ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.3~回り出す歯車、動き出す運命~

 

 

 

あれから2日後…。

 

 

 

――キーンコーンカーンコーン……。

 

 

 

「ふわぁぁ…」

 

本日も全ての授業が終わり、部活に行く者、駄弁る者、遊びに行く者、帰宅する者と各々が動き出す。

 

相変わらず何も変わらない日常…。こんな風景を眺めていると改めて思う。どんなに地位を得ようとも、どんなに権力を得ようとも、普通の日常に勝る幸せはない。少々退屈と感じる時もあるが、最近ではこれも悪くないなと思う時もある。

 

「帰りますかな」

 

俺は鞄に教科書を突っ込み、クラスメイトとの挨拶も早々に帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

帰りにスーパーに寄り、夕方の特売の卵を買い。八百屋で野菜を数点購入していった。

 

ぶっちゃけ、毎日外食しても貯金は全く問題ないのだが、料理は俺の言わば趣味の1つなので自分で材料を厳選し、自炊している。

 

時刻は17時過ぎ、俺は自身の家へと到着した。

 

「ただいま~っと、とりあえず言ってみたり…」

 

ちなみに俺は1人暮らしです。

 

「…この家に1人は広すぎるよな…」

 

正直、この家は俺にはかなり持て余す。使ってない部屋なんて多数ある。

 

使用するのはキッチンとリビング、後は風呂と自室、他にはトレーニングルームと瞑想用の和室くらいだ。

 

掃除も一苦労で、1回掃除をしてみたら、丸1日程の時間を要してしまった。今では週1で清掃業者に任せている。さすがに料理はともかく、掃除までは好きになれん。

 

「とりあえず飯でも作ろ」

 

俺は着替えを済ませ、エプロンを巻くと、夕食の準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

――トントントントン…。

 

 

野菜や肉を細かく切り刻んでいく。

 

「あれ?」

 

キッチンの戸棚を開け醤油を取ろうとした所、醤油がきれていた。

 

「うわ、醤油ねぇや。他にも味噌も無いし、油もきれそうだ」

 

これでは料理にならない。

 

「仕方ない、ひとっ走り買いに行くか」

 

俺はエプロンを外し、コンロの火を止め、上着と財布を取ると家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

俺はすっかり薄暗くなった夜道を歩いている。

 

「ん? この公園を抜けたら確かコンビニがあったな…」

 

俺は公園へと足を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

すっかり人気の無くなった公園(元々人気は少ないらしいが)。俺はポケットに手を入れながら歩いていく。少し歩くと噴水が見えてきた。俺が噴水のある広場に足を踏み入れたその時…。

 

「っ!?」

 

突如、俺の身体を生暖かい何かが包み込むような感触に襲われた。

 

 

――何だ? 何が起こったんだ…。

 

 

気のせいでも、身体の不調でもない。明らかに何かが起こった。それに…。

 

「…静かすぎる。さっきまで鳴っていた虫や車の音が急に消えた。それに公園近くに居た人の気配まで…」

 

確実に俺の身か俺の周りに何かが起こっている。俺は足を止め、周囲を警戒する。

 

「っ!?」

 

俺は咄嗟に現れた後ろの気配を察知し、後ろに跳びながら振り返った。振り返るとそこには黒い外套で全身を覆い、フードを深く被り、さらに奇怪な仮面をつけた奴が立っていた。

 

「ほう、すぐに気配に気付くとはね、少々驚いたよ」

 

「お前の仕業か? この周りに起こっている事は…」

 

「ご名答だ。正確には俺の仲間だがね。…でも君はあまり驚いていないみたいだね?」

 

「…」

 

驚いてない訳がない。そんなことより先に現状把握がしたいだけだ。

 

…体格、声から察するに、男か?

