ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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新章突入です!

それではどうぞ!



第七章 ~体育館裏のホーリー~
Life.73~新学期、転校生~


 

 

 

イベント盛りだくさんの夏休みが終わり、9月1日の今日、2学期が始まった。

 

1ヶ月と半ぶりにクラスメイトと再会することとなったが、男女問わず、各々がちょっとした変貌を遂げていた。

 

「情報を得てきたぞ! 隣の組の吉田、この夏に決めやがった! 同じクラスの大場もだ!」

 

「くそったれが!」

 

何やら嘆いている松田と元浜。

 

まあ、中には変わらん者もいるが…。

 

夏休みはいろいろあったな。元六大龍王のタンニーンと修行と称してバトったり、レーティング・ゲームをしたり、旧魔王の末裔と死闘を繰り広げたり……まあ、普通の高校生とはかなりかけ離れてはいるが…。

 

「まったく、童貞臭いわね」

 

同じクラスの女子生徒、桐生が松田と元浜を嘲笑いながらやってきた。

 

「あんた達のことだから、意味のない夏休みを過ごしたんでしょうね」

 

「うっせ!」

 

桐生と元浜が毎度恒例の掛け合いをする。

 

「ねえ、御剣君、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

 

「ん?」

 

元浜達との掛け合いを終えた桐生が俺の下までやってくる。

 

「最近、アーシアが遠い目をすることが多くなったんだけど、何か知らないかしら?」

 

「…」

 

桐生が俺に尋ねてくる。

 

この桐生って子はアーシアが転入当時から何かと気にかけてくれる子だ。ゼノヴィアとも仲が良い。ただ、2人に誤った知識を植え込むことも多々あるが…。

 

アーシアのことに関しては間違いなくこの間のディオドラのことだろう。

 

 

――ディオドラ・アスタロト…。

 

 

アーシアが教会で異端の烙印を押されるきっかけとなった悪魔だ。

 

ディオドラは俺の家の前でアーシアにプロポーズをして以降、何かとアーシアにアプローチをかけてきている。あの日から毎日アーシア宛に手紙が届いているし、他にも、映画やレジャー施設などのチケットや商品券などもうちに届けられている。

 

そういや、大きな物まで届いていたっけな…。

 

これらが全てアーシア宛に届いてくる。

 

アーシアとしては複雑極まりないんだろうな。今の暮らしに不満はないと言っていたし、悪魔になったことに後悔がないとアーシアは言っている。だが、それはアーシアが考えて選んだことではない。今でも主への信仰をしているところを見ると、聖女への未練も多少なりともあるんだと思う。

 

俺達がアーシアと関わらなければ、アーシアは聖女としてその生涯を終えれた。

 

けど、俺は後悔はしていない。アーシアを悪魔に転生させてことを。むしろ、間違っていたと思うことはアーシアに失礼だ。

 

俺がボーっとしているアーシアを見つめながら考え事をしていると、桐生が俺に笑みを浮かべてきた。

 

「何はともあれ、アーシアのことはあなたに任せるわ。御剣君はそこらの男の子よりよっぽど頼りになりそうだからね」

 

「ああ。任せろよ」

 

と、桐生と話をしていると、クラスメイトの男子の1人が教室に駆けこんできた。

 

「皆、聞いてくれ! このクラスに転校生が来るぞ! 女子だ!」

 

その言葉に教室が静寂に包まれる。そして数秒後…。

 

『ええええええええええええええええええっ!!!』

 

教室中が驚きの声で包まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「えー、皆は既に知っていることだと思いますが、このクラスに新しい仲間が増えます」

 

先生の言葉に皆……主に男が胸を躍らせていた。その光景を見て女子が半ば呆れていたが、少なからず興味が沸いているみたいだ。

 

「では、入ってきて下さい」

 

先生に促され、1人の生徒が教室へと入ってきた。

 

『おおおおおおおおおおおおおっ!』

 

男からの歓喜の声が上がる。

 

入室してきたのは栗毛をツインテールに結った少女だった。

 

「あいつ…」

 

