ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.38~白との邂逅、授業参観~

 

 

 

「あ゛ー、ひどい目にあった」

 

俺は首をコキコキ鳴らしながら校庭の方を歩いていた。

 

やっとのこと、部長と朱乃さんとアーシアから解放された。

 

「身体の節々が痛い…」

 

部長から滅びの魔力(滅びの濃度を薄めたもの)をぶつけられ、朱乃さんからは雷(威力を抑えたもの)を落とされた。

 

 

――地獄だった…。

 

 

アーシアはむくれてなかなか治療してくれなかったし。

 

ゼノヴィアについても、何を考えてどこまで本気なのかわからんし。

 

「今後はもう少し自重して行動するか」

 

精神年齢は爺さんなれど、まだまだ心を知るには至らないな…ま、心なんて全て理解しろという方が無理か。

 

「ん?」

 

校門まで足を進めたところ、ある1人の少年の姿が目に入った。年齢は今の俺と同じくらい、銀髪を携えた美少年だ。顔立ちから見て日本人ではないだろう。

 

その少年は駒王学園の校舎を見上げていた。

 

俺がその少年の方へ足を進めると、途中で俺の存在に気付き、その視線をこちらに向け微笑を浮かべた。

 

「やあ、いい学校だね」

 

「そうなのか? 生憎と、俺は他の学校はよく知らないんでな」

 

俺は少年の感想にこう返した。

 

暫しの間、沈黙がこの場を支配した後、俺はこの少年に心に抱いていた質問をぶつけてみた。

 

「この学校にはどういった用向きだ――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――白龍皇」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺がそう尋ねると、少年は別段驚いた素振りを見せなかった。

 

「おや、以前に会った時には顔をさらさなかったはずだったが、どうしてわかったんだい? 赤龍帝、御剣昴」

 

俺はフッと笑みを浮かべ…。

 

「声と体格、後は身に纏うオーラで一目瞭然だ。何より、さっきから俺の左腕……いや、ブーステッド・ギアが燃えるように熱くなっている。それが理由だ」

 

「なるほど、それなら話は早い。俺はヴァーリ。君の言ったとおり、白龍皇―――白い龍(バニシング・ドラゴン)だ」

 

…こいつが、俺の持つブーステッド・ギアに封印されし二天龍のもう一匹の龍。白い龍(バニシング・ドラゴン)であり、歴代の所有者が凌ぎを削って死闘繰り広げてきた白龍皇か。

 

「それで、ここには何をしに来たんだ? まさか、赤と白の競演、とやらでも興じに来たのか?」

 

俺がそう質問すると、ヴァーリはフッと笑みを浮かべた。

 

「そうだ……と言ったらどうする?」

 

「どうするも何も、それなら仕方ないな」

 

再び俺達の周囲を沈黙が支配した、一陣の風の音だけがこの場に響き渡る。

 

「…」

 

「…」

 

暫しの間その睨み合いは続いた。

 

「……無防備だな」

 

含み笑いを浮かべながらおもむろに右手の人差し指と中指で挟み込んだ『ある物』を見せつける。

 

「…っ!」

 

 

――ファサ…。

 

 

それと同時に俺の頭の後ろで束ねていた髪が下りた。白龍皇ことヴァーリが指で挟み込んでいるものは俺の髪留めだった。

 

…俺の髪留めを高速でひったくりやがったのか……だが…。

 

「お互い様だろ」

 

 

――チャリン…。

 

 

俺はニヤリと笑みを浮かべながら左手を顔の前に出し、そこからあるものをヴァーリに見せつける。

 

「…っ!」

 

ヴァーリは咄嗟に自身の首元に手をやった。

 

俺がヴァーリに見せつけたものは、ヴァーリが身に着けていたネックレスだ。

 

「……やるね」

 

一瞬、ハッとした表情をした後、改めて笑みを浮かべた。

 

「なかなか良い趣味をしているな…大切なものなら返そうか?」

 

「…露店で買った安物だ、気に入ったのならあげよう」

 

「…なら、それ(髪留め)と交換だ」

 

「……フッ、記念に貰っておくよ」

 

俺はネックレスを胸ポケットに入れると、それと同じくしてヴァーリは髪留めをポケットにしまった。

 

「…」

 

「…」

 

そのやり取りの後、再び俺とヴァーリは睨み合う。

 

「……………やめておけ、敵う相手じゃないぞ」

 

