ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.35~はぐれ悪魔再び、二翼の騎士~

 

 

 

コカビエルが襲撃して数日経ち、ゼノヴィアが部長の眷属になってさらに数日が経った。

 

授業を終え、表向きの部活動も終わり、悪魔の活動の時間となった時、部長が少々深刻な表情を浮かべて皆を集めた。

 

「はぐれ悪魔ですか?」

 

俺が部長に尋ねる。

 

「ええ。つい先ほど、私達の活動領域内にはぐれ悪魔が逃げ込んだという情報が入ってきたのよ」

 

「ということは、討伐ですか?」

 

「もちろん。…ただ、そのはぐれ悪魔がちょっと厄介なのよ」

 

「厄介……強敵なんですか?」

 

俺がそう聞いてみると、朱乃さんが質問に答えてくれた。

 

「名はベイズリー。Bランクのはぐれ悪魔で、元中級悪魔。力もそうですが、とても頭がよく、狡猾な手段を用いて巧みに逃げ回っていますわ」

 

なるほど。そういうタイプの奴か。

 

ちなみにバイサーはCランクだとか。

 

「前に討伐したはぐれ悪魔バイサーは下級悪魔だったからその力も大したことはなかったけれど、今回は中級悪魔。当然有する力は大きいわ」

 

「ま、今更驚きませんけどね。前に堕天使の幹部が来たことを考えるとね」

 

「それもそうね。でも、油断は禁物よ。ソーナの情報では、ベイズリーは公園近くの森に逃げ込んだらしいわ。皆、はぐれ悪魔ベイズリーを消し飛ばすわよ」

 

『はい!』

 

返事と共に部長と俺達眷属はその現場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

はぐれ悪魔ベイズリーの潜伏する森の向かう道中、部長からそのベイズリーのことを聞いてみた。

 

ベイズリーはもともとは優秀な悪魔だったらしく、地道に下積みを重ねて中級悪魔に昇格したんだとか。

 

ところが、中級悪魔に昇格した途端にその自身の力に溺れるようになり、ついには、理由もなく教会の者に手を出したり、主に気付かれないようにあくどいことをするようにもなった。

 

最後はその悪事を主に咎められ、その主の元から逃げ出し、はぐれになったと。

 

「着いたわね」

 

そうこう言う間に目的地である森に到着した。

 

「小猫とアーシアは入り口で待機しておいて。万が一、ベイズリーが逃げ出したらお願いね」

 

「了解」

 

「は、はい!」

 

小猫ちゃんとアーシアが返事をする。

 

「残りは私と一緒に森に入るわよ」

 

『はい!』

 

小猫ちゃんとアーシアを残し、俺達は森に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

森に入ると、時刻がすでに夜ということと、頭上を木々の木の葉が覆っていることあり、比較的夜目が利く悪魔の俺でも視界はあまりよくない。

 

全員が固唾をのみながら森を突き進んでいく。辺りは虫のさえずりだけが鳴り響いている。

 

警戒しながら森の中を進んでいくと…。

 

「うわあぁぁぁぁっ!」

 

森の中を静寂を斬り裂く悲鳴が轟いた。その場にいる全員が臨戦態勢を取る。

 

すると、森の奥からバタバタと地面を這いずりながら誰かがやってくる。

 

「た、助けてくれ!」

 

見たところ、三十代程の男が血相を変えてやってきた。

 

「どうした? 何かあったのか?」

 

「へ、変な奴が襲いかかってきたんだ! そ、それで、慌てて逃げて…」

 

その男はしどろもどろで事情を説明する。

 

「は、早く、あいつを倒してくれ!」

 

男は自分が逃げてきた方角を指差しながら言った。

 

「…わかったわ。このまま向こうにまっすぐ行けば森から出られるわ」

 

「あ、ああ。頼む!」

 

俺達はその男を後にし、男が指差した方向に足を進める。

 

その時。俺達の後ろに、白刃を振り上げる者がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

アーシアside

 

部長とスバルさん達が森に入って10分程が経ちました。私は小猫さんと一緒に森の外で待っています。

 

「…接触しました」

 

「えっ?」

 

「部長達が接触しました。多分、はぐれ悪魔です」

 

「…大丈夫でしょうか?」

 

「心配いりません」

 

小猫さんは即答する。

 

「そ、そうですよね!」

 

私は両手を組んでスバルさん達の無事を祈りながらその場で帰りを待ちました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

昴side

 

 

――ガキィン!!!

