灰色の狼と小さな白猫   作:鯵開き

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本日二話目です。戦闘描写の難しいこと難しいこと。


第六話 変身

──side小猫──

 

「神が死のうが俺には関係ないが、なんかあんたはムカつく。おととい俺の服に糞を落としたカラスに似てんだよ」

 

神の死に、アーシア先輩とゼノヴィアさん達が絶望し、部長達も驚愕する中、突然グラウンドにバイクでやって来た巧真先輩は荷台にのせていたアタッシュケースからベルトのような物と赤いラインの入った携帯電話を取りだしながら、そう言ってコカビエルを睨み付けました。

 

「先輩、すぐに、逃げて、「カラスに似ている、だと?」」

 

逃げるように促そうとしたのと同時に、コカビエルが言いました。

 

「ああ、その声もそっくりだ。うざい」

「死にたいようだな」

 

コカビエルは底冷えするような声でそう言うと光の槍を作りだしました。

 

「死ぬ気はねえよ」

 

巧真先輩は持っていたベルトのような物を腰に取り付けると携帯電話を開きました。

そして、ピッ!とボタンを押す音が聞こえました。続けて三回。ピピッ!となりました。

 

《standingby》

 

そんな電子音とともに独特の音が聞こえてきます。

 

先輩は携帯電話を閉じると天へと腕を伸ばします。

 

そして

 

「変身!」

 

《complete》

 

掛け声とともにベルトのバックルの部分にセットすると音声とともに巧真先輩の体を紅いラインが覆いました。

ラインは眩い光を放っていて、目を開けていられずにつぶってしまいました。

 

「久しぶりの感覚だ」

 

目を開けるとそこにいたのは見知った巧真先輩ではなく、赤のラインのはしった黒い人影でした。巧真先輩は静かにコカビエルを見据えていました

 

「貴様!ファイズか!」

 

コカビエルが光の槍を消して驚愕の表情で叫びます。

ファイズ?とはなんなのでしょうか?

 

「アザゼルが躍起になって探していたがこんな極東の片隅にあったとはな。どこで手にいれた」

 

アザゼルが探していた?

それではファイズというのは堕天使の武器なのでしょうか?

でもなぜ人間であるはずの巧真先輩がそれを?

 

「古道具屋でな。安かったぜ。五千円だった」

「ふざけるな。と言いたいところだがまあいい。ファイズに変身したとは言え人間ごときに遅れはとらん。来い!」

 

その言葉に巧真先輩改めファイズは右手を振るうと駆け出しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─side巧真─

 

 

「ハア‼」

 

10メートルほどの距離を詰め、俺は右腕振り抜く。

対するコカビエルは作り出した光の剣の腹で受け止めた。

 

「ハア‼ハッ‼セイ!」

 

立て続けに拳と蹴りを繰り出す。しかし、コカビエルはそのすべてを容易く防いでいく。

 

「どうした?その程度かファイズ」

「チッ!届かねえか」

 

俺は最後に剣を蹴った勢いを利用してバイクの横まで下がり、大きく距離を開ける。

「つまらんぞファイズ!最初の威勢はどうした」

 

かてぇ。せめてこっちにも剣があれば

 

挑発するコカビエルを尻目にそう考えてふと曹操の言葉を思い出す。

“それと、ハンドルに仕掛けがある。心強い武器になるはずだ”

 

「ハンドル、か」

 

ちらりと確認すると左ハンドルに親指ほどの大きさの長方形の窪みが見えた。

 

「コイツか」

 

信じるぞ曹操

 

俺は腰につけた携帯電話─ファイズフォン─からメモリーカードのようなもの─ミッションメモリー─を抜き取り、振り返るとハンドルの窪みにセットした。

 

≪ready≫

その音声と共にハンドルを引き抜くとハンドルから紅い刀身が出現した。

 

「武器か?いいだろう。俺を楽しませろファイズ!」

 

剣を構えて俺は再びコカビエルへと突貫した。

 

 

 

 

 

 

─sideイッセー─

 

「武器か?いいだろう。俺を楽しませろ!ファイズ!」

 

黒い体に紅いラインの入った姿に変身した乾がこれまた紅い剣を持ってコカビエルへと斬りかかっていく。

 

 

「部長。乾は一体どうしたんですか?」

「わからないわ。ただ、敵ではないようね」

 

部長に聞いてみたが部長もよくわからないようだった。

 

改めて乾を見る。紅いライトセイバー のような剣はコカビエルの持つ光の剣とも互角に打ち合っている。

 

「すごいな」

「そうだな。コカビエルの速さについていってるな乾の奴」

 

木場が近づいてきて言った。ゼノヴィアはまだ立ち直れていないようだ。

 

「違うよイッセー君。乾君はコカビエルよりも遅い。でも勘と反射で凌いでる」

 

木場のその言葉に乾を今度は目を凝らして見てみる。

 

乾はコカビエルの一方剣を受けて蹴りによるカウンターを繰り出す、コカビエルはかわして乾の死角に回り込むともう一方の剣をつき出す、が乾は見えていないはずの攻撃を回転するようにしてかわした。

 

「スゲエ。見えてないはずなのに全部捌いてる」

「彼からは剣術を習ったようには感じられないけど、恐ろしいほど実戦的で効率的な動きをしている」

 

