ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.22~ドラゴン対フェニックス、圧倒的な力~

 

 

 

昴side

 

 

――シュゥゥゥゥン…。

 

 

「着いたか」

 

俺はグレイフィアさんにもらった魔方陣を使い、転移した。

 

辺りはだだっ広い廊下で、大きな肖像画なんかも飾られている。

 

「あっちか…」

 

俺はたくさんの気配が集まる方向をへと足を向けた。

 

暫し歩いていくと、魔獣が象られた巨大な扉が現れた。ここが部長の婚約パーティーが行われているのだろう。さっきから1人の男の声が扉から聞こえる。この声は間違いなく…。

 

「ライザーだな。そんじゃ、行きますか」

 

俺は足に氣を集中させた。

 

「猛虎……蹴撃!」

 

 

 

――ドォォォォォーーーーン!!!!!

 

 

 

集めた氣を扉にぶつけ、扉を粉々に吹き飛ばした。

 

扉がなくなったのを確認すると、俺は会場内へと歩みを進めた。会場中にいる面々が驚愕の表情を浮かべながらこちらを見つめている。その中の一番奥の舞台上にいた。長い紅髪の女性、俺の主、リアス・グレモリー。

 

部長は俺の姿を確認すると、小さく『昴…』と呟いた。

 

「俺は姓は御剣、名は昴! 誇り高きリアス・グレモリーの兵士『ポーン』です! ここにおられる上級悪魔の皆様、そして部長の親族の皆様に告げる! 我が主、リアス・グレモリー様は返してもらいます!」

 

俺がそう宣言すると、会場がよりいっそう騒がしくなった。

 

俺はそんなのお構いなしに部長に向かって歩いていく。

 

「おい、貴様! ここをどこだと思ってる! 衛兵! 取り押さえろ!」

 

ライザーの指示で会場内の衛兵複数人が俺を取り押さえにきた。

 

「邪魔だな…」

 

俺は右手に持っていた薔薇の花束を空高く放り投げ…。

 

 

――バキィッ! バキィッ! ドガッ!

 

 

近寄ってくる衛兵を村雨(鞘に納めた状態)で3人弾き飛ばした。

 

「ふっ!」

 

 

――ゴン! バキィッ! ガツッ!

 

 

さらに近寄ってくる衛兵を蹴り飛ばす。

 

「はっ!」

 

俺は衛兵達の上に飛び、村雨の柄と先端を掴み…。

 

 

――ドォォォン!!!

 

 

そのまま地面に叩きつけ、その余波で衛兵を吹き飛ばし…。

 

 

――スッ…。

 

 

先程放った花束をキャッチした。

 

「取り押さえろーーっ!!!」

 

更なる衛兵が続々俺に集まってきた。

 

 

――面倒だな…。

 

 

今一度弾き飛ばそうとした時…。

 

「昴君! ここは僕達に任せて!」

 

「遅いです」

 

「あらあら、やっときたんですね」

 

白いタキシードを着た木場と、ドレスを着た小猫ちゃん、和服を着た朱乃さんが衛兵の進行を阻んだ。

 

「悪い、寝坊した。ありがとな」

 

俺は皆に礼を言い、ライザーのもとへ向かっていった。

 

ライザーの正面に対峙し、そこで足を止めた。

 

「ライザー、主をいただきにきてやったぜ」

 

「っ!」

 

ライザーが目元を引きつらせ、何とも言い難い表情を浮かべていた。

 

「どういうことだ、ライザー?」

 

「おい、リアス殿。これはいったい?」

 

それぞれの関係者達が落ち着きなく困惑している。

 

こんなところは人間と変わらないみたいだな。

 

「私が用意した余興ですよ」

 

奥に控えていた紅髪の男性が歩み寄ってきた。

 

部長と同じ紅髪…、もしや、あの方が…。

 

「お兄様…」

 

部長がその男性をそう呼んだ。

 

やっぱり、この方が現魔王、サーゼクス・ルシファーか。

 

魔王、サーゼクス様はこれは自分がグレイフィアさんに段取ってもらったことだと関係者に説明した。

 

ライザーと関係者がこの措置に納得できなかったのか、サーゼクス様の提案に異を唱える。サーゼクス様はそれらの追及をやんわりとかわしていく。

 