俺はその女の子の登場に少々驚いていた。アーシアとゼノヴィアに至っては目を丸くして唖然としている。

 

その少女は首から下げた十字架を光らせながら教卓の前まで歩いていくと、にこやかな表情を浮かべ、自己紹介を始めた。

 

「紫藤イリナです。皆さん、どうぞよろしくお願いします!」

 

と、ペコリと頭を下げた。

 

 

――紫藤イリナ…。

 

 

それは以前、コカビエルによるエクスカリバー強奪事件の際にこの街にゼノヴィアと共にやってきた紫藤イリナだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

休み時間になると、転校生である紫藤イリナの机にクラスの男女が集まり、質問攻めを始めていた。

 

俺は遠巻きから紫藤イリナを目を合わせると、スッと教室の外を指差した。紫藤イリナはコクンと頷くと、群がるクラスメイトに一声かけ、俺の下までやってきた。そして、アーシアとゼノヴィアを連れて人気のないところにまで移動した。

 

紫藤イリナとはコカビエルが姿を現してからまともに顔合わせをしていない。最後に会った時は負傷していたため、後方に下がってしまったし、エクスカリバーの件が解決してからはエクスカリバーの欠片を持ってすぐさま帰ってしまったからだ。ゼノヴィアは帰り際に会ったらしいが…。

 

「おひさ~、ゼノヴィア!」

 

紫藤イリナがゼノヴィアに抱きついた。

 

「元気そうでなによりだわ! 立場上は少し複雑だけど、また会えて嬉しいわ!」

 

「私もだよ、イリナ。元気そうで何よりだ。…だが、胸に下げた十字架がチクチク痛い」

 

ゼノヴィアも紫藤イリナとの再会を喜んでいた。

 

「ところで、ここにはどうして?」

 

ゼノヴィアが簡潔明瞭に尋ねた。

 

「ミカエル様の命により使いとしてここに転校してきたの。詳しくは放課後……例の旧校舎でね?」

 

紫藤イリナはウィンクしながら説明した。

 

ミカエル様の使い……そういえば、天使側のバックアップの人員は表向きにはいなかったな。裏ではかなりのバックアップをしてくれているみたいだが…。

 

紫藤イリナの件を部長にメールで確認してみたところ、部長もこの件をついさっき知ったらしい。あとで詳しく説明すると続いていた。

 

そういうことなら、放課後にゆっくり話を聞くとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

そして放課後…、場所は旧校舎のオカルト研の部室。

 

「紫藤イリナ。あなたの来校を歓迎するわ」

 

「はい! 皆さん! 改めまして、紫藤イリナと申します! 教会――いえ、天使様の使者として駒王学園にはせ参じました!」

 

パチパチパチパチっと、部員の皆が拍手を送った。

 

話しによると、天使側の支援メンバーとして派遣されてきたようだ。

 

…そういや、この紫藤イリナは神が既にいないことを知っているんだろうか? 三大勢力の重要拠点の1つであるこの街に派遣されたなら知っていないといろいろ不都合だと思うんだが…。

 

「お前さん、『聖書に記されし神』の死は知っているんだろ?」

 

アザゼル先生が俺の疑問を単刀直入に尋ねた。

 

っ!? ズバッと斬り込んだな…。

 

「はい。アザゼル様。主の消滅は既に認識しています」

 

やっぱりか。っていうか、知らせずに派遣させるわけないか。

 

「意外にタフだね。一際信仰心が厚かったイリナがショックを受けずにここへ来れるとは」

 

ゼノヴィアが言葉を掛けると、紫藤イリナの瞳からボロボロと大量の涙が溢れだした。

 

「ショックに決まってるでしょぉぉぉぉっ!!! 心の支え! 世界の中心! あらゆるものの父が死んでいたのよぉぉぉぉっ!? あまりの衝撃に七日七晩寝込んでしまったわぁぁぁっ! 主よぉぉぉっ! 主よぉぉぉぉっ!!!」

 

…あんだけ信仰心が厚かった子がショックを受けないわけがないか。ある程度乗り越えてきたのね。

 

