ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

実に1年ぶりの投稿です…(^-^;)

久しぶり過ぎて書き方分かんなかった。

それではどうぞ!



Life.97~劣勢、英雄の凱旋~

 

 

 

フェンリルをスレイプニルで捕縛し、ロキに手傷を与え、戦いは優勢になったと思った矢先、ロキは新たにフェンリルの子供2匹と、五大龍王の一角であるミドガルズオルムの量産型を5匹を新たに召喚した。

 

「さあ、第2ラウンドと行こうか」

 

指を鳴らすのと同時にロキが号令をかけると、フェンリルの子のスコルとハティと、ミドガルズオルムの量産型が俺達に襲い掛かった。

 

「っ!? 各自、陣形を崩さないで。陣形を維持しながら各個撃破するわよ!」

 

瞬時に冷静さを取り戻した部長が迅速に指示を飛ばした。

 

「木場、私と2人で子フェンリルの1匹に当たるぞ」

 

「分かった!」

 

木場とゼノヴィアが並びながらスコルの方に向かっていく。

 

「んじゃ、俺っち達はフェンリルのもう1匹の方に行くとするかい」

 

「了解にゃん♪」

 

「いいでしょう」

 

美猴がハティに如意棒を向けると、黒歌とアーサーが返事をする。

 

「私が龍王を引き受ける。援護を頼む」

 

「分かりました! 朱乃さんも続いて下さい」

 

「……分かったわ」

 

バラキエルさんが雷光を纏わせながらミドガルズオルムに向かっていくと、ロスヴァイセが続き、朱乃さんも僅かに複雑な表情を浮かべながら援護を始めた。

 

「私がアーシア先輩達を守ります」

 

「皆さんの傷は私が癒します!」

 

「ぼ、僕も全身全霊で頑張りますぅ!」

 

小猫がアーシアとギャスパーを守るように立ち、アーシアがいつでも治療が出来るようトワイライトヒーリングを起動し、ギャスパーは蝙蝠の姿になった。

 

「私は遊撃になってみんなを手助けするわよ!」

 

イリナは遊撃として各自の戦闘の援護に向かった。

 

「貴様に命令されるまでもない! 私は勝手にやらせてもらうぞ!」

 

 

――ドガァッ!!!

 

 

部長が激を飛ばす前にティアマットは量産型ミドガルズオルムの1匹に突っ込み、拳をぶち込んでいた。

 

…さすが、歴戦の強者であるバラキエル様やティアマットはともかく、グレモリー眷属達もヴァーリチームも冷静に各自対処出来ている。

 

「…なるほど、さすがに我らに立ち塞がるだけの事はある。だが、いつまでもつかな!」

 

ロキがバッと両腕を広げると、俺とヴァーリの周辺に魔方陣が現れ、そこから魔力の砲撃が撃ちだされた。

 

「っ!」

 

「ちっ!」

 

魔方陣が現れると、俺とヴァーリは瞬時にその場を離れた。だが、魔方陣は俺達を追いかけるように後を追い、砲撃を続ける。

 

「ふっ!」

 

ヴァーリは魔方陣の1つを拳で破壊し、手から魔力を飛ばして魔方陣を次々と撃ち砕いていく。

 

「っ!」

 

 

――ドンドンドン…!!!

 

 

俺は村雨から赤龍砲を撃ち、魔方陣を撃ちぬいていく。

 

「ハッハッハッ! ならばこれではどうかな!」

 

「「っ!?」」

 

ロキが再度両腕を広げると、先程の倍以上の魔方陣が現れた。

 

…ちっ、これじゃキリがねえ!

 

高速で旋回しながら魔方陣を撃ちぬいていたが、破壊した傍から魔方陣が現れる為、これではいたちごっこだ! こうなったら砲撃をかわしながらロキを――

 

「ぐっ!」

 

「がっ!」

 

その時、俺の耳に2人の苦悶の声が届いた。視線を向けると、木場とゼノヴィアが砲撃を受けていた。

 

…くそっ! ロキめ、俺達だけじゃなくて、他の皆にも砲撃を!

