ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.81~破壊者と旧魔王、常闇同士の戦い~

 

 

 

「俺は刃、破壊者だ」

 

昴は自分のことをそう名乗った。

 

「くくくっ、破壊者か、随分と大層な二つ名だな。だが、その二つ名がこけおどしでなければ良いがな」

 

シャルバは愉快そうに嘲笑う。

 

「ふっ、心配はいらないよ。少なくともお前の『魔王』よりかはマシだ」

 

同様に刃も愉快そうに嘲笑を浮かべながら言った。それを見たシャルバは不機嫌そうな表情になった。

 

「ふん、『自称』破壊者は、随分と身の程知らずのようだな」

 

「クックックッ、そう言うお前も、今では『自称』魔王みたいだが? お前、現魔王に魔王の座を奪われたんだろう? それも力で。そしては今ではコソコソと襲撃をかける無様なテロリストだ」

 

「っ! 貴様ァ…!」

 

シャルバは怒りを露わにする。

 

「もうお喋りも飽きた。仮にも元魔王なら、元魔王なりの哲学で俺を魅了してくれると思ったが、出てくるのは二流三流の絵空事だ」

 

「おのれ、下級の悪魔風情が! いいだろう、今すぐにあの世へと送ってくれるわ!」

 

激高したシャルバが手を刃に翳し、先程昴とディオドラの胸を貫いたものと同様のものを刃に向けて撃ち出した。

 

刃はその場から一切動かず、光を右手で受け止めるとそのまま握りつぶした。

 

「吐く言葉は三流、そして繰り出すは何度も見せた手品。借り物の力にすがるなんざ、器と程度が知れるねぇ」

 

刃はつまらなそうに言い捨てる。

 

「次は俺から行かせてもらうよ? ……アイスエッジストーム」

 

そう唱えるのと同時に刃の周囲に雪に結晶ようなものが現れ、それがやがて無数の氷柱へとその姿を変えていく。

 

その無数の氷柱は猛スピードでシャルバ目掛けて飛来していった。

 

「ふん」

 

シャルバは防御魔方陣を発現し、その氷柱の嵐を全て防いでいった。

 

「あまりにつまらん。児戯にも等しい魔術だ」

 

「そりゃ、児戯だからな。今のはただの様子見だよ」

 

刃は手のひらを上に向け、手を前に出した。

 

「その防御魔方陣、なかなか強固みたいだな。だったら、これならどうだい?」

 

刃は上に向けた手のひらをギュッと握った。

 

 

――ドォォォォォン!!!

 

 

「ぐぉぉぉぉぉっ!」

 

すると、シャルバの顔周辺で突如、大きな爆発が起きた。

 

「ぐっ! おのれぇ…!」

 

シャルバは思わず顔を手で押さえた。押さえた手の下からは煙が上がる。

 

「クックックッ、その強固の防御魔方陣も、向かってくる魔法や攻撃には有効でも、その場で発生させる座標固定の魔法には対応できないみたいだねぇ」

 

刃は面白おかしく笑う。

 

「イグナイテッド・ボム。これも言ってみれば児戯なんだが、『自称』魔王様には充分みたいだねぇ」

 

「言わせておけば! 貴様ごときと私とでは何もかもが違うということを思い知らせてくれよう!」

 

シャルバが手を刃のいる方へ翳すと、空間が歪み、そこから大量の蠅らしきものが現れ、周囲一帯を埋め尽くし始めた。

 

「死ねぃっ!」

 

大量の蠅が幾重もの円陣を組み始め、そこから高出力の魔力の波動を無数に撃ち出した。

 

魔力の波動の群れは刃へと飛来し、着弾と共に大爆発を起こした。

 

「フハハハハハハハッ! 愚か者めが! 貴様ごとき、少し本気になればこの通りだ。手を煩わせおって、まあいい、これで後は――『何を終わった気になってるんだ?』 むっ!」

 

