ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.55~修行完結、再会する眷属~

 

 

 

「おぉぉぉーーーーーっ!!!」

 

「ぬぉぉぉーーーーーっ!!!」

 

 

――バチン! ゴッ! ブォン…!

 

 

俺とタンニーンは絶えず空中を駆け回り、飛び回りながら交差していく。すれ違いざまに一撃必殺の攻撃を繰り出していく。

 

一度、部長の別邸に戻り、部長の母君にダンスのレッスンを受け、小猫ちゃんの様子を見に行った後、再び山まで戻り、タンニーンとの実践稽古が始まった。

 

中断する前と同様、タンニーンと激しい戦いを繰り広げている。俺の身体は至る所傷だらけで、ジャージは上半身の大部分が吹き飛び、下半身は左脚の裾がなく、ところところに穴があいていた。靴はもう両足ともない。

 

タンニーンも同じく、全身の至るところに傷があり、戦いのすさまじさを物語っていた。

 

「おらぁーーーっ!」

 

俺は拳を握り、下からタンニーンに向けて拳を振りかぶった。

 

「ぬぅん!」

 

タンニーンも同時にその太い腕を俺に振るってきた。

 

 

――ゴッ!!!

 

 

俺とタンニーンの拳で腕が激突し、そこを中心に辺りに衝撃が轟いた。

 

「ぐぐぐぐぐっ!」

 

「ぬぅぅぅぅっ!」

 

両者が力を込めて押し合いを始めた。両者の力は互角。その場で押し合いを始めた。

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!』

 

俺は一気に力を倍化をさせた。身体にどんどん力が溢れてくる。

 

「おらぁっ!」

 

 

――バチィッ!!!

 

 

「ぬっ!」

 

渾身の力を込め、タンニーンの右腕を跳ね上げた。その衝撃でタンニーンの身体がのけ反った。

 

「いただき!」

 

俺はすかさずタンニーンの懐に飛び込んだ。拳を構え、一撃をぶち込もうとしたが…。

 

「甘いわ!」

 

 

――ドゴッ!!!

 

 

「がっ!」

 

タンニーンが咄嗟に振るった反対側の腕が俺に直撃した。

 

 

――ドゴォォォォォン!!!

 

 

その威力により、俺は凄まじいスピードで地に叩き付けられた。

 

「どうした! もう立てぬのか!」

 

タンニーンが俺に向けて声を発してきた。

 

…当然、まだ終わらない!

 

幸い、地に直撃した際に俺の周囲に砂埃が舞っているため、俺の姿はタンニーンから見えない。

 

 

――ゴゴッ!

 

 

地面に飛び込み、土の中を掘り進んでいった。

 

「いつまでそうしているつもりだ! 早くかかってこい!」

 

タンニーンの声は土の中にも聞こえてきた。

 

「(ここだ!)」

 

 

――ズボッ!!!

 

 

タンニーンの真下にまで移動したことを確認し、地中からその姿を現した。

 

「むっ!」

 

タンニーンは完全に不意を突かれ、対応に遅れていた。

 

「くらえっ!」

 

 

――ガツッ!!!

 

 

「ごはっ!」

 

俺の握り込んだ拳が、タンニーンの顎を捉えた。タンニーンは数メートル程弾き飛ばされるも、すぐに空中で体勢を立て直した。

 

 

――ゴォッ! ゴォッ! ゴォッ!

 

 

タンニーンは大きく口を開け、小さい火の球をこちらに数発吐き出した。

 

俺はその火の球を素早く回避した。

 

「っ!」

 

全弾回避したその時、眼前にタンニーンの姿があった。

 

「むん!」

 

 

――バキィッ!!!

 

 

「うがっ!」

 

タンニーンの腕の一撃を再びくらい、弾き飛ばされた。

 

「ちっ!」

 

 

――ズサササッ!!!

 

 

俺は魔力で足元に足場を創り、それをブレーキ替わりにして急停止をした。

 

 

――ドォン!!!

 

 

停止すると、再びタンニーンに向けて突っ込んでいった。

 

 

――バチィン!!!

 

 

俺の右拳がタンニーンを捉える。

 

 

――バキィッ!!!

 

 

すぐさまタンニーンが反撃を加えてきた。

 

 

――バキィッ! ゴッ! ブォン! バチィン!

 

 

俺は空中縮地を繰り返しながら、タンニーンは翼を羽ばたかせ、旋回しながら激突を繰り返していく。

 

「ぐっ!」

 

「がっ!」

 

一方が一方に繰り出す打撃を受け、互いの顔が苦痛に歪む。

 

 

――バキィッ!!!

 

 

同時に両者の拳が激突すると、両者の間に距離ができた。

 

 

――ドォン!!!

 

 

――ブァサッ!!!

 

 

両者が同時に飛び出した。

 

「「おぉぉぉぉーーーーっ!!!」」

 

俺はありったけの力を拳に込めた。タンニーンからも並々ならぬ力の波動を感じる。

 

距離がどんどん縮んでいく。渾身の力を込めた一撃を両者が撃ちこもうとしたその時!

