ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.15~合宿、修行~

 

 

 

ライザーとグレイフィアさんがいなくなった後、俺達は解散となった。

 

 

――シャー…。

 

 

俺は家に帰り、シャワーを浴びている。

 

「レーティングゲームか…」

 

俺は改めて、10日後に控えたレーティングゲームの対策を考える。

 

ルールや戦闘方法にもよるが、個人の戦闘能力よりも戦略に頼るところが多いな。

 

「…状況は正直、厳しいな」

 

数の差で決まるのはあくまでも勝率。これは事実だが、やはり数の差は大きい。戦力差はこっちが6人対し、向こうは16人。その差は2倍以上。数がいればそれだけ練れる策は増えるし、相手の策に対応しやすくもなる。

 

「レーティングゲームはやっぱり戦争とは違うものなんだろうなあ…」

 

エリアが限定され、ルールもあるとなると、やっぱり経験がものを言う。戦術面はともかく、戦略面では今の俺では的確なアドバイスはできないかもしれない。

 

「だがまあ、あの様子じゃ、向こうはかなりこちらを舐めきっている。その慢心を突ければ可能性は大いにある」

 

それにゲームまで十日もある。その期間で実力の底上げをすれば…、俺自身も、転生して前世の絶頂期程になっているが、若返りと悪魔への転生で伸びしろが格段に上がった。鍛えれば俺はまだまだ強くなれる。

 

「部長に望まない婚約をさせないためにも、このゲーム、絶対に勝つ」

 

俺は気合を入れなおした。

 

「スバルさん。お背中お流ししますね」

 

「ああ、悪いな」

 

 

――ゴシゴシゴシゴシ…。

 

 

………ん?

 

「アーシア? なんでここに?」

 

俺はギギギと首を後ろに向けた。そこには裸のアーシアが。

 

「南無三!」

 

 

――グショ!!!

 

俺は人差し指と中指を自ら両目に突きいれた。

 

「ギャアァァァァッ!!! 目がぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「スバルさん!? スバルさーん!!!」

 

俺の悲鳴とアーシアの絶叫が風呂に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「とりあえずアーシア、そこに座って」

 

「はい」

 

俺達は大慌てで風呂から上がり、アーシアを自室に招き、座布団にアーシアを座らせた。(ちなみに両目は聖母の微笑『トワイライト・ヒーリング』で治してもらいました)

 

「どうして風呂場に?」

 

「はい。お背中をお流ししようかと思いまして…」

 

「うん、それはさっき言ってたね。どうして背中を流そうと思ったんだ?」

 

「日本では裸の付き合いというものがあると聞きまして…その、お風呂で交流を深めようと…」

 

 

――はぁ、誰だそんな誤った知識を純粋なアーシアちゃんに吹き込んだのは…。

 

 

「アーシア、裸の付き合いというのはあくまでも同性同士で行うもので異性で行うものじゃないぞ」

 

「そうなんですか?」

 

アーシアはキョトンとしている。

 

「そうなの。アーシアは年頃の女の子なんだから、みだりに男に素肌を見せてはいけません。男に食べられちゃいますよ?」

 

「それは怖いです。わかりました。スバルさん以外の男性には気を付けます」

 

「いや、俺にもだって…」

 

…アーシアはいまいち常識や危機管理能力が欠けてるな。今度部長や朱乃さんに相談してみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「やっほー」

 

『やっほー』

 

どこぞの登山者の山彦が聞こえてくる。

 

ライザーとのレーティングゲームが決まった翌日の早朝、俺の家に部長が訪問し…。

 

『修行をしに山に行くわよ』

 

と言ったので、俺とアーシアは身支度を早々に整えると、魔方陣で山に向かった。

 

部長と朱乃さんとアーシアが先頭を歩き、俺と木場と小猫ちゃんが荷物を背負ってそれに続いている。

 

「それにしても…」

 

山に修行に行くにしては明らかに多すぎる荷物なんだが、いったい何が入ってるんだ?

 

 

――スタスタスタ…。

 

 

俺の横を俺以上の荷物を背負った小猫ちゃんがスタスタと歩いていく。

 

相変わらず、ものすごい力だねぇ。

 

ま、これも修行の一環だと思えばいいか。

 

俺は考えるのをやめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

山を登ること2時間。木造の別荘に到着すると、荷物を置き、各々動きやすい服装に着替えるために部屋へと向かった。

 

着替え終えると、修行が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

――修行1 木場との剣術の手合せ

 

 

「ふっ!」

 

 

――バキィッ!!!

 

 

「それ!」

 

 

――ビシィッ!!!

 

 

俺の木刀と木場の木刀がぶつかる。

 

「やるね。学校ではやっぱり手加減していたんだね」

 

 

――バキィッ!!!

 

 

「お互い様だろ!」

 

 

――ガン!!!