俺はヴァーリ……ではなく、俺の後方で殺気を帯びている木場とゼノヴィアに向けて言った。後方には聖魔剣とデュランダルをその手に持ち、臨戦態勢で構えていた。だが2人共、このヴァーリとの実力差を理解しているのだろう、その手は僅かに震えていた。

 

「誇っていい。実力差を理解できるのは強いという証拠だ、それを理解しながら俺の前に立ちふさがる君達には敬意すら払える…だが、コカビエルごときにすら敵わなかった君達では俺には勝てないよ」

 

 

――ごとき…。

 

 

こいつほどの実力者ならそう言い切れるだろう、だが、殺るか殺られるかのギリギリの死闘を演じた俺からすれば、複雑極まりないな。

 

「だが、御剣昴。君がコカビエルにあそこまで手こずったのが少々腑に落ちないな。君なら難なく打倒できただろう」

 

「さあな、あれが俺の実力なんだろ」

 

ヴァーリは数秒程俺の瞳を見つめ…。

 

「まあいい、それはおいおいわかることだ…ところで、御剣昴、君はこの世界で自分が何番目に強いと思う」

 

おもむろにそんな質問をぶつけてきた。

 

「…興味がないから考えたこともないが、俺より強い奴なんてそれこそ掃いて捨てる程いるだろうから順位は低いんじゃないか?」

 

身近で言えば、サーゼクス様やグレイフィアさんもそうだし、最近会ったあのアザゼルもそうだ。そして目の前のヴァーリしかり、な。

 

「正確な分析だな。君があの時に見せなかった力を全て出して、三百から四百の間といったところかな? もしかしたらもう少しくらい上かもしれないな」

 

ヴァーリは楽しそうに言い放った。

 

「この世界は強い者が多い。紅髪の魔王(クリムゾン・サタン)と呼ばれるサーゼクス・ルシファーでさえ、トップ10には入らない」

 

…この世界は底知らずだな。あのサーゼクス様より強いのがそんなにいるのか。

 

「だが、1位は決まっている。不動の存在が」

 

「ふーん、そりゃ誰なんだ? お前……というわけでもないんだろ?」

 

「もちろん、俺じゃない。だが、そのうちに知ることになるよ…君は貴重にして強大な存在だ。是非とも充分に育てた方がいい、リアス・グレモリー」

 

ヴァーリは、木場とゼノヴィアのさらに後ろに立っている部長に言い放った。部長は限りなく不機嫌な表情を浮かべている。他の眷属も全員揃っており、アーシア以外は臨戦態勢を取っている。

 

「堕天使と繋がりがあるあなたがいったい何の用かしら、不必要な接触は遠慮してもらいたいのだけれど」

 

部長は敵意を撒き散らし、限りなく棘のある物言いで言い放った。ヴァーリはその言葉に全く異に返さず…。

 

「赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)と白い龍(バニシング・ドラゴン)。過去、二天龍に関わった者はろくな生き方をしていない。リアス・グレモリー、あなたはどうなるんだろうな?」

 

そう部長に告げて踵を返した。その言葉に部長は言葉を詰まらせていた。

 

「今日は戦いに来たわけではない。これでもアザゼルの付き添いをしている身なんでね、いろいろと忙しいんだ。ここらで失礼させてもらうよ」

 

ヴァーリはこの場を去っていった。

 

ヴァーリが去った後も、皆、臨戦態勢こそ解いているが、緊張の糸は未だ取れていなく、その表情は硬い。

 

「…」

 

堕天使総督のアザゼルに白龍皇のヴァーリ、この街に大きな力が集まってきている。

 

 

――また、何かが起きそうな予感を感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

その後自宅に帰った俺は、荷物を自室に置き、トレーニングルームで座禅を組んでいた。

 

ただ座禅を組むのではなく、コカビエルの一戦で覚えた魔力を足場にした空中縮地の鍛錬のため、魔力で尻と足の下に宙に浮く椅子のような物を創り、そこの上で座禅を組んでいる。これに慣れれば、連発で空中縮地を行えるようになれる。

 

「…」

 

白い龍(バニシング・ドラゴン)、俺の左腕に宿る赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)とは対の存在にして宿敵。この両者は古より戦う運命にあるんだとか。

 

 

――宿命どおりなら俺はいつか、あの白龍皇であるヴァーリと戦うことになる。もし、そうなった時俺はあいつに勝てるのか…。

 

 

「…考えても仕方ない、その時になったら全力で勝ちにいけばいいだけだ」

 

そもそも宿命? 運命? 俺はただ、部長のために皆を守るために戦うだけだ。

 

「さてと…」

 

