万屋鎮守府   作:鬼狐

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多分本編には関わらない。


のかな。わからん。


番外編
番外編①【サツバツ・イン・ネオイバラキ・トゥ・キル】


 重金属酸性雨が降り注ぐネオイバラキ。カンムスに詳しい読者の方がいれば周知の事実であろうが、ここは過去のシンカイ・セイカン騒ぎによるケオスに便乗して一つの国として独立した国家、ネオイバラキ独立国である。日本政府は公にはそれを認めていないが、既にカンムスによる治外法権国家としてイバラキ国外の日本人には認識されていた。

 外部には余り知られていない真実だが、イバラキは元々、ツクバ・シティを除いては納豆を用いた魔術が盛んな場所であり、ツクバ・シティもまた極秘裏に高い科学技術を持っていた。だがそれらは独立に際して半ば強制的に引き合わされた。そう、カンムスによって! その結果として産まれたのが、いまネオン看板に塗れた道路でタダシキを囲んでいるクローンまるゆポリスであった。

 

【サツバツ・イン・ネオイバラキ・トゥ・キル】

 

(クソッタレ。ファック。しくじった)

 

 タダシキは内心そう毒づいた。彼の周りには優に十体を超えるまるゆが立っており、そこから逃げ出すことなど叶いそうもない。

 クローンまるゆポリスはネオイバラキを支配するカンムスの一人、まるゆのクローンである。カンムスの中では弱いという自覚のあったまるゆは、自らを複製することで数という力を得た。ネオイバラキに存在する数千体以上のまるゆはすべてオリジナルまるゆが脳内直結IRCによるネットワークによって並行して操作している。これは一般市民であれば三秒で脳が知恵熱爆発する負荷だが、カンムスであるまるゆにとっては造作も無いことなのだ! オリジナルのまるゆは現在、極秘施設の中で椅子に座りLAN直結多重操作ネットワークを続けている。

 カンムスの中では弱いと言っても、一般市民と比べれば遥かに強い。そしてそれのクローンが数多く立っているこの状況では、タダシキの未来はもはや無い。ボーで叩かれ、ネオイバラキの各所に多数存在する焼却炉に投げ込まれてオシマイだ。

 

「ドーモ、タダシキ=サン。まるゆです。反逆なんて下らない真似をしましたね」

「違っ……俺は利用されただけで……!」

 

 実際、タダシキは反逆者では無かった。ただのユウビンヤである。彼が運んでいた荷物の中に、反逆者たちの計画書が書かれた手紙が入っていただけである。それがクローンまるゆ検問で見つかり、即座に十数体のまるゆに囲まれてしまったのだ。誤解というのも憚られる反逆者扱い。タダシキの抗議は当然だ。だが。

 

「黙ってください」

「アイエエエエエエ!!」

 

 タダシキと弁解は聞き入れられることなく、ボーによる殴打で遮られた。無慈悲!

 

「あなたが本当に騙されたかなんて、調べないとわかりません。でもまるゆはとても忙しい。なので結果だけ見て殺します。あなたは反逆者です」

 

 なんたる公務員めいたマニュアル対応! だがこれに文句を言う者はいない。『警察機構に文句を言う者は死ぬ』。かの高名な詩人であり提督であったヤマモ・イソロクの残したことわざを知っているからだ。実際、タダシキとまるゆたちの周りには今夜のサケの肴を求めて多くの野次馬たちがいるが、まるゆの言葉に異を唱える者はいなかった。いや、いないはずだった。

 

「やぁ、こんにちは」

 

 その時である。奥ゆかしくアイサツをしながら野次馬とまるゆを押し退け、タダシキの側に立った者がいた。白と黒のゴスを着て、黒いマスクで顔を隠している少女だ。警察に逆らうことを快感とするイカれたメンヘラ・ゴス・ガールだろうか? 

 

「この男には聞きたいことがあるんだ。悪いけど、どっかへ行ってくれない?」

「何を言っているかわかりません。まるゆがそうする理由がない。なので殺します」

 

 まるゆのボーが少女に振り下ろされる。さきほどタダシキが喰らったものより数段速い。少女の頭がザクロめいて弾け飛ぶ未来を想像し、タダシキは思わず目を逸らした。だが。

 

「なっ!?」

 

 ボーを振り下ろしたまるゆが驚きの声を上げた。彼女のボーが、片腕で止められたからだ。

 

「やっぱり聞いてくれないよねー。イヤーッ!」

「グワーッ!?」

 

 フリーになっていたもう片方の腕で、少女はまるゆを殴り飛ばした。アッパーだ!

