ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.66~過去の怨嗟、失われし絆~

 

 

 

突如襲来した旧魔王の末裔の1人のカテレア・レヴィアタン。その目的は、カッシュ・マルバスさんの誘拐。

 

カテレアの矛先がこっちに向けられたその刹那、そこに現れたのは現魔王のセラフォルー・レヴィアタン様だった。

 

俺達は、カテレアの相手をセラフォルー様に任せ、カッシュさんの護衛をしながら森を進んでいた。

 

先頭を匙と由良さん。その後ろにカッシュさんが続き、そのさらに後ろをアーシアと小猫が並び、俺が殿を努めている。

 

「…」

 

カテレアが追ってくる気配はない。普通に考えれば、セラフォルー様が足止めをしてくれていると考えるところだが…。

 

「…(チラッ)」

 

妙だ。俺達の後方に位置するカッシュさんの屋敷から戦闘が行われている気配がない。やけに静かすぎる。

 

「……気にかかりますか?」

 

カッシュさんが足を止めて俺に尋ねてきた。

 

「……はい」

 

さっきのセラフォルー様は、正直腑に落ちない。自分1人で相手をすると言った時のあの目は、戦いに臨むものそれではなかった。

 

「そうですか」

 

そう唸るように呟くと、カッシュさんは、意を決したかのように話しはじめた。

 

「やはり、あなたにはお伝えしなければならないようですね。私が垣間見た運命を…」

 

垣間見た運命? それは、さっき言おうとしたことか?

 

「私が見た運命とは、セラフォルーの死です」

 

「「「「!?」」」」

 

その言葉に、その場にいる全員が驚きを隠せなかった。

 

「そ、そんなことあるかよ! セラフォルー様は魔王で、めちゃめちゃ強いんですよ!? いくら相手が旧魔王の末裔だからって、やられるわけないですよ!」

 

匙が信じられないと言った表情で叫ぶ。

 

俺もその意見には同感だ。

 

「匙元士郎君の言うとおり、現状での力量はカテレアよりセラフォルーの方が上でしょう。カテレアは、何か力を増大させるものを使用しているみたいですが、それを考慮しても同様です。ですが、セラフォルーにカテレアは殺せません。いえ、戦うことすらできないでしょう」

 

「どういうことですか?」

 

「お話しましょう。セラフォルーとカテレアの関係を…。そして、その2人を繋いでいたもう1人のことを…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

セラフォルーside

 

カッシュ様は赤龍帝ちゃん達が連れていってくれた。あの子達が付いていればきっと大丈夫。

 

「…どうしました、セラフォルー。私を屠りにきたのでしょう? 互いに時間に余裕はないのですから、早々に始めましょう」

 

カテレアちゃんが私に敵意と殺意を向けてくる。

 

 

――私は魔王レヴィアタン…。

 

 

魔王として、カテレアちゃんと戦わなくちゃいけない。

 

それが私の努め……でも…。

 

「カテレアちゃん…、やめよ? 私はカテレアちゃんとは戦いたくないよ…」

 

「何ですって?」

 

これは私の本心。

 

「お願い。テロなんてもうやめて。私達のところに来て。カテレアちゃんのことは絶対私が悪いようにはしないから。だから…!」

 

「ククククッ、アハハハハッ!」

 

私の言葉を聞いてカテレアちゃんが笑い出した。

 

「カテレアちゃん?」

 

「アハハッ、なるほど、そういうことですか。また私を罠にかけようということですか。あの時のように…」

 

「っ!? 違うわ! 罠なんて私は…! あの時だって!」

 

「今のあなたには私がさぞかし滑稽に映るでしょう? 罠にかかり、レヴィアタンの座を奪い取られ、今や、テロリストにまで身を落とした私のことが」

 

「違う…。そんなこと思ってない。私は今でもカテレアちゃんのことを…」

 

「黙りなさい!」

 

カテレアちゃんの怒声に私は身を竦めた。

 

「私は今でも忘れませんよ。いや、忘れられるわけがありません。あなたが私にした事を…。あなたが私から奪ったものを…。あなたが……あなたが…!」

 

「私は…」

 

「かつて私は、あなたのことを無二の友と思ってました。少なくとも、あの時までは私はそれを疑いもしませんでした。ですが、あなたはそれを裏切った。そして、私から奪った。レヴィアタンの名を、そして、あの子を!」

 

「っ!」

 

あの子……それは、私のもう1人のお友達。

 

「あの日。あの子はあなたのせいで死んだ。あの優しかったあの子が、あなたが企てた卑劣な罠のせいで!」

 

あの日…。それは、私とカテレアちゃんを引き裂くことになってしまった忌まわしい日。カテレアちゃんをテロリストにまで貶めてしまうことになってしまったあの日。

 

