「さて、そろそろ終わりね。魔理沙、お休みなさい」
「『ムーンライトレイ』」
魔理沙は生きてる。
何とか間に合った
私は紫が少し下がった所で魔理沙を闇の中に落とす
「あら、まだ動けたのね。ルーミア」
「今日は満月だからな」
そう、今宵は満月
二年越しの決着は今宵つくだろう
「でも、どうするの?ルーミア。いくら満月の夜とは言え、その傷で私に勝てる?」
「勝てる勝てないでは無く、勝たなければならない」
私は闇の中から剣を取り出し、構える
「いい覚悟ね。でも、勇気と無謀は違うわよ?」
「もちろん心得ているさ、勝てると確信があるから今お前の前に立っている」
「・・・どうやって勝つのか見せてもらいましょうか」
闘いが始まる
先手を取ったのは私だった
ギリギリまで距離を詰め、剣を横薙ぎに振るう
しかし、紫の姿はフッと消え代わりに境界が襲い掛かる
が、もちろん私も簡単に取れるとは思っていない
上に飛び上がり、躱す
「残念、もう少し上ね」
しまった、さらに上だったか
だが焦らずに次の紫の攻撃を躱しながら紫のいる方向に斬撃を飛ばす
「流石に昼間とは動きが全然違うわね」
紫も私の攻撃を簡単に躱す
「でもやっぱり怪我が効いてる」
紫の姿が一瞬ブレる
「しまっ・・・!」
ーー後ろに回られた
紫の持つ傘が振り下ろされる
私は咄嗟に腕を交差させガードする
がーー
「がぁ・・・!」
背中から地面へ激突する
口の中に鉄の味が広がっきた
「今の感触は、間違い無く両腕折れたわね」
紫に言われた通り腕が全く動かない
勝負と言うのは一瞬で決まる
身体中の傷口が開き、もう身体が殆ど動かない
だが、身体が動かなくとも攻撃は出来る
闇を出し紫に放つ
もちろんそんな単調な攻撃では当たらない
「闇雲に放っても当たらないわよ?」
「それはどうかな」
紫が避けた先に闇を出し、剣を振るう
「あら?さすがルーミアね」
しかし、紫は刃を素手で掴んで止めた
「いっつ・・・少し危なかったわ」
紫の手から血が流れる
そして紫は刃を力任せに引き、私の闇から抜いた
「な・・・!?」
私は驚愕の声を上げてしまう
紫は剣を私に投げた
そして真っ直ぐに飛んできた剣はーー
「あぐぅ・・・!」
私の腹に自分の剣が突き刺さる
・・・もう本当に力が出せない
紫が近付いてくる音が、聞こえてくる
「その傷ではもう戦えないわね。もう寝ていて貰うわね」
紫が手をかざし、私を境界に落とそうとする
もう私に抵抗する力はない
だが、まだだ・・・
もう少し・・・
「・・・何故・・・殺さない?」
「・・・」
「いつだって私も魔理沙も、殺せただろう?何故こんな遠回りをする?」
紫の能力は強力だ
人一人を簡単に『消せる』程に
身体と空の境界を操作すれば実際に戦う必要はない
無条件で消し去れる
「そうね・・・確かに殺すことは簡単よ。でも、穢れのない者は殺さない。消すのは穢れ身のみよ」
「何故そんなに・・・外の世界を嫌う?」
確かに外の世界の人間はこの星を汚染し続けている
それに人間は自己中心的な生き物でもある
だが、それが世界の姿だ
進化の結晶なのだ
それを全て奪うなんてーー
「さーね、何故だと思う?」
紫の過去に何かあったのかも知れない
私は外の人間に嫌われて生きてきた
だがそれと同時に、外の人間のお陰で今の自分がある
私も、道を外れていたら、紫と同じ事を考えていたのだろうか
・・・マズイな
腹と全身の傷口からの出血で意識が遠のいてきた
「さて、話は終わりね。『チェックメイト』よルーミア。諦めなさい」
紫が境界を開こうとする
だが私は落ち着いていた
「『チェックメイト』にはまだ早いんじゃないか?」
「?」
どうやら私は何とかやり遂げられた様だ
紫の後ろの方
満月を背に立つ姿を見て、私の仕事が終わった
「私が居ない間に随分と大きな事になってるわねぇ」
「!?霊・・・夢・・・?」
紫が驚愕し、振り返る
「紫、久しぶりに遊びましょう?『スペルカードルール』で」
私は遠のく意識の中、最後に告げた
「紫、お前も私達もまだチェックメイトには早い」
「『チェック』だ」