 

 

 

――ビュン!!!

 

 

 

「「っ!?」」

 

俺とタンニーンの間を何かが通過した。俺とタンニーンは思わずその動きを止めた。

 

…なんだ?

 

何を通過したかを確認するためにそちらに視線を向けてみると、そこには光の槍が突き刺さっていた。今度はその光の槍が飛んできた方向を向いてみるとそこには…。

 

「ったく、お前らはあれか? バカか? バカなのか? どんだけ白熱すりゃ気が済むんだよ…」

 

呆れた表情でこちらを見ていたアザゼル先生がいた。

 

「危ないだろ!」

 

「貴様、何を考えている!」

 

俺とタンニーンが同時に抗議をした。

 

「お前らが何度も声をかけてもやめねぇから悪いんだろうが!」

 

アザゼル先生はキレ気味に俺達に言ってきたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「はぁ!? 修行を再開してから今日まで休まず戦い続けただぁ!?」

 

アザゼル先生が目を見開きながら驚愕した。

 

部長の母君にダンスのレッスンを受け、小猫ちゃんのお見舞いに行った翌日の朝にこの山に戻ってきたわけだが、その日から今に至るまで俺とタンニーンは飲まず食わず休まずで戦い続けていた。

 

本日は8月15日。修行を再開したのが8月9日なので、6日間も永遠戦い続けたことになる。

 

それを説明したらアザゼル先生は驚愕の後に呆れかえっていた。

 

「いやー、いい修行になりました。ありがとうございます。タンニーンさん」

 

「よい。俺もこのような熱い戦いをしたのは久しいことだったからな」

 

俺が礼を言うと、タンニーンは豪快に笑っていた。

 

「また機会があったらよろしくお願いします。タンニーンさん」

 

「…敬称など不要だ」

 

「えっ?」

 

「『さん』などという敬称は不要だと言ったのだ。それとその堅苦しい敬語もよい。俺とお前はこれより対等だ。上も下もない。無二の友だ」

 

突如、タンニーンからこのような申し出がでた。

 

「…ですが、俺は下級悪魔で、あなたは最上級悪魔なんですよ?」

 

タンニーンは言ってみれば、部長よりも位が高い方だ。いくらなんでもそれは…。

 

「ハッハッハッ! 下級だの最上級だの、そのような小さいことを気にするな! 公の場でならともかく、我らだけの時は不要だ」

 

タンニーンが豪快に笑うと、俺の方を見据えてきた。

 

「お前のその強さとその人柄が気に入ったのだ。俺を相手にあれほど戦いができる者は過去に数える程しかいなかった。年甲斐もなく心が躍った。お前もそうだろう?」

 

「…」

 

その通りだ。俺はこの18日あまりの修行。怪我もしたし死にかけたりもした。だが、このような気持ちのいい御仁との戦いの日々は心が躍るようだった。

 

己の力とプライドを武器にしての戦い。俺はそんな戦いが大好きだ。

 

「我が友、昴。また機会があれば再びこのような戦いを興じよう。俺はいつでも付き合ってやる」

 

そう言うと、俺に腕を差し出した。

 

そうか。タンニーンは身分なんか関係ない、ただのタンニーンとして接してほしい。そう言っているのか。…ハハハッ。やっぱ、この方は気持ちのいい方だな。

 

「ああ。タンニーン。また戦ろうぜ」

 

俺はニコッと笑い。タンニーンの腕に俺の腕を絡めた。タンニーンも同様に笑顔で絡めてきた。

 

俺とタンニーンは身分の差を超えた莫逆の友となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「どうでもいいけどよ。良いのか、あれ?」

 

アザゼル先生が指を差しながら呟いた。指差した方向には、ところどころ煙が上がった更地があった。

 

「俺は知らねえからな」

 

そう言って、部長の自宅の方へ歩いていった。

 

「……なあ、タンニーン」

 

「……なんだ?」

 

俺は冷や汗を流しながらタンニーンを呼んだ。同じような表情でタンニーンが返事をした。

 

「ここって、こんな綺麗な更地だったっけ?」

 

「……いや、俺の記憶では、綺麗な森林が生い茂った山だったはずだ」

 

そうだ。ここは確かに山だった。だが、今ではその光景は見る影もなく、木々は消し飛び、山は抉れに抉れ過ぎたため、もはやそびえ立つものがほとんどなかった。

 

「「…」」

 

一度部長の母君に呼ばれる前の時は豪快に笑っていたタンニーンも、これには笑い飛ばすことができず、引き攣った顔でその光景を眺めていた。

 

「……謝ったら許してくれるかな?」

 

「……案ずるな、俺も共に謝りにいく。責は共に受けよう」

 

俺達は不安を抱えたまま、部長宅に戻ることになった。

 

最悪、この辺の土地を貰おう。確か、領地をくれるって言ってたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

部長宅の本邸に戻り、早々に部長と父君と母君に事情を話し、謝罪をすると、両名は特に気にする素振りを見せず、笑って許してくれた。

 

「グレモリー卿の器の大きさには頭が下がるばかりだ。それでは俺はこの辺でお暇しよう。今度の魔王主催のパーティーには俺も出席する。ではな、我が友、昴、そしてドライグよ」

 

「ああ。またパーティーでな、我が友、タンニーン」

 

『礼を言うぞ、タンニーン。また会おう』

 

「長生きすると何が起こるかわからんな。何せ、あのドライグに協力したのだからな。そうだ、パーティーへは俺の背に乗って行くか?」

 

「良いのか?」

 

「構わん。当日は俺の眷属を連れてここへ来よう。詳しいことはあとでグレモリーに連絡を入れておく」

 

話しがわかるヒトだな。

 

「では後ほどな。さらばだ!」

 

 

――バァサッ!!!

