ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

軽く難産です…(^-^;)

それではどうぞ!



Life.91~ロキとの戦い、逆鱗~

 

 

 

北欧の神が一柱、悪神ロキが俺達の前に現れた。

 

目の前で対峙するロキからは、強烈な悪意、殺気を発している。間違いなく、穏やかなことにはならないだろう。

 

「これはこれは、ご丁寧な挨拶、痛み入る、ロキ殿。…それで、いったいどのようなご用件かな? この馬車に北欧の主神オーディン殿が乗られていることは貴殿も存じているはずだが」

 

軽く憤っているアザゼル先生だが、出来るだけ平静を装ってロキに尋ねた。尋ねられたロキは鼻を鳴らし、不遜な態度で答えていく。

 

「知れたことを…、我らが主神が愚かにも他の神話体系と接触を図っているのが苦痛でね。その過ちを正そうと参上した次第だ」

 

と、淡々と答えた。

 

…ま、早い話が、会談の妨害だ。新しい試みを始めようとすると、旧体制と伝統にしがみつこうとする輩が必ずいるものだが、それは北欧の神話体系も同じらしい。

 

それを聞いたアザゼル先生が本格的に憤りを表に出す。

 

「その割に、お前も堂々と接触をしているようだが? 言ってることとやってることが違うんじゃないのか?」

 

「我は接触ではなく、滅ぼす為にここに来た。我らの領域に土足で踏み込んだお前達をな。故に、我の行動に矛盾はない」

 

「…ものは言いようだな」

 

複雑そうな表情で言葉を返すアザゼル先生。

 

「どちらにせよ。極東の神々と和議など結ばれては我らが迎えるべき『神々の黄昏(ラグナロク)』が成就出来ないのだよ」

 

 

――神々の黄昏(ラグナロク)

 

 

確か、世界の終焉だとか、神々の滅亡だとか呼ばれているあれのことか?

 

なんにせよ、碌なことにはならないことは予想出来る。

 

「…1つ聞く。お前のこの行動は個人の独断が? それとも、カオス・ブリゲードとの共謀か?」

 

眉を顰めてアザゼル先生が尋ねた。

 

もし、このロキがカオス・ブリゲードと繋がっているなら、テロリストが介入してくる可能性が高い。だが一番の脅威は、北欧神話の一部がテロリストと通じていることを意味するので、この和議同盟にも大きな影響を及ぼすことになりかねない。

 

この質問に、ロキは若干ではあるが、不快感を露わにする。

 

「我の高尚なる意志の下、行っている。テロリスト等という、下劣な輩と通じているなどという邪推は、不愉快極まる」

 

…あの言動から察するに、本心から言っていることは間違いなさそうだ。もちろん、それはそれで面倒なことには変わりはないが。

 

「さて、このような愚かな行為、まだ続けるおつもりかな?」

 

ロキの視線が俺達より後方に向く。そこには、ロスヴァイセに連れられたオーディン様が立っていた。

 

「無論じゃ。時代は変わってゆくものだ。もう、閉鎖的に時を過ごす時代ではない。…何より、お主よりもサーゼクスやアザゼルと話している方が有意義じゃからのう。和議がなれば、異文化交流をするのも良いかもしれんのう」

 

オーディン様は淡々とロキに返答した。ロキは、一瞬、目付きが鋭くなると、苦笑した。

 

「…もはや、我の言葉は届かぬようだな。互いに相容れないのならば、やることは1つ。……黄昏を行うしかあるまいな」

 

ロキの宣戦布告とも取れる言動と共に、ロキの殺気が俺の肌に突き刺さる。その殺気の鋭さに、身体に何か重いものがのしかかったかのように重くなった。

 

「その言葉、俺達への宣戦布告……と、捉えてよろしいかな?」

 

「いかにも…」

 

そのやり取りの瞬間、俺の後方からオーラの波が伝わった。ゼノヴィアがデュランダルにオーラを集めているようだった。

 

…先手を取る気か? ならば――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

リアスside

 

ロキから宣戦布告がなされた。戦いは避けられそうにない。その時…。

 

 

――ザバァァァァァァァァァァッ!!!