 

「ふむ、この状況にも一切取り乱さず、冷静に状況を把握しようと努めている、ますます興味深い」

 

「…それで、俺に何か用でもあるのか?」

 

「勿論。……単刀直入に言う。御剣昴、俺の仲間にならないか?」

 

仮面を被った男は、唐突に俺に投げかける。

 

……名指しで指名、俺の名を知っているという事はそれなりに計画的という訳か。

 

「本当に単刀直入だな。いくつか質問させてもらってもいいか?」

 

「答えられる事ならね」

 

「まず…、お前は何者だ?」

 

「…残念ながら、その問いに対して答える事は出来ない。俺の仲間になった時、その問いに答えよう」

 

「…なら、何故俺を仲間に引き入れようとする?」

 

俺はこの世界に来てからは特別目立つ行動は取っていない。少なくともあのような怪しげな奴に目を付けられるような事はな。

 

「それについては、そうだな…、君の満足を得られる回答ではないだろうが、勘かな?」

 

「勘……だと?」

 

「きっかけは偶然だ。君は以前、ひったくりを捕まえた事があったね?」

 

「…ああ」

 

2ケ月程前、都内に買い物に行った時、偶然出くわしたひったくりを捕まえた事があった。

 

「その現場にたまたま居合わせたんだ、その時の君を見て俺の中の何かが言った。君を仲間に引き入れるべきだ、と…」

 

「…」

 

「それから君の事を調べあげ、チャンスを窺い…、今に至るという訳だ」

 

「…なるほど、とりあえずそれで納得してやる。では次だ。お前は俺を引き入れ、何を成そうとするつもりだ?」

 

奴は一瞬考える素振りを見せ…。

 

「単純な事だ。俺は、俺自身がこの世界で何処までやれるか知りたいんだ」

 

「…」

 

「君は知りたいと思わないか? 試そうとは思わないか? 自分に何が出来るか、自分が何処まで出来るか…」

 

「…」

 

「君にとって今の世界は退屈でしかないだろう? 俺と来れば、そんな君を満たしてあげる事ができる。君の力を存分に生かしたあげる事ができる。さあ、俺と来い、御剣昴。俺と共にこの世界で挑戦しよう」

 

奴は右手を俺へと差し出した。

 

その、奴の誘いには、何処か甘美な香りがした。思わず、受け入れてしまいそうな甘い匂い…。

 

「…せっかくのお誘いのところ悪いが、断らせてもらう」

 

「ほう」

 

俺は拒絶した。だが奴は、それを聞いても憤るでもなく、何処か想定していたかのような反応だった。

 

「退屈って言うのは否定しない。だが俺は今の世界、今の生活に満足している。自分に何ができるか…、生憎、俺には興味の範囲外だ。俺にはどうでもいい」

 

「…」

 

「何より、素顔はおろか、名すら明かさない、そんな奴は信用出来ない。後…、お前が勘で俺を見定めたと言ったな、なら俺も勘でお前の事を言わせてもらう。お前、目的の為ならとことん手段を選ばないタイプだろう?」

 

会話をしていて分かった。こいつの迷いもなく淡々と話している様子から、こいつは少なくともそういうタイプの奴だという印象を受けた。

 

「…」

 

「手段を選んで自滅する事をよしとしないが、手段を選ばず、目的や結果だけを求める奴は俺は好まないんだ。という訳で、お断りだ」

 

「…そうか、それは残念だ」

 

残念とか言ってるが、俺には残念そうには見えないけどな。

 

「交渉は決裂だ。話がそれだけなら帰ってくれないか? 出来れば俺を元の場所に帰してくれると助かるが…」

 

「ふふっ、そういう訳には行かないな。本当ならもっと根気よく説得を続けたいが、生憎と時間がないのでね、交渉が決裂したなら、もう1つの目的を果たさせてもらおう」

 

「おいおい、俺の姿を見た者を生かしてはおけない…、何てお約束な言葉は吐くなよ?」

 

「正にお約束さ。古い物語のような話だ。…けど、お約束なだけに重要な事なのさ」

 

奴が俺に殺気をぶつけだした。

 

 

――来る…。

 

 

俺は構えを取った。

 

「いい構えと気迫だ。それでは、やろうか」

 

奴が動いた。

 

「!?」

 

奴が動いたと思ったら一瞬にして俺の真横に移動した。

 

「ちっ!」

 

俺はすぐさま反応し、拳を振るった。

 

 

――ヒュッ…。

 

 

だが奴は俺の腕を取り、俺の脚を払いながら投げ飛ばした。俺の視界は反転し地面が眼前にあった。

 

これは…、合気道か!

