ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.29~共同戦線、聖剣とクソガキ神父~

 

 

 

「単刀直入に言う。お前達のエクスカリバーの奪還、及び破壊の任務、俺達にも助力させてほしい」

 

俺は取り繕いもお世辞も一切言わず、ストレートに本題を切り出した。

 

俺がそう提案すると、2人は目を丸くさせて驚愕した。まあ、まさかこんな提案をされるとは思わなかったのだろう。

 

場を緊張が支配する。店内のBGMと他の客の談笑がやけに耳に届く。小猫ちゃんと匙はごくりと生唾を飲み込んだ。

 

 

――さて、どうなるか…。

 

 

俺達が今か今かと返答を待っていると、ゼノヴィアが口を開いた。

 

「そうだな。1本くらいなら任せてもいいだろう」

 

それは、承諾と取れる答えだった。多少の交渉が必要かと思っていたが、意外とすんなり承諾された。

 

「ちょっと、ゼノヴィア。いいの? 相手は悪魔なのよ?」

 

ゼノヴィアの承諾に紫藤イリナが異を唱えた。

 

「イリナ。正直、私達だけで3本の回収は厳しい。奥の手を使ったとしてもだ。相手がコカビエルとなれば、無事に帰れる確率は3割程と言ったところだろう」

 

「それでも高い確率だと私達は覚悟を決めてこの国に来たはずよ」

 

「そうだな。上にも任務を遂行して来いと送り出された。だが、これは自己犠牲に等しい」

 

「それこそ、私達の本懐じゃない」

 

2人はそのまま言い争いを始めてしまった。話は互いの信仰心についてまでに至っている。

 

「上からはドラゴンの力を借りるなとは言っていない。赤龍帝の実力は折り紙つきだ。それはイリナが身を持って知っていることだろう?」

 

「そんなのヘリクツすぎるわよ! 実力は認めるわ! でも私は反対よ! 第一、この人は私達の主をバカにしたのよ!」

 

「…」

 

紫藤イリナが俺を指差して叫ぶ。

 

…しまったな。ここに来てあの挑発が響いてきたか。このままじゃ旗色が悪い。どうするか…。

 

「それについては私も遺憾に思っていた……だが先に彼の、私達で言うところの主にあたるものを侮辱したのはこちらだ」

 

まあ、間違ったことは言ってはいないがな、と、付け加える。

 

「それについては今回のこの食事で水に流そうじゃないか」

 

「うっ……だけどぉ…」

 

紫藤イリナも、アーシアへの発言には多少なりとも罪悪感があったのか、口ごもった。

 

「良いじゃないか。確か、イリナはこの赤龍帝のような男が好みではなかったか? あの手合せの後も、何かと赤龍帝のことを――」

 

「――あーあー! わかったわよ! 確かに、任務は完了しなければ意味がないわ。多少の融通は利かすべきね!」

 

紫藤イリナは遮るように言葉を挿ませた。

 

「? 何はともあれ、商談成立ってことで構わないのか?」

 

「ああ。だが、そちらの正体がバレないようにしてくれ。こちらもそちらと関わりを持っているように上にも敵にも思われたくないからね」

 

「じゃ、それで決まりだ。解散の前にもう1人、協力者を呼ぶからちょっと待っていてくれ」

 

俺は携帯を取り出し、木場に電話をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…話はわかったよ」

 

木場に事情を説明すると、すぐに来た。

 

「正直言うと、エクスカリバー使いに破壊を承認されるのは遺憾だけどね」

 

「随分な言いようだね。そちらが『はぐれ』だったら、問答無用で斬り捨てているところだ」

 

そう言うと、木場とゼノヴィアが睨み合った。

 

「その辺にしておけ、それ以上いったら両方殴り飛ばすからな」

 

俺はコーヒーを飲みながら2人に殺気を軽く飛ばした。2人はそんな俺に軽く驚愕し、矛を収めた。

 

「だが、『聖剣計画』。その被験者の全員を始末するのが許されると思っているのか?」

 

木場は、そこだけは納得ができず、2人に憎悪の眼差しを向けた。

 