「何度も後悔しましたよ。あの日。あなたの言葉を信じなければと・・・。あなたのその醜い性根にもっと早く気付いていればと・・・」

 

「違う……違うよぉ…、あの日。あんなことになってしまったのは確かに私のせい。でも、私は! あんなことになるなんて思わなかったの!」

 

カテレアちゃんと私が言うあの日。それは、今からずっと昔の話し。

 

私達にとって、とても大切なものを無くしてしまったあの日。

 

それは、私達の絆と、私のもう1人の大切なお友達であり、カテレアちゃんの大切な妹、メリーナ・レヴィアタンを失ったあの日…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

それは、まだ三大勢力同士が戦争をしていた時のこと。四大魔王様が亡くなって、悪魔の世界は、徹底抗戦を唱えるタカ派と、停戦し、種の存続を訴えるハト派に分かれることになった。

 

私はハト派で、四大魔王様の末裔のカテレアちゃんはタカ派。

 

戦いが始まっちゃえば、カテレアちゃんと戦わなくちゃならない。仮に私が戦わなくても、他の誰かにカテレアちゃんが殺されちゃうかもしれない。

 

だから私は、カテレアちゃんを説得しようと、密かに連絡を取って呼び出した。

 

『大変なことになっちゃったね』

 

『……まったくです』

 

『私は、カテレアちゃんとは戦いたくないよ…』

 

『……私だって同じ気持ちです。セラ、あなたとは戦いたくはありません』

 

カテレアちゃんは当時、私の事をセラという愛称で呼んでくれていた。

 

『ですが、私はレヴィアタンです。先代の意思を継ぎ、天使と堕天使を滅ぼし、悪魔による清浄なる世界を目指さなければならない』

 

『でも! カテレアちゃんはホントはそんなことしたくないんでしょ?』

 

『…』

 

私はカテレアちゃんのことはよく知ってる。カテレアちゃんはとっても優しい娘だから、心の底からそんなこと望むはずがない。

 

『ダメだよ。いくら先代様の悲願だからって、戦うのはダメだよ。戦ったら、いっぱい死んじゃうんだよ? いつか、カテレアちゃんだって死んじゃうかもしれないんだよ?』

 

『わかっています! ですが……もうどうしようもないのですよ…』

 

カテレアちゃんはとても辛そうな顔で言った。

 

『諦めちゃダメだよ! きっと道はあるはずだから。だから、一緒に考えよ?』

 

『セラ…』

 

きっと道はある。カテレアちゃんと戦わずにすむ道が…。

 

でもその時、思いもよらない事態が私達を引き裂いた。

 

『今だ! カテレアを討ち取れ!』

 

どこからともなく現れた悪魔達がカテレアちゃんに攻撃を始めた。

 

『くっ!』

 

カテレアちゃんは後退し、攻撃をかわした。

 

私の横にやってきた悪魔達が並んだ。その顔に見覚えがあった。それは、カテレアちゃん達タカ派に対立している私と同じハト派の悪魔だった。

 

『よくやってくれた、セラフォルー! この周囲一帯はもうすでに包囲した。ここでカテレアを討ち取るぞ!』

 

私には何を言っているのか、何を言われているのかわからなかった。

 

『セラ…、これはどういうことですか?』

 

カテレアちゃんが私を戸惑いと怒りが混じったような顔で見ている。

 

『総員かかれ! 今こそカテレアを討ち取るチャンスだぞ!』

 

一帯を包囲している悪魔達がカテレアちゃんに一斉攻撃を始めた。

 

『セラ! あなた、謀りましたね!』

 

カテレアちゃんが怒りと侮蔑を込めた形相で私を睨みつけた。

 

 

――違う! 私は何も…!

 

 

私は皆を止めようとした。

 

『セラフォルーを押さえろ!』

 

でも、私は複数の悪魔に拘束された。抵抗したくても、私の魔力を抑える為の特殊な対抗魔術をかけられたため、抵抗も出来なかった。

 

私はすぐに理解した。私が密かにカテレアちゃんに会うことが知られていた。そしてそこを狙われたことを。

 

『ぐっ! この…!』

 

カテレアちゃんは必死に応戦してるけど、不意を突かれたことと数が多すぎるために苦戦している。

 

『死ねぇっ!』

 

死角を突いた1人がカテレアちゃんを狙った。

 

『お姉ちゃん!』

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

そこにカテレアちゃんを守るために飛び出してきたのが…。

 

『メリーナ!』

 

メリーナちゃん。カテレアちゃんの妹で、私のもう1人のお友達。

 

『お姉ちゃん、早く逃げて!』

 

メリーナちゃんが防御の魔方陣で攻撃を防ぎながらカテレアちゃんに向けて叫ぶ。

 

『お姉ちゃん……早く……私が――』

 

 

――グショッ!!!

