灰色の狼と小さな白猫   作:鯵開き

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久しぶりの投稿。
お待たせして申し訳ないです。
そして、感想をくださった方、お気に入り登録してくださった方ありがとうございます。

相変わらずの駄文ですがよろしくお願いします。


月光校庭のエクスカリバー
第三話 復讐とは


─昼休み リラックススポット─

 

何時ものように塔城と昼飯を食べている。が、塔城の様子がおかしい。パンを口に運ぶペースが遅い。その上どこか悲しげな顔をしている。

 

「何か悩んでんのか?」

 

訊いた途端に視線をさ迷わせる塔城。

 

昨日も木場祐斗がいないと答えたら、目に見えてしょんぼりしていたしな。

 

じっと見つめていると観念したのかやがて意を決したように深く息を吸うとゆっくりと言葉を紡いだ。

 

「巧真先輩は復讐についてどう思いますか?」

「復讐?」

 

はい、と塔城が頷く。

その顔は悲しげな色が濃く出ていた。

 

復讐、か。思い出すな。

 

──────────────────────────────────────────

『なんだよこれ!』

 

家に帰ると血溜まりが出迎えた。

深紅の中に見覚えのあるモノが沈んでいる。

 

今朝、玄関で別れたばかりのモノが。

 

『なんだよこれ!』

─けけけ!─

『ッ!化物!』

 

耳障りな笑い声とともに家の奥から化物としか形容できない、人といそぎんちゃくの間の子のような長身の人影が現れた。

 

─見ラれチゃった?─

 

何がおかしいのかけけけ、と嗤いながら此方に近づく化物。

 

『お前が、やったのか』

─ソーだよ─

 

けけけ、と化物は言う。

 

そうか、お前が。

殺す。殺してやる。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すころすころすころすころすころすころすコロスコロスコロスコロスコロスコロス。

 

─けけ、遅イよ─

『ッ……ぐあ』

 

四本の触手が俺の胸を貫いている。

幻でも見ているかのように感じた。

そして、引き抜かれる。

 

『ゴフ』

 

体を支えられず崩れ落ちる。

 

血溜まりに沈んだ俺を眺めると、ヤツは満足気に立ち去った。

 

その背を見つつ俺は意識を失い……

──────────────────────────────────────────

 

「た………い。………ぱい?……先輩!……くま先輩!巧真先輩!」

「ッ!」

 

気がつくと塔城が呼び掛けていた。

いつの間にか思考の海に沈んでいたようだ。

 

「悪い。考え事してた」

「そうですか」

 

塔城が安堵した様子で息をつく。それはそうと……

 

「塔城、近い」

「ッ!すみません!」

 

慌てて塔城が下がる。見たことない顔だったな。

 

「さて、復讐について、だったか」

「はい」

 

気をとり直して続ける。

塔城はこちらを真剣な眼差しで見ている。

 

「俺としては、復讐は止めようとして止めれるもんじゃないと思ってる」

「そう、ですか」

 

悲しげに目を伏せる塔城。

構わず続ける。

 

「復讐で大事なのは止めるかどうかじゃない。果たしたあとどうするか、だ。」

「あと、ですか?」

「ああ、復讐が良い悪いは別として、するやつにとっては生きる理由になってる」

「理由」

「そうだ。果たせば生きる理由を失うことになるからな。そのあとに生きる理由が見つかれば、そいつは希望とともに生きれる」

「だが、見つからなければ、そいつは生きる理由を失い、ろくな人生を歩まない」

 

言い終わると塔城は深く何かを考えだした。

そっとしておくか。

 

「塔城、俺は次が移動なんでな、先に行く」

「はい」

「じゃあな」

 

振り返ることなく俺はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

─side小猫─

 

一昨日は旧校舎の清掃があり、代わりにイッセー先輩の家で部活がありました。

 

「小さいイッセー小さいイッセー小さいイッセー小さいイッセー小さいイッセー小さいイッセー小さいイッセー」

「はうぅ、わかりますその気持ち」

 

部活の途中にイッセー先輩のお母さんが持ってきたイッセー先輩のアルバムによってリアス部長とアーシア先輩が壊れましたが、イッセー先輩のアルバムで私たちはとても楽しい時間を過ごしていました。

 

「最悪だ」

「家族って良いね」

 

イッセー先輩の呟きにすかさず祐斗先輩がアルバムを見ながら答えます。

 

「イッセーくん」

「なんだよ?」

「これ、見覚えある?」

 

イッセー先輩と話ながらページをめくった祐斗先輩の雰囲気が変わりました。

指を指した写真には小さいイッセー先輩と男の子、そしてその後ろに剣が一本写っていました。

 

「これは聖剣だよ」

 

剣を恐ろしい目付きで睨み付けながら祐斗先輩は憎しみの隠った低い声で言いました。

 

部活が終わると、祐斗先輩は一人でどこかに行ってしまいました。

 

 

 

 

次の日、何となく心配で、巧真先輩に祐斗先輩について聞こうとしましたが、祐斗先輩はお休みしているようでした。

 

 

 

 

「何か悩んでんのか?」

 

祐斗先輩が休んだ次の日、昼食を食べていると巧真先輩が言いました。

 

相談できるならしたい。でも、巧真先輩は人間です。悪魔も堕天使も知らない普通の人間です。それなのに復讐についての相談なんてしても良いんでしょうか。

 

でも、巧真先輩なら。

 

私をじっと見つめる巧真先輩の目を見てそう決意すると、心を落ち着かせるように深く息を吸いました。

 

 

「巧真先輩は復讐についてどう思いますか?」

「復讐?」

 

はい、と頷くと巧真先輩は考え始めました。

 

……

…………

………………

……………………

…………………………

 

長すぎませんか?