 

 

木場は騎士『ナイト』の特性であるスピードを生かして俺の周囲を動き回り、俺に攻撃を加える。

 

俺と木場ではナチュラルスピードが違うので、俺は無理には追わず、基本その場から動かず、どっしり構えて木場を迎え撃ち、下がったところを先回りして迎撃するスタンスで戦っている。

 

「スピードを生かし、かつ最小限の動作での剣技は見事だが、剣筋がまっすぐすぎて太刀筋が読めちまうぞ!」

 

 

――バキィッ!!!

 

 

俺は背後に回り込んできた撃ってきた木場の一撃を払い落す。

 

「くっ! 肝に命じるよ!」

 

 

――ダッ!!!

 

 

木場は一度距離を取った。

 

「改めて手合せしてみると、スピードは僕の方が上だけど、何故か僕の方が遅く感じるよ。いったい御剣君は何をしたんだい?」

 

「特別なことはしてないよ。ただ、お前の移動場所を逆算して先回りしているだけだ」

 

動きが先読みできればスピード差はあっても先回りができる。

 

俺がそう説明すると、木場は少し驚いた表情を浮かべた。

 

「…できるだけ最善の移動を心掛けていたんだけどね」

 

「だから読まれるんだよ。あーすればこうする。こうすればあーする。手に取るようにわかるぜ」

 

俺がケラケラ笑うと、木場も同様に笑みを浮かべた。

 

「すごいね。君と手合せすると学べることが多いよ。……今日はとことん付き合ってね」

 

「いいぜ。来いよ」

 

再び俺と木場がぶつかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          ※ ※ ※

 

 

――修行その2 朱乃さんとの魔力修行

 

 

「魔力は身体全体を覆うオーラから流れるように集めるのです。意識を集中させて、魔力の波動を感じるのですよ」

 

朱乃さんから丁寧に説明を受け、言われたとおりに実践してみた。

 

「はぁ!」

 

俺は右手に力を集める。

 

「あらあら。それは魔力ではありませんよ」

 

朱乃さんは頬に手を当て、困惑した表情を浮かべた。

 

ふと見ると、手には魔力ではなく、氣が集まっていた。俺は慌てて氣を霧散させた。

 

 

――難しいな…。

 

 

氣と魔力は相反する力。前世では、氣に特化した者は魔力を使うことが困難であり、その逆もまた同様だと言われていた。俺は氣の特化型だから魔力は不得手だ。

 

俺はふと、前世での宿敵を思い出した。あいつは氣と魔力の2つを呼吸するかの如く使いこなしていた。あいつは本当に規格外だったんだな。

 

「昴君、そんなに難しく考えないで。魔力はイメージ。頭に思い浮かんだものを具現化させるだけですよ」

 

「わかりました……ふぅ」

 

俺は1つ息を吐いた。

 

 

――イメージ…、イメージ…。

 

 

俺は頭の中に手のひらに丸い球を集めるイメージを浮かべた。すると…。

 

 

――ボン!!!

 

 

俺の手のひらにソフトボール程の紅くて丸い球が現れた。今度は氣ではなく、ちゃんと魔力だ。

 

「できた…」

 

俺はちょっとした感動を覚えた。

 

「できました!」

 

俺の隣でアーシアも俺と同様に手のひらに魔力を作り出していた。アーシアの魔力は緑色のようだ。

 

「あらあら。2人共魔力の才能があるかもしれませんわね」

 

朱乃さんに褒められ、アーシアは赤く頬を染めた。俺もちょっと嬉しい。

 

「では次へ行きましょう。その魔力を炎や水、雷に変化させます」

 

俺とアーシアは次のステップに進んだ。

 

ちなにこれには俺はかなり手こずった。アーシアは本当に才能があるのか、みるみる覚えていった。魔力に関しては俺は相当な努力が必要だということを思い知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

――修行その3 小猫ちゃんとの組手

 

 

 

――ドカッ!!!

 

 

「ぐっ!」

 

小猫ちゃんの拳を腕をクロスさせてガードするが、その威力に押され、後方に弾かれる。

 

「つぅ~、ちっこい身体で何て力だよ」

 

「ちっこいは余計」

 

 

――ブォン!!!

 

 

「うぉっ!」

 

ムッとした表情を浮かべた小猫ちゃんの拳が俺の頬を掠める。

 

 

――ドゴン!!! ズズズッ…。

 

 

避けた先にあった大木に小猫ちゃんの拳が突き刺さり、音を立てて倒れた。

 

「次は当てます」

 

 

――ブン! ブォン! ブォン!

 

 

「うぉっ! あぶねっ!」

 

小猫ちゃんの見かけに似合わない重い拳の乱打が襲いかかる。

 

「この!」

 

拳をいなし、蹴りを浴びせる。

 

 

――パシィッ!!!

 

 

「あっ…」

 

俺の蹴りは防がれ、足首を掴まれ…。

 

 

――ブォン…ブォン…ブォン…。

 

 

グルグルと回された。

 

「えい、えい…」

 

「お゛あ゛ぁぁぁぁっ!」

 

 

――ブォン!!!

