ハイスクールD×D~転生せし守り手~   作:bridge

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投稿します!

続けての投稿です。

それではどうぞ!


Life.98~打倒、子神喰狼~

 

 

 

「力を貸してくれ、英雄達」

 

俺は人型の光の先頭に立った。

 

「これが貴様のもう1つの禁じ手とやらか。だがしかし、目覚めたばかりの力でこの状況、覆せるかな?」

 

不敵な笑みを浮かべながら指を鳴らす。同時にスコルとハティ。量産型ミドガルズオルム達が動き出す。

 

「守ってみせるさ」

 

俺が右腕をバッと広げると、俺の英雄達が動き出す。

 

 

――ズシャッ!!!

 

 

龍牙と銀閃を持った光が量産型ミドガルズオルムの1匹の喉元と頭部に武器を突き刺した。

 

「アォン!!!」

 

子フェンリルのハティが俺に襲い掛かる。

 

 

――バキィッ!!!

 

 

閻王を腕にはめた光がハティの爪が俺に突き刺さる直前で横っ腹を殴りつけた。同時に二天を持った光と螺旋槍を構えた光がハティに仕掛けた。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

スコルに対し、青竜偃月刀、蛇矛、七星餓狼、南海覇王を持った光が斬り付けていく。

 

 

――パシュッ…パシュッ…!!!

 

 

空中から多幻双弓と餓狼爪と颶鵬を持った光が矢を放ちながら援護をしていく。

 

「部長」

 

「っ!」

 

状況が理解出来ず、戦況を見つめている部長に声を掛けると、ハッとした表情で俺の方へ振り返る。

 

「俺はロキとケリを付けます。残りの敵は部長達に任せます」

 

ロキの戦いに集中すれば周囲に気を配る余裕はなくなる。部長が指揮を執ってくれれば俺は後顧の憂いなくロキと戦える。

 

「分かったわ。ロキはあなたに任せるわ。他は全て私達に任せて」

 

俺の言葉に部長はいつもの自信に満ちた表情で答えた。

 

「存分に戦いなさい!」

 

「はい!」

 

俺は子フェンリルと量産型ミドガルズオルムを部長達と英雄達に任せ、ロキの下へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

リアスside

 

昴がロキに下へ向かった。ここまで私は王(キング)として的確に指示が出せず、後手後手に回って眷属達を傷つけてしまった。

 

「昴に託されたんですもの。期待に応えなくてはね」

 

私の周囲には装飾が施された大剣と鎌を持った光が私を守るように立っている。昴のもう1つの神器の禁手。正体は分からないけどとても頼もしさを感じるわ。

 

「…」

 

まずはヴァーリチームの動きを封じている量産型ミドガルズオルムからね。

 

「黒歌! 仙術で地面に干渉して龍王達をいぶり出しなさい!」

 

「ふふっ、分かったにゃ♪」

 

私の言葉を聞いた黒歌が胸の前で両手を合わせ、両手を地面に置いた。

 

「美猴、アーサー、巻き込まれたくなければ離れるにゃ」

 

「先に言えっての」

 

「分かりました」

 

黒歌の言葉に文句を言いながら美猴とアーサーがその場を離れた。

 

「そこら一帯の地面を沼に変えてやったわ。あっちこっちモグラみたいにウザイ蛇共を地面の奥深くに生き埋めにゃ♪」

 

不敵な笑みを浮かべながら言う黒歌。

 

「これで最後にゃ。ここから妖術を加えてさらに地面に干渉よ」

 

 

――ゴォォォォッ!!!

 

 

沼と化した地面が波を打ちながら地響きが鳴る。

 

「ほらほら、早く出てこないと地中の圧力で圧死しちゃうにゃん。もしかしたら窒息するのがさきかもしれないわね♪」

 

にこやかに笑いながら地面を振動させ続ける黒歌。すると…。

 

 

――ボゴォッ!!!

 

 

耐えかねてか、量産型ミドガルズオルムが地面から飛び出した。

 

 

――ザシュッ!!!

 

 

「ようやく、顔合わせが出来ましたね」

 

メガネのブリッジを押し上げながら呟くアーサー。同時に龍王の首が飛んだ。

 

 

――バキィッ!!!