 

俺とヴァーリだけではなく、グレモリー眷属を始め、バラキエル様にティアマット、ヴァーリチームの面々の周囲にも同様の魔方陣が現れ、砲撃している。砲撃のせいで目の前の敵に集中出来ず、おのずと陣形は乱され、味方が分断されていく。

 

「一刻も早くロキを止めないと!」

 

俺は地に足を付け、村雨を消し、二天を発現させるとそのまま走り、左手の剣で魔方陣を、右手の剣で赤龍砲をロキに向けて放った。

 

「フハハハハハ! 何だそれは? 効かぬな」

 

だが、合間に放つ俺の赤龍砲は防御魔方陣で阻まれてしまう。

 

…この程度ではダメか。やはり距離を詰めて近接戦闘に持ち込まないと…!

 

「ならば、これならどうだ?」

 

いつのまにか距離を詰めていたヴァーリがロキの背後から拳を振るった。

 

 

――バチィィィッ!!!

 

 

だが、その拳はロキに当たる直前に魔方陣に阻まれた。

 

「不意を突いた……とでも思ったか? 生憎と、白龍皇を無視するほど愚かではない」

 

そう言うと、ロキはゆっくりと振り返った。

 

「動けまい? それは防御だけではなく、相手を拘束するものでもある。如何に貴様でも、簡単には外せまい」

 

「くっ! …くっ!」

 

必死に拳を引き剥がそうとするヴァーリだったが、魔方陣から現れた光の蔦みたいなものがヴァーリの腕に絡みつき、抜けだせないでいる。

 

「それでは二天龍の一角にはご退場願おう」

 

「っ!?」

 

ロキがヴァーリの眼前に手をかざすと、掌から高質量の光が現れる。

 

「ヴァーリ!」

 

俺は咄嗟に右手の二天の片割れを投げつけた。

 

「何処を狙っているつもりだ?」

 

だが、投げつけた剣はロキを僅かに外れてしまう。

 

…それでいい、俺の真の狙いは…!

 

剣がロキを僅か上を通過した瞬間、剣は急停止する。同時に切っ先がロキの方を向いた。

 

「行け!」

 

 

――ドォォォォォォォン!!!

 

 

俺が右手をかざしながら指示を出すと、剣先から赤龍砲が発射される。

 

「ちぃっ!」

 

不意を突かれた為、防御魔方陣の展開が間に合わず、ロキはヴァーリにかざした手を放し、その場から離れた。同時にヴァーリも腕を強引に振り、光の蔦を引き千切ってその場を離れた。

 

「ようやく悪神の本領発揮というところか」

 

「みたいだな」

 

ヴァーリが俺の横に並ぶ。俺は投げつけた剣を呼び戻し、右手で掴んだ。

 

「戦況はすっかり形勢逆転。このままでは、少なくともリアス・グレモリーと、お前を除いたグレモリー眷属がやられるのは時間の問題だ」

 

「…」

 

…言われなくとも分かってる。現れた増援に加え、せっかく拘束したフェンリルもこのどさくさに子フェンリルにスレイプニルを外されて自由にさせてしまった。

 

状況は最悪だ。一刻も早くロキかフェンリルをどうにかしたいが、そんな容易い相手ではない。どうする…! 俺が必死に策を巡らせていると…。

 

「……ロキをお前に任せる」

 

突如、ヴァーリが俺にそう告げた。

 

「その口振り、お前がフェンリルをどうにかする。とでも言うつもりか?」

 

「そのとおりだ」

 

俺がそう聞き返すと、ヴァーリは躊躇わず答えた。

 

「本気で言ってるのか? お前の強さを過小評価している訳ではないが、如何にお前でもフェンリルはお前1人でやれる程簡単な手合いではないぞ」

 

実際に手を合わせた俺だから分かる。神をも殺す牙は勿論、その爪も一撃必殺になりうる武器であるし、デカい図体からは想像出来ないスピードに耐久力。いくらヴァーリでも…。

 

「フッ、俺も侮られたものだ。…2つ言っておく、まず1つ、俺はお前に負けた時よりさらに強くなっているという事。そしてもう1つは、俺にはあの時切らなかった切り札があるという事だ!」

 

そう告げた後、俺の横から高速で移動し、フェンリルの横っ腹に飛び込んだ。

 

「我、目覚めるは――」

 

<消し飛ぶよっ!> <消し飛ぶねっ!>

 

