ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.34~切迫の激闘、白の来襲~

 

 

 

「青竜偃月刀」

 

俺は手元から龍を象った薙刀を発現させた。

 

「行くぞ、コカビエル!」

 

 

――ドォン!!!

 

 

俺は青竜偃月刀を脇構えに構えて正面から飛び込んだ。

 

 

――ブォン!!!

 

 

偃月刀の斬撃をコカビエルは身を引いてかわした。

 

「おぉぉぉぉっ!」

 

 

――ブン! ブォン! ビュン!

 

 

なおも追撃をかける。

 

「ふん。何かと思えば、その武器からはエクスカリバーのような特殊な力もオーラもない。所詮、得物が変わっただけだ!」

 

コカビエルが反撃に転じようと光の剣を構える。

 

「その程度の獲物など、粉砕してくれるわ!」

 

コカビエルが渾身の力を込めて青竜偃月刀に叩き込んだ。

 

 

――ガキィィィィン!!!

 

 

「なん……だと…」

 

コカビエルが茫然とする。

 

コカビエル程の者が創り出す光の剣ともなれば、その切れ味は伝説級の名剣に匹敵するのだろう。だが…。

 

「この武器は……英雄達の魂は、如何なる存在でも折ることは出来ない」

 

 

――ドカッ!!!

 

 

「ぐっ!」

 

俺は、光の剣を止めた後、すかさずコカビエルの腹に蹴りをぶち込む。

 

コカビエルとの距離が出来ると、俺は手元から青竜偃月刀を消した。

 

「七星餓狼」

 

新たに細身の剣を発現させ、再び距離を詰める。

 

 

――ブォン!!!

 

 

コカビエルの繰り出す斬撃を屈んでかわし、下から斜めに斬り上げた。

 

 

――シュッ…。

 

 

その一撃がコカビエルの脇腹を僅かに掠める。

 

「ぐっ! おのれっ!」

 

コカビエルが空へとその身を羽ばたかせた。七星餓狼を消し…。

 

「岩打武反魔」

 

モーニングスターを発現させ、空へ向かおうとするコカビエル目掛けて鉄球を振り下した。

 

「ちぃっ!」

 

 

――バチィィッ!!!

 

 

コカビエルが光の剣を楯替わりにその鉄球を防いだ。

 

「まだまだ! 電磁葉々!」

 

反対の手に円盤の巨大ヨーヨーを発現し、コカビエルに向けて飛ばした。

 

 

――ドカッ!!!

 

 

「がっ!」

 

コカビエルの腹部にヨーヨーが直撃し、吹き飛んだ。

 

俺は岩打武反魔と電磁葉々を消し、弓を発現させた。

 

「多幻双弓」

 

オーラで矢を創り、思いっきりその弦を引いた。

 

 

――ドビュン!!!

 

 

オーラの矢はコカビエル目掛けて放たれた。

 

「くっ!」

 

コカビエルは咄嗟に上空へと飛び、その矢をかわした。

 

 

――ドォォォォン!!!

 

 

矢は着弾と同時に大きな爆発が起こった。

 

俺はその爆発に紛れて同じく上空へと舞い、コカビエルの上を取った。手元の多幻双弓を消し、新たな弓を発現させた。

 

「餓狼爪」

 

今度はオーラで矢を10本創り、上からその10本の矢を放った。

 

「この程度で!」

 

 

――バチバチバチ…!!!

 

 

コカビエルは障壁を展開し、その矢を防いだ。

 

「調子に乗るな!」

 

コカビエルが矢を全て防いだ後、一気に俺に距離を詰めてきた。俺は餓狼爪を消し、2本の双剣を発現させた。

 

「二天」

 

 

――ギィン!!!

 

 

二天を十字にして光の剣を防ぐ。

 

 

――ギン! ギィン! ガキン! ギィン!

