ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.30~現れる災悪、聖書に記されし堕天使~

 

 

 

「昴、どういうことか説明してもらうわよ」

 

目の前には険しい表情の部長とソーナ会長が。困惑する俺と小猫ちゃん。怯える匙。

 

もう言い逃れできる状況ではなかったため、包み隠さず説明した。

 

「エクスカリバーの破壊って、あなた達ね…」

 

額に手を当てながら唸る部長。その表情からはご機嫌ナナメなことが窺える。

 

「それで、裕斗はそのバルパーを追っていったのね?」

 

「ええまあ、そんな感じです。一応、あのフリードに発信器を付けておきました」

 

さっきの斬撃をかわす際にポケットに忍ばせておいたものだ。

 

「そう……それで裕斗は今何処に?」

 

俺は頭を掻きながら説明した。

 

「実は、その肝心な発信器を探知するための物が手元になく、自宅に…」

 

「…それでは意味がないじゃないの」

 

部長は溜め息を吐きながら呆れたように言った。

 

「小猫」

 

部長が小猫ちゃんに視線を移した。

 

「裕斗先輩がいなくなるのが嫌だったから…」

 

小猫ちゃんは自分の気持ちを正直に部長に伝えた。

 

「…過ぎたことだから今更あれこれ言わないけれど、ただ、あなた達がやったことは、悪魔の世界に影響を与えるかもしれなかったのよ?」

 

「はい」

 

「重々承知してます」

 

俺と小猫ちゃんは部長に頭を下げて謝罪した。

 

「本当に、心配かけて…。家に戻って裕斗を見つけたら皆で迎えに行きましょう」

 

部長が優しくそう言った。

 

この言葉から部長の優しさが伝わるな。まったく、俺は部長に迷惑かけてばかりだな。

 

俺は部長の優しさを心に噛みしめた。ふと、匙の方に視線を移すと…。

 

「サジ、あなたには反省が必要なようですね」

 

「ちちち違うんですよ! これには、これにはわけがぁぁぁっ!」

 

匙は助けを求めるように俺に視線を向けた。つられてソーナ会長も俺に視線を向けた。

 

「…いや、俺はいいって言ったんですけど、なんか匙君が手伝ってくれるって言うんで」

 

「てめぇぇぇぇっ!!! 裏切ったなぁぁぁっ!!!」

 

俺は遠くを見つめながら言った。

 

「まったく、あなたという人はそこになおりなさい!」

 

 

――ベシッ! ベシッ!

 

 

ソーナ会長がそう言うと、匙を組み倒し、お尻を叩かれた。

 

「うわぁぁぁぁん! ごめんなさいごめんなさい! 会長、許してくださぁぁぁい!」

 

匙は絶叫した。無情にも手を振り下す会長。その手には魔力が込められている。俺はだんだん匙がかわいそうになってきた。

 

「匙」

 

俺は匙の近くまで歩み寄り、真顔で匙の瞳を見つめた。

 

「な、なんだよ?」

 

俺の目を見返す匙。

 

「ごめんりんこ♪」

 

 

――テヘぺロ☆

 

 

「くっそぉぉぉぉぉっ!!! 貴様だけは貴様だけは貴様だけはぁぁぁぁぁっ――『お黙りなさい、匙』――あう!」

 

怨嗟が込められた絶叫もソーナ会長の手で黙らされる匙。

 

「…鬼」

 

小猫ちゃんの冷ややかな一言がその場に響いた。

 

さて、一旦家に戻るか…。

 

と、歩きだそうとすると…。

 

「その前に昴、こっちにいらっしゃい♪」

 

満面な笑みを携えながら右手にバチバチと紅いオーラを集める部長。

 

「…」

 

…俺も木場達の後を追えばよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

その後、俺と部長は家へと帰宅した。その頃には日も暮れ、すっかり夜になっていた。

 

「ただいま」

 

「今帰ったわ」

 