 

 

そのとき、メリーナちゃんの胸を魔力の弾が貫いた。

 

『お姉ちゃん……にげ…』

 

メリーナちゃんは崩れるように倒れた。

 

『メリィィィィィナァァァァーーーーッ!!!』

 

カテレアちゃんの絶叫が辺りに響き渡った。

 

そんな……メリーナちゃんが…。

 

カテレアちゃんがメリーナちゃんの周りにいる悪魔を消し飛ばし、メリーナちゃんを抱き上げる。

 

その後は、私は茫然として見ていることしかできなかった。

 

異変に気付いたクルズレイ・アスモデウスが救援に来たこと。

 

そして、カテレアちゃんが私に向けた言葉…。

 

『セラフォルー! 私はあなたを許しません! 友を裏切り、メリーナの手に掛けたあなたを!!!』

 

怒りと憎しみを込めた言葉を、私は黙って聞いてることしかできなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

後で知ることになったことだけど、私とカテレアちゃんが密会することが知られていて、私がタカ派に寝返る可能性を示唆したハト派のおじ様達が、私には内緒で襲撃計画を企てたことを後で聞かされた。

 

私が首謀者であるかのようにカテレアちゃんに知らせ、私とタカ派の頂点の一角のカテレアちゃんが敵対するように仕向けた。

 

こうすれば、私とカテレアちゃんが敵対してしまえば、私が裏切ることはないと判断して…。

 

本格的に戦争が始まる前に旧魔王様の末裔のカテレアちゃんを討ち取れれば戦いを有利に進められると判断して…。

 

…私は許せなかった。メリーナちゃんを手に掛け、私とカテレアちゃんの友情を利用したハト派のおじ様達を…。

 

でも、何もかも遅すぎた…。

 

「あの後、程なくしてメリーナは死にました。あなたの姦策のせいで…」

 

「っ!」

 

「あなたが新政府のレヴィアタンの名を襲名したと聞いた時、私の憎しみは一層に増しましたよ。あなたは始めから、そんなことのために私を裏切ったのだと……いえ、そもそも私に近づいたことさえも…」

 

「違う……私は…」

 

「今のあなたは、狗にも劣る醜い存在ですよ」

 

…カテレアちゃんの口から聞きたくない言葉ばかりが紡ぎだされていく。

 

もう、戻れないの? …私とカテレアちゃんとメリーナちゃんで笑いあっていたあの頃に…。

 

「もはや、あなたと交わす言葉はありません。醜さと罪を抱えて死になさい」

 

カテレアちゃんが手に魔力を集め、私に向けた。

 

「お願い……もうやめて。…カテレアちゃんとは戦いたくない。私にできる事なら何でもするから。だから…!」

 

私はもう、両の目から溢れる涙を止めることができなかった。

 

「何でもする……ですか。いいでしょう。なら…」

 

カテレアちゃんが蔑んだ目を私に向け…。

 

「さっさと死になさい」

 

「っ!?」

 

私に言った。

 

その目に一片の心もこもってないことがよくわかった。

 

 

――ドォン!!!

 

 

「ぐぅっ!」

 

私の胸に衝撃が走った。カテレアちゃんの魔力の弾を撃たれた。

 

 

――ドォン! ゴォン! ボォン!!!

 

 

立て続けに私の身体に魔力の弾をぶつけられる。私は成すがままに受け続ける。

 

「どうしました? 抵抗したらどうです?」

 

嫌……カテレアちゃんとは戦いたくない…。

 

 

――ドゴォォォォン!!!

 

 

「きゃあ!」

 

一際大きな一撃が私の胸に直撃した。その衝撃で、後方に大きく吹き飛ばされる。

 

「ぐっ…」

 

私の全身に激痛が走っていく。私が顔を上げると、眼前にカテレアちゃんがいた。

 

「さよなら、セラフォルー。せめてもの慈悲です。苦しむ間もなく殺してあげます」

 

カテレアちゃんが手に魔力を大量に集め始めた。

 

もう、ダメなんだね…。私の言葉はカテレアちゃんに届かないんだね…。

 

ごめんね、ソーナちゃん。私、もうダメみたい。

 

ごめんね、サーゼクスちゃん。魔王失格なことをして…。

 

ごめんね…。

 

ごめんね――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――カテレアちゃん……メリーナちゃん…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はギュッと目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何も起こらない。私は訳がわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

両目を開けると、そこには、赤い鎧を纏った赤龍帝ちゃんの姿がそこにあった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

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