「覇の理に全てを奪われし、二天龍なり――」

 

<夢が終わるっ!> <幻が始まるっ!>

 

「無限を妬み、夢幻を想う――」

 

<全部だっ!> <そう、すべてを捧げろっ!>

 

「我、白き龍の覇道を極め――」

 

 

「「「「「「「「「「汝を無垢の極限へと誘おう――ッ!」」」」」」」」」」

 

 

「Juggernaut・Drive(ジャガーノート・ドライブ)!!!!!!!!」

 

『っ!?』

 

「っ! これは!?」

 

ヴァーリが呪文のようなものを唱えると、それに続くように呪詛のような怨念のような声が続いた。ひとしきり唱えると、ヴァーリから大出量の光と共に思わずのけ反る程のパワーが発せられた。

 

「っ! …そうか、これが――」

 

『そのとおりだ。これが二天龍を封じられし者の最大の切り札、覇龍(ジャガーノート・ドライブ)だ』

 

これがそうなのか。聞きしに勝る衝撃だ!

 

「黒歌! 予定通り、俺を例のポイントへ転送しろ!」

 

「♪~♪」

 

ヴァーリが命令を飛ばすと、黒歌は鼻歌交じりでヴァーリに手を向け、指を宙でなぞるように動かし始める。すると、先程フェンリルを拘束していたスレイプニルがヴァーリの手元に転移した。同時にヴァーリの纏う鎧が変化をしながら光がどんどん増し、やがて収まると、そこにヴァーリとフェンリルの姿はなかった。

 

「これが覇龍(ジャガーノート・ドライブ)、ヴァーリは……フェンリルと決着を付けに向かったか…」

 

確か、覇龍(ジャガーノート・ドライブ)は、大きく寿命を縮める事と、理性を失うリスクあるらしいが、さっきのヴァーリの様子を見る限り、理性は失っている様子はない。そういえば、ヴァーリはその身の膨大な魔力を使用する事で僅かな間に限って使用出来るとアザゼル先生が言っていたな。

 

「俺との戦いの時に使われていたら勝てなかったかもな」

 

先程のヴァーリと黒歌のやり取りを聞いた限り、ヴァーリはもともとフェンリルを別の場所に転送させるつもりだったみたいだが……まあいい。今はそれよりも…。

 

「俺もやる事をしなければな」

 

ヴァーリは宣言どおりフェンリルをどうにかするつもりだ。なら、俺も任された以上、ロキを倒さないとな。

 

俺は改めてロキに向き直った。

 

「…よもや、我が子フェンリルが連れ去られてしまうとはな。白龍皇め、忌々しい真似を…」

 

フェンリルを連れ去られ、軽く不快感を露わにするロキ。

 

「お前の最大の切り札、フェンリルはもういない、改めて、形勢逆転だ」

 

「フハハハハハッ! この程度で計算とはな! 実に浅慮。もはや白痴だ」

 

俺がそう告げると、ロキは高笑いを上げた。

 

「我が子、フェンリルは白龍皇と言えどどうにか出来る相手ではない。貴様らを全滅させた後に疾く回収すれば事足りる」

 

ロキは腕を胸の前で組みながら言う。

 

「愚かなお前達に教えてやる。例え我らの戦力が落ちたところで、貴様らが強くなるわけではないという事をな!」

 

ロキが組んでいた腕を広げると、子フェンリルと量産型ミドガルズオルムの動きが増した。

 

「今まで課していた枷を外した。こ奴等は力は先程の比ではないぞ?」

 

ロキの言葉の通り、子フェンリルと量産型ミドガルズオルムの動きは今までより増している。

 

「させない!」

 

木場が聖魔剣を子フェンリルの1匹、ハティの足元から発現させる。だが…。

 

「っ!?」

 

その瞬間、ハティの姿がその場から消え去る。

 

「木場! 後ろだ!」

 

 

――ギィィィィィィン!!!

 

 

高速で背後を取ったハティが木場に襲い掛かろうとしたその時、それを予見したゼノヴィアが直前でデュランダルをハティに振り下ろした。

 

「っ!?」

 

振り下ろしたデュランダルはハティの両顎を降ろし、かみつきながら受け止めた。

 

 

――ズシュッ!!!