俺は魔力を解き床に足を付けると、鍛錬を切り上げ夕食の準備に取り掛かった。つい半年程前までは自分1人で作って1人で食べていたが、最近では部長もキッチンでその腕をを振るい、アーシアもメキメキとその腕を上げており、料理を作る機会も多い。

 

やっぱ、大勢で食卓を囲むのはいいもんだ。

 

俺は汗を拭いつつ、今晩の夕食を楽しみにしながら自室に着替えに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

ついにこの日がやってきた。

 

以前に話題に上った授業参観の日だ。

 

「…気乗りしないわね」

 

部長は朝から憂鬱な面持ちだった。

 

部長の父君とその兄君であるサーゼクス様はやはり人目を引く方々だしな。いらっしゃったら話題にもなる。

 

その心中、お察します。

 

「今までこのようなことがなかったので、すごく楽しみです!」

 

アーシアは実に楽しそうだった。

 

駒王学園の授業参観は、公開授業も兼ねており、駒王学園の中等部の生徒と、その保護者も見学に来る。かなり賑わうことだろう。

 

自分のクラスの教室に入り、松田と元浜に挨拶をし席に着席していると、ゼノヴィアが俺のもとまでやってきた。

 

「昴、先日はすまなかったな。私はどうも事を急ぎ過ぎたようだ」

 

どうやら、先日のプールでの一件を謝りにきたようだ。

 

「あー、気にしなくていい。身体の節々がまだ少々痛いが、わかってくれたんならそれで構わないよ」

 

俺は手をヒラヒラさせてゼノヴィアに言った。

 

「うむ。あれからゆっくり考えてな、昴の言うとおりプロセス……段階を踏んでから行うべきだという考えに至ったよ」

 

うんうん。よくそこにたどり着いてくれたよ。

 

「だから、まずはこれで予行練習を―――」

 

と、ゼノヴィアがスカートのポケットから縦横3センチ程での正方形のビニールの入れ物。その中心には丸い輪っかが浮かび上がっている、通称コンドームを取り出した。

 

 

――あ、あれは!?

 

 

俺はそれが人目に触れる前にゼノヴィアの手から奪い去り、手のひらに握ってジュっとその物を跡形もなく燃やし尽くした。

 

こ、こいつ、何て物を出そうとしやがる!

 

「ふむ、日本という国はこの手の物が多様にあるな。つい全種購入してしまったよ」

 

ふとゼノヴィアの両手を見ると、あらゆる種類のコンドームが握られていた。

 

「どっせぇぇぇぇい!」

 

俺はその全てを没収し、窓から投擲した。

 

「むっ、昴よ、いったい何を――いはい、はひをふる(痛い、何をする)!」

 

ムッとした表情をするゼノヴィアの両頬を掴み、ぐにーっと左右に引っ張った。

 

「な・に・を・し・て・る・ん・だ・お・ま・え・はぁ!」

 

「はひっへ、すはふひいはへへへんひょうひはほはぞ(なにって、昴に言われて勉強したのだぞ)?」

 

…こいつにはまず、恋愛の前に常識を教えてやるべきだった。

 

俺はゼノヴィアの頬から手を放し、自分の額に手を当てた。

 

「お前なぁ、ああいうのは人前で見せるものじゃないんだよ」

 

「むぅ、そうなのか?」

 

「そうなの…はぁ、もっと慎みを持てよ。それでも年頃の女の子だろ…」

 

俺がそう言ってやると、ゼノヴィアは口をへの字にした。

 

「ふむ、慎みか。恋愛とは難しいのだな」

 

ゼノヴィアは何やらぶつぶつと呟きながら俺のもとを離れていった。

 

はぁ、ゼノヴィアに関してはいろいろと疲れるなぁ…。

 

「アーシアも1つ持っておくといい。エチケットらしいからね」

 

ゼノヴィアはアーシアにコンドームを渡していた。アーシアは頭に『?』を浮かべるも、それを受け取っていた。

 

…まだ持ってたんかい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

公開授業はつつがなく進んだ。

 

俺の場合、親族はいないので、ちょっとしたにぎやかな授業なだけだった。

 

しかし、英語の授業なのに紙粘土で工作することになるとは思わなかったな。

 

昼休みになり、アーシアと一緒に飲み物を買いにいったところ、途中で部長と朱乃さんとばったり出くわした。

 

「あ、部長。どうでした? やはり、サーゼクス様や部長のお父上は来られたんですか?」

 

俺がそう尋ねると、部長がフッと溜め息を吐き、遠い目を浮かべた。

 

「ええ……来たわ。父と一緒にお兄様も…」

 

部長は心底疲れ切っていた。心なしか、その瞳に覇気がなく、ハイライトも失われている。

 

…いったい、何があったんだ?

