ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.50~いざ冥界へ、グレモリー家の者達~

 

 

 

冥界への帰郷の話を聞いてから時間はあっという間に経過し、出発の日となった。

 

集合場所に指定されたのは、普段利用している最寄の駅だった。現在、俺達グレモリー眷属は全員駒王学園の制服だ。部長曰く、これが1番の正装なんだとか。

 

それにしても、どうして駅なんかに…。

 

部長が駅に設置されているエレベーターへと向かっていく。このエレベーターは5人乗りなため、1度に全員乗ることはできない。

 

「まずは、昴、アーシア、ゼノヴィアから来てちょうだい。先に降りるわ」

 

俺の他、指名された2人が返事をしてエレベーターに向かう。朱乃さんも一緒に来たようだ。

 

…ん? …降りる? この駅のこのエレベーターって、確か上にしか行けなかったような…。

 

疑問を感じながらも、エレベーター内に入る。部長がスカートのポケットからカードを取り出すと、それを電子パネルに向けた。すると…。

 

 

――ピッ…。

 

 

電子音が鳴った。それと同時に…。

 

 

――ガクン…。

 

 

エレベーターが下へと降下し始めた。

 

「降下した?」

 

パネルには『1』と『2』しかないので下に行くことはできないはずなのに…。

 

俺が戸惑っていると、部長がクスクスと小さく笑みを浮かべた。

 

「この駅に地下には秘密の階層があるのよ」

 

「そうだったんですか?」

 

「知らなくて当然よ。悪魔専用のルートですもの。ここ以外にも、この街には悪魔専用の領域はたくさん隠れているのよ?」

 

知らなかったな。ちょっと驚きだ。

 

1分程降下すると、エレベーターは停止し、扉が開いた。エレベーターから降りると、そこはだだっ広い人工的な空間で、人間界の駅のホームのような場所だった。

 

少し待っていると、遅れて木場や小猫ちゃん、アザゼル先生もやってきた。

 

「全員揃ったわね。それじゃ、3番ホームに向かうわよ」

 

部長と朱乃さんの先導のもと、歩き出した。

 

「ふむ。まさかこのようにして冥界に行けるとはな…」

 

ゼノヴィアが俺の左腕を取り、自身の腕に絡めてきた

 

「ホント、驚くことばかりだな……って、なんで腕を組むんだ?」

 

「嫌か?」

 

「そんなことはないが…」

 

俺は右手で頬を掻き、結局そのままにすることにした。

 

「…(ニッコリ)」

 

ゼノヴィアが笑顔を浮かべ、腕を組む力をさらに強めた。となると当然、決して小さくない胸が俺の腕に当たるわけで…。

 

 

――ガシッ!

 

 

反対側の腕に誰かが抱きついた。

 

「…グスッ」

 

涙目をしたアーシアだった。

 

俺は美少女2人に挟まれながら目的の場所まで歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

右へ左へと通路を進んでいくと、再び開けた場所に出た。そこには、グレモリーの紋様と、サーゼクス様の紋様が刻まれた列車らしきものがあった。

 

「グレモリー家所有の列車よ」

 

…やはりそうでしたか。

 

部長の先導のもと、俺達は列車へと乗車していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

――リィィィィィイイイィィィン!!!

 

 

大きな汽笛とともに列車が発車される。俺達は列車の中央に座った。部長は列車の一番前の車両で、眷属は中央から後ろの車両となり、これはしきたりだとかなんとか。

 

対面する席で俺とアーシアが、対面席に朱乃さんとゼノヴィアが座っている。隣の席に小猫ちゃんとギャスパーと木場が座っており、さらに端っこの席でアザゼル先生が座って寝ている。

 

「一時間程で着きますわ。この列車は、正式な方法で次元の壁を通過して冥界に辿り着けるようになってますから」

 

「なるほど…」

 

ジャンプで一気に行けるわけではないんだな。

 

「ジャンプでの移動でもいいのですけど、昴君達新眷属は正式なルートで一度入国しないと違法入国となってしまいますので、だから、一度入国手続きを済ませなければいけませんわ」

 

まあ、そのくらいのセキュリティーは必要だよな。…そういえば。

 

「……あれ? 俺、一度魔方陣からジャンプして部長の婚約パーティーに行ってますけど、大丈夫なんですかね?」

 

着いて早々お縄を頂戴するのは勘弁してほしいぞ?

 

そんなことを考えていると、朱乃さんはクスクスと笑みを浮かべた。

 

「ご心配には及びませんわ。あれはサーゼクス様の裏技魔方陣によって転移したものですから、特例みたいなものですわ。2度は無理ですけれど。そちらの件は大丈夫ですわ。どちらかと言えば、主との性的接触の件で罰をいただくかもしれませんわ」

 

「うぐっ」

 

…お、覚えがありすぎて言い訳できねぇ。やっぱ、高貴なる純血悪魔の部長に下僕風情が……普通に考えりゃアウトだよなぁ…。

 

俺が身の危険や処遇について考えていると、朱乃さんがうふふと笑いながら俺のひざの上に座り、俺の頬にそっと手を当て、首筋に顔を近づけてきた。

 

「ですが、眷属同士であるなら何の問題はありませんわ。たとえ、こんなことをしても…」

 

耳元でそっと囁き、やがて、頬に当てた手の中指で俺の顔を朱乃さんの方に向け、ゆっくりと顔を近づけてきた。そして、俺と朱乃さんの距離がゼロに……なろうとしたその時!