俺と部長は靴を脱いで家にあがった。

 

「お、おかえりなさい…」

 

そんな俺達をアーシアはキッチンから顔だけ出して出迎えてくれた……のだが。

 

「?」

 

何処か様子がおかしい。心なしか顔も赤い。俺と部長が不思議そうな顔をしていると、アーシアは何か覚悟を決めると、そっと俺達の前に姿を現した。

 

「「…」」

 

俺と部長は度胆を抜かれた。アーシアはエプロンを纏っていた、纏っているのだが、肌の露出が少し……いやかなり多い、これはあの伝説の…。

 

「OH、裸A☆P☆R☆O☆N」

 

「っ~//」

 

俺が反応すると、アーシアはエプロンの裾をキュッと掴み、顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

「ク、クラスのお友達に聞いたんです…日本のキッチンに立つときには、は、裸にエプロンだって…ううう~、ど、どうですか? に、似合ってますか?」

 

「……似合ってる、似合ってはいるが…」

 

誰がうちのアーシアちゃんにこんなことを……ああ、あのメガネっ娘の桐生だな。

 

桐生というのは同じクラスの女の子で、アーシアに気さくに話しかけ、いろいろと世話してくれている女の子なのだが、時折アーシアにこういうことを吹き込んだりするのが玉に瑕だ。アーシアのこういう行動の大半の原因はあの子にある。

 

 

――嗚呼……またアーシアちゃんが世俗に染まっていく。

 

 

今度注意しよう。

 

「あのな、アーシア、裸エプロンでキッチンに立つのは一般的ではないからな?」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「それはいわゆる、新妻が夫にエッチく悦ばせる為の行為だ」

 

俺がそう説明すると、アーシアは目を見開いて驚愕した。

 

「そ、そうなんですかぁぁぁっ!?」

 

「そうなんです。アーシアちゃんこのままじゃサキュバスになっちゃいますよ?」

 

「っ~//」

 

アーシアは顔をさらに真っ赤にして駆け出し、自室へと飛び込んでしまった。

 

「……若さ故の過ちか」

 

アーシアには健全に育ってもらいたいものだな……ん? そういえば、部長の姿が見えないな、さっきまで隣にいたのに…。

 

俺が辺りをキョロキョロしていると…。

 

「昴! 私も着てきたわよ!」

 

「部長ぉぉぉーーーーっ!!!」

 

振り向いたそこにはアーシアと同じく裸エプロン……しかもアーシアよりきわどいエプロン一枚を纏った部長のお姿が!

 

「さあ! 夕食の準備を始めるわよ!」

 

嬉々として宣言する部長。

 

 

――部長…刺激が強すぎますよ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

夕食後、フリードに取り付けた発信器をチェックしてみたが、反応を示さなかった。部長曰く、何処か結界内にいるため、発信器の電波が遮断されているのだという。

 

結局、部長が探索のために放っていた使い魔の結果待ちということになった。

 

木場の無事を祈りつつ俺と部長とアーシアは同じベッドで眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

リアスside

 

「っ!?」

 

深夜、私はとてつもないプレッシャーを感じ、目を覚ました。横に眠っていたアーシアも同様に目を覚ました。

 

窓辺に視線を移すと、そこには昴がカーテンの横に立っていた。

 

「昴!」

 

私が昴の名を呼ぶと、昴はそっと窓の外を指差した。そこには以前アーシアを救出する際にいたはぐれエクソシストが下卑た笑顔を浮かべて立っていた。

 

裕斗や教会の者達は彼を追っていったはず。なら裕斗や教会の者達はどうなったの? まさか……いや、まだそう決めつけるのは早いわ。

 

さっきのプレッシャー……あの神父からではない。この感じ…。

 

「…堕天使か」

 

私達は駒王学園の制服に着替え、外へと飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「やあやあ! 深夜に失礼しますよ。もしかしてセッ○ス真っ最中でしたか? それは大変失礼致しやした」

 

