灰色の狼と小さな白猫   作:鯵開き

12 / 14
お久しぶりです。
なかなか執筆時間が取れず遅れてしまいました。
申し訳ありません。

なんとか三が日の間に更新できてよかった。

間が空くと口調が思い出せなくて苦戦しました。


第十一話

「先輩、今日の部活はサボらないでください」

「わかってる。部活のもう一人の僧侶を解放するんだろ」

「はい、それではまたお昼に」

「ああ」

 

翌朝、昇降口で塔城と放課後について話していると兵藤とアーシア、部長の三人が現れた。

 

「おはよう、乾」

「おはようございます。乾さん」

「おはよう、巧真 」

「ああ、おはよう」

「おはようございます」

 

挨拶を交わし、軽く放課後の打ち合わせをするとそれぞれの教室に向けて歩き出した。

 

 

 

 

「「乾ィ!!」」

 

教室のドアを開けると例の如く元浜松田が殴りかかってきた。

 

「おいバカやめr・・・ウグァ!」

 

いつものように兵藤を盾にして回避する。

 

「何で、いつも、俺を」

 

最近鍛えてるせいか頑丈になった兵藤は床に這いつくばりつつも声をあげた。

 

「近くにいた。お前が悪い」

 

そんな兵藤に冷たく言い放つと兵藤は今度こそ力尽きた。

 

そんな兵藤にアーシアが駆け寄っていくのを尻目に俺は席についた。

 

 

─放課後 旧校舎 開かずの教室前─

 

俺は言われた通り開かずの教室前にいた。『KEEPOUT』とかかれた黄色いテープの貼られたそのドアの前には俺以外のオカ研の面子も集まっていた。

 

「夜にはこの校舎内限定で封印が解けるんだけど、一日中この部屋の中にいるのよ」

 

なるほど、引きこもりか。

しかし、副部長によるとパソコンを介して契約することで眷族の中で一番の契約率を誇るらしい。

 

「さて、開けるわよ」

 

兵藤達と僧侶について聞いていると部長が扉に手をかけつつ言う。

 

全員が再び扉を見つめるとと同時に開けた。

 

「イヤァァァァァァァァァァァァァァァ!」

 

途端、凄まじい悲鳴が響く。

唖然とする俺や兵藤達を除く部長や古参のメンバーは慣れた様子でため息をついている。

 

「もう封印は解けたのよ」

「お外にでられますわよ」

「ひぃ!イヤァ!お外嫌いィィ!」

 

やがて手慣れた様子で突入した部長と副部長の声と小女らしき声が聞こえてきた。

どうやら、外に出そうとする部長達に必死に抵抗しているようだ。

 

「うひょう!女の子!僧侶は金髪尽くしか」

 

俺は兵藤とアーシアと顔を見合せそっと中を覗いてみると薄暗くもかわいらしい装飾のなされた小女の部屋、その一角に部屋の主はいた。

その姿を視界に納め兵藤が歓声をあげた。

 

「見た目は女の子だけれど、この子は男の子よ」

 

部長の言葉に俺と兵藤は目を見開いた。

金髪に赤い瞳、華奢で人形のような美貌でなおかつ女子用制服に身を包んでいた。完全に女子だが。

 

「女装癖があるのですよ」

 

部長の言葉とその完成度に驚きつつも副部長の言葉に俺はどこか納得できた。が、兵藤はそうもいかなかったらしい。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

絶叫しつつ踞っている。

そして僧侶へと詰めより魂を燃やすような声で慟哭する。

 

「部長が外に出ろって」

「ひぃやぁぁ」

 

そして、兵藤が僧侶の腕を掴んだ瞬間だった。僧侶の絶叫とともに一瞬、意識がとんだ。

 

「なに?」

 

兵藤が掴んでいたはずの腕の主が視界から消えていた。

探してみると部屋の片隅に移動し、踞っている。

 

「なにがあった?」

 

古参のメンバーを除く全員が奇妙な顔を見合せる。

 

僧侶は未だに叫んでいるが何が起こったのか一切理解できなかった。

 

「その子は興奮すると神器『停止世界の邪眼』で視界に映るすべての物体の時間を止めてしまうのですわ」

 