木場が説明している間も目が離せなかった。部長達も同じみたいだ、皆が乾とコカビエルの戦闘に見入っていた。

 

「おもしろい!おもしろいぞファイズ!」

 

コカビエルがよろこびの声をあげ、さらに速度を上げる。

 

「ッ!グッ!」

 

乾はまだ凌いでるが少しずつ攻撃が通りだした。

 

体を光の剣が掠めて火花を散らす。

 

「そこだ」

 

コカビエルのそんな言葉とともに剣が降り下ろされた。

 

「ウグッ!」

 

なんとか剣で防いだけど乾は膝をついてしまった。

 

「マズい!急いで助けねえと!」

 

駆け出そうとして気づいた。

追い詰められているはずの乾から一切 焦りが感じられない。

 

「終わりだファイズ!」

 

コカビエルがさらに力を入れた瞬間だった。

 

 

 

 

 

乾が腰の携帯電話を開き、何かボタンを押したのが見えた。

 

「お前がな!」

 

《exceed charge》

 

その電子音声ともに紅く光る何かがベルトから乾の体のラインを通って右手に持つ剣へと運ばれる。

剣が更なる光りに覆われる。

 

 

「ハァ!」

 

左手も添えて、気合いとともに乾が剣を振り抜くと甲高い音とともにコカビエルの剣が弾かれ両腕が上がる。

俺でも明確に分かるチャンスだ!

乾は立ち上がると同時に踏み込み剣をコカビエルの胸に目掛けてつき出す。

 

「くッ!ぐあ!」

 

コカビエルはなんとか剣を盾にすることができたが、その威力に剣が粉々に砕かれ、大きく後ろへと吹き飛ばされた。

 

それを油断なく見据える乾は、剣からメモリーカードのようなものを抜き取って刀身を消すと柄を投げ捨てた。

 

 

 

 

 

なんで?

 

 

 

 

 

 

──side巧真──

 

 

剣持ってコカビエルに突貫したは良いが久しぶりの実戦に体が追い付かない。

なんとか覚えている勘と体に備わった反射神経で凌げているが正直時間の問題だ。

 

「おもしろい!おもしろいぞファイズ!」

 

お気楽なもんだなこっちは必死だってのに。

コカビエルがペースを上げる。

少しずつ少しずつ体が追い付けずに数発くらってしまった。

 

「そこだ!」

 

一瞬の隙をつかれ二本の剣が降り下ろされる。

 

「ウグッ!」

 

なんとか防いだが、少しずつ押し込まれている。

元々ファイズのスペック自体はさほど高くない。精々力自慢の中級堕天使程度だ。上級の、それも幹部クラスと真っ向からやり合うようにはできていない。押し込まれるのもそう遠くはないことだろう。

 

やるしかないか

 

俺は覚悟を決めてファイズフォンのenterを押す。

 

《exceed charge》

 

ファイズフォンからフォトンブラッドが身体中を巡るフォトンストリームを経由して右手の剣へと充填された。

 

「ハァ!」

 

気合いとともに全身の力を込めて剣を振り抜く。

 

すると、コカビエルが大きく剣を弾かれ隙をさらしている。

 

立ち上がりつつ踏み込み剣をつき出すとコカビエルは咄嗟に剣を軌道へと差し入れた。

 

「くッ!ぐあ!」

 

つきだした剣はコカビエルの剣を砕いたもののコカビエルを吹き飛ばすに止まった。

何十秒もしないうちに復活するだろう。

が、それだけ時間を稼げれば充分だった。

 

俺はすぐさまミッションメモリをハンドルから外すとハンドルをすて右の腰から銀色のポインターのようなもの─ファイズポインター─を外すと側面の窪みにミッションメモリをセットする。

 

《ready》

 

の音声とともにポインターが伸びる。

 

それを確認して、右脚のふくらはぎの側面へと取り付ける。

 

コカビエルを見据えつつファイズフォンを開き、enterを押す。

 

《exceed charge》

 

新たなフォトンブラッドが今度は右脚のファイズポインターへと送られる。

 

充填完了とともにコカビエルへ向けて回し蹴りのように足を向ける。

すると、ファイズポインターから紅いフォトンブラッドの線が発射され、コカビエルの眼前で円錐形に広がる。

 

「む!」

 

コカビエルが慌てて翼で体を包んでガードの体勢に入る。

 

「ハァ!」

 

俺はコカビエルへと駆け出し、空中で宙返りをしつつ円錐へと飛び蹴りを放った。

 

フォトンブラッドの円錐は俺の飛び蹴りとともにコカビエルの翼を回転しながら貫いていく。

 

「終わりだ!コカビエル!」

「ぐぅうう!」

 

とうとう貫いた。

 

コカビエルの背後に出た俺は背後からの爆発音を聞き、すぐさま振りかえる。

 

「チッ!仕留めそこなった」

「うう。ぐぅ。おの、れファイズ」

 

そこには、翼をすべて灰にしながらも未だ獰猛に俺を睨み付けるコカビエルの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




主観で書くキックの微妙さが凄い。もしかしたら書き直すかもしれません。

なんとか今月中に聖剣篇を終わらせたいです。
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