 

部長達と話していると、木場もこの場に現れた。どこかに向かっているような面持ちだ。

 

「よう、木場。どうしたんだ?」

 

俺が聞いてみると、木場は廊下の先を指差した。

 

「いえ、何やら魔女っ子が撮影会をしていると聞いたもので、ちょっと見に行こうかなと思いまして」

 

「魔女っ子?」

 

…何が来たんだ?

 

俺は木場の後に続いてその現場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

――カシャカシャ!

 

 

現場に到着すると、カメラを持った男達がフラッシュを焚いていた。どうやらこの男達は何かの撮影をしているようだ。ここからではよく見えないので、群衆を掻き分けながら進んでいくと、何やら美少女がアニメキャラのコスチュームに身を包み、華麗にステッキを回していた。

 

「何だありゃ?」

 

俺は思わずそんな感想を漏らしていた。一方、部長の方はと言うと…。

 

「なっ!?」

 

とんでもなく狼狽していた。こんなに驚く部長も珍しいな。

 

しかし、この人……誰かに似てるんだよなぁ…それにこの人多分…。

 

「オラオラ、解散解散! 公開授業に日に騒ぎを起こさないでくれ!」

 

そこに、匙が生徒会メンバー数人を連れて騒ぎの中心にやってきた。撮影していた男達は蜘蛛の子散らすように去っていった。

 

「あんたも、そんな恰好しないでくれよ。ここは学校なんですから。えっと、親御さんですか? それに合った服装をしてきて下さいよ」

 

「えぇ~、だって、これが私の正装だもん☆」

 

匙が注意を促すも、特に悪びれた様子もなく、華麗にポージングを決めていた。確実に聞く耳を持っていない。

 

匙は奥歯をギリギリ鳴らすが、部長の姿を確認すると、頭を下げた。

 

「リアス先輩、ちょうど良かった。今、魔王様と先輩のお父さんをご案内していたところだったんですよ」

 

匙が後ろに振り返ると、そこには紅髪の男性2人が、ソーナ会長の先導のもと、こちらに近づいていた。

 

「何事ですか? 匙、問題は簡潔に解決なさいといつも言って―――」

 

ソーナ会長はそこで言葉を止めた。いや、固まっている? その視線の先には件のコスプレ娘が。

 

あー、そうだそうだ。この人、ソーナ会長に似てるんだ。もしかして姉妹? 人間ではないというのはすぐにわかったけど…。

 

「ソーナちゃん、見つけた☆」

 

コスプレ少女はソーナ会長の姿を捉えると、嬉しそうに抱きついていった。その行動に匙も困惑していた。すると、サーゼクス様がそのコスプレ娘に話かけた。

 

「セラフォルーか、君も来ていたんだな」

 

セラフォルーって……確か、現四大魔王の1人がそんな名前だったような…確か、セラフォルー・レヴィアタン…。

 

俺が部長の方へ視線を移すと…。

 

「…レヴィアタン様よ」

 

部長は額に手を当てて言った。

 

あぁ……やっぱり…。

 

「ず、随分と、ユニークな魔王様で…」

 

俺はそんな言葉を口にしていた。

 

「セラフォルー様、お久しぶりです」

 

部長はそのレヴィアタン様のもとに歩み寄り、挨拶をした。

 

「リアスちゃん☆ おひさ~☆ 元気してた?」

 

「は、はい。本日はソーナの授業参観に?」

 

「そうなの☆ ソーナちゃんったら、授業参観の事黙ってたのよ。ホントひどいんだから☆ お姉ちゃん、ショックで天界に攻め込もうかと思っちゃったんだから☆」

 

あっぶねえな、おい。魔法少女っていうか、まさに魔王少女だな。

 

「お初にお目にかかります。姓は御剣、名は昴。リアス・グレモリー様の兵士『ポーン』を務めさせていただいております。よろしくお願い致します」

 

部長に促され、俺もセラフォルー様に挨拶をした。

 

「君が噂のドライグ君ね? はじめまして☆ 私は魔王、セラフォルー・レヴィアタンです☆ レヴィアたんって呼んでね☆」

 

と、横チェキで返された。

 

うーん、何とも軽い魔王様だなぁ。

 

「ふむ、セラフォルー殿、これはまた奇抜な衣装を。魔王として、些かどうかと思いますが…」

 