そう思ってチラリと巧真先輩の顔を見ると、普段通りの無表情でした。ですが、その無表情の中に一瞬昨日の祐斗先輩と同じ色が映りました。

 

「巧真先輩。巧真先輩?巧真先輩!巧真先輩!巧真先輩!」

「ッ!」

 

慌てて呼び掛けると巧真先輩はハッとした様子で我に返り、私と目を合わせて言いました。

 

「悪ぃ、考え事してた」

 

そして間髪入れずに目をそらしながら。

 

「塔城、近い」

「ッ!すみません!」

 

「さて、復讐について、だったか」

「はい」

 

慌てて顔を離すと、巧真先輩は気をとり直すように息を吸って続けました。

 

「俺としては、復讐は止めようとして止めれるもんじゃないと思ってる」

「そう、ですか」

 

やはり、できることはないのでしょうか。

悲しくなって、下を見る。

 

「復讐で大事なのは止めるかどうかじゃない。果たしたあとどうするか、だ。」

 

巧真先輩が続けた言葉に顔を上げると巧真先輩は、今まで見たこと無いほど真剣な表情をしています。

 

「あと、ですか?」

 

そう言うと巧真先輩は、ああ、と頷きました。

 

それから、巧真先輩は考えを語ってくれました。

 

復讐が生きる理由になってること。

果たした後が大事であること。

新しい生きる理由を見つけさせること。

 

この考えが頭を回ります。

 

「塔城、俺は次が移動なんでな、先に行く」

「はい」

「じゃあな」

 

考えていると、巧真先輩はそう言って去って行きました。

そっとしていてくれたことが何よりも嬉しかったです。

 

祐斗先輩のために私が出来ることは一体。

 

考え続けてふと気がついたらベルがなっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

──放課後 オカルト研究部部室──

 

─side 小猫─

 

「会談の了承感謝する」

 

普段は楽しく過ごせる部室に二人の教会関係者が来ています。私たちは祐斗先輩を除く全員が向かい合うように座ったリアス部長の後ろに立っています。

 

「私は、ゼノヴィアだ」

「紫藤イリナよ」

「それで、教会関係者が悪魔に何の用かしら?」

 

二かさ人の自己紹介が終わるとリアス部長が切り出しました。

 

「実は、教会の三つの派閥が所有する聖剣エクスカリバーが盗まれたのよ」

「盗まれた、ですって」

 

紫藤イリナと名乗った女性がそう言うと、ゼノヴィアと名乗ったもう一人の女性も肯定しました。

 

「それで、貴女達の要求は?」

「今回の件について、一切の不介入を約束してくれ」

「私たちが堕天使と組むとでも?」

 

ゼノヴィアと名乗った女性の要求は不介入でした。まるでリアス部長が堕天使と組むとでも言いたげなその物言いにリアス部長は気分を害したように不満げな声で訊きます。

 

「ああ、聖剣をどうにかできるんだ、堕天使と利害が一致するだろう」

 

部長が切れかかっているのがよくわかります。

 

「グレモリーの名に賭けて、そんな魔王の顔に泥を塗るような事はしないわ」

「それだけ聞ければ充分だ」

 

そう言って、二人は席を立ち、出口に向かって歩き始めました。

 

「おや?」

 

中程でゼノヴィアと名乗った女性が此方を見て立ち止まりました。

 

「そこにいるのは魔女のアーシア・アルジェントか?」

「ッ!」

 

アーシア先輩を見つめながら言いました。

もう一人も言葉を続けます。

 

「追放されたのは知っていたけど、まさか悪魔になっているとはねえ」

「元聖女が悪魔になるか、堕ちるところまで堕ちたか」

 

それに呼応するようにゼノヴィアと名乗った女性は嘲るように言いました。

 

「てめぇ!いい加減に「イッセー先輩」……」

 

今にも飛び出しそうなイッセー先輩を止めます。ここで教会関係者と戦う訳にはいきません。

けれど、イッセー先輩の気持ちはよくわかります。

私だってイラッと来ています。それはここにいる眷属皆が同じです。

 

「まだ神を信じているのか?」

「捨てきれないだけです」

 

アーシア先輩が絞り出すように言いました。

 

「そうか、なら、私が断罪してやろう。神の名の元に」

 

その言葉でまた飛び出そうとするイッセー先輩を慌てて止めます。

 

「その辺にしてくれる。私の下僕を貶めるのは」

 

リアス部長の声が静かに響きました。

 

「そんなつもりはない。信徒として当然のことだ」

 

とうとうイッセー先輩が制止を振り切ってアーシア先輩を庇うようにゼノヴィアと名乗った女性と対峙しました。

 

「アーシアが魔女だと!」

「少なくとも今はそうだろう」

「ふざけるな!勝手に祭り上げたせいでな、アーシアは一人だったんだ‼」

「一人が苦痛だったのなら元より資格がなかったのだろう」

 

二人の言い争いはヒートアップしていきます。

 

「アーシアの優しさを理解できない奴は馬鹿野郎だ!」

「君はなんなんだ?」

 

「アーシアの家族で、仲間で、友達だ!手を出すのなら、全部敵に回してやる‼」

 

イッセー先輩が啖呵をきりました。

 

「それは教会への挑戦か?一介の悪魔が、大口を叩いたものだな」

「そろそろいい加減に」

 

二人をリアス部長が止めに入ろうとした瞬間でした。

 

「なら、僕が相手になろう」

「誰だ!」

 

ドアのところに祐斗先輩が立っていました。そして、あのときよりも鋭く、憎悪に満ちた目で答えました。

 

「君たちの先輩だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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