 

「サヨナラ!」

 

 アッパーの勢いで数十メートルほど持ち上げられたまるゆは、空中で爆発四散した。クローンまるゆは強化のために本体からカンムスチカラの一部を受け取っており、致命的なダメージを受けるとそれを本体に戻すために自爆するのである。死体も残らないため大変クリーンだ。

 

「まず一人! そして次! イヤーッ!」

「アバーッ!?」

 

 少女が別のまるゆの腹にセイケン突きを当てた。腹に大穴の開いたクローンまるゆポリスが、嘔吐しながら爆発四散する!

 この少女の一体どこにこんな力が沸いているというのか! おお、おお! 見よ! いつの間にか少女のゴス服が消え、赤に近い橙色のセーラーめいた装いに変わっている。黒いスカートに白く長いマフラー。そして顔には、『殺伐』と刻まれた黒く輝くメンポ! サツバツカンムスだ!

 

「まさか、貴方は……!」

「ドーモ、クローンまるゆ=サン。カンムススレイヤーです」

 

 カンムススレイヤー!? カンムススレイヤーと彼女は言ったのか!? 然り。外ではサツバツカンムスを名乗る彼女だが、ネオイバラキでは違うネームを使う。それが『カンムスを殺す者』、カンムススレイヤー!

 

「ドーモ、カンムススレイヤー=サン。クローンまるゆです。……まるゆ3032号より各所に連絡! カンムススレイヤーが現れました! カンムス・ダイホンエイ・シンジケートへのS級反逆者、カンムススレイヤーです!」

 

 カンムス・ダイホンエイ・シンジケートとは、ネオイバラキを支配するカンムスたちの組織である。謎に包まれたトップ、その護衛であり懐刀であるダークジンツウ、警察兼暴力機構のまるゆ、ダイホンエイのズノウそのものとも言えるオオヨド。その四人を筆頭幹部とし、その下にはカンムスニンジャクランとニンジャカンムス艦隊。最後の二つはカンムスになれる日を夢見てニンジャ修行をこなしたりサイバネ手術を受けた者たち、カンムスモドキの集まりである。

 サツバツカンムス、否、カンムススレイヤーはこれまでに数十人のカンムスモドキをスレイしていた。そのため、フォレスト・サツキやヤクザヨウセイサンと並ぶ筆頭サーチ・アンド・サヨナラ対象として彼女はダイホンエイにマークされているのだ。すなわち、発見次第即始末!

 

「ザザッ……ドーモ……ザザッ……こちらミト担カンムスモドキ……即座に向かう……カンムススレイヤー撃破でガチャ確率二倍重点……ザザッ」

 

 ノイズ混じりの前時代的アナクロ無線によるカンムスモドキの返事! これには理由がある。幹部のまるゆと違い、ただのカンムスモドキである者には無線LANやWi-Fiなどのネット回線を使用することが出来ないのだ!

 ネオイバラキでは保安上の理由という建前でネット回線は大きく制限されている。決して安くない金額を払って回すインフラ・ガチャ・システムでネット回線使用権を獲得した者だけが使用できるのだ。しかもこのガチャシステムには電気、ガス、水道の使用権等も含まれており、更に使用料自体は別で使用権は月間だ。コワイ!

 この課金制度を考えたのはオオヨドというカンムスであり、彼女はこれ以外にも様々な課金制度を強いている。なんたるネオイバラキ一般市民だけではなく仲間であるはずのダイホンエイシンジケートにも容赦のない恐るべき集金システムであろうか。カンムスでもカンムスモドキでもない一般市民は、インフラのために給料のほとんどを吐き出すかカチグミサラリマンがダブった使用権を買い取らされることになるのだ! なお、カンムスモドキは一日に十連だけ無料だ。ゆえにカンムスモドキになろうとする者は後を絶たない。

 

「あ、カンムスモドキ呼んじゃった? 困るなあ」

 

 口ではそう言いながらも、カンムススレイヤーはメンポの下で笑みを浮かべていた。クローンまるゆを殺し、現れたカンムスモドキを殺す。それこそが彼女がタダシキを助けた理由の一つである。

 だがその目的はなんなのか? これまでのカンムススレイヤーを読んでいる皆さんは既にご存知であろうが、今一度説明しておこう。彼女の目的は一つ。彼女の妹、ジンツウの捜索である! 