「私は可愛い妹の婚約パーティーは派手にやりたいと思うのですよ。此度のゲームの功労者とフェニックス。最高の催しだとは思いませんか?」

 

このサーゼクス様の一言に一同が黙り込んだ。

 

「兵士『ポーン』君。お許しが出たよ。ライザー、リアスと私の前でその力、今一度見せてくれるかな?」

 

サーゼクス様はニコリと笑みを浮かべる。

 

…へぇー、話が分かるな。正直、部長の親族達は伝統だの血筋を守ることしか頭にない者ばかりかと思っていたんだがな。

 

ライザーはその言葉を聞いて不敵な笑みを浮かべる。

 

「いいでしょう。このライザー、身を固める前の最後の炎をお見せしましょう!」

 

「レーティングゲームで着かなかった決着をここで着けてやる」

 

俺もライザーに不敵な笑みで返した。

 

「ところで兵士『ポーン』君。君が勝った場合、代価は何をご所望かな?」

 

サーゼクス様が俺にそう訊いてきた。周りにいる悪魔達がその言葉に驚愕し、下級の悪魔にそのような処置は必要ないと異論を唱えるが…。

 

「上級であれ下級であれ、彼も悪魔なのだから、何かさせる以上はこちらもそれ相応の代価を払わなけばならないでしょう。さあ、何を希望する? 爵位かい? それとも絶世の美女かい?」

 

サーゼクス様はそれらの言葉を受け流し、俺に問いかける。

 

 

――代価……ね。

 

 

「では、恐れながら、サーゼクス様の妹君であり、我が主、リアス・グレモリー様を返していただきます」

 

俺はサーゼクス様の瞳を正面から受け止めて答えた。

 

「わかった。君が勝ったら、リアスを連れて行くといい」

 

俺の希望は魔王様に了承された。

 

これで堂々と部長を連れ帰られる!

 

「ありがとうございます」

 

俺は頭を下げ、礼の言葉を述べた。

 

サーゼクス様が奥へと移動するために俺の横を抜けていく。その間際…。

 

「見せておくれ、君の中の龍の力を…」

 

と、ボソリと俺だけに聞こえる声で俺に言った。

 

気付いて当然か、レーティングゲームを観戦していたんだからな。

 

サーゼクス様は俺にそう言って会場の奥に消えていった。

 

そして、このやり取りによって、俺とライザーの決闘が急遽決まった。決闘場所は、会場の中央にバトルするための空間が作られることになり、そこで行うという。

 

俺とライザーがその空間に転移するのだが…。

 

「レイヴェル・フェニックス!」

 

 

――スッ…。

 

 

俺は持っていた薔薇の花束をレイヴェルに放った。レイヴェルは戸惑いながら両腕で受け取った。

 

「その薔薇は俺からの手向けだ。花嫁を奪われるお前の兄へのな」

 

俺がそう言葉を添え付けると、レイヴェルは一瞬ムッとした表情を浮かべたが、すぐさま以前の嘲笑を浮かべた。

 

「ええ。喜んで受け取らせていただきますわ。お兄様の婚約祝いとして」

 

「ふふっ、そうなればいいがな」

 

俺も嘲笑を浮かべ、バトル空間へと転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

俺とライザーがバトル空間に転移し、そこで対峙している。

 

ライザーは俺を睨み付け、俺はライザーを睨み付けている。

 

「開始してください!」

 

バトル開始のコールがされた。

 

それと同時にライザーが炎の翼を展開した。

 

「…御剣昴だったな。俺が前のレーティングゲームで言った言葉を覚えているか? お前を認めると言ったあの言葉。あれは嘘じゃなく、本心だ。…だがな、今俺はお前に失望しているよ」

 

ライザーが怒り半分、失望半分の目を俺に向けてきた。

 

「お前に不死身を倒しきれる力はないとあの時に証明されたはずだ。終盤に見せたあの力は脅威だが、察するに、あれは長時間維持することができない代物だろう? どう考えてもこの戦いはお前に勝ち目はないんだよ! それがわからないお前でもないだろう! これ以上俺を失望させてくれるなよ!」

 

ライザーが声を荒げて俺に言葉ぶつけてきた。その言葉は嘲りではなく、本心なのだろう。

 

「心配するな。こっちも何の手土産もなしにここに来た訳じゃない。本音を言えば、俺自身の力だけでお前を倒したかったが、部長を取り戻すためだ。喜んでこの力、使わせてもらう」

 

 

――ザクッ!!!

