ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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Life.88~朱乃とのデート、親子~

 

 

 

廃工場での英雄派との戦いも終わり、つつがなく戦後処理も終わり、グレモリー眷属は帰還した。

 

幸い、大して怪我人も出ず、完勝という形で戦いを終えた俺達だが、いくつか疑問点も出た。それは、数度に亘って俺達に戦いを仕掛けてきたわりに、ここ数回の戦闘において、英雄派の戦術に大した変化がなかったことだ。

 

何度も戦闘を仕掛け、敗北が続いたなら、普通は戦略を練り、何かしらの対策を立ててから仕掛けてくるのが定石……いや、これは当然のことだ。なのに、特に戦略プランを変えることなく俺達に戦いを仕掛けてきた。その場にいた全員が疑問を抱いたことだった。

 

英雄派の目的は、戦いに勝利をすること以上の目的がある。その場で軽く議論して出た結論は、英雄派の目的は、劇的な変化によって、神器所有者を禁手に至らせることが目的なのでは? という結論だった。

 

俺達が住む駒王町には、俺、赤龍帝を始め、多数の異常とも言える存在が集まっている。そんな俺達との戦闘はこれ以上にない体験と言える。劇的な変化に繋げるには充分と言えるだろう。

 

この件は後日アザゼル先生に確認を取るということで議論は終わった。俺達は一度部室へと戻り、一息吐いてから解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

翌日、俺は駅近くのコンビニの前にいる。今日はとある約束の日だからだ。

 

現在時刻は午前9時55分。待ち合わせの時間は10時。待つこと5分…。

 

「ごめんなさい、待たせちゃったかしら?」

 

待ち合わせの人物がやってきた。

 

「いえ、今来たところですよ、朱乃さん」

 

そこには、オカルト研の副部長であり、グレモリー眷属の女王『クイーン』である、姫島朱乃さんの姿があった。

 

彼女は、普段の落ち着きを感じさせる佇まいとは違い、フリル付きの可愛らしいワンピースを着ており、一見して歳相応の女の子を思わせる装いだ。

 

「…」

 

思わず朱乃さんに見入った。

 

俺はてっきり、普段と同じように大人っぽい服装で来ると思ったんだがな……これには少々驚いた。

 

俺がジーっと見入っていると、朱乃さんは恥ずかしそうに頬を赤く染める。

 

「どう…かしら? 今日の私、変じゃないかしら?」

 

おずおずと俺に尋ねてくる。俺はニッコリと笑みを浮かべながら答える。

 

「いえ、よく似合っています。とても可愛いですよ」

 

「っ// …そう言ってもらえると嬉しいわ」

 

朱乃さんは嬉しそうに礼を言った。

 

今日の朱乃さんは普段と違い、お姉様ではなく、1人の女の子のようだ。もしかすると、こっちが本当の朱乃さんなのかもしれないな。

 

「今日の昴君は私の彼氏ですわ。…昴って、呼んでもいい?」

 

「もちろんです。…なら、俺も朱乃って、呼んだ方がいいですか?」

 

俺がそう尋ねると、朱乃さん表情がパーっと満面の笑顔になった。

 

「ええ、是非! うふふ、今日は楽しい1日になりそうだわ。…さあ、行きましょう♪」

 

朱乃さんは俺の腕に自身の腕を絡め、俺の肩にそっと顔を付けた。

 

 

――バキッ!!!

 

 

……後ろの膨大な殺気とオーラと破壊音は気付かなかったことにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

デートが始まって3時間。俺と朱乃さんはショッピングモールへと足を運び、ショッピングを楽しんでいた。

 

服のブランドショップに立ち寄り、朱乃さんが興味を持った服に袖を通しては感想を求められたりした。俺はその都度素直な感想を述べた。その感想に朱乃さんは喜んでくれた。その姿は本当に普通の女の子だ。

 

モール内にあるアイスクリームショップに寄り、ソフトクリームを2つ買い、1つを朱乃さんに渡した。

 

2人で並んでアイスクリームを舐めていると…。

 

「あら? そっちも美味しそうね」

 

少しどうですか? って尋ねようとしたんだが…。

 

 

――ペロッ♪

 

 

朱乃さんは俺が正にソフトクリームを舐めている時に横から俺のソフトクリームをペロッと舐めた。

 

「うふふ、そっちのソフトクリームも美味しいわね♪」

 

朱乃さんは上機嫌で言った。

 

っていうか今、ちょっと俺の舌と朱乃さんの舌が当たったぞ…。

 

 

――ピシッ!!!

