灰色の狼と小さな白猫 作:鯵開き
読んでもらえていることに嬉しさを感じます。
読者の皆様、評価をつけてくださった方、ありがとうございます。
※イッセーの巧真の呼び方を乾に変更しました。
─side 小猫─
旧校舎を出てすぐの所でイッセー先輩と祐斗先輩が教会の二人と対峙しています。
「ふふふ」
それぞれ【
「なぜ笑っている?」
「壊したくて仕方のない物が目の前に現れたからね」
怪訝な表情をするゼノヴィアに祐斗先輩が冷たく憎しみの深い顔で答えると同時に足元に何本もの魔剣が突き立ちました。
「魔剣創造か、そう言えば聖剣計画で一人処分を免れた者がいたな」
「イッセー君の罪は私が裁いてあげる」
祐斗先輩とゼノヴィアが対峙する横では丁度紫藤イリナとイッセー先輩の戦いが始まりました。
「何だかわかんねえけど。
『BOOST!』
「アーメン!」
「危ねぇ」
『BOOST!』
イッセー先輩は斬りかかってくる紫藤イリナさんの攻撃を避けつつ倍加を続けます。
「赤龍帝の籠手か、つくづく異端の神器が揃っているな」
「僕のこれは、皆の怨みが作り出したものでもある」
そう言って祐斗先輩は剣を手に取り猛然と斬りかかって行きました。
『BOOST』
「くそ。やるか?否、やらなきゃ。やらなきゃ損だ!」
「な、何?そのいやらしい顔」
『TRANSFER』
イッセー先輩が手をワキワキと気色悪く動かし始めました。
ちょっと見直すとこの人は。
先程の啖呵で少し向上したイッセー先輩への評価が再び下がるのを感じながら二人を見つめ。
「気を付けてください。イッセー先輩は触れた女性の衣服を吹き飛ばします」
「小猫ちゃん!」
「女性の敵」
思わず助言してしまいました。
私の助言を聞いて紫藤イリナはイッセー先輩の手を躱しますが、イッセー先輩は何時もからは考えられない程機敏で無駄のない動きで紫藤イリナを追い詰めていきます。
「これで終わりだぁ!」
「ッ!」
「ふぇ」
「あ」
飛びかかったイッセー先輩をすんでの所で躱した紫藤イリナ。
そして、勢い余ったイッセー先輩は紫藤イリナの後ろにいたアーシア先輩と私にタッチしました。
バリィ!
そんな音とともに私達の服が吹き飛んだのでした。
「えい」
「ぐわぁぁ!」
即座にイッセー先輩を殴り飛ばして後ろを向きました。
「いつか、この技を昇華させて、見ただけで服を弾け飛ばしてやる!」
「どうかしてる‼」
何時の間にか復活したイッセー先輩が紫藤イリナに飛びかかりますが紫藤イリナは躱してエクスカリバーを一閃させます。
直撃は避けたイッセー先輩でしたがわずかにかすり、負けてしまいました。
「破壊力の勝負だ!」
そんな声が響きました。祐斗先輩の方を見ると祐斗先輩が、作り出した巨大な魔剣を振りかざし破壊の聖剣と打ち合う瞬間でした。
「グッ!」
「残念だよ。君の持ち味はスピードだろうに」
ゼノヴィアの一撃が祐斗先輩のお腹にヒットしました。
一撃を受けて祐斗先輩がうずくまります。
「次は、もっと冷静になるといい。先輩」
「ッ!」
ゼノヴィアが射殺さんばかりに睨めつける祐斗先輩を一瞥してリアス部長に向き直ります
「殺されなかったことに感謝しておくわ」
「例の件は頼む」
「ええ、ところで参考までに犯人について聞かせてくれないかしら?」
「…………グリゴリの幹部【コカビエル】だ」
まさかのビッグネームが飛び出したことでリアス部長が目を見開きます。
「堕天使の幹部相手に二人なんて、生きて帰れると思っているのかしら」
「既に一人やられているが」
「覚悟の上よ」
「ま、て」
そう言って、エクスカリバーをしまって立ち去ろうとした二人に祐斗先輩が声をかけます。
「なんだ」
「やったのはフリード・セルゼンだ。その場に居合わせたから間違いはない」
「情報。感謝する」
祐斗先輩の言葉に一言そう言って今度こそ二人は去って行きました。
─夜 オカルト研究部 部室─
「待ちなさい祐斗」
「すみません」
リアス部長の言葉に祐斗先輩は小さな声で謝罪するとドアを開けて出ていってしまいました。
──復讐で大事なのは止めるかどうかじゃない。果たしたあとどうするかだ──
──果たせば生きる理由を失うことになるからな。そのあとに生きる理由が見つかれば、そいつは希望とともに生き──
──だが、見つからなければそいつは…………──
巧真先輩のそんな言葉を思い出します。
私にできること。
私にできることはいったいなんなんでしょう?
