「それじゃあ、大人しく待ってろよ?」
「分かった」
昼食後の昼下がり
私は蓮子に念を押し、神社を出る
昨夜に人里近くの森で戦闘があったというのを森に住む妖怪に聞いた
もしかしたらルーミアと何か関係があるかもしれないので、その調査へ向かう
蓮子の事は少し心配だが、1人でメリーを探しに行くほど無謀では無いだろう
そして私は箒にまたがった
しばらく箒で飛ぶと、森が不自然に抉れているのが見えてくる
近付けば、かなり広範囲に木々が倒され、焼け焦げたような箇所やスッパリと切れた箇所があった
「・・・これはかなりヒドイな・・・」
明らかに普通の戦闘ではない
相当な強者同士の戦闘か・・・
だが、残念ながらそれ以上の事は現場では分からなかった
「人里の方で被害が無かったか確認するか・・・」
今度はすぐ近くの人里へ向かう
人里では、やはり昨夜の事で少しざわついていた
皆心配のようで、空気が緊張している
私は近くのおばさんに話しかけ、聞き込みを始めた
「昨夜の事で聞きたい事があるんだが、いいか?」
「あら、魔理沙ちゃんじゃないの。巫女の仕事はもう慣れた?」
まぁ、この狭い人里の中じゃあ知らないやつ探す方が難しい
「ああ、大体慣れた。それで、昨夜の事を教えて欲しいんだが・・・」
「そう!それよ!昨日の夜いきなりドーンって爆発音が鳴り響いて、不安で全然眠れなかったのよ!」
「そうか・・・他に何か知ってることは無いか?」
あの惨状を見ればどれだけの衝撃だったかは大方予想はつく
「他に?・・・あ、そう言えば巻き込まれた妖怪の子が診療所に居るみたいよ」
ほう、もしかしたら何か知ってるかもしれない
「分かった、行ってみるよ。ありがとな」
「いえいえ、それよりもお仕事頑張ってね〜」
別れの挨拶をして、私は診療所に向かう
と言っても、小さな人里では診療所など一つしかないし、すぐ近くにあるので数分で到着する
「おーい。いるかー?」
「そんなデカイ声出さんでも聞こえるわい!」
奥から私が子供の頃からジジィだった、れっきとした人間のジジィの医者が出てくる
「わるいわるい」
「なんじゃ、道具屋の娘じゃないか」
このジジィは半端なく年寄りだが、人里の人間全員の名前と顔を覚えている・・・らしい
「何の用じゃ。怪我でもしおったのか?」
「いや、森から逃げて来たっていうやつに話を聞きに来たんだが」
「その事か。なら付いてこい、案内してやる」
ジジィがまた奥へ入る
「悪いな」
私もその後に続き、奥へ進む
「逃げて来た妖怪ってのはどんなやつなんだ?」
「金髪で、黒っぽい服を着たべっぴんさんじゃよ」
ん?
金髪で黒っぽい服?
私もそうだが、もう一人心当たりがある
「すごい大怪我じゃったから今はこの部屋で寝ておる」
と言って、とある部屋の前で止まる
ジジィは部屋をノックして
「お前さんに客じゃよ・・・それじゃ、ワシは別にやる事があるのでのう」
と言い残し、ジジィは来た廊下を戻っていった
私はドアを開けて中に入る
するとそこにはーー
「なんでお前が居るんだよ・・・?」
傷だらけで、包帯が至るところに巻かれたルーミアの姿があった
「まさか、あの戦闘跡はお前が?」
「ああ、そうだ」
私と違い、ルーミアはあまり驚いていないようだ
「一体誰と戦ったんだよ?」
「さーな、自分で考えろ」
と、答えを言わないルーミアだったが、私は心当たりがある
ルーミアは強い
そのルーミアを倒せるやつなんて今の状況じゃあ一人くらいしか・・・
・・・でも、だとしたら何故・・・?
「そろそろ手の内を明かしたらどうなんだよ?」
「言っただろう?お前が知る必要は無い」
「ふざけんなよルーミア。お前、今の状況分かってんのかよ?」
ルーミアは傷だらけだ
誰が見ても動けるような状態じゃない
「ああ、重々承知している。お前がしたいようにするといい」
コイツは何が目的なのだろう
「前に『力を封印された復讐』とか言ってたが、自分で力を封印したそうじゃないか」
「その通りだ」
私は懐からナイフを取りルーミアに突きつける
「いい加減にしろよ?ルーミア。何が目的だか、とっととはけよ」
だがルーミアは臆さずに言う
「殺すなら殺せ」
私の目を真っ直ぐに見てルーミアは言う
「ただ、これだけは言っておく」
そしてルーミアは
「お前が本当に今回の件を丸く収めたいなら何もするな。さもなければ、大怪我じゃ済まないぞ?」
「何だよそれ・・・」
何もするなだと?
「んな事出来る訳ねぇだろ」
「・・・」
「こっちは訳も分からず友達一人失ってるんだぞ?それで何もしないで指咥えて見てろってか?」
そんなんなら
「そんなんなら死んだ方がマシだ」
そして私は突き付けていたナイフをしまう
「どうするつもりだ?」
そんなの決まってる
「私は自分の手で真実を見つける」
「・・・」
私は部屋のドアを開け、出て行こうとする
だが最後にルーミアに呼び止められる
「魔理沙」
「なんだよ?」
「行くんならこれだけは覚えておけ」
「霊夢を本当に大切な存在だと思うなら、お前は絶対に死ぬな」
私はその言葉に、何も答えずに部屋を後にする
ルーミアの言葉の真意は分からない
だがーー
「ふざけんなよ。大切だと思うから、二年も命張り続けてるだろうが・・・」
そして私は、積りに積もる『八雲紫』への疑惑を晴らしに、紫を探しに行くーー
ーーーーーーーーーーーーーー
私はどうすればいいだろう
「ここにも何もなしか・・・」
魔理沙さんが何やら調査に行った後、私は神社中を捜索していた
メリーの捜索に行きたいのは山々なのだが、魔理沙さんに念を押されてしまったので外には出ていない
「私は・・・」
色々な事を今朝から考えたが、考えが纏まらない
だってーー
魔理沙さんは私の帰り待っているだろう
私はどうしたらいいのか
記憶が戻った演技をするか?
ダメだ、すぐにバレるだろう
今はとにかく、確証が欲しくて神社中を捜索している
「何か・・・」
証拠になる物を・・・
「あと探して無いのは・・・」
魔理沙さんがいつもの寝ている部屋
そこの襖を開け、中に入る
中を少し捜索し、部屋の中にあった箪笥を開ける
「これは・・・」
箪笥の中から、写真が出てきた
裏には小さく、『撮影:射命丸文』と書かれていら
そしてその写真にはーー
「やっぱり・・・」
笑顔で映る魔理沙さんと、その隣に私と全く同じ顔をした巫女の姿があったーー