大爆発による煙がはれると、そこには全くの無傷の刃が現れた。刃は右手を前に翳し、目の前にひし形状の波を打ったような結界を張っていた。

 

「絶対防御(イージス)。如何なる物理攻撃も魔力も、これの前では無力だ。例え、お前が今の数十倍の威力の魔力を数十倍の数を撃ち出してもこの楯はビクともしない」

 

刃はイージスを解くと、手のひらを上に向け、握った。

 

「ぐぅっ!」

 

再び、シャルバの周囲で2度の爆発が起こった。その爆発の煽りをもろに受けたシャルバは苦悶の声をあげた。

 

「三流だな。実力、器共にね。仮にも魔王なら少しは楽しめると思ったんだが、拍子抜けだ。……御剣昴はお前より遥かに楽しめたのにね」

 

刃はつまらなそうに呟いた。

 

「おのれ……おのれぃ…!」

 

シャルバは呪い殺すような目付きで刃を睨みつける。

 

手を翳し、再び蠅を操って攻撃を繰り出そうとしたが…。

 

 

――ゴォォォォォォッ!!!

 

 

シャルバの周辺に4つの竜巻が突如現れた。竜巻は蠅を全て巻き込み、細切れにしていった。

 

「羽虫は五月蠅くてかなわないねぇ」

 

「ぐっ! この…!」

 

シャルバは再度蠅を呼び出そうと手を前に突きだした。

 

「お前はそれしか芸がないのか? だったらもういいや」

 

刃は瞬時にシャルバの眼前までに飛び込み、その突きだした手を刀で斬り裂いた。

 

「っ!? ぐおぉぉぉぉっ!」

 

肘から下を斬り裂かれたシャルバは絶叫を上げた。刃が手にしているのは昴が普段使っている村雨。だが、普段の村雨より色が黒い。

 

「村雨影太刀。この刀は他の武器とは変わった趣があってねぇ、この刀に斬られた傷は如何なる魔術、妖術、医術を以ってしても治癒出来ない。トワイライトヒーリングはおろか、フェニックスの涙を用いてもね。残念ながら、お前はこれから一生隻腕だ」

 

薄ら嗤うようにシャルバに告げる刃。

 

「治らない、くっつかない腕はもうゴミも同然だ。ちゃんと処分しないとねぇ」

 

刃は手に黒い炎は発現させ、斬り放された腕に炎をぶつけ、腕を消し炭へと変えた。

 

「っ!? 貴様ァ! ……っ!」

 

シャルバは消し炭となった腕に一度視線を移してから刃に戻すと、刃は剣を振りかぶっていた。

 

「っ!」

 

剣はシャルバの胸を斬り裂いた。だが…。

 

「?」

 

斬り裂いたはずの刃の胸には血はおろか、傷一つ付いていなかった。

 

「クックックッ、良かったねぇ。今のは村雨影太刀ではないよ」

 

刃は愉快そうにシャルバを嘲笑う。

 

「けど、傷の代わりに魔力を頂いたけどね」

 

刃は先程シャルバを斬り付けた剣を見せる。それは長刀、村雨影太刀でなく、柄から剣先まで全てが白く輝いた剣だった。

 

「マジックスティーラー。この剣は肉体のような物質を斬り裂きような能力はないが、代わりに斬った相手の魔力を吸い取る。どうだい? だいぶ魔力を削り取られただろう?」

 

シャルバはハッとしながら自身の身体に手を当てる。

 

「大概の奴なら、1回斬り付ければ根こそぎ魔力を吸い尽くせるものなんだけど、まだそれだけの魔力が残っているところを見るに、さすがは『自称』魔王、と言ったところかな?」

 

刃は再度マジックスティーラーを振りかぶった。

 

「くっ!」

 

シャルバは再度斬り付けられ、魔力を奪い尽くされるのは危険と判断し、すぐさまその場から離れ、距離を取った。

 

「クックックッ。お前がバカにした下級悪魔を相手に魔王が退いたか。愉快なことこの上ないねぇ。……『自称』魔王にも飽きた。次で終わらせるよ」

 

刃は両手に魔力を集め出した。

 

「俺の持つ魔法の1つだ。お前ごときにはもったない代物だが、俺を呼び覚ましてくれたせめても礼だ。こいつをくれてやろう」

 

両手に集まった魔力が眩いほどに輝きだした。

 

「さよならだ、魔王。……サンライト・エクスティンクション!」

 

 

――コォォォォォォォッ!!!

