ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.23~元の日常、新たなる日常~

 

 

 

NOside

 

グリフォンに跨り、冥界の空を飛翔する御剣昴とリアス・グレモリー。

 

それを会場のテラスから魔王、サーゼクス・ルシファーとそのメイドであり、女王『クイーン』でもあるグレイフィアがそれを見つめていた。

 

「あのグリフォン、最悪の場合の逃げ道として、用意したものなのだがな」

 

サーゼクスがポツリと呟く。

 

「もし、そうなっていれば、今頃大変なことになっていたでしょう」

 

「私の父も、フェニックス卿も、色々反省していたよ。残念ながら、この縁談は破談が確定したよ」

 

残念と言っているが、その表情にはそれは見られない。

 

「残念ながら、ですか? お顔はそうは見えませんが?」

 

グレイフィアもそれを察してか、同様の表情で尋ねた。

 

「ウェルシュドラゴン。赤い龍が再びこの世に顕現するとは、思いもよらなかったよ。ましてやこちら(悪魔)側に来るとは…」

 

「はい。赤い龍はその昔、封印を施され、その姿を消した……はずでしたね」

 

サーゼクスはその言葉に頷いた。

 

「ああ。一昔前の赤と白の決戦ののち、赤を降した当時の白龍皇の手により、封印され、その姿を消した。……だが」

 

「再び、この世界に現れた」

 

グレイフィアが問いかけるように言葉を紡ぐ。

 

「如何なる事態が起こったかはわからない、だが、如何なる秘術をもってしても、赤と白の運命からは逃れられなかった。……そういうことだろう」

 

「…再び、赤と白の龍がぶつかると?」

 

「それは避けられないだろう。白き龍、バニシング・ドラゴンとも、そう遠くないうちに出会うだろう。その時が訪れればどうなるか」

 

「破滅をもたらすか、それとも…」

 

「その答えはきっと、彼が出してくれるだろう」

 

サーゼクスとグレイフィアの2人は、会場を離れる昴とリアスを見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

昴side

 

俺は、グレイフィアさんにもらった紙の裏側からグリフォンを呼び出し、部長と共に冥界の紫色の空を飛翔していた。

 

俺が地平線の彼方を見つめていると、部長が俺の頬にスッと手をかけた。

 

「ごめんなさい…」

 

沈痛な面持ちで俺に謝った。

 

「どうしたんですか?」

 

「私のせいでゲームに負けて、私のせいで傷ついて、私のせいで…」

 

俺は人差し指を部長の唇に当て、首を横に振った。

 

「謝らないでください。部長が謝っちゃったら、俺達のやったことが無駄になってしまいます」

 

「あっ…」

 

俺達は部長の命令で戦った。謝るということは、自分の命令が間違っていたと言うようなものだ。

 

「そうね。ごめんなさ……あっ…」

 

「ははは」

 

部長は再び謝ろうとし、途中で止めた。

 

「こういう時は、ありがとう、があってると思いますよ」

 

部長が俺の目を見て、フッと笑い…。

 

「ありがとう」

 

礼の言葉を俺に贈ってくれた。頬を触れる部長の手が俺の左手へと移った。

 

「あの力…」

 

「力? …ああ、これのことですね」

 

俺が頭の中で念じると、左腕にブーステッド・ギアが現れた。

 

「何故神滅具(ロンギヌス)をあなたが?」

 

「わかりません。もともと俺の中に存在していたらしいんですが、レーティングゲームの折に使えるようになったみたいです」

 

「そう…」

 

部長が俺の籠手をそっと撫でた。

 

「赤と紅。俺と部長は最高のペアになりそうですね」

 

「ふふっ、ホントね」

 

それからしばらく、俺と部長は無言のまま飛翔を続けた。

 

「ねえ、昴」

 

「何ですか?」

 

「失望してる?」

 

「? …何のことですか?」

 

俺は質問の意味がわからず、聞き返した。

 

「私のこと」

 

「…どうしてそう思うんですか?」

 

「私は王『キング』としては未熟だわ。ライザーとの戦いも、敗因は王『キング』であるこの私にある。もし、別の者が王『キング』だったら――『失望してませんよ』――えっ?」

 

俺は部長の言葉を途中で遮った。

 

「部長はあのゲームで最善の選択をしたと思っています。不利な状況でもそこから活路を見出した。結果は負けであっても、内容では部長が勝っていたと俺は思っています」

 

「昴…」

 

