エロいはんたーはんたー   作:矢柄

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穴の話

穴だ。孔ともいう。すなわちHole。

 

自然界におけるもっとも基本的な構造の一つ。穴がなければ生物は発生しなかった、と言えばその重要性を理解してもらえるだろうか。

 

そう、これは『穴』の話だ。

 

 

 

 

俺の好物は何だと思う? 分からない? 答えはキャンディー、飴だ。ただし、普通の飴じゃあない。

 

《パインキャンディー》だ。

 

ジューシーで甘酸っぱいあの味が好きだ。だが、なによりもあの『穴』が俺の心を捉えて離さない。

 

《パインキャンディー》を知らない? ジーザス! なんてこった、アンタは人生の20%を損している。この穴の分をだ。

 

《パインキャンディー》は文字通りパイナップル味のキャンディーだ。そして、輪切りのパイナップルのように、真ん中に穴が開いている。

 

ドーナツ型と思ってもらって構わない。

 

この《パインキャンディー》は最高だ。そう、特にこの穴の感触がたまらない。

 

飴を口の中で転がしながら、飴を縦に歯で噛んで固定して、穴に舌先を触れさせる瞬間のなんと甘美なことか。

 

ふふ、想像したか? 俺はもう我慢できない。悪いね、お先にいただくよ。おっほ、ジューシーなパイン味、いいね、いいね。

 

そして、この穴に舌先を―

 

<そのときふしぎな事が起こった>

 

 

「んほぉぉおお!!!!?」

 

 

 

 

その日、奇妙な症状を呈した瀕死の一人の男が病院に運び込まれた。

 

その男は大変幸福そうなアヘ顔をさらし、ズボンの中で何度も射[削除済み]、最終的には赤玉を[削除済み]。

 

しかしこれは、この世界の全ての人類を恐怖に陥れた事件の幕開けに過ぎなかった。

 

 

 

 

 

俺たち仲良し幻影旅団。

 

この前は恐ろしい「床」のせいで、俺の旅団内でのイメージは地の底まで落ちたが、それでも俺は負けない。

 

男どもは色々と気遣ってくれるけど、マチの視線は酷く冷たい。パクは俺を見る時、たまに謝りながら呼吸困難になるほど笑う。

 

それでも俺は負けない。

 

 

「フィンクス、お前の廻天(リッパー・サイクロン)、どれだけ回したら俺の超破壊拳(ビッグバンインパクト)よりも強くなるか、試してみねぇか?」

 

「おもしろそうだな」

 

 

ふと、岩がそのまま人間になったかのように隆々とした筋肉の大男が、快活に笑いながら岩山の岩盤を叩いて俺に提案してきた。

 

ウヴォーギン。強化系で、気が合う仲間の一人だ。こういう脳味噌が筋肉で出来てるような遊びが出来るのも、団員の中では俺とコイツぐらいだろう。

 

俺はサムズアップで応えた。

 

 

「じゃあ、おれからいくぜ」

 

「ウヴォー、負けんじゃねぇぞ」

 

 

最初はウヴォーから。いつの間にか団員が野次馬にきて、賭けを始める。もちろんオッズが高いのは俺だ。分かってるよ最初から。見てろよクソ野郎ども。

 

そしてウヴォーから放たれる単純な一撃。ごくごく普通の右ストレート。しかし、その威力はちょっとしたミサイルに匹敵するほど。

 

岩盤に叩きつけられる拳。瞬間、大地震でも起こったかのように地面が揺れ、岩盤に大きなクレーターが形成される。

 

たいしたものだ。1000ポンドの航空爆弾ぐらいの威力はあるんじゃないだろうか?

 

だが、

 

 

「お前のは威力が周りに分散しすぎてるんだよ。もっと、抉り込むように打たねぇと」

 

「じゃあ、お前がやってみろよ」

 

「いいぜ」

 

 

次は俺の番だ。俺の能力は廻天(リッパー・サイクロン)。腕を回すほどに威力が高まる。

 

何度も腕を回し、威力を高める。

 

 

「フィンクス、さっさと負けるね」

 

「うっせぇ、黙って見てろ!」

 

 

目にモノ見せてやるぜ野郎ども。

 

 

「おらぁ!」

 

 