 

「だ、ダメです!」

 

アーシアが涙目になりながら俺に抱きついてきた。

 

「そ、そんなことをしたら、ス、スバルさんが変態になってしまいます!」

 

「あらあら。男性は変態なぐらいが健康的ですのよ?」

 

「うむ。スバルであるなら変態も結構だが、目の前で見せつけられるのは我慢ならんな」

 

上からアーシア、朱乃さん、ゼノヴィアの三者が俺を中心に睨みあう。

 

おいおい、嫌だぜこんな板挟み。っていうか、俺の変態は決定なのか?

 

「よく言ったわアーシア。大体、主と下僕がスキンシップを取ることは当たり前のことよ」

 

と、ここで部長登場。身体からは紅いオーラが迸っている。見たまんまのご機嫌ナナメの様相だ。

 

朱乃さんはそんな部長を見ても意に介さないどころか、挑戦的な笑みを向け…。

 

「うふふ。主から奪う、というのも燃えますわ」

 

などと逆に挑発する始末だ。

 

「昴。私と来なさい。ここはあなたの精神衛生上良くないわ。この列車には寝台車両もあるわ。そこでゆっくり心を癒しなさい。大丈夫。私も隣で抱きしめていてあげるから…」

 

「あらあら。言いがかりもいいところですわね。あなたが気を利かさなくとも、私が存分に癒してさしあげますわ。もちろん、お互い肌と肌で…」

 

「だ、ダメです! ダメですダメですダメですぅっ!」

 

「うむ。ここは子作りの練習を兼ねて私が共にきつく抱き合おうではないか」

 

と、さらに部長が加わり、車両は修羅場と化した。

 

「…木場。向こうに食堂があるらしいから一緒に腹ごしらえにでも行こうぜ」

 

俺は、こっそり脱出し、木場のもとまで向かった。

 

「いいのかい?」

 

木場が戦場(?)の方へ視線を向けて尋ねてきた。

 

「一度散った命をまた散らしたくはないよ…」

 

俺は溜め息を吐きながら呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

やがて、車掌のレイナルドという、白髭を蓄えた初老の方がやってきて、俺とアーシアとゼノヴィアを機械での照合を行い、無事、入国手続きが終了した。

 

発車してから40分程が過ぎ、アナウンスがされると、次元のトンネルを抜け、窓から風景が現れた。

 

「おぉ、これはすごい…」

 

外は紫色の空、山や木も川あり、遠くには街も見える。人間界とはどこか違い、開けた窓から身体に伝わる感触はどこか独特だった。

 

「ここはすでにグレモリー領よ」

 

「そうなんですか。ちなみに、グレモリー家の領土ってどのくらいなんですか?」

 

少々気になったので聞いてみると、木場がその質問に答えたくれた。

 

木場曰く、グレモリー家の領土は、日本で言うところの本州程だという。

 

日本の本州と同じくらいって、とんでもないな。

 

冥界の大きさそのものは人間界の地球と同程度面積らしいが、人間界程人口がいないのと、地球と違い、冥界には海がないため、土地がかなり広いらしく、グレモリー家の領土もそのほとんどが手つかず状態らしい。

 

「昴、アーシア、ゼノヴィア。あとであなた達に領土の一部を与えるから、欲しいところを言ってちょうだい」

 

などと言われたが、当の俺達はただ唖然として頷くだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

それからさらに十数分程が経ち、ついに目的地であるグレモリー家の本邸に到着した。

 

部長とグレモリー眷属はそこで下車するのだが、アザゼル先生はサーゼクス様と会談があるらしく、そこで一時別行動となった。

 

ま、あれで堕天使のトップだもんな。

 

アザゼル先生と別れ、部長と共に駅のホームに降りると…。

 

『リアスお嬢様! おかえりなさいませっ!』

 

 

――バンバンバンバン!!!

 

 

という、兵隊達の怒号ような声が上がり、それと同時に兵隊達が持っていた銃を空に向けて発射し、そこから花火が上がり、さらには楽隊達が楽器を一斉に奏で始めた。

 

あまりの出来事に、俺やアーシアとゼノヴィアは目をパチクリさせ、ギャスパーは人の多さに怯えて俺の背中に隠れていた。

 

部長は満面の笑みを浮かべ、壮大なお出迎えに応えていた。正面に並ぶ執事やメイド達、そこから見覚えのある方がやってきた。

 

「お帰りなさいませ、お嬢様。道中、ご無事で何よりです」

 

と、銀髪のメイドである、グレイフィアさんだ。

 

俺達は、グレイフィアさんの誘導で馬車へと向かっていく。馬車もまた、豪華絢爛な装飾がなされ、それを引く馬達もまた巨躯で屈強そうだった。

 

でっけえ馬だな。何だこりゃ? 黒○号? それとも吸○馬か?

