「あれ、かのん。アンタの知り合い?」
かのんに続いて金髪サイドテールが建物から出てきた。
ううむ、見られたか。まあ仕方あるまい。
「えっと……うん、知り合いと言うか……クラスメイトだよ、一応」
「ああ、そう言えばアンタもまだ高校生だっけ。
クラスメイト……パッとしない男ねぇ。
まあいいわ。握手してあげてもいいわよ」
どこかで聞いた事のあるようなセリフだな。
生憎だかその手のキャラは間に合ってる。
「要らん。と言うか誰だお前」
「なっ! あ、アンタっ! この黒田棗を知らないって言うの!?」
「お、落ち着いて棗ちゃん!! この人私と会った時も同じ事言ってたから!!」
かのんが棗とやらを羽交い締めにしている。どうやらそこそこ仲が良いらしいな。
プライベートでの友達など居るわけが無いから同業者なのか?
(エルシィ、あいつの事知ってるか?)
(はい、棗さんです! 私のアイドルとしての先輩です!!)
(お前はいつからアイドルになったんだ……)
(アイドルですよ!! 替え玉ですけど!!)
(棗がアイドルなのは分かったが、そうだな……
かのんとは同じ事務所なのか?)
(はい、そうです!)
同じ事務所なのか。ならかのんと僕が知り合いだと見られたくらいで変な噂が流れる心配は無いか。
とはいえ、長々と会話していたら面倒な事になりかねないし会話をする必要性すら無い。
「じゃあな」
「あ、ちょっと! 待ちなさいアンタ! 離しなさい中川かのんっ!!」
遠出したら知り合いとバッタリ出会うというのは定番のイベントだが、まさか
妙な事ってのはどうしてこう続くものなのか。
家へと向かう最短ルートの途中で午前中に墓参りに行った墓場を通った時だった。
「キャアアハハハハハ!」
ホラーゲームの効果音みたいな笑い声が聞こえてきた。
「な、ななな何ですか!? ゆゆ幽霊!?」
「落ち着けこの悪魔」
声が聞こえた後ろの方に振り向くとボロボロの下駄を履いた小さな女の子が居た。
手には呪術に使えそうな藁人形を持っている。まともな人間にはとても見えないが流石に幽霊というわけでもないだろう。
「あ、何だ……女の子ですか」
「……クビ切るぞ」
「へっ?」
女の子はひたひたと近付きながら口ずさむ
今のフレーズは聞き覚えがある。確かこの歌は……
「あそんでくれなきゃ……うで切るぞ。
あそんでくれなきゃ……あし切るぞ。
あそんでくれなきゃ……くび切るぞ。
……あそぼうよ」
「ひぃぃぃっっ!?!? かか神様!! この子怖いです!!!」
「落ち着け、今のはこの辺に昔からある童歌だ」
「……へ? う、うた?」
「ああ。確か爺ちゃんが前に何か言ってた」
それでも不気味な事に変わりは無いが。
この不思議生物をどうするべきか悩んでいたら。保護者らしきお婆さんが出てきた。
「こんな所に居たのかい愛梨ちゃん。そろそろ暗くなるから帰ろうか」
「……じゃーね、にーちゃん」
女の子……愛梨はおばあちゃんに手を引かれて帰って行った。
う~む、厄介そうなのに顔を覚えられた気がするが、きっと気のせいだろう。
「さて、ゲーム続けよう」
「か、神様はいつも動じませんね……」
「いちいち反応してたら時間の無駄だからな」
その夜……
「う~ん……」
なんだか眠れません。お布団が変わったせいですかね? アクマは繊細ですからね!
少しおトイレに行きたくなってきました。場所は分かる……はずです。
…………お化けとか出ませんよね? きっと大丈夫。
………………
よし、無事におトイレを済ませられました!
なんたって私は完璧な悪魔ですからね!! この程度は余裕です!!
ガシャン!!
「ひぃっ!?」
や、やっぱり怖いです!! と言うか今の音は何でしょう? 外から聞こえたようですが……
外を見てみると都会と違ってとても暗いです。けど、1点だけ青白い光が見えます。
確かあの辺は墓場だったような……と言うか、その青白い光は人影に見えるような……
「ひぃぃぃぃっっっっ!!!!!」
や、やっぱりお化けは実在したんです、かかか神様ぁあああ!!!
ようやく棗さん再登場!! 正直本編で出すとは思ってなかったです。
桂馬だったらこの辺の童歌を覚えていてもおかしくないかなと。
……ところで、規約的に大丈夫なんですかねこれ? 一応歌詞に該当するんでしょうか?
運営様から警告が来たら修正する事にします。