 

 

小猫ちゃんが俺を力一杯ブン投げた。

 

「っとと…」

 

俺は空中で反転し、投げられた先にあった木に足を付け、もう一度小猫ちゃんの目の前まで戻った。

 

「ふぅ…、やるねぇ、次、行こっか」

 

「…(コクッ)」

 

再び小猫ちゃんとの組手が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

――修行その4 部長との荒行

 

 

「ぐぐぐぐっ…!」

 

俺は険しい山道を逆立ちで駆け上がっている。しかも足の上には直径1mの大岩とその上にさらに部長を乗せて。

 

「昴! 気張るのよ!」

 

「ゼェ…ゼェ…オス!」

 

俺は大粒の汗を流しながら山を登っていく。山の頂上を何往復かし、逆立ち山登りが終了すると、次は崖の真下に連れてこられ…。

 

 

――カチ! カチ!

 

 

俺の両足に何やら分厚い鎖が繋がれた。鎖の先には先ほどの大岩が。

 

「さあ、昴。次はこの崖を登ってちょうだい」

 

「…マジですか?」

 

俺が部長に問いかける。

 

「マジよ。あなたはもともとの基礎能力が格段に高いから、これぐらいやらなければ成長しないわ。大丈夫。あなたならできるわ。…それにケガをしてもアーシアがいるわ」

 

部長がにこやかに言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「ぐおぉぉぉぉぉっ!!!」

 

「さあ、昴! あともう少しよ! 気力を振り絞りなさい!」

 

俺は足に繋がれた大岩に座る部長の激励を受けながら崖をクライミングしている。

 

「ぐぉぉぉっ! 死ぬ! 死ねる!」

 

「まだ行けるわ! 頑張って!」

 

俺は力を振り絞って少し少し崖を登っていく。

 

俺が力尽きたら部長も一緒に落ちてしまう(まあ、部長は空を飛べるから大丈夫だろうが…)。

 

俺は身体に眠る全ての力を出しきって崖を登りきった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「うぉぉぉっ! 飯が美味い!」

 

今日の修行を終え、夕食を口に掻きこんだ。

 

「あらあら。おかわりもあるからたくさん食べてくださいね」

 

「ガツガツガツガツ……おかわり!」

 

俺は朱乃さんに茶碗を手渡した。山盛りに入れてもらったご飯を再び掻きこむ。

 

「スバルさん、こっちのスープはどうですか?」

 

「ズズズ…これはアーシアが作ったのか?」

 

「はい! そうです!」

 

「…ゴクン。美味い! アーシア、とても美味しいぞ」

 

俺はアーシアの頭を撫でた。

 

「えへへ//」

 

アーシアは嬉しそうに顔を緩ませた。

 

各々が自分のペースで食事をしている中、部長が食事を中断し、箸を置いた。

 

「さて、昴。今日1日修行してみてどうだったかしら?」

 

「ふぁい?」

 

突如、部長が俺に尋ねた。俺は口に詰め込んだ物を全て飲み込み・・・。

 

「…ゴクン…、正直、まだまだ自分に伸びしろがあるのを感じました。限られた期間の中で、どれだけ強くなれるかがゲームまでの課題ですね」

 

部長の質問に答えた。

 

「あなたは実戦経験が豊富みたいだから特に言うことはないわ。この調子でどんどん自分を伸ばしてちょうだい」

 

「はい」

 

部長は次にアーシアに視線を向けた。

 

「アーシア。あなたは実戦経験が皆無に等しいわ。それでもアーシアの回復は無視できない。相手はそれも理解しているはず。最低でも相手から逃げられるぐらいの力は欲しいわ」

 

「逃げる…ですか?」

 

アーシアが部長の言葉を理解できないのか、キョトンとしている。

 

「時に逃げるのも重要だ。退いて体勢を立て直したり、相手を所定の場所に引き込んだりな」

 

「あっ、なるほど」

 

アーシアが俺の補足に納得した。

 

「そういうことよ。けれどそれが実際難しいのよ。特に強敵なんかは簡単に逃がしてはくれないから。アーシアには、逃げ時と逃げる術を教えるわ。もちろん、面と向かって戦う術も教えるから覚悟しなさい」

 

「はい!」

 

アーシアは大きく返事をした。

 

やがて食事を食べ終えると…。

 

「食事も終えたことだし、お風呂に入りましょうか。ここは温泉だから素敵なのよ」

 

部長が提案する。

 

…へぇー、温泉か。…けど、その前に…。

 

「俺はその前に一汗流してから入ることにします」

 

俺は食器を片づけながら部長に告げた。

 

「鍛錬に行くの? だったら僕も付き合うよ」

 

木場も俺の後に続いた。

 

「2人共、明日も修行するんだからほどほどにしておきなさいよ」

 

「「はい」」

 

俺と木場は木刀を持って外へと向かった。

 

俺は体力づくりのために山でマラソンをし、木場は素振りをした後、俺達は温泉で汗を流した。

 

レーティングゲームに向けての修行の1日が終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

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