 

 

光の剣を弾き、コカビエルの懐に飛び込み、二天を振るう。絶え間ない斬撃にコカビエルも防戦一方になる。

 

英雄の器(ブレイブ・ハート)による得物を切り替えての攻撃で完全に主導権を握った。

 

同じ者が違う武器を振るっているだけなので一見大した違いはないと思われるが、それは違う。強者とはパワーやスピードが高い者のことを言うのではない。強者が強者足りえる所以はその洞察力と対応力にある。戦いの中で相手の間合い、呼吸を掴み、最小限の動きで攻撃を避け、自分のリズムとする。それは戦い慣れている者ほど顕著だ。

 

故に、武器が切り替わることによって、間合いが変わり、呼吸も変わる。それによって自分のリズムが狂わされる。狂ったリズムは容易に戻せない。

 

「ぐっ、くっ……おのれ…!」

 

 

――バサッ!!!

 

 

コカビエルは、態勢を整える為、空へとその身を逃がす。

 

「ちっ!」

 

俺はさせまいと飛びきる前に飛び込むが…。

 

 

――ギィン!!!

 

 

光の剣を払うように振り、俺を弾き飛ばす。

 

完全に空中まで上がり、距離を取ると、コカビエルは再び光の槍を周囲に無数展開させた。

 

「なかなか味な真似をする。だが、結局こうしてしまえば同じことだ」

 

コカビエルはさらに槍を増やし、上からニヤリと笑みを浮かべながら俺を見下ろす。

 

「……っ!」

 

いくら英雄の器(ブレイブ・ハート)で意表を付いても、この戦法を取られたらどうしようもない。

 

 

――どうする…。

 

 

コカビエルが槍を今のも放とうとしている。

 

 

――どうする……どうする! ………っ!?

 

『魔力はイメージ。頭に思い浮かんだものを具現化させるだけですよ』

 

その時、俺の頭の中にある言葉が浮かんだ。それは、ライザーとの決戦に向けての合宿の時の朱乃さんの言葉。

 

 

――イメージ……頭に浮かんだものを魔力で具現化できるなら。

 

 

 

――スッ…。

 

 

コカビエルが俺に向けて槍を放った。槍が俺にグングン向かってくる。

 

「一か八か、やってみるか…!」

 

 

――ドォン!!!

 

 

俺は跳躍し、その光の槍をかわした。案の定、コカビエルが光の剣を構えて俺に向かってきた。

 

「飛んで火に入る夏の虫とはこのことだな」

 

コカビエルが俺の至近距離まで接近する。自身の射程距離まで詰めると光の剣を振るった。

 

 

――今だ!!!

 

俺は頭に思い浮かべたイメージを具現化させた。

 

 

――ブォン!!!

 

 

コカビエルは一撃が空を切る。

 

「!?」

 

コカビエルが俺の姿を見失う。その表情が嘲笑から驚愕へと変わる。

 

「…一か八か、やってみるもんだな」

 

「っ!?」

 

コカビエルが背後からの声に反応し、振り返る。

 

「金剛爆斧」

 

その手に戦斧を発現させ、振り向いたコカビエルに振り下した。

 

 

――ズシュッ!!!

 

 

「ぐおぉぉっ!」

 

金剛爆斧は肩口に刺さり、脇腹まで斬り裂かれた。コカビエルはたまらず距離を取った。

 

「き、貴様…! 空中でそのスピードは出せないはずでは…」

 

コカビエルは傷口を押えながら聞いてくる。

 

「ああ。出せなかった。あれは縮地という特殊な歩法。地を蹴ることであのスピードが出せる」

 

「そのはずだ! 現に貴様があのスピードを出した時、地が弾けていた! 地を蹴れない空中でどうやって…!」

 

「蹴る物がないなら、創ってしまえばいい」

 

俺は魔力を具現化させ、足場を創り…。

 

 

――ドォン!!!

 

 

その足場で縮地を行い、コカビエルの背後を取った。

 

「!?」

 

コカビエルはすぐさま、背後に周った俺に振り返った。

 

「さて、これでこちらの不利はなくなった。…覚悟しろ……銀閃」

 

俺は金剛爆斧を消し、十字槍を発現させた。

 

 

――ドォン!!!

 

 

再び先ほどの容量で魔力で足場を創り、縮地を行いコカビエルとの距離を詰め、銀閃を突いた。

 

 

――ズシュッ…。

 

 

銀閃はコカビエルの頬を僅かに裂いた。

 

「おぉぉぉぉっ!」

 

俺はさらに連続して突きを乱発する。

 

 

――ブォン! ビュン! ビュン! ブォン!