そして放つ今世紀最高の一撃。岩盤を鋭く、深く穿つ最高のパンチだ。俺の拳は岩盤に深く突き刺さり、まるで穴の中に腕を突っ込んだような状態に―

 

<そのときふしぎな事が起こった>

 

 

「んほぉぉおお!!!!?」

 

「フィ、フィンクス!?」「どうした、何があった!?」「ひぇ、コイツ、岩に腕突っ込んだままイッてやがる!」「ひでぇアヘ顔だ!」

 

 

瞬間、感じたのは強い螺旋。腕を包み込む最高の快楽。チカチカと瞬く視界。そして俺の精神は強烈な快楽とともに闇に沈んだ。

 

 

「酷い絵面だね」

 

 

 

 

 

 

私はアサギ。

 

秘密結社『ソレナンテ・エ・ロゲ』の手足となって働くエージェント《タイマニン》の一人だ。

 

私たち《タイマニン》は、秘密結社『ソレナンテ・エ・ロゲ』の有力派閥《スーパーフリー》の古参の幹部たちが中心となって作り上げた組織の実行部隊だ。

 

彼ら古参の幹部たちには元々別の目的があったようだが、現在、我々は組織の要人護衛やオブジェクトの取引などの対外折衝まで、多くの任務を担っている。

 

しかし、今回の任務は少々特殊だ。

 

何故なら、今回の任務は組織内の抗争とも云うべきモノ。とある派閥の研究施設の襲撃という、今までにない仕事だ。

 

私の所属する秘密結社『ソレナンテ・エ・ロゲ』の幹部たちは、この世界の社会に深く広く根付いているものの、とある一つの壮挙に向けて一致団結して邁進している。

 

だが、三人寄れば派閥が出来るという言葉のとおり、彼ら幹部たちはその思想の違いから、基本的にはいくつかの派閥に分かれている。

 

もっとも、派閥間においての意見対立はあるものの、基本的にお互いの思想を尊重し合う、そんな理想的な組織なのだが。

 

派閥。

 

私のような《タイマニン》を組織し、また、組織の中でも比較的攻撃的なオブジェクトの製作に関わる《スーパーフリー》。

 

《スーパーフリー》は催眠やクリーチャーの製作に関わるなど、我々の活動において直接的に役立つオブジェクトの創造も少なくなく、組織の中でも比較的大きな勢力を誇っている。

 

組織における最大派閥は《正統派》だ。彼らは基本的には穏健派であるものの、製作するオブジェクトは極めて大規模なものが多い。

 

有名どころでは《正統派》の中の一派閥、《リーフキー》が製作した幻想世界に関わるモノだろう。

 

彼ら《リーフキー》は自律思考人型ロボットHMXシリーズといった、市場流通による資本獲得に利するオブジェクトを制作する、一見して平和的な派閥だ。

 

が、実際のところ《リーフキー》は団体内部の中でも最も危険な思想《ナキゲー》と呼ばれる概念を信奉する狂信者たちらしい。

 

死んだ少年少女の魂と云うべきものを、一つの特殊な仮想世界に閉じ込め、学園生活をおくらせる恐るべきオブジェクトを制作したのが彼らだという話だ。

 

壮挙におけるリアルなNPCを用意するのに非常に有効ではないか、という意見の元に運用がなされているらしいが、途方もない話だ。

 

女性幹部が中心となって形成された派閥《801》は《シナリオ派》に次ぐ規模と聞く。もちろん男性の幹部もいるが、中心は女性幹部だ。

 

たまに誘いを受けるが、うん、まあ、その…、うん。

 

表舞台においてはジェンダーフリーを理想に掲げて活動しており、《801》のシンパとなった女性が世界中に数多く存在する。

 

彼女らの情報網は、我々《タイマニン》の諜報力を上回ることも多い。尊敬…して…ます。

 

ちなみに、あの恐るべきオブジェクト《ジョソウサンミャク》を制作したのが彼女ら《801》で、他にもミーム汚染系は彼女らの作が多いらしい。

 

この他にも《リーリエ・シュバイン》《菌糸類の神様》《ウロブッチー》といった、数多くの中小派閥が存在し、多くの幹部たちが派閥を掛け持ちするなど組織内部の構図は複雑怪奇だ。

 

 

「準備はいい、さくら?」

 

「うん、お姉ちゃん」

 

 