ドアを見つめながら私はそんなことを考えていました。
─side 巧真─
─二日後 放課後 商店街─
「なんだこれは?」
俺は歩き慣れたはずの商店街で困惑していた。
なぜなら、眼前の光景があまりに異様だったからだ。
「迷える仔羊に愛の手を~」
「私たちにご慈悲を~」
白いコートを着てフードを被った女性が二人で物乞いをしていた。
周りの人間は二人を見ないようにしながらそそくさと早足で去っていく。
俺も普段ならそうするがあまりの光景に思わず立ち止まってしまった。
よく見れば二人はじりじりと近寄って来ているようだった。
完全に目を付けられた。
「はぁ」
ため息を吐き財布から札を一枚箱に入れる。
「ありがとうございます」
「汝に主の御加護があらんことを~」
とりあえず、二人のそんな言葉を聞き流しながらさっさとその場を離れた。
「巧真先輩」
「ん?塔城か」
少し離れた所で塔城に声をかけられた。
後ろには兵藤とクリーム色の短髪の…………誰だ?
「あ、乾じゃねぇか」
「兵藤と誰だ?」
気配からすると悪魔みたいだが。
「俺は匙 元士郎。生徒会の書記をしているよ。君は?」
「乾巧真」
生徒会か、ソーナ・シトリーの眷属か?
匙は名前を聞いて何かを思い出したのか1つ頷くと言った。
「乾ってあの無愛想で有名な」
「悪かったな」
「ああ、いやすまん。よろしく」
「ああ」
自己紹介を済ませると塔城が口を開いた。
「あの、巧真先輩。白いコートの二人組を見ませんでしたか?」
さっきの二人か。
さっき、そこの商店街で見た、と告げると三人は礼を言って去って行った。
─side イッセー─
─1時間前 とあるカフェ─
「ふざけるな!」
匙がそう叫んで、周りの視線を感じたのか声を小さくして続ける。
「
そう言って匙は席を立つ、やっぱりか、聖剣の破壊なんて嫌だよな。
しかし、去ろうとした匙の足が止まる。
「やはりそうでしたか」
「こ、小猫ちゃん」
「そんなことを教会側が承諾するでしょうか?」
「あいつらとは利害が一致しているはずだし大丈夫だと思う。当たって砕けろだ!」
「それに、木場には戻ってきてほしいしな」
そう言って見た小猫ちゃんの顔は何かを決心した顔だった。
「まずはあの二人に協力を願い出ましょう」
小猫ちゃんが立ち上がって言う。匙はまだ乗り気じゃないみたいだけどやってやるぜ‼
「一本なら構わん」
あの後、乾からの情報で二人を見つけた俺たちは二人から承諾をもぎ取った。
木場は最初は俺たちを遠ざけようとしたけど小猫ちゃんの説得でなんとかなった。
その日の夜から神父の格好をして誘きだす。という作戦を開始することになった。
よし、木場がまた俺たちと悪魔業を続けられるように頑張るぜ‼
─side 巧真─
─二日後 自宅前─
学校が終わり、家の前まで来た時だった。目の前に銀と赤のバイクが止まった。
乗っていた男は車体と揃いのフルフェイスのヘルメットを外した。その下から出てきた顔はよく見知った顔だった。
「またか、曹操」
「やあ、巧真」
曹操は相変わらずの人を食ったような顔で俺を見つめながらバイクから降りた。
「また、あれか?」
「ここではなんだ。場所を変えよう」
わざわざ、ね。とうとう俺を始末する時が来たのか。
そういう考えのこもった視線を向けると曹操は首を横に振った。
「大事な話だ」
曹操の目を見て思う。断れない、と。
お粗末さまでした。