 

 

「ハッハッハッ! なかなか楽しめるもぐら叩きじゃねえかい」

 

如意棒を振るって龍王を叩きつける美猴。次々と地面から顔を出す龍王達。

 

…あっちは問題なさそうね。問題はこっち。

 

「「……グゥゥッ…!」」

 

子フェンリル2匹が私達を威嚇している。

 

…あの2匹だけは私達の手で倒さないと。でないと、ここまで必死に戦ってくれている昴に申し訳ないわ。

 

私は頭の中で策を巡らせ、1つ1つ形作っていく。

 

「……祐斗! ゼノヴィア! ティアマット! あなた達は子フェンリル達を引きつけて!」

 

「了解!」

 

「分かった!」

 

指示を受けて祐斗とゼノヴィアは返事をしてくれた。

 

「私に指図をするな!」

 

けど、やっぱりティアマットだけは拒絶をした。

 

「今だけは私の指示を聞いて。これは結果的に昴を助ける事に繋がるの。だからお願い!」

 

「……良いだろう。貴様の指示される等虫唾が走るが、昴の為に繋がると言うなら、渋々聞いてやらんでもない」

 

かなり嫌々と言った態度だけど、了承してくれた。

 

「イリナは再び遊撃として2人を援護。小猫も同様に遊撃を頼むわ」

 

「任せて♪」

 

「分かりました」

 

2人も私の指示を了承してくれた。

 

「ロスヴァイセ」

 

「何でしょう?」

 

「あなたの魔術で――というのは出来るかしら?」

 

この作戦の肝になる作戦をロスヴァイセに尋ねる。

 

「……なるほど、可能です。ですが、子供とは言え、フェンリル相手では容易に破られる恐れがありますが…」

 

「それは問題ないわ。その対策は別に考えてあるわ」

 

「分かりました。それならば問題ありません。あなたの期待に応えましょう」

 

私の策にロスヴァイセは笑顔で了承してくれた。

 

「ギャスパー、私が合図を出したら全力で子フェンリルを停止させなさい。アーシアはいつでも回復出来る準備をしておいて」

 

「了解ですぅ!」

 

「任せてください!」

 

作戦は皆に行きわたった。後は作戦が成功するか否か…いえ、必ず成功させるわ!

 

「各自散開! 子フェンリルを仕留めるわよ!」

 

『了解!』

 

私が激を飛ばすと、皆が各々役割を果たす為に向かっていく。

 

「行くぞ木場!」

 

「分かった! けど、無理は禁物だ。1撃当てたら引いてそれを繰り返す。ヒット&アウェイで行こう!」

 

聖魔剣を構えた祐斗とデュランダルを構えたゼノヴィアがスコル、ハティに斬りかかる。祐斗の提案どおり、ゼノヴィアは1撃斬り込んで引く事を心掛けている。

 

「「グォォッ!!!」」

 

下がる2人をスコルとハティが追い打ちをかけようとする。

 

「くっ! やはり速い!」

 

距離を取る祐斗とゼノヴィアに2匹が恐ろしい程の速さで追撃をかける。

 

 

――ズシャッ!!!

 

 

――バキィッ!!!

 

 

2人が手持ちの剣で2匹の攻撃を受けようとした瞬間、二又の槍を持った光がスコルの腹に、そして大きな棍棒を持ったハティの額に一撃撃ち込んだ。

 

「させないわよ!」

 

「2人には手出しさせません」

 

それに続いてイリナが光の輪のようなものを創り、ハティに投げつけ、小猫はスコルの背中に拳を撃ち込んだ。

 

…順調ね。私も準備を始めないと。

 

私は滅びの力を両手に集中し、練り上げていく。

 

祐斗とゼノヴィアはスピードを生かしながらヒット&アウェイを繰り返し、2人の隙を埋めるようにイリナと小猫、そして昴の禁手から現れた光が追撃をかけていく。

 

「こちらの準備は完了しました。いつでも行けます」

 

ロスヴァイセの準備は整った。さあ、ここからが正念場よ!

 

「裕斗、ゼノヴィア、小猫、イリナ! 2匹を一ヶ所に集めなさい!」

 

「「了解!」」

 

指示を受けた2人が旋回しながらそれぞれ動き回り、量産型ミドガルズオルムが蠢いている黒歌の創り出した沼地まで移動する。

 

「魔剣創造(ソードバース)!」

 

裕斗が魔剣を沼地に発現させると祐斗とゼノヴィアは魔剣の柄を足場に着地した。

 

「フェンリル達をここへ!」

 

「あの小娘の下僕にしてはなかなか考えたな」

 

 

――ドガァッ!!!