ゲラゲラと笑い声をあげるフリードとかいう神父。

 

…相変わらず下品な男ね。

 

今は彼のことはどうでもいいわ。先ほどのプレッシャーの発していた者は何処に…。

 

ふと昴を見る。昴はフリードではなく、空を見つめている。

 

 

――何を見ているの? 月? ……違う。

 

昴の視線の先には月がある。けれど、昴が見ているのは月ではない。月をバックに空に浮かんでいる、黒いローブに身を包み、漆黒の……10枚の翼に生やした男の堕天使。

 

…そう…奴がじきじきに来たのね。

 

その男は私を捉えると、苦笑を浮かべた。

 

「はじめましてかな、グレモリー家の娘。紅髪が麗しいものだ。忌々しい兄君を思い出して反吐が出そうだよ」

 

最初に口に出した言葉がそんな挑戦的な物言い。その言葉からは憎悪すらも感じる。

 

ならば、こちらもそれ相応の対応をしましょうか。

 

「ごきげんよう、堕ちた天使の幹部、コカビエル。それと私の名前はリアス・グレモリーよ。お見知りおきを。この場で政治的なやり取りに私との接触を求めるなら無駄よ」

 

よりにもよってコカビエル自らやってくるなんて、裕斗のことで何か言いに来たのかしら?

 

「こいつは土産だ」

 

コカビエルが先程から腕に抱えていた何かをこちらに投げつけた。

 

あれは……人間?

 

 

――ドサッ!

 

 

昴が咄嗟にその人間を受け止めた。あれは…。

 

「紫藤イリナ…」

 

彼女は私のところに交渉にきた者の1人。

 

「俺達の根城まで来たのでな、それなりに歓迎をした。まあ、2匹逃がしたがな」

 

コカビエルは嘲笑を浮かべながら言い放つ。

 

あの口ぶりだと、とりあえず裕斗は無事のようね。

 

昴が彼女をアーシアのところにまで運び、治療を施している。

 

あの分なら助かりそうね。治療が済んだらソーナのところへ転送しておきましょう。

 

「魔王と交渉などというバカげたことはしない。もっとも、貴様をいたぶってサーゼクスが出てくれば願ったり叶ったりだがな」

 

「…それで、私との接触の目的は何かしら?」

 

「お前の根城である駒王学園を中心にしてこの街で暴れさせてもらうぞ。そうすればサーゼクスも出てくるだろう?」

 

「っ!?」

 

 

――なん……ですって…!

 

 

「そんなことをすれば、堕天使と神、悪魔との戦争が再び勃発するわよ?」

 

「それこそ本望だ。エクスカリバーを盗めばミカエルが戦争をしかけてくると思ったのだが、寄越したのは雑魚のエクソシストと聖剣使い2名だ。つまらん話だ。だから、サーゼクスの妹の根城で暴れるんだよ。楽しめるだろう?」

 

戦争をわざわざ引き起こそうとするなんて正気な沙汰ではないわ。

 

私がコカビエルに怒りと侮蔑を込めながら睨み付けた。そうしていると、昴が口を開いた。

 

「あんた。戦争をしたいみたいだが、何のために戦争がしたいんだ? 悪魔と天使を滅ぼして堕天使だけの世界でも創りたいのか?」

 

昴がそんな質問をぶつけていた。その表情からは感情は窺えない。

 

「貴様は赤龍帝か。そのブーステッド・ギアはアザゼル辺りが欲しがりそうだな。理由か? 簡単な話だ、退屈だからさ。三つ巴の戦争が終わってから退屈で退屈で仕方なかった! アザゼルもシェムハザも次の戦争に消極的だ、それどころか神器を集め、わけのわからない研究に没頭しだす始末だ、つまらん! あまりにもつまらん! だから戦争を起こすのだ、単純だろう?」

 

…っ!? そんなくだらない理由で・・・。

 

「戦争狂め…」

 

私はそんな苦々しい言葉を呟いていた。

 

「くくくっ、アハハハハッ!」

 

突如、昴が顔を押さえて笑い出した。

 

「シンプルだ、ホントにシンプルだよ! 聖書に記される程の堕天使がどんな理由で戦争をしたいのかと思えば、ただの退屈しのぎか! くくく、ホントくだらねぇ」

 

昴は大きな高笑いをあげている。私はそんな昴に少々ムッとした。

 

「昴! これは笑いごとではないのよ! これは悪魔と堕天使の――っ!?」

 

 

――ドクン!!!

