灰色の狼と小さな白猫   作:鯵開き

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お久しぶりです。
投稿遅れてしまい申し訳ごさいません。
言い訳をさせていただきたい。




レポートってやつの仕業なんだ




第五話 戦うか否か

──side巧真──

 

 

「少し、場所を移動しよう」

 

曹操の言葉に従い移動する。バイクを押しながら歩く曹操とともに町の外れにある公園へと向かった。

 

少し高台にあるこの公園は町を一望できる人気のスポットだが、平日の夜ということもあって閑散としている。

事実、付近には俺と曹操を含めて三人しかいない。

 

一人潜んでんな

 

そんなことを考えつつ、曹操と対峙し、問う。

 

「で?」

「今回は英雄派の曹操としてではない。乾巧真の友人として来た」

「何?」

 

友人として来た。思わぬ展開に俺は戸惑う。

そんな俺を尻目に曹操は言葉を続けた。

 

「乾、まだあの事を引きずってるのか?」

「ああ」

 

なぜ今更確認した?

俺があの事を引きずっているのは何度も戻るように促した曹操が一番知っている筈だが。

 

「そうか。乾、これから先何があっても戦わないつもりか?」

「ああ」

「例え、この町が消滅することになってもか?」

「どういうことだ」

 

そう問いかけた瞬間に協力な魔力の波動を感じた。

慌ててその方向を見ると、駒王学園を結界が覆い、その一部を貫いて天高く光の柱が上っていた。

 

「なんだ、あれ」

「今この町にコカビエルが来ている」

「コカビエルだと!」

「ああ、あそこでこの町を破壊する術を使い、戦争再開の狼煙にするらしい」

「そんなことをすればこの地の悪魔が黙ってねえだろ」

 

あのリアス・グレモリーとソーナ・シトリーがいるのだ二人とも黙っていないだろう。それにあの二人は魔王の妹だ、そんな危険物に手を出すべきでは……そう言うことか!

 

「なるほどな、魔王の妹。魔王の怒りを買いやすく、かつ楽に倒せる存在、か。戦争の火種には十分だな」

「頭の回転は鈍っていないようだな。乾、君はどうする?」

「何がだ?」

「戦うか、否かだ」

 

曹操の問いかけに言葉がつまる。

 

俺の持つあの力を使えば戦える。やり方によっては勝てるかもしれない。

 

だが、あの力を使って勝ったとしても、おそらくもうここにはいられない。そして、そうなったが最後、俺に安息の地は無くなる。

 

そこまでして戦う価値がこの街にあるのか?

 

「もし戦わないのなら、旧友のよしみだ。君だけはここから逃がしてあげよう」

 

答えない俺に曹操が言う。魅力的な話だ。この町にどうしても守りたいものなんて……

 

─巧真先輩─

─巧真先輩は何時も仏頂面をしてますね─

 

「塔城」

 

何時もの塔城の顔がよぎる。

 

逃げていいのか?

 

塔城はグレモリー眷属の下級悪魔だ。堕天使の幹部であるコカビエルが相手では間違っても勝てないだろう。

もし、俺がここを見捨てたら。塔城もあの場所も確実に消えてしまう。

 

どうやら、俺は思った以上にあの場所が、あの空間が好きらしい。

そこまで至った瞬間に覚悟が決まった。

即座に反転する。

 

「行くのか」

 

反転した俺に曹操が問う。

 

「ああ」

「もう、戦わないのではなかったのか?」

「悩むのにもいい加減飽きたんでな。どう転んでもこの町を去るなら、せめて知り合いの命ぐらいは守ってやる」

「そうか」

 

俺の答えを聞いた曹操は頷く。どこか嬉しそうなのは気のせいか。

だが、構っている暇はない。

 

「待ちたまえ」

「なんだよ。ッと!」

 

走り出した俺を曹操が呼び止める。

振り向いた俺に一抱えほどのアタッシュケースを投げて寄越した。

 

「こいつは」

「現状、これを使えるのは乾、君だけだ。預けておこう」

「そうかよ」

 

アタッシュケースを持ち再び走り出す。

 

「まだある」

「まだあんのかよ!」

 

が、また曹操に呼び止められた。

振り返ると曹操がバイクを指差していた。

 

「これを使うといい」

「いいのか?」

「友人への餞別だ。あのくらいの結界なら体当たりで破れる。それに、元々これは乾の為のマシンだからな。運転はできるだろう?」

「礼を言うぜ」

 

ヘルメットを受け取り、アタッシュケースを座席の後ろに乗せて固定する。

そして、エンジンをかけた。心強いエンジン音が響く

 

「それと、ハンドルに仕掛けがある。心強い武器になるはずだ」

「曹操」

「どうした?」

「ありがとよ」

 

