ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.43~飛来するテロ、作戦会議~

 

 

 

和平が現実のこととなったまさにその瞬間、俺の身体に妙な感覚……いや、身に覚えのある感覚が襲った。

 

 

――これは…!

 

 

覚えがある。なんせ、ここ最近それと多数向き合ってきたからだ。

 

これは、ギャスパーの停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)だ!

 

そして、世界は停止した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

「まさか……いや、やはりと言うべきか? こうなったか」

 

アザゼルさんがポツリと漏らす。

 

「これは、いったい…」

 

部長が突然の出来事に動揺を隠せないでいる。その時…。

 

 

――ドォォォォン!!!

 

 

部屋全体……いや、新校舎全体に突如、激しい振動が襲った。

 

俺は窓から外を覗いた。そこには黒いローブを身に纏った、魔術師を思わせる人影があった。その人影はポツポツと現れる魔方陣とともにどんどん数を増やしていった。

 

「ちっ!」

 

アザゼルさんが舌打ちと同時に何かを呟き始めた。

 

 

――いや、これは詠唱か?

 

 

それに合わせてサーゼクス様とミカエルさんも詠唱を始めた。

 

 

――ブゥゥゥン…。

 

 

詠唱が終わると、校舎が何か特殊なものに包まれた。

 

「とりあえず、これでこの校舎に被害が出ることはないだろう」

 

再び窓の外に視線を送ると、先ほどの魔術師らしき者達が魔力の弾みたいなものをこちらに打ち込んでいるが、それらは全て不思議な力に阻まれていた。

 

「動けるのは、俺やヴァーリ、サーゼクスにセラフォルーにグレイフィア、それとミカエル……まぁ、この辺は当然か。他にはサーゼクスの妹と、その下僕の赤龍帝と、後は聖魔剣使いとデュランダルの女か、ま、上等だな」

 

ふと部屋を見渡すと、三大勢力のトップの面々は特に影響をなく動いている。白龍皇のヴァーリやグレイフィアさんも問題ないようだ。グレモリー眷属はというと、部長と木場とゼノヴィアがどうやら動けるらしい。ゼノヴィアはその手にデュランダルを構えている。デュランダルの力で停止を防いだのだろう。だが、アーシアと朱乃さんと小猫ちゃん。それとソーナ会長は停止してしまった。

 

「…状況を整理する必要がありますね。外の奴等は何者なんでしょうか?」

 

俺がそう切り出した。

 

「奴等はいわゆる、魔法使いだろうな」

 

アザゼルさんが外の奴等について説明をしてくれた。

 

「その魔法使いが何故攻撃を仕掛けてきたのか。それは、和平の会談を妨害しようとしている。って、ところですか?」

 

「ま、そうだろうよ」

 

アザゼルさんが嘆息しながら答えた。

 

勢力同士の和平や、大きな変革を訴えれば、いつの時代もそれを快く思わない者が反乱を起こしたりするものだが、それは人間だけに限らず、悪魔や天使、堕天使といった者達も同様ようだ。

 

「テロ、なのね」

 

部長が苦々しく呟いた。

 

「では、この時間停止はいったい…」

 

ギャスパーに神器には違いないが、あいつにはここまでの力はなかった。

 

「それはおそらく、力を譲渡できる神器、あるいは、魔術でハーフヴァンパイアの小僧の神器を強制的に禁手(バランス・ブレイカー)状態にしたんだろうよ。一時的な禁手状態ってところだ。それでも、視界に映したものの内部にいる者にまで効果を及ぼすとは……あの小僧の潜在能力も大したもんだ。だかまあ、俺達トップ陣を停めるまでには至らなかったみたいだがな」

 

っ! なるほど、となると、ギャスパーは旧校舎で拉致され、利用されいるわけだな。

 

「ギャスパーは旧校舎でテロリストの武器にされている。どこで私の下僕の情報を手に入れたのかしら…。しかも、大事な会談を付け狙う戦力にされるなんて……っ! 許せないわ、これ以上にない侮辱だわ!」

 

部長が怒りで紅いオーラが全身からほとばしっている。

 

俺も同感だ。人の可愛い後輩に……っ!