 

 

ロキ目掛け、大質量の波動が襲った。視線を向けると、ゼノヴィアがデュランダルを振るっていた。

 

間違いなくロキに直撃した。あれだけの質量……いくらロキでも無傷では…。

 

だが、私の淡い希望はすぐに打ち砕かれた。煙が晴れると、そこには、何事もなかったかのように佇むロキの姿が。

 

「っ! これで終わるとは思っていなかったけれど、まったく効かないなんて…!」

 

「ほう、聖剣とは、護衛を任されているだけの事はある。だが、神を相手にするにはまだそよ風に――」

 

その時、私の目に飛び込んだのは、ロキの頭上から斬りかかる昴の姿だった。

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

昴のブレイブ・ハートで呼び出した村雨による、抜刀からの、居合いによる一振りは、ロキが頭上に掲げた手から現れた防御魔方陣によって防がれた。

 

「奇襲直後の気が緩んだ一瞬を狙っての2度目の奇襲。狙いは上々だが、相手が悪かったな」

 

「ちっ、さすがにこんなんで殺れる程、神は甘くないか」

 

『Welsh(ウェルシュ) Dragon(ドラゴン) Balance(バランス) Breaker(ブレイカー)!!!!!! 』

 

昴は弾かれるように離れながら禁手を行い鎧を纏った。1度距離を取ると、再度挑みかかった。

 

「昴! いくらあなたでも1人では危険よ! 私達と連携を――」

 

私が制止するも、昴は止まらず仕掛けていってしまった。

 

「小癪な」

 

ロキは手を昴の方へかざすと、光の粒子のようなものを数発放った。昴は小さく旋回しながらいくつかはかわし、いくつかは村雨で斬り払いながらロキに接近し、斬りかかった。

 

「温い」

 

ロキは昴の一振りを中指と人差し指を束ね、指先に力を集めたもので受け止める。

 

…昴の一撃はとても重くて鋭いはずなのに、それを指2本で!

 

昴も想定していたのか、さして動揺はなく、村雨から手を放すと、手から2本の双剣を発現させ、斬りかかった。ロキも、これは防ぐ余裕がなかったのか、後ろに下がってこれを避けた。当然、昴も追撃をかけていく。

 

「昴の野郎、先走りやがって、あれじゃ援護も出来やしねぇ」

 

アザゼルが嘆息しながら言う。

 

確かに、私も朱乃、後ロスヴァイセも援護しようと構えているけど、昴にロキが接近し過ぎていて援護が出来ない。裕斗や小猫、ゼノヴィアも共闘する隙を窺っているけど、迂闊に飛び込めば昴の足を引っ張る形になるから二の足を踏んでいる。

 

昴は間髪入れず、鋭い斬撃をロキに繰り出し続けている。ロキは時にかわし、かわしきれないものは指で受け止めていた。

 

「…歴戦の堕天使の幹部、コカビエルと対等に戦える程の技量を持つ昴君をこうもあしらうなんて、これが神か…」

 

横で隙を窺っている裕斗がポツリと呟く。

 

そのとおりだわ。コカビエルを圧倒し、白龍皇であるヴァーリを退けた昴を相手にここまで……悪神ロキ、恐ろしい相手だわ。

 

鬱陶し気に腕を払い、昴の斬撃を払いのけると、昴はバク転を繰り返しながらロキと距離を取り、私達の傍まで下がった。

 

「昴、無茶し過ぎよ! 相手は神なのよ!?」

 

「すいません、行けると思ったんで…」

 

謝罪の言葉を口にするも、昴は前方を見据えたままこちらに視線は向けず、ロキから視線を放さない。

 

「……見ての通りです。神の名は伊達ではないですね」

 

「えぇ」

 

和議を成立させる為にも、オーディン様をお守りしなければ。その為にも、ここでロキを…!

 

私はロキを退ける為の策を巡らせる。

 

…考えるのよ。私の可愛い眷属達を失うことなく勝つ策を…!

 

「…木場、ゼノヴィア」

 

「なんだい?」

 

「なんだ?」

 

「俺と3人でロキに仕掛けるぞ。2人はロキを前後左右から仕掛けろ」

 

昴が2人に指示を出す。そこからみんなに指示を出していく。

 

「小猫とイリナは中距離からいつでも仕掛けられるように待機してくれ。タイミングは俺が伝える」

 

「分かりました」

 

「任せて!」

 

「アザゼル先生とバラキエル殿はオーディン様の護衛をお願いします」

 

「おいおい、ロキを甘く見過ぎだ。お前達だけで倒せるような相手じゃねぇぞ」

 

「俺達の1番の目的は、オーディン様の護衛です。お2人が護衛に付いていてもらえば、俺達は背中を気にすることなく戦うことが出来ます」

 