 

 

「ぐっ!」

 

「うぁっ!」

 

ハティが片腕を薙ぐと木場とゼノヴィアは腹付近から鮮血が飛び散った。

 

「ゼノヴィア! 木場君!」

 

遊撃に回っていたイリナが2人の下へ急行し、所持していたフェニックスの涙を振りかけた。

 

「止まりなさい!」

 

ロスヴァイセが大量の魔法を量産型ミドガルズオルムに落とす。

 

「なっ!?」

 

だが、量産型ミドガルズオルムは蛇行しながらその魔法をかわしていく。魔法をかわしながらアーシアとギャスパーの下へ向かっていく。

 

「させません」

 

2人を守るように小猫が立ち塞がる。

 

 

――ズボッ!!!

 

 

その瞬間、ミドガルズオルムは頭から地面に潜り始め、やがて姿が消えた。

 

「無駄です」

 

ポツリと呟くと、小猫から猫耳と尻尾が現れた。この状態になれば、小猫本来の力が使えるようになる事はもちろん、気配を探知する能力も向上する。

 

「…そこです」

 

小猫が振り返り、拳を構えるのと同時に地中からミドガルズオルムが現れた。

 

 

――ゴッ!!!

 

 

地中から現れるのと同時に小猫の拳がミドガルズオルムに撃ち込まれる。

 

「っ!? これは…!」

 

瞬間に違和感に気付いた。小猫の撃ち込んだ箇所が頭部ではなく、尾の部分である事に。

 

次の瞬間、ミドガルズオルムの頭が飛び出した。

 

「しまった。アーシア先輩!」

 

飛び出したミドガルズオルムは、アーシアに襲い掛かる。

 

「アーシア先輩!」

 

咄嗟にギャスパーがアーシアを守るように立ち塞がり、邪眼を光らせる。

 

「(ダメだ、間に合わない…!)」

 

…まずい、対象が大きすぎて停止させるのに時間が足りない。このままじゃアーシアが!

 

「させるか!」

 

 

――ドガッ!!!

 

 

その時、横から飛び出したティアマットがミドガルズオルムを殴り飛ばした。

 

「調子に乗るな。寝坊助もどきの有象無象等、私の敵では――」

 

「ティアマット、後ろだ!」

 

俺が咄嗟に叫んだ。

 

 

――ズシャッ!!!

 

 

「ぐぅっ!」

 

その直後、背後からもう1匹の子フェンリル、スコルがティアマットに襲い掛かった。俺の言葉に反応した事もあり、咄嗟に身をよじり、右腕を爪で斬り裂かれただけにとどまった。

 

「ティアマット!」

 

「案ずるな! この程度、掠り傷だ!」

 

俺の心配を他所に、ティアマットは腕を抑えながら俺の声を遮った。

 

…決して軽い傷ではない。子フェンリルの爪はそれだけの代物だからだ。

 

「……めんどい事になったにゃん」

 

「まるでもぐら叩きだぜぃ」

 

ヴァーリチームの面々は残りの量産型ミドガルズオルムに足止めを食らっていた。奴等は先程の1匹と同様、全員が地中に潜り、ヴァーリチームの周囲を高速で包囲するように移動しながら隙を突いて攻撃をしていた。気配を探知する事に長けた黒歌と美猴だったが、4匹が巧みに攻撃を仕掛けている為、仕留める事も包囲網を脱出する事も出来ていない。完全に足止めを食らっている。

 

「ハッハッハッ! 形勢逆転だな。さて、誰が最初の贄となるかな?」

 

一連の光景を見て愉快そうに笑い声を上げるロキ。

 

「ロキィッ!!!」

 

 

――バチィィィ!!!