 

「校舎の外で取り囲んでいた部下達と連絡が取れねぇ。悪魔側も天使側も同様か。三大勢力全ての軍勢が停止してるようだな。あのハーフヴァンパイア、末恐ろしい限りだな」

 

そう言いながら窓の方に手を向けた。すると、外の空に無数の光の槍が現れた。アザゼルさんが手を下すと、その光の槍が雨の如く外の魔術師達に襲いかかった。

 

 

――ドォォォォォォン!!!

 

 

テロリスト達はその光の槍を防ぐために障壁を展開したが、光の槍はそれを難なく貫き、外にいるテロリスト達を薙ぎ払った。

 

…っ! 恐ろしいほどの威力だな。やはり強いな。

 

「この学園は結界で覆われている。にもかかわらず、こいつらは中に現れた。てことはだ、この敷地内に外の転移用魔方陣とゲートを繋げている奴がいるってことだ。ま、何にせよ、これ以上、停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)の効果を高められて俺達の中の誰かが停止させられた面倒だ。向こうは相当な兵力を割いてきている。時間を停めた瞬間に校舎ごと屠るつもりだろうよ」

 

ふと、もう一度外に視線を移すと、再び魔方陣が現れ、先ほど同様の魔術師が現れた。

 

「イタチゴッコですね」

 

「全くだ。タイミングといい、テロの方法といい、手際が良すぎる。案外、ここに裏切り者がいるのかもな」

 

裏切り者か。その線は深そうだな。こうまで後手後手に回っているところを見るとな。

 

「それはともかく、現状をどうするか…。外へは結界を解かないと出られない。結界を解けば外に被害が出る恐れがありますし、何より、誘い出されたところで罠が待っている可能性は大きい。これは下策ですね。なら、この場で籠城して首謀者が痺れを切らすを待つ方がいいでしょう。その間に、旧校舎のギャスパーを救出。こんなところでしょうか?」

 

「うむ。現状ではそれが上策だね」

 

サーゼクス様からお墨付きをいただいた。

 

「では、救出する者を選抜しよう。我々首脳陣はここを動けない。となると…」

 

「私が行きますわ。あの子は私の大切な下僕です。私が責任を持って奪い返しにいきます」

 

強さを感じられる瞳で部長が進言した。その言葉にサーゼクス様はフッと笑みを浮かべた。

 

「そう言うと思っていたよ。リアスの性格は把握しているからね。では、次に旧校舎までの侵入方法だ。新校舎の外は魔術師だらけだ。通常の転移も魔法で阻まれる」

 

「旧校舎……根城の部室に未使用の駒の戦車『ルーク』が保管してありますわ」

 

「なるほど、キャスリングか。これなら相手の虚をつける。先手を取ることができるね」

 

 

――キャスリング…。

 

 

チェスにおいて、王『キング』と戦車『ルーク』の位置を入れ替える技だ。この方法での侵入は向こうも想定してないだろう。

 

「決まりだ。だが、1人で行くのは無謀だな。グレイフィア、キャスリングを私の魔力方式で複数人転移可能にできるか?」

 

「この場でとなると、簡易術式でしか展開できそうもありませんから、お嬢様とあともう一方が限界かと」

 

あともう1人か、それなら。

 

「俺が行きます。行かせてください」

 

俺が手をあげ、進言する。サーゼクス様はそれを見るや否や…。

 

「では任せよう。リアスとギャスパー君を頼む」

 

「任せてください」

 

話しが決まると、早々にグレイフィアさんが準備を始めた。その最中、アザゼルさんがヴァーリに話しかけた。

 

「ヴァーリ」

 

「何だ」

 

「お前は外に出て敵の目を引け。白龍皇のお前が出てくれば、野郎共の作戦も多少は乱せるだろうさ。それに、何かが動くかもしれない」

 

「俺がここにいることはあっちも承知のことだろう?」

 

「だとしても、キャスリングで赤龍帝が中央に転移してくるとまでは想定していないだろう。多少なりとも陽動の効果はあるだろう」

 

「問題のハーフヴァンパイアを旧校舎にいるテロリストごと吹き飛ばす方が早いんじゃないのか?」

 

ヴァーリがごく自然にそんなことを言った。

 

俺はそんなヴァーリに殺気を飛ばした。そんな俺の姿を捉えると、ヴァーリはフッと笑みを浮かべた。

 

「それは最悪の場合だ。魔王の身内を助けられるなら助けた方がこれからのためになる。つうか、和平を結ぼうって時にそれはやめろ」

 

ヴァーリはアザゼルさんにたしなめられる。

 

「わかったよ」

 

フゥっと、深い息を吐き、ヴァーリはアザゼルさんの意見に同意し、自身の神器を展開した。ヴァーリの背中に光の翼が現れた。

 

「禁手化(バランス・ブレイク)」

 

『Vanishing(バニシング) Dragon(ドラゴン) Balance(バランス) Breaker(ブレイカー)!!!!!!』

 

 

――カッ!!!