昴の提案に、アザゼルは僅かに長考する。

 

「お前達だけで勝てる算段があるんだな?」

 

「はい」

 

「……分かった。ひとまずお前達に任せる」

 

「うむ。私も君達に任せよう。だが、無理はするな」

 

アザゼルもバラキエルも了承した。

 

「ロスヴァイセ。あなたは確か、屈指の魔法の使い手と聞き及んでいますが」

 

「え、えぇ、北欧式の魔法なら腕に覚えがありますが…」

 

「なら、その魔法を援護と、守護の為に使ってほしい」

 

「援護は分かりますが、守護とは?」

 

「ロキの魔法から俺達を守ってほしい。あなたが魔法を魔法で相殺してくれれば、かわす余力と時間をロキの追撃に使える」

 

「そういうことですか。分かりました、任せてください」

 

ロスヴァイセも、少々戸惑いながらも昴の指示を承諾した。

 

「部長と朱乃さんは、俺と木場、ゼノヴィア、小猫がロキから離れたら、ロキに間を与えないように遠距離から仕掛けてください。考える余裕を与えず、絶えず仕掛けていけば、ロキを倒せるかもしれません」

 

昴が私と朱乃に指示を出す。

 

悔しいけど、的確だわ。聡明だとは思っていたけれど、ここまでとはね。

 

「分かったわ。あなた達は存分に戦いなさい」

 

「うふふ、任せて」

 

私と朱乃も昴の指示に頷いた。

 

「みんな、昴の指示どおりに戦いなさい。そして、ロキを退け、オーディン様をお守りするわよ!」

 

『はい!!!』

 

こうして、私と眷属達は、ロキに仕掛けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・

 

 

「木場、ゼノヴィア! 左右から仕掛けろ!」

 

指示を出された2人が左右からロキに斬りかかる。

 

「ええい、離れろ!」

 

左右からの2人の攻撃に苛立ったロキが2人に掌を向け、魔法を放った。

 

「させません!」

 

 

――バシュゥゥゥッ!!!

 

 

その魔法を、ロスヴァイセの魔法が消し飛ばした。

 

「おのれ、猪口才な!」

 

それに苛立ったロキがロスヴァイセを睨み付ける。

 

「小猫!」

 

「えい」

 

小猫がロキの後方から拳を握って殴りかかった。けど、それは惜しくも避けられてしまった。

 

「私もいるわよ!」

 

そこへ間髪入れず、イリナが斬りかかる。

 

「ぬぅ!」

 

その一撃も、小猫と同じく、ギリギリのところで避けられてしまう。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

そこを、昴が追撃をかける。完全に直撃はしなかったものの、昴の斬撃がロキの肩口を僅かに捉えた。

 

ロキからみんなが離れた。今だわ!

 

「朱乃!」

 

「分かっていますわ」

 

私の滅びの一撃と朱乃の雷光を同時にロキ目掛けて放った。

 

 

――ドォォォォォン!!!

 

 

私達の攻撃は、避けられることなくロキに命中した。

 

「これで、どうかしら?」

 

爆煙が立ち上っている。風によって煙が晴れると…。

 

「っ!? 私達の一撃は確かに命中したのに…」

 

多少、衣服に焼け焦げていたりはしているものの、ロキ自身は全く堪えていない。

 

「神ですからね。攻撃が通るまで何度でも仕掛けていきましょう」

 

「ええ、そうね!」

 

気落ちしている場合ではないわ。昴の言う通り、何度でも…!

 

「フハハハハハ! よもや、この我がこの体たらくとはな。思わず笑いがこみ上げてしまったぞ」

 

ロキは、余裕とでも言わんばかりに高笑いを上げる。

 

「その紅の髪……確か、現魔王の血筋の者であったな。その眷属と、天使が1匹。果ては赤龍帝に堕天使の幹部が2人。まさに多勢に無勢。我1人では手に余るな。ならば、こちらも呼ぶしかあるまいな」

 

そう呟くと、ロキがマントを広げた。

 

「出でよっ! 我が最愛なる息子よッ!!!」

 

ロキがそう叫ぶと、一瞬間を置いてから宙に歪みが生じ始めた。

 

…なに? ロキは何をしようとしているの?

 

その歪みから、全長10メートルはありそうな灰色の……狼が現れた。

 

「っ!?」

 

その瞬間、私は心臓を強く握られたかのようなプレッシャーが襲った。

 

…あの狼……危険だわ。恐らく、ロキ以上に…!

