって…!』

 

遂には激昂し出すシャルバ。

 

「ふん。要は、その醜い性根に釣り合った姿になったって事だろ? それがどうし――っ!?」

 

 

――ヒュッ!!!

 

 

その時、シャルバが右手を動かす。何かを感知した昴が首を曲げて顔を横に倒すと、昴の僅か横を、高速の何かが通過した。

 

「(何だ? 今、何かが俺の横を…!)」

 

ツーッと、数㎝裂けた頬から血が滴る。

 

 

――スッ…。

 

 

再びシャルバが右手を動かす。

 

 

――ヒュッ!!!

 

 

「(来る!)」

 

シャルバの動きを感知した昴が上半身を動かし、飛来してきた何かをかわす。だが、今回はこれで終わりではなかった。

 

「…っ」

 

続けて昴に対し、連続して何かを撃ち込むシャルバ。昴は上半身を振り続けてそれをかわす。

 

「…フゥ」

 

十数発撃ち込まれた何かをかわしきり、一息吐く昴。

 

『まだだ!』

 

突如、ドライグが叫ぶ。

 

「っ!?」

 

その声に反応し、咄嗟に上半身を前に倒すと、直前に顔があった位置を先程かわした何かが高速通過する。尚も背後から続けて昴目掛けて飛来してくる。

 

「ちっ!」

 

埒が明かないと見た昴が村雨で自身に迫る何かを叩き落とす。

 

 

――ガギィン!!!

 

 

最後の飛来物を叩き落とす昴。

 

『これは、…蠅か!?』

 

昴が叩き落し、地面に落ちた何か…小さな蠅を見たドライグが声を上げる。

 

『ほう? これをかわすか。大抵の者なら初見の1匹で額に穴を空けるが、さすがは、あのヴァーリをも撃退した赤龍帝か』

 

感心するような口調のシャルバ。

 

「(小さな蠅を魔力で包んで弾丸のように飛ばしていたのか。…ちっ、目が見えなくて助かったって所か…)」

 

昴に飛んで来たのは、シャルバ使役する小さな蠅。それを、昴でさえ、反応が遅れれば直撃しかねないスピードで撃ち込んでいたのだ。しかも、弾丸と違い、例えかわせて引き返して再度昴目掛けて襲い掛かる代物。視覚以外の五感を研ぎ澄ませていたので辛うじてかわせたが、従来通り、視覚中心の戦い方をしていたら、下手をすれば直撃をしていた。

 

「(だが、タネが知れれば、対処法は――)」

 

『では、これならどうかな?』

 

ニヤリとするシャルバ。次の瞬間…!

 

「っ!?」

 

昴の表情が驚愕で染まる。

 

 

――シャルバの周囲に、おびただしい程の数の蠅が出現し始めたのだ。

 

 

その数は百や千を超えて、万を超える程の蠅が、シャルバの周囲に耳障りな羽音を立てながら飛行し始める。

 

『万を超える我が蠅の葬列。…さて、いつまで持ち堪えられるかな?』

 

そう言うと、シャルバは手を前に付き出すと、万を超える蠅達が一斉に動き出す。

 

「ちっ!」

 

舌打ちをしながら瞬時にその場から飛び去る昴。蠅達は、跳躍した昴を追尾するように旋回する。

 

「…っ」

 

高速で飛来する蠅達。昴は空中縮地を繰り返しながら蠅達をかわしていく。

 

「(数が多すぎる。ひとたび受ければ動きを止められ、追撃が避けられねえ!)」

 

飛来する蠅の対処に追われる昴。貫通力のある蠅。しかも、数が多すぎる為、かわしきれなければたちまち蠅達の追撃の嵐に見舞われる事となる。

 

『先程の減らず口は何処に行った? 蠅達と遊んでいては、いつまで経っても私は倒せんぞ』

 

腕を組みながら余裕のシャルバ。

 

「調子に、乗るな!」

 

 

――ドォォォォォッ!!!

 

 

村雨の切っ先をシャルバに向け、赤龍砲を発射する昴。しかし…。

 

「っ!?」

 

微動だにしないシャルバ。赤龍砲がシャルバに当たる直前、蠅達がシャルバの盾となるように集結し、赤龍砲を受け止めた。

 

『蠅は攻撃だけではなく、このように防御にも使える』

 

爆煙が晴れると、無傷のシャルバが現れた。

 

「…」

 

それなりの力を込めた赤龍砲は、数十匹の蠅の犠牲で受け止められてしまった。

 

『止まっていては、良い的だぞ?』

 

「…っ」

 

蠅が再び昴に襲い掛かる。

 

「くっ…そ…!」

 

絶え間なく襲い掛かる蠅の対処の終われ、表情が歪む。

 

「(このまま逃げ続けても埒が明かない。攻めないと、勝てねえ!)」

 

意を決した昴がシャルバ目掛けて突っ込む。迫り来る蠅を旋回を繰り返してかわしながら距離を詰める昴。

 

「おぉっ!!!」

 

間合いに飛び込んだ昴が村雨を振り下ろす。

 

 

――ガギィン!!!

 

 

しかし、その繰り出された斬撃は、蠅達によって直撃を阻まれる。

 

「くそっ…っ!?」

 

斬撃に際して動きを止めた昴にすかさず蠅達が襲い掛かる。昴は後ろに下がってその蠅達をかわす。

 

 

――ガギィン!!!

