『しかし、これでもう桂木さんも天理を忘れないでしょうね。
何せ2人は口づけまで交わした仲なのですから!』
「ちょっ、ディアナ!? な、何言ってるのよ!!」
そして天理も残っていると。
記憶の消去を受けていてもなお覚えているのは……女神の加護、みたいなもんなのか?
……単にノーラが報告してないだけかもしれんが。
『何もおかしな事は言ってないでしょう。あれほどの事をしたのですからもう恋人も同然です。
ああ、言っておきますけどあれは天理の初めてのキ……』
パリィィン!
天理が鏡を床に叩きつけた。さもありなん。
「ああっ、ガラス危ないですね。お掃除します」
エルシィが手慣れた動作で箒を取り出した。
「出力、大丈夫だろうな?」
「え~っと……はい、大丈夫です!」
「よし、やれ」
使い方さえ間違えなければ非常に便利な箒で掃き掃除を始めた。
「あ、あの……桂馬君」
「ん?」
「その、ディアナの言うことは気にしないでね。あれがお芝居だって事は、分かってるから……」
ああ、良かった。これで天理にまで暴走されたらエラい事になってた。
天理が手綱を握っててくれるなら何とかなるだろう。
『それでは困るのです!!』
「あ、生きてたのか」
『鏡はあくまで写像ですから。本体はずっと天理の中に居るのでダメージはありません。
そんな事より、あなたには天理と結婚して欲しいのです!!』
「ディアナああっっ!?」
「随分と話が飛んだな。どうしてそうなった」
『実に簡単なロジックです。
封印が解かれた以上、私はその原因を調査しなくてはなりません。
しかし、今の状態では不可能。全盛期の頃かそれに近い力を取り戻す必要があります。
その為には、『愛』が必要なのです!!!』
「あい……?」
『ええ、『愛』です!!
悪魔が負のエネルギーを糧とするように、我々は愛の力で育つのです!!』
「おい、言ってて恥ずかしくないのか?」
『事実ですから。
実際にキスのおかげで私は頭のリングまで取り戻しました』
「……ん? リング?」
『おや、見えませんかね? 天理、少し体を借りますよ』
「えっ? ちょっ!
…………」
体の主導権がディアナに切り替わったようだな。
それと同時に、頭上に光る輪っかが出現した。今までは鏡とかの枠が小さくて見えなかったらしい。
頭のリング……いわゆるエンジェル・ハイロゥだな。やっぱり神と言うより天使に近くないか?
いや、天使の上位って意味で神と名乗ってるのか?
「そういう事で、天理とあなたが結婚すれば天理も幸せだし私の力も復活します」
「いやいやいやいや、そんな理由で結婚できるか!!
大体、芝居のキスしかしてないだろうが!!」
「それで十分ではありませんか!
口づけというものは……生涯これと決めた1人にだけ許すものです!」
……そう言えば、ディアナが司るのは月と狩猟と……貞節。
意外と正しいのかもな、神話。
「さぁ、責任を取ってもらいます!!」
「おい、ちょ、待て!!」
「待ちません! さぁ、結婚を……あ、て、天理、抵抗しないで……あっ!
ご、ごめん桂馬君! 今のは忘れて! ディアナが勝手に言ってるだけだから」
「……忙しい奴だな」
さて、そろそろ帰ろうか。
……しかし、お芝居のキスだけでアレか。
駆け魂狩りで2回に1回ほどキスしてる事や、丁度そのキスをした奴と同じ屋根の下で暮らしてるってなったら……どうなるんだよ。
神相手に錯覚魔法って効くのか? 隣に住んでいる以上、かのんの事は近い内にバレるだろうから何とかしなくては。
というわけでここで一区切り、天理編終了でした!
天理のパートナーは原作通りにディアナです。ここを変えると説明が色々と面倒だし、天理の性格を考えても下手な人と組ませると面倒な事になるので……
というわけで、例の企画を復活させてみましょ~。参加者どれだけ居るか分からんけど。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=168568&uid=39849
相変わらずの性格極悪で鬼畜難易度なので心の広い方が参加する事をお勧めします。
参加状況次第で廃止するかもしれません。一応執筆する上で役立ってたりするんですけどねコレ。
次回はトランプ引いて次のヒロイン……ではなく、更なる後日談でも書いてみます。
今回かのんが一切出てないので、
え? ルビがバグってる? 仕様です。
まぁ、内容はまだ未定なので本当に修羅場になるかは分かりませんが……
それでは、また次回お会いしましょう!