 

さらに奴は追い打ちに手刀を浴びせようと構えていた。

 

「ふっ!」

 

俺はすぐさま地面に付け、そのまま手首で身体を回転させ、蹴りを浴びせる。

 

 

――ブォン!!!

 

 

奴は咄嗟に身を引き、避けながら距離を取った。

 

「逃がさん!」

 

俺は体勢を立て直し、追撃に向かった。

 

 

――ガシィッ!!!

 

 

奴は俺の追撃の蹴りを腕で防ぐ。

 

「やるな! それでこそ目を付けた価値がある!」

 

奴は俺の脚を払うともう1度飛び込み、手刀を振るう。

 

 

――パシン!!!

 

 

俺は手刀を左手で弾き、拳を振るう。

 

 

――ブォン!!!

 

 

奴はその拳を避け、さらに手刀を振るう。

 

 

 

――ブォン! パシン! ブォン! パシン! …!

 

 

 

一進一退、俺と奴の激しい攻防が繰り広げられる。互いが相手の一撃を避け、間隙を縫って攻撃を加える。第三者がこの光景は見れば一見互角に見える。しかし…。

 

こっちの攻撃は全て避けられ、向こうの攻撃は防御で手一杯、これは奴のスピードが俺を上回っているからだ。回避と防御の差はでかい。すぐに次の行動に移せる回避と違って防御は一瞬動きが止められてしまう。

 

このままじゃジリ貧だ。本来なら恨みも大儀もない戦いに付き合う義理はない。本音はとっとと退却したい。だが迂闊に背を見せれば即座に殺られる。俺と奴との間にはそれだけの力の差がある。

 

「アハハッ! なかなか粘る! それ、次行くぞ!」

 

奴が嬉々とした声を上げ、手刀を繰り出す。

 

「舐めるな!」

 

俺は上体を後ろに倒し、手刀を避ける。

 

「よく避けた、だがそれでは次はかわせまい!」

 

奴が即座に追撃をかける。

 

百も承知だ!

 

 

――パチン!

 

 

俺は倒れながら指を鳴らした。

 

 

――ドォン!!!

 

 

すると、俺の僅か横の地面が爆発した。

 

「!?」

 

さっき投げられて地面に手を付いた時、そこに氣を流し込んでおいた。それを今弾けさせた。

 

…ただの目眩ましだが充分だ、奴が一瞬俺から気が逸れればな!

 

俺は倒れる直前、右手を地面に付け、身体を支え、そのまま奴に左足で奴に蹴りを繰り出した。

 

「ちっ!」

 

 

――ドン!!!

 

 

奴はそれを両腕で防いだ。だが蹴りは防げたものの、威力までは殺しきれず、真上に浮かされた。

 

「ここだ!」

 

俺は蹴りを浴びせた後すぐに身体を横にねじり、1回転し、右足に氣を集め…。

 

「烈蹴斬!」

 

 

――ブォン!!!

 

 

回転の反動を利用して、斬撃を帯びた氣を奴目掛けて撃ち出した。

 

「っ!?」

 

このタイミングなら奴は避けられない。これでどうだ!

 

氣はグングン奴に接近する。氣が奴に命中したその瞬間…。

 

 

――スパッ…。

 

 

「なに!?」

 

俺の氣は奴の目の前で真っ二つに斬り裂かれた。

 

「ふう、危ない危ない…」

 

奴の手には何やら槍が握られていた。

 

…奴は、槍を何処から出した?

 

奴が今持つ槍は、暗器の類ような小さな武器ではない。あの外套では、隠し持つことは不可能だ。

 

奴はそのまま地面に着地した。

 

「まさか、これを抜く事になるとはな、いったい、君には何度、驚かされればいいのかな?」

 

奴が槍を肩に担ぐ。

 

何だあの槍…。何というか、とてつもない神々しさと同時に、とてつもない畏怖を感じる。

 

「俺の見立てでは、素手でも君に勝てると踏んでいた。俺と君とではそれだけの力の差があるからだ。でも君を仕留められない」

 

「…」

 

「あまつさえ、切り札まで抜かされてしまった。こちらがいくら君の強さを修正しても君はそれをさらに上回っていく」

 