今回、私たちが潜入するのは、あの天牙先生が派閥の長を務める《賢者の刻》が有する秘密研究所だ。

 

何故か。

 

それは、この研究所で製作されていたとあるオブジェクトが、外部へと漏洩したという情報に基づいてだ。

 

なお、天牙先生はそれについて、オナホを作りながら、「記憶にない、護衛のユキカゼが証明してくれるだろう」との弁明。

 

彼の護衛である無能褐色は雌の顔で「先生は悪くない、ただオナホを渡しただけです!」と証言。

 

そこから芋づる式にこの研究所の場所が割れた。

 

あの無能褐色が先生の墓穴だったというわけだ。

 

というわけで、私たちがこの施設に直接乗り込む運びとなった。

 

建物自体は方形の白い、何の変哲もない研究施設だ。表向きは材料の物性を試験するための試験研究施設となっている。

 

既に内部はもぬけの空だ。

 

がらんとなった建物の内部を慎重に探索していく。組織の研究所は何処にどれだけ恐ろしいオブジェクトが潜んでいるか分かったものではない。

 

もっとも、その心配は杞憂で、私たちは体よく目的の研究室へとたどり着き、そして研究にまつわる重要な手書きメモを手に入れることが出来た。

 

メモの内容を確認する。

 

 

「天牙先生から譲り受けたオナホを元に、素晴らしい『穴』が出来た。

 

だけど、これに見合う人形の方が上手くいかない。いちいち付け替えるのも面倒だし、複製しとこうか。

 

あと、簡単に付け替えできるようにしたら便利だよね。

 

転移先を指定できるようにすれば、安全だから大丈夫。

↑ゆるしてヒヤシンス^^;」

 

 

「ヒヤシンスどっから出てきたんだよっっ!!」

 

 

 

 

そのころ、我らが仲良し幻影旅団では、目つき悪い男が部屋の隅で三角座りするのを、団員たちがどうしたものかと悩んでいた。

 

 

「フィンクス、なあ、フィンクス…、元気だせよ。な?」「ぷっ…、くくく」

 

「穴があったら入りたい」

 

 

入ったじゃないか、フィンクス君。

 

 

 

Item #: SCP-1162-E

 

Object Class: Ecstasy

 

 

取扱方:

SCP-1162-Eの一部は現在サイト-███の大型収容フロアに収容されています。

 

SCP-1162-Eは現在、様々な物品の『穴』に転移しています。

 

SCP-1162-Eは収容違反を防止するために、少なくとも1時間に1度は起動しなければなりません。

 

起動しなかった場合、下記のように場所をランダムで転移します。

 

なお、SCP-1162-Eに男性器を接触させることは、絶対に避けてください。

 

SCP-1162-Eは現在、その全てを収容できていません。

 

 

概要:

SCP-1162-Eは様々な物品に空いた穴に宿る異常な『機能』です。宿る穴の直径は様々であり、統一性はありません。

 

SCP-1162-Eは、その宿った穴の内側に人体の一部が接触した瞬間、起動します。

 

起動されると、使用者はどのような肉体の部位を用いたのであれ、強烈な快感と共に[削除済み]します。

 

この[削除済み]は使用者がSCP-1162-Eに接触する限り継続し、また起動中、未知の力によりこの接触は固定され、物理的に外すことは困難です。

 

[削除済み]と接触の固定は使用者が失神するか、外部からSCP-1162-Eが宿る物品に対する破壊行為が実施されない限り継続します。

 

SCP-1162-E は1時間以内に少なくとも1度起動されなければ、2000キロメートル以内の『穴』に、ランダムに移動します。

 

移動後に残された穴は異常な特性を示しません。

 

SCP-1162-Eを破壊する試みは即時移動を引き起こす原因となり、最後に移動した時間に関係なく起こります。

 

破壊を試みた場合、穴は破壊されますが、SCP-1162-Eは移動します。

 

SCP-1162-Eの内部『穴』に男性の精子が放たれた場合、『妊娠・出産』します。この特性により、SCP-1162-Eは現在、完全に収容されていません。

 

サイト-███では█████個のSCP-1162-Eが収容されていますが、未だ収容に至っていないSCP-1162-Eの総数は不明です。

 




管理ガバガバ穴だらけ。

もうネタ切れです。もう書けません、許してください。何でもしますから。

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