 

 

刃は両手を前に翳し、眩い程の光の郡をシャルバへと放った。

 

「たわけたことをほざくな! これしきの魔法、私には通じ――っ!? ぐわあぁぁぁぁぁっ!!!」

 

シャルバは残った手を前に翳し、防御魔方陣を展開した。だが、刃の放った光の郡はその防御魔方陣をすり抜けるようにシャルバへと襲いかかった。

 

「浅はかだねぇ。その防御魔方陣は物質には無類の効果を発揮するだろうが、俺の放った魔法は物質ではなく、光だ。光そのものを遮断出来なければ意味がない」

 

光はなおもシャルバの身体を焼き尽くしていく。

 

「光は悪魔にとって猛毒、だったな? それは魔王言えど例外ではない。消え去れ、無様で紛い物の『自称』魔王」

 

「おのれぇぇぇっ! おのれぇぇぇっ! 覚えていろぉっ! 私は貴様を許さん! この報い、必ず受けさせてやるぅぅっ! 必ずだぁっ! 私は必ず貴様ぉぉぉっ――」

 

シャルバは光の郡に飲み込まれ、消えていった。

 

「やれやれ、最後まで三流のセリフだったな」

 

刃は消え去ったシャルバに一瞥もくれず、呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「…」

 

リアスが茫然とこれまでの刃とシャルバの死闘を見守っていた。死闘が終わった今も言葉1つ発することが出来なかった。

 

刃はシャルバを子ども扱いも同然にあしらってしまった。

 

シャルバは決して弱い相手ではない。現に朱乃、祐斗、小猫、ゼノヴィアの4人がかりでも傷1つ付けることも出来なかったのだから。

 

「…」

 

もともと御剣昴は強かった。だが、此度見せた強さは今まではまた違っていた。

 

少なくとも、昴は魔法を巧みに扱うことは出来なかったはずだ。にもかかわらず、昴は呼吸をするかのごとく魔力を操っていた。

 

姿形こそ御剣昴。だが、リアスの目には姿を似せた全くの別人に見えていた。

 

刃がゆっくりリアス達の下へと歩み寄っていく。

 

『…』

 

全員が怪訝そうな面持ちで……警戒するような目で昴を見つめている。

 

場を沈黙が支配する中、最初に口を開いたのはリアスだった。

 

「……あなた、誰?」

 

リアスは警戒を解かずに尋ねた。

 

「クックックッ、今さらそれを尋ねるのかい?」

 

「答えなさい! あなたは御剣昴ではないわ! 昴はそんな下卑た笑い方はしないわ!」

 

今の昴は普段では想像できないような醜悪な笑みを浮かべていた。

 

「さっき自己紹介しただろ? 俺は刃だ」

 

「刃……あなた、何者なの? 昴はどうしたの!?」

 

リアスは問い詰めるように声を荒げる。

 

「まあ、そうツンケンするなよ。これから俺と君は何十年……いや、悪魔の寿命は長いんだっけか? 何千年付き合っていくんだからさ」

 

「ふざけないで! 私はあなたと一緒にいる気はないわ! 早く昴を出しなさい!」

 

「ハッハッハッ! 嫌われたものだねぇ。そんなこと言わず、仲良く――」

 

刃は素早くリアスの後方に回り込み…。

 

「――しようぜ?」

 

 

――ムニュゥゥゥッ!