「…」

 

「身体能力もさることながら、判断力、読み、駆け引き、冷静さ、君のそれらは正直異常だ。まるで、何十年も戦場を駆け抜けてきたかのような凄みを感じる」

 

奴が俺に肩に担いだ槍の切っ先を向け…。

 

「やはりもう一度考え直してくれないか? ここで君を始末することは何者にも変えられない損失だ。どうだい?」

 

「それは一度断るといったはずだ。何度も言わすな」

 

「…やはり返事は変わらないか。頑なだね…、いや、その頑なさも君の魅力の1つでもあるのかもな…、仕方ない、では、予定どおり君とはここでさよならだ」

 

奴が槍を構え…、振るった。

 

 

――ブォン!!!

 

 

俺は咄嗟にその場から飛び退いた。

 

 

――ドゴォォォォン!!!

 

 

その瞬間、俺が今居た場所が激しく爆発を起こした。

 

ちぃっ! あの槍、やっぱ普通じゃねぇ!!!

 

「これで終わりではないぞ?」

 

「くっ!」

 

すぐさま奴は俺に接近してきた。

 

 

 

――ブォン! ブォン! ブォン! ブォン! ブォン! …!

 

 

 

奴から恐ろしい程の数の突きの嵐が俺を襲う。

 

こいつ、槍捌きが半端ねぇ! 間違いなく体術より槍術の方が秀でてる。こっちが本命か!

 

 

――ズシャッ!!!

 

 

「ちっ!」

 

奴の槍が俺の肩を掠める。

 

さっきまでは早いながらも俺と同じ間合いで戦っていたから間隙を縫って反撃も出来た。しかし、今回は槍を手にしている為、その分射程が長くなる。つまり、奴の間合いでは俺の攻撃は届かない。距離を詰めるか、離れて遠距離攻撃するしかない。

 

 

――ガツン!!!

 

 

俺は槍の柄に拳をぶつけ、弾くと後ろに飛んだ。そして飛びながら両手を重ね…。

 

 

 

――ドン! ドン! ドン!!!

 

奴を氣で狙い撃った。

 

 

 

――バチン! バチン! バチン!!!

 

 

 

氣は難なく槍で弾かれる。

 

この程度じゃ駄目か…。とりあえず距離を取って……っ!?

 

 

――ビュン!!!

 

 

奴が槍をこちらに向けると槍がグンと伸びた。

 

 

――ズシャッ!!!

 

 

「ぐうっ!」

 

槍は俺の左脚の太腿を掠めた。

 

ちくしょう! 伸縮までするのかよ!

 

太腿をやられた事で機動力を奪われた。勿論奴がこの機を逃すはずもなく、追撃をかけてくる。

 

 

 

――ズシュ! ズシャ! ブシュ! …!

 

 

 

右脚と上体の動きで何とか致命傷を避けているが、俺の身体はどんどん傷を増やしていく。

 

 

――ブォン!!!

 

 

「ぐわっ!」

 

奴が槍を横薙ぎにすると、恐ろしい衝撃が俺を襲った。俺は咄嗟に両腕を交差してガードしたが、大きく後方に吹き飛ばされた。

 

くそっ! あの技量に加え、あの槍。確実に特殊な力が備えた類の代物だ!

 

飛ばされた後、すぐさま起き上がったが…。

 

「さよならだ」

 

奴は俺のすぐ眼前に居た。

 

槍を構えて…。

 

体勢も悪く、反応も遅れている為、避けられない。

 

そして槍の切っ先は、俺の胸に吸い込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ズシュッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

??side

 

静まり返った公園…。所々破壊の跡が見られる。先ほどまで鳴っていた闘争が嘘のように今は静まり返っている。

 

「終わったようだな」

 

先ほど戦っていた仮面の人物の元に新たな男が歩み寄った。

 

「ああ…、終わったよ…」

 

「ならばすぐにここを離れよう、長居は…なっ!?」

 

男は目を見開いて驚愕した。仮面の人物の胸に大きな傷、決して浅くはない傷を負っていた。

 

「御剣昴…。彼はやはり俺の睨んだとおりの男だったよ」

 

「お前ほどの者が…、いったい何があった?」

 

「ふふっ、最後の一撃の時、これで決められる確信があった。一瞬出来た隙を見逃さなかったからな。だが、彼は最後、驚愕の行動に出た」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「さよならだ」

 

構えた槍が御剣昴の胸に吸い込まれる。御剣昴は対応が遅れ、避けられない。仮面の人物は直撃を確信する。

 

「…お前も来い」

 

突如、御剣昴の右手が光りだす。

 

槍が御剣昴の胸に刺さるのと同時に…。

 

 

 

――ドォォォン!!!