 

「あの野郎、神喰狼(フェンリル)まで使う気かよ…!」

 

後ろでアザゼルが搾り出したかのような声を出す。

 

 

――神喰狼(フェンリル)!!!

 

 

よりにもよって、あの…!

 

アザゼルの言葉を聞いて、眷属達も警戒態勢に入った。

 

「昴! あの狼は危険よ! あの狼の牙は――」

 

私が昴に警戒するように促すと、昴は視線をこっちに向けた。その時!

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

私の視界に移ったのは、フェンリルの爪が昴の胴を捉え、真っ二つに裂かれる姿だった。

 

…そんな、私が声を掛けたせいで…。

 

私の足から力が抜けていく。だが…。

 

「えっ?」

 

切り裂かれた昴が幻であるかのようにフッと消えていく。

 

「…ふぅ、危なかった」

 

気が付くと、昴は裕斗とゼノヴィアの横まで移動していた。

 

あれは……残像? けれど、良かった。昴が無事で…。それにしても、今のフェンリルの動き、私には全く見えなかった。

 

「良くかわした。…だが、精々気を付けることだ。こいつは我の最高傑作。その牙は、神をも殺せる最悪の牙。たとえそれが、他の神話体系の神仏だろうが、上級悪魔だろうが例外ではない」

 

 

 

――オオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!

 

 

 

それと同時に、フェンリルは私達を威嚇するかのように雄叫びを上げた。

 

『っ!』

 

その雄叫びは、私達を震え上がらせるには十分で、それでいて美しい雄叫びだった。

 

「さて、まずは誰から喰らわせてやろうか」

 

フェンリルの傍までやってきたロキが私達を1人1人見渡していく。そして、その視線が私で止まり、ニヤリと笑みを浮かべた。

 

「まずは貴様からだ。魔王の血筋の者ならば、その血は大層糧となるだろう」

 

そしてロキは指を鳴らした。それと同時にフェンリルが再び私の視界から姿を消した。

 

 

――どこに…。

 

 

その姿を探そうとした時にはもう遅かった。フェンリルが、私のすぐ目の前でその大きな顎を開け、私に喰らい付こうとしていた。

 

あまりに突然過ぎて、恐怖はおろか、驚きすらなかった。ゆっくりコマ送りのようにフェンリルがその顎を閉じた。

 

 

――バキャッ!!!

 

 

「……………?」

 

目を閉じて身構えていた私だけれど、私の身体に何の異変も違和感も起きない。恐る恐る目を開けると…。

 

「……えっ?」

 

私の目の前には、昴が立っていた。昴の拳からは、煙が上がっていた。

 

フェンリルは……ロキの立つさらに後方まで飛ばされていた。昴の拳からの煙は、恐らく、フェンリルを殴り飛ばした時のもの…。

 

「昴、ありが――」

 

「――ふざけるな…」

 

昴が低く、それでいて良く通る声で呟く。

 

「犬ッコロ風情が、俺の主に、手を出すんじゃねぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!」

 

 

 

――ドォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!

 

 

 

咆哮と同時に昴から膨大な量の赤いオーラが溢れだした。

 

「キャッ!」

 

その赤いオーラがあまりにも強大過ぎて、その場で踏ん張らなければ吹き飛ばされてしまう程だった。

 

私から見るその表情は、憤怒だった。

 

昴は表情豊かではあるけど、常に冷静で、私が迷っていたり、不甲斐ない時には代わりに私やみんなを導いてくれる。けど、今の昴はいつもの昴ではない。

 

過去にも、昴に異変が起きたことはあった。コカビエルやディオドラと戦った時だ。

 

ディオドラの時は、あの刃とか言う輩が影響だったみたいだけど、コカビエルの時は、戦争を起こそうとするあの男に憎しみにも似た感情を醸し出していた。

 

けれど、今は、純粋な怒りが溢れていた。

 

冷静な昴が、どうしてここまでの怒りを…。

 

「覚悟しろ、ロキ、フェンリル。俺の逆鱗に触れた報いを受けさせてやる」

 

見る者を睨み殺すかの目付きと低い声で、昴は告げたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





昴のブチ切れスイッチ。それは、安易に戦争を起こそうとする者と主を手に掛けようとする者です。片方は実体験から、片方はトラウマからです。

油断すると、原作とほとんど変わらなくなるので、もっと構想を練らねば…(^-^;)

感想、アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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