 

 

ティアマットが空中から両足を揃えてスコルに蹴りを食らわせ、沼地に蹴りつけた。

 

「グォォッ!!!」

 

もう1匹のハティが咆哮を上げながらティアマットに大顎を開きながら襲い掛かった。

 

「遅い!」

 

顎が閉じられる直前に身体を引いて上半身を下げ、両脚で首を脚で挟み、そのまま遠心力で回転し、沼地に叩きつけた。これで2匹が一ヶ所…それも沼地に集まった。

 

「ロスヴァイセ、今よ!」

 

「分かりました、任せて下さい!」

 

ロスヴァイセが両手を前に構えると、目の前に無数の魔方陣が現れた。同時に子フェンリル達の一帯を覆うように結界が現れた。

 

「「グォォッ!!!」」

 

危険を感じた2匹が慌てて結界の外に脱出を試みようとする。

 

「ギャスパー! 僅かな時間でいいわ、あの2匹の動きを止めなさい!」

 

「分かりました!」

 

指示を受けたギャスパーが神器を発動し、両目を光らせ、2匹を停止させた。停止させた対象が強大すぎるせいか完全に停止しきれていないが、確実に動きを止めている。

 

「みんな! 動きが止まっているあの2匹にとびきりの一撃をお見舞いしなさい!」

 

私は全身から滅びの力を引き出し、両手に集中させる。

 

「なるほど、良い作戦だ」

 

私の考えた作戦を称賛したバラキエルが手に雷光を集中させた。続いてゼノヴィアがデュランダルに力を集中させ、イリナが先ほどよりも高出量の光の輪を作り出し、小猫が右手に仙術を練り上げ、ティアマットが右脚にオーラを集中させた。

 

「今よ!」

 

 

――ゴォォォォッ!!!

 

 

私の合図と同時に各々が持つもっとも威力のある一撃を子フェンリルに向けて放った。私の滅びの力が、バラキエルの雷光が、ゼノヴィアのデュランダルの力が、イリナの光の輪が、小猫の仙術の力が、右脚を振りぬいたティアマットからは円盤状のオーラの一撃が着弾する。

 

「私が創り上げた結界はフェンリルを閉じ込めるものではありません。本来、大きな一撃というものは着弾すると威力が周囲に広がり、力が分散してしまいます。ですが、私が結界で一帯を覆う事で力が結界に留まり、分散する事なく対象にダメージを与えられます。…私の魔法をこのように使うとは、さすがは魔王ルシファー様の妹君です」

 

「「ギャオォォォッ!!!」」

 

着弾と同時に結界を完全に閉じ、私達の放った一撃を一身に浴びる子フェンリル達。一帯が爆煙で包まれ、やがて風によって晴れると…。

 

「「…」」

 

プスプスと煙を上げながら横たわる2匹の姿があった。

 

「やった……のか?」

 

怪訝そうな表情で2匹を見つめるゼノヴィア。

 

「油断しないで。見た所、まだ息はあるわ。けど、これでしばらくは動けないでしょう」

 

遠目で慎重に観察しながら私が結論を出す。

 

「やったんですね?」

 

小猫が恐る恐る私に尋ねる。

 

「ええ、私達の――っ!?」

 

その時、頭上からおびただしい程の数の魔力が降り注いだ。

 

 

 

 

 

――ドォォォォォッ!!!

 

 

 

 

 

雨のように降り注ぐ魔力の一撃。私は咄嗟に防御魔方陣を展開させたが、急ごしらえの防御魔方陣では魔力を防ぎきれず、降り注ぐ魔力にさらされてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ※ ※ ※

 

 

昴side

 

ハティとスコルを部長達に任せ、俺は1人ロキに向かった。

 

「…ふん、まさか、蝙蝠や鴉共にここまで食い下がられるとはな」

 

「力で劣ろうと、束ねれば強大な力となる。戦いは強い者が勝つとは限らないぜ」

 

苛立ち気に俺を睨み付けながら問いかけるロキに俺は淡々と返した。

 

「あの光、聖書の神が人間風情に与えた神器の禁じ手か。忌々しい限りだ」

 

鼻を鳴らしながら吐き捨てるロキ。

 

「生憎とこれは神が創った元来の神器とは別物でね。かつて俺と共に戦場を駆けた戦友達の魂が具現化したものだ」

 

「…」

 

「これで再度形勢逆転だ。部長達が残りの敵を討ち、俺がお前を討つ。これでこの戦いも終わる」

 

「クックックッ、ハーハッハッハッ!」

 

俺がそう告げると、ロキは高笑いを上げた。

 

「実にくだらん。貴様の新たな力など、抗いようのない絶望の中の僅かな光に過ぎん。むしろ、より絶望を際立たせるスパイスになるだけだ。かのパンドラの箱のようにな」

 

「どうかな」

 

「少々、時間をかけ過ぎたか。下賤な蝙蝠や鴉共に下らん希望を与えてしまう程にな。そろそろ幕引きと行こうか!」

 

そう宣言するのと同時に右手を突き出し、俺に向けて魔力を放った。

 

 

――バチン!!!