副部長の説明で納得する。

神器に関しては理論とか考えるだけ無駄なのは曹操で既に体験済みだった。

 

 

 

「つまり、強力な神器をこいつは上手く扱えなくて、封印されてたと」

「ええ」

 

お互いの紹介を終え、僧侶─ギャスパー・ヴラディ─についての説明を受ける。

リアス・グレモリーの僧侶で人間と吸血鬼のハーフで悲惨な過去を持っている。

また、神器で無意識に時間を止めてしまうため外に出られない。

 

「ギャスパーの神器の制御の訓練を手伝ってほしいのだけど、いいかしら?」

「もちろんです!部長のお願いとあらば」

「ありがとう、イッセー。巧真の監視と護衛も兼ねるから、巧真にも参加してもらうわよ」

 

断る、のは無理なんだろうな。

 

「はぁ、わかった」

 

いやいやながらも俺は同意する。

こうして、俺達は後輩の訓練に付き合うことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうら走れ!デイウォーカーなら走れるだろう?」

「ひぃぃぃ!滅されるぅ!」

 

よく晴れた空から射す太陽が夏を先取りしたように輝く放課後、旧校舎の前ではゼノヴィアがショートの金髪の小女らしき生徒をデュランダルを振りかざし追いかけ回す。

 

「これを食べると元気が出るよ。ギャーくん」

「ニンニクいやぁぁぁ!」

 

それが終わると今度は塔城が山盛りのニンニクを抱えて追いかけ回す。心なしか生き生きとしている。

 

ゼノヴィア曰く、健全な精神は健全な肉体に宿る、らしい。

 

まあ、正しいは正しいんだろうな。

 

だが、この様子を見ると・・・。

 

「これは、あれだな。訓練じゃねえな。拷問だな」

 

嫌いなものを持った奴に追いかけ回される何て拷問としか言いようがない。

俺も鍋焼きうどんが迫ってきたら逃げる自信がある。

 

「お、やってんな」

「匙か」

「おっす」

 

匙がやって来た。

やってくるなり、ギャスパーを見て鼻の下を伸ばした匙の肩を兵藤が優しく掴む。

 

「なんだよ?」

「きれいな顔してるだろ?うそみたいだろ?男なんだぜ。それで」

「そんな、ことが、あっていいのか」

 

兵藤の言葉に匙が崩れ落ちた瞬間だった。

 

 

「悪魔の皆さんは仲良くお遊戯か」

「誰だ!」

 

ハッとしたように叫び、声のした方をみる。

 

そこには、ワイルドな印象の着物姿の男が立っていた。

 

「久しぶりだな、赤龍帝」

「あんたは」

 

サーゼクスに続きまたも気配を察知できなかったことに警戒を強めていると兵藤と男が会話を始めた。

知り合い、にしては剣呑な気配だ。まさか、とは思うが否定はできない。

 

「アザゼル」

 

兵藤のその言葉に場の空気が固まった。

ゼノヴィアはデュランダルを構え、兵藤は赤龍帝の籠手を出現させ、アーシアを守るように立った。

匙も神器を出現させて構える。

俺はとりあえず拳を構えて油断なくアザゼルを見た。

 

「やめとけ。ここの全員がまとまっても俺には勝てねえよ」

 

アザゼルが軽く言った。確かにその通りだろう。俺は警戒しつつも構えをといた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の神器にそんな使い方が」

 

数分後、アザゼルから匙の神器─黒い龍脈(アブリーブション・ライン)─に他の神器の力も吸いとる力があることを教えられた。

これでギャスパーの訓練が捗ると盛り上がる匙と兵藤。

 

「さて、お前がファイズの適合者だな」

「ああ」

 

二人から視線反らし俺を見るアザゼル。

 

「ファイズについてなんだが」

「返してほしけりゃ勝手にしてくれ」

 

俺がそういうとアザゼルは驚いた顔をする。

 

「そうか?ま、会談の時にでも持ってきてくれよ」

「なぜだ?」

「んや、ちょっとな」

 

アザゼルはそういうと俺の返答も待たずにさっさと去って行った。

俺はじっとその背中を見つつ、アザゼルが何を考えているのか思考していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。