「その事件は、私達の間でも最大級に嫌悪されたものだ。処分を決定した当時の責任者は異端の烙印を押され、今では堕天使側の住人さ」

 

「……その者の名は?」

 

「バルパー・ガリレイ。『皆殺しの大司教』と呼ばれた男だ」

 

そいつが木場の討つべき相手か。

 

「その情報を聞いた以上、僕も情報提供をした方がいいようだね」

 

木場の情報とは、先日、エクスカリバーを持った者に襲撃されたらしい。しかもそいつは、教会側の神父を殺害したとか。そしてその人物はなんとフリード・セルゼンだという。

 

 

――フリード・セルゼン…。あのクソガキ神父か。

 

 

「なるほど、奴か」

 

ゼノヴィアが唸る。フリードは天才だったらしいが、やりすぎてすぐに異端者となったが、まんまと逃げおおせたらしい。

 

俺はそこで1つ疑問が浮かんだ。

 

「…エクソシストって、全員聖剣を扱えるのか?」

 

俺がそう尋ねると、紫藤イリナがその質問に答えた。

 

「いえ、聖剣を扱えるのは、教会の中でもその素養も持った者に限られるわ」

 

「フリードはその素養を持っていたのか?」

 

「いや、そんな記録はない。それがどうかしたのか?」

 

ゼノヴィアが俺に逆に尋ねてきた。

 

「記録に誤りがあったり、本人が隠していたのではないなら、誰かがフリードに聖剣を使えるように施したことになる」

 

「……そうなりますね」

 

小猫ちゃんがそれに同意する。

 

「聖剣に明るく、かつ、堕天使側の住人。もしかしたら、今回の聖剣強奪騒動。そのバルパー・ガリレイってのが何かしらの形で関与している可能性があるな」

 

『!?』

 

俺の推理にこの場の全員が驚愕する。

 

他に聖剣に詳しい者が堕天使側に流れていないなら、その可能性はある。聖剣を盗み出し、その先日の僅かな間で扱えるようにできるなら、今頃、木場達被験者は晴れて聖剣使いになっていただろうし。

 

「バルパー・ガリレイが…!」

 

木場はそれを聞き、両方の拳をきつく固く握りしめた。その表情も最大限の嫌悪と憎悪と憤りに満ちている。

 

「まあ、まだわからないがな。それはこの件をつきつめていけばわかる。少なくとも、とっかかりぐらいは掴めるだろう。さてと…」

 

俺は伝票を取り、席を立った。

 

「お互いの話は終わったことだし、俺達はここで失礼させてもらうよ。こちらの提案を受け入れてくれたこと、感謝する」

 

「双方の利害が一致しただけさ。ともあれ、君の力をあてにさせてもらうよ。赤龍帝」

 

ゼノヴィアも同じく席を立ち、そう言った。

 

「しょ、食事、奢ってくれてありがとう。…ちゃんと手伝ってくれたら、先日の件は、ゆ、許してあげてもいいわよ?」

 

同じく、紫藤イリナが席を立ちながら言った。

 

「心配すんな。責任を持って破壊させてもらうよ」

 

「我々はできれば回収……まあいい。ではまたな」

 

何はともあれ、滞りなく共闘体制は取り付けられた。後は、やるのみだ。

 

俺達は店を出ると、ゼノヴィアと紫藤イリナと反対側を歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

『…』

 

道中、俺達は無言で道を歩いていた。皆の表情には、共闘が確約された喜びの表情もなく、真顔で歩いていた。匙だけはその空気に戸惑っている。そんな沈黙を破ったのは、木場だった。

 

「…昴君。どうしてこんなことを?」

 

木場は不思議そうに聞いてくる。

 

「さあな…」

 

「さあなって、僕が勝手に動いたら、部長に迷惑がかかるからじゃないのかい?」

 

「考えたことねぇよ。誰かを助けるのに理由なんてな。仲間ならなおさらだ」

 

「っ!?」

 

俺がそう言うと、木場は目を見開きながら驚いていた。

 

「悪魔の寿命は長いからな。…長すぎる。仲間を失った悲しさや、仲間を失わせた無力さを背負うにはな」

 