 

 

 

光った右手が仮面の人物の胸に直撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「普通、攻撃が来たら無意識に避けようとするか、もしくは防ごうとするか…。両者が不可能の場合、その者はただ成すがまま攻撃を受けるだけ。だが、彼は回避も防御も不可能だと判断するな否や、直撃の瞬間に相討ちを狙った。並みの者ならこんな判断は下せまい」

 

「…」

 

男は説明を聞き、大きく息を飲んだ。

 

「何故危険を冒してまで彼に接触を試みるのか、以前にそう聞いたな?」

 

「ああ」

 

「それは、彼が俺達と同じ――だからだ」

 

「!? だが、御剣昴という名など聞いた事がないぞ!?」

 

「ああ、ない。少なくとも神話、歴史、伝承、何れにもその名はない。…だが、お前も感じただろう? 彼から俺達と同じものを…」

 

「…ああ」

 

「今となっては分からない、この先の未来にそうなるのか、もしくは、異世界の…、まあ、答えは出ないか…。まあどちらにしろ、彼を放置する訳にはいかなかった。放置すればいずれ俺達の最大の障害になっていたかもしれない。仲間に引き入れるか、でなければ始末するか……ゴフッ!」

 

仮面の隙間から血が溢れた。

 

「おい! しかし、御剣昴はどうしたのだ? 姿が見えないが…」

 

男は辺りを見渡す、この場には仮面の人物と男の2人しかいない。あるのは破壊の跡と、仮面の人物以外のおびただしい量の血液…。

 

「止めは刺せなかった。相討ちの後に姿を消した。まだこの空間の何処かにいるだろう」

 

「ならば探し出して始末するか?」

 

「…いやいい。あの傷ではもはや助からないだろうし、なにより時間を掛けすぎた。そろそろ気付かれる頃合いだ」

 

「…リアス・グレモリーか」

 

「今の彼女とその眷属なら葬るのは容易い、だが、それをすれば奴が必ず動くだろう。それは避けたい。今はまだ目立つ行動は避けるべきだ」

 

「それには同意だ。では戻るとしよう」

 

仮面の人物と男はその場から消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

昴side

 

「ハァ…ハァ…行ったか…」

 

奴から100m程離れた大木の裏で俺は気配を殺して潜んでいた。最後の激突後、相手を弾き飛ばした隙を付いて身を隠した。

 

「見逃された…? いや、大事があって撤退したのか…」

 

奴の気配が消えた。それと同時にこの辺一帯の妙な感覚も無くなった。

 

「ぐっ! ガハッ! ゴホッ! …!」

 

俺は大きく咳き込み、吐血した。

 

「くそ…」

 

俺は貫かれた胸を手で押さえながら立ち上がり、ゆっくり歩きだした。

 

「ハァ…ハァ…、あんなにも…、強い奴が居るんだな…」

 

仮面の奴の実力は完全に俺を上回っていた。しかも、実戦から長く離れすぎていた為に勘が鈍っていた。せめて村雨が手元にあったら…。

 

「…いや、結果は変わらないか…」

 

俺は身体を引きずるようにゆっくりと歩を進めていく。

 

「ぐっ…」

 

身体に鞭を打って歩いていたがやがて限界が来てその場に倒れ込んだ。

 

「ハァ…ハァ…」

 

俺はゴロンと仰向けになり、胸を押さえていた手を顔の前に出した。手からは鮮血が滴り、俺の顔を濡らした。

 

「心臓を貫かれた…、それに…、この出血、もう…駄目だろうな…」

 

景色がボヤけ、俺の意識がどんどん薄れてきた。

 

「転生…して、1年で…、終わり…か…。短ぇー…な…」

 