 

 

俺は村雨を地面に突き刺し、左腕を前に出した。

 

「出ろ! ブーステッド・ギア!」

 

 

――カァァァッ!!!

 

 

俺の呼び声に赤い光が左腕に発し、それと共に左腕に赤い籠手が装着された。

 

『俺達の初陣の相手がフェニックスか。くくく、少々物足りんが、まあいいだろう』

 

籠手の宝玉から声が響く。

 

『ブーステッド・ギアの力の使い方は先ほど説明した通りだ』

 

「ああ、よく覚えてるぜ」

 

 

――力の倍化と譲渡だったな。

 

 

『さあ、新たな赤龍帝よ! その力、存分に振るってみせよ!』

 

「言われるまでもない!」

 

ブーステッド・ギアが俺の声を呼応して赤い光のオーラを発し始めた。

 

『強く想え! 神器は強く想えば想うほどお前に力を与える!』

 

 

――強い、想い…。

 

 

『想い描け! お前の中の強き者の姿を!』

 

 

――想い描く…。強き者の姿…。仲間? 好敵手? それとも過去の強敵? …いや、違う!

 

「想い描くのは、最強の自分の姿!」

 

ブーステッド・ギアは更なる赤い光のオーラを発する。

 

『唱えよ! 貴様はもう、至っているはずだ!』

 

「禁手(バランス・ブレイク)!!!」

 

俺がそう唱えた瞬間、目が眩むほどの赤い光がバトル空間を覆った。

 

『Welsh(ウェルシュ) Dragon(ドラゴン) Balance(バランス) Breaker(ブレイカー)!!!!!!!!!』

 

膨大な力が俺の中に流れてくる。

 

バトル空間が赤一色に染まり、赤いオーラは俺の身を包み、やがて光は治まった。

 

「これが…」

 

俺の全身が赤い鎧に覆われていた。

 

『そうだ。それがブーステッド・ギアの禁手(バランス・ブレイカー)、赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)だ』

 

 

――禁手…。

 

 

即ち禁じ手。神器の力を高め、ある領域に至った者が発揮する力の形。神器の力を最大限発揮してくれるらしい。

 

俺は鎧に包まれた自分自身の手や身体などを見渡した。

 

『くくくっ、歴代の赤龍帝も比較的早く禁手(バランス・ブレイカー)に至っていたが、ブーステッド・ギアの発現と共に至った者はお前が初めてだ。此度の赤龍帝は楽しませてくれそうだな』

 

「そりゃどうも」

 

とにかく、これなら勝てる。

 

俺がライザーに視線を移すと、ライザーの身体がワナワナと震えていた。

 

「ブーステッド・ギア……神滅具(ロンギヌス)だとぉ!? 何故貴様がそんなものを!」

 

ライザーが驚愕と恐怖が入り混じった表情を浮かべた。

 

神滅具(ロンギヌス)ってのは、あのライザーの反応を見るに、相当な代物なんだな。

 

「何故お前が……いや、それ以前に、何故それをゲームの時に使わなかった!?」

 

「あの時はまだ目覚めてなかったんだよ。正確にはあの時に目覚めたんだがな」

 

七星閃氣を発動させた弾みで目覚めたらしい。

 

「くっ! …だが! 目覚めたばかりではまだ力を使いこなせるはずがない! そもそも、その神器は消耗も激しい! 結局は前と同じ結末だ!」

 

ライザーは半ば自分に言い聞かせるように叫ぶ。

 

「さてと、それじゃ、始めようか」

 

俺は刺した村雨を手に取り、構えた。

 

「ドライグ。俺がこの鎧を維持できる時間はどのくらいだ?」

 

この神器は10秒毎に力を倍化できる。この鎧の状態になれば一瞬にして限界まで引き上げられるらしい。そんなものをいつまでも維持できるとは思えない。

 

『案ずるな。お前の基礎能力なら、今日初めてこの力を使うことを差し引いても、10分20分ではその鎧は解除されん。存分に戦え』

 

「そういうことなら、存分にやらせてもらうぜ!」

 

 

――チャキ…。

 

 

俺は村雨を左手の親指で少し押し出し…。

 

 

――ドォン!!!

 

 

背中の噴出口から魔力を噴き出し、一気にライザーに突っ込んだ。

 

「くっ!」

 

 

――思った以上に速い!