「わかるよ」

 

「わかります」

 

アーシアとゼノヴィアが優しく言葉を掛けた。

 

「アーシアさん! この間は魔女だなんて言ってごめんなさい! ゼノヴィアも別れ際にひどいことを言ってしまったわ! ごめんなさい!」

 

「気にしないでください。これからも同じ主を敬愛する者同士、仲良くしてください」

 

「私も同感だ。今は、素直に再会できたことが嬉しいよ」

 

「「「ああ、主よ!」」」

 

3人はお祈りをし始めた。

 

そういや、アーシアとゼノヴィアは神にお祈りしてもダメージを受けなくなったんだよな。

 

この3人、いいトリオになりそうだな。

 

「御剣昴さん!」

 

今度は俺に話しかけてきた。

 

「ミカエル様から聞きました! 自分の力を世界の調和のために使いたいという言葉に私は感銘を覚えたの! だから、是非とも仲良くしてほしいわ!」

 

紫藤イリナが俺の手を両手で包みながら言ってきた。

 

「んー、まあ。平和が一番だからな」

 

俺は頬を掻きながら答えた。

 

「とにかく、ミカエルの使いって事でいいんだな?」

 

「はい。ミカエル様はここに天使側のスタッフがいないのは問題だとおっしゃっていましたので」

 

まあ、この街は今まで悪魔と堕天使しかいなかったからな。

 

すると、紫藤イリナが立ち上がると、お祈りのポーズをとった。すると、彼女の身体がパァァッと輝きだし、背中から白い翼が生えた。

 

おぉ……なんか天使みたいだな。

 

「紫藤イリナ。お前、天使化したのか?」

 

アザゼル先生がこの現象について尋ねた。

 

天使化? 悪魔側の悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を用いた悪魔への転生みたいなものか?

 

「はい。ミカエル様の祝福を受けまして、私は転生天使になりました。なんでも、セラフの方々が悪魔や堕天使の技術を転用してそれを可能にしたとお聞きしました」

 

へぇー、ということは、やっぱり悪魔の転生システムと似たような感じか。

 

神が消滅して純粋な天使はもう生まれないらしいから、これからはこういった形で増えていくわけだな。

 

詳しく話しを聞いてみると、四大セラフや他のセラフメンバーを合わせた10名にA(エース)からQ(クイーン)の、トランプにちなんで12名の配下を作ることにしたらしく、K(キング)が主となる天使が役目を担うらしい。

 

これを通称、御使い(ブレイブ・セイント)と称しているらしい。

 

この技術は、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)と堕天使の人工神器の技術を応用して作られたものであり、ゆくゆくは、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)と御使い(ブレイブ・セイント)のゲームも模索しているという。

 

まあ、これは10年、20年後くらいになるらしいが…。

 

ちなみに、紫藤イリナの授かった札はA(エース)だという。

 

「悪魔の皆さん! 今までは敵同士でありましたけど、これからは皆さん仲良くしていきたいと思います! 本当は個人的にも仲良くしたかったのよ! 教会代表として頑張ります! よろしくお願いします!」

 

こうして、紫藤イリナが駒王学園に仲間入りを果たした。その後、生徒会メンバーも交えて紫藤イリナの歓迎会が行われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

そして、紫藤イリナが転校してきて数日が経過した。

 

「はいはい! 私、借り物競争に出まーす!」

 

現在、ホームルームを利用して近々行われる体育祭で、誰がどの種目に出場するかを決めている。ちなみに、今、手を上げたのは件の紫藤イリナだ。

 

紫藤イリナは俺の家に下宿することになった。もともと広かった家がさらに拡張したから部屋は有り余っているから問題はなかったのだが…。

 

「…」

 

女3人寄れば姦しいとは言うが、まさにその通りだ。教会トリオのアーシア、ゼノヴィア、イリナがここ最近ガールズトークに花を咲かせている。男の俺では当然その輪に入っていけるわけもなく…。

 

はぁ……わしゃ、若い女子の話題についていけんぜよー。

 

「御剣君」

 