 

 

その後も、ヒット&アウェイを繰り返しながら斬撃を撃ち加えるが、その全てを蠅に阻まれてしまう。

 

『無駄だ無駄だ』

 

とうのシャルバは、その場で腕を組みながら余裕の言葉。シャルバはその場から1歩を動かず、腕組みをしながらただただ蠅を操るだけ。そんなシャルバに対し、昴は一撃を入れる事が出来ずにいた。

 

「だったら!」

 

武器を村雨から連射重視の弓、餓狼爪に持ち替え、数百ものオーラの矢を斉射する。

 

『無駄な事を』

 

シャルバは微動だにせず、迫り来る矢は全て、蠅達が防いでいく。

 

『むっ?』

 

声を上げるシャルバ。その視界から昴の姿が消えたのだ。

 

「取ったぜ」

 

矢の一斉掃射で目くらましを、瞬時にシャルバの背後を取った昴。

 

「こんだけ接近すりゃ、蠅は使えない」

 

至近距離にまで詰めた昴。ここで自身を蠅に攻撃させれば、自分も危うくなる。

 

『…』

 

沈黙のシャルバ。それでも蠅達は、構わず昴に襲い掛かった。

 

「思った通り、蠅達は完全に自分で操っている訳ではなく、自動で攻守を行うみたいだな」

 

昴は、蠅達をギリギリまで誘き寄せ、そして離脱した。

 

「てめえが使役した蠅の手で朽ち果てな」

 

蠅達がシャルバに直撃する。

 

「…っ」

 

しかし、蠅達は、シャルバに直撃すると、塵になって霧散していった。

 

『この私が、下僕の蠅で自滅するような愚者だとでも思ったか? 私に逆らえば、蠅達はこのように自壊するように仕向けてある』

 

「…っ」

 

表情が曇る昴。

 

『貴様にばかり構ってはおられんのでな。早々に終わらせてやろう』

 

蠅達が昴に襲い掛かる。

 

「…くっ」

 

苦悶の声を上げる昴。蠅達のスピードが上がり、しかも、隊列を組んで襲い掛かるようになり、これまでのように攻撃に手が回らず、防戦一方となる。

 

「がっ!」

 

次の瞬間、蠅の1匹が昴の脇腹を掠め、その肉を抉り取った。

 

「っ!?」

 

動きを止めてしまった昴。好機とばかりに蠅達が一斉に昴に襲い掛かった。

 

「くそっ!」

 

悪態を吐きながら昴が頭上に英雄の器(ブレイブ・ハート)を盾となるように重ねて展開し、蠅達を受け止める。

 

「くっ…!」

 

しかし、蠅達の圧力が物凄く、徐々に押し込まれていく。

 

 

――ドォッ!!!

 

 

やがて、地面に叩き付けられると、蠅達が一斉に昴目掛けて降り注いだ。

 

「…」

 

蠅達が離れるとそこには、全身を血で濡らした昴が横たわっていた。

 

『この姿になれば、二天龍の片割れ程度では相手にもならんな』

 

倒れ伏す昴に一瞥もくれないシャルバ。

 

『辛うじて息はあるか。だが、時間の問題だ。このフィールドが完全に崩壊し、次元の狭間に投げ出されれば、直に朽ち果てよう』

 

昴に興味を無くしたシャルバが踵を返す。

 

『次はヴァ―リだ。二天龍を始末したら、今度こそあの偽りの魔王共を…』

 

シャルバはその場を離れ始めた。

 

「(くそっ…!)」

 

胸中で悪態を吐く昴。だが、ダメージが大きく、立ち上がる事が出来ずにいた。

 

「(奴を冥界に行かせてならない。行かせれば冥界が…!)」

 

全てを捨て、復讐に振り切ったシャルバは危険過ぎる。絶対に野放しには出来ない。だが、身体が言う事を聞かない。

 

「(動け、俺の身体ぁっ!!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お困りのようですねぇ♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、昴の中…正確には、左腕から声が響いた。それはドライグでもなければ刃でもなく…。

 

「(…今まで俺から逃げ回っていたてめえが今更何の用だ?)」

 

苛立ち交じりで返事をする昴。その声の主は、ブーステッド・ギアの中で眠る、歴代の赤龍帝の思念体の1人であり、最後の1人であるジャック・ザ・リッパーと名乗る者だった。1度、内面世界で顔合わせた以降、ジャックは1度も昴の前にその顔を晒す事は無く、嫌がらせをするばかりであった。

 

『そう邪険にしないでよ。今日は君に嫌がらせをしに来た訳じゃないんだからさ♪』

 

以前に合った時と変わらない口振りのジャック。

 

『あの蠅の魔王を倒したいんでしょ? だったら、良い手があるよ』

 

「(…何だと?)」

 

思わずそう返す昴。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――覇龍(ジャガーノート・ドライブ)さ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャックは、静かに囁いたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





シャルバの新形態です…(^-^)

原作では、主人公を死亡寸前まで追い込むも、結局は力で圧倒されたシャルバですが、この二次では強化されています。姿のイメージは、全長2mオーバーの真女神転生シリーズの真ベルゼブブをイメージしています。使役する蠅のイメージは、某オサレ漫画の千本桜景義の桜が蠅に置き換わったイメージで、NARUTOの我愛羅ようなオート防御も兼ね備えており、無傷圏のような弱点もありません。単純な強さはタイプの違いはあれど、超越者姿のサーゼクス級に設定をしており…(>_<)

今年も早い所残り後1ヶ月、体調を崩さず、2025年を終えたいですね。去年は年末年始に体調崩して散々でしたので…(;^ω^)

感想アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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