 

 

俺は村雨を発現させ、白刃を受け止める。

 

「なっ!?」

 

部長に白刃を振り下した者が驚愕する。そいつは先ほど俺達に助けを求めた奴だ。

 

「ごきげんよう。はぐれ悪魔ベイズリー」

 

部長が微笑を浮かべながら言った。

 

「ちっ!」

 

ベイズリーが舌打ちをしながら後方に飛んだ。

 

「…どうしてわかった?」

 

ベイズリーは気付かれるとは思わなかったのか、そんな質問を俺達に投げかける。

 

「わからないか? 俺達は見た目は制服を着たただの学生だぞ? そんな俺達に早く倒してくれと頼むのはおかしいだろ? 俺達が格闘技や武道に精通している集団にでも見えたか?」

 

「!?」

 

ベイズリーはようやく自分の犯したミスに気付いたようだ。

 

「そういうことよ。はぐれ悪魔ベイズリー。あなたを消し飛ばしてあげるわ!」

 

部長がその手に魔力を集める。

 

「くそっ!」

 

ベイズリーが踵を返して逃げ出した。

 

「逃がさん!」

 

すかさずゼノヴィアがその後を追う。

 

「僕も行きます」

 

木場もその後を追った。

 

俺達も続いて後を追おうとしたが…。

 

 

――ギギギギギギギギッ!!!

 

 

大量のコウモリがその行く手を遮った。

 

「奴の使い魔ね。まずはこのコウモリから片付けるわよ!」

 

部長の指示を受け、俺と部長と朱乃さんは背中合わせになり、コウモリ達を迎え撃った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

木場side

 

ゼノヴィアと僕は逃げるベイズリーを追っている。別段追いつけない程のスピードではない。けれど、なかなか距離を詰められない。

 

夜目が利く僕らだけど、森に差し込む光が薄すぎて数メートル先も見えない。よって、迫ってくる木々を避けるのが困難でこちらもスピードを出せない。

 

にもかかわらず、ベイズリーはまるで、進行方向にある木々を全て把握しているかのようにスルスルと森を抜けている。

 

「はぁっ!」

 

 

――ドカァァァァン!!!

 

 

時折、痺れを切らしたゼノヴィアがデュランダルを振るい、オーラを飛ばしているけど、それすらも避けられている。

 

…頭が切れるというのは本当みたいだね。あらかじめ逃走経路を念入りに下調べした上で僕達を襲撃しているのだろう。

 

「…」

 

後ろを確認するが、部長達が追ってくる気配がない。なんらかの足止めをくらっているのだろう。

 

 

――カッ!!!

 

 

「っ!?」

 

突如、僕の足元から魔方陣が現れる。魔方陣から魔力の蔦みたいな物が現れ、僕を拘束しようとした。

 

「ふっ!」

 

 

――ザシュ!!!

 

 

僕は聖魔剣でその蔦を薙ぎ払い、さらに魔方陣に剣を突き立てて破壊した。

 

「この程度!」

 

 

――バシュッ!!!

 

 

ゼノヴィアの方にもあらかじめ仕掛けていたトラップが襲いかかっていた。

 

その後も時折、ベイズリーのトラップが襲いかかってきた。僕らはそれには動じず、冷静に対処していく。

 

僕はゼノヴィアに合図を出すと、空を飛び、森を飛び出た。空からでは木々に覆われているため、ベイズリーの姿は見えないが、ゼノヴィアがデュランダルのオーラをベイズリーに向けて飛ばしているのでだいたいの位置は掴める。

 

僕は、森が少し開けた場所に素早く移動し、ベイズリーを先回りした。

 

「そこまでだよ。ベイズリー」

 

「っ!?」

 

ベイズリーは僕の姿を捉え、足を止めた。

 

「観念しろ、ベイズリー」

 

