投稿します!
新章突入です!
ない頭と想像力を駆使してご披露します…(笑)
それではどうぞ!
Life.63~面談、辺境の地へ~
シトリー眷属とのレーティングゲームから2日が経った。
匙の神器で血液の半分以上を抜かれた俺だが、血液を補充し、たくさん飯食って、たくさん睡眠を取ったら2日後には元通り回復していた。さすが悪魔ってところだな。
ゲーム終了後、グレモリー家の本邸へと戻ってきた俺達。部長の母君はそんな俺達の戦いを労ってくれた。
だが、部長だけは後で個人的に叱られたようだ。下馬評とは違い、大いに苦戦させられたことが少々不満だったらしい。部長はそのお説教を歯を食い縛りながら胸に刻んでいた。
お叱りが終えると、『よく頑張りましたね』と、優しく部長を抱きしめたという。
なんだかんだで、ゲーム初勝利は嬉しい出来事だったのだろう。
そして、2日後の朝。俺は鈍った身体を叩き起こすべくトレーニングを始めた。ひとしきりトレーニングをして本邸に戻ると、そこには来客があった。
「おっ、やっと戻ってきたか」
軽く手を上げながら出迎えてくれたのはアザゼル先生だ。その横には…。
「やっほ☆ 赤龍帝ちゃん!」
横チェキで挨拶をしてくるセラフォルー様の姿があった。
「アザゼル先生、それにセラフォルー様も。いったいどうしたんです?」
「ああ。昴、お前にちょっとした依頼だ」
「依頼?」
部長やグレモリー眷属にではなく、俺個人にってことか?
※ ※ ※
部長を始めとするグレモリー眷属とアザゼル先生とセラフォルー様がダイニングルームに集まり、それぞれ椅子に座った。
「それで、昴に依頼とはどういうことかしら?」
部長がアザゼル先生に切り出した。
「まあ、正確に言うとだな、お前に会ってみたいという奴がいてな」
「俺に、ですか?」
たったそれだけ? にしては何やら大仰だな。
「昴に?」
部長が怪訝そうな表情で聞き返す。部長も俺と同じ感想抱いたみたいだ。
「ああ。ただ、その会いたいって言ってきた奴がちょっとな…」
アザゼル先生が頭を掻きながら言う。
「危険な者なのですか?」
朱乃さんが真顔で尋ねる。
「いや、そういうわけじゃないんだが…」
「いったい、誰なの?」
部長が問う。アザゼル先生は意を決して言った。
「……カッシュ・マルバスだ」
『っ!?』
部長と朱乃さん。木場と小猫が驚愕の表情をする。アーシアとゼノヴィアは『?』を頭に浮かべている。
「それは本当なの?」
「ああ。昨日、セラフォルーの奴にカッシュから直接通信が入ってな」
部長とアザゼル先生が何やら話し込んでいる。
「あ、あの、そのヒトはいったい…」
アーシアがおずおずと尋ねた。俺も気になる。
「カッシュ・マルバス様。現存する悪魔の中でも最高齢の方よ」
最高齢の悪魔?
「さらに言うと、三大勢力がまだ戦争をしていた時、旧四大魔王様の相談役をされてた方でもあるよ」
木場がそう補足する。
旧魔王の相談役か。なら、この間の若手悪魔の会合に来てたのかな? けど、マルバスって確か…。
「マルバスというと、確か断絶した72柱の悪魔の一族でしたよね?」
俺はグレモリー家の教育係の悪魔からそう教わった。
「ええ、そのとおりよ。けれど、マルバス家は断絶しているけど、消えてなくなってしまったわけではないのよ?」
「そうなんですか?」
部長が続けて説明をしてくれた。それによると、悪魔の72柱の中には、何らかの事情で断絶してしまったお家があるのだが、必ずしも滅んでなくなったわけではなく、中には何らかの形で現存しているという(例として、多種族の者と子を成したり等)。
そして、今名前が出たカッシュ・マルバスというのは、その本人は純血の悪魔なのだが、お家のみ断絶しているという。
そういや、前にグレモリー家の教育係のヒトからそう習ったな。
「でも、何故昴君に…。カッシュ・マルバス様は現政府とはほとんど関わりを断っていると聞いていますわ」
「ええ。現にお兄様も何年も顔を合わせていないと聞いているわ」
サーゼクス様でさえそうなのか。そんな方がどうして俺に。
「昴に会いたい理由は、昴が赤龍帝だからかしら?」
「うん! カッシュ様はそう言ってたわよ☆」
やっぱりそうか。俺がそんな偉人の方の注目を向けられるところなんかそれしかないわな。
「カッシュ様の直々の要望となると、無視はできないわね。それで、それは今すぐかしら?」