本当に短い…。

 

「くやしい…なぁ…」

 

自分を殺した奴の顔はおろか、名前すら分からない。殺された理由も、奴の目的も、何も分からない。

 

「ハァ…ハァ…」

 

意識はどんどん薄れ、やがて翳していた手が地に落ちた。

 

「終わり…か…」

 

やがて、瞼が重く感じるようになり、そっと瞳を閉じた。

 

「く…そ…」

 

やがて俺の意識が遠のき、そして暗い闇に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

リアス・グレモリーside

 

私はリアス・グレモリー。

 

駒王学園の3年生で、公爵の爵位を持つ上級悪魔。

 

つい先ほど、妙な結界を張られた気配を探知し、結界が張られたと思われる街外れの公園へと急いだ。私が公園へと着くと、結界はすでに無く、結界を張ったと思われる者も既に居なかった。さらに公園内を探索していると…。

 

「!? これは…」

 

公園の噴水のある広場でそれを見つけた。

 

「御剣…昴…」

 

そこには胸を何かで貫かれ、大量の出血をした御剣昴が倒れていた。

 

 

――御剣昴…。

 

 

駒王学園の2年生で、学年主席。学園内でも有名な存在だわ。私も度々目撃した事はある。

 

彼は私にとっても気になる存在。駒王学園の生徒が私を見る目は羨望、憧憬、時に嫉妬……。けど彼は違う。彼が私を見る目は…。

 

 

 

――何かを警戒し、何かを探るような目だった。

 

 

 

彼だけは私にそういった目を向ける。

 

彼は人間。堕天使でもなければ天使でもない。勿論悪魔でもない。始めは悪魔払い(エクソシスト)かと思ったけど、彼からは教会特有の嫌悪感を感じない。

 

「いったい何故彼が・・」

 

さっきの結界、彼が関係しているの? この街に堕天使が入り込んでいるのは知っていた。けど今日、その堕天使は誰も動いていない。では誰が…。

 

私は彼に目を向けた。

 

この傷、この出血量ではもう助からない。もうまもなく彼の命は尽きる。

 

…けど何故かしら。私の直感が彼をこのまま死なせてはいけないと言っている。理由は分からない。けれどそう告げている。

 

「……良いわ。ここは私の直感に従いましょう」

 

朱乃やソーナはきっと疑問に感じるでしょうけど、私は私の直感を信じるわ。

 

私はポケットからチェスの駒を取り出し、彼の胸に置いた。

 

「あなたの命、私が拾ってあげる。私の為に生きなさい―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

御剣昴、リアス・グレモリーの運命の歯車が今、交差した。

 

 

 

 

 

 

新たな物語が、今、始まった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





ここで、オリ主のプロフィールを紹介します。

姓 御剣

名 昴

身長 176㎝

体重  67㎏

年齢  17歳(作品開始時の設定年齢)


黒髪の長髪で、普段は後ろで1本に纏めている。

容姿は人目を惹きつける程端麗であり、女装をすればもはや、女性にしか見えないほどである。


戦闘スタイル

氣を巧みに操ることができ、それを飛ばして飛び道具にしたり、身体に展開して身体強化あるいは硬化したり出来る。

北辰流という武術を体得しており、これは、抜刀術であったり、はたまた、二刀流であったり、はたまた、無手であったり、あらゆる、状況、武器を駆使して戦う言わば戦闘術。

そのため、昴は武器と銘打つものならば、何でも達人級に使いこなせる。


この話で出てきた技の説明。


烈蹴斬…。

足に斬撃特性の氣を集め、それを蹴りと同時に飛ばし、相手を真っ二つにする技。

氣は、遠くに行けば行くほど霧散する(設定)ので、より遠くに飛ばすには、多くの氣を集め、練りこまなければならない。つまり、遠くに飛ばすには、溜めが必要。


本来なら、1話を使ってプロフィール説明したかったのですが、文字数不足で投稿出来なかったので、更新が進み、紹介が増えた後に改めて投稿致します。

これからも、この二次独自の用語が出てきたら後書きにて記載し、後日、紹介ページを投稿させていただきます。

感想、アドバイスお待ちしています。

それではまた!
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