 

「ぐっ……くっ…!」

 

コカビエルも俺の突きをなんとかさばいていく。だが、胸の傷が障ってか、動きは先ほどよりわずかに鈍い。

 

 

――ガキン!!!

 

 

コカビエルが俺の十字槍を弾きあげる。

 

「俺を舐めるな、赤龍帝ぇぇぃっ!!!」

 

 

――ギィィィン!!!

 

 

「ちぃっ!」

 

コカビエルの渾身の斬撃を振るう。

 

俺は何とか銀閃の柄で斬撃を防いだが、その力に後方に弾かれた。俺は両足に魔力を集め、足場を形成し、その勢いを殺した。

 

…ま、あれでも聖書に記された堕天使だ、簡単には終わらさせてはくれないか…。

 

「ぐぅぅ! 俺はこの世界に戦争を起こし、この力をサーゼクスやミカエルに見せつけ、我ら堕天使こそが最強だと示すのだ! 貴様ごときに邪魔されてなるものか!」

 

 

――ビュン!!!

 

 

コカビエルが再び光の槍を周囲に展開し、俺に向けて放った。

 

「戦争ごっこならてめえ1人でやってろ!」

 

 

――ドォン!!!

 

 

俺も空中縮地でその槍をやり過ごす。

 

「その程度で!」

 

 

――ガキィィン!!!

 

 

俺が移動した先にコカビエルが現れ、俺に斬撃を振るう。

 

「たかがその程度でどうにかなる俺ではないわ!」

 

 

――ギィン!!!

 

 

…くそ! 今さっき思いついたばかりだからまだうまく発動できない。乱発はもう少し練習しないと…。

 

「はぁ!」

 

「ぐっ!」

 

コカビエルが俺に手のひらを翳すと、俺の動きが止められる。

 

…くっ……そ…! さっきゼノヴィアにやった技か!

 

コカビエルがもう一方の手で光の剣を構えている。

 

 

――ちっくしょう、うご……け、う……ごけぇぇぇぇっ!!!

 

コカビエルが剣を振るう。

 

「うおぉぉぉぉぉっ!」

 

俺は無理やり身を捩じらせる。

 

 

――ズシュッ!!!

 

 

「があっ!」

 

光の剣が俺の胸を僅かに掠める。俺の胸から鮮血が跳ぶ。

 

ここで身体の自由が戻った。

 

 

――ドカッ!!!

 

 

俺はコカビエルを蹴り飛ばし、距離を取った。

 

「…ちっ」

 

胸から血が滴る。この傷はさらに焼けるような激痛まで走っている。光の影響だろう。

 

「…」

 

だが、気にしている暇はない。向こうにだってそれほどの余力もないはず。なら……ここで一気に勝負をかける!

 

「南海覇王」

 

俺は銀閃を消し、直剣である南海覇王を発現させ…。

 

 

――ドォン!!!

 

 

俺は空中縮地でコカビエルとの距離を詰める。そして眼前でもう一度空中縮地を行い、後方に回り込む。

 

 

――バサッ!!!

 

 

それを読んでいたコカビエルが黒い翼で迎撃してきた。

 

10枚の翼……目視での回避も先読みも難しい………なら!

 

俺は両の瞳を閉じた。

 

考えるな。ただ感じるそのままに…。

 

 

――ブン! ビュン! ブォン! ヒュン! ビュン! …!

 

 

俺は無作為に身体を動かし、その黒い翼を全てかわした。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

そのままコカビエルの脇腹を斬り裂いた。

 

「ぐおぉぉっ!」

 

コカビエルの表情が苦悶に染まる。

 

南海覇王を持てば何となくやれる気がしたが、できた。読みも反射神経も捨て、勘だけも頼りに翼の斬撃をかわす。だがまあ、2度もうまくはいかないだろうがな。

 

…最後だ。この機は逃さん!

 

 

――ドォン!!!

 

 

俺は再び空中縮地で高速移動を行った。

 

 

――ザシュッ! ブシュッ! ズシュッ!