 彼女は三姉妹の長女であり、ジンツウ、ナカというセンダイ型カンムスの妹がいた。無論、姉妹であるカンムススレイヤーにもカンムス適性があったので彼女もカンムスではあるが、カンムスネームは不明である。

 仲の良い三姉妹はシンカイ・セイカン騒ぎにおいてカンムスとなった。だがシンカイオバケたちが突如としていなくなった直後、ダイホンエイ・シンジケートによってジンツウは誘拐されてしまったのだ! 

 ゆえに、カンムススレイヤーはカンムスモドキを殺し続けている。ゆくゆくはまるゆとオオヨドを殺し、得た情報でダークジンツウという謎に包まれたカンムスを殺し、それからボスを殺す。ジンツウを取り戻し、ダイホンエイを潰す……それこそが彼女の目的である!

 

(まるゆ。オオヨド。ダークジンツウ。謎のボス。……オール、マスト、ダイ!)

 

 彼女は頭の中に殺すべき相手を並べ、決意を固める。孤独な戦いを生き抜くために! 

 

「イヤーッ!」

「グワーッ!」

 

 カンムススレイヤーがスリケンをまとめて投擲! クローンまるゆ二人が爆発四散!

 

「イヤーッ!」

「グワーッ!」

 

 カンムススレイヤーの連続正拳突き! クローンまるゆ三人が爆発四散!

 

「イヤーッ!」

「グワーッ!」

 

 カンムススレイヤーが回し蹴り! クローンまるゆ四人が爆発四散!

 

「イイイ………イヤヤヤヤヤヤーッ!」

「「「「「グワーッ!」」」」」

 

 カンムススレイヤーが回転しながらスリケンを大量投擲! ヘルタツマキだ! クローンまるゆ五人が爆発四散!

 

「イヤーッ!」

 

 シャウトと同時に水平チョップ! カンムスの力で振られたそれは、カタナに等しい。さきほど通信していたクローンまるゆの首に赤い筋が走る!

 

「アバッ……おのれ、カンムススレイヤー! あなたの目的はなんですか……」!

 

 血を吹き出しながらも、クローンまるゆが尋ねる。カンムススレイヤーの目が赤く光った!

 

「殺すことだよ。君たちも! カンムスモドキも! 君も! オオヨドも! ダークジンツウも! ボスも! ダイホンエイのカンムスを! すべて! 殺す! オール! マスト! ダイ! イヤーッ!」

「グワーッ!」

 

 さきほどとは逆の手で水平チョップ! クローンまるゆの首が飛び、爆発四散! この場にいたクローンまるゆはすべて死んだ。だが!

 

「イヤーッ!」

「ヌッ!」

 

 ガキン、という金属音が鳴り響いた。さきほどクローンまるゆの通信に返答したカンムスモドキによるアンブッシュだ! ザンシンしていたカンムススレイヤーはそれを手のブレーサーで受けた。非常に硬い素材で作られたブレーサーには傷一つなし!

 

「ドーモ、カンムススレイヤー=サン。ウォーターバイドです」

 

 金色の髪、そして白いドレスのようなカンムス装束! だがウォースパイトではない! カンムスモドキにはカンムスネームは与えられず、独自に、もしくはメンターがモドキネームを付ける習わしがある。ゆえに、カンムススレイヤーにアンブッシュした者は既存のウォースパイトというカンムスに憧れ、コス・プレイをしているだけの屈強な男なのだ! だが彼も、そして他のカンムスモドキも知らない。カンムスモドキからカンムスになれた者は一人もいないのだと。

 

「ドーモ、ウォーターバイド=サン。カンムススレイヤーです」

 

 カンムスにとってアイサツは神聖不可侵の行為。アイサツをされれば返さねばならない。ポツダム・デクラレイションにも書かれている。それはカンムスとカンムスモドキであっても変わらない!

