灰色の狼と小さな白猫   作:鯵開き

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溢れ出る駄文感。
ご注意を


第一話 出会い

雨の中、二つの影が対峙する。

 

─遂に本性を現したな!化物が!─

『違う!俺は……』

─黙れ!殺してやる!変身!─

『クッ!やるしかねぇのか?変身!』

 

二つの影が姿を変える。

一つは白いラインを巡らせ、もう一つは赤のラインを巡らせる。

 

白いラインの影が赤い影に向かって走り出した。

 

 

───────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

「ッ!!」

 

俺は、飛び起きた。身体中が脂汗をかいていて気持ち悪い。

 

「最悪な目覚めだ」

 

額の汗を手の甲で拭いながら吐き捨てる。

あの頃の夢か、もう見ることもないと思っていたが。

曹操にあったせいか。

 

「はぁ、シャワー、浴びるか」

 

俺は再びため息を吐くともぞもぞと怠い体を動かし始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「眠みぃ」

 

一言呟きつつ通い慣れた道を歩く。

 

「あ、乾!」

 

そんなこんなで寝不足の俺の耳にそんな声が響いた。

振り返るとそこには赤いシャツに学ランを羽織った男が立っていた。

こいつは、兵藤一誠。一年から何かと俺に絡んでくる。

めんどくさいのが来た。

 

「…………」

「って、おい!無視すんなよ!」

 

俺がさっさと先に行こうとすると慌てて走りより、無遠慮に肩を叩いた。

 

「……ハァ、なんの用だ?」

 

ため息を吐いて改めて兵藤の方に振り替える。何やら期限が良さそうだ。顔がだらしなく歪んでいる。

 

「フ、これを見ろォ!」

 

兵藤はそう言って俺にケータイの画面を向けてくる。

そこには、黒髪の清楚な印象の美少女が写っていた。

 

「彼女が、俺に、彼女ができたぜぇ!」

 

兵藤は、自慢気に満面の笑みでそう言った。

 

茶髪にそれなりに整った顔立ち。人当たりもよく熱い性格。

これだけなら、好青年そのものだ。彼女の1人や2人、黙っていてもできるだろう。

 

だがしかし、兵藤には唯一にして最大の欠点がある。

 

 

「良いおっぱいだよな!」

 

 

変態なのだ。

口を開けば「おっぱい、おっぱい」言うような変態なのだ。

このせいで、十分イケメンで通じる顔も、人当たりの良い性格も、何もかもが相殺、いやマイナス方向に突き抜けてしまっている。

 

「そうか、良かったな。で?何で脅したんだ」

「ひどッ!」

 

不服そうな兵藤がさらに突っかかってくるが聞き流し、学校へと向かった。

 

この後、兵藤が親友の松本と元浜に殴りかかられるのだが、どうでもいいことなので割愛する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─昼休み─

 

「ここにするか」

 

俺は、学校の端にある茂みを抜け人気のない場所に来ていた。日が当たりなおかつ静かな場所だ。少々狭いが俺一人なのでちょうどいい。一年かけて見つけた俺のリラックススポットでもある。

 

「いただきます」

 

ポケットから黄色いパッケージの携帯食料を取り出す。包みを明け、チョコレート味のそれを口に運ぶ、噛み締める毎に口の中の水分が無くなっていくので持参した牛乳を啜り飲み込む。

 

「ご馳走さま」

 

ゴミをまとめ立ち上がろうとしたときだった。

背後に気配を感じて振り返る。

 

そこには少女がいた。

 

白い短めの髪と猫のような栗色の瞳の可愛らしい容貌。小学生並の華奢で小柄な体を白のYシャツと赤のスカートの駒王学園の女子用制服に包んでいる。

そして、悪魔独特の魔力の気配。この地は確かグレモリーの領地だったはずだから、眷属か?

 

「なにか、失礼なことを考えてませんか?」

「別に」

 

そんなことを考えていると少女にジト目を向けられた。とりあえず否定したが、女の勘は恐ろしい、ということか。

 

「じゃあな、ここ、空けるから好きに使え」

「……はい」

 

背中に、少女の視線を感じつつ俺は元来た道を戻った。

 

 

 

 

これが、俺がこれから非常に長く、それでいて非常に濃い付き合いをすることになる【塔城小猫】との出会いであったとこは今の俺には知る由もないことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─一週間後─

 

 

 

 

 

 

─朝 駒王学園─

 

「イヤァァァァァァ!」

「なんだ?」

 

朝の学園に響いた悲鳴の発信源─校門─に視線を向けると信じがたい光景があった。

兵藤がリアス・グレモリーと登校していたのだ。

アイツ、彼女はどうした?

 

「あんたの驚く顔なんて初めて見たんだけど」

「桐生か」

 

声に振り返ると、そこには眼鏡で三編みの少女がいた。名前は【桐生藍華】、クラスメートだが何となくこちらの思考を読んでいる節があるため警戒している。

 

「いや、流石にあの光景は、な」

「まあ、確かにね」

 

桐生は窓の外を一瞥し、頷く。

 

「兵藤には、彼女がいなかったか?」

 

そう聞くと桐生は首を傾げ、訝しげな表情で答えた。

 

「いないと思うわよ?いたらアイツは自慢しまくるでしょ。ねえ?」

 

桐生が横を向くと窓に張りつき号泣する男子が二人いた。眼鏡の方が【元浜】坊主の方が【松田】だ。

二人は涙とその他もろもろの液体で汚れた顔で此方へ向くと同時に言った。

 

「「いねぇ!いてたまるか!イッセーに彼女がいたら俺たちが知らないはずがない!」」

 

そう叫んで再び窓に張りついた。

桐生は「ね?」と顔で問いかける。

 

「そう、だな。勘違いだった」

 

桐生は頷くと去っていく。

どうなっている?