 

 

「あっ//」

 

「なっ//」

 

刃は後ろからリアスと朱乃の胸を揉みしだき始めた。

 

「ちょっ、やめ……//」

 

「あん……//」

 

リアスと朱乃は突然のことであったことと胸を適度の力で揉まれる刺激によって悶えてしまい、振りほどくことが出来なかった。

 

「「部長と朱乃さんから離れろ!」」

 

祐斗は聖魔剣を、ゼノヴィアはデュランダルを構え、刃に振り下した。

 

刃はリアスと朱乃の胸から手を放し、祐斗とゼノヴィアの剣をそれぞれ手で受け止めた。

 

「やめとくことだね。あんな三流の魔王に手も足も出なかった君達じゃ、俺に傷1つ付けられないよ」

 

祐斗とゼノヴィアは一度距離を取り、再度アタックを試みようとした。

 

「やめなさい!」

 

「「!?」」

 

それをリアスが制止した。

 

「ダメよ。彼を殺したら、昴も一緒に死んでしまうかもしれないわ」

 

それを聞き、祐斗とゼノヴィアは歯をギュッと噛みしめながら剣を消した。

 

「まっ、お前達が俺に勝つなんてまずありえないけどねぇ」

 

「あなた、刃とか言ったわね。私の質問に答えなさい。昴はどうしたの? あなたは何者なの?」

 

厳しい視線を刃へと送るリアス。

 

「あーわかったわかった。質問に答えてあげるよ。俺の名は刃だ。言うなれば、そうだな、悪霊みたいなものだ」

 

「悪霊……ですって?」

 

リアスが眉を吊り上げる。

 

「御剣昴は……今はこの中だ」

 

刃は親指で自身の胸を差した。

 

「どういうこと?」

 

「まー、わかりやすく言えば、表と裏、光と影が入れ替わったのさ。あいつは今、ここで暴れてるよ」

 

それを聞き、リアスの表情がますます険しくなっていく。

 

「あなたにもう用はないわ、昴を出しなさい! 昴を返しなさい!」

 

それを聞き、刃は不快感を露わにした。

 

「……うるさいねぇ。御剣昴にとってお前は主かもしれないが、俺には関係ないことなんだ。あんまり耳障りなことをほざくなら、この場でお前を――ぐっ!」

 

言葉の途中、刃がおもむろに額を押さえ、苦しそうな表情した。

 

「?」

 

その様子をリアスは怪訝そうに見つめる。

 

「……ちっ、わかったよ。ハナから俺にそのつもりはないから安心しなよ」

 

刃はリアス達ではなく、誰かに囁くように言った。

 

「俺はここで失礼するよ。俺の事を知りたきゃ、御剣昴にでも聞くといい。もっとも、あいつも俺のことを全部知っているわけじゃないけどね」

 

刃はそれだけ言い残すと、一瞬身体をビクッと震わせ、そのまま地面に倒れていった。

 

「昴!」

 

それを慌ててリアスが受け止める。

 

リアス達は倒れた昴に駆け寄り、必死に声をかけていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





まずは、魔法の説明コーナー…。


――アイスエッジストーム…。

発動者の周囲に無数の尖った氷柱を作り出し、それを相手へと射出する魔法。


――イグナイテッド・ボム…。

その目で座標を固定し、手を握ると同時に固定した箇所に大きな爆発を引き起こす魔法。固定した箇所で爆発が起こるので、固定された箇所から離れる以外に防ぐ方法はない。


――マジックスティーラー…。

柄から剣先まで真っ白な剣を作り出す魔法。その剣は、物質を斬ることは出来ないが、この剣に斬られると、魔力を根こそぎ吸収されてしまう。吸収した魔力は、自身の物にすることが出来る。


――サンライト・エクスティンクション…。

太陽と同質の光を両手から放つ魔法。光の為、普通の防御魔方陣ではすり抜けてしまう。悪魔には相性最悪なのは勿論、まともに喰らえば、天使であろうと消失してしまう。


長くなったので、前話より登場したキャラの説明は、後の後書きにてさせていただきます。

感想、アドバイスお待ちしています。

それではまた!
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