 

 

俺はライザーの横を高速ですり抜けていった。ライザーは全く反応できず、目を見開いている。

 

「…改めてとんでもないな。あまりにも速すぎて――」

 

 

――スパッ…。

 

 

「――3回しか斬れなかったよ」

 

ライザーの身体に線が入り、4等分された。

 

「ぐっ!」

 

ライザーは慌てて俺に振り向いた。

 

「クソ! このバケモノめ! ならば遠慮はしない! 全力でお前を倒す!」

 

ライザーは咆哮をあげ、背中に巨大な炎の翼を出現させた。その熱気はこちらにまで届く。

 

「火の鳥と鳳凰! そして不死鳥フェニックスと称えられた我が一族の業火! その身で受けて燃え尽きろ!」

 

ライザーはそのまま飛翔し、俺へと高速で向かってきた。

 

『不死鳥の炎はドラゴンの鱗にも傷を残す。まともに食らうのは得策ではないぞ』

 

「みたいだな」

 

ライザーがこちらに近づくにつれて熱気がグングンと肌に伝わってくる。まともに受けたら消し炭だろうな。

 

「なら、撃ち落とすか」

 

俺は村雨の切っ先をライザーに向けた。刀の先端に魔力を集め…。

 

 

 

――ドォォォォォォォォオオオン!!!

 

 

 

ライザー目掛けて撃ち出した。撃ち出した魔力は極太の赤いビームとなり、ライザーに直撃し、上半身を吹き飛ばした。

 

「ちっ、威力がありすぎて狙いがわずかに逸れたか」

 

本当は全て吹き飛ばすつもりだったが、照準がずれた。

 

『だが、いい塩梅だ。あと数発撃てば慣れてくるだろう』

 

「そうだな。…あ~あ、案の定再生しやがったか」

 

ライザーの身体は炎と共に形成された。だがその表情には全く余裕がない。

 

「不死身が相手では、村雨じゃ攻めきれないな。…なら、スピード生かして打撃で押し通すとするかな」

 

俺は村雨を腰に納め…。

 

 

――ドォン!!!

 

 

再び魔力を吹かし、一気に距離を詰め…。

 

 

――バキィッ!!!

 

 

ライザーの顎を跳ね上げ、上空に飛ばした。

 

 

――ドォン!!!

 

 

その後を追い…。

 

 

――バキィッ!!!

 

 

追撃を加える。

 

 

――ドォン!!!

 

 

更に追いかけ、追撃加える。

 

 

 

――ドォン!!! バキィッ!!! ドォン!!! バキィッ!!! ドォン!!! バキィッ!!! …!!!

 

 

 

ライザーに追撃をかけ続け、ライザーをピンボールのように数分もの間弾き飛ばし続けた。ライザーは成すがまま弾き飛ばされ続けた。

 

 

――バキィッ!!!

 

 

ライザーを更に跳ね上げた。

 

「落ちろ!」

 

 

――バキィィィッ!!!

 

 

両手を組み、地面に向かって叩き落とした。

 

 

 

――ドォォォォォォオオッン!!!

 

 

 

ライザーは目にも止まらないスピードで地に落下した。落下した周辺は、ライザーを中心に大きなクレーターができた。

 

「トドメだ」

 

俺は村雨を抜き、背中の噴出口からの魔力のジェットと、落下のスピードを利用し、一気に降下し…。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ライザーの胸に村雨を突き刺した。

 

これで決まった…。誰もがそう思ったその時…。

 

 

――ギュゥッ…。

 

 

ボロボロになったライザーの手が動き、俺の腕を掴んだ。

 

「つか……んだぞ…」

 

精神を潰されかけているため、身体の再生がほとんどおぼついていないが、それでも村雨を突き刺したのと同時に俺の腕を捕まえた。

 

「貴様のその馬鹿げたスピードで縦横無尽に駆け回られたら、その身を捉えることは俺では不可能だ。だが、こうして地面に仰向けになっちまえば、お前は正面から来ざるを得ない。何処から来るかわかれば、俺でも捕まえられる。最後の最後で貴様は罠にかかった!」

 

グゥっと、俺の腕をライザーが握りしめた。

 

「もう前のように逃がさん! このまま貴様を燃やし尽くして…」

 

ライザーが炎を発現させようとしたその時…。

 