 

「貴様がカンムススレイヤーか。どんなタフガイかと思って駆けつけてみれば、ただの少女ではないか! ハハハハハ!」

 

 安い挑発! だがカンムススレイヤーは動じない。

 

「どんな強敵が来るのかと思ってみれば、ただの女装ヤロウだなんてね。もっとしっかりやったら? カートゥーン・マーケットに現れる女装コス・プレイヤーは化粧の勉強とかしてちゃーんと努力してるんだよ? せめて脛毛剃ったら?」

 

 バトウ・カエシ! ウォーターバイドの顔が一瞬にしてトマトめいて赤く染まった。

 

「敏感肌だから脛毛剃れないんダー! イヤーッ!」

 

 ウォーターバイドがカンムススレイヤーに手の平を向けてシャウト! 同時に、その手から水が放たれる! ネオイバラキのハイテックなサイバネ技術によるウォーターカッターだ! カンムススレイヤーはひらりと躱した。二隻の戦いを見守っていた野次馬たちを何人か斬り裂いてから、ウォーターカッターは地面に突き刺さった。

 そのままウォーターバイドは動かない。連続では使えないと状況判断したカンムススレイヤーは、即座に反撃のスリケンを投げようとした。だが!

 

「ヌッ!」

 

 くい、とウォーターバイドが手の平を返すと同時に、さきほどまではカタナめいて一直線だったウォーターがムチのようにしなる! 不意を突かれたカンムススレイヤーは、水でスマキにされた! 腕ごと身体を縛られ、カンムススレイヤーの平坦な胸がミズナワによってなんとか強調される!

 カンムススレイヤーはミズナワを解こうともがくが、まるで身動きが出来ない。硬度を持った……水!

 

「ヌウウーッ……」

「これぞこのウォーターバイドのミズナワ・ジツ! カタナにもムチにもなるウォーターはネオイバラキハイテックの結晶! 貴様は西部劇めいてグルグル・マキにされたまま斬り裂かれてオダブツダー! 死ね!カンムススレイヤー=サン! 死ね!」

 

 くい、とウォーターバイドが再び手の平を返した……否! その手にスリケンが突き刺さり、手の平を返すことは叶わなかった! 

 

「な……グワーッ!」

 

 驚愕していたウォーターバイドの手に遅れて痛みが走る。いったい何が起こったというのか!?

 読者の皆さんの中にカンムスがいれば見えていたことだろう。腕を動かせないカンムススレイヤーは、その状態で手首の力だけで血から精製されたスリケンを投擲! それがウォーターバイドの手に刺さったのだ! なんたるカンムス力とカンムス器用さを最大限に活かし絶体絶命の状況を打破する恐るべき戦術! 歯には歯を、手の平には手の平を。『アイ・アンド・キル・フォア・アイ、トゥース・アンド・キル・フォア・トゥース』というイソロクのコトワザどおりだ!

 

「バカナー! だが、残った左手でもミズナワ・ジツは……グワーッ!?」

 

 ウォーターバイドの無事だった腕にスリケンが突き刺さる! 両手が使えない!

 

「バカナー! だが、残った右足でも……グワーッ!?」

 

 ウォーターバイドの無事だった右足にもスリケンが突き刺さる! 右足も使えない!

 

「バカナー! だが、残った左足でも……グワーッ!?」

 

 ウォーターバイドの無事だった左足にもスリケンが突き刺さる! 両手両足が使えない! 崩れ落ちるウォーターバイド! 同時に、カンムススレイヤーに巻き付いていたミズナワも解けた!

 

「もう何も出来なくなったみたいだね。ロウソク・ビフォア・ザ・ウィンド!」

 

 決断的な殺意の瞳を携えて、カンムススレイヤーがウォーターバイドに近づいていく。両足の使えなくなったウォーターバイドはもはや逃げることも叶わない。彼の脳裏には、『同じ過ちを繰り返す奴は沈む』というイソロクのコトワザがよぎっていた!

 

「おのれ……このウォーターバイドが……おのれぇ……!」

「インタビューの時間だよ。どれか一つでも答えられたらカイシャクしてあげる」

「俺は何も答えな……グワーッ!」

 

 ウォーターバイドが言い切る前に、カンムススレイヤーは彼の右手をカンムスチョップで切断した!

 

「まるゆの居場所は?」

「何も喋らな……」

「イヤーッ!」

 

 ウォーターバイドの左手が切断!