 

 

空中縮地3連続で胸、背中、再び胸を最後に斬り上げ、コカビエルの上を取った。

 

俺は南海覇王を消し、真紅の二又の槍、龍牙を発現させ、空に足を向けた。

 

「落下式、龍牙……旋迅突!」

 

縮地で落下し、槍を抉り込みながらコカビエルに槍を突き刺した。

 

 

――ドォォォォォォォォォォォン!!!

 

 

俺は自分の身体ごとコカビエルと共に大きな爆音をあげながら地面に落下した。

 

俺は地面に激突したのを確認すると、俺は距離を取った。

 

「くっ…」

 

俺はダメージと体力の消耗でたまらず膝を着いた。

 

 

――これで……どうだ…。

 

 

落下した際の煙が晴れると、ヨロヨロと立ち上げるコカビエルの姿があった。

 

「ちっ、まだ立てんのかよ…」

 

俺は思わず悪態を吐く。

 

「ぐぐぐっ! …この、下級悪魔風情がぁぁぁぁぁっ!」

 

コカビエルが呪い殺すような形相でこちらを睨み付ける。身体の至るところが傷だらけで、至るところから鮮血が噴き出している。

 

「その下級悪魔風情に地に叩き伏せられてんのは何処のどいつだよ」

 

俺は無理やり余裕の表情を浮かべながら足に力を込め、立ち上がる。

 

ブーステッド・ギアとブレイブ・ハートの併用で体力は限界ギリギリだ。正直、神器を展開させているだけでやっとだ。

 

…ま、泣き言言っても仕方ない。体力無くなったら気力。気力が無くなったら生命力を力に変えてでもあいつを討つ!

 

俺は震える身体に活を入れ、龍牙を構える。

 

「…」

 

「…」

 

両者が睨み合う。俺が両足のスタンスを広げ、足に力を貯める。

 

「行くぞ!」

 

俺がコカビエルに飛び込む……と思ったその時…。

 

 

 

――ドックン!!!

 

 

 

「っ!?」

 

突如、俺の心臓が高鳴った。

 

 

――何だ……、何かが……来る…。ものすごい力を持った何かが…。コカビエル以上の力を持った何かが…。

 

 

『……来たか』

 

ドライグが唸る。

 

…来た? ……何が――。

 

 

――カッ!!!

 

 

その瞬間、一直線に白い閃光が、闇を斬り裂き、空からものすごいスピードで何かが舞い降りた。地面スレスレで止まったそれは、白い全身鎧(プレートアーマー)で身を包んだ者がいた。鎧の至るところに宝玉が埋め込まれ、顔の全ても覆っているため、顔は窺いしれない。背中には8枚の神々しい光の翼が露わになっている。

 

あの鎧、色こそ違うが、ブーステッド・ギア・スケイル・メイルに似ている。

 

「…白い龍(バニシング・ドラゴン)」

 

コカビエルがポツリと呟く。

 

「……そうか、あれが、そうなんだな」

 

さっきから俺の胸と左腕が燃えるように熱い。怒りとも憎しみとも違う。何かが熱く燃えている。

 

 

――あれが、白龍皇か。

 

 

「神滅具(ロンギヌス)の1つ、白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)。それも禁手状態である白龍皇の鎧(ディバイン・ディバイディング・スケイルメイル)か。忌々しい限りだ。…理由は詮索しないが、邪魔立ては――」

 

 

――ブシュッ!!!

 

 

言葉の途中でコカビエルの黒い翼が宙に舞った。その直後に鮮血も舞った。

 

「薄汚いな。アザゼルとは大違いだ」

 

 

――速い…。一瞬でコカビエルに飛び込み、翼を斬り裂いた。

 

 

俺の背筋に冷たいものが滴った。

 

「き、貴様! 俺の羽をっ!」

 

激昂するコカビエル。白龍皇はただ笑いを零すだけ。それを見てさらに激昂したコカビエルが周囲に展開させたが…。

 

「我が名はアルビオン」

 

『Divide!(ディバイト)』

 

その音声と共に、コカビエルのオーラが一気に減少した。

 

 

――あれが、白龍皇の能力か。俺の赤龍帝が力を倍化させ、何かに譲渡する。白龍皇が相手の力を奪い、自身の力に変える……だっけか。

 

 