黒板の前で体育祭の競技について書きこんでいる桐生に話しかけられた。

 

 

――ヒュッ…。

 

 

突然、桐生は俺の頭上に薄くて長方形の紙のような物を飛ばしてきた。俺は咄嗟にそれを手を上げ、人差し指と中指で挟んでキャッチした。

 

「はい。それでは御剣君、お願いね」

 

それを見て桐生が黒板に俺の名前を書きこんでいく。

 

しまった、謀られた…。

 

投げれた長方形の紙には、『アーシアと仲良くお願いね』と、舌をペロッとしたイラスト付きで書かれていた。

 

黒板を見ると、二人三脚に俺の名前が書かれており、その相方にはアーシアの名前が。

 

 

――なるほど、そういうことか…。

 

 

桐生がアーシアに気を遣って仕組んだってわけか。

 

俺は納得して二人三脚の相方を引き受けた。

 

ただ、計略に引っかかったことだけはちょっと悔しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

翌日…。

 

体育祭の練習が始まった。

 

俺はアーシアと共に二人三脚の練習に勤しんだ。初めはつまずいたり息が少々合わなかったりなどもしたが、練習を重ねるにつれてどんどん上手くなっていった。この分なら本番までに形になるだろう。

 

「よう、御剣じゃないか」

 

「ん? おー、匙か」

 

休憩していると、メジャーを片手に匙がやってきた。

 

「そっちは相変わらず生徒会の――って、お前、その右腕の包帯はどうしたんだ?」

 

俺は匙の右腕に仰々しく巻かれている包帯が気になったので尋ねてみた。

 

「ああ、これは――」

 

シュルシュルっと包帯を外していくと、そこには黒い蛇のような痣が幾重にも表れていた。

 

「っ!? …これ、痣……じゃないな。もしかして、お前の神器によるものか?」

 

「ああ。この間のゲームでお前の神器にラインを繋いで血液を吸ったのが原因だってアザゼル先生が言ってたぜ。手元から離れたラインが得た赤龍帝の情報も俺に反映されたみたいだ」

 

「なるほど。…この痣はお前に何か影響があるのか?」

 

「いや、身体に出てきているということ以外は特に悪影響はない。他に挙げるとすればこれだな」

 

匙が腕の一部分に現れている俺やヴァーリの神器にもある宝玉のような物を見せてくれた。

 

まあ、何にせよ、身体に影響がなくて何よりだ。

 

「にしても、気持ち悪い腕だな~、ヴリトラなだけに呪われてんじゃねえのか?」

 

「お、お前! 人が気にしてることズバッと言うんじゃねえよ!」

 

冗談交じりに言ってみたら匙は激昂した。

 

「ハッハッハッ! 冗談だよ冗談。…ところで匙よ。会長さんと副会長さんが怖い顔してこっちを見てるぞ?」

 

ソーナ会長と副会長である真羅さんがこっち……ていうか匙を見ていた。

 

「おっと、お喋りし過ぎちまったな…、それじゃ、またな」

 

匙はズボンの埃をパンパンと落とすと、会長達の下に向かっていった。

 

「忙しい奴だな……おっ、アーシアが戻ってきたな」

 

俺も同じく立ち上がり、再びアーシアと二人三脚の練習を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

そしてその日の放課後…。

 

アーシアとゼノヴィアとイリナと共に部室に顔を出した。

 

部室に入ると、部長を始めとするメンバーが既に揃っており、皆が一様に顔をしかめていた。

 

「どうかしましたか?」

 

俺が尋ねると、部長が答えた。

 

「ええ、私達の次のレーティング・ゲームの相手が決まったのよ」

 

ほう。ついこの間シトリー眷属とゲームをしたばかりなのに、早いな。相手は若手悪魔だろうから、バアルか、アガレスか、はたまた、グラシャラボラスか…。

 

「次の相手は、ディオドラ・アスタロトよ」

 

「っ!?」

 

部長に告げられた言葉にアーシアが息を飲む。

 

よりにもよって、ディオドラ・アスタロトか…。

 

俺は、皮肉めいたものを感じたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





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それではまた!
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