 

 

「っ!」

 

「あら、どうかした?」

 

「い、いえ、何でもありません」

 

気付いてない気付いてない。真後ろに隠れている紅髪の人と金髪の人達のことなんてまったく気付いてません…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

その後、ゲームセンターに行って2人でゲームを楽しんだり、こじゃれたカフェで昼食を取ったり、水族館で珍しい深海魚を鑑賞したりと、ごく普通の学生らしいデートを楽しんだ。

 

朱乃さんは過去にゲームセンターに入ったことのなかったためか、これ以上にない新鮮なリアクションでゲームを楽しみ、水族館では普段お目にかかれない深海魚や可愛らしい魚を見るたびに目を輝かせていた。普段見せることない、頼れる先輩ではなく、年頃の女の子の姿に俺は新鮮さを感じつつ今回のデートをおおいに楽しんだ。

 

おおいに水族館を満喫し、入り口のゲートから外へと出ると…。

 

 

――ギュッ!

 

 

「?」

 

朱乃さんが唐突に俺の手を握り、突如、駆け出した。

 

「朱乃さん!?」

 

突然の行動に驚き、思わず朱乃さんの名を呼ぶ。すると…。

 

「リアス達を撒いちゃいましょ♪」

 

朱乃さんはいたずらな笑顔と舌を出しながら俺にそう告げる。

 

「ちょっ、それは…!」

 

そんなことをしたら後が怖いんですが…。

 

チラッと後ろを振り返ると、物陰で巧みに変装(?)をしていた部長達が慌てて後を追いかけてきた。

 

俺はその手を振りほどくわけにもいかないので、朱乃さんが誘うまま手を引かれるまま駆けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「うふふ、うまくリアスを撒けたみたいね♪」

 

朱乃さんは再度舌をペロッと出す。近くに部長達の気配はない。ホントに撒いてしまったようだ。

 

俺は家に帰ってからのことを考えると背筋が凍る思いなのだが、それは今考えても仕方がないので考えるのをやめた。何より、朱乃さんが楽しそうなのでそのことは頭の隅に追いやった。

 

「…やれやれ。とりあえず――うわぁ…」

 

俺は辺りを見渡し、今いる場所を確認すると、ところかしこに煌びやかで淡いピンク色を中心としたネオンに、宿泊と休憩の文字が記載されている案内板の後ろにそびえ立つ、和の国日ノ本には似合わない西洋風のお城の建物が立ち並んでいた。

 

これはもはや改めて確認するまでもなく…。

 

「…」

 

よりにもよって、ラブホテル街ですか…。

 

「さてー、いつまでもここに突っ立ってるのもなんですし、どこか――」

 

別の場所に……っと続けようとしたところ、朱乃さんが俺のそっと俺の上着の袖を軽くつまみ、クィッと引っ張る。

 

「……デートの思い出、作りましょう…」

 

朱乃さんは先程までのいたずらな笑顔ではなく、頬を紅潮させ、瞳を軽く濡らしながら俺にそっと呟いた。

 

「…」

 

それはさすがに……と、いきたいのだが、目の前の朱乃さんの表情を見て、無下に断ることもできず、どうしたものかと思案することとなった。

 

「…」

 

「…」

 

朱乃さんは相変わらず先の表情を変えず、一切を目を逸らすことなく俺の瞳を見つめ続けている。1~2分程見つめ合いながら俺が出した答えは…。

 

「…あっ! 俺、喉乾いたんで近くの自販機で飲み物買ってきます!」

 

結局上手い言い訳が出せず、俺はその場から駆け出した。

 

朱乃さんには悪いが、ひとまず保留にして時間を稼ぎながら考えよう…。

 

「……もう、いくじなし」

 