時間と共にコカビエルの力がどんどん半減させられていく。コカビエルも攻撃を加えていくが、白龍皇の驚異的なスピードを捉えきれないでいる。そして、相当の力を奪われた後、ただの一撃で叩き伏せられた。

 

 

――強い…。

 

 

コカビエルが弱く見える程に…。コカビエルはもちろん弱くない。現に俺はさっきまでギリギリの戦いをしていた。

 

「あんたは少しばかり勝手が過ぎた。アザゼルの命令だ。無理やりにでも連れて帰らせてもらう」

 

最後に顔面に拳を突き立てると、コカビエルは動かなくなった。白龍皇は動かなくなったコカビエルを肩に担ぎ、フリードを腕に抱えると、俺の方へその視線を向けた。

 

『久しいな、白いの』

 

ドライグが白龍皇に話かける。厳密には白龍皇に宿る白い龍に話かけたのだろう。すると、白龍皇の籠手の宝玉が光り出す。

 

『舞い戻ったか、赤いの』

 

『そうらしいな。しかし、長らく合わない内に随分と様変わりしたな。以前のように敵意が伝わってこないぞ?』

 

『そちらも敵意が段違いに低いじゃないか』

 

『お互い、戦い以外に興味の対象があるということか』

 

『そういうことだ。たまには悪くはないだろう? また会おう、ドライグ』

 

『同感だな。じゃあな、アルビオン』

 

その言葉を最後に白い龍、アルビオンの声は聞こえなくなった。

 

「舞い戻った俺の宿敵、赤龍帝よ。お前には期待している。もっと強くなってくれよ」

 

白龍皇はそれだけ俺に告げ、白き閃光となって去っていった。

 

「…」

 

戦いは終わった。突如乱入した白龍皇の手によって…。

 

『Burst(バースト)』

 

戦いが終わったことで緊張の糸が切れたのか、俺が支えていたものがなくなった。俺はブーステッド・ギアのその音声と共に身体から力が抜け、崩れ落ちるように倒れた。

 

「昴君!」

 

俺が地面に倒れる直前に木場が俺を抱きとめてくれた。

 

「……よう、木場。お前の想いと力がエクスカリバーに打ち勝った。よくやったな」

 

「昴君…」

 

「これからも一緒に部長を守ろう。お前はグレモリーの騎士『ナイト』で、仲間なんだからな」

 

俺はニコリと笑みを浮かべた。

 

「…うん、昴君」

 

木場も同様に笑顔を浮かべた。

 

「裕斗」

 

部長が木場のもとにやってきた。その表情は晴れやかだった。

 

「おかえりなさい、裕斗。よく帰ってきてくれたわ」

 

「部長…、あなたを裏切ってしまって申し訳ありませんでした。なんとお詫びしていいか…」

 

木場が目を伏せて謝罪する。部長は首を横に振る。

 

「いいのよ。あなたは帰ってきてくれた。それだけで充分よ」

 

部長は笑顔で木場を許した。

 

「部長。僕は改めてここに誓います。僕はリアス・グレモリーの騎士『ナイト』として、終生、あなたと仲間達をお守りします」

 

「ふふっ、ありがとう、裕斗」

 

部長は木場の肩に背負われてる俺に視線を移した。

 

「昴も、よくやったわ。最後は白龍皇の手で治められたけど、あなたはあのコカビエルを相手に対等に渡り合っていたわ」

 

「俺は兵士『ポーン』ですが、部長や皆を守るナイトでもあります。このくらいは当然ですよ」

 

「そうだったわね。……ところで、それ……神器なの?」

 

部長が俺がその手に持つ龍牙を指差した。

 

「これは……俺の大切な者達の魂です。それが、神器となって俺に力をくれたんです。後で詳しく皆を交えて説明しますよ」

 

「そう。わかったわ」

 

部長は頷いた。

 

こうして、とても長い夜が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

コカビエルの襲撃から数日が経ったある日、放課後になり、アーシアと共に部室に行くと思わぬ人物がそこにいた。

 

「やあ、赤龍帝」

 

「……ゼノヴィア? どうしてお前がここに――」

 

 

――バサッ!