 

 

「…ホントくだらなすぎて、お前を八つ裂きにしたくなってきたよ」

 

その瞬間、私は心臓を鷲掴みされたかのような錯覚に陥った。昴が押さえていた手を下すと、その表情は憤怒と憎悪で歪んでいた。

 

「つまらない? 退屈? ふざけるな! そんなくだらない理由で戦争を起こそうと言うのか! 戦争が起こればどれだけの犠牲が出ると思ってるんだ!」

 

昴が呪い殺すかのような形相でコカビエルに言い放つ。

 

 

――怖い…。

 

 

その表情はいつもの昴じゃない。ライザーとの戦いの時でもこんな表情はしなかった。今昴が発している憎悪は聖剣に対しての裕斗以上。

 

…何を昴がここまで激昂させたの? 戦争って言葉? わからない話ではないけど、昴がここまで憎悪を発するとは…。

 

「ひゃはは! あれあれ~どうしました~? もしかしてヒスっちゃいました? ダメだねぇ~せっかくのイケメンが台無し――」

 

 

――ドォン!!!

 

 

口を開くフリードの足元に昴が弾を飛ばした。

 

「てめぇは口を挟むな。耳障りだ。次は殺すぞ」

 

「…ちっ!」

 

フリードは昴の殺気に押されたのか、舌打ちだけして言葉を止めた。

 

「ほう? 舞い戻った赤龍帝はなかなかの殺気を放つではないか。これは思ったより楽しめそうだ」

 

コカビエルはそんな昴の殺気を物ともせず、ただただ嘲笑を浮かべた。

 

「今こちらには4本のエクスカリバーがある。そこの小僧が手に持っている4本のエクスカリバーがな」

 

フリードの方に視線を移すと、両手に1本ずつと、腰に2本も帯剣していた。

 

「右のが天閃の聖剣(エクスカリバー・ラビットリイ)、左のが夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)、腰のは透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)、でござい。ついでにその娘さんから擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)もゲットしちゃいました! ゆくゆくは破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)もゲットしたいところですなぁ、あれ? ひょっとして俺って今世界一のエクスカリバーの所持者じゃね? 俺って最強じゃん! ひゃはははははっ!」

 

フリードは聖剣を両手に高笑いをあげた。

 

「バルパーの聖剣研究、ここまでくれば本物か。俺の作戦に付いてきたときは正直怪しいところだったがな」

 

「エクスカリバーをどうする気なの!?」

 

私がそう問いかけたが、コカビエルは何も答えず、10枚の翼を羽ばたかせ、学園へと身体を向けた。

 

「ハハハッ! 戦争をしよう、魔王サーゼクス・ルシファーの妹リアス・グレモリーよ!」

 

その言葉と同時に周囲が眩い光に包まれる。フリードが閃光弾のようなものを投げたようだ。光が治まり視力が戻ると、そこにはコカビエルとフリードの姿はなかった。

 

奴等は学園に! 早く後を…。

 

「行きましょう、奴をしとめないと」

 

昴がそうボソリと言う。先程の険しい表情はしてない。けど、その表情からは何も読み取れない。言葉にするなら『無』、一寸の感情もない無表情。そしてその瞳は冷淡とも思えるほど冷たい。

 

 

――昴…あなたいったいどうしちゃったの?

 

 

堕天使との死戦…三大勢力の命運をかけた決戦が今、始まる……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

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