俺は空を仰ぎ、遠くを見つめながら言った。

 

「昴君…」

 

「…私も、裕斗先輩がいなくなったら、寂しいです」

 

普段はあまり表情を顔に出さない小猫ちゃんだが、今はとても寂しげな表情を浮かべていた。

 

「お手伝いします。…だから、いなくならないで」

 

小猫ちゃんは悲痛の訴えをした。その言葉に、この場の誰もが心を打たれた。

 

「…ははは。まいったね。小猫ちゃんや昴君にそんなことを言われたら、僕も無茶はできないよ。…わかった。皆の好意に甘えさせてもらうよ。皆と力を合わせてエクスカリバーを倒そう」

 

木場もようやく俺達の共闘作戦にやる気を出してくれたようだ。

 

「そうこなくちゃ。あのクソガキ神父もエクスカリバーも、両方叩き潰そう!」

 

こうして俺達はエクスカリバーの破壊を誓い合った。

 

その後、匙だけはあまり乗り気ではなかったのだが、木場のエクスカリバーとの関係を話したら、号泣しながら賛同してくれた。

 

思ったとおり、こいつは良い奴だったみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

あれから数日が経過した…。

 

クソガキ神父をいぶり出すために、神父の格好しながら放課後に街中をうろうろしているのだが、なかなか食いついてこない。うすうす、部長が勘付きつつあるので、早く接触をしたい。

 

「最近、難しい顔してばかりだな、昴」

 

元浜がメガネをくいっと上げながら話しかけてきた。

 

「あれか? リアス先輩のおっぱいと姫島先輩のおっぱい、どっちを揉むべきか悩んでるのか?」

 

「アホか。んなわきゃないだろう。…ただ、弾力なら部長。柔らかさなら朱乃先輩だな」

 

「「死ね!」」

 

…せっかく答えてやったのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

そして放課後、表の部活終了後、俺と木場と小猫ちゃんと匙の4人は例の神父の格好をしながら街を練り歩いていた。

 

だが成果は芳しくない。一向に食いついてくる気配がない。

 

「ふぅ。今日も収穫なしか…」

 

気落ちするように匙が呟いた。

 

時刻は夕方。もうそろそろ潮時だ。今日もダメか…そう考えたその時…。

 

「っ!?」

 

俺は足を止めた。

 

「おい、御剣、どうした?」

 

匙が怪訝そうな表情を浮かべながら聞いてきた。

 

「…全員、構えろ。かかったぞ」

 

「えっ?」

 

小猫ちゃんが声をあげ、全員が辺りをキョロキョロし始めた。

 

「…この身に刺さる波動は……エクスカリバーだ。真っ直ぐこっちに向かってきている」

 

「マジかよ! どこから…」

 

匙は少し怯えながらキョロキョロする。

 

「っ!?」

 

「…裕斗先輩」

 

木場も小猫ちゃんも気付いたようだ。匙もその後に気付いた。

 

「…来た! 上だ!」

 

俺の声に全員が視線を上に向く。

 

「神父の一団にご加護あれってね!」

 

頭上からあのクソガキ神父が飛び出した。

 

 

――ギィィィィン!!!

 

 

木場が魔剣を素早く創造してフリードの一撃を受け止め、他は周囲に展開した。

 

奴が持っているのは間違いなく聖剣、エクスカリバーだ。

 

「ようやく巡り合えたな」

 

俺は纏っていた神父の服を脱ぎ捨てた。それに続いて小猫ちゃん達も同様に脱ぎ捨て、制服姿になった。

 

「!? へえ…まさかこんなところで会えるなんてね。…早速だけど、死ねよ! このクソ悪魔ぁぁぁぁっ!」

 

 

――ガキィィィン!!!

 

 

俺の姿を確認するや否や木場の魔剣を弾き、真っ直ぐ俺に向かってきた。

 

…ちっ、まだ根に持ってたのかよ。

 

俺は村雨を包んでいる布を引き千切ると、村雨に手をかけた。

 

「伸びろ、ラインよ!」

 

 

――ビューッ!