 

 

ゼノヴィアの背中から黒い翼が生えた。

 

「神がいないと知ったんでね、破れかぶれで悪魔に転生した。デュランダルがすごいだけで私はそこまでではなかったようだから騎士『ナイト』の駒1つで済んだみたいだ。で、この学園にも編入させてもらった、君と同学年でオカルト研究部所属だそうだ。よろしくね、スバル君♪」

 

…何とも無理のある、似合わない挨拶をしてきた。

 

「……良いんですか、部長? 貴重な駒を…」

 

「デュランダル使いが眷属にいるのは頼もしいわ、これで裕斗と共に剣士の二翼が誕生ね」

 

部長は心底楽しそうだ。まあ、聖剣使いが眷属なのは頼もしいが…。

 

「…アーシアはいいのか? こいつはアーシアを斬るとかぬかしたんだぞ?」

 

俺がそう言うと、ゼノヴィアはアーシアに視線を向けた。

 

「アーシア・アルジェント、君には謝らなければならない。主がいないのであれば、救いも愛もなかったわけだからね、すまなかった。君の気が済むまで殴ってくれても構わない」

 

ゼノヴィアは深く頭を下げた。

 

「私はそのようなことはしません。私は、今とても幸せなんです。悪魔になったことで、大切な人とも出会えました。だから、私は今の生活に満足しています」

 

アーシアは満面の微笑みでゼノヴィアを許した。

 

「…ありがとう」

 

ゼノヴィアは節目がちに礼を言った。

 

「…アーシアが許したなら、俺もとやかく言わない……が!」

 

俺は村雨を発現させ、ゼノヴィアに振るった。

 

 

――ガキィィィン! ドォォォォン!!!

 

 

ゼノヴィアは咄嗟にデュランダルを呼び出しそれを防いだが、壁に弾き飛ばされた。

 

「スバルさん!?」

 

アーシアは驚きの声をあげた。

 

「このくらいはさせてもらうぞ」

 

「ぐっ…くっ…! このくらいは当然か…」

 

俺は壁に吹き飛んだゼノヴィアのもとまで歩み寄り、手を差し出した。

 

「これでわだかまりはなしにしよう。これからよろしくな、ゼノヴィア」

 

「…ああ、よろしく頼む」

 

ゼノヴィアはニコリと笑って俺の手を掴み、立ち上がった。

 

 

――これでゼノヴィアに罪悪感はなくなるだろう。

 

 

その後、部長から説明がされた。今回の事件のことで、堕天使の総督アザゼルから天使側、悪魔側に真相が伝えられ、コカビエルのエクスカリバー強奪は、奴の独断で他の幹部は一切関わってもいなければ、知りもしなかったらしい。コカビエルは三すくみの均衡を崩し、戦争を画策した罪で地獄の最下層(コキュートス)にて永久冷凍の刑に処されたらしい。

 

教会側からは『堕天使側の動きが不透明で不誠実であるため、遺憾ではあるが連絡を取り合いたい』と魔王に打診してきたらしい。それと同時にバルパーを過去取り逃がしたことの謝罪もしてきたらしい。

 

近いうちに悪魔側や天使側、堕天使側の代表を集め、アザゼルが会談を開くらしい。何か話があるとのことで、その会談には目撃者ということで俺達も出席をするらしい。

 

とにかくこれにより、この街の脅威、ひいては世界の脅威は一旦去った。

 

俺達はこの日、久しぶりに眷属全員が集まり談笑したのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





技の紹介コーナー…。


――縮地…。


足に氣を集め、地面を蹴ることで、驚異的なスピードを得ることが出来る特殊な移動法。ただし、蹴るものがなければこれは使えない。


――空中縮地…。


魔力で足場を創り、弱点ある空中で縮地を行う為に編み出した縮地の発展版。熟練すればあらゆる方向に連続で出来ようになる。


――龍牙旋迅突…。


全身の力を持っている武器に集約し、全身バネと突進力を加えて相手に突進する技。イメージ的には、牙突零式に突進を加えたような技。ただ、発動モーションが大きいためかわされやすく、かつ、はずすと隙だらけになるため、使いどころが難しい技でもある。落下式は、空中縮地を利用し、落下しながら繰り出す龍牙旋迅突。


以上で、原作で言う、第3章は終了なのですが、第4章に入る前に1話挟みます。

感想、アドバイスお待ちしています。

それではまた!
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