 

 

俺はその魔力を右手で弾き飛ばし、一気にロキとの距離を詰める。

 

「見えているぞ!」

 

距離を詰めるのと同時に放った俺の拳をロキは防御魔方陣を展開して受け止めた。

 

「無駄無駄無駄ぁっ!」

 

すると、俺の頭上に現れた2つの魔方陣から魔力の砲撃が放たれた。俺は咄嗟に空中縮地で砲撃をかわし、ロキの背後を取り、拳を構えた。

 

「終わりだ」

 

瞬間、俺の眉間付近にロキが差し指を伸ばした。

 

 

――ゴォォォォッ!!!

 

 

人差し指から放たれた高出量の魔力を圧縮したものが放たれ、俺の眉間を貫いた。

 

「他愛のない。我が少し本気になれば貴様ごときいつでも屠れて――」

 

「――誰が誰を屠ったって?」

 

「っ!?」

 

再度俺を振り返ると、眉間を貫かれた俺が蜃気楼のように消え失せた。

 

「くっ!」

 

今一度背後を取った俺に気付き、拳を構える俺の一撃を防ぐため防御魔方陣を展開させるが…。

 

「遅い」

 

 

――バキィッ!!!

 

 

「ぐぅっ!」

 

それよりも早く俺の拳がロキの頬を捉えた。

 

「どうした? 俺の眉間を貫いた幻覚でも見たか?」

 

「ちぃっ!」

 

数メートル殴り飛ばされた後、ロキは態勢を整える。

 

「次、行くぜ?」

 

 

――ドン!!!

 

 

宣言と同時に俺は空中の足場を創り、蹴って正面からロキに突っ込む。

 

「舐めるなよ、赤龍帝!」

 

右腕を払うように動かしながら正面に魔力を飛ばす。魔力が激突する寸前で俺は旋回し、これをかわす。

 

「こっちだ」

 

 

――バチィィィ!!!

 

 

拳をロキ目掛けて振るったが、頬を捉える直前に咄嗟に展開した防御魔方陣に阻まれる。

 

「この程度…!」

 

 

――バチィン!!!

 

 

防御魔方陣に阻まれたが、俺は力を込めて強引に拳を振り抜き、防壁を突き破る。振り抜いた拳はロキの頬を掠る。

 

「おしいな」

 

かわされると、俺は再び移動し、ロキの周囲を高速で旋回しながら隙を窺う。

 

「っ! っ!」

 

顔を前後左右上下に動かしながらロキが俺の動きを追う。

 

「こっちか!?」

 

ロキが顔を右に向ける。

 

「こっちだ」

 

 

――バギィッ!!!

 

 

「がっ!」

 

俺は大きく上げた右脚をロキの脳天に振り降ろした。

 

「お・の・れ、猪口才な!」

 

 

――ゴォォォォッ!!!

 

 

両腕を広げたロキが前後左右まんべんなく魔力の砲撃を乱射した。

 

「下手な鉄砲数撃ったところで俺には当たらねえよ」

 

 

――バキィッ!!!

 

 

「うごっ!」

 

がむしゃらに放った砲撃をかわし、懐に飛び込むと上半身を地面に下げ、手元に魔力で手の置き場を創り、そのまま振り上げた左足でロキの顎を下から蹴り抜く。高く舞い上がるロキ。俺はすかさず後を追い、ロキを追い越して上を取ると、両脚を空に向け、足場を創り、それに両足を付けて縮地で蹴り、下に向かって急降下する。

 

 

――バキャァッ!!!