「ああ。すぐにでも向かった方がいいな」
それを聞くと、部長が眉を顰めた。
「困ったわね。昴が行くとなると、主である私も行かなければならないわね。けど、私はこれから報告会に出向かなければならないのよ」
報告会? ……ああ、そういや、部長は冥界に帰郷する前に悪魔学校に必要な単位を取得するために魔物の生態をレポートしてたっけ。この間そのためにクリスティとかいう雪女とテニス勝負もしたし。
そのレポートの発表と共にその研修が今日明日に亘って行われるらしい。ちなみに、女王『クイーン』である朱乃さんも同伴するという。
「それを放り出す訳にもいかないだろ。お前と朱乃はそっちを優先しろ」
「大丈夫。私がちゃんとよろしく伝えておくから☆」
「わかりました。それではよろしくお願い致します。セラフォルー様」
部長が申し訳なさそうに2人に頭を下げた。
※ ※ ※
それからすぐ準備を整えると、シトリー家が用意した馬車に乗り込んだ。
一緒に行くことになったメンバーは俺とアーシアと小猫だ。
ゼノヴィアは残って修行をするという。この間のゲームでは不甲斐ない結果となってしまったので、とにかく自分を鍛えたいらしい。木場は部長と朱乃さんの護衛として付いていった。
ちなみにギャスパーはニンニク攻撃であっさりリタイヤをした罰でニンニク地獄の刑にしたら目を回して失神してしまっため、お留守番だ。
カッシュ・マルバスという方がいるのはシトリー領を越えた先にある隔離施設らしい。
「ああ、緊張するな。人間国宝ならぬ、悪魔国宝とも言われる方にお呼ばれなんてな」
横でそわそわしている匙。
途中、シトリー領に立ち寄り、シトリー眷属の匙を拾っていった。どうやら、匙も俺と同様に呼ばれたらしい。
匙の他にはシトリー眷属の戦車『ルーク』である由良さんが会長の代行で来た。会長も部長と同様に研修に参加しなければならないため、行くことが出来ないからだ。
くれぐれも失礼がないようにと匙と由良さんに言葉を残していった。
俺とアーシアと小猫、匙と由良さん、アザゼル先生とセラフォルー様でカッシュ・マルバスのもとに向かうこととなった。
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・・・・・・・
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馬車を走らせること3時間程が経ったところで馬車が止まった。
馬車を降りると、視線の先には大きな密林があり、その手前に1人の白髪に白髭を蓄え、執事服に身を包んだ一見して老人のような方が立っていた。
「お待ちしておりました。ここから先はカッシュ様の執事をさせていただいております、バロウズ・C・マイヤーがご案内致します」
胸に手を当てながら挨拶をしてきた。
「やっほ☆ 久しぶりだね、バロウズのおじいちゃん☆」
「これはこれはセラフォルー様。ご機嫌麗しゅうございます」
軽い感じに挨拶をしたセラフォルー様ににこやかな笑みを浮かべてそう返した。
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バロウズさんを先頭に密林を進んでいく一同。
セラフォルー様曰く、このバロウズさんは冥界のあらゆる貴族に仕える執事の中でも五指に入るほどの実力と器量を持った執事らしい。
マルバス家が断絶した際、至るところから奉公のオファーが来たらしいのだが、その全てを断り、今でもカッシュ・マルバスに奉公しているらしい。
俺はいろいろ気になったことをトルバスさんに質問してみた。
「カッシュ・マルバスという方は旧魔王の相談役をされていた方なんですよね? そんな方がどうしてこんな辺境の地で現政府と関わりを断ちながら過ごしているんですか?」
「……ふむ。少々込み入ったお話になりますが、お話しましょう」
バロウズさんは声のトーンを少し落としながら説明してくれた。
カッシュ・マルバスが旧四大魔王の相談役という地位につけた理由は、自身が持つ膨大な知識と頭の良さ。後は、悪魔としてかなりの異色な能力によるものらしい。
「カッシュ様の持つお力、それは『予言』のお力でございます」
「『予言』ですか?」
「カッシュ様は未来を見通すお力を備えているのです」
未来を見通す力…。とんでもない能力だな。