兵藤は一週間前に彼女ができた。と自慢してまわっていた筈だ。元浜松田にそれで殴りかかられていたのを俺ははっきりと覚えている。

しかし、その疑問は兵藤が教室に入ると同時に氷解した。

 

「お前らは、生乳を見たことがあるか?」

 

元浜松田を戦慄させている兵藤を見ながら確信する。

悪魔独特の魔力の匂い。転生したのか。

おそらく、彼女ははぐれ悪魔かなにかで、それに殺られて死にかけている兵藤を発見したリアス・グレモリーが転生させた。

そう考えると納得がいった。

 

「まあ、いいか」

 

深入りはすまい。俺はもう裏に関わるのは御免だからな。

俺は考えを終わらせた。

 

 

─昼休み リラックススポット─

 

 

「巧真先輩、毎日それで飽きませんか」

「別に」

 

黄色いパッケージの携帯食料(チョコレート味)を噛み下していると塔城にそう訊かれた。飽きてはいるが他のは不味い。

あれから昼飯の場所がかぶるせいで少女─塔城小猫─とほぼ毎日会っている。

初めは場所を変えようかとも考えたが、塔城は別に騒がないし、何よりこれ以上の場所を知らないので、なし崩し的に塔城とともに昼飯を食うのが日常になりつつあった。

もっとも、お互い口数が少ないので基本は挨拶とたまに今の塔城のように質問をし合う程度のコミュニケーションしかしていないが。

 

「塔城、飯くらい友達と食ったらどうだ?」

「巧真先輩こそ」

「悪いが俺はここが落ち着くからな」

「私もです」

 

会話が途絶える。互いに話題がないためこのように話が毎度途切れるのだ。

俺としては別にどうでもいいし、塔城としても別に問題はなさそうなので放置する。

 

「小猫、ここにいたの」

「部長」

 

がさり、と茂みが蠢き、人が入ってきた。

茂みから現れたのは赤い髪と塔城とは対照的なプロポーションの女子生徒。リアス・グレモリーだ。今朝の一件で校内で今最も注目の的になっている女子生徒。

三人になった途端にこの場所が狭く感じる。いや、リアス・グレモリーの肉体的な圧迫感によるものかもしれない。

 

「先輩」

 

塔城の視線が痛い。まあ、とにかくリアス・グレモリーは何をしにここに来たのだろうか?塔城は部長と呼んでいたから部活の連絡かなにかだろうか?

 

「あら?貴方は?」

「人に名前を訊くときは自分から名乗れ、と教わらなかったのか?」

 

無論名前は知っているが、昼の一時を邪魔されてイラついているので生意気な返答をした。

目もとが一瞬ピクリと動いただけで表情はさほど変わらない。

 

「悪かったわね。私は三年のリアス・グレモリーよ。小猫の所属している部活の部長をしているわ」

「乾巧真だ。二年」

「そう、巧真と呼ばせてもらうわね」

「お好きにどうぞ」

 

再び生意気に返すと流石に頬がひきつった。

しかし、リアス・グレモリーか、何となく察してはいたが上級のそれも純血悪魔か、めんどくさいし、とっとと退散するか。

 

「それじゃ、ここ、空けるんで、話をどうぞ」

 

そう言って教室に向けて歩く。俺が茂みを抜けるまで二つの視線が俺の背中を刺していた。

 

 

 

 

─side小猫─

 

 

「それじゃ、ここ、空けるんで、話をどうぞ」

 

そう言って、巧真先輩は去って行きました。

巧真先輩は不思議な人です。食事は毎回同じな上に時々皮肉を言います。冷たい人なのに、何だか温かい。

 

「まったく。携帯にもでないし、探したわよ」

「すみません」

「いいわ。ちょっと連絡があっただけよ」

 

部長はそう言って微笑みました。

 

「小猫、今日、イッセーも加えてはぐれ悪魔を討伐しに行くわ。放課後、すぐに部室に来てちょうだい」

「はい」

 

部長はそれだけを伝えにわざわざ来てくれたようです。

伝え終えると、部長は朱乃さんと同じようなイタズラっぽい笑顔を浮かべました。

 

「さて、と。今の巧真について教えてもらおうかしら?」

「お昼仲間です」

 

そう答えると、部長はさらに笑みを深くしました。

 

「そう、小猫が随分懐いているみたいだから珍しいと思って訊いてみたのよ」

「懐いている、ですか?」

「ええ」

 

部長はそう言って元の微笑みに戻り、続きを促しました。

“懐いている”

確かに、毎日昼食を一緒に摂るのは嫌いな人とでは無理です。

どうして?

巧真先輩の顔を思い浮かべます。

 

仏頂面で気怠げな顔。

でも、少しだけ寂しそうで悲しげで何かに怯えた顔。

 

そこまで思い浮かべてふと、気付きました。

 

「巧真先輩は似ているんです」

「似ている?」

 

部長が疑問符が浮いた顔で言いました。

 

「はい、少し前の私に似ています」

 

姉様が力を暴走させて主を殺して一人いなくなった時の私と同じ顔。

 

「そう、眷属以外の仲間、大切になさいね」

 

部長はそう言って元の微笑みに戻りました。

 

「はい」

 

私の返事を聞くと部長は校舎に向けて歩き出しました。

 

私はそのあとに続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




駆け足感がすごいですが、主人公の介入はコカビエル戦を予定しているので、そこまでは駆け足で強引に進めます。


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