 

 

「うがっ!」

 

落下の勢いのまま俺は拳をロキの腹に撃ち込んだ。ロキはそのまま地面に高速で激突した。

 

「…ふぅ」

 

俺はここで一息吐く。

 

地面に激突した際に煙が舞った為、ロキの状態はまだ分からない。だが、かなりダメージを負わせた事は確かだろう。

 

煙から高速でロキが飛び出し、空中で立つ俺の数メートル先で止まる。

 

「…」

 

無表情で俺を見つめるロキ。口元からは血が滴っている。

 

「お前の動きや戦い方にはもう慣れた。もうお前に勝ち目はない。…見ろ」

 

俺がとある一角を指差す。そこには、横たわって絶命している量産型ミドガルズオルム達と、煙を上げながら横たわるスコルとハティの姿がある。

 

「お前の切り札も潰えた。もうお前の勝ち目はない。お前の負けだ」

 

「…」

 

俺の言葉にロキは高笑いを上げるでもなければ憤るでもなく、無表情のままである。

 

「……ふん、使えん駒だ。所詮は贋作か」

 

横たわる子フェンリル達と量産型ミドガルズオルム達に一瞥もくれず、吐き捨てるロキ。

 

「まさか、この我をここまで追い詰めるとはな。少々、貴様らを侮り過ぎたか…」

 

無表情のままロキがぶつぶつと独り言を繰り返す。やがて、独り言が終わると…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「図に乗るなよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、俺に膨大な殺気が俺に襲う。同時にロキから膨大な魔力が放出され、それが辺り一帯に降り注いだ。

 

「っ!」

 

俺は咄嗟に両腕で自身をかばうように覆った。やがて収まり、辺りを見渡すと…。

 

「っ!?」

 

俺の視界に飛び込んだのは、地に倒れている仲間の姿だった。

 

「部長! みんな!」

 

決死の思いで俺は皆に問いかける。

 

「くっ…!」

 

すると、部長が苦悶の表情をしながら上体を起こす。続いて他の眷属達が身体を起こしていく。

 

「ティアマットさん! ティアマットさん!」

 

「ぐっ! ぬかった…!」

 

アーシアが傍で顔を歪めながら倒れているティアマットに悲痛の表情で名前を呼ぶ。倒れている位置からして、咄嗟に傍にいたアーシアを庇ったのだろう。

 

「小猫ちゃん! 大丈夫ですか!?」

 

「私は…大丈夫。ギャー君も、無事で良かった」

 

小猫に駆け寄るギャスパー。小猫は心配かけさせない為に無理やり笑みを作り、答えた。

 

「…くっ!」

 

「…やって、くれるわね…!」

 

「油断しました…」

 

軽傷だが、ダメージが大きく、地に膝を着いているヴァーリチームの姿があった。

 

「…っ!?」

 

朱乃さんに覆いかぶさるように倒れるバラキエル様。放出された魔力から朱乃さんを庇ったのだろう。

 

「……くっ!」

 

よろめきながらバラキエル様が身体を起こした。

 

「しぶとい奴等だ」

 

そう吐き捨てるロキに俺は視線を向けた。

 

「ゴミ共を一掃してやるつもりだったが…ふん、貴様の神器の邪魔が入ったせいで仕留め損なったか」

 

よく見ると、部長を始め、それぞれの目の前にブレイブ・ハートの武器が刺さっていた。

 

…そうか、英雄達が皆を守ってくれたのか。

 

「…まあいい、どのみち奴等はもう動けん。赤龍帝を葬った後、疾く始末すればいい」

 

見下す表情でロキが吐き捨てる。

 

「ここまで我を愚弄したのは貴様らが初めてだ。実に……不愉快だ」

 

「っ!」

 

俺に先ほど感じた膨大な殺気がのしかかった。

 

「そんな貴様らに敬意を表し、我自ら葬ってやろう」

 

ロキがボロボロになったローブを脱ぎ捨てた。

 

…もう部長達は戦えない。戦えるのは俺だけ。

 

「フェンリルならともかく、お前1人なら、俺1人で十分だ。…こい、決着を付けてやる」

 

俺もボロボロになったブレザーを脱ぎ捨てた。

 

「言葉を慎め、貴様はどうやら理解出来ていないと見える。フェンリルが何故我に従っているか、我が産みの親だから? 否。では、我が魔術で操っているから? 否!」

 

ここでロキが大きく目を見開き、鋭い眼光を俺に向けた。

 

「我が強いからだ。故にフェンリルは我に従っていたのだ。もはや手加減はせん。フェンリルすら従えられる我の力、存分に味わうがいい!」

 

抑えていた力を全て解放したロキ。

 

俺とロキの最後の決戦の火蓋が切って落とされた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 





英雄の器(ブレイブ・ハート)の禁手ですが、前話で英雄の帰還から英雄の凱旋に変更しました。

現在、別作品と同時進行で執筆をしているのですが、この二次は一人称視点で、もう1つの二次が三人称視点なので、描き分けが辛いorz

一方が一方の二次に悪影響が出そうなので、どちらかに統一すると思います。

感想、アドバイスお待ちしております。

それではまた!

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