 

 

その言葉と同時にヴァーリの身体から真っ白いオーラが溢れ、包みだす。光が止むと、ヴァーリは以前に目の当たりにした白いプレート・アーマーに身を包んでいた。最後にマスクで顔を覆うと、会議室から飛び出し、魔術師達を蹂躙し始めた。

 

相変わらず、常軌を逸してやがる。あれが俺のライバルだと考えると頭が痛いな。

 

「アザゼル。先ほどの話しの続きだ」

 

「あー、何だ?」

 

サーゼクス様がアザゼルさんに尋ねる。

 

「神器を集め、何をしようとした? 神滅具の所有者も何名か集めていたそうだな? いったい何のためだったのかな?」

 

「備えていたのさ。と言っても、お前達にじゃない、自衛のための手段が必要だったんだ」

 

「では?」

 

「禍の団(カオス・ブリゲード)」

 

「カオス・ブリゲード?」

 

サーゼクス様もこの単語に聞き覚えがなかったらしく、眉を寄せていた。

 

アザゼルさん曰く、最近、不審な行為をする集団を目につけたらしい。そいつらは三大勢力の危険分子ばかりが集まっており、中には禁手に至った神器持ちの人間や、神滅具持ちまで確認されているという。その集まりの呼称が禍の団(カオス・ブリゲード)なんだとか。

 

「その者達の目的は?」

 

ミカエルさんが聞いた。

 

「至ってシンプルだ。破壊と混乱だ。世界の平和が気に入らないのさ。最大級に性質が悪いテロリストだ」

 

なら、今回の騒動もそいつらの…。

 

「組織の頭は二天龍の他に強大で凶悪なドラゴン、無限の龍神(ウルボロス・ドラゴン)オーフィスだ」

 

『っ!?』

 

その言葉にその場の全員が言葉を失っていた。

 

「(ドライグ。オーフィスとは何者だ?)」

 

『(ドラゴン族最強の者だ。懐かしい名だ)』

 

「(ドライグやバニシング・ドラゴンよりもか?)」

 

『(ああ。神ですら手が出せなかった唯一の存在だ。無限に等しい力を有した本当の怪物だ)』

 

とんでもないな。ドライグやバニシング・ドラゴンだって、三大勢力が手を組んでやっとどうにかできたぐらいなんだからな。

 

「彼が動いたか。神が恐れたドラゴン。この世界が構築された時から最強の座に君臨し続けている者…」

 

全員が表情を曇らせている。そんな怪物がテロリストの首領となれば、これ以上にない脅威だからな。

 

『そう、オーフィスが禍の団(カオス・ブリゲード)の頂点です』

 

その時、聞き慣れない声が会議室に飛び込んでくる。それと同時に会議室の床に魔方陣が浮かび上がった。かつて見たことのない魔方陣だ。

 

「そう来たか! 今回の黒幕は―――」

 

サーゼクス様は舌打ちしながら言った。何やら覚えがあるといった様子だ。

 

「グレイフィア、リアスと昴君を急いで飛ばすんだ!」

 

「はっ!」

 

グレイフィアさんは俺と部長を会議室の隅に急かすように誘導し、ちょうど2人分収まりそうな規模の魔方陣を床に展開した。

 

「赤龍帝!」

 

 

――ヒュッ!

 

 

アザゼルさんが俺を呼ぶと、何かをこちらに放ってきた。それをキャッチし、見てみると、それは腕輪のようだった。

 

「そいつを付ければ神器の力をある程度抑えられるようになる。ハーフヴァンパイアを見つけたらそいつを付けてやれ」

 

と、アザゼルさんが簡単に渡された腕輪の説明をしてくれる。

 

それはありがたいが、俺と部長は突然動き出した状況を理解できないでいた。

 

「お嬢様、御武運を」

 

「ちょ、ちょっとグレイフィア!? お兄さ―――」

 

俺と部長は光に包まれ、転送されていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

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