「ゴホァッ!!!」

 

ライザーの口から大量の血が吐き出された。

 

「き、貴様、何を…」

 

俺はニヤリと笑顔を浮かべた。

 

「ライザー、俺が以前に痛手を被った手段に対し、何の対策も立てなかったと思ったのか? 刀の刀身をよく見てみろ」

 

「何……っ!? まさか!?」

 

ライザーは気付いた。村雨の刀身が濡れていることに。そして、その刀身を濡らしているものが何なのか。

 

「そういうことだ。お前に刀を突き刺す前に、ありったけの力を譲渡した聖水を刀身に塗りたくっておいた。力を譲渡した聖水を身体の内側から炙られたら、不死身いえど耐えがたいものだろう?」

 

この聖水はここに来る前にアーシアから受け取った物だ。

 

「クソッ!」

 

ライザーが慌てて村雨を引っこ抜こうとする。

 

「させっかよ。ブーステッド・ギア、ギフト!」

 

『Transfer(トランスファー)!!!』

 

 

――バキィ!!!

 

 

「ガハッ!!!」

 

村雨の柄を譲渡の力を加えながら殴り、更に村雨を奥深く埋め込んだ。譲渡の力は柄を伝い、刀身の聖水の効果を更に高めた。その威力にライザーは更に吐血した。

 

「地面を背にしたのが裏目に出たな。この状態じゃ、身動きもできない。…これで、終わりだ」

 

俺は懐から小さな布の袋を取り出し、それを宙に放った。放り投げた布の袋の口が開き、そこから十字架が飛び出した。これもアーシアから受け取った物だ。

 

それを見てライザーの顔が引き攣り、恐怖に歪み始めた。

 

「ま、待て! わ、わかっているのか! この婚約は悪魔の未来のために必要で大事なものなんだぞ!?」

 

「みたいだな。だが、その婚約が部長を悲しませるものなら、そんなもの、俺がぶっ壊してやる!」

 

俺は拳を握り構える。

 

「今日の戦いは俺の、いわば反則勝ちだ。また機会があればその時に決着を着けよう。いつでもかかってこい!」

 

十字架がライザーのお腹に落下する瞬間!!!

 

 

 

――ドォォォォン!!!

 

 

 

「ガハッ!」

 

十字架越しにライザーに拳を突き刺した。

 

「この、俺が……こんな…ことで…」

 

ライザーは一言そう漏らし、その意識を閉ざした。

 

 

――これで決着だ。

 

 

俺は鎧を解除し、ライザーの胸から村雨を抜き、鞘に戻した。

 

意識を失ったライザーに一瞥し、俺はライザーに背を向けた。

 

振り返るとそこにはライザーの妹である、レイヴェルがそこにいた。レイヴェルは無言で俺を睨み付けている。

 

「俺は主のために、俺の意地を通させてもらった。文句は受け付ける。いつでも来い。あの薔薇はその約束状だ」

 

俺はそれだけ告げてレイヴェルの横を抜けていった。俺はそのまま歩みを進め、その先で待つ部長の前に立った。

 

「帰りましょう。部長」

 

「昴…」

 

俺はその横にいる部長同じ紅髪の男性、おそらく部長の父親と思われる方に深く頭を下げ…。

 

「勝手なことではありますが、約束通り、部長は連れて帰らせていただきます。失礼致します」

 

それだけハッキリ告げた。部長の父親はただ静かに目をつむった。

 

サーゼクス様は……いらっしゃらないな。次会う機会があればその時に礼を言おう。

 

俺はグレイフィアさんにもらった魔方陣の紙を取り出し、裏側に向けた。すると、紙はが光り出し…。

 

 

――キュィィィィィッ!

 

 

魔方陣から一匹の大きな鷹とライオンが入り混じり、翼を生やした四本足の生物が現れた。

 

「これ……グリフォンか…」

 

なんかの図鑑で見たことがある。

 

グレイフィアさんは最悪これで逃げろって言いたかったのかな?

 

「失礼します、部長」

 

「きゃっ!」

 

俺は部長の背中と膝の裏に手を回し、お姫様抱っこで抱き上げ、そのままグリフォンの背に乗った。

 

飛び立つ前に、傍に集まっている木場達に…。

 

「お先に。部室で待ってるぜ」

 

そう一言告げて、冥界の空へと飛び立った……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

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