 

 

その笑い声に怒りを覚えた俺はロキ目掛けて村雨を振り下ろした。だが、その一撃は防御魔方陣によって阻まれた。

 

「ハッハッハッ! 何だその顔は? 先ほどの余裕が感じられないな」

 

そんな俺を見て嘲笑するロキ。

 

「神に挑むという所業が如何に無謀である事に今頃気付いたか。だが、もう遅い。我に楯突いたその罪、その命で償ってもらおう」

 

表情を消したロキが俺に告げる。

 

「クックックッ。まずは1人目」

 

そう呟いて視線を向けるロキ。

 

「っ!?」

 

その視線の先には…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

バラキエルside

 

「雷光よ!」

 

私は雷に光を練り合わせた雷光を子フェンリルと量産型龍王に落としていく。だが、子フェンリルにはかわされ、量産型龍王は直撃しているものの、その生命力を前に決定打にならない。

 

「くっ! やはり、この程度ではダメか。ならば、もっと力を練り込み、強大な雷光で――」

 

「バラキエル、後ろよ!」

 

「っ!?」

 

リアス嬢の声に反応し、振り返ると、そこには子フェンリルの1匹が眼前にまで迫っていた。

 

…しまった! 力を貯める事に集中し過ぎて警戒を怠ってしまった!

 

もう、かわす事はおろか、防ぐ事もままならん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――すまん、朱璃。私もここまでのようだ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ズシャッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!? ……何故……だ…」

 

私はこれ以上言葉を紡ぐ事が出来なかった。

 

「お…とう……様…」

 

私の視界に飛び込んできた光景は、私を庇うように立ち塞がった朱乃の姿。そして、子フェンリルの爪が朱乃の腹に深く突き刺さった姿だった。

 

「朱乃ォォォォォォォォォォッ!!!」

 

私は思わず絶叫した。

 

「ゴフッ!」

 

朱乃の口から大量の鮮血が溢れる。

 

「ええい! 私の娘から離れろ!」

 

怒りのまま光の槍で子フェンリル斬り付け、追い払った。

 

「朱乃!」

 

崩れ落ちる朱乃を咄嗟に私は抱きとめた。

 

「何故だ! 何故私を…!」

 

…叫ばずにはいられなかった。どうして私なんかを…!

 

「わか……らない…わ。私……は、あなた……を、許さない……」

 

…その通りだ。朱乃は私の事を憎んでいた。

 

「だけ……ど、あな…たが、死ぬ…かもしれない……と思ったら、身体が……動い…て、しまった」

 

「っ!? 何て事だ…!」

 

…私など、捨て置いてくれて良かった! 私は、お前さえ無事であったならそれで良かった…!

 

「ごめん……なさい…」

 

「どうして謝る! お前が謝る必要など…!」

 

「ホントは……分かって…たわ。父様は……悪くない…事は…」

 

「っ!?」

 

今私を、父様と! 昔のように…!

 

「でも……そう、自分に……言い…聞かせなければ、私の心は……保たなかった。ホントに…ごめんなさい…!」

 

朱乃の瞳から涙が流れる。

 

「母様と…父様と、もっと、一緒に……暮らしたかった…。3人で、もっと――」

 

その言葉を最後に朱乃の身体から力が抜け、両目は閉じられた。

 

「目を開けろ朱乃! 父より先に逝く等許さんぞ!」

 

……頼む、私にこれ以上愛する家族を失わせないでくれ!

 

「頼む。目を開けてくれ。朱乃ォォォォォォォォォォォォッ!!!」

 

私は心の底から叫び声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

昴side

 

「朱乃!」

 

バラキエルさんをかばうように子フェンリルの爪をその腹に受けた光景を目の当たりにした俺は声を上げた。

 

「余所見している余裕など、貴様にはないだろう!」

 

俺の眼前でロキが手を構え、魔力を集め、撃ちだした。

 

 

――ドォン!!!

 

 

その手から魔法が打ち出される。俺は咄嗟に後ろに倒れ込むようにしてそれを避け、空中縮地の要領で右手で手を置く場所を創り、そのまま左足でロキの顎を蹴り上げた。

 

 

――バキィッ!!!

 

 

「ぐっ!」

 

左足に手応えを感じると、ロキの顎が跳ね上がり、上へと跳ねあがる。跳ね上がったロキの右足首を掴み、そのまま急降下。

 

 

――バコォォォォォッ!!!

 

 

地上に鎮座していた大岩にロキを叩きつけた。

 

「朱乃!」

 

その後、すぐさま朱乃の下へと移動した。

 

…まずい、傷が深すぎる!