 

 

匙の手元にトカゲの顔みたいなものが装着されると、黒く細い触手らしきものがフリードへと向かっていった。

 

「うぜぇっス!」

 

フリードがそれを聖剣で斬り払おうとしたが、触手は聖剣が接触する瞬間に軌道を変え、フリードの右脚に巻きついた。

 

「そいつはちょっとやそっとじゃ斬れないぜ。木場! 思う存分やっちまえ!」

 

大した能力だ。なかなかやるじゃないか、匙!

 

「ありがたい!」

 

木場が両手に魔剣を創造し、フリードに攻め立てていった。

 

「おんや? 複数の魔剣、魔剣創造『ソード・バース』ですか? けれど今はそんな駄剣に用はねぇーんですよ。引っ込んでな!」

 

 

――バキィィィィン!!!

 

 

「くっ!」

 

フリードが聖剣を一振りすると、木場の魔剣が砕け散った。

 

やはりエクスカリバーの名は伊達ではないか。

 

「出ろ! ブーステッド・ギア!」

 

『Boost!』

 

俺は籠手を発現させた。

 

「ここであったが百年目ってね! 再会と同時に死ねよぉぉぉぉっ!」

 

フリードはあくまでも俺を狙ってきている。俺は再度村雨に手をかけた。

 

「はっ! そんなナマクラ刀じゃ、このエクスカリバーを受け止めることすら――」

 

 

――ギィィィン!!!

 

 

「――なんですとぉぉぉっ!」

 

俺は抜刀と同時にフリードを弾き飛ばし、鞘に納めた。飛ばされたフリードは空中で一回転しながら着地をした。

 

「聞いてませんよ! エクスカリバーを受けられる刀なんてあるはずないですぜ!」

 

フリードはひどく驚愕している。弾かれたことがよほどショックだったのだろう。

 

「それになんですかその籠手ぇ! てめぇ、ロンギヌス持ちだったんかよ!」

 

このブーステッド・ギアにも気付いたようだ。

 

「気に入らないですねぇ! ますます殺したくなりましたよクソ悪魔ぁぁぁっ!」

 

ますます激昂したフリードが俺に向かってきた。

 

「君の相手はこの僕だよ!」

 

木場が無数の魔剣を展開させ、フリードに向けて飛ばした。

 

「邪魔ですな! サーカスはお呼びじゃないんだよ!」

 

 

――バキィン! ゴキィン! パキィィン!

 

 

フリードはその飛んでくる魔剣を1本1本打ち落としていった。

 

「俺様のエクスカリバーは天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリイ)! 速度だけなら自信がありますぜ!」

 

フリードは全ての魔剣を破壊し尽くした。

 

言うだけはある。フリードの聖剣は切っ先がブレるほどの速度を出している。

 

「くそ!」

 

木場が苦悶の声をあげる。

 

「それではぁ! 今から聖剣をごちそうしてやるよっ!」

 

フリードがその速度を生かして俺へと距離を詰めてきた。

 

 

――ブォン!!!

 

 

振るった斬撃を俺を屈んでかわす。

 

「まだまだ! これからが本番でございますよ!」

 

先程同様、フリードの聖剣がブレ始める。

 

 

――来る…。

 

 

――ブォン! ビュン! ブン! ブォン! ブン!…!

 

 

俺は、以前の紫藤イリナとの戦いの経験を生かし、5ミリの距離を意識しフリードの斬撃の嵐を無駄な動きを省き、最小限に身体を動かしながらかわしていく。

 

 

――ギィン!!!

 

 

10を超える斬撃をかわした後、左手で逆手に村雨を抜き、聖剣を受け止めた。

 

「拍子抜けだな。速度自慢の聖剣がこの程度とはな」

 

 

――ドカッ!!!

 

 

「ぐぅっ!」

 

空いている右手をフリードの腹に打ち込み、殴り飛ばした。

 

「まだまだ! そらよ!」

 

俺はフリードの右脚に巻きついている触手を掴み、グイって引っ張ると、殴り飛ばした反対側に叩き付けた。

 

 

――ドカァァァッ!!!