 

 

タンニーンは翼を広げ、空へと消えていった。

 

『甘い龍王だ』

 

「気持ちのいいヒトだ。ああいうヒトは男女問わず好きだがな。ああいうドラゴンはいいものだな」

 

『お前もドラゴンであるんだぞ? 俺もな』

 

と言っても、実感があんまり沸かないな。人間から悪魔になって、と思ったらドラゴンになったり。

 

「久しぶり、昴君」

 

「ん?」

 

背後から声をかけられたので、振り向くと、そこには木場の姿があった。着ているジャージはボロボロで、修行の過酷さが窺えた。

 

身に纏うオーラが濃くなっている。確実に強くなっている。

 

俺はゆっくり木場に歩み寄り、右手に村雨を発現させると…。

 

 

――ギィン!!!

 

 

木場の首元目掛けて村雨を振るった。木場は咄嗟に魔剣を創造し、それを防いだ。

 

 

――ギン! ガキン! ガギィン! ギィン!!!

 

 

俺と木場はそのまま斬り合いを始めた。

 

 

――スッ…。

 

 

木場の横をすり抜け、そのまま木場の胴を狙った。同じタイミングで木場も俺の首を狙ってきた。

 

 

――ピタッ…。

 

 

俺の村雨は木場の腰元ギリギリで止まり、木場の魔剣は俺の首元ギリギリで止まった。

 

「……やるな。身体能力だけじゃなく、剣術の格も上がったじゃないか」

 

俺はニヤリと笑いながら木場に言った。

 

「まあね。君と並んで戦えるようになるために鍛えたからね」

 

木場もフッと笑いながら言った。

 

「ハッハッハッ! 偉そうに言うのもなんだが、これなら安心して部長のことも俺の背中も任せて戦えるよ」

 

俺は村雨を手元から消した。

 

「君にそう言ってもらえたなら、修行した甲斐があったよ」

 

木場も魔剣を手元から消した。

 

 

――バチン!

 

 

そして、お互いが右手を上げ、音を鳴らしながら右手を合わせた。

 

「おや、昴に木場。もう戻っていたか」

 

聞き覚えのある女の子の声。振り向くとそこには…。

 

「おー、斬新なコスプレだな。ピラミッドの棺桶にでも入るつもりか?」

 

そこには包帯で全身グルグル巻きにしたゼノヴィアがいた。

 

「そんなわけがないだろう。修行して怪我をして包帯を巻いて、これを繰り返していたらこうなった」

 

「限度を考えろよ。もはやミイラじゃねぇか…」

 

「まさか、私は永久保存されるつもりはさらさらないぞ?」

 

「あ、さいですか」

 

こいつは相変わらずか。だが、強くなっているのは見て取れた。やってることはアホだが、その成果はあったようだな。

 

「スバルさん! それに木場さんもゼノヴィアさんも、お久しぶりです!」

 

城門からシスター服姿のアーシアが現れた。

 

「久しぶり、アーシア」

 

俺が手を上げてその声に応えた。

 

アーシアは久しぶりの再会に感極まって俺達に走り寄ってきたが、俺の服の状態をその目で捉えると、みるみる顔が赤くなっていった。

 

「ス、スバルさん! 服を……服を着てくださーーーい!」

 

手で両目を覆い、視界を遮った。だが、心なしか、指の隙間からチラチラこちらを見ているような…。

 

「外出組は全員戻ってきたようね」

 

新たに声が、それは我らが主である部長だった。

 

「部長。ただいま戻りました」

 

久しぶりの部長の姿に僅かに感極まるものがあった。一度別邸に戻った時は残念ながら行き違いで部長と顔を合わせることができなかったため、会うのはあのアザゼル先生のミーティング以来だ。

 

「昴!」

 

部長が俺を見るや否や俺に抱きしめた。

 

「あの、部長……俺、全身汗臭いし、汚れているのでくっつかない方が…」

 

俺は上を見ながら言った。

 

「汗は汚い物ではないわ。この汚れはあなたの頑張った証でしょう?」

 

そう言いながら俺の頬に頬擦りしてきた。

 

あぁ、部長の甘い匂いと感触が…。

 

「さぁ、皆。シャワーを浴びて着替えたら修行の報告会を始めるわよ」

 

こうして、部長とグレモリー眷属の修行が終了したのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

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