 

「グワーッ! 何も知らない!」

「オオヨドの居場所は?」

「何も喋らな……」

「イヤーッ!」

 

 ウォーターバイドの右足が切断!

 

「グワーッ! 何も知らない!」

「ダークジンツウの居場所は?」

「何も喋らな……」

「イヤーッ!」

 

 ウォーターバイドの左足が切断!

 

「グワーッ! 何も知らない!」

「ボスの居場所は?」

「何も知らな……」

「イヤーッ!」

「グワーッ!」

 

 ウォーターバイドの首が切断! 体内のカンムスモドキエネルギーが行き場所を失って荒れ狂い、その身体を爆発四散せしめた!

 

「カンムス、殺すべし……!」

 

 カンムススレイヤーはザンシンした。クローンまるゆもカンムスモドキも死に、野次馬はさきほどの巻き添えを見て逃げ去った。そこら中でネオン看板の煌めく道路に残ったのは、カンムススレイヤーとタダシキの二人だけ。

 

「今回もハズレか。カンムスからの指示を受け取るメンター的カンムスモドキがどこかにいるはずなんだけど……はぁ」

 

 溜息を一つ吐いてから、カンムススレイヤーはタダシキの方を見た。

 

「アイエエエ……カンムス、カンムスナンデ……」

 

 カンムスとカンムスモドキの戦いを至近距離で見てしまったタダシキはカンムス・リアリティ・ショックとカンムスモドキ・リアリティ・ショックを併発し、涙を流して呻いていた。当然、失禁済!

 

「ほら、起きて」

 

 そんなタダシキの脇腹を、カンムススレイヤーは蹴った。邪悪なカンムスモドキめいた非道行為を彼女が? 否。蹴りの直後に突如としてタダシキの顔が膨れ上がり、破裂! その下から出てきたのは、赤めの桃髪の女……カンムスだ!

 

「もう。そんな乱暴な起こし方しないでくださいよ。ドーモ、カンムススレイヤー=サン。アカシです」

「ドーモ、アカシ=サン。カンムススレイヤーです」

 

 アカシのアイサツにカンムススレイヤーは平然と返した。彼女はアカシに詳しいのだ。アカシは特殊なカンムスであり、カンムスの治療を行うことの出来る珍しいカンムスだ。それを応用したアカシンというオリジナルナノマシンによって、彼女は他人の身体を一時的に乗っ取ることが出来るのだ! 乗っ取られた身体は使い捨てではなく元に戻る。優しみ! 彼女はこのアカシンをネオイバラキのユウビンヤ全員とネオイバラキ外の何十人かに投与していた。

 カンムススレイヤーとアカシはキョウリョク・カンケイであり、クローンまるゆに絡まれたボディの一つを助けるためにカンムススレイヤーはこの場に現れたのだ!

 

「貴重な身体を助けて頂いてアリガトウゴザイマシタ。これで貸し一つですね。さぁ、早速貸しを返しましょう。どの顔をお求め? ピエロオーメン・ギャングにデカいビズを渡す歯医者とのパイプを持つ奇妙な『少女』ですか? それとも万屋鎮守府に奇妙なジョブを下ろす『麻酔医』ですか? あっ、分かりました。武器を売り捌く死の商人、『アーカシ』ですね。銃! 私が持っていてあなたに必要なもの! キャッチ・ア・ガン! ……いまいちですね」

「『情報屋』でお願い。例の情報、もう集まったでしょ?」

 

 けらけらと笑いながら奇妙なことを言うアカシを無視して、カンムススレイヤーはメンポの下で笑みを浮かべながら己の要求を告げた。

 

「例のって……まさか。ひょっとして、本気でアレをやるつもりなんですか? オロカ!」

「本気も本気だよ。愚かなのも分かってる」

 

 カンムススレイヤーのどことなく軽い口調が一変して決断的になる! 彼女の目が赤黒く光り、殺意を滲ませた!

 

「次は……スゴイタカイ・ウシクダイブツを襲撃する」

 

【サツバツ・イン・ネオイバラキ・トゥ・キル】終わり

【トール・アズ・ダイブツ、ビッグ・アズ・ブッダ】に続く

 

 




大変難しかったけど大変楽しく書きました(彼は真顔で書き終えた

続くかどうかは未定。
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