「カッシュの予言には俺達堕天使も大戦中そうとう苦労させられたよ。何しろ、こっちが頭捻って立てた作戦が全部読まれちまうんだからな」
アザゼル先生が苦々しい表情をしながら言った。
そりゃそうだ。未来を見通す力なんて、軍師泣かせもいいところだ。相手の動きに先回りして動けばいいだけなんだからな。
「そんな力を持つ家がどうして断絶なんかに…」
「……カッシュ様はしてはならない予言をしてしまったのですよ」
バロウズさんは悲しげに俯きながら言った。
「してはならない予言?」
「……旧四大魔王様の死です」
『!?』
旧四大魔王の死…。
「その予言を聞き、ルシファー様をはじめとする魔王様方は激昂されました。話は極刑になるところまで進んだのですが、周りの側近方のとりなしもあり、極刑は免れましたが、お家は断絶となり、カッシュ様はこの辺境の地で幽閉されることとなりました」
それでこんな辺境の地に…。
「その後、カッシュ様の予言通り、旧四大魔王様方がお亡くなりになり、その後、現ルシファー様であるサーゼクス様やセラフォルー様方が政権を奪取し、それから幾度か現政府への参加の打診がありましたが、それを断り、今でもこうしてこの地でひっそりと暮らしております」
全てを話し終えると、バロウズさんはフゥッと一息吐いた。
「此度は、先日行われたレーティングゲームの映像をセラフォルー様からいただきまして、それをご覧になったカッシュ様があなた方に興味を持たれ、失礼ながらこうして足を運んでいただいた次第でございます」
あの試合を見られたのか。
「セラフォルー様とは連絡を取ってるんですか?」
「そうだよ☆ カッシュ様は私が小さい頃からの大の仲良しなんだから☆」
大の仲良しって…。
「到着致しました」
そうこう言ってる内に到着した。だが、そこはさっきまでと変わらない密林があるだけだった。
バロウズさんが数歩前に出て指を前に出し、まるで何かのボタンを押すかのように指を動かすと、そこから水辺の波紋のようなものが現れた。それと同時に…。
――カッ!!!
「っ!?」
大きな光と共にその場に特大のドーム状の結界のようなものが現れた。
「この結界の中にカッシュ様がおられます。この結界は旧四大魔王様が張られた結界でございます。入り口はこちらに…。決して結界に触れることがないように。触れてしまうと最悪死に至りますので…」
危ない結界だな、おい。
「それじゃ、ちゃっちゃと会ってこい。俺とセラフォルーはここで待ってるからよ」
「アザゼル先生達は行かないんですか?」
「俺とセラフォルーは野暮用だ。すぐに終わる。お前達は気にせず行ってこい」
「……わかりました。そういうことなら俺達だけ行ってきます。それじゃ、行くか」
「は、はい!」
「お、応!」
「はい」
「うむ」
上からアーシア、匙、小猫、由良ちゃんが返事をした。
俺と匙。アーシアと小猫。それと由良さんはアザゼル先生達に見送られながら結界の入り口を潜っていった。
※ ※ ※
アザゼルside
昴達が結界の中に入っていった。
――よし、入ったな。
「バロウズ。結界を閉じろ」
「かしこまりました」
俺が指示を出すと、バロウズは再び結界を操作し、結界を不可視の状態にした。
「これであいつらとカッシュは大丈夫だろう。…それで、奴は必ず来るんだな?」
「うん。必ず来るわ。カッシュ様を連れ去りに必ず…」
俺の質問にセラフォルーが答える。
さっきまでの元気がなくなったように見えるが……まあいい。
「それじゃ、手筈通りにするぞ。各自、配置に着かせろ」
『はっ!』
俺の通信からの指示に部下達が返事をする。
今回のカッシュとの会談。これには並行してもう1つの目的がある。それは、カッシュを連れ去りにくる禍の団(カオス・ブリゲード)の奴等を殲滅することだ。
リアス達のレーティングゲームが終わった直後、ある情報が入った。禍の団(カオス・ブリゲード)のある一団がカッシュ・マルバスの誘拐を画策していると。そこにカッシュ本人からの会談依頼だ。カッシュのことだ。偶然ではないんだろうよ。
これは、昴達やリアス達には話してない。知ったら昴はともかく、リアスはこの会談に反対するだろうからな。
カッシュは正直、奴等にとってもそこまでの重要な要人ではない。だが、1人、危険を冒してまで奪取にくる奴がいる。俺達はここでそいつを迎え撃つ。
――さて、おっぱじめるとするか……。
続く
感想、アドバイスお待ちしています。
それではまた!