それだけ言って、俺はバイクを走らせその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─side曹操─

 

 

 

 

「ありがとよ」

 

そう言って乾は去っていった。

 

──悩むのにもいい加減飽きたんでな。どう転んでもこの町を去るなら、せめて知り合いの命ぐらいは守ってやる──

 

そう言った乾の目はかつてのものと同じだった。

“誰かのために”ただそれだけのために自分の命をすり減らしてまで戦っていた、英雄と呼ぶべき男の目だった。

尤も、守る対象は変わったようだが。

「よかったのか?曹操」

「ゲオルグか」

 

横の茂みから一人の男が出てきた。

この男─ゲオルグ─はそう言って乾の去った方向を見た。

 

「あれは元々彼の物だ」

「そうか。それにしても凄まじいコストがかかったあのバイクまで渡すべきだったのか?あの男、俺にすら気づいていないようだったが」

「構わんさ。少しスペックを落とせばいくらでも量産できる代物だ」

 

そう言うと、ゲオルグは渋々と言った様子で納得したのか頷いた。

 

「それと、巧真は気づいていなかったわけではない。気づいた上であえて気づいていないふりをしたんだ。いざというときお前の隙をついて逃げるためにな」

「何?」

「あまり、英雄派の初期メンバーをなめるな。巧真は【禍の団】の後ろ楯のなかった黎明期に自らよりも圧倒的に格上の存在達と戦い、生き残ってきた男だ」

 

ジロリ、と睨めつけるとゲオルグは黙った。

 

「帰るぞ」

「ああ」

 

転移用の魔方陣が構築されるのを見ながらチラリと駒王学園を視界に納める。

 

「乾、今回は友として会った。だが、次は敵として会おう」

 

一言呟きゲオルグとともに転移した。

 

 

 

─sideイッセー─

 

 

「あの戦争で神も死んだのさ!」

 

その言葉に空気が固まった。

部長達は驚愕に顔色を変え、ゼノヴィアとアーシアは絶望の表情で座り込んだ。

 

「私達は、何を……」

「そんな」

 

二人は呟く。この状態だとしばらくは動けないんじゃないか。

 

「そこの聖魔剣も、神と魔王が死んだことで聖と魔が融合したんだ。本来ならばあり得ないからな」

「お前達を土産に俺だけで、あの戦争の続きをしてやる!」

 

コカビエルはそう叫んだ。

 

いやだ。そんなことはさせない。

でも、勝てるのか?

ゼノヴィアとアーシアは動けないし、小猫ちゃんは怪我で無理だし、俺と部長と朱乃先輩と木場だけで倒せるのか?

無理、なのか?

 

そう絶望しかけた瞬間だった。

 

けたたましいエンジン音とともに赤と銀のバイクがグラウンドへと入って来たのは。

 

「なんだ?」

 

コカビエルが思わず、と言った様子で呟く。部長達も困惑していた。

 

そのバイクは俺達とコカビエルの間に大きなタイヤ痕を残しながら停まった。

そして、そのバイクに股がっていた人物がヘルメットを外した。

 

「な!」

「そんな」

「巧真、先輩」

 

俺と部長と小猫ちゃんの声が重なる。

バイクに股がっていたのは俺のクラスメートの乾巧真だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

──side巧真──

 

 

「何者ですか!停まりなさい!」

 

駒王学園の前で結界を張っていた支取蒼那が俺を止めようと声をあげる。

が、俺は無視してスピードをあげた。

そして、校門の鉄扉を飛び越え、結界を破る。曹操の言った通りの性能のようだ。

後方から聞こえる声を無視して俺は魔力の集まるグラウンドに急いだ。

 

「あの戦争で神も死んだのさ!」

 

グラウンドに入る直前にそんな言葉が聞こえた。コカビエルの声、だと思われる。

 

神の死?関係ないな。

 

俺はその言葉を気にすることなくグラウンドへと突入した。

 

グレモリー眷属とコカビエルの間に停車すると辺りを軽く見回す。アーシア・アルジェントともう一人がへたり込んでいるのは神の死を知ったせいだろう。他の面子は程度の差があれど怪我をしていた。特に塔城がひどいな。

 

最後にコカビエルを見据えるとヘルメットを外した。兵藤と塔城、リアス・グレモリーが声をあげた。

が、俺はそれを無視しつつバイクからおりた。

 

「神が死のうが俺には関係ないが、なんかあんたはムカつく。おととい俺の服に糞を落としたカラスに似てんだよ」

 

荷台のアタッシュケースから取り出したファイズギアをセットしながら。

 

なんとなく、コカビエルはむかつく。

 

そんな思いを込めて言ってやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お粗末様でした。

久しぶり過ぎて駄文に磨きがかかってるような。
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