ゼノヴィアもすぐに追いついた。

 

「…くっ!」

 

ベイズリーは僕とゼノヴィアを交互に見て焦りの表情を浮かべた。と、思ったら、ニヤリと笑みを浮かべ、両手を上げた。

 

「まいったまいった。降参だ。大人しく捕まるよ」

 

意外な言葉だった。そんな言葉が彼から出るとは思わなかったからだ。けれど、迂闊に近づくわけにはいかない。彼の表情は大人しく投降するそれじゃない。何かを企んでいる。ゼノヴィアもそれを感じ取っており、容易には近づかない。

 

「おいおい。大人しく捕まるって言ってるだろ」

 

…その言葉を無視し、ゆっくりと近づく。ベイズリーとの距離が7メートル程になったその時…。

 

 

――バシュッ!!!

 

 

前方からではなく、後方から大量の魔力が飛んできた。

 

 

――くっ! トラップはベイズリーの周辺ではなく、後方の木々に仕掛けていたのか!

 

 

僕は聖魔剣を並べ、その魔力を全て防ぐ。

 

「舐めるなっ!」

 

 

――ドカァァァッ!!!

 

 

魔力ごと、デュランダルのオーラでトラップを吹き飛ばした。

 

自分の周囲に何かあると思わせて、前方に注意を引かせて後方からの攻撃か、これまでも、こうやって策を巡らせて今まで逃げてきたのか。

 

「終わりだ! 覚悟しろ!」

 

ゼノヴィアが一気に距離を詰める。その手に持つデュランダルを振り上げたその時…。

 

 

――カッ!!!

 

 

突如、ベイズリーの周辺にトラップの魔方陣が現れた。

 

「!?」

 

魔方陣から捕縛用の蔦が現れ、ゼノヴィアに襲いかかる。

 

 

――投降する演技をし、後方からトラップを仕掛けたのは、自分の周囲に何かあると思わせ、後方の警戒を緩ませるためではなく、自分の周囲には何もないと思わせて可能な限り近づかせるのが目的だったのか!

 

 

「間に合ってくれ!」

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

僕は地面に手を置き、ベイズリーの周囲にあらゆる魔剣を発現させ、トラップを根こそぎ破壊した。

 

「すまない!」

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

ゼノヴィアは蔦を一振りで斬り、ベイズリーに飛び込む。

 

「はあぁぁぁぁっ!」

 

 

――ブシュッ!!!

 

 

「がはぁっ!」

 

デュランダルは胸を斬り裂いた。ベイズリーは苦悶の声があげる。

 

「ぐっ! …きさまら……なんかに…」

 

ベイズリーは苦々しい表情を浮かべながら僕達を睨み付ける。やがて、斬り裂かれた胸から煙が上がり、消失した。

 

「ふぅ…」

 

ゼノヴィアが一息吐いてデュランダルを異空間に戻した。

 

「…なかなか手強い相手だった。実力はそれほどでもないというのに」

 

「うん。まさに狡猾な相手だったね。戦術1つでここまで手を焼かされる。…学ばせてもらったよ」

 

力でもスピードでもなく、こういった戦術をもっと身に付ければ、彼に追いつけるかもしれない。

 

「もっと戦術を学ばなければ……届かないな」

 

どうやら、ゼノヴィアも同じことを考えていたみたいだ。

 

「おっ? そっちも終わったみたいだな」

 

そこにやってきたのは、彼だ。

 

「すぐに後を追いたかったんだが、あいつの使い魔に邪魔されてな。しかもやたら数で時間稼ぎばかりするからすげぇ手を焼いたよ」

 

彼……昴君が頭を掻きながらやってきた。

 

僕もゼノヴィアも、もっと強くならないといけない。これから先、昴君ばかりに負担をかけさせるわけにはいかないからね。

 

もっと強くなろう。いつか、昴君が僕達にその背中を安心して預けてくれるように。

 

その後、部長達もやってきた。森の外で待機していた小猫ちゃんとアーシアさんとも合流して、僕達は部室へと戻っていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





以上で第3章終了です。

次回、第4章に突入します。

感想、アドバイスお待ちしています。

それではまた!
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