 

ジーっと馬を見つめていると、鋭い眼光でこちらを睨み返してきたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

馬車には2組に分けて乗車することになり、一番前の馬車には俺と部長とアーシア、それと朱乃さんとゼノヴィアとグレイフィアさんが乗り、次の馬車に残りのメンバーが乗り込んだ。

 

馬の蹄が小刻みに鳴りながら馬車は、綺麗に舗装されて道を進んでいく。窓から外の風景を眺めていると、正面から巨大な建造物が飛び込んできた。

 

「えーと、あのお城が…」

 

「そうよ。あれが本邸で、お家の1つなのよ」

 

との回答が返ってきた。

 

へぇー、あれが本邸……しかも家の1つ…ですか。

 

俺は改めて、すごい方の眷属になったんだなぁと自覚したのだった。

 

馬車は、お城の庭らしきところに停車し、そこで下車となった。

 

部長が先に降り、俺達が後に続く、すぐに後ろの馬車が到着し、木場達も降りてくる。

 

俺達の目の前には、大勢の執事やメイドが両脇に整列し、1本の道を作っており、その中央に敷いてある赤いカーペットが城の方まで伸びている。巨大な城門が『ギギギ』と音を立てて開門すると…。

 

「お嬢様、眷属の皆様方、どうぞお進み下さい」

 

グレイフィアさんが会釈をしながら俺達を促した。

 

部長を先頭にカーペットを歩き出すと、メイドの列の間から小さな人影が飛び出し、部長へと駆け込んできた。

 

「リアスお姉様! お帰りなさい!」

 

「ただいまミリキャス。少し見ない間に大きくなったわね」

 

紅髪の小さな可愛い男の子が部長に抱きつき、部長もその子を愛おしそうに抱きしめた。

 

「部長、この子は?」

 

尋ねてみると…。

 

「この子はミリキャス・グレモリー。サーゼクス・ルシファー様の子供で、私の甥っ子よ」

 

とのことだ。

 

…なるほど、確かにサーゼクス様によく似ておられるな。

 

「ミリキャス・グレモリーです。初めまして」

 

とても丁寧な挨拶をいただいた。

 

「ご丁寧な挨拶、痛み入ります。私はリアス・グレモリー様の兵士『ポーン』、御剣昴です」

 

と、手を胸に当て、丁寧に挨拶を返した。

 

「ほんと、昴は変なところが真面目なんだから」

 

と、部長は苦笑を浮かべていた。

 

サーゼクス様の子供なのにグレモリーを名乗っているのは、ルシファーは魔王本人しか名乗れないかららしい。故に、部長の次の当主候補でもあるらしい。

 

「さあ、屋敷へ入りましょう」

 

部長はミリキャス様の手を繋ぎ、門の方へ歩き出した。俺達もそれに続いた。巨大な門を潜り、さらにいくつかの門を潜っていくと、玄関ホールとおぼしき場所へ着いた。前方には2階に続く階段が、天井には巨大なシャンデリアが。その広さは、もはや現実離れをしていた。

 

「お嬢様。早速皆様をお部屋にご案内をしようと思うのですが…」

 

「そうね。私もお父様とお母様に帰国の挨拶をしないといけないし」

 

「旦那様は現在外出中です。お帰りになるのは夕刻となっています。夕餉の席で皆様と会食をしながらお顔合わせされたいとおっしゃっておりましたので」

 

「わかったわ。それでは、一度皆にはそれぞれの部屋で休んでもらうことにしましょう。荷物はすでに運んであるのでしょう?」

 

「はい。お部屋はすぐにでもお使いなられても問題はございません」

 

とりあえず一息吐けるようだ。横のアーシアはフラフラだし、ギャスパーは俺の背中で怯えっぱなしだ。かく言う俺も壮大なお出迎えと事実を目の当たりして少し疲れた。とりあえず一息吐こう。

 

そう考えていたところ…。

 

「あらリアス。帰ってきてたのね?」

 

階段の上からドレスを着こなした部長と年恰好や顔がそっくりの美少女が降りてきた。唯一違うのは、髪の色が亜麻色なところと目つき少々キツめなところだろうか。

 

あの方は部長のお姉様か?

 

「お母様、ただいま帰りましたわ」

 

………っ!? お母様!? どう見ても姉と言っても過言ではないのですが…。

 

「ぶ、部長のお姉様かと思いました…」

 

思わずそんな感想を漏らすと、それを聞いた部長の母君様はクスクスと微笑んだ。

 

「まあ、お上手ですことね。あなたが御剣昴君ね?」

 

俺の名前を一目で言い当たられたことに少し驚愕した。

 

「娘の婚約パーティーの折に拝見させてもらったわ。扉を蹴破り、薔薇の花束を片手に現れたあなたのことは軽く語り草となっている程なのですよ?」

 

…あー……やっぱりその時にですか…。

 

「初めまして、私はリアスの母、ヴェネラナ・グレモリーです。よろしくね、御剣昴君」

 

と、ご丁寧に挨拶をされた。

 

こうして俺は、グレモリー家の壮大な歓迎を受け、部長の家族と対面したのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

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