 

その目で見てその傷が致命傷である事を理解した。今すぐ処置をしないと間に合わない! だが、この傷、アーシアのトワイライトヒーリングでもダメだ。

 

「こいつを使わせてもうおう」

 

フェニックスの涙。支給された3つの内の1つ。俺は小瓶の蓋を親指で開け、貫かれた腹に振りかけた。すると、傷が瞬く間に塞がっていく。だが、朱乃の意識は戻らない。

 

「っ!?」

 

俺は咄嗟に耳を胸に当てて心音を確かめる。

 

 

――トクン…。

 

 

俺の耳に僅かに心臓の鼓動が聞こえた。

 

…良かった。間一髪で間に合った。

 

しばらくは意識は戻らないだろうが、これでもう心配はない。

 

「しぶといな」

 

 

――ドォォォン!!!

 

 

俺が叩き込んだ大岩からロキが岩を吹き飛ばしながら姿を現わした。

 

「だが、所詮は僅かに寿命が延びたに過ぎん。貴様らの命が潰えるのは時間の問題だ」

 

「…」

 

悔しいが、ロキの言う通りだ。子フェンリル2匹と、量産型ミドガルズオルムが5匹。そしてロキ。何とか凌いではいるが、フェニックスの涙が尽きた今、次はない。

 

…考えろ。頭を働かせろ。戦いは時として犠牲を伴う事もある。それは分かってる。だけど! 誰も失わせたくはない! 誰も死なせない! 俺が皆を守るんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――また1人で背負い込んじゃうの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

その時、俺の頭の中に声が響いた。

 

『あなたの全てを救おうとするその心は尊敬に値しますが…』

 

『そうやって全部背負い込む事はないのだ!』

 

『お前1人でどうにも出来ないのならば…』

 

『私達を頼ればいい』

 

次々と俺の頭に声が聞こえてくる。

 

…この声は……。かつて、共に戦った英雄達の声…。

 

『さあ、唱えなさい。さすれば、私達は再びあなたと共に並び立つわ』

 

その声に従い、俺は村雨を逆手に構えた。

 

「禁手(バランス・ブレイク)!!!」

 

そう唱え、俺が村雨を放すと、刀の切っ先が地に付いた瞬間、水面の波紋のようなものが現れながら村雨が地面に吸い込まれるように地に飲まれていった。

 

「っ!?」

 

俺の周囲からブレイブ・ハートの武器達が地面から現れた。次の瞬間、武器から光の塊が現れ、それが人型に変化し、武器を掴んだ。

 

「あ、あぁ…」

 

…人型の光。そのシルエット、俺には分かる。かつて、共に戦い、時に相対した英雄達の姿そのものだった。

 

『…』

 

人型の光が一斉に俺の方を向いた。

 

…光故、表情は窺えないが、俺には英雄達が…彼女達が何て言おうとしているかが分かる。

 

「ああ。そうだな」

 

俺はゆっくり歩を進め、人型の光達の先頭に立った。

 

「力を貸してくれ。英雄達」

 

…英雄達が世界を越えて再び俺と並び立ってくれた。

 

「英雄達の凱旋だ。皆を守る為、勢力を超えた調和の為。行くぞ!」

 

 

――英雄の凱旋(ブレイブ・リターン)。

 

 

英雄達と共に、俺は駆けていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





――英雄の凱旋(ブレイブ・リターン)…。

ブレイブ・ハートの禁手形態。ブレイブ・ハートのそれぞれの武器にその武器の所持者が光のシルエットとなって現れ、共に戦う。数は武器の数だけいます。ちなみに、英雄達に自我はありません。命令を聞くだけです。これは、あくまでもハイスクールD×Dのキャラがヒロインである為です。

アイディアは英雄の器(ブレイブ・ハート)と同様、MAYBE-HATさんです。


三人称視点に慣れ過ぎて一人称視点で書くのが辛かった…(^-^;)

感想でいくつか続投の感想を頂いたので、急遽書き上げました。ブランクのせいか、書き方に違和感があるかもしれませんが、その時はすみません…m(_ _)m

リメイクの件ですが、ある程度構想は固まっているのですが、時間がないのと気乗りがしないので今の所は構想段階で止まっています。とりあえず、主人公は何処の勢力にも肩入れせず、人間のままで、原作の過去にも介入したり、スラッシュドックにも介入させたいなとか考えています。

次の投稿は未定ですが、現章とりあえず終わらせたいなとは思っています。

感想、アドバイスお待ちしております。

それではまた!
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