「部長はゲームの勝敗よりも、俺のことを想ってくれた。眷属にとって、こんなに嬉しいことはないですよ。俺はそんな優しい部長の眷属になれて良かったです」

 

「昴…!」

 

部長の瞳から涙が溢れた。

 

「俺は、いや、俺だけではなく、俺達眷属は、部長の眷属であることを誇りに思っています。未熟だと言うなら、またあの時の様に修行して、勉強すればいいだけのことです。俺達と一緒に頑張りましょう。だから、そんな顔しないでください。またいつもの様に自信に満ち溢れた笑顔を向けてください」

 

俺は笑顔を浮かべ、部長に俺の気持ちを伝えた。

 

部長は涙を手で拭い…。

 

「ええ!」

 

いつもの笑顔を浮かべて返事をした。

 

良かった。いつもの部長の顔だ。この顔をまた見れただけでも、俺のやったことが報われた気がする。

 

突如、部長が俺から視線を逸らした。心なしか、顔が少し赤い。

 

「わ、私は、名門、グレモリー家の次期当主。今回の縁談は破談になったけれど、また縁談の話しがくるかもしれないわ。もしそうなったら、あなたはどうするの?」

 

俺はニヤリと笑い…。

 

「何度でもぶち壊しますよ。部長が話してくれた夢を叶えるために。俺は何度でも戦います」

 

「…そう。なら、その功労の前払いをしなければならないわね」

 

「えっ? それはどういう――ん!」

 

どういうことか尋ねようとしたところ、それは部長に阻まれた。部長の唇によって…。

 

部長は俺の首に手を回し、その唇を俺の唇に重ねた。

 

「ん…」

 

部長の声が唇越しに漏れる。俺は事態が呑み込めず、目を見開いていた。

 

時間にして1分ほどだろうか、唇を重ねると、部長はそっと顔を離した。

 

「ぶ…、部長…」

 

俺は慌てふためいて部長と呼んだ。その部長はいたずらな表情を浮かべていた。

 

「これからもあなたのこと、期待しているわ。末永く、よろしくね」

 

「は、はい、よろしく……お願い…します…」

 

俺は辛うじてその言葉を紡ぎ出した。

 

 

――キス…だよな、今の…。

 

 

口付けとも接吻とも呼ばれる…。諸外国ではキスは挨拶がわりにする国もあるから、もしかして悪魔も…でも、木場としてるところは見た事ないし…。

 

俺は今起こったことが処理できず、頭の中がパンク状態だ。

 

「あ、ちなみに。今のは私のファーストキスよ。日本では、女の子が大切するものよ」

 

部長がウィンクで補足するように俺に言った。

 

 

――ファースト、キス…。

 

 

「ハハハッ、これはまた、もったいないものをもらってしまったな」

 

俺を視線を部長から逸らし、頬を掻きながら感想を言った。

 

「いずれはもっと大切ものをあなたにあげるわ。頑張りなさい」

 

そう言って、再び俺の首に手を回し、俺の首筋に顔をうずめた。

 

俺は顔が赤くなったことを部長に悟られないように飛翔を続けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

俺のパーティーへの乱入してから数日が経った。結局、グレモリー家とフェニックス家の縁談は本格的に破談となり、めでたしめでたしとなった。

 

 

――これでまたいつもの生活が戻ってくる…。

 

 

そう思っていたのだが……。

 

「…」

 

俺の家の前には大量の段ボールと、その横には我らが部長のお姿が。

 

「今日からあなたの家に住むわ。早速で悪いけど、荷物を中に運んでちょうだい」

 

部長がにこやかにそう言った。

 

「俺の家に住むって、どうして突然俺の家に?」

 

「下僕との親睦を深めるためよ。構わないでしょ?」

 

「部屋は有り余っていますし、断る理由もありませんが…」

 

だからって俺の家にわざわざ引っ越してこなくても…。横でアーシアは涙目でむくれてるし。

 

「う~! せっかくスバルさんと2人きりだったのに…」

 

声が小さくてよく聞き取れないが、あきらかにアーシアちゃんは不機嫌だ。

 

「早くなさい。でないと日が暮れてしまうわ」

 

部長に急かされ、俺は段ボールを1つ1つ家の中に運び入れていった。

 

 

――やれやれ、また騒がしくなりそうだな。

 

 

新しい日常に不安と期待を胸に、俺は新たな日常に足を踏み入れるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





ちょっと短めですみません…m(_ _)m

以上で第2章終了です。

次回から新章に突入します。

感想、アドバイスお待ちしています。

それではまた!
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