部長の父君がそう問いかける。

 

「おじさま☆ ご存じでないのですか? これがこの国での正装なんですよ☆」

 

「ほう、そうだったのですか? これは私が無知だったようだ」

 

「ハハハハ、信じてはなりませんよ、父上」

 

なんとも言い難い会話をグレモリー親子とセラフォルー様がしている。

 

部長によると、サーゼクス様やセラフォルー様をはじめ、現四大魔王様は、皆、プライベートではこんな軽い感じなのだという。

 

 

――俺の中の魔王像が崩れていくな…。

 

 

その後、姉君であるセラフォルー様の羞恥に耐えられなくなったソーナ会長がその場を駆け出し、その後を、魔王少女、セラフォルー様が追いかけていった.

 

やがて、昼休みも終了に近づき、アーシアと共に教室に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

その日の学校が終了し、俺は帰宅した。自宅にサーゼクス様とその父君、そしてそのお付であるグレイフィアさんを招待することになった。

 

夕食を済ませ、現在俺達はリビングで授業参観鑑賞会をしていた。てっきり、部長だけかなと思っていたんだが、俺やアーシアも映っていた。何でも、使い魔を使ってこっそり撮影していてくれたらしい。

 

「これは、かつてないほどの地獄ね…」

 

部長は髪よりも赤く顔を染めていた。アーシアの方も『早く、早く終われ!』と念じていた。

 

「見てくれ! うちのリーアたんが先生に指されて答えているんだ!」

 

「あはは、そのようで…」

 

俺は乾いた笑い声を上げた。

 

「もう嫌! お兄様のスカタン!」

 

部長は耐えきれず、その場を駆けていった。それと同時にスパーン! と乾いた音が響いた。グレイフィアさんがサーゼクス様の頭をハリセンで張り倒していた。

 

俺は部長が心配になり、サーゼクス様に一言告げ、部長の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

俺の部屋の前で座り込む部長の姿を発見した、その表情はとてもむくれている。

 

「部屋、入りますか?」

 

その問いかけに部長は無言でそっと頷いた。部屋に入ると、部長はベッドにうつ伏せになって黙り込んだ。

 

「にぎやかな家族ですね」

 

「…」

 

「少し、羨ましいです。家族の団らんっていうのは」

 

俺も家族というものは前世で最後に経験した。でも、それは親としてだ。幼少の頃の俺は、家族の団らんというものは皆無だった。物心ついた時には戦場を駆け回っていたからな。

 

「そう…」

 

部長がポツリと返事を返してくれた。

 

暫し沈黙の後、部長が口を開いた。

 

「ねぇ、昴。昴は私と出会えて幸せ?」

 

部長が突然、そんな質問を投げかけてきた。

 

「私は昴と出会えて幸せよ。もう、あなた抜きの生活は考えられないわ。私の心の中はもう、あなたで染まっているわ」

 

部長のその言葉は、心からのものだということがとても伝わってきた。

 

「光栄です、俺もリアス様に出会えて幸せです。そのおかげで俺に家族ができましたから、リアス様が主で良かったといつも思っています」

 

俺の本心だ。自分から進んで下僕になったわけではないしリアス・グレモリーは、まだ未熟ではあるけれど、その器と情愛は王として相応しい方だと思っている。

 

「これからきっと、私達にはたくさんの苦難がやってくると思うわ。でも、あなたがいればどんな苦難もきっと乗り越えられると思うわ」

 

部長は身体を起こし…。

 

「昴、これからも私の傍にいなさい。私と共に歩んでいきましょう」

 

「……仰せのままに」

 

俺はそう答えた。

 

ふと、耳を澄ますと、こちらに足音が近づいてきた。

 

この足音は、アーシアか?

 

俺が部屋の扉に顔を向けたが、部長によって強引に戻された、そして…。

 

「ん…」

 

「…っ」

 

部長が俺の唇に自身の唇を重ねた。

 

 

――クチュ…。

 

 

部長の舌が俺の口内に侵入し、俺の舌を絡め捕っていく。部長がそっと唇を放すと、光沢を帯びた銀糸が伝った。

 

「これからも末永くよろしくね♪」

 

部長が悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 

「あはは…//」

 

俺は笑うことしかできなかった。

 

ちなみに、その光景は当然アーシアにも目撃されて…。

 

「うぅ…部長さんばかりずるいです!」

 

「甘いわね、先手必勝よ!」

 

部長とアーシアが睨み合い、俺がそれをなんとか諌めるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

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