 

 

「がはぁ!」

 

叩き付けられたフリードは血反吐を吐きながら苦悶の声をあげた。

 

「今だ! やれ、木場!」

 

「感謝するよ、昴君!」

 

木場が魔剣を創造してフリードに斬りかかる。

 

「こんの…!」

 

フリードが足を上げ、反動を使って立ち上がると、紙一重で木場の斬撃をかわし、距離を取った。

 

「…クソ悪魔がぁっ…!」

 

フリードは袖で口元の血を拭い、血走った目で俺を睨み付けた。

 

「俺達が援護する。この調子で行け、木場」

 

「うん」

 

木場が頷く。

 

「あいつの力はこの神器、アプソーブション・ライン(黒い龍脈)で随時吸収している。そのうち奴は倒れるぜ!」

 

見ると、匙の触手が淡い光を放っている。

 

…ほう。便利な能力だな。

 

もう一度フリードにやり合おうとしたその時…。

 

「せっかく聖剣を使えるようにしてやったというのに、なんだ、その体たらくは…」

 

突如、第三者の声が俺達の耳に届いた。声の方向に視線を移すと、そこには神父服に身を包んだ初老の男がいた。

 

「…バルパーのじいさんか」

 

 

――っ!? バルパー…こいつが聖剣計画の…。

 

 

「バルパー・ガリレイッ!」

 

木場が怨嗟に染まった瞳でその男を睨み付ける。

 

「いかにも。…ほう、魔剣創造(ソード・バース)か? 使い手の技量次第で無類の力を発揮する神器か…フリード、何をしている」

 

「このトカゲ君のベロが邪魔で上手く戦えねぇんですよ!」

 

「お前に渡した『因子』をもっと有効活用すればいい。身体に流れる聖なる因子をできるだけ聖剣の刀身に込めろ。そうすれば切れ味が増す」

 

「あいよ! こうか!」

 

 

――ズシャッ!!!

 

 

匙の神器の触手が切断された。

 

「ちっ、腹が立つが一旦退却だ。そんじゃあな!」

 

フリードが逃亡を図ろうとする。俺が追撃を試みようとしたその時、俺の横を何かが通り抜けた。

 

 

――ガキィィィン!!!

 

 

「逃がさん!」

 

フリードの聖剣と交差する。

 

ゼノヴィア、ようやく来たか。

 

「私もいるわよ」

 

俺のすぐ後ろには紫藤イリナがいた。

 

「フリード・セルゼン、バルパー・ガリレイ。お前達を神の名のもと、断罪する!」

 

「ちぃ! このクソビッチが! バルパーのじいさん! ここは撤退だ! コカビエルの旦那に報告しに行くぜ!」

 

「致し方あるまい」

 

フリードが懐から丸い球を取り出し、地面に投げつけた。

 

 

――カァァァァッ!!!

 

 

その直後、目が眩むほどの眩い光が周囲を包み込んだ。

 

「あばよ、教会と悪魔の連合どもが!」

 

光が治まると、そこにフリードとバルパーの姿はなかった。

 

逃げたか。だがまだそんな遠くには行ってないはずだ。

 

「追うぞ、イリナ」

 

「うん!」

 

ゼノヴィアと紫藤イリナが後を追っていった。

 

「僕も追わせてもらおう! 逃がすか、バルパー・ガリレイ!」

 

木場もその後を追っていった。

 

「待て! 万が一根城に逃げ込まれたらやばいぞ! …ったく!」

 

向こうの背後にはコカビエルがいるんだぞ。それに、向こうが聖剣を奪還しにくる輩に対して何も備えてないわけがない。

 

「おい、どうする? 俺達も追うか?」

 

「俺達も後を……追いたいところだが、そういうわけにも行かなくなった」

 

俺が指で背後を差す。

 

「げっ!」

 

「っ!?」

 

匙はビクリと身体を震わせ、小猫ちゃんも驚愕の表情を浮かべた。

 

「力の流れが不規則になっていると思ったら…」

 

「これは、困ったものね」

 

そこには険しい表情を浮かべた部長とソーナ会長がいた。

 

…やれやれ、とうとうバレちまったな。

 

俺はどう説明するかを必死に頭で考え始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

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