……本当に申し訳ないです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

すぐ近くの角を曲がったところに設置されていた自販機で缶ジュースを2本購入して戻ってくると…。

 

「――して、あなたが――!」

 

「――ことは――もいい! どうしてこんなところ――!」

 

朱乃さんが何やらガタイのいい男と言い争いをしていた。ここからでは男の後ろ姿しか見えず、顔はわからないが、少なくとも俺の知らない男であることは理解できた。男は朱乃さんの手首を掴んでおり、穏やかな感じではない。

 

俺は緊急事態と判断し、すぐさま2人の元に駆け寄り、男の手首を掴み、朱乃さんから手を放させた。

 

「な、何を――」

 

男は、突如割って入った俺を睨みつける。

 

「それはこっちの台詞だ。この人に何をしている」

 

俺は男の手首から手を放し、2人の間に割って入った。

 

「昴くん…」

 

朱乃さんはいろいろな感情が入り混じった何とも言い難い複雑な表情をしていたことに少々気になったが、今は朱乃さんを守ることの方が先決だ。

 

「君には関係のないことだ! 無関係の者が口を出さないでもらいたい!」

 

男は俺をさらに睨みつけながら詰め寄った。

 

「関係はある」

 

俺は一瞬振り返り、朱乃さんの顔をチラッと見てから再び男に顔を見据え…。

 

「この人は俺の女だ。用があるならまず俺を通してもらおうか」

 

俺も負けじと男を睨み返しながら言い放った。

 

この手の騒ぎはこう言った方が一番手っ取り早い。

 

「す、昴くん…」

 

朱乃さんは顔を紅潮させ、目を丸くしながら両手で口元を覆った。

 

「お、俺の……俺の女だとぉっ! 貴様、よくも……よくもぉっ…!」

 

俺が言葉を言い放つや否や、男のボルテージが最高潮にでもなったのか、一見してわかるほどの怒りのオーラが男を包みだした。

 

……ん? この人、尋常じゃないくらいにキレてるが、どうしてここまでキレてんだ?

 

俺は思わず疑問を感じてしまった。それに、突然のことだったんで今まで気付かなかったけど、この人、人間じゃない?

 

メラメラと怒りの炎を燃え上がらせる男。するとそこに…。

 

「ほっほっほ、昼間から女をここに連れ込むとは、赤龍帝の小僧もなかなかやるのう」

 

帽子をかぶり、白く長い髭を蓄え眼帯を付けた老人が現れた。

 

……って、この方は…!

 

「…っ! あなたは、オーディン様!?」

 

この方は、以前にディオドラの件の折にお世話になった、北欧の主神であるオーディン様だ。どうしてここに……来訪の話しは部長からはもちろん、アザゼル先生からも聞いていない。

 

「オーディン様! 主神であるオーディン様がこのような場所をうろうろされては困ります!」

 

オーディン様の後方からスーツを着こなした女性が現れ、オーディン様を諌め始めた。

 

この人は、確か、以前にもいた、オーディン様のお付きの女性だな。

 

「バラキエル様も、突然駆け出したかと思えば、今日のあなたはオーディン様の護衛であると同時に案内役なのですから、勝手にいなくならないでください!」

 

今度は朱乃さんに絡んでいたガタイのいい男性を諌め始めた。

 

この人、オーディン様の連れだったのか…………って。

 

「バ、バラキエル様ッ!?」

 

バラキエルって、堕天使グリゴリの幹部の1人であり…。

 

「……朱乃さんの、お父上の…」

 

「そうだ。私は堕天使の幹部の1人であり、今日はオーディン様の護衛に任を承っている。…そして、ここにいる朱乃の父親だ」

 

……咄嗟に庇うためとはいえ、よりにもよって、とんでもない方にシャレにならないハッタリをかましてしまった…。

 

「『俺の女』とは、いったいどういうことか、後でじっくり説明してもらおうか」

 

鋭い眼光に、身体中を雷光でバチバチ走らせながら説明を求められた。

 

……部長に続き、新たに膝を曲げての説明を必要な事態を引き起こしてしまった。